説明

ドラム式洗濯乾燥機

【課題】効率よく衣類の乾燥工程進行状態を検知し、衣類の皺低減を実現するドラム式洗濯乾燥機を提供すること。
【解決手段】洗濯物を攪拌する回転ドラム3を収容し、筐体1からばね8により支持された水槽2と、回転ドラム3を駆動するモータ4と、水槽2の振動を検出する振動検出手段6と、衣類重量判定、洗濯や脱水および乾燥の一連の工程を制御する制御手段7とを備え、制御手段7は、衣類重量判定工程での振動検出手段6の出力と、乾燥工程での振動検出手段6の出力の差から乾燥工程進行状態を検知し、乾燥が進行しておらず、含水率が高く皺のつきやすい状態での乾燥時に、皺がつくのを防ぐドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽内に設置した、有底円筒形に形成された回転ドラムを回転駆動することにより内部に収容した衣類を洗濯および乾燥するドラム式洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドラム式洗濯乾燥機は、洗濯から乾燥までの行程を自動的に行う過程で、投入された衣類量の検知機能や、汚れ具合により最適な洗濯を行う洗い検知機能とともに、乾燥終了時に水槽の重量変化の検知にて衣類の水分蒸発が完了した場合に重量変化が停止する性質利用して乾燥終了検知機能を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、従来のドラム式洗濯乾燥機の全体構成を示す断面図であり、図8は、同ドラム式洗濯乾燥機の衣類重量検知を行うダンパーの構成を示す図であり、図9は同ドラム式洗濯乾燥機の検知重量と乾燥時間の相関を示す図である。
【0004】
図7において、衣類を投入して回転するドラム51を内包する水槽52を洗濯乾燥機筐体53の上部からバネ54で垂下支持すると共に、下方よりダンパー55で減衰防振支持をする。水槽52の外底部に取り付けたモータ56の回転は、ベルト58やプーリ57を介してドラム51の回転駆動に伝達される。
【0005】
水槽52およびドラム51内の洗濯水を排水弁59にて機外に排水後、脱水工程に引き続き乾燥工程が行われる。
【0006】
ダンパー55は、図8に示すように固定部80を筐体53側に、稼動部81が水槽52側に固定し、衣類重量による水槽52の沈み込みによりコイル83とフェライトコア85の位置関係が変化し、変位量検知部92の出力が変化する。変位量検知部92の出力が変化を受けて、重量変化検知部93、乾燥終了検知部94から制御部95に信号が送信される。
【0007】
図9は、縦軸に重量変化検知部93からの検知重量値を、横軸に時間を示す。
【0008】
図9において、ドラム51を回転させ、乾燥が進行して内部の衣類の乾燥が終了すると、水分蒸発が停止するので重量変化が生じなくなる飽和点に達するので、制御部はこの検知重量変化が飽和する点を利用して乾燥終了と判断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−79098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の手段では微妙な衣類重量を正確に測定しなければならないため、回転ドラムを一時的に停止させ、衣類の動きを静止させなければならず、また水槽の上下一方向の変化量しか検知できないので精度が低いという課題を有していた。
【0011】
本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、衣類の回転ドラム側面への衝突に
よる水槽の振動量の時間変化量から乾燥進行状態を検知し、また上下方向だけでなく、前後・左右方向の時間位置変化量から精度よく乾燥進行状態を検知し、乾燥進行状態から衣類の皺を低減する動作をするドラム式洗濯乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯乾燥機は、投入された洗濯物を引っ掛け持ち上げる攪拌突起を有する回転ドラムを収容し、筐体から弾性支持機構により支持された水槽と、前記回転ドラムの駆動モータと、前記水槽の振動を検出する振動検出手段と、衣類重量判定、洗濯や脱水、乾燥の一連の工程を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記衣類重量判定工程での前記振動検出手段の出力と、前記乾燥工程での前記振動検出手段の出力の差から乾燥進行状態を判定し、振動検出手段から出力した振動値が、衣類重量判定工程での振動検出手段からの出力振動値よりも大きい第一閾値よりも大きいとき、衣類に皺をつけない動作を行う制御とするものである。
これによって、洗濯物が攪拌突起に持ち上げられ、自由落下により回転ドラム内に衝突し回転ドラムが振動する大きさは、衣類の含水量により変化するので、連続して振動値を検知する事により乾燥の進行状態を判定するので、重量検知のために一時的にドラムの回転を停止して重量検知を行う必要も無く、精度よく乾燥進行状態を検知することができ、この乾燥進行状態によって皺を低減するような動作を行うため、回転ドラム内の洗濯物の乾燥状態を精度よく検知し、最適な乾燥と衣類仕上がりを提供する事ができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のドラム式洗濯乾燥機は、回転ドラム内の洗濯物の乾燥状態を精度よく検知し、最適な乾燥と衣類仕上がりを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1のドラム式洗濯乾燥機の構成図
【図2】同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と皺軽減シーケンスを行うタイミングを示す図
【図3】同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と絡み解消タイミングを示す図
【図4】同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と張り付き解消タイミングを示す図
【図5】同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と乾燥工程終了検知タイミングを示す図
【図6】同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と乾燥工程終了検知タイミングを示す他の図
【図7】従来の洗濯乾燥機の全体構成を示す断面図
【図8】同洗濯乾燥機の衣類重量検知を行うダンパーの構成を示す図
【図9】同洗濯乾燥機の検知重量と乾燥時間の相関を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、筐体と洗濯物を投入する回転ドラムと、前記回転ドラムを収容し、かつ筐体から弾性支持機構により支持された水槽と、前記回転ドラムを回転させるモータと、投入された洗濯物を引っ掛け持ち上げる攪拌突起と、前記水槽の振動を検出する振動検出手段と、衣類重量判定工程や、洗浄、すすぎ、脱水、および乾燥工程等の一連の工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記衣類重量判定工程での前記振動検出手段の出力と、前記乾燥工程での前記振動検出手段の出力の差から乾燥進行状態を判定し、振動検出手段から出力した振動値が、衣類重量判定工程での振動検出手段からの出力振動値よりも大きい第一閾値よりも大きいとき、衣類に皺をつけない動作を行う制御としたことにより、回転ドラムを一時的に停止し衣類の動きを静止させて重量検知することなく、精
度よく乾燥工程進行状態を検知し、乾燥が進行しておらず、含水率が高く皺のつきやすい状態での乾燥時に、衣類に皺がつくのを防ぐことができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明において振動検出手段を、回転ドラムと筐体との位置関係あるいは位置変化量を検出する少なくともひとつ以上のデバイスで構成され、水槽の上下、左右、前後等の方向の少なくともひとつ以上の振動成分として検出し、方向毎の振動成分、もしくは前記方向毎の振動成分の和を出力する制御としたことにより、必ずしも一方向だけではない水槽の振動を、方向毎の加速度情報の和を利用することにより衣類の複雑な動きによる水槽の振動を正確に把握するので、精度よく水槽の振動を把握できる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1の発明または第2の発明において制御手段を、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値が、所定時間以内に所定値以上増加した場合、衣類同士が絡んだと検知し、衣類に皺をつけない動作を行う制御をし、衣類同士の絡みによって発生する衣類のネジレを改善し、衣類に皺がつくのを防ぐことができる。
【0018】
第4の発明は、特に、第1の発明または第2の発明において制御手段を、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値が、所定時間以内に所定値以上減少した場合、衣類が回転ドラム側面に張り付いたと検知し、前記回転ドラムの目標回転数を落とす動作の制御としたことにより、回転ドラム側面に衣類が張り付きを防止し、乾燥空気との衣類との接触面積の低下を防止したので、乾燥効率が落ちることや、乾燥バラツキを防ぐことができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において制御手段を、衣類重量判定工程で振動検出手段から出力した振動値と、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値との差が、所定値以上小さくなったとき、乾燥工程を終了する制御としたことにより、未乾燥や過乾燥で乾燥が終了する事態を防ぐことができる。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において制御手段を、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値が、所定時間で所定値以上変化しないとき、乾燥工程を終了する制御としたことにより、未乾燥や過乾燥で乾燥が終了する事態を防ぐことができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯乾燥機の構成図を示し、図2は、同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と皺軽減シーケンスを行うタイミングを示し、図3は、同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と衣類同士の絡み合いの解消タイミング図であり、図4は、同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と張り付き解消タイミング図である。図5および図6は、同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程時の振動値X2の時間推移と乾燥工程終了検知タイミング図を示す。
【0023】
図1において、衣類などの洗濯物を収容し、衣類攪拌用の攪拌突起12を有する洗濯兼脱水槽としての回転ドラム3は、筐体1から弾性支持機構である、ばね8やダンパー14で揺動自在にて防振支持された水槽2内方に回転自在に軸支される。
【0024】
水槽2の外底部に固着したモータ4は、ブラシレスモータ等で構成し、回転速度は可変であり、すすぎ、脱水、および乾燥の各工程におい回転ドラム3を駆動する。
【0025】
乾燥機能は、水槽2の上部に吸気口15を設け、吸気筒16より吸気送風ファン17に送られた湿った空気は、ヒータ18で加熱され送風筒20を介して送風口19より水槽2およびドラム3内部に戻るいわゆる循環経路を構成し、吸気筒16の一部に構成した除湿手段21にてドラム内部の衣類から湿気を離脱させる。
【0026】
水槽2の上部外壁に固着した半導体化速度センサ等のデバイスで構成された振動検出手段6は、水槽2の軸(前後、左右、上下)方向の振動から加速度を検出する。これは実際の水槽2の振動は、必ずしも一方向に限定できないので3軸のタイプを用いて、3軸の加速度成分を合算して合計したものを利用することにより検知精度を向上させる為である。
【0027】
振動検出手段6は、回転ドラム3の回転時、水槽2の揺動状態を検知し、水槽2の異常振動による筐体1との衝突防止や、水槽2自体の損傷を防止するために許容値以上の振動の際、制御装置7に信号を送信し、防振制御(例えば、衣類アンバランス分布のほぐし工程、脱水回転数の低減等)を行う。
【0028】
制御手段7は、本来は筐体1内部に収納するが、機能をわかり易く説明する為に、図1の様に右方に取り出した図としている。
【0029】
制御手段7は、振動検出手段6で検出した信号に対して周波数成分を計算する振動値計算手段9と、モータの回転数や時間を制御する回転時間制御手段10と、洗浄、すすぎ、脱水、布はがし、布はがし工程延長、乾燥の一連の工程や、防振制御などを制御するシーケンス制御手段11とで構成される。
【0030】
洗濯工程スタート前に、洗剤量や水位を設定する為に衣類重量判定を行う。
【0031】
衣類重量判定工程は、例えば、回転制御を行ないながら、制御回路内部で徐々にモータ4に印加する平均電圧を上昇させて高速回転に移行し、衣類が回転ドラム3の内壁に遠心力により均一に貼り付くようにする。その状態で、所定時間回転を持続した後、モータ4の通電を停止する。それにより、回転ドラム3の惰性回転が、停止までの時間は、布量が多いときは長く、布量が少ないときは短い。この停止に要する時間の違いが布量に比例することを利用して布量を検知する制御が一般的である。
【0032】
布の重量をm、回転ドラム3の内周に分布する布の平均半径をr、回転角速度をωとすると、布にかかる遠心力Fは、F=mrωで求められ、モータ4の通電を停止した時、遠心力Fは、回転ドラム3の初期惰性回転力となる。従って回転ドラム3が停止するまでの時間はFに、即ち布量に比例するという理論から布量が検知できる。
【0033】
この、衣類重量判定のとき水槽の動きを振動検出手段6にて加速度を検知し振動値を把握しておき、この値を(振動値X1)とする。
【0034】
次に、洗濯工程およびすすぎ行程では、水槽2および回転ドラム3内に水を給水し、正転・反転を繰り返し、続いて脱水行程では水槽2より洗濯水を排水後、回転ドラム3を高速回転させ遠心力で脱水する。
【0035】
脱水工程の次の乾燥工程では、回転ドラム3を低速回転させ衣類を攪拌突起12で持ち上げ落下させながら、加熱装置18にて温風化した空気を、回転ドラム3に送風装置17で導入して衣類を乾燥する。
【0036】
乾燥工程においても振動検出手段6により水槽2の振動を検知し、検出した振動(加速度)の出力変化から、振動値計算手段9により振動値の大きさを計算する。制御手段は、
振動検出手段6で得た信号の振幅の時間推移による出力変化に応じて回転ドラム内の洗濯物の乾燥進行状態を判定し、乾燥の進行状態に対応して、シーケンス制御手段11により、乾燥工程を終了したり、皺(しわ)軽減シーケンスを行ったり、回転ドラムの目標回転数を制御したりする。
【0037】
以上のように構成された洗濯乾燥機について、以下、その動作・作用を、図2〜図6を用いて説明する。
【0038】
図2は、乾燥工程時の振動検出手段の出力の変化量つまり水槽の振動値X2の時間推移と皺軽減シーケンスを行うタイミングを示したものである。
【0039】
乾燥作用が進行途中では、衣類の含水率は高く、衣類に皺がつきやすい状態となっている。衣類が攪拌突起12によって持ち上げられ、自由落下により回転ドラム側面に衝突する衝撃力が振動値X2として現れるが、衣類の含水率が高いときX2の値は大きくなる。
【0040】
振動値X2が、所定値Y3よりも大きい場合、衣類に皺がつきやすい状態であると判定し、ドラムを一旦停止して停止前の回転を反転させ(正転→停止→反転)衣類の絡みを低減する、あるいは乾燥風量をあげ衣類を伸ばすなどといった、シーケンスを行い、衣類の皺発生を少なくする。所定値Y3以下になれば、衣類の含水率は低くなり皺の発生は少なくなるので、通常運転に移行する。
【0041】
図3は、乾燥工程時の振動検出手段の出力の変化量つまり水槽の振動値X2の時間推移と衣類の絡みを検知し、回転ドラム3の目標回転数を制御し、絡みを解消したことを示したものである。
【0042】
衣類が攪拌突起12によって持ち上げられ、自由落下により回転ドラム3の側面に衝突する衝撃力が振動値X2として現れるが、衣類同士が絡み合うことで、回転ドラム側面に衣類の固まりとして落下し、回転ドラム3に与える衝撃が高くなるので、振動値が短時間で増大する挙動をしめす。図3で、短時間で振動値が増大したときの変動値が所定値Y2より大きくなった場合は、衣類同士が絡み合ったと判定し、回転ドラム3の目標回転数を増加させることで、衣類同士の絡み合いを解消し、乾燥空気との衣類との接触面積が減少による乾燥効率の低下や、乾燥バラツキを解消し最適な乾燥を提供するものである。
【0043】
図4は、乾燥工程時の振動検出手段の出力の変化量つまり水槽の振動値X2の時間推移と衣類の回転ドラム3の側面への張り付きを検知し、回転ドラム3の目標回転数を制御し、張り付きを解消したことを示したものである。
【0044】
衣類が攪拌突起12によって持ち上げられ、自由落下により回転ドラム3の側面に衝突する衝撃力が振動値X2として現れるが、衣類が回転ドラム側面に張り付くことで、回転ドラム側面に落下せず、回転ドラム3に与える衝撃が低くなるので、振動値が短時間で減少する挙動をしめす。図3で、短時間で振動値が減少したときの変動値が所定値Y1より大きくなった場合は、衣類が回転ドラム3側面に張り付いたと判定し、回転ドラム3の目標回転数を低下させることで、衣類の回転ドラム3側面への張り付きを解消し、乾燥空気との衣類との接触面積が減少による乾燥効率の低下や、乾燥バラツキを解消し最適な乾燥を提供するものである。
【0045】
図5と図6は、乾燥工程時の振動検出手段の出力(縦軸)の変化量つまり水槽の振動値X2の時間推移(横軸)と、乾燥終了を検知するタイミングを示したものである。
【0046】
乾燥が進むにつれ衣類の含水率が減少し、衣類重量が軽くなるので、衣類が攪拌突起1
2によって持ち上げられ、自由落下により回転ドラム3の側面に衝突する衝撃力が振動値X2として現れるが、衣類の水分が蒸発し水分蒸発が進み、軽くなることによりX2は減少する。
【0047】
図5では、X2が時間推移により減少し、衣類重量判定時に得た振動値X1との差がY4以下となったとき衣類の乾燥工程を終了するものである。
【0048】
つまり、衣類重量が大きければ回転ドラムの振動は大きく、衣類重量が小さければ小さくなる。投入された衣類が同一のものであれば、その衣類重量は含水率によって決まり、含水率が多ければ衣類重量は大きく未乾燥であり、含水率が少なければ衣類重量は小さく、乾燥が進んでいることを示す。
【0049】
図6では、水槽の振動値X2が時間推移により減少し、所定時間t1の間にX2の変化量がY5以下となったとき衣類からの水分除去は終了し、乾燥工程を終了するものである。
【0050】
以上のように、本実施の形態においては、衣類重量判定時に得た振動値と、乾燥工程での洗濯物が攪拌突起に持ち上げられ、自由落下により回転ドラム内に衝突し回転ドラムが振動する大きさの振動値とを比較して、衣類の含水量の変化にて乾燥進行状態を判定するもので、回転ドラムを一時的に停止し衣類の動きを静止させて重量検知することなく、また衣類の複雑な動きによる水槽に与える振動を検知しているので、精度よくかつ効率よく乾燥工程進行状態を検知し、乾燥が進行しておらず、含水率が高く皺のつきやすい状態での乾燥時、皺がつくのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯乾燥機は、乾燥検知を衣類が水槽に与える振動の変化から検知したので、効率的に未乾燥や過乾燥や、衣類に皺がつくのを防ぐことができるので、家庭用の洗濯乾燥機だけでなく、業務用の洗濯乾燥機などに広く適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 筐体
2 水槽
3 回転ドラム
4 モータ
6 振動検出手段
7 制御手段
8 ばね(弾性支持機構)
9 振動値計算手段
12 攪拌突起
14 ダンパー(弾性支持機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と洗濯物を投入する回転ドラムと、前記回転ドラムを収容し、かつ筐体から弾性支持機構により支持された水槽と、前記回転ドラムを回転させるモータと、投入された洗濯物を引っ掛け持ち上げる攪拌突起と、前記水槽の振動を検出する振動検出手段と、衣類重量判定工程や、洗浄、すすぎ、脱水、および乾燥工程等の一連の工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記衣類重量判定工程での前記振動検出手段の出力と、前記乾燥工程での前記振動検出手段の出力の差から乾燥進行状態を判定し、振動検出手段から出力した振動値が、衣類重量判定工程での振動検出手段からの出力振動値よりも大きい第一閾値よりも大きいとき、衣類に皺をつけない動作を行う制御とした制御としたドラム式洗濯乾燥機。
【請求項2】
振動検出手段は、回転ドラムと筐体との位置関係あるいは位置変化量を検出する少なくともひとつ以上のデバイスで構成され、水槽の上下、左右、前後等の方向の少なくともひとつ以上の振動成分として検出し、方向毎の振動成分、もしくは前記方向毎の振動成分の和を出力する制御とした請求項1記載のドラム式洗濯乾燥機。
【請求項3】
制御手段は、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値が、所定時間以内に所定値以上増加した場合、衣類同士が絡んだと検知し、衣類に皺をつけない動作を行う制御とした請求項1または請求項2に記載のドラム式洗濯乾燥機。
【請求項4】
制御手段は、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値が、所定時間以内に所定値以上減少した場合、衣類が回転ドラム側面に張り付いたと検知し、前記回転ドラムの目標回転数を落とす動作を行う制御とした請求項1または請求項2に記載のドラム式洗濯乾燥機。
【請求項5】
制御手段は、衣類重量判定工程で振動検出手段から出力した振動値と、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値との差が、所定値以上小さくなったとき、乾燥工程を終了する制御とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のドラム式洗濯乾燥機。
【請求項6】
制御手段は、乾燥工程で振動検出手段から出力した振動値が、所定時間で所定値以上変化しないとき、乾燥工程を終了する制御とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のドラム式洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−148863(P2010−148863A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258595(P2009−258595)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】