説明

トイレシートペーパー

【課題】簡易トイレで排便した後、便器に大便の汚れが付かないようにするための便器の汚れを防止するトイレシートペーパーを提供する。
【解決手段】排出穴13が設けられた便器11の凹部下面に敷いて排泄した便と共に排出穴13より排出されるトイレシートペーパー1であって、平面形状が円形に成形されたペーパー本体部1aを有し、このペーパー本体部1aは、その中心部に楕円または長円の開口穴2を有すると共に、この開口穴2からペーパー本体部1aの外周に向かって放射状に切取線3a〜3hが複数本設けられており、この切取線3a〜3hは、切り抜き線部と切り抜きでないつなぎ部分とが交互に設けられたものであって、開口穴2周辺にかかる重量が増加する毎に順次放射状に前記つなぎ部分が切り取られることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易トイレで排便した後、便器に大便の汚れが付かないようにするための便器の汚れを防止するトイレシートペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレは、排便した後に、便器に大便の汚れが付くと、便器に付着した大便の汚れを落とすために掃除用薬品類を便器に散布し専用のブラシで汚れを擦り落とす必要があった。
【0003】
そこで、水に容易に溶ける成形した敷シートペーパーを便器の機能や形状に合わせて折り目部や切れ込み部を加えたトイレの敷シートペーパー(特許文献1)が提案されている。
【0004】
この特許文献1の敷シートペーパーは、トイレで排便前、便器の機能や形状に合わせて折り目部や切れ込み部を加え、大便が落下する位置の中央付近の便器に敷き、排便後、そのまま水洗式の場合は貯留した水で、汲み取り式のトイレでは別途用意した水で洗い流すものである。
【特許文献1】特開2002−95609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、災害が発生した時などの緊急時に設けられる仮設トイレは、非水洗式のトイレが多く、排便した後に、洗い流す水を用意できない場合が多い。かかる場合、水で流すことを前提とした特許文献1の敷シートペーパーでは排便後の便器の汚れを防止することができない虞がある。
【0006】
従って、洗い流すための水を必要とすることなく、排便後の便器の汚れを防止することができるシートペーパーの開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、洗い流すための水を必要とすることなく、排便後の便器の汚れを防止することができるトイレシートペーパーを提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はトイレシートペーパーであり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。
すなわち、本発明のトイレシートペーパーは、排出穴が設けられた便器の凹部下面に敷いて排泄した便と共に前記排出穴より排出されるトイレシートペーパーであって、
平面形状が円形に成形されたペーパー本体部を有し、
このペーパー本体部は、その中心部に楕円または長円の開口穴を有すると共に、この開口穴から前記ペーパー本体部の外周に向かって放射状に切取線が複数本設けられており、
この切取線は、切り抜き線部と切り抜きでないつなぎ部分とが交互に設けられたものであって、前記開口穴周辺にかかる重量が増加する毎に順次放射状に前記つなぎ部分が切り取られることを特徴とする。
【0009】
このトイレシートペーパーは、排便前、トイレシートペーパーの開口穴を便器の排出穴に合わせて敷くことにより、排便の際、開口穴近傍に堆積する大便の重量の増加と共に徐々に切取線のつなぎ部分が順次放射状に切り取られて、便器の排出穴へ向かって大便がト
イレシートペーパーに包み込まれるように流されるため、1回の使用で便器を汚すことがない。従って、この構成によれば、便器が汚れにくくなるためにトイレの掃除の回数も減る。
【0010】
また、本発明のトイレシートペーパーにおいて、前記ペーパー本体部には、前記楕円または長円の長手方向に平面形状が舌状に成形された突出部が延設されていることを特徴とする。このトイレシートペーパーは、ペーパー本体部を便器に敷く際に、舌状の突出部を開口穴側に折り曲げることで、放尿が当たる部分が2枚重ねとなり、小便による尿圧に対しペーパー本体部の抵抗力を補強することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗い流すための水を必要とすることなく、排便後の便器の汚れを防止することができるトイレシートペーパーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態にかかるトイレシートペーパーは、排出穴が設けられた便器の凹部下面に敷いて排泄した便と共に前記排出穴より排出されるトイレシートペーパーの場合で説明する。
【0013】
[トイレシートペーパー1の構成]
このトイレシートペーパー1は、図1に示すように、平面形状が円形に成形されたペーパー本体部1aと、ペーパー本体部1aに延設された平面形状が舌状に成形された突出部1bと、突出部1bと180°反対側のペーパー本体部1aに延設された平面形状が矩形状の凸部1cと、を備えている。
【0014】
ペーパー本体部1aは、その中心部に楕円(または長円)の開口穴2を有すると共に、この開口穴2から所定の距離だけ切取線3a〜3hが複数(この実施の形態では6本)設けられている。
【0015】
6本の切取線3a〜3hは、開口穴2より放射状に設けられている。また、切取線3a〜3hは、図2に示す切取線3aで説明すると、切り抜き線部イと切り抜きでないつなぎ部分ロとが交互に配置したものである。より詳しく切取線3aを説明すると、切取線3aの全長が24mmであるとすると、中心の開口穴2より4mmの切り抜き線部イと2mmのつなぎ部分ロとが交互に設けられている。なお、切取線3a〜3hのつなぎ部分ロは、開口穴2周辺にかかる大便の重量が増加する毎に順次放射状に切り取られるように構成されている。
【0016】
また、突出部1bは、ペーパー本体部1aの楕円の開口穴2の長手方向に平面形状が舌状に突出して成形されている。なお、突出部1bは、ペーパー本体部1aを便器に敷く際に、舌先を開口穴側に向けて折り曲げ2枚重ねにして使用する。
【0017】
更に、矩形状の凸部1cは、ペーパー本体部1aを便器に敷く際に、トイレシートペーパー1の位置を決めるための目印として使用する。
【0018】
トイレシートペーパー1の素材は、ざら紙であり、例えばLシートを打ち抜き加工したものを使用する。その厚さは0.033mm程度(0.030mm〜0.045mmの範囲内)であり、20g/m2のものを使用する。
【0019】
[トイレシートペーパー1の使用方法の説明]
次に、トイレシートペーパー1の使用方法を図3および図4に示す仮設用洋式トイレの
場合で説明する。
仮設用洋式トイレ10は、図1に示すように、凹状の便器11と便器11の凹部を開閉自在とする蓋12とを有する。この仮設用洋式トイレ10は、図2に示すように、床部材13上に設置され、床部材13の下部には便槽15が設けられている。そして、便器11の凹部には排出穴13が設けられ、この排出穴13を介して便器11の凹部と便槽15とがつながっている。
【0020】
トイレシートペーパー1は、排便前、トイレシートペーパー1の開口穴2を便器11の排出穴13に合わせて敷いて使用する。なお、トイレシートペーパー1を敷く際には、矩形状の凸部1cを蓋12側に向けて位置決めすると共に、舌状の突出部1bを開口穴2側に折り曲げて2枚重ねにする。
【0021】
そして、トイレシートペーパー1は、排便の際、開口穴2周辺に代弁が堆積すると、切取線3a〜3hのつなぎ部分ロが、大便の重量が増加する毎に順次放射状に切り取られ、便器11の排出穴13へ向かって大便がトイレシートペーパー1に包み込まれるように沈み込んで流される。従って、1回の使用で便器を汚すことがほとんどなくなり、トイレの掃除の回数を減らすことができる。
【0022】
また、舌状の突出部1bを開口穴2側に折り曲げて2枚重ねにすることで、小便による尿圧に対しペーパー本体部1aの抵抗力を補強することができ、放尿時にトイレシートペーパー1を敷いた位置がずれたり、トイレシートペーパー1が破れたりしないように防止できる。
【0023】
[和式トイレにおけるトイレシートペーパー1の使用方法の説明]
次に、和式トイレにおけるトイレシートペーパー1の使用方法を図5に基づき説明する。
仮設用和式トイレ20は、図5に示すように、長円形の便器21と便器21の長手方向一端に設けられた金隠し22とを有する。この仮設用和式トイレ20は、仮設用洋式トイレ10と同様に、床部材上に設置され、床部材の下部には便槽が設けられている。そして、便器21の凹部には排出穴23が設けられ、この排出穴23を介して便器21の凹部と便槽とがつながっている。
【0024】
トイレシートペーパー1は、排便前、トイレシートペーパー1の開口穴2を便器21の排出穴23に合わせて敷いて使用する。また、トイレシートペーパー1を敷く際には、矩形状の凸部1cを金隠し22側の180度反対側に向けて位置決めすると共に、舌状の突出部1bを開口穴2側に折り曲げて2枚重ねにする。なお、和式トイレにおけるトイレシートペーパー1の作用効果は、洋式トイレの場合と同様なので省略する。
【0025】
なお、この実施の形態では、ペーパー本体部1aに設けられる切取線3a〜3hを6本とし、その切取線3a〜3hも全長が24mm、中心の開口穴2より4mmの切り抜き線部イと2mmのつなぎ部分ロとが交互に設けられている場合で説明したが、本発明はこれらの数値に限定されるものではなく、開口穴2周辺にかかる大便の重量が増加する毎に切取線3a〜3hのつなぎ部分ロが順次放射状に切り取られるように構成されているものは本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のトイレシートペーパーの平面外形図である。
【図2】トイレシートペーパーの切取線の一部拡大図である。
【図3】仮設洋式トイレにおけるトイレシートペーパーの使用例の説明図である。
【図4】図3のA−A断面図を示す。
【図5】仮設和式トイレにおけるトイレシートペーパーの使用例の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 トイレシートペーパー
1a ペーパー本体部
1b 突出部
1c 凸部
2 開口穴
3a〜3h 切取線
10 仮設洋式トイレ
11 便器
12 蓋
13 排出穴
14 床部材
15 便槽
20 仮設和式トイレ
21 便器
22 金隠し
23 排出穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出穴が設けられた便器の凹部下面に敷いて排泄した便と共に前記排出穴より排出されるトイレシートペーパーであって、
平面形状が円形に成形されたペーパー本体部を有し、
このペーパー本体部は、その中心部に楕円または長円の開口穴を有すると共に、この開口穴から前記ペーパー本体部の外周に向かって放射状に切取線が複数本設けられており、
この切取線は、切り抜き線部と切り抜きでないつなぎ部分とが交互に設けられたものであって、前記開口穴周辺にかかる重量が増加する毎に順次放射状に前記つなぎ部分が切り取られることを特徴とするトイレシートペーパー。
【請求項2】
前記ペーパー本体部には、前記楕円または長円の長手方向に平面形状が舌状に成形された突出部が延設されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレシートペーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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