説明

ドラム式洗濯機

【課題】低濃度の光励起抗菌材で洗濯物を除菌、抗菌処理する際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やし、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】第1すすぎ行程および第2すすぎ行程を有し、柔軟剤を第1すすぎ行程で回転ドラム24内に投入(ステップ110)した後、光励起抗菌材発生手段48による光励起抗菌材添加水の回転ドラム24内への投入(ステップ111および120)および光照射手段50による回転ドラ24内への光の照射(ステップ112)を第1すすぎ行程および第2すすぎ行程で実行することで、柔軟剤が光励起抗菌材を吸着して、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やすことができ、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向または傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラム内で、洗濯物を除菌処理する機能を備えたドラム式洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗濯機は、銀イオン含有水を脱水運転時に洗濯物に接触させることにより、銀イオンを洗濯物に効率良く付着させられるようにしている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、洗濯物をその量に最適な濃度、例えば50ppb〜100ppbあるいは50ppb〜900ppbの銀イオンで処理することにより、銀イオンの抗菌効果を十分に発揮させることができるようにしている(例えば、特許文献2参照)。あるいは、銀イオン含有水を乾燥しやすい小径粒子の液滴にして洗濯物に接触させることにより、水に溶けている銀イオンが水の乾燥によって一旦結晶化し、再度水に溶け出したときに、銀イオンの効果をより発揮しやすくしている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
特許文献2の洗濯機の構成と作用を図7を用いて説明する。図7は前記公報に記載された洗濯機の断面図を示すものである。図7に示すように、洗濯機101は全自動型のものであり、外箱102は直方体形状でその上面には洗濯物を投入するための開口部103を有している。外箱101には、受筒104、開口部の上面には蓋105を有し、ネジで固定されている。受筒104内には、洗濯物の攪拌のための内筒106およびパルセータ107を有し、モータ108の働きで、回転する構成となっている。内筒106および受筒104に注水する際には、水流路109からイオン供給ユニット110を通して行う。
【0004】
次に、洗濯物に洗濯物である洗濯物に除菌・抗菌処理を行う際の動作について説明する。洗濯物の除菌・抗菌を行う際には、水流路9から注水を行う際にイオン供給ユニット110を制御し、注水中に銀をイオン状態で供給する。このことにより、水の銀イオン濃度は所定の濃度になり、パルセータ7および内筒106がモータ108で攪拌することで、洗濯物に銀イオンが付着し、洗濯物に付着している細菌の除菌を行う。また、洗濯物に付着した銀イオンは洗濯物に残留するので、洗濯後でも洗濯物が細菌の増殖を抑制する効果を有する(抗菌効果)ことになる。
【特許文献1】特開2004−57423号公報
【特許文献2】特開2004−105692号公報
【特許文献3】特開2005−87712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこのような従来の構成では、洗濯後のすすぎ工程において、使用者のすすぎ工程の選定の仕方によっては、すすぎ行程で投入される柔軟剤や、すすぎ行程で洗濯物にわずかに残存する洗剤成分により、抗菌材による抗菌または除菌作用が阻害される場合があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低濃度の光励起抗菌材で洗濯物を除菌、抗菌処理する際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やし、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができるドラム式洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決しつつ、前方に第1の開口部を有し水平方向または傾斜方向に回転軸を有する有底円筒状の回転ドラムと、前記第1の開口部に対応する第2の開口部を有し前記回転ドラムを回転自在に内包する有底円筒状の水受け槽と、前記水受け槽を揺動可能に支持し前記第1の開口部および第2の開口部に対応する第3の開口部を有する洗濯機本体と、前記洗濯機本体に設けられ前記回転ドラム内への洗濯物の出し入れのために第3の開口部を開閉する扉体と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記水受け槽内への洗濯水の給水を制御する給水手段と、水受け槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段と、光励起作用を有する光励起抗菌材が溶出して水に添加された光励起抗菌材添加水を前記回転ドラム内に供給する光励起抗菌材発生手段と、前記回転ドラム内に光を照射する光照射手段と、前記水位検知手段からのデータを入力し前記モータ、給水手段および排水手段等を制御して一連の洗濯、すすぎ、脱水動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも2回連続したすすぎ行程を有し、柔軟剤を第1のすすぎ行程で前記回転ドラム内に投入した後、前記光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および前記光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を少なくとも最後の2回のすすぎ行程で実行するようにしたものである。
【0008】
これによって、低濃度の光励起抗菌材で洗濯物を除菌、抗菌処理する際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やし、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のドラム式洗濯機は、低濃度の光励起抗菌材で洗濯物を除菌、抗菌処理する際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やし、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、前方に第1の開口部を有し水平方向または傾斜方向に回転軸を有する有底円筒状の回転ドラムと、前記第1の開口部に対応する第2の開口部を有し前記回転ドラムを回転自在に内包する有底円筒状の水受け槽と、前記水受け槽を揺動可能に支持し前記第1の開口部および第2の開口部に対応する第3の開口部を有する洗濯機本体と、前記洗濯機本体に設けられ前記回転ドラム内への洗濯物の出し入れのために第3の開口部を開閉する扉体と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記水受け槽内への洗濯水の給水を制御する給水手段と、水受け槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段と、光励起作用を有する光励起抗菌材が溶出して水に添加された光励起抗菌材添加水を前記回転ドラム内に供給する光励起抗菌材発生手段と、前記回転ドラム内に光を照射する光照射手段と、前記水位検知手段からのデータを入力し前記モータ、給水手段および排水手段等を制御して一連の洗濯、すすぎ、脱水動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも2回連続したすすぎ行程を有し、柔軟剤を第1のすすぎ行程で前記回転ドラム内に投入した後、前記光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および前記光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を少なくとも最後の2回のすすぎ行程で実行するようにしたものであり、光励起抗菌作用を有する抗菌材を用いて、洗濯槽に供給された前記光励起抗菌材添加水を含浸した洗濯物に紫外光から可視光の波長の光を照射することで、水に溶出した光励起抗菌材により洗濯物に付着している細菌を除菌・抗菌するとともに、洗濯物に付着した光励起抗菌材および洗濯槽内に供給された光励起抗菌材添加水に光照射手段から放射される紫外光から可視光を照射することによって、光触媒反応で放出された電子を水分子と反応させ、除菌作用の大きいヒドロキシラジカルあるいはスーパーオキシド等の活性酸素種を生成し、これらの強い酸化力によってさらに効果的な除菌を行う際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、柔軟剤が光励起抗菌材を吸着して、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やすことができ、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、制御手段は、少なくとも3回以上のすすぎ行程を有し、柔軟剤を最後のすすぎ行程から1回前のすすぎ行程で回転ドラム内に投入した後、光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を少なくとも最後の2回のすすぎ行程で実行するようにしたものであり、最後の2回のすすぎ行程より前にすすぎ行程を追加することで洗濯物に残存する洗剤成分量を低減することができ、洗剤分と柔軟剤が吸着して発生をしやすい衣類の黄ばみ、黒ずみを低減し、またすすぎ水中に残存する洗剤成分により阻害されることなく柔軟剤、抗菌材を洗濯物に付着させることができるため、衣類の黄ばみ、黒ずみを低減しながら、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、制御手段は、光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を実行する最後の2回のすすぎ行程におけるすすぎ撹拌時間を、前記最後の2回のすすぎ行程より前のすすぎ行程におけるすすぎ撹拌時間より長く設定したものであり、前記回転ドラム内に給水された光励起抗菌材添加水が衣類に接触する時間を長くすることで光励起抗菌材の衣類の付着量を増やし、なおかつ、光照射手段から放射される紫外光から可視光を照射する時間を長くすることによって、光触媒反応を向上し、さらに効果的に、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なおこの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるドラム式洗濯機の縦断面図、図2は、同ドラム式洗濯機の一部ブロック化した制御回路図、図3は、同ドラム式洗濯機の入力設定、および表示手段の拡大正面図である。
【0015】
図1に示すように、回転ドラム24は、有底円筒形に形成して、前方に第1の開口部24aを有し、外周部に多数の通水孔25を全面に設け、水受け槽26内に回転自在に配設している。回転ドラム24の回転中心に略傾斜方向に回転軸(回転中心軸)27を設け、回転ドラム24の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設している。この回転軸27に、水受け槽26の背面に取り付けたモータ28を連結し、回転ドラム24を正転、逆転方向に回転駆動する。回転ドラム24の内壁面に数個の突起板29を設けて衣類の撹拌をしやすくしている。水受け槽26の正面側の上向き傾斜面に第2の開口部26aを第1の開口部24aに対応して設けている。洗濯機本体32の前面には、第1の開口部24aを第2の開口部26aに対応して第3の開口部31とその第3の開口部31を開閉自在に覆う蓋体30を設け、この蓋体30を開くことにより第3の開口部31、第2の開口部26aおよび第1の開口部24aを通して回転ドラム24内に洗濯物を出し入れできるようにしている。蓋体30を上向き傾斜面に設けているため、洗濯物を出し入れする際、腰を屈めることなく行うことができる。なお、前記蓋体30は、運転動作中の使用者の安性を保持するためフタロック40を動作せしめて開かないようにすることが可能な構成を有する。
【0016】
水受け槽26は洗濯機本体32よりばね33とダンパー34により揺動可能に吊り下げ防振支持すると共に、水受け槽26の下部の排水口35に一端を接続した排水経路35aは他端を排水弁(排水手段)36に接続して水受け槽26内の洗濯水を排水するようにしている。給水弁(給水手段)37は洗剤投入ケース37aおよび給水経路38aを通して水受け槽26内に水を給水するものである。なお、給水弁37には、第2の給水経路38cを経由して回転ドラム24の上方より内部へ給水が可能な第2の給水手段38bにも連通している。
【0017】
水位検知手段39は水受け槽26内の水位を検知するものである。また、水受け槽26の下方内底部に洗濯水を加熱するシーズヒータ等からなるヒータ(加熱手段)41と洗濯水の温度を検知する温度検知手段42を備え、回転ドラム24内の洗濯物の洗浄効果を高める温水洗浄する機能を有している。
【0018】
水受け槽26の側壁には、第3の開口部31の最下部より低い位置に溢水口49を設け、水量がこの溢水口49の水位以上になると、溢水(オーバーフロー)するように構成している。溢水口49には、オーバーフロー経路(溢水経路)49aの一端が接続され、そのオーバーフロー経路(溢水経路)49aの他端は、排水弁36の下流側の排水経路35bに接続されている。
【0019】
なお、本実施の形態では、回転ドラム24の回転中心に略傾斜方向に回転軸27を設け、回転ドラム24の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設しているが、回転ドラム24の回転中心に略水平方向に回転軸27を設け、回転ドラム24の軸心方向を略水平方向に配設してもよい。
【0020】
制御装置43は、図2に示すような回路を構成しており、モータ28、排水弁36、給水弁37、ヒータ41などの動作を制御し、洗濯、すすぎ、脱水の一連の行程を逐次制御するマイクロコンピュータからなる制御手段44を有している。制御手段44は、運転コース等を設定するための入力設定手段45からの情報を入力して、その情報を基に表示手段46で表示して使用者に知らせるとともに、入力設定手段45により運転開始が設定されると、水受け槽26内の水位を検知する水位検知手段39等からのデータを入力して負荷駆動手段47を介して、排水弁36、給水弁37、ヒータ41などの動作を制御し、洗濯運転を行う。
【0021】
入力設定手段45は、図3に示すように、洗い時間を設定する洗い時間設定スイッチ45a、すすぎ回数を設定するすすぎ回数設定スイッチ45b、脱水時間を設定する脱水時間設定スイッチ45c、スタート・一時停止スイッチ45e、電源入りスイッチ45f、電源切りスイッチ45g、水位変更入力設定スイッチ45h、水温変更入力スイッチ45iを有している。
【0022】
表示手段46は、同じく図3に示すように、洗い時間表示部46a、すすぎ回数表示部46b、脱水時間表示部46c、第2のコース設定スイッチ45dで設定されるコースを表示するコース設定表示部46d、水位表示部(水位表示手段)46e、水温表示部46f、数字表示部46g、蓋ロック表示部46h、等を有している。なお数字表示部46gは通常の運転中は、残り時間等を表示しているが、運転中、動作に異常を生じた場合は、ある記号と数字を用いて異常状態を表示する異常表示部としても機能するようになっている。上記異常の表示とは、例えば、排水ができない異常表示、給水ができない異常表示、扉体が正しく閉じられていないことを知らせる異常表示などである。
【0023】
表示手段48aは、図3に示すように、光動銀除菌設定スイッチ19で光動銀除菌すすぎ行程を設定したことを表示し、運転を開始すると、制御手段44はすすぎの給水行程にて、光励起抗菌材発生手段48を動作し、光励起作用を有する光励起抗菌材を溶出させて水に添加し、回転ドラム24内に投入して、回転ドラム24内の衣類に付着させる。給水後に、衣類に付着している光励起抗菌材に光照射手段50から放射される紫外光から可視光を照射することによって、光触媒反応で放出された電子を水分子と反応させ、除菌作用の大きいヒドロキシラジカルあるいはスーパーオキシド等の活性酸素種を生成し、これらの強い酸化力によってさらに効果的な除菌を行う。
【0024】
図4は、実施の形態1におけるドラム式洗濯機の要部動作フローチャーである。以下、図4に従って動作を説明する。
【0025】
使用者が扉体30を開いて回転ドラム24内に洗濯物を投入し、再び扉体30を閉じるとステップ100で動作を開始し、ステップ101で電源スイッチ45fをオンした後、ステップ103で光動銀除菌すすぎを設定し、ステップ104で変更後の内容を操作パネルに表示する。ステップ104で表示手段46に変更内容の表示をする。ステップ105において、制御装置43に設けたスタートスイッチ45eを操作して運転を開始すると、ステップ106で制御手段44によりフタロック40を閉める。ステップ107で、洗濯行程(詳細説明省略)を運転する。
【0026】
洗濯行程が終了すると、ステップ108で第1すすぎに入り、排水を行い、ステップ109で脱水行程(詳細説明省略)を行う。ステップ110で回転ドラム24内に柔軟剤の給水を行い、ステップ111で光励起抗菌材発生手段48を動作し光励起作用を有する光励起抗菌材を溶出させて水に添加し、回転ドラム24内に投入して、回転ドラム24内の衣類に付着させる。ステップ112にて、給水後に、衣類に付着している光励起抗菌材に光照射手段50から放射される紫外光から可視光を照射することによって、光触媒反応で放出された電子を水分子と反応させ、除菌作用の大きいヒドロキシラジカルあるいはスーパーオキシド等の活性酸素種を生成し、これらの強い酸化力によってさらに効果的な除菌を行う。
【0027】
ステップ113で給水を行い、ステップ114で水位が所定のすすぎ水位(例えば140mm)であるか否かを判断し、所定水位であればステップ115に移り、すすぎ撹拌を行う。所定水位でなければステップ113に戻り給水を継続する。ステップ116にてすすぎ時間が所定時間T1(例えば3分)に達しているか否かを判断し、達していれば第1すすぎ行程を終了し、回転ドラム24を停止する。達していなければ、ステップ115に戻り、すすぎ撹拌を継続する。ステップ118で第2すすぎ行程に入り、排水を行い、ステップ119で脱水行程(詳細省略)を行う。
【0028】
ステップ120で光励起抗菌材発生手段48を動作し光励起作用を有する光励起抗菌材を溶出させて水に添加し、回転ドラム24内に投入して、回転ドラム24内の衣類に付着させ、第1すすぎ行程と同様に、強い酸化力によってさらに効果的な除菌を行う。ステップ121で給水を行い、ステップ122で水位が所定のすすぎ水位(例えば140mm)であるか否かを判断し、所定水位であればステップ123に移り、すすぎ撹拌を行う。所定水位でなければステップ121に戻り給水を継続する。ステップ124にてすすぎ時間が所定時間T1(例えば3分)に達しているか否かを判断し、達していれば第2すすぎ行程を終了し、回転ドラム24を停止する。達していなければ、ステップ123に戻り、すすぎ撹拌を継続する。ステップ126で光照射手段50を停止する。
【0029】
以上のように、光励起抗菌作用を有する抗菌材を用いて、水受け槽26に供給された光励起抗菌材添加水を含浸した洗濯物に紫外光から可視光の波長の光を照射することで、水に溶出した光励起抗菌材により洗濯物に付着している細菌を除菌・抗菌するとともに、洗濯物に付着した光励起抗菌材および水受け槽26内に供給された光励起抗菌材添加水に光照射手段50から放射される紫外光から可視光を照射することによって、光触媒反応で放出された電子を水分子と反応させ、除菌作用の大きいヒドロキシラジカルあるいはスーパーオキシド等の活性酸素種を生成し、これらの強い酸化力によってさらに効果的な除菌を行う際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、柔軟剤が光励起抗菌材を吸着して、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やすことができ、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【0030】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態のドラム式洗濯機の要部動作フローチャートである。本実施の形態2の縦断面図、ブロック制御回路図、入力設定手段および表示手段は、実施の形態1と同じであり、図1、図2および図3を使用して説明する。
【0031】
制御手段44は、少なくとも3回以上のすすぎ行程を有し、柔軟剤を最後のすすぎから1回前のすすぎ行程で前記回転ドラム内に投入したものである。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0032】
上記構成において、図5を参照にして動作を説明する。なお実施の形態1と同じ部分は省略する。
【0033】
ステップ107の洗濯行程が終了すると、ステップ108で第すすぎ行程に入り、排水を行う。ステップ109にて脱水行程(詳細省略)を行った後、ステップ110にて給水する。ステップ111で水位が所定のすすぎ水位(例えば140mm)にであるか否かを判断し、達していた場合はステップ112にてすすぎ撹拌を行う。達していなかった場合はステップ110にもどり給水を継続する。ステップ113にて、すすぎ時間が所定時間T1(例えば3分)に達しているか否かを判断し、達している場合はステップ114で回転ドラム24を停止して、第1すすぎ行程を終了する。達していない場合は、ステップ112に戻りすすぎ撹拌を継続する。次のステップ115にて、第2すすぎ行程に入る。以降の第2すすぎ行程および第3すすぎ行程は実施の形態1の第1すすぎ行程および第2すすぎ行程を同じ内容であるため、省略する。
【0034】
以上のように、少なくとも3回以上のすすぎ行程を有し、柔軟剤を最後のすすぎから1回前のすすぎ行程で回転ドラム24内に投入し、光励起抗菌材添加水を最後の2回のすすぎ行程で回転ドラム24内に投入するようにしたものであり、1回目にすすぎを追加することで洗濯物に残存する洗剤成分量を低減することで、洗剤分と柔軟剤が吸着して発生をしやすい衣類の黄ばみ、黒ずみを低減し、またすすぎ水中に残存する洗剤成分により阻害されることなく柔軟剤、抗菌材を洗濯物に付着させることができるため、衣類の黄ばみ、黒ずみを低減しながら、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【0035】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態のドラム式洗濯機の要部動作フローチャートである。本実施の形態2の縦断面図、ブロック制御回路図、入力設定手段および表示手段は、実施の形態1と同じ、図1、図2および図3を使用して説明する。
【0036】
図1、図2および図3に示すように、制御手段44は、光励起抗菌材添加水を前記回転ドラム内に投入する2回のすすぎ行程のすすぎ撹拌時間を、光励起抗菌材添加水を投入しない最後の2回のすすぎ行程より前のすすぎ行程におけるすすぎ撹拌時間より長く設定したものである。その他の動作は、実施の形態2と同じである。
【0037】
上記構成において、図6を参照にして動作を説明する。なお、実施の形態1および2と同じ部分は省略する。
【0038】
ステップ115で第2すすぎ行程に入り、排水を行い、ステップ116で脱水行程(詳細省略)を行う。ステップ117で回転ドラム24内に柔軟剤の給水を行い、ステップ118で光励起抗菌材発生手段48を動作し光励起作用を有する光励起抗菌材を溶出させて水に添加し、回転ドラム24内に投入して、回転ドラム24内の衣類に付着させる。ステップ119にて、給水後に、衣類に付着している光励起抗菌材に光照射手段50から放射される紫外光から可視光を照射することによって、光触媒反応で放出された電子を水分子と反応させ、除菌作用の大きいヒドロキシラジカルあるいはスーパーオキシド等の活性酸素種を生成し、これらの強い酸化力によってさらに効果的な除菌を行う。
【0039】
ステップ120で給水を行い、ステップ121で水位が所定のすすぎ水位(例えば140mm)であるか否かを判断し、所定水位であればステップ122に移り、すすぎ撹拌を行う。所定水位でなければステップ120に戻り給水を継続する。ステップ123にてすすぎ時間が第1すすぎ行程のすすぎ所定時間T1(例えば3分)より長く設定された所定時間T2(例えば6分)に達しているか否かを判断し、達していれば第2すすぎ行程を終了し、回転ドラム24を停止する。達していなければ、ステップ122に戻り、すすぎ撹拌を継続する。ステップ125で第3すすぎ行程に入る。
【0040】
以上のように、光励起抗菌材添加水を回転ドラム24内に投入する2回のすすぎ行程のすすぎ撹拌時間を、光励起抗菌材添加水を投入しないすすぎの撹拌時間より長く設定したことで、回転ドラム24内に給水された光励起抗菌材添加水が衣類に接触する時間を長くすることで光励起抗菌材の衣類の付着量を増やし、なおかつ、光照射手段50から放射される紫外光から可視光を照射する時間を長くすることによって、光触媒反応を向上し、さらに効果的に、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明のドラム式洗濯機は、低濃度の光励起抗菌材で洗濯物を除菌、抗菌処理する際に、柔軟剤を光励起抗菌材より先に投入することで、光励起抗菌材の衣類への付着量を増やし、より細菌やカビ類に対して幅広い除菌、抗菌効果を示すことができるようにしたもので、乾燥機能のついたドラム式洗濯機にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の縦断面図
【図2】同ドラム式洗濯機のブロック回路図
【図3】同ドラム式洗濯機の入力設定手段および表示手段の拡大正面図
【図4】同ドラム式洗濯機の要部動作フローチャート
【図5】本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機の要部動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態3におけるドラム式洗濯機の要部動作フローチャート
【図7】従来のドラム式洗濯機の縦断面図
【符号の説明】
【0043】
24 回転ドラム
48 光励起抗菌材発生手段
50 光照射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に第1の開口部を有し水平方向または傾斜方向に回転軸を有する有底円筒状の回転ドラムと、前記第1の開口部に対応する第2の開口部を有し前記回転ドラムを回転自在に内包する有底円筒状の水受け槽と、前記水受け槽を揺動可能に支持し前記第1の開口部および第2の開口部に対応する第3の開口部を有する洗濯機本体と、前記洗濯機本体に設けられ前記回転ドラム内への洗濯物の出し入れのために第3の開口部を開閉する扉体と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記水受け槽内への洗濯水の給水を制御する給水手段と、水受け槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段と、光励起作用を有する光励起抗菌材が溶出して水に添加された光励起抗菌材添加水を前記回転ドラム内に供給する光励起抗菌材発生手段と、前記回転ドラム内に光を照射する光照射手段と、前記水位検知手段からのデータを入力し前記モータ、給水手段および排水手段等を制御して一連の洗濯、すすぎ、脱水動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも2回連続したすすぎ行程を有し、柔軟剤を第1のすすぎ行程で前記回転ドラム内に投入した後、前記光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および前記光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を少なくとも最後の2回のすすぎ行程で実行するようにしたドラム式洗濯機。
【請求項2】
制御手段は、少なくとも3回以上のすすぎ行程を有し、柔軟剤を最後のすすぎ行程から1回前のすすぎ行程で回転ドラム内に投入した後、光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を少なくとも最後の2回のすすぎ行程で実行するようにした請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
制御手段は、光励起抗菌材発生手段による光励起抗菌材添加水の前記回転ドラム内への投入および光照射手段による前記回転ドラム内への光の照射を実行する最後の2回のすすぎ行程におけるすすぎ撹拌時間を、前記最後の2回のすすぎ行程より前のすすぎ行程におけるすすぎ撹拌時間より長く設定した請求項2に記載のドラム式洗濯機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−77745(P2009−77745A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247047(P2007−247047)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】