説明

ドライルーム用給排気システム

【課題】よりいっそうの運転コストを削減したドライルーム用給排気システムを提供する。
【解決手段】ドライルーム1,2に給気する空気を除湿し、ドライルーム1,2に給気ダクト3を介して接続されている除湿手段10と、ドライルーム1,2外へ排気された空気中の揮発性有機化合物を除去し、製造装置1a,2aに排気ダクト4を介して接続されている揮発性有機化合物除去手段11と、を備え、ドライルーム1,2には少なくとも2つの製造装置1a,2aが設けられているとともに、除湿手段10、揮発性有機化合物除去手段11及び2つの製造装置1a,2aがダクトを介して相互に接続され、2つの製造装置1a,2aのうちの一方の製造装置から少なくとも他方の製造装置に前記ダクトを介して給気が行われることを特徴とする、ドライルーム用給排気システム100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライルーム用給排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパソコン、船舶、鉄道、自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池は、製品の性能劣化の原因となる非水電解液中への水分の混合を避けるため、通常はドライルーム内に設けられている製造装置内で製造される。このようなドライルームにおいては、例えば除湿機等によって外気等の空気中の水分を除去し、水分の除去された空気がドライルームに給気されている。従って、ドライルーム内の湿度は極めて低くなっている。そして、リチウムイオン二次電池の製造中に主に非水電解液や有機溶媒から揮発する揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)は製造装置内から回収され、燃焼処理等によって大気への漏出防止が図られている。
【0003】
このようなドライルームに関する技術として、例えば特許文献1には、除湿剤を除湿部と再生部に交互に移動させながら、前記除湿部にエアを通過させて該エアを前記除湿剤で除湿して室内に送風するとともに、前記再生部に加熱エアを通過させて前記除湿剤を再生する除湿機を備えたドライルーム設備において、前記室内の内部負荷に応じて、前記除湿部に送風するエアの送風量、及び/又は前記再生部に送風される加熱エアの熱量を制御する制御手段を設けたドライルーム設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−157811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の技術においては、ドライルームの在室人員数に応じて除湿能力を制御し運転コストの削減を図っている。しかしながら、ドライルーム内に設置された製造装置からの排気はドライルーム内を介してそのままドライルーム外に排出されており、ドライルーム用の給排気設備の運転コストの削減が不十分であるという課題がある。
【0006】
本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、よりいっそうの運転コストを削減したドライルーム用給排気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ドライルームに設けられている製造装置内の排気を再利用することで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、よりいっそうの運転コストを削減したドライルーム用給排気システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。
【図2】第1実施形態に係るドライルーム用給排気設備の運転時のフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係るドライルーム用給排気設備についての変更例を模式的に示す図である。
【図4】第1実施形態に係るドライルーム用給排気設備についての変更例の運転時のフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。
【図6】第2実施形態に係るドライルーム用給排気設備の運転時のフローチャートである。
【図7】第3実施形態に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。
【図8】第3実施形態に係るドライルーム用給排気設備の運転時のフローチャートである。
【図9】除湿機及びVOC除去装置の構成についての具体例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を、適宜図面を参照しながら具体例を挙げて説明する。ただし、本発明は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。
【0011】
本実施形態においては、一具体例として、ドライルームに設けられている製造装置内で、ラミネート型(積層型)のリチウムイオン二次電池を製造する各工程が行われているものとして説明する。具体的には、製造装置1a(後記する。)内では封止前のリチウムイオン二次電池内に非水電解液を注液する「注液工程」が、また、製造装置2a(後記する。)内では組立後のリチウムイオン二次電池を封止する前に、電池内部から発生する揮発性有機化合物(以下、適宜「VOC」と言う。)等の発生ガスの除去を行う「ガス抜き工程」が行われているものとする。なお、これらの工程において用いられる各部材は、図示の簡略化のために図示していない。
【0012】
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1は、第1実施形態に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。即ち、第1実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、図1に示すドライルーム用給排気設備100を用いたシステムである。
【0013】
図1に示すドライルーム用給排気設備100は、2つのドライルーム1,2に対して設置されている。そして、2つのドライルーム1,2には、それぞれ製造装置1a,2aが設けられている。即ち、第1実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、製造装置1a,2aを備えるドライルーム1,2に除湿された空気を給気し、当該給気された空気を製造装置1a,2aを通じてドライルーム1,2外へ排気するものである。
【0014】
2つのドライルーム1,2には、除湿手段としての除湿機10が、ダクトとしての給気ダクト3を介して接続されている。なお、図1において、符号3を付した太実線矢印は給気ダクト内を流通する空気の向きを表しているが、それとともに、図示の簡略化のために当該太実線矢印が給気ダクト自身をも表すものとする。この点については、後記するいずれもダクトとしての排気ダクト4、給排気ダクト5及び循環ダクト16についても同様とする。
【0015】
つまり、除湿機10により除湿された空気は、給気ダクト3の途中に設けられている図示しないHEPAフィルタ、給気ファン等を介して、ドライルーム1,2に給気されるようになっている。このような除湿機10の具体的な構成は特に制限されるものではなく、公知の任意の除湿機を用いることができるが、除湿機10の構成の具体例として、図9を参照しながら[4.変更例等]において後記する。また、ドライルーム1に給気された空気の一部は、図示しないダクトを流通して除湿機10に戻るようになっている場合もあり、この戻る空気の有無は何れかに制限されるものではない。
【0016】
ドライルーム1,2にそれぞれ設けられている製造装置1a,2aには、それぞれ排気ダクト4を介して、揮発性有機化合物除去手段としてのVOC除去装置11が接続されている。従って、ドライルーム1,2に供給された空気は製造装置1a,2aに取り込まれた後、製造装置1a,2a内でVOCと混合される。そして、製造装置1a,2a内のVOCを含む空気は、風量制御装置8、排気ファン(図示しない。)等を介して、VOC除去装置11に供給されるようになっている。そして、VOC除去装置11に供給されたVOCを含む空気中からVOCが除去され、清浄な空気(清浄空気)として外部へ排出されるようになっている。このようなVOC除去装置11の具体的な構成は特に制限されるものではなく、公知の任意のVOC除去装置を用いることができるが、VOC除去装置の構成の具体例として、図9を参照しながら[4.変更例等]において後記する。
【0017】
前記のように、製造装置1aとVOC除去装置11とを接続する排気ダクトの途中には、センサ7(後記する。)の検出結果に応じて、排気ダクト4を流通する空気の量を変化させることができる風量制御装置8が設けられている。さらに、製造装置2aとVOC処理装置11との途中には、製造装置2aからの排気風量を変化させることができる風量制御装置9が設けられている。なお、ドライルーム用給排気設備100においては、風量制御装置9によって流量が一定量に保持されて運転されるようになっている。ただし、風量制御装置8,9は弁やダンパ等が適用可能であり、特定のものに限定されない。
【0018】
2つの製造装置1a,2aは、給排気ダクト5を介して接続されている。そして、給排気ダクト5の途中には、センサ7(後記する。)の検出結果に応じて回転速度が変化する、給気手段及び空気流量制御手段としてのインバータ制御される給気ファン6が設けられている。このように、ドライルーム用給排気設備100においては、製造装置1aから製造装置2aへ空気が給気されるようになっている。
【0019】
インバータ制御される給気ファン6の具体的な構成は特に制限されず、公知の任意のインバータ制御可能な給気ファンを用いればよい。給気ファン6としてインバータ制御されるものを用いることにより、給気風量が少ない時に給気ファンの回転速度を減少させることができるため、運転コストの更なる削減を図ることができる。また、例えばダンパを用いた制御の場合と比べて、ダンパの設置コスト及び給気ファンの運転電力を削減することもできる。
【0020】
また、ドライルーム用給排気設備100は、製造装置1a内で作業される作業対象物の数量(非水電解液が注液されるセパレータの数)を計測するセンサ7を備えている。より具体的には、センサ7に接続され、製造装置1a内に設けられている計測手段7aが製造装置1a内の作業対象物の数量を計測するようになっている。そして、このセンサ7により、計測された作業対象物の数量に応じて、製造装置1aから製造装置2aへ給気される空気の量、並びに、製造装置1aからVOC除去装置11に供給される空気の量が制御されるようになっている(詳細は[1−2.作用]において後記する。)。
【0021】
ただし、センサ7は、作業対象物の数量を計測できれば、必ずしも計測手段7aを製造装置1a内に設ける必要はない。つまり、例えば図示しない演算処理手段(例えばCPU(Central Processing Unit)等)によって、製造装置1a内に存在する作業対象物の数量を所定量に制御することで、演算処理手段は製造装置1a内に存在する作業対象物の数量を把握することができる。このような場合には計側部7aは不要になるものの、制御された数量に応じて風量制御装置8及び給気ファン6を制御することができ、さらには計測手段7aの設置コスト及び設置スペースを削減することができる。
【0022】
[1−2.作用]
次に、ドライルーム用給排気設備100を利用して行われる第1実施形態に係るドライルーム用給排気システムについて、図2を参照しながら説明する。図2は、ドライルーム用給排気設備100の運転時のフローチャートである。
【0023】
なお、説明の便宜上、図2に示すフローチャートの実行開始時(図2に示す「START」時)には、給気ファン6は所定の速度で定常的に運転しており、製造装置1aから製造装置2aに給気ファン6を介して所定の風量で給気が行われているものする。
そして、この状態で、製造装置1a,2a内で各工程が行なわれ始めると、センサ7により製造装置1a内に存在する作業対象物の数量が計測される(ステップS101)。
【0024】
計測された数量が予め設定された所定量以上である場合(ステップS101のYes方向)、図示しない演算処理手段が製造装置1a内の作業対象物等から揮発するVOCの量が多いため、製造装置1a内のVOC濃度が高濃度であると判断する。そして、演算処理手段が、ファン6の回転速度を減少させるとともに、風量制御装置8を流通する空気量を増加させるように(即ち風量制御装置8を開けるように)風量制御装置8の開度を制御する(ステップS102)。その結果、製造装置1aから製造装置2aに給気される再利用風量が減少し、VOC除去装置11に供給される風量が増加することになる(ステップS103)。
【0025】
なお、図2においては図示していないが、風量制御装置9は製造装置2aからの排気風量が一定となるように、即ちドライルーム2内の圧力が略一定となるように制御されている。従って、例えば製造装置1aから製造装置2aへの再利用風量が多くなった場合には、製造装置2aがドライルーム2から吸い込む空気の風量が少なくなる。
【0026】
一方、ステップS101において計測された作業対象物の数量が前記所定量未満である場合(ステップS101のNo方向)、演算処理手段が製造装置1a内のセパレータから揮発するVOCの量が少量であると判断し、製造装置1a内のVOC濃度が許容濃度以下であると判断する。つまり、製造装置1a内の空気中のVOC濃度が低いため、そのまま製造装置2a内で再利用可能であると判断する。そして、演算処理手段が、ファン6の回転速度を増加させるとともに、風量制御装置8を流通する空気量を減少させるように(即ち風量制御装置8を閉じるように)風量制御装置8の開度を制御する(ステップS104)。その結果、製造装置1aから製造装置2aに給気される再利用風量が増加し、VOC除去装置11に供給される風量が減少することになる(ステップS105)。
【0027】
なお、製造装置1a内の空気を再利用するか否かの閾値となる「作業対象物についての所定量」とは、主にリチウムイオン二次電池を構成する非水電解液や製造中に用いられる有機溶媒(以下、これらをまとめて適宜「非水電解液等」と言う。)に含まれるVOCの種類に応じて決定される値である。つまり、例えばより揮発し易いVOCを非水電解液等が含む場合、前記の「所定量」は少ない値となるし、より揮発しにくいVOCを非水電解液等が含む場合、前記「所定量」は多い値となる。従って、非水電解液等の成分に応じて、前記の「所定量」を適宜決定すればよい。
【0028】
また、図2に示すフローは所定時間毎に繰り返して行われるようになっている。つまり、作業対象物の数量に応じて、製造装置1aから製造装置2aに供給される空気量が段階的に変化するようになっている。例えば、作業対象物に対して作業を開始した後、時間t経過後に作業対象物の数量が10である場合にはファン6の回転速度を100に、時間2t経過後に作業対象物の数量が50である場合にはファン6の回転速度を20に、時間3t経過後に作業対象物の数量が100である場合にはファン6の回転速度を10に、等とするように制御している(なお、いずれも単位は省略して記載している。)。このように再利用風量を継時的及び段階的に変化させることで、より無駄なく製造装置1a内の空気を再利用することができる。
【0029】
[1−3.効果]
第1実施形態に係るドライルーム用給排気システムは前記の構成及び作用を有するものである。従って、第1実施形態に係るドライルーム用給排気システムによれば、製造装置1aからの排気(ドライエア)を再利用して除湿機10からの給気風量を減らすことができる。その結果、第1実施形態においては、従来方式と比較して運転コストを15%程度抑制することができる。さらには、製造装置1a内の作業対象物の数量に応じて再利用風量を制御するため、簡便な方法及び簡易な設備でドライルーム用給排気システムを構築することができる。そのため、製造装置1a,2a内の作業対象物の数量のみを測定すればよいので特別な装置が不要となり、ドライルーム用給排気設備100の設置コストを削減することができる。また、ドライルーム用給排気設備100の運転時にも除湿された空気を再利用するため、除湿コスト等の運転コストも削減することができる。しかも、除湿された空気を再利用しても確実にVOCをVOC除去装置11にて除去できるため、環境への負荷が極めて少ないドライルーム用給排気システムとすることができる。
【0030】
[1−4.変更例]
前記第1実施形態においては製造装置1aから製造装置2aへの方向にのみ給気されるように構成したが、所定の条件を満たした場合に、製造装置1aから製造装置2aへの方向、或いは製造装置2aから製造装置1aへの方向の、いずれか変更可能に構成してもよい。このような構成を、図3及び図4を参照しながら、第1実施形態の変更例に係るドライルーム用給排気システムとして説明する。
【0031】
図3は、第1実施形態の変更例に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。即ち、第1実施形態の変更例に係るドライルーム用給排気システムは、図3に示すドライルーム用給排気設備200を用いたシステムである。なお、図3において図1と同じ符号を付す部材は図1に示す部材と同じものを表すものとし、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図3に示すドライルーム用給排気設備200は、図1に示す実施形態とは異なり、給排気ダクト5の途中に、給気手段としての給気ファン13a,13b、及び空気流量制御手段としてのモータダンパ14a,14bが並列に設けられている。そして、これらが並列に設けられていることにより、2つの製造装置1a,2a間で行われる給気の方向(即ち給排気ダクト5を流通する空気の流通方向)を任意の方向に制御することができるようになっている。
【0033】
つまり、製造装置1aから製造装置2aへ給気を行う場合には、給気ファン13aを運転するとともに給気ファン13bを停止することで、流通する方向を所望のものとすることができるようになっている。また、モータダンパ14aにより流通する空気量を制御することができるようになっている。一方で、製造装置2aから製造装置1aへ給気を行う場合には、給気ファン13bを運転するとともに給気ファン13aを停止することで、流通する方向を所望のものとすることができるようになっている。また、モータダンパ14bにより流通する空気量を制御することができるようになっている。そして、これらの制御は、後記するセンサ12の測定結果に応じて、図示しない演算処理手段により行われる(詳細は後記する。)。
【0034】
さらに、ドライルーム用給排気設備200はセンサ12を備えている。センサ12の具体的な種類は、製造装置1a,2a内の空気中のVOC濃度を測定する揮発性有機化合物濃度測定手段、又は、製造装置1a,2a内の空気の露点温度を測定する露点温度測定手段のいずれかである。より具体的には、製造装置1a内のVOC濃度若しくは露点温度はセンサ12に接続されている測定手段12aが、また、製造装置2a内のVOC濃度若しくは露点温度はセンサ12に接続されている測定手段12bが、それぞれ測定するようになっている。そして、前記のように、センサ12の測定結果に応じて、演算処理手段が給気ファン13a,13b及びモータダンパ14a,14bを制御するようになっている。即ち、給気ファン13a,13b及びモータダンパ14a,14bが空気流通方向制御手段として機能し、これらによって給排気ダクト5内を流通する空気の流通方向、つまり製造装置1aから製造装置2aに、若しくは製造装置2aから製造装置1aに空気が給気されるように制御される。
【0035】
揮発性有機化合物濃度測定手段の具体的な構成は特に制限されず、固定して測定可能な公知の任意の測定手段を用いればよい。ただし、製造装置1a,2a内の空気に含まれるVOCを検出可能な測定手段が用いられる。
【0036】
また、露点温度測定手段の具体的な構成も特に制限されず、製造装置1a,2a内の空気の露点温度を測定可能なものであれば、公知の任意の測定手段を用いることができる。
【0037】
次に、ドライルーム用給排気設備200を利用して行われるドライルーム用給排気システムについて、図4を参照しながら説明する。図4は、ドライルーム用給排気設備200の運転時のフローチャートである。なお、図4においては、センサ12として揮発性有機化合物濃度測定手段を例に運転時のフローを示している。
【0038】
はじめに、センサ12が製造装置1a,2a内の空気中のVOC濃度を取得する。そして取得されたVOC濃度を演算処理手段が比較し(ステップS201)、VOC濃度が低い製造装置を判断する。その結果、製造装置1a内のVOC濃度の方が低い場合(ステップS201の紙面左方向の矢印)、演算処理手段が製造装置1a内の空気を再利用可能であると判断し、はじめにモータダンパ14bを閉じるとともに給気ファン13bを停止させる(ステップS202)。その後、モータダンパ14aを開け、給気ファン13aを始動させる(ステップS203)。その結果、給排気ダクト5を空気が流通し、当該空気の向きが、製造装置1aから製造装置2aへ向かう方向となる(ステップS204)。
【0039】
一方、ステップS201において、製造装置2a内のVOC濃度の方が低い場合(ステップS201の紙面右方向の矢印)、演算処理手段が製造装置2a内の空気を再利用可能であると判断し、はじめにモータダンパ14aを閉じるとともに給気ファン13aを停止させる(ステップS205)。その後、モータダンパ14bを開け、給気ファン13bを始動させる(ステップS206)。その結果、給排気ダクト5を空気が流通し、当該空気の向きが、製造装置2aから製造装置1aへ向かう方向となる(ステップS207)。
【0040】
なお、図4には示していないが、第1実施形態の変更例に係るドライルーム用給排気システムにおいては、所定の時間毎にセンサ12により測定されたVOC濃度に応じて開いているモータダンパの開度を制御し、他方の製造装置へ給気する空気量を制御している。つまり、[1−2.作用]において記載した方法と同様にVOC濃度に閾値を設定し、当該閾値を超えたか否かで給気する空気量を変化させている。そのため、測定されたVOC濃度に応じて、一方の製造装置から他方の製造装置に給気する空気量より柔軟に変化させることができ、無駄なく空気の再利用を図ることができる。
【0041】
また、センサ12として露点温度測定手段を用いる場合の制御方法は図示していないが、図4に示す方法と同様に制御できる。つまり、測定された露点温度について、製造装置1a内の空気の方が低ければ、ステップS201の紙面左方向矢印の制御が行われ、製造装置2a内の空気の方が低ければ、ステップS201の紙面左方向矢印の制御が行われる。その後は揮発性有機化合物測定手段を用いた場合と同様に制御される。
露点温度測定手段を用いる場合のより詳細な制御方法については、後記する第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムにおいて説明する。
【0042】
以上の第1実施形態の変更例に係るドライルーム用給排気システムによれば、製造装置1a,2a内の空気のVOC濃度若しくは露点温度に応じて給気される方向を変化させるため、より効率良く除湿された空気の再利用化を図ることができる。特にVOC濃度若しくは露点温度に基づいて制御を行うため、空気中のVOC濃度及び水分量を適切に把握することができ、より適切な空気量を用いて空気の再利用化を図ることができる。従って、より無駄なく空気の再利用が行うことができ、よりいっそうの運転コスト削減を図ることができる。
【0043】
[2.第2実施形態]
次に、図5及び図6を参照しながら、第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムを説明する。図5は、第2実施形態に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。即ち、第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、図5に示すドライルーム用給排気設備300を用いたシステムである。なお、図5において図1と同じ符号を付す部材は図1に示す部材と同じものを表すものとし、その詳細な説明を省略する。また、第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、第1実施形態及びその変更例に係るドライルーム用給排気システムと基本的には同様の構成作用効果であるため、主に第1実施形態及びその変更例に係るドライルーム用給排気システムと異なる点について説明する。
【0044】
[2−1.構成]
ドライルーム用給排気設備300においては、除湿機10から供給された製造装置1a内の空気が排気ダクト4を介してVOC除去装置11に供給される。そして、空気中のVOCが除去された後、循環ダクト16を介して製造装置1a,2aに供給されるようになっている。つまり、製造装置1a,2aからの排気が排気ダクト4を介してVOC除去装置11に供給され、VOC除去後の空気の一部が循環ダクト16を介して製造装置1a,2aに給気されるように、除湿機10、VOC除去装置11、ドライルーム1,2及び製造装置1a,2aが各ダクトにより接続されている。
【0045】
また、第2実施形態において、風量制御装置8,9は所定の風量を流通させる風量固定弁として機能している。このように風量制御装置8,9を機能させることで、ドライルーム1,2内の圧力の過度の変化を防止することができる。
【0046】
ドライルーム用給排気設備300は、VOC除去装置11によってVOCが除去された空気の露点温度を検出する露点温度測定手段としてのセンサ15を備えている。具体的には、VOC除去装置11から排出された空気が流通する循環ダクト16の途中に、センサ15に接続された測定手段15aが設けられ、測定手段15aによりVOC除去後の空気の露点温度を測定することができるようになっている。また、測定手段15aと製造装置1a,2aとの間であって循環ダクト16の途中には、センサ15の測定結果に応じて制御され、給気手段及び空気流量制御手段としてのインバータ制御される給気ファン17が設けられている。つまり、センサ15により測定された露点温度に応じて給気ファン17の回転速度を制御することで、製造装置1a,2aに給気する空気量を制御するようになっている(詳細は[2−2.作用]において後記する。)。
【0047】
[2−2.作用]
次に、ドライルーム用給排気設備300を利用して行われる第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムについて、図6を参照しながら説明する。図6は、ドライルーム用給排気設備300の運転時のフローチャートである。
【0048】
はじめに、センサ15が、VOC除去装置11によりVOCが除去された後の空気の露点温度を測定する。そして、演算処理手段が測定された露点温度を取得し、所定の露点温度以上であるか否かを判断する(ステップS301)。判断の結果、空気の露点温度が所定値以上である場合(ステップS301のYes方向)、演算処理手段はVOC処理装置11から排出された空気中の水分が所定量以上であると判断し、測定された露点温度に応じて給気ファン17の回転速度を減少させる(ステップS302)。その結果、再利用される風量は減少することになる(ステップS303)。
【0049】
一方、前記判断の結果、空気の露点温度が所定値未満である場合(ステップS301のNo方向)、演算処理手段はVOC処理装置11から排出された空気中の水分が所定量未満であると判断し、測定された露点温度に応じて給気ファン17の回転速度を増加させる(ステップS304)。その結果、再利用される風量は増加することになる(ステップS305)。
【0050】
ここで、「露点温度に応じて再利用風量を変化させる」ことについて説明する。例えば、空気の露点温度が高い場合、当該空気に含まれる水分量が多いことを表している。つまり、露点温度と含まれる水分量とは相関関係にあり、露点温度が決定されれば含まれる水分量が通常は決定される。
なお、前記第1実施形態の変更例及び第2実施形態の各構成においては空気の露点温度を計測する「露点温度計測手段」を用いているが、空気中の水分量が決定できる限り他の指標を用いてもよく、例えば空気中の湿度を測定する「湿度測定手段」(例えば湿度計等)を用いてもよい。
【0051】
第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムが適用されるドライルーム1,2に給気される空気は、含まれる水分量が可能な限り少ないほうが好ましい。しかしながら、除湿機10によって水分が除去(除湿)された空気を常に使用し続けると、ドライルーム用給排気システムの運転コストが増大することがある。従って、既に除湿された再利用風(即ち循環ダクト16を流通する空気)を可能な限り用いて、除湿機10にて除湿される空気量を減らすことで運転能力を低下させることができ、除湿コスト等の運転コストを抑制することができる。
【0052】
ただし、製造装置1a,2a内での作業によっては、製造装置1a,2aからの排気に含まれる水分量が多いものとなる可能性がある。そこで、ドライルーム1,2(より具体的には製造装置1a,2a)内での作業に応じて決定される、空気中に含まれる水分の許容量を勘案する。そして、除湿機10からの除湿された空気と、幾らかの水分を含みうる再利用風と、を混合した場合に、混合風中の水分量が当該許容量以下となるように、再利用風量を制御すればよい。つまり、再利用風の露点温度に応じて、給気ファン17の回転速度を制御して、再利用風量を変化させることになる。
【0053】
[2−3.効果]
第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムは前記の構成及び作用を有するものである。従って、第2実施形態に係るドライルーム用給排気システムによれば、VOCが除去された空気を再利用するため、製造装置1a,2a内へのVOCの再度の取り込みを行うことがない。そのため、製造装置1a,2a及びドライルーム1,2内のVOC濃度が過度に上昇することがない。さらには、VOC除去装置11から排気された空気中の水分量に応じて除湿された空気を再利用するため、除湿コストを抑制しつつも製造装置1a,2a内を常に適正な湿度に保つことができる。即ち、作業者にとっても影響のありうるVOCを確実にドライルーム1,2外に排出しつつも、VOC除去装置11から排気された空気を再利用するため、除湿機10から供給される除湿された空気量を減らすことができる。その結果、第2実施形態においては、従来方式と比較して運転コストを15%程度を抑制することができる。
【0054】
[3.第3実施形態]
次に、図7及び図8を参照しながら、第3実施形態に係るドライルーム用給排気システムを説明する。図7は、第3実施形態に係るドライルーム用給排気設備を模式的に示す図である。即ち、第3実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、図7に示すドライルーム用給排気設備400を用いたシステムである。なお、図7において図5と同じ符号を付す部材は図5に示す部材と同じものを表すものとし、その詳細な説明を省略する。また、第3実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、前記実施形態に係るドライルーム用給排気システムと基本的には同様の構成作用効果であるため、主に前記実施形態に係るドライルーム用給排気システムと異なる点について説明する。
【0055】
[3−1.構成]
ドライルーム用給排気設備400は、製造装置1a,2a内で作業される作業対象物の数量に応じて、製造装置1a,2aに給気される空気量を変化させるようになっている。具体的には、ドライルーム用給排気設備300における循環ダクト16の途中に、インバータ制御される給気ファン17(図5参照)の代わりに、給気手段としての通常の給気ファン20が設けられている。また、循環ダクト16の分岐箇所と製造装置1a,2aとの間には、センサ18(後記する。)の検出結果に応じて制御される、空気流量制御手段としての風量制御装置19a,19bが設けられている。
【0056】
また、第3実施形態において、風量制御装置8,9は所定の風量を流通させる風量固定弁として機能している。このように風量制御装置8,9を機能させることで、ドライルーム1,2内の圧力の過度の変化を防止することができる。
【0057】
センサ18は、第1実施形態において説明したセンサ7(図1参照)と同様のものである。即ち、センサ18(具体的には、センサ18に接続されている測定手段18a,18b)は、製造装置内で作業される作業対象物の数量を計測するものであり、第3実施形態においては製造装置1a,2aのそれぞれについて数量を計測するようになっている。そして、第1実施形態において説明した方法(図2参照)と同様の方法により、センサ18の計測結果に応じて風量制御装置19a,19bを制御し、製造装置1a,2aに給気する再利用風量を制御するようになっている(詳細は[3−2.作用]において後記する。)。
【0058】
[3−2.作用]
次に、ドライルーム用給排気設備400を利用して行われる第3実施形態に係るドライルーム用給排気システムについて、図8を参照しながら説明する。図8は、ドライルーム用給排気設備400の運転時のフローチャートである。
【0059】
はじめに、センサ18により、製造装置1a,2a内に存在する作業対象物の数量の和を計測する(ステップS401)。そして、計測された数量が予め設定された所定量以上である場合(ステップS401のYes方向)、図示しない演算処理手段がVOC除去装置11から排出された空気中の水分量が多いものであると判断する。そして、第2実施形態において説明したように、再利用風に含まれる水分量はできるだけ少ないほうが好ましいことから、演算処理手段が、風量制御装置19a,19bの開度を絞るように制御する(ステップS402)。その結果、製造装置1a,2aに給気される再利用風量が減少することになる(ステップS403)。
【0060】
ここで、前記の「作業対象物についての所定量」について説明する。リチウムイオン二次電池の製造中に空気中に蒸発する水分が、仮にリチウムイオン二次電池1個分の水分であれば無視できる程度の量であっても、作業対象物が多量になれば含まれうる水分も大量になることがある。そのため、作業対象物の量によっては、蒸発した水分量がリチウムイオン二次電池の製造に際して無視できない量になる可能性がある。従って、作業対象物の数量が多い場合には再利用風量を減少させ、少ない場合には増加させるようにしている。なお、閾値となる作業対象物の数量と再利用風量との相関関係は、適宜実験や試運転等によって決定すればよい。
【0061】
一方、ステップS401において計測された作業対象物の数量の和が前記所定量未満である場合(ステップS401のNo方向)、演算処理手段がVOC除去装置11から排出された空気中の水分量が許容濃度以下であると判断する。つまり、排出された前記空気中の水分量が少ないため、当該空気は再利用に好適であると判断する。そして、演算処理手段が、風量制御装置19a,19bの開度を開けるように制御する(ステップS404)。その結果、製造装置1a,2aに給気される再利用風量が増加することになる(ステップS405)。
【0062】
[3−3.効果]
第3実施形態に係るドライルーム用給排気システムは前記の構成及び作用を有するものである。従って、第3実施形態に係るドライルーム用給排気システムによれば、VOCが除去された空気を再利用するため、製造装置1a,2a内へのVOCの再度の取り込みを行うことがない。そのため、製造装置1a,2a及びドライルーム1,2内のVOC濃度が過度に上昇することがない。さらには、VOC除去装置11から排気された空気中の水分量に応じて除湿された空気を利用するため、製造装置1a,2a内を常に適正な湿度に保つことができる。即ち、作業者にとって影響のありうるVOCを確実にドライルーム1,2外に排出しつつも、除湿コスト等の運転コストをよりいっそう削減することができる。また、製造装置1a,2a内の作業対象物の数量のみを測定すればよいので特別な装置が不要となるため、設備の設置コストを削減することもできる。
【0063】
[4.変更例等]
以上、本実施形態に係るドライルーム用給排気システムを具体的な実施形態を挙げて具体的に説明したが、本実施形態に係るドライルーム用給排気システムは前記の実施形態になんら限定されるものではない。即ち、本実施形態に係るドライルーム用給排気システムは、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。
【0064】
例えば、前記の各実施形態においては、2つのドライルームを例に挙げ、それぞれのドライルーム内に1つずつ製造装置が設けられるようにしているが、例えば1つのドライルーム内に2つの製造装置を設け、2つの製造装置が設けられている1つのドライルームについて本実施形態に係るドライルーム用給排気システムを適用してもよい。また、設ける製造装置の数は前記の例では2つとしているが、3つ以上設けてもよい。具体的には、例えば3つの製造装置(第1の製造装置、第2の製造装置、及び第3の製造装置)が設けられている場合、第1の製造装置から第2の製造装置及び第3の製造装置にそれぞれ給気されるようにしてもよいし、第1の製造装置と第2の製造装置とからの合流風が第3の製造装置に給気されるようにしてもよい。さらに、1つのドライルーム内を間仕切りして複数の小部屋からなるドライルームとし、これら複数のドライルーム内にそれぞれ製造装置を設けるようにしてもよい。
【0065】
また、前記の各実施形態においては、製造装置1a内でラミネート型リチウムイオン二次電池の製造工程における注液工程を、製造装置2a内では同製造工程におけるガス抜き工程を行っているが、製造装置1a,2a内で行われる工程はこれらの工程に限られるものではない。また、製造装置1a,2a内で製造されるものは円筒型リチウムイオン二次電池であってもよく、リチウムイオン二次電池以外であってもよい。
【0066】
また、例えば前記の各実施形態に用いられている各種センサで計測若しくは測定された値を、図示しない記録手段(例えばハードディスクドライブ等)に記録し、記録された値の変化をモニタリングしながら再利用風量の制御を行ってもよい。
【0067】
また、例えば、前記の各実施形態において、風量を制御する手段として、インバータ制御される給気ファン又は通常の給気ファン及びモータダンパを用いているが、風量制御手段としてはこれらに限られない。例えば、第1実施形態においてはインバータ制御される給気ファンを用いているが、これに代えて、通常のファン及びモータダンパを用いてもよい。つまり、前記の各実施形態にて記載した構成が好適であるものの、ドライルーム用給排気システムの運用形態によっては風量調節に頻度の差が生じることがある。従って、例えば風量調節が頻繁に行われるのであれば、モータダンパ駆動電力を削減できるという観点からインバータ制御される給気ファンに、一方で、風量調節があまり頻繁に行われないのであれば、設置コストが安価であるという観点から通常の給気ファン及びモータダンパに適宜置換して実施可能である。
【0068】
また、例えば、第1実施形態における風量制御装置9、第1実施形態の変更例における風量制御装置9、第2実施形態における風量制御装置8,9、並びに第3実施形態における風量制御装置8,9は、風量可変な弁(Variable Air Volume;VAV)を用いているものの風量を固定してシステムを運転している。従って、必要に応じて、これらの弁を流通する風量が一定である弁(Constant Air Volume;CAV)を用いてもよい。
【0069】
さらに、前記のように除湿機10及びVOC除去装置11の具体的な構成は任意であるが、例えば、図9に示す除湿機及びVOC除去装置を用いることができる。図9(a)は除湿機10の構成についての具体例を模式的に示す図、(b)はVOC除去装置11の構成についての具体例を模式的に示す図である。なお、図示及び説明の簡略化のために、いずれの図においても、各種濃度や流量等を測定する各種センサ、弁、HEPAフィルタ等は図示していない。また、図中の矢印は各部材を接続するダクトを示すとともに、流通する空気の方向を示している。
【符号の説明】
【0070】
1 ドライルーム
2 ドライルーム
1a 製造装置
2a 製造装置
3 給気ダクト(ダクト)
4 排気ダクト(ダクト)
5 給排気ダクト(ダクト)
6 給気ファン(給気手段及び空気流量制御手段)
7 センサ
10 除湿機(除湿手段)
11 VOC除去装置(有機化合物除去手段)
12 センサ(揮発性有機化合物濃度測定手段若しくは露点温度測定手段)
13a 給気ファン(給気手段及び空気流通方向制御手段)
13b 給気ファン(給気手段及び空気流通方向制御手段)
14a モータダンパ(空気流量制御手段及び空気流通方向制御手段)
14b モータダンパ(空気流量制御手段及び空気流通方向制御手段)
15 センサ
16 循環ダクト(ダクト)
17 給気ファン(給気手段及び空気流量制御手段)
18 センサ
20 給気ファン(給気手段)
100 ドライルーム用空調設備
200 ドライルーム用空調設備
300 ドライルーム用空調設備
400 ドライルーム用空調設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置を備えるドライルームに除湿された空気を給気し、前記製造装置を通じて前記ドライルーム外へ前記空気を排気するドライルーム用給排気システムであって、
前記ドライルームに給気する空気を除湿し、該除湿された空気をドライルームに供給する除湿手段と、
前記ドライルーム外へ排気された空気中の揮発性有機化合物を除去する揮発性有機化合物除去手段と、
前記製造装置に給気を行う給気手段と、
を備え、
前記ドライルームには少なくとも2つの製造装置が設けられているとともに、前記除湿手段、前記揮発性有機化合物除去手段、前記ドライルーム及び前記2つの製造装置がダクトを介して相互に接続され、前記2つの製造装置のうちの一方の製造装置から少なくとも他方の製造装置に、前記ダクトを介して前記給気手段により給気が行われる
ことを特徴とする、ドライルーム用給排気システム。
【請求項2】
前記2つの製造装置を相互に接続する、前記ダクトとしての給排気ダクトと、
該給排気ダクトを流通する空気量を制御する空気流量制御手段と、
を備え、
前記一方の製造装置内で作業される作業対象物の数量に応じて、前記一方の製造装置から前記他方の製造装置に給気される空気量が前記空気流量制御手段によって制御される
ことを特徴とする、請求項1に記載のドライルーム用給排気システム。
【請求項3】
前記2つの製造装置内の揮発性有機化合物濃度を測定する揮発性有機化合物濃度測定手段、若しくは、前記2つの製造装置内の空気の露点温度を測定する露点温度測定手段と、
前記2つの製造装置を接続する、前記ダクトとしての給排気ダクトと、
該給排気ダクトを流通する空気の流通方向を制御する空気流通方向制御手段と、
を備え、
前記2つの製造装置間において、前記揮発性有機化合物濃度測定手段により測定された揮発性有機化合物濃度の高い製造装置から低い製造装置へ、若しくは、前記露点温度測定手段により測定された露点温度の高い製造装置から低い製造装置へ前記給排気ダクトを介して空気が流通するように、前記空気流通方向制御手段によって前記空気の流通方向が制御される
ことを特徴とする、請求項1に記載のドライルーム用給排気システム。
【請求項4】
前記揮発性有機化合物除去手段からの排気を前記2つの製造装置に給気するように、前記揮発性有機化合物除去手段と前記2つの製造装置とが前記ダクトとしての循環ダクトを介して接続され、
前記揮発性有機化合物除去手段によって前記揮発性有機化合物が除去された後の空気が、前記循環ダクトを介して前記2つの製造装置のうちの少なくとも一方の製造装置に給気される
ことを特徴とする、請求項1に記載のドライルーム用給排気システム。
【請求項5】
前記循環ダクトを流通する空気の露点温度を測定する露点温度測定手段と、
前記循環ダクトを流通する空気量を制御する空気流量制御手段と、
を備え、
該露点温度測定手段によって測定された、前記循環ダクトを流通する空気の露点温度に応じて、前記2つの製造装置のうちの少なくとも一方の製造装置に給気される空気が前記空気流量制御手段によって制御される
ことを特徴とする、請求項4に記載のドライルーム用給排気システム。
【請求項6】
前記循環ダクトを流通する空気量を制御する空気流量制御手段を備え、
前記2つの製造装置内で作業される作業対象物の数量に応じて、前記空気流量制御手段によって前記2つの製造装置に給気される空気量が制御される
ことを特徴とする、請求項4に記載のドライルーム用給排気システム。
【請求項7】
前記製造装置内でリチウムイオン二次電池の製造が行われている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のドライルーム用給排気システム。
【請求項8】
前記リチウムイオン二次電池が、ラミネート型のリチウムイオン二次電池である
ことを特徴とする、請求項7に記載のドライルーム用給排気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−104575(P2013−104575A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246466(P2011−246466)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】