説明

データ再生装置

【課題】カード型記録媒体の挿入を容易にするとともに、イジェクト時の落下を防止する。
【解決手段】フロントパネル7に取り付けられたシャフト26に、スロット17aを開閉するカバー30を回動自在に取り付ける。カバー30を、外装板31とガイド板32とから構成する。カバー30は、開放位置に回動させると、板バネ35により開放位置に付勢される。メモリカード5を受け面32aに載せて後方に移動させると、メモリカード5は、各幅ガイド凸部32b,32cにより、幅方向がガイドされながら移動し、スロット17aに挿入される。カバー30は、閉じ位置に回動させると、板バネ35により閉じ位置に付勢される。イジェクトボタン21を押圧すると、メモリカード5は、イジェクトされて、受け面32a上を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカード等のカード型記録媒体は、記録できる情報容量が増加しており、CDやDVDに代えて、メモリカードを記録媒体として使用するデータ再生装置が普及しつつある。
【0003】
データ再生装置では、スロットを通してメモリカードを本体ケース内部に挿入して、本体ケース内部に設けられた接続端子に接続することにより、メモリカードの再生が可能となる。また、メモリカード再生装置は、開閉自在なカバーによりスロットを覆い、スロットから本体ケース内部に塵粉が入らないようにしている。データ再生装置は、使用する環境によっては大きな振動が常に加わることがあり、振動により、メモリカードの接続が緩み、再生を行うことができなくことがある。そこで、特許文献1では、カバーにメモリカードのストッパを設けて、メモリカードの接続が緩まないようにしたメモリカードの保持構造が提案されている。
【特許文献1】特開平11−95869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メモリカードは、そのサイズが小さく、それに応じてスロットのサイズも小さいため、特許文献1のような構造では、メモリカードをスロットに挿入しづらい。このため、スロットに挿入することができずに、メモリカードを落下させてしまうことがあった。
【0005】
また、メモリカードを取り出すときには、メモリカードをイジェクトした後に、取り出す。イジェクト量が小さいと、メモリカードが取り出しづらいため、メモリカードを取り出し易くするために、メモリカードのイジェクト量を大きくことが考えられる。しかしながら、イジェクト量を大きくすると、イジェクト時にメモリカードが本体ケースから落下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、カード型記録媒体の挿入を容易にするとともに、イジェクト時の落下を防止することができるデータ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のデータ再生装置は、水平方向に横長のスロットを有し、前記スロットに挿入されたカード型記録媒体からデータの再生を行うとともに、イジェクト操作時には前記スロットからカード型記録媒体が突出するように付勢するイジェクト機構を備えたデータ再生装置において、前記スロットの下側の水平な軸を中心に回動自在に設けられ、前記スロットを覆う閉じ位置から前記スロットを露出させる開放位置に回動させたときに、前記カード型記録媒体の挿入及びイジェクト時に前記スロットの前方で前記カード型記録媒体の下面を支持する受け面が設けられたカバーを備えたことを特徴とする。なお、前記カード型記録媒体としては、コンパクトフラッシュ(登録商標)やSDカード等のメモリカード、ICカード等が挙げられる。
【0008】
また、前記カバーは、外部から視認可能な外装板と、前記外装板に取り付けられ、前記受け面を有するガイド板と、を備えることが好ましい。
【0009】
さらに、前記受け面に、前記カード型記録媒体の挿入及びイジェクトを幅方向においてガイドする幅ガイド部を形成することが好ましい。
【0010】
また、前記カバーが前記開放位置に回動されたときに、前記カバーに当接して前記開放位置に位置決めする開放位置決め部と、前記カバーが前記閉じ位置に回動されたときに、前記カバーに当接して前記閉じ位置に位置決めする閉じ位置決め部と、前記カバーが開放位置に回動されたときに、前記カバーを前記開放位置決め部に当接する方向に付勢するとともに、前記カバーが前記閉じ位置に回動されたときに、前記カバーを前記閉じ位置決め部に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カード型記録媒体の挿入及びイジェクト時に、カバーの受け面で、カード型記録媒体の下面を支持するから、カード型記録媒体を受け面に載せて移動させるだけで、容易にカード型記録媒体をスロットに挿入することができる。また、イジェクトされたカード型記録媒体を、受け面上で移動させるだけで、容易にカード型記録媒体を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1及び図2に示すように、メモリレコーダ(データ再生装置)2は、本体ケース3と、本体ケース3の内部に設けられた再生記録ユニット4とを備える。再生記録ユニット4は、カード型記録媒体としてのコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード(以下、メモリカードと称する)5に対して音声データの再生及び記録を行う。本体ケース3は、再生記録ユニット4を収納するユニット収納ケース6と、ユニット収納ケース6の前面に取り付けられたフロントパネル7とから構成されている。フロントパネル7の前面には、電源ボタン11、再生ボタン12、停止ボタン13、録音ボタン14、待機ボタン15等の各種操作ボタンと、表示パネル16とが取り付けられている。
【0013】
図2及び図3に示すように、フロントパネル7の前面には、凹部7aが形成されており、この凹部7aには、開口7bが形成されている。本体ケース3の内部には、メモリカード5を挿入する横長のスロット17aが形成されたカード収納ケース17が設けられている。このカード収納ケース17は、開口7bに挿入され、スロット17aが水平方向に横長となるように開口7bから露出している。メモリカード5を、スロット17aを通してカード収納ケース17に挿入して、再生位置(図3参照)まで押し込むと、再生記録ユニット4に接続されて、メモリカード5の再生及び記録が可能となる。
【0014】
凹部7aには、カード収納ケース17に収納されたメモリカード5をイジェクトするためのイジェクトボタン21が設けられている。本体ケース3の内部には、イジェクトバネ22、スライドレバー23を有するイジェクト機構24が設けられている。イジェクトバネ22は、一端がカード収納ケース17に設けられたバネフック部17bにフックされ、他端はスライドレバー23にフックされている。
【0015】
スライドレバー23は、前後方向(図3における左右方向)にスライド自在に設けられ、その一部がカード収納ケース17に挿入されている。メモリカード5を再生位置に向けて押し込むと、スライドレバー23に当接して、スライドレバー23は後方に移動する。メモリカード5を再生位置まで押し込むと、スライドレバー23は、イジェクトバネ22をチャージした状態でロックされる。イジェクトボタン21を押圧すると、ロックが解除され、スライドレバー23は、イジェクトバネ22の付勢により所定ストローク前方に移動する。スライドレバー23の前方への移動により、メモリカード5は、スロット17aから突出して、所定ストロークイジェクトされる。
【0016】
フロントパネル7には、スロット17aの下側であって水平方向に、シャフト26が取り付けられている。シャフト26には、スロット17aを開閉するカバー30が回動自在に取り付けられている。カバー30は、シャフト26を中心にして、図2に示すスロット17aを開放する開放位置から、図3に示すスロット17aを覆う閉じ位置に回動されると、凹部7aに収納される。フロントパネル7の前面には、指を差し込むための差込凹部7cが形成されている。ユーザは、差込凹部7cに指を差し込んで、カバー30を開放位置に回動させる。また、フロントパネル7の内部には、カバー30が開放されたことを検知する押圧タイプの開放検知センサが設けられており、この開放検知センサでカバー30の開放が検知されると、カバー開放情報が、表示パネル16に表示される。
【0017】
カバー30は、アルミ製の外装板31と、外装板31に取り付けられる樹脂(例えば、ABS)製のガイド板32とから構成されている。外装板31は、シャフト26が挿入される左軸受部31a及び右軸受部31bと、開放時にフロントパネル7に当接する開放当接部31cと、閉じ時にフロントパネル7に当接する閉じ当接部31dと、開放時に上記開放検知センサを押圧するセンサ押圧部31eとが形成されている。各軸受部31a,31bにシャフト26を挿入すると、外装板31は、シャフト26を中心にして回動自在となる。なお、ガイド板32を構成する素材は、ABSに限らず、外装板31よりも表面の摩擦抵抗が小さい素材であればよく、さらには、樹脂に限定されない。
【0018】
ガイド板32は、メモリカード5の挿入及びイジェクト時に、メモリカード5の下面を支持する受け面32aが形成されている。受け面32aは、カバー30を開放位置に回動させたときに、スロット17aの下面とほぼ同高さとなる。受け面32aには、メモリカード5の挿入及びイジェクトを幅方向においてガイドする左幅ガイド凸部32b及び右幅ガイド凸部32cが形成されている。右幅ガイド凸部32cの前側端部は、幅方向に広がるように形成されている。受け面32aの後側端部は、イジェクトされたメモリカード5を載せるためにテーパ状に形成されている。外装板31及びガイド板32には、図示しない位置決め部が形成されており、各位置決め部により位置決めされた状態で、ガイド板32は、両面テープにより外装板31に取り付けられる。
【0019】
フロントパネル7には、カバー30を開放位置に回動したときに、開放当接部31cに当接して回動を規制し、カバー30を開放位置に位置決めする開放位置決め部7dと、カバー30を閉じ位置に回動したときに、閉じ当接部31dに当接して回動を規制し、カバー30を閉じ位置に位置決めする閉じ位置決め部7eとが形成されている。
【0020】
フロントパネル7の内部には、開放当接部31cに常時当接して、カバー30を開放位置及び閉じ位置に向けて付勢する板バネ(付勢手段)35が設けられている。板バネ35は、カバー30を開放位置に回動させたときには、開放位置に向けて付勢し、カバー30を閉じ位置に回動させたときには、閉じ位置に向けて付勢する。
【0021】
次に、メモリレコーダ2の作用について説明する。メモリカード5をメモリレコーダ2にセットする場合には、図4及び図5に示すように、カバー30を開放位置に回動させる。開放位置に回動されると、カバー30は、板バネ35により、開放当接部31cが開放位置決め部7dに当接する方向であるA方向に付勢される。これにより、カバー30は、振動等により閉じ位置に向けて回動されることなく、開放位置に位置する。
【0022】
メモリカード5を受け面32aに載せて後方に移動させると、メモリカード5は、各幅ガイド凸部32b,32cにより、幅方向がガイドされながら移動し、スロット17aに挿入される。そして、メモリカード5を再生位置まで押し込むと、スライドレバー23は、イジェクトバネ22をチャージした状態でロックされる。
【0023】
次に、図3に示すように、カバー30を閉じ位置に回動させる。閉じ位置に回動されると、カバー30は、板バネ35により、閉じ当接部31dが閉じ位置決め部7eに当接する方向であるB方向に付勢される。これにより、カバー30は、振動等により開放位置に向けて回動されることがなく、閉じ位置に位置する。
【0024】
板バネ35によるカバー30付勢方向は、開放位置と閉じ位置との間の切換位置で切り換わる。すなわち、カバー30は、開放位置から切換位置までは、開放位置に向けて付勢され、切換位置から閉じ位置までは、閉じ位置に向けて付勢される。これにより、カバー30を、開放位置から閉じ位置に向けて回動させるとき及び閉じ位置から開放位置に向けて回動させるときに、適度な操作感を与えることができる。また、カバー30は、板バネ35により常時付勢されているため、ガタつくことなく安定して回動する。
【0025】
メモリカード5を取り出す場合には、カバー30を開放位置に回動して、イジェクトボタン21を押圧する。イジェクトボタン21を押圧すると、スライドレバー23のロックが解除され、図6に示すように、メモリカード5は、イジェクトバネ22の付勢によりイジェクトされる。
【0026】
イジェクトされたメモリカード5は、受け面32aに支持され、受け面32a上を移動する。このとき、メモリカード5は、各幅ガイド凸部32b,32cにより、幅方向がガイドされながら移動する。そして、メモリカード5を、受け面32a上で前方に移動させて取り出す。
【0027】
このように、メモリカード5の挿入及びイジェクト時に、ガイド板32の受け面32aでメモリカード5を支持するから、メモリカード5を受け面32aに載せて後方に移動させるだけで、容易にメモリカード5をスロット17aに挿入することができる。
【0028】
また、イジェクトされたメモリカード5は、受け面32aで支持されるから、メモリカード5を、受け面32a上で前方に移動させるだけで、容易にメモリカード5を取り出すことができる。
【0029】
さらに、ガイド板32の各幅ガイド凸部32b,32cにより、メモリカード5の挿入及びイジェクトを幅方向においてガイドするから、より一層容易に、メモリカード5の挿入及び取り出しを行うことができる。
【0030】
また、カバー30を、外装板31とガイド板32とから構成したから、外装板31を、表面の摩擦抵抗が比較的に大きいアルミ等の素材から構成した場合にも、ガイド板32を、外装板31よりも表面の摩擦抵抗が小さい素材から構成することにより、メモリカード5を、受け面32a上で容易に移動させることができる。
【0031】
さらに、1枚の板バネ35により、カバー30を開放位置及び閉じ位置に付勢するから、開放用のバネと閉じ用のバネとの2個のバネを設けるものに比べて、部品点数を減少してコストダウンを図ることができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、メモリレコーダ2に本発明を実施したが、スロットを有し、スロットに挿入されたメモリカードに対してデータの記録及び/または再生を行うものであれば、本発明は実施可能であり、例えば、内部に再生記録ユニットが設けられたディスプレイ装置等に実施してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、イジェクトボタン21の押圧によりメモリカード5をイジェクトするようにしたが、再生位置に位置するメモリカード5自体を一旦後方に押圧することにより、イジェクトするようにしてもよい。
【0034】
さらに、上記実施形態では、カバー30を、外装板31とガイド板32とから構成したが、これらを一体的に形成してもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、板バネ35により、カバー30を開放位置及び閉じ位置に付勢するようにしたが、板バネ35に限らず、コイルバネやトーションバネ等によりカバー30を付勢してもよい。
【0036】
さらに、上記実施形態では、イジェクトバネ22の付勢により、メモリカード5をイジェクトしたが、回転自在に設けたイジェクトレバーの回転により、メモリカード5を押し出してイジェクトしてもよい。この場合には、イジェクトボタン21によりイジェクトレバーの一端を押圧して回転させ、他端でメモリカード5を押し出す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を実施したメモリレコーダの斜視図である。
【図2】カバーを開放した状態のフロントパネルとカード収納ケースとカバーとを示す斜視図である。
【図3】メモリレコーダの内部構造を示す側面断面図である。
【図4】カバーを開放した状態のメモリレコーダの内部構造を示す側面断面図である。
【図5】メモリカードを挿入するときのメモリカードとフロントパネルとカード収納ケースとカバーとを示す斜視図である。
【図6】メモリカードがイジェクされたときのメモリカードとフロントパネルとカード収納ケースとカバーとを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
2 メモリレコーダ(データ再生装置)
3 本体ケース
4 再生記録ユニット
5 メモリカード(カード型記録媒体)
6 ユニット収納ケース
7 フロントパネル
7d 開放位置決め部
7e 閉じ位置決め部
17 カード収納ケース
17a スロット
24 イジェクト機構
26 シャフト
30 カバー
31 外装板
31c 開放当接部
31d 閉じ当接部
32 ガイド板
32a 受け面
32b 左幅ガイド凸部(幅ガイド部)
32c 右幅ガイド凸部(幅ガイド部)
35 板バネ(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に横長のスロットを有し、前記スロットに挿入されたカード型記録媒体からデータの再生を行うとともに、イジェクト操作時には前記スロットからカード型記録媒体が突出するように付勢するイジェクト機構を備えたデータ再生装置において、
前記スロットの下側の水平な軸を中心に回動自在に設けられ、前記スロットを覆う閉じ位置から前記スロットを露出させる開放位置に回動させたときに、前記カード型記録媒体の挿入及びイジェクト時に前記スロットの前方で前記カード型記録媒体の下面を支持する受け面が設けられたカバーを備えたことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
前記カバーは、
外部から視認可能な外装板と、
前記外装板に取り付けられ、前記受け面を有するガイド板と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
前記受け面に、前記カード型記録媒体の挿入及びイジェクトを幅方向においてガイドする幅ガイド部を形成したことを特徴とする請求項1または2記載のデータ再生装置。
【請求項4】
前記カバーが前記開放位置に回動されたときに、前記カバーに当接して前記開放位置に位置決めする開放位置決め部と、
前記カバーが前記閉じ位置に回動されたときに、前記カバーに当接して前記閉じ位置に位置決めする閉じ位置決め部と、
前記カバーが開放位置に回動されたときに、前記カバーを前記開放位置決め部に当接する方向に付勢するとともに、前記カバーが前記閉じ位置に回動されたときに、前記カバーを前記閉じ位置決め部に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載のデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−87281(P2009−87281A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259403(P2007−259403)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】