説明

ナースコール親機

【課題】 設置スペースを抑えつつ、医療従事者が患者からの呼び出しを確認することに影響を与えずに、医療従事者が自身の顔を確認できるようにする。
【解決手段】 ナースコール子機による呼び出しが行われた場合に、報知画像が表示部6に表示され、ハンドセット7のオンフックが検出部8によって検出されると、カメラ5によって撮影された撮影画像が所定時間だけ表示部6に表示されるので、患者からの呼び出しの報知の表示を行うための表示装置と医療従事者が顔を確認するための表示を行う表示装置とを共通とすることができ、設置スペースを抑えることができる。また、ハンドセット7のオンフックが検出部8によって検出された場合に、カメラ5によって撮影された撮影画像が所定時間だけ表示部6に表示されるので、医療従事者が患者からの呼び出しを確認することに影響を与えずに、医療従事者は自身の顔を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者から看護師などの医療従事者への呼び出し、および、医療従事者から患者への呼び出しを行うナースコールシステムにおけるナースコール親機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナースコールシステムは、呼出ボタンを有するナースコール子機を各病室内の各病床の近傍に設置するとともに、看護師などの医療従事者が常駐するナースセンターにナースコール親機を設置している。そして、患者がナースコール子機の呼出ボタンを操作した場合に、ナースコール子機はナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機は呼び出しの発生を報知するようにしている。ここで、ナースコールシステムは、病院だけではなく、介護施設などでも使用される。
【0003】
ナースコール親機には、LED(light-emitting diode)などのランプと患者氏名を表示する表示欄とを備えた選局部を患者の数に応じて組み合わせたボード形のものと、液晶ディスプレイなどの表示装置上に入院患者の患者氏名を一覧表示し、呼び出しが行われた場合に呼び出しを報知するためのポップアップ画面を表示するコンピュータ形のものが存在している。また、ボード形のナースコール親機に液晶ディスプレイなどの表示装置を設けることも知られている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
また、これらの何れの形のナースコール親機であっても、医療従事者が患者からの呼び出しに対して応答して通話するためのハンドセットが設置されている。このようなナースコールシステムを使用する病院では、ハンドセットで患者の呼び出しに応答した医療従事者が患者の居る病室に行って対応することが多い。
【0005】
ところで、患者に対応する医療従事者が深刻な表情であったり仏頂面であったりすると、患者に不安を与えたり患者を不快にさせたりしてしまうという問題があった。そのため、ハンドセットで患者の呼び出しに応答した医療従事者が、そのまま患者の居る病室に行って対応する可能性が高いことを考慮し、ナースコール親機のハンドセットの近傍に鏡を取り付けて、医療従事者が自身の顔を鏡で確認できるようにすることが考えられる。また、ナースコール親機の前に立つ医療従事者の顔を撮影するカメラを設置し、ナースコール親機の近傍にカメラで撮影した画像を表示する表示装置を取り付けて、医療従事者が自身の顔を表示装置で確認できるようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−4302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した鏡を設置する場合であっても、表示装置を設置する場合であっても、ある程度の設置スペースが必要になるため、ナースセンターによっては設置が困難になってしまうという問題があった。このような問題を解決するために、コンピュータ形のナースコール親機の表示装置や、ボード形のナースコール親機の表示装置にカメラによって撮影した画像を表示することが考えられる。
【0008】
しかしながら、コンピュータ形のナースコール親機の表示装置やボード形のナースコール親機の表示装置は、呼び出し報知するためのポップアップ画面を表示するためのものであるため、表示装置に医療従事者の顔画像を表示することは、医療従事者が患者からの呼び出しを確認することを困難にしてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、設置スペースを抑えつつ、医療従事者が患者からの呼び出しを確認することに影響を与えずに、医療従事者が自身の顔を確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明では、ハンドセットの使用者を撮影するカメラと、患者からの呼び出しを報知するための表示を行うとともにカメラで撮影した画像を表示する表示装置とを設け、患者からの呼び出しがあった場合に呼び出しの報知を表示装置に表示させ、ハンドセットをオンフックした場合にカメラで撮影した画像を表示装置に表示させるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、患者からの呼び出しの報知の表示を行うための表示装置と医療従事者が顔を確認するための表示を行うための表示装置とを共通としているので、設置スペースを抑えることができる。また、患者からの呼び出しが報知されている場合には、表示装置により報知の表示が行われ、医療従事者が患者からの呼び出しに応答し終わってハンドセットがオンフックされた場合には、表示装置に医療従事者の顔画像が表示されるので、医療従事者が患者からの呼び出しを確認することに影響を与えずに、医療従事者は自身の顔を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態によるナースコール親機の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナースコール親機の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコール親機1の構成例を示すブロック図である。図1に示すナースコール親機1は、医療従事者が常駐するナースセンターなどに設置され、医療従事者によって使用される。また、ナースコール親機1は、患者によって使用されるナースコール子機(図示せず)を接続している。ここで、ナースコール子機は、病院の施設内に複数設置されており、各患者の病床近傍にそれぞれ設置されている。また、ナースコール親機1は、制御部2、インターフェース3、記憶部4、カメラ5、表示部6、ハンドセット7、検出部8を備えて構成されている。
【0014】
制御部2は、ナースコール親機1の各構成要素を制御するためのものであり、CPU(Central
Processing Unit)などにより構成されている。インターフェース3は、ナースコール親機1とナースコール子機とを接続して通信を行うためのものである。ここで、ナースコール親機1とナースコール子機との間の通信は、有線や無線によって行われる。また、ナースコール親機1とナースコール子機との間には、ナースコール子機からの呼び出しを表示したり、病室内の患者の氏名などを表示したりする廊下灯(図示せず)が接続されている。また、ナースコール親機1とナースコール子機との間には、ナースコール親機1およびナースコール子機の間の通話やデータの送受信に関する制御を行う制御機(図示せず)が接続されている。
【0015】
記憶部4は、メモリやハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されており、各ナースコール子機が設置されているベッド番号や各ナースコール子機を使用する患者の氏名などの患者情報をナースコール子機の子機識別情報に関連付けて記憶している。また、記憶部4は、ナースコール子機による呼び出しを報知するための報知画面の背景画像を示す画像データを記憶している。カメラ5は、ナースコール親機の略正面に立った医療従事者の顔を撮影し、撮影した撮影画像を示す撮影画像データを制御部2へ出力する。
【0016】
表示部6は、液晶ディスプレイなどにより構成されており、前述した背景画像に患者情報を合成した報知画像や撮影画像、その他の画像を表示する。ここで、その他の画像としては、ナースコール親機1を設定する際の設定画像や特定のナースコール子機を選択するための選択画像などがある。ハンドセット7は、医療従事者がナースコール子機を使用している患者と通話するためのものであり、内部にマイクロホンおよびスピーカを内蔵している。検出部8は、ハンドセット7がオフフックされているかオンフックされているかを検出するためのものであり、フックボタンや赤外線センサなどにより構成される。ここで、ハンドセット7は有線や無線によりナースコール親機1に接続されている。また、医療従事者がハンドセット7をオフフックしたりオンフックしたりするためには、医療従事者はナースコール親機1の略正面に立つ必要がある。
【0017】
患者がナースコール子機により呼び出しを行うと、ナースコール子機は、自装置の子機識別情報を含む呼出信号を生成してナースコール親機1に出力する。ナースコール親機1では、インターフェース3が呼出信号を入力し、制御部2は、記憶部4を参照して子機識別情報に関連付けて記憶されている患者情報を抽出する。また、制御部2は、背景画像データを記憶部4から読み出し、抽出した患者情報を合成して報知画像データを生成する。そして、制御部2は、図2(a)に示すように、報知画像(ここでは、ベッド番号を患者情報としている)を表示部6に表示させる。ここで、図示しない報知部が報知音を鳴らすことで、ナースコール親機1から離れた場所に居る医療従事者にもナースコール子機による呼び出しが行われたことを報知している。
【0018】
報知を確認した医療従事者は、ナースコール親機1の略正面に立ち、表示部6に表示されている報知画像を確認する。報知画像を確認した医療従事者は、ハンドセット7を取り上げる。すると、検出部8は、ハンドセット7のオフフックを検出する。ハンドセット7のオフフックが検出部8によって検出されると、制御部2は、ナースコール子機との間で通話路を形成する。これにより、医療従事者はハンドセットを用いて患者と会話することが可能となる。また、ハンドセット7のオフフックが検出部8により検出された場合には、制御部2は、表示部6に表示されている報知画像の代わりに、通話中であることを示す画像などを表示部6に表示させることもできる。
【0019】
患者との会話が終了し、医療従事者がハンドセット7を元の位置に戻すと、検出部8は、ハンドセット7のオンフックを検出する。ハンドセット7のオンフックが検出部8によって検出されると、制御部2は、カメラ5を動作させる。カメラ5は、ナースコール親機1の略正面に立っている医療従事者の顔を撮影し、撮影画像データを制御部2に出力する。すると、制御部2は、図2(b)に示すように、入力した撮影画像データに基づいて、撮影画像を表示部6に所定時間(例えば、10秒間など)表示させる。医療従事者は表示部6に表示された撮影画像(医療従事者の顔)を確認して、深刻な表情であったり仏頂面であったりした場合には、表情を整えることができる。ここで、制御部2は、検出部8がハンドセット7のオフフックを検出した後にオンフックを検出した場合に上述した制御を行っている。従って、ナースコール親機1からナースコール子機を呼び出したような場合でも、撮影画像が表示部6に表示されることになる。
【0020】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、ナースコール子機による呼び出しが行われた場合に、報知画像が表示部6に表示され、ハンドセット7のオフフックが検出部8によって検出された後に、ハンドセット7のオンフックが検出部8によって検出されると、カメラ5によって撮影された撮影画像(医療従事者の顔画像)が所定時間だけ表示部6に表示されるので、患者からの呼び出しの報知の表示を行うための表示装置と医療従事者が顔を確認するための表示を行う表示装置とを共通とすることができ、設置スペースを抑えることができる。また、ハンドセット7のオンフックが検出部8によって検出された場合に、カメラ5によって撮影された撮影画像が所定時間だけ表示部6に表示されるので、医療従事者が患者からの呼び出しを確認することに影響を与えずに、医療従事者は自身の顔を確認することができる。
【0021】
なお、前述した実施形態では、制御部2は、検出部8がオンフックを検出してからカメラ5を動作させているが、これに限定されない。例えば、制御部2は常時カメラ5を動作させておいても良いし、検出部8がオフフックを検出した時点でカメラ5を動作させるようにしても良い。これにより、制御部2などの処理速度が遅いような場合でも、制御部2は、検出部8がオンフックを検出すると略同時に撮影画像を表示部6に表示させることができる。
【0022】
また、前述した実施形態では、医療従事者が自身の顔を確認するためだけに撮影画像を使用しているが、これに限定されない。例えば、ナースコール子機からの呼び出しに応答した医療従事者を特定するための履歴情報に撮影画像を使用するようにしても良い。これにより、不特定多数の医療従事者が使用するナースコール親機1でのナースコール子機からの呼び出しへの対応者を特定することができる。
【0023】
また、前述した実施形態では、制御部2は撮影画像を表示部6に所定時間だけ表示させているが、これに限定されない。例えば、ナースコール親機1に設けた確認ボタンを操作するまで撮影画像を表示部6に表示させるようにしても良い。これにより、医療従事者が自身の顔画像を確認し忘れることが少なくなる。
【0024】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ナースコール親機
2 制御部
3 インターフェース
4 記憶部
5 カメラ
6 表示部
7 ハンドセット
8 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール子機との間で通話を行うためのハンドセットと、
前記ハンドセットがオフフックされているかオンフックされているかを検出する検出部と、
前記ハンドセットの使用者を撮影するカメラと、
前記ナースコール子機による呼び出しを報知するための報知画像、または、前記カメラで撮影された撮影画像を表示する表示部と、
前記ナースコール子機による呼び出しがあった場合に、前記表示部に前記報知画像を表示させ、前記検出部が前記オフフックを検出してから前記オンフックを検出した場合に、前記表示部に前記撮影画像を所定時間表示させる制御部と、
を備えたナースコール親機。

【図1】
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【図2】
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