説明

ドラム式洗濯乾燥機

【課題】 冷凍サイクルを用いて乾燥を行なう構成であっても、乾燥性能の向上を図ることができるドラム式洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】 水槽2の背面部に回転ドラムを4を回転駆動するダイレクトドライブモータ(DDモータ)11が設けられ、水槽2の前面部上部(洗濯時最高水位より高い位置)に吸気口19が設けられ、水槽2の背面部下部(上記洗濯時最高水位より低い位置)に排気口20が設けられ、外箱1の底板1aに支持部材12を介してケーシング13が配設され、このケーシング13内に冷凍サイクル14の凝縮器16及び冷却器17が設置され、凝縮器16で加熱された空気を前記吸気口から水槽2内に供給するとともに排気口20から排出された排気を冷却器17で冷却除湿した後に凝縮器16で再び加熱するように循環させる空気循環経路25が設けられ、そして、排気口20側の空気循環経路25の一部をなす環状ダクト23がDDモータ11と同心円状に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを用いて洗濯物の乾燥を行なうドラム式洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドラム式洗濯乾燥機においては、洗濯物の乾燥に圧縮機、凝縮器及び冷却器等を備えた冷凍サイクルを用いた構成のものがある。このドラム式選択乾燥機は、乾燥運転時に、加熱源たる凝縮器で加熱された空気を、水槽の前面部に設けられた給気口からその水槽内に供給した後、水槽内に設けられた回転ドラム内の洗濯物から水分を奪って排気として水槽の背面部に設けられた排気口から排出し、その排気を冷却源たる冷却器にで冷却除湿して再び凝縮器で加熱するように循環させる空気循環経路を備えるように構成されている。
【0003】
この場合、冷凍サイクルの構成要素たる凝縮器及び蒸発器は、重量物であるので、外箱の底板に設置されている。また、洗濯運転時には、水槽内に設定水位まで洗濯水が供給された上で、回転ドラムが回転されて回転ドラム内に投入された洗濯物が撹拌される洗いが行なわれる。このため、水槽の前面部及び背面部の吸気口及び排気口は、洗濯水が冷凍サイクルの凝縮器及び冷却器側に流れ込まないように、水槽の洗濯時最高水位よりも上方に位置するように設けられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−135715号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、水槽の前面部及び背面部の吸気口及び排気口は、水槽の洗濯時最高水位よりも上方に位置するように設けられているので、吸気口から水槽内に供給された空気(温風)は、水槽内の上部を排気口に向って直線的に流れるので、回転ドラム内の洗濯物との接触が充分に行なわれなくなり、乾燥性能が低下する不具合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍サイクルを用いて乾燥を行なう構成であっても、乾燥性能の向上を図ることができるドラム式洗濯乾燥機を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、外箱内に配設され、吸気口及び排気口を有する水槽と、この水槽内に回転可能に配設され、洗濯物を収容する回転ドラムと、前記外箱の底板に設置された圧縮機、加熱源としての凝縮器及び冷却源としての冷却器を有する冷凍サイクルと、前記凝縮器で加熱した空気を前記吸気口から水槽内に供給し、前記排気口から排出された空気を前記冷却器で冷却除湿した後前記凝縮器で再び加熱するように循環させる空気循環経路とを具備してなり、前記吸気口若しくは排気口は、前記水槽の洗濯時最高水位より低い位置に設けられ、その低い位置に設けられた吸気口若しくは排気口側の空気循環経路の一部が前記洗濯時最高水位より高い位置に設けられていることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、洗濯時最高水位より低い位置に設けられた吸気口若しくは排気口側の空気循環経路の一部が前記洗濯時最高水位より高い位置に設けられているので、洗濯時に洗濯水が冷凍サイクルの凝縮器及び冷却器側に流れ込むことを防止できる。そして、吸気口から水槽内に供給された空気(温風)は、従来とは異なり、水槽内の上部を排気口に向って直線的に流れることはないので、回転ドラム内の洗濯物と充分に接触するようになる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、冷凍サイクルを用いてを乾燥行なう構成であっても、乾燥性能の向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施例)
以下、本発明の第1の実施例につき、図1及び図2を参照して説明する。
まず、図1において、外箱1の内部には、水槽2が複数の支持装置3により弾性支持されて水平状態に配設されている。この水槽2の内部には、これと同軸状態で回転ドラム4が回転可能に配設されている。この回転ドラム4は、周側壁及び後壁に通風孔を兼ねる脱水孔4a(一部のみ図示)を多数有していて、洗濯槽、脱水槽及び乾燥槽としても機能する。なお、回転ドラム4の内周面には、複数のバッフル4b(1個のみ図示)が設けられている。
【0009】
上記外箱1、水槽2及び回転ドラム4において、いずれも前面部(図1中、右側部)には、洗濯物出入れ用の開口部5、6及び7をそれぞれ有しており、そして開口部5と開口部6とは、弾性変形可能なベロー8によって水密に連通接続されている。また、外箱1の開口部5には、これを開閉する扉9が設けられている。また、前記回転ドラム4は、背面部に回転軸10を有しており、この回転軸10は、軸受(図示せず)に支持されて、水槽2の背面部の外側に取付けられた駆動モータとしてのダイレクトドライブモータ(以下、DDモータと称する。)11によって回転駆動されるようになっている。
【0010】
外箱1の底板1aには、複数の支持部材12を介してケーシング13が支持されており、そのケーシング13の右端部上部及び左端部上部には、吐出口13a及び吸入口13bがそれぞれ形成されている。また、底板1aには、冷凍サイクル14の圧縮機15が設置されている。更に、ケーシング13内には、冷凍サイクル14の凝縮器16及び冷却器17が右側から左側に向け順に設置されているとともに右端部に位置して送風ファン18が配設されている。なお、ケーシング13における凝縮器16の下方に位置する部位には、皿状の水受け部13cが形成されている。
【0011】
水槽2において、前面部の上部には、吸気口19が形成され、背面部下部には、排気口20が形成されている。吸気口19は、直線状ダクト21及び伸縮自在な連結ダクト22を介してケーシング13の吐出口13a接続されている。また、排気口20は、環状ダクト23及び伸縮自在の連結ダクト24を介してケーシング13の吸入口13bに接続されている。環状ダクト23は、図2に示すように,水槽2の背面部の外側に取付けられており、DDモータ11と同心円状をなすように形成されている。従って、この実施例では、環状ダクト23において、その入口側が排気口20に接続され、出口側が連結ダクト24を介して吸入口13bに接続されている。そして、上記ケーシング13、連結ダクト22、直線状ダクト21、吸気口19、排気口20、環状ダクト23及び連結ダクト14は、空気循環経路25を構成する。
【0012】
外箱1内において、その後方上部には、三方弁からなる給水弁26が配設され、また、前方上部には、洗剤投入器27が配設されている。給水弁26は、その入水口が給水ホースを介して水道の蛇口に接続され、第1の出水口が洗い用給水ホース28を介して洗剤投入器27の上段の入水口に接続され、第2の出水口がすすぎ用給水ホース29を介して洗剤投入器27の下段の入水口に接続されるように構成されている。そして、洗剤投入器27の出水口は、水槽2の上部に形成された給水口2aに給水ホース30を介して接続されている。
【0013】
水槽2の底部の後方の部位には、排水口2bが形成されており、この排水口2bは、排水弁31を介して排水ホース32に接続されている。なお、排水ホース32の一部は伸縮自在になっている。そして、ケーシング13の水受け部13cは、排水ホース33及び逆止弁34を介して排水ホース32の途中部位に接続されている。
外箱1の前面上部には、図1に示すように、操作パネル部35が設けられており、この操作パネル部35には、図示はしないが、表示器及び各種の操作スイッチが設けられている。また、前記操作パネル部35の裏面には、制御手段たる制御装置36が設けられている。この制御装置36は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、操作パネル部35の操作スイッチの操作に基いて給水弁26、DDモータ11及び排水弁31を制御することによる各種の洗濯運転及びその後のDDモータ11及び圧縮機15を制御することによる乾燥運転を実行させるようになっている。
【0014】
次に、本実施例の作用につき説明する。
回転ドラム4内に洗濯物を投入し、操作パネル部35の操作スイッチを操作して制御装置36の動作を開始させると、制御装置36は選択されたコースの洗濯運転を実行する。洗濯運転は、基本的には以下のように行なわれる。まず、給水弁26が動作され、水道の蛇口からの水道水が第1の出水口及び洗い用給水ホース28を介して洗剤投入器27の上段の入水口に供給される。洗剤投入器27に供給された水は、洗剤投入器27の上段に予め投入されている洗剤を溶かしながら出水口、給水ホース30及び給水口2aを経て洗濯水として水槽2内に供給される。洗濯水が水槽2内の設定水位まで供給されると、給水弁26の動作は停止され、代わりにDDモータ11が駆動されて、回転ドラム4を低速度で回転させる。
【0015】
回転ドラム4が回転されると、内部の洗濯物はバッフル4bにより掬上げられた後洗濯水上に落下することを繰り返されて撹拌され、以て、洗いが行なわれる。このような洗いが設定時間行なわれると、DDモータ11の動作が停止され、代わりに、排水弁31が動作されて、水槽2内の洗濯水が排水弁31及び排水ホース32を経て外部に排出される排水が行なわれる。そして、この排水が設定時間行なわれると、排水弁31の動作が停止され、再び給水瓶26が動作される。給水弁26は、今度は、水道の蛇口からの水道水を第2の出水口及びすすぎ用給水ホース29を介して洗剤投入器27の下段の入水口に供給する。洗剤投入器27に供給された水は、そのまま出水口、給水ホース30及び給水口2aを経て洗濯水として水槽2内に供給される。洗濯水が水槽2内の設定水位まで供給されると、給水弁26の動作は停止され、代わりにDDモータ11が駆動されて、回転ドラム4を低速度で回転させる。
【0016】
回転ドラム4が回転されると、洗い時と同様に内部の洗濯物が撹拌され、すすぎが行なわれる。このようなすすぎが設定時間行なわれると、DDモータ11の動作が停止され、代わりに、排水弁31が動作されて排水がおこなわれる。そして、この排水が設定時間行なわれると、DDモータ11が動作されて、回転ドラム4を高速度で回転させる。回転ドラム4を高速度で回転されると、内部の洗濯物は回転ドラム4の内周壁に密着して、回転遠心力により含浸している洗濯水が振り切られ、脱水が行なわれる。このような脱水が設定時間行なわれると、DDモータ11の動作が停止され、次いで、排水弁31の動作が停止されて、脱水が終了する。そして、以上により、洗い、すすぎ及び脱水からなる洗濯運転が終了する。
【0017】
ところで、以上のような洗濯運転の洗い及びすすぎ時には、回転ドラム4が低速度で回転されることにより、内部の洗濯物は、バッフル4aにより掬上げられ、その後、落下して選択水上にたたきつけられるという、いわゆる「たたき洗い」が行なわれる。この場合、水槽2内に供給される洗濯水は、洗濯物の量に応じて複数段階に設定されるようになっているが、前述したように、洗い及びすすぎ時(洗濯時)に「たたき洗い」が行なわれる関係上、最高水位(洗濯時最高水位)に設定されたとしても、この洗濯時最高水位は回転ドラム4の回転中心たる回転軸10の中心、即ち、DDモータ11の回転中心よりも低い位置に設定される。従って、水槽2の前面部の上部に形成された吸気口19は、必然的に上記洗濯時最高水位よりも高い位置に設けられ、水槽2の背面部の下部に形成された排気口20は、必然的に上記洗濯時最高水位よりも低い位置に設けられていることになる。
【0018】
また、上記洗濯時最高水位よりも低い位置に設けられた排気口20側の空気循環経路25の一部たる環状ダクト23は、DDモータ11と同心円状に設けられているので、環状ダクト23の上部は、必然的に前記洗濯時最高水位よりも高い位置に設けられていることになる。以上により、水槽2の排気口20が洗濯時最高水位より低い位置に設けられたとしても、この排水口20から水槽2内の洗濯水がケーシング13内に流れ込むようなことはない。
【0019】
さて、上述した洗濯運転に続く乾燥運転は、制御装置36により次のように行なわれる。まず、DDモータ11が動作されて、回転ドラム4を低速度で回転させる。これにより、回転ドラム4内の洗濯物は洗濯運転時と同様に撹拌される。また、冷凍サイクル14の圧縮機15が運転される。これにより、圧縮機15で圧縮された気体冷媒は凝縮器16により恐縮されて液体冷媒となり、この時に凝縮器16は放熱するようになり、更に、気体冷媒は、冷却器17で蒸発して気体冷媒となり、この時に冷却器17は吸熱するようになり、そして、この気体冷媒は再び圧縮機15で圧縮されるように循環される。更に、送風ファン18が運転される。これにより、図1及び図2に矢印で示すように、加熱源たる凝縮器16で加熱された空気は、ケーシング13の吐出口13a、連結ダクト22、直線状ダクト21及び吸気口19を介して水槽2内に温風として供給される。
【0020】
水槽2内に吸気口19から供給された温風は、水槽2の排気口20に向って対角線上を流れるようになるが、この間に、回転ドラム4の周側壁の脱水孔4aから回転ドラム4内に流入して撹拌されている洗濯物から水分を奪い、更に、後壁の脱水孔4aを経て排気口20から水槽2外に排気として排出される。
そして、送風ファン18の送風作用により、排気口20からの排気は、環状ダクト23内を図2の時計方向に流通し、連結ダクト24及び吸入口13b介してケーシング13内に戻される。ケーシング13内に戻された排気は、冷却源たる冷却器17で冷却されて除湿された後、凝縮器16で再び加熱されるように循環される。なお、冷却器17で除湿された水は、ケーシング13の水受け部13cで受けられた後、排水ホース33及び逆止弁34を介して排水ホース32に排出される。このような乾燥運転が設定時間行なわれ、以て、洗濯乾燥運転が終了する。
【0021】
このように本実施例によれば、水槽2の前面部上部(洗濯時最高水位より高い位置に)吸気口19が設けられているとともに、背面部下部(洗濯時最高水位より低い位置)に排気口20が設けられているので、乾燥運転時には、吸気口19から水槽2内に供給された温風が排気口20に向って対角線上に流通するようになり、従って、従来の温風が水槽内上部を直線的に流通する場合と異なり、温風が回転ドラム4内で撹拌されている洗濯物と充分に接触するようになり、乾燥性能の向上を図ることができる。そして、排気口20側の空気循環経路25の一部たる環状ダクト23の上部が前記洗濯時最高水位より高い位置に設けられているので、洗濯運転時に、水槽2内の洗濯水が冷凍サイクル14の凝縮器16及び冷却器17側たるケーシング13内に流れ込むことはない。
【0022】
また、環状ダクト23を水槽2の背面部外側に取付けられたDDモータ11と同心円状に設けるようにしたので、環状ダクト23の上部は必然的に洗濯時最高水位より高い位置設けられるようになり、しかも、環状ダクト23はDDモータ11の何等利用されていない周囲空間部いわゆるデッドスペースに配置されるので、環状ダクト23を設けるために外箱1を大きくする必要はない。
【0023】
(第2の実施例)
図3及び図4は本発明の第2の実施例であり、第1の実施例と同一部分には同一符号を付して示し、以下異なる部分について説明する。
図3において、水槽2の背面部下部には、排気口20の代わりに吸気口37が設けられ、水槽2の前面部上部には、吸気口19の代わりに排気口38が設けられている。そして、この第2に実施例では、ケーシング13は、第1の実施例とは左右が反対になるように配置される形態になっている。即ち、ケーシング13において、吐出口13aは、外箱1内の後方側に位置し、吸入口13bは、外箱1の前方側に位置し、内部では、送風ファン18、凝縮器16及び冷却器17が左側から右方に向って同順序で配置されている。
【0024】
従って、水槽2の背面部下部の吸気口37は、環状ダクト23及び連結ダクト24を介してケーシング13の吐出口13aに接続され、水槽2の前面部上部の排気口38は、直線状ダクト21及び連結ダクト22を介してケーシング13の吸入口13bに接続されている。これにより、水槽2の背面部下部の吸気口37は、洗濯時最高水位より低い位置に設けられ、水槽2の前面部上部の排気口38は、洗濯時最高水位より高い位置に設けられたことになり、そして、洗濯時最高水位より低い位置に設けられた吸気口37側の空気循環経路25の一部たる環状ダクト23の上部は、洗濯時最高水位より高い位置に設けられたことになる。
【0025】
しかして、制御装置36による乾燥運転は、次のように行なわれる。冷凍サイクル14の圧縮機15が動作されるとともに、ファン18が動作されることは第1の実施例と同様である。そして、図3及び図4に矢印で示すように、凝縮器16で加熱された空気即ち温風は、連結ダクト24及び環状ダクト23を経て水槽2の吸気口37から水槽2内に供給され、水槽2及び回転ドラム4内を上方の排気口38に向って流通する。回転ドラム4内で洗濯物から水分を奪った温風は、排気口38から排気として水槽2外に排出され、その排気は、直線状ダクト21及び連結ダクト22を経て吸入口13bからケーシング13内に戻され、冷却器17により冷却除湿された後凝縮器16により再び加熱されるように循環される。
【0026】
この第2の実施例によれば、水槽2(回転ドラム4)内での温風の流れは、第1の実施例とは逆に下方から上方に向くようになるが、このような構成としても第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0027】
(第3の実施例)
図5及び図6は本発明の第3の実施例であり、第1の実施例(図1及び図2)と同一部分には同一符号を付して示し、以下異なる部分について説明する。
【0028】
この第3の実施例においては、図5に示すように、吸気口19側の空気循環経路25の一部たる直線状ダクト21内に乾燥用ヒータ39が配設されている。この乾燥用ヒータ39は、乾燥運転時に凝縮器16による空気の加熱量を補助し、制御装置36により通電量が制御されることで、温風の最高温度を100℃ないし120℃まで調節可能である。
更に、図6に示すように、環状ダクト23の周側壁には、最上部より若干反時計方向 (排気口20方向)にずれた部位に位置して噴射ノズル40が取付けられている。この噴射ノズル40の噴射孔は、環状ダクト23内に臨むようになっている。給水弁26に代わる給水弁41は、四方弁からなり、その第1及び第2の取水口が洗い用給水ホース28及びすすぎ用給水ホース29をそれぞれ介して洗剤投入器27の上段及び下段の入水口に接続されていて、給水弁26と同様の動作を行なうようになっている。そして、この給水弁41の第3の出水口は、除湿用給水ホース42を介して噴射ノズル40に接続されるようになっている。
【0029】
しかして、制御装置36の制御による乾燥運運転時には、乾燥用ヒータ39も通電されて発熱動作を行なうとともに、給水弁41が動作されて、水道水を第3の出水口及び除湿用給水ホース42を経て噴射ノズル40に供給する。これにより、噴射ノズル40は、水道水たる冷却用水を環状ダクト23内にシャワー状に噴射する。従って、図6において矢印のように流通する排気は、シャワー状の除湿用水に接触して冷却されて除湿される。即ち、噴射ノズル40は、シャワー状に噴射される冷却用水とともに除湿用熱交換器を構成し、冷却器17による除湿能力を補うようになっている。
【0030】
なお、排気から除湿された水は、冷却用水とともに排気口20から水槽2内に流入し、排水弁31及び排水ホース32を介して外部に排出される。従って、この第3の実施例においては、乾燥運転中は排水弁31も動作されるようになっている。ここで、噴射ノズル40から環状ダクト23内に供給される冷却用水の量は、例えば毎分0.5リットルに設定されている。
【0031】
このような第3の実施例によれば、第1の実施例と同様の効果を奏する上に、次のような効果をも奏する。
空気循環経路25の直線状ダクト21内に乾燥用ヒータ39が配設されているので、水槽2内に供給する温風の温度を第1の実施例よりも高くすることができ、乾燥運転の時間を短縮することができる。
【0032】
そして、空気循環経路25の一部をなす環状ダクト23に噴射ノズル40が配設され、この噴射ノズル40から環状ダクト23内に冷却用水をシャワー状に噴射させて、排気から冷却除湿を行なわせるようにしたので、乾燥用ヒータ39を設けたことによる加熱量の上昇分をこの噴射ノズル40とシャワー状の冷却用水とからなる除湿用熱交換器で冷却することができ、乾燥用ヒータ39を設けたことによる除湿不足を補うことができる。
【0033】
(第4の実施例)
図7及び図8は本発明の第4の実施例であり、第2の実施例(酢3、図4)及び第3の実施例(図5、図6)と同一部分には同一符号を付して示し、以下異なる部分について説明する。
この第4の実施例では、乾燥用ヒータ39は、空気循環経路25の一部たる環状ダクト23内に配設され、噴射ノズル40は、噴射孔が直線状ダクト21内に臨むようにしてその直線状ダクト21の側壁に取付けられている。更に、ケーシング13の水受け部13cは、吸入口13bの下方部位まで延びるように形成されている。
【0034】
しかして、乾燥運転時には、凝縮器16で加熱された空気(温風)は、環状ダクト23内で乾燥用ヒータ39で更に加熱され、排気口38からの排気は、直線状ダクト21内で噴射ノズル40及びこれからのシャワー状の冷却用水からなる除湿用熱交換器により冷却除湿されるようになる。なお、直線状ダクト21内で除湿された水は、冷却用水とともに水受け部13cに受けられた後、冷却器17により除湿された水とともに排水ホース33及び逆止弁34を経て排水ホース32に排出される。
【0035】
従って、この第4の実施例によっても上記第3の実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上記第3及び第4の実施例では、乾燥運転の開始から終了までの全期間、噴射ノズル40及びこれからのシャワー状の冷却用水からなる除湿用熱交換器により排気から除湿を行なわせるようにしたが、代わりに次のようにしてもよい。即ち、乾燥運転は、開始当初から水槽2(回転ドラム4)内の温度を順次上昇させる加熱期間と、その後に洗濯物から水分を活発に蒸発させて温度が略一定になる恒率期間とを経るようになるが、この恒率期間の開始時から乾燥終了までの期間、上記除湿用熱交換器により排気から除湿を行なわせるようにしてもよい。
【0036】
その他、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されず、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変形して実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施例を示す縦断側面図
【図2】外箱の背面板を除去した状態の背面図
【図3】本発明の第2の実施例を示す縦断側面図
【図4】外箱の背面板を除去した状態の背面図
【図5】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図6】図2相当図
【図7】本発明の第4の実施例を示す図3相当図
【図8】図4相当図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1は外箱、2は水槽、4は回転ドラム、11はダイレクトドライブモータ(駆動モータ)、13はケーシング、14は冷凍サイクル、15は圧縮機、16は凝縮器、17は冷却器、18は送風ファン、19は吸気口、20は排気口、21は直線状ダクト、23は環状ダクト(空気循環経路の一部)、25は空気循環経路、26は給水弁、27は洗剤投入器、31は排水弁、36は制御装置、37は吸気口、38は排気口、39は乾燥用ヒータ、40は噴射ノズル(除湿用熱交換器)、41は給水弁を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に配設され、吸気口及び排気口を有する水槽と、
この水槽内に回転可能に配設され、洗濯物を収容する回転ドラムと、
前記外箱の底板に設置された圧縮機、加熱源としての凝縮器及び冷却源としての冷却器を有する冷凍サイクルと、
前記凝縮器で加熱した空気を前記吸気口から水槽内に供給し、前記排気口から排出された空気を前記冷却器で冷却除湿した後前記凝縮器で再び加熱するように循環させる空気循環経路とを具備し、
前記吸気口若しくは排気口は、前記水槽の洗濯時最高水位より低い位置に設けられ、
その低い位置に設けられた吸気口若しくは排気口側の空気循環経路の一部が前記洗濯時最高水位より高い位置に設けられていることを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
【請求項2】
水槽に回転ドラムを駆動する駆動モータが設けられ、
洗濯時最高水位より低い位置に設けられた吸気口若しくは排気口側の空気循環経路の一部は、その駆動モータと同心円状をなす環状ダクトに形成されていることを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯乾燥機。
【請求項3】
洗濯時最高水位より低い位置に排気口が設けられ、
環状ダクトには除湿用熱交換器が配設され、
吸気口側の空気循環経路には乾燥用ヒータが配設されていることを特徴とする請求項2記載のドラム式洗濯乾燥機。
【請求項4】
洗濯時最高水位より低い位置に吸気口が設けられ、
環状ダクトには乾燥用ヒータが配設され、
排気口側の空気循環経路には除湿用熱交換器が配設されていることを特徴とする請求項2記載のドラム式洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−75417(P2006−75417A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264061(P2004−264061)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】