説明

ネットワークノードアーキテクチャのモジュール式適応および構成

【課題】複数の実行可能なノード種別のうちの1つにおいて機能するようにネットワークノードアーキテクチャをモジュール式に適応させるシステム、装置および方法を提供する。
【解決手段】アーキテクチャは、構成可能スイッチング素子、集積光学素子、およびノードの「種別」をベースアーキテクチャ内で適応並びに構成させる複数のモジュールを含む。本モジュールインターフェースは、光または電気インターフェースであってもよく、再生器、アッド/ドロップノード、終端ノード、および同一のベースアーキテクチャを使用する多重ノード等、種々の様々なノード種別を構築するために使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には光通信ノードアーキテクチャおよび構成に関するものであり、より詳細には、アーキテクチャを光システム内で特定の種別のネットワークノードとして動作するようにする、モジュール式適応に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の社会における光通信技術の重要性は、十分理解されている。光ネットワークは、非常に遠距離の場所にも、大容量の情報を高速で伝送することが可能である。長距離またはメトロリング光ネットワークの場合、複数のチャネルまたは波長を同時に多重化し、相対的に長距離に伝送可能な光ファイバケーブルに通される。その多波長から成る光信号は、送信先に到達するまで光ファイバケーブル内を伝播する。信号は逆多重化され、各波長は送信先ノードで更に処理が行われる。
【0003】
光ネットワークは、様々な種別の波長分割多重方式(「WDM」)アーキテクチャおよび/または構成を使用して構築可能である。これらのネットワークは、多数の光伝送路から成り、各伝送路は、ノードによって分割される複数の光リンクを一般に有する。これらのノードは、その複数のリンク上でトラフィックの再生、伝送、切り替え、集約または処理を行う。
【0004】
図1は、例示的な線形または二地点間WDMネットワークアーキテクチャを示す。本ネットワークは、光伝送路によって接続された第一の終端ノード110および第二の終端ノード120を含む。終端ノード110、120は、WDMインターフェースおよび分岐インターフェースを有する。光伝送路は、双方向光増幅器130および再生器ノード140等の多数の中間ノードを含み、伝送路の設計に応じて他のノードを含めてもよい。増幅器ノードは、信号劣化による他の信号補正をせずに、WDM信号を再増幅する。アッド/ドロップ(add/drop)ノード150を含め、伝送路に光チャネルを追加および/またはそこから光チャネルを分岐させてもよい。
【0005】
クライアント装置から生じる光または電気信号は、第一の終端ノード110で受信され、フレームカプセル化方式に従ってカプセル化され、WDM信号として光伝送路上を伝送される。光信号は、その送信先に応じて、第二の終端ノード120または中間アッド/ドロップノード150に到達するまで、中間ノード130、140、150によって増幅、切り替えまたは処理されてもよい。第二の終端ノード120において、クライアント信号は、WDM信号から非カプセル化され、光または電気信号として様々なクライアント装置に配信される。
【0006】
図2は、例示的なメトロエリア(metro area)光リングネットワークアーキテクチャを示す。メトロリングは、リングネットワークにチャネルを追加またはそこからチャネルを分岐する多数のアッド/ドロップノード210、260、270を含む。例えば、第一のアッド/ドロップノード210は、チャネルを分岐し、そのチャネルを伝送してもよいが、その際に分岐トラフィックを更に処理するクライアント装置にノード210を連結する分岐インターフェースを使用してもよい。また、第一のアッド/ドロップノード210は、クライアント装置からの分岐信号をWDM信号に追加してもよい。
【0007】
また、本リングは、エルビウムドープファイバ増幅器(「EDFA」)等の光増幅器220、230、あるいは種々の技術を使用して光信号を再生および修復する再生器ノード240、250を含んでもよい。メトロリング内の光伝送路は、一般的には、長距離伝送路よりも短い。
【0008】
図3は、多重リングネットワークを示し、そこでは二次リングネットワークが一次リングネットワークに連結され、ネットワークトラフィックが2つのリングネットワーク間を流れるようになっている。本ネットワークは、二次リング310を一次リング315に接続するための多重伝送スイッチングノード320、330を含む。多重ノード320、330は、2つ以上のWDMインターフェースを提供し、WDM信号の一部を他方のWDMインターフェースに転送するが、更にアッド/ドロップ機能を提供してもよい。従って、本多重スイッチングノードは、二次リング310のサイト間の切り替えを行う一方で、二次リングと一次リング315の双方向のクライアント信号を切り替える。他の様々な接続形態は、該相互接続リングによって可能となり、本多重ノードの採用によって線形接続が可能である。
【0009】
再生器ノード140、240、250は、1つのノードWDMインターフェースから多波長WDM信号を受信し、伝送中にその信号に生じた信号劣化およびひずみを補正し、ノードから伝送するための別のノードWDMインターフェースにその補正信号を転送する。信号再増幅(信号レベルの上昇)、信号再成形(ひずみパルスの形状を好適な方形パルス形状に変更)および信号再同期(信号ジッタおよび経時的パルス位置関係を除去または低減)等の本信号補正は、再生器ノード140、240、250を介して双方向で行われる。
【0010】
アッド/ドロップノード150、210、260、270は、多重チャネル光信号を受信し、その信号を分割し、着信WDM信号の所与の一部が、「イーストアンドウェスト(East and West)」トラフィックと称される2つの異なるノードWDMインターフェース間のノードを通過するようにする。着信WDM信号の別の一部を、分岐インターフェースで分岐し、分岐インターフェースまたはクライアント装置のインターフェースへ送出してもよい。WDM信号の残余分は、クライアント装置から送信されるクライアント信号であってもよく、そのノードを通過するWDM信号に追加されてもよい。アッド/ドロップノードは、信号グルーミングとして公知の付加機能性を提供し得、着信信号の一部が、ノードを通過するWDM信号の一部と結合または多重化される前に、他の伝送波長またはその波長内の他のタイムスロットに再調整されるようにしてもよい。
【0011】
終端ノード110、120は、単一WDMインターフェースのみを必要とするアッド/ドロップノードの回帰例を含む。本ノードにおいて、WDM信号は、ノードのライン側で逆多重化または多重化され、各光信号は、クライアント装置に接続されている分岐側へ提供または分岐側から受信される。
【0012】
再生器ノード、アッド/ドロップノードおよび終端ノードは、別々のアーキテクチャを有し、それぞれ特定の機能を果たすことが可能である。これらノードは、一般的には、特定の種別のノードとして専ら動作するように設計および構成される。従って、アッド/ドロップ機能または終端ノード動作を提供するために、再生器ノードは容易に再構成され得ない。比較的に、終端ノードは、再生器ノードとして動作するようには、容易に再構成され得ない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の実行可能なノード種別のうちの1つにおいて機能するようにネットワークノードアーキテクチャをモジュール式に適応させるシステム、装置および方法を提供する。本アーキテクチャは、構成可能スイッチング素子、および可能性としては集積光学素子および種々の種別のインターフェースを有する複数のモジュールを備え、ノードのアーキテクチャ構成をベースアーキテクチャ内で適応させることが可能である。スイッチング素子は、ノードアーキテクチャの設計に応じて、中央に配置するか、または分散させてもよい。本モジュールインターフェースは、光または電気インターフェースであってもよく、再生器、アッド/ドロップノード、終端ノード、および同一のベースアーキテクチャを使用する多重ノード等、種々の異なるノード種別を構築するために使用してもよい。
【0014】
ベースアーキテクチャは、ノードを特定のアーキテクチャおよび機能に適応させるために種々の種別のモジュールを受容するように提供される。また、種々の機能は、ベースアーキテクチャ内で一般的モジュールを構成または再構成することによって達成させてもよい。一実施形態において、本ベースアーキテクチャは、スイッチング素子、バックプレーン、およびモジュールを挿入可能な複数のスロットを備えるベースシャーシアーキテクチャである。これらモジュールは、伝送設備ネットワークと光学的に接続する光ラインモジュール、クライアント装置と電気的または光学的に接続する分岐モジュール、あるいはノード構成の適応に使用可能な他の種別のモジュールであってもよい。
【0015】
本発明の種々の実施形態において、ベースアーキテクチャは、そこに挿入されているモジュールの種別および関連特性を特定するように設計されている。例えば、分岐ラインモジュールは、ベースアーキテクチャによって検知されてもよく、従って分岐ラインモジュールの種々の特性がノードシステム内で関連づけられ、使用される。他の種々の実施形態において、モジュールは、ベースアーキテクチャ内に手動で提供され、および/またはそれに伴って構成されてもよい。
【0016】
モジュールをベースアーキテクチャ内に挿入後、適応されたノードアーキテクチャは、特定の種別のノードとして機能するように構成される。本構成には、ノードアーキテクチャ内のポート間規定経路を含め、トラフィックの切り替えまたは処理が行われるようにしてもよい。本構成過程は、自動または手動で実施され得る。
【0017】
ベースシャーシアーキテクチャは、ケーブル配線または光インターフェースの要件を最小限にし、よりコスト効率の良い低消費設計を可能にする一方で、信頼性を高めることができる。集積光素子の使用等の他の設計改善により、コストは更に削減可能となり、デジタルノードはより利用可能となる。別の利点として、ノードは、実際のノード動作中にリアルタイムで動的に適応および/または構成されることができる。本動的適応は、停電やノードの動作停止なく、第一の種別のノードを第二の種別のノードに変換するステップを含むことができ、ノード内の影響を受けない経路は妨害されることはない。例えば、再生器ノードは、本変換過程中にノードを閉鎖することなくアッド/ドロップノードに変換することができる。
【0018】
信号の出力先変更は電気領域内でのみ生じるため、いずれのWDM伝送路も、経路内のノードの変換過程によって影響を受けないということはない。従って、経路内の再生器ノード上の実行可能なアッド/ドロップ機能が再構成または変更されるため、WDM経路は妨害されない。本特徴によって、光経路が有効化され、および/または将来的ノード構成に対する予備情報なしでも、アッド/ドロップ回路が設定される前に、あるいはノードが再構成される前に一定の時間監視される。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明から明らかとなる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
複数の様々なアーキテクチャで構成され得るモジュール式ノードシステムであって、
複数のインターフェース間で提供可能な電気的接続を可能にするスイッチング素子を有するベースアーキテクチャと、
該ベースアーキテクチャ内で複数のモジュールを電気的に連結する複数のモジュールレセプタと
を備え、
複数の様々なノードアーキテクチャ種別は、該複数のモジュールレセプタ内で提供および構成されるモジュールに応じて構成可能であって、該ベースアーキテクチャは、該構成の間構造的に修正されない、システム。
(項目2)
前記ベースアーキテクチャは、複数の電子インターフェースラインとインターフェースするバックプレーンを更に備えるベースシャーシアーキテクチャである、項目1に記載のシステム。
(項目3)
複数の光ラインモジュールが前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
複数の電気ラインモジュールが前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記モジュール式ノードシステムは、少なくとも1つのモジュールが前記ベースシャーシ内に挿入された後、ネットワークオペレータによって構成される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記構成は、前記ネットワークオペレータによって遠隔で実施される、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記モジュール式ノードシステムは、少なくとも1つのモジュールが前記ベースシャーシ内に挿入された後、自動的に構成される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
アッド/ドロップノードは、前記ベースアーキテクチャ、第一の組のラインモジュール、第二の組のラインモジュール、および一組の分岐モジュールを使用して構成される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
終端ノードは、前記ベースアーキテクチャ、一組のラインモジュール、および一組の分岐モジュールを使用して構成される、項目1に記載のシステム。
(項目10)
再生器ノードは、前記ベースアーキテクチャ、第一の組のラインモジュール、および第二の組のラインモジュールを使用して構成される、項目1に記載のシステム。
(項目11)
多重スイッチングノードは、前記ベースアーキテクチャ、第一の組のラインモジュール、第二の組のラインモジュール、および第三の組のラインモジュールを使用して構成される、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記多重スイッチングノードは、更に一組の分岐モジュールを備える、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記ベースアーキテクチャは、分散型スイッチング素子を備える、項目11に記載のシステム。
(項目14)
ネットワークノードを特定のアーキテクチャ構成にモジュール式に適応させる方法であって、
複数のインターフェース間で提供可能な電気的接続を可能とするスイッチング素子を有するベースアーキテクチャを提供するステップと、
該複数のインターフェース内で少なくとも1つのモジュールを少なくとも1つのインターフェースに電気的に接続するステップと、
該ベースアーキテクチャおよび該少なくとも1つのモジュールをネットワークノードの種別として機能するように構成するステップと
を備え、
該ネットワークノードの種別は、複数の様々なノードアーキテクチャ構成から選択され得、該ベースアーキテクチャは、いずれのノードアーキテクチャ構成の間も構造的に修正されない、方法。
(項目15)
前記ベースアーキテクチャは、前記少なくとも1つのモジュールに結合されている複数の電気インターフェースと連結するバックプレーンを更に備える、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記少なくとも1つのモジュールは、伝送設備に光学的に連結する一組のラインモジュールおよびクライアント装置に連結する一組の分岐モジュールを備える、項目14に記載の方法。
(項目17)
第一の組のラインモジュールおよび一組の分岐モジュールは、終端ノードアーキテクチャを構築するために前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目14に記載の方法。
(項目18)
第二の組のラインモジュールは、前記終端ノードアーキテクチャをアッド/ドロップノードアーキテクチャに適応させるために前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目17に記載の方法。
(項目19)
第三の組のラインモジュールは、前記アッド/ドロップノードアーキテクチャを多重スイッチングノードアーキテクチャに適応させるために前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目18に記載の方法。
(項目20)
第一の組のラインモジュールおよび第二の組のラインモジュールは、再生器ノードアーキテクチャを構築するために前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目14に記載の方法。
(項目21)
一組の分岐モジュールは、前記再生器ノードアーキテクチャをアッド/ドロップノードアーキテクチャに適応させるために前記ベースアーキテクチャ内に挿入される、項目20に記載の方法。
(項目22)
複数の実行可能な様々なアーキテクチャ内の第一のアーキテクチャにおいて構成されるモジュール式ノードシステムであって、
複数の電子インターフェース間で電気信号を切り替えるスイッチング素子を有するベースアーキテクチャと、
該複数の電子インターフェースに連結された複数のモジュールであって、ネットワークトラフィックを送受信し、複数のモジュールのうちの少なくとも一部がモジュール内に光領域と電気領域との間で変換する集積光学素子を有する、複数のモジュールと
を備え、
該複数の実行可能な様々なノードアーキテクチャは、該複数のモジュール内のモジュールの種別に応じて構成され、
該ベースアーキテクチャは、該複数の実行可能な様々なノードアーキテクチャと結合される構成の間、構造的に修正されない、ノード。
(項目23)
前記集積光学素子が光集積回路である、項目22に記載のノード。
(項目24)
前記複数のモジュールを前記複数の電子インターフェースに連結するバックプレーンを更に備える、項目22に記載のノード。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図(「図1」)は、例示的な二地点間ネットワーク接続を示す。
【図2】図2は、例示的なメトロリングネットワークアーキテクチャを示す。
【図3】図3は、一次リングと二次リングを接続する例示的な多重ノードスイッチアーキテクチャを示す。
【図4】図4は、本発明の種々の実施形態によるモジュール式アッド/ドロップノードアーキテクチャ構成を示す。
【図5】図5は、本発明の種々の実施形態によるモジュール式終端ノードアーキテクチャ構成を示す。
【図6】図6は、本発明の種々の実施形態によるモジュール式再生器ノードアーキテクチャ構成を示す。
【図7】図7は、本発明の種々の実施形態によるモジュール式多重スイッチングノードアーキテクチャ構成を示す。
【図8】図8は、本発明の種々の実施形態による他のモジュール式多重スイッチングノードアーキテクチャ構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について説明がなされ、その実施例は添付する図面において図示される。本図は、例示を目的にしたものであり、限定的なものではない。本発明は、一般的にはこれら実施形態に関連して記載されるが、本発明の範囲はこれら特定の実施形態に限定するものではないことは理解されるであろう。
【0021】
本発明は、複数の実行可能なノード種別のうちの1つにおいて機能するようにネットワークノードアーキテクチャをモジュール式に適応させるシステム、装置および方法を提供する。本アーキテクチャは、構成可能スイッチング素子、および可能性としては集積光学素子および種々の種別のインターフェースを有する複数のモジュールを備え、ノードのアーキテクチャ構成をベースアーキテクチャ内で適応させることが可能である。本モジュールインターフェースは、光または電気インターフェースであってもよく、再生器、アッド/ドロップノード、終端ノード、および同一のベースアーキテクチャを使用する多重ノード等、種々の異なるノード種別を構築するために使用してもよい。
【0022】
以下の記述は、本発明を理解するための説明を目的として記載される。しかしながら、本発明の実施形態(一部を以下に記載)が多数の様々なコンピュータシステムおよび装置に組み入れることが可能であることは、当業者に理解されることは明白である。本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアに含めることも可能である。以下の図に示される構造は、例示的な本発明の実施形態の実例であり、本発明が不明瞭となることの回避を目的としている。更に、図中の構成部間の接続は、直接的接続に限定されるものではない。むしろ、これら構成部間のデータは、中間構成部によって修正、再フォーマットまたは変更され得る。
【0023】
本明細書で参照される「一実施形態」、「一実施形態において」または「ある実施形態」等は、本実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、特性または機能が、少なくとも本発明の一実施形態に含まれることを意味する。本明細書中の種々の場所で使用される「一実施形態において」という記載は、同一の実施形態を必ずしも言及するものではない。
【0024】
(A.概要)
本発明の種々の実施形態は、ネットワークノードを特定の所望のノード構成に効率的かつ動的に適応させる柔軟性を可能にする、事実上モジュール式である新しい伝送アーキテクチャを提供する。
【0025】
本発明の種々の実施形態において、ノードアーキテクチャは、スイッチング素子および種々の種別のラインモジュールを受容するスロットを有するシャーシを内蔵する。本モジュール式ノードアーキテクチャは、構成における柔軟性を提供し、ノードは、アッド/ドロップノード、再生器または多重ノード、あるいは終端ノードとして容易に構成可能である。
【0026】
アーキテクチャのモジュール性によって、顧客の設計、生産、購入および節約における共通性を実現する。顧客要件に応じて、様々な種別の分岐インターフェースをノードに追加またはそこから除去することができ、その分岐インターフェースに対して構成されているスイッチング素子も同様である。例えば、スイッチング素子は、データの帯域幅、各分岐インターフェースに提供される実際のデータ種別、および/またはデータの特定部分を制御してもよい。
【0027】
種々のモジュール式ノード素子は、光または電気ケーブル等のいかなる適切な手段を介しても操作可能に接続可能である。しかしながら、好適な実施形態においては、種々のモジュール式ノード素子は、シャーシ構造(以下、「ベースシャーシアーキテクチャ」という)、例えば、シャーシ内に配置されるスイッチング素子を有するバックプレーンを使用して、操作可能に相互に接続される。ベースシャーシアーキテクチャは、ケーブル配線または光インターフェースの要件を最小限にし、よりコスト効率の良い低消費設計を可能にする一方で、信頼性を高めることができる。集積光素子の使用等の他の設計改善により、コストは更に削減可能となり、デジタルノードはより利用可能となる。また、種々の数のシャーシ構造が、ノードアーキテクチャの一部として、バックプレーン等のハードウェアソリューション、あるいは光および/または電気ケーブルを介して、互いに接続可能である。
【0028】
別のモジュール素子に接続されたスイッチング素子を有する新しいノードアーキテクチャによって、スイッチング素子、WDMインターフェース、分岐インターフェースを、制御素子が総合的に監視および設定できるようになる。本アーキテクチャは、障害検出、在庫管理、構成、保護スイッチングにおいて異種制御素子を使用することによって、付加される複雑性および低信頼性を解消する。
【0029】
また、本発明の種々の実施形態において、モジュール式ノードアーキテクチャは、多数の伝送ノード間のグルーミングを提供する。必要に応じて、着信信号は、様々な波長を対象にすることが可能であり、可能性として、対側のラインインターフェースの波長内の様々なタイムスロットを対象にすることもできる。また、必要に応じて、モジュール式ノードアーキテクチャは、分岐接続に対し、局所スイッチングまたは「ヘアピン式」分岐を任意に提供可能である。これら種々の機能によって、モジュール式ノードは、特定のノードの構成方法に応じて、ネットワーク内で様々な種別のノードとして動作可能となる。
【0030】
本モジュール式ノードアーキテクチャによって、種々の種別の構成および動作が可能であることは、当業者には理解されよう。以下は、該構成の一例であるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
(B.モジュール式ノード構成)
図4は、アーキテクチャがアッド/ドロップノードとして構成される本発明の一実施形態を示す。アッド/ドロップノードは、WDM信号に情報を追加またはそこから情報を分岐する。本情報は、時分割多重化および統計的多重化形式等の多波長および/または波長の一部に含めてもよく、また光および電気の両インターフェース上を通信させてもよい。スイッチング素子440は、複数の電気ラインインターフェース430、445およびクライアント装置に接続する複数の分岐インターフェース435に連結する。該電気ラインインターフェース430、445は、特定の信号方向に応じて、光と電気領域間の信号を変換する変換器に連結される。マルチプレクサ465、470は、光チャネルをWDM光信号に多重化するように提供される。デマルチプレクサ410、480は、WDM光信号を光チャネルに逆多重化するように提供される。
【0032】
一般的ノードアーキテクチャは、WDMおよび分岐インターフェースラインモジュールをベースシャーシアーキテクチャ内に挿入させることによって、アッド/ドロップノードとして動作するように適応される。ノードは、ラインモジュールを受容し、これらモジュール上のネットワークトラフィックを送受信するシステムを構成する。従って、アッド/ドロップノードは、ベースシャーシアーキテクチャ内に適切なラインモジュールを設置し、形成されたシステムをアッド/ドロップノードとして動作するように構成することによって生成される。
【0033】
センサーおよび電気回路網は、ベースシャーシアーキテクチャ内に配置し、シャーシの特定のスロット内に挿入された場合に、モジュールの特定の特性を識別するようにしてもよい。例えば、分岐インターフェースモジュールは、スロット内に挿入されると検知され、特定のモジュールの特性がシステムによって識別される。一旦モジュールがシャーシ内に挿入されると、システムは、特定の種別のノードとして動作するよう構成されることが可能となる。例示的なアッド/ドロップノードを、以下に詳細に示す。
【0034】
伝送設備光ネットワーク内のノードインターフェース410、465、485、490は、それらに送信される光信号およびそれらから受信する光信号(入出力信号(I/O signal))を提供し、データストリームの一部である光信号は、ネットワーク上に伝送される。また、伝送設備は、双方向伝送方式を利用した単一ファイバインターフェースで構成することも可能である。ノード入出力信号は、N電気−光/光−電気インターフェース420、450およびN電子ラインインターフェース430、445を介して、交差接続440等のスイッチング素子に電気的に接続される。入出力信号は、N電子ラインインターフェースの対応する1つから発生するM電気信号を介して、スイッチング素子に提供される。
【0035】
各電気ラインインターフェース430、445は、Mの数が1以上である電気−光/光−電気インターフェース420、450へ/からのM電気信号をカプセル化/カプセル化の解除を行う。カプセル化には、順方向誤り訂正(「FEC」)オーバーヘッド並びに信号受信を向上させる電子分散補償等の他の信号処理技術や技法の追加および復号を含めてもよい。連続的ストリームをM電気信号へ変換することによって、より効率的スイッチングおよびより効率的所与の波長の多重化/逆多重化やサブ波長レベルでのグルーミングが可能になる。
【0036】
また、図4のノードアーキテクチャは、T個の分岐インターフェース435の1つに接続する電気信号Kを含む。それにより、分岐インターフェース435は、光または電気インターフェースを介してクライアント信号Lをクライアント装置に提供する。より詳細には、分岐インターフェースモジュール435は、電気信号Kの一部が、様々なネットワーク素子または信号処置装置に伝送またはそこから受信される電気または光信号である、単一クライアントインターフェース信号Lに変換されることを可能にする。従って、電気信号K(たとえば、KからK)のS個のグループが存在し、それらの信号は、分岐インターフェース435の1からTに提供され、これらは、クライアント信号を介して該信号をクライアントにインターフェースする。
【0037】
分岐インターフェース435は、いかなる好適手段によってもスイッチング素子に操作可能に接続可能であり、クライアントの所望の用途に応じて、柔軟性およびスケーリングを提供する。例えば、モジュール式分岐インターフェース435は、同数の信号Kをスイッチング素子440に提供するようにそれぞれ設計可能であり、1つ以上の付加モジュール式分岐インターフェースを本システムに単純に追加することによって、クライアントはより大きな帯域幅を追加することができる。また、分岐インターフェース435は、挿入時の分岐モジュールの種別、つまり接続するK電気信号の数を規定する種別を能動的に決定可能なシステムを介して、スイッチング素子440に接続され得る。
【0038】
スイッチング素子440は、光ネットワーク伝送設備とクライアントを含む様々なモジュール間の通信トラフィックを切り替える。スイッチング素子440は、ノードアーキテクチャ内のいずれかの所与の発信元から所与の送信先への信号経路を規定および提供する。これにより、各電気信号Mは、いずれかの電子ラインインターフェース/信号および他の電子ラインインターフェース/信号、またはいずれかの分岐インターフェース信号間を伝送される。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態によるモジュール式アーキテクチャノードの例示的な終端ノード構成を示す。終端ノードは、光伝送設備に接続するラインモジュールを挿入し、クライアント装置と接続する分岐ラインモジュールを挿入することによって適応される。ベースシャーシアーキテクチャは、挿入されたモジュールを受容し、その特性が定義され、それによって、終端ノードとして機能する。モジュールが挿入された後、アーキテクチャは、その経路を定義することによって、終端ノードとして機能するように構成され、そこで特定のネットワークトラフィックは、ノード上のポート間を流れる。上述のように、本構成過程は、手動または自動で実施してもよい。
【0040】
終端ノードは、1つ以上のポート555、560上のWDM信号を受信することによって、光伝送設備を終了させる。着信信号の場合、ポート560は光信号を受信し、デマルチプレクサ545はWDM信号内のチャネルを分割し、更なる処理のため光−電気変換器540を使用してチャネルを電気領域に変換する。電気ラインインターフェース530は、クライアント装置に連結された適切な分岐インターフェース520にトラフィックを切り替えるスイッチング素子510に信号を伝送する。
【0041】
送信信号の場合、クライアント信号は、1つ以上の分岐インターフェース520で受信され、スイッチング素子510に通信される。スイッチング素子510は、電気信号を光領域に変換する電気−光変換器542に電気信号を転送する電気インターフェース530を介して、適切なポートに本トラフィックを切り替える。光信号は、マルチプレクサ550によってWDM信号に多重化され、ポート555を介して伝送設備ネットワーク上に伝送される。
【0042】
ポート555、560は、終端ノードの構成に応じて双方向型ポートであってもよいことは留意されたい。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態によるモジュール式アーキテクチャノードの例示的な再生器ノード構成を示す。再生器ノード光信号は、光伝送設備ネットワーク上を伝送される。再生器ノードは、ベースシャーシアーキテクチャと接続するラインカードを挿入することによって適応され、適応されたノードは光伝送リンク内に挿入される。
【0044】
WDM信号は、デマルチプレクサ610によって受信および多重チャネルに逆多重化される。これらチャネルは、光−電気変換器620によって電気領域に変換され、信号を再生(上述のように、信号再増幅、信号再成形、信号再同期を含む)し、再生された電気信号をスイッチング素子640に転送する電気ラインインターフェース630に提供される。
【0045】
スイッチング素子640は、他の電気ラインインターフェース650(信号を光領域に変換する電気−光変換器
660に信号を送信する)に、再生された電気信号を伝送する。マルチプレクサ670は、光チャネルをWDM信号に多重化し、その信号は更に光伝送設備に伝送される。
【0046】
他の方向に流れるトラフィックも、同様の方法で再生され得る。また、再生器ノード上のポートは、単一方向または双方向であってもよい。
【0047】
図7は、本発明の一実施形態によるモジュール式アーキテクチャノードの例示的な多重スイッチングノード構成を示す。多重スイッチングノードは、2つの光リングを連結し、トラフィックがそのリング間を流れるようにする。多重スイッチングノードは、一部は第一の光リングネットワークと接続し、一部は第二の光リングネットワークと接続する複数のラインモジュールを挿入することによって適応される。また、分岐インターフェースモジュールは、所望に応じて、トラフィックを遮断するようにクライアント装置に設置してもよい。ノードは、トラフィックがポート間を適切に処理および切り替えされるように、種々のポート間で経路を規定されるように構成される。他の多重ノードの実装は、4つ以上のインターフェースを連結し、線形、網状、リングネットワークアーキテクチャに接続してもよい。
【0048】
多重スイッチングノードは、多重スイッチ配列に構成されたP個の様々なWDMインターフェース(インターフェースからファイバ等)を含む。本アーキテクチャは、ライン/WDMモジュール式インターフェースブロックを追加/除去することによって、いかなる数のP個のインターフェースからでも構成される。
【0049】
光信号は、第一の光リングから分岐され、ノード上のインターフェースで受信される。デマルチプレクサ710は、WDM信号を、光−電気変換器720によって電気領域に変換される複数の光チャネルに逆多重化する。電気信号は、電子ラインインターフェース730によって、スイッチング素子750に提供される。
【0050】
スイッチング素子750は、その電気信号を処理し、トラフィックを発信元のリングに戻すか、別のリングに切り替えるか、あるいは分岐インターフェース740を介してクライアント装置に切り替えるかを決定する。トラフィックが別のリングに切り替えられる場合、トラフィックを電気−光変換器770に転送し、トラフィックを光領域に変換する別の電子ラインインターフェース760に伝送される。該光信号は、780でWDM信号に多重化され、他のリング上に伝送される。
【0051】
図8は、分散型スイッチング素子構造を使用した、本発明の一実施形態によるモジュール式ノードの多重ノード構成の別の実装を示す。本モジュール式アーキテクチャは、1つのWDMインターフェースとスイッチ構成の一部がラインモジュール上でグループ化されるように分割される。ラインモジュールは除去/挿入可能であり、アーキテクチャをアッド/ドロップノード、再生器ノード、終端ノード等の様々なノード種別に変換するようにそのスイッチ接続性を変更してもよい。従って、ノードは、存在するWDMインターフェースの数に応じて、そのスイッチサイズおよび複雑性の両方を調節するように、モジュール式に適応させることが可能である。
【0052】
本特定の実施例では、4つの分散型スイッチング素子810、820、830、840が互いに連結され、それぞれ関連する一組のラインインターフェースを有する。図8に示すように、スイッチング素子810は関連ラインインターフェースの第一の組850、スイッチング素子820は関連ラインインターフェースの第二の組880、スイッチング素子830はラインインターフェースの第三の組860、スイッチング素子840はラインインターフェースの第四の組870を有する。これらのグループ化されたラインインターフェースおよびスイッチング素子によって、大容量の多重スイッチングノードの構築および構成がより容易になり、また付加的ラインモジュールが追加されると、より効率的かつスケーラブルなスイッチング機能が可能となる。
【0053】
また、分岐インターフェースは、付加的構成を提供する単一の可撤性モジュール内に一緒にグループ化してもよい。更に、ラインモジュールから離れている場合でも、分岐インターフェース自体がその関連するラインモジュールの一部となり得ることは明白である。
【0054】
他の構成がモジュール式ノードアーキテクチャに利用可能であることは、当業者には理解されるであろう。特に、ベースシャーシアーキテクチャは、種々の組み合わせによるモジュールを受容し、様々な種別のネットワークノードの構築および構成に使用してもよい。上述のように、スイッチング素子および他のノード素子間の接続は、シャーシシステムの基幹回路によって提供され得る。また、スイッチの相互接続は、電気または光ケーブルを介して行われ得る。更に、スイッチング素子は、別々のノード素子またはスイッチングノード素子の組み合わせとして提供され得、そのような場合、電気または光ケーブルを使用し、スイッチング素子をラインインターフェースに接続可能である。一般に、本明細書に記載の本発明は、いかなるスイッチング素子、ブロッキングまたはノンブロッキングネットワークも利用可能である。
【0055】
上述の説明は、本発明の明確化および理解を目的として記載されたものである。開示された厳密な形態に本発明を制限するものではない。添付する特許請求の範囲および同等の範囲内で、種々の改良が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、
複数のモジュールであって、前記複数のモジュールのそれぞれは、複数のモジュール種別のうちの対応する1つを有し、前記複数のモジュールのそれぞれは、光信号をそれに対応する電気信号に変換する光−電気インターフェースを含む、複数のモジュールと、
前記複数のモジュール種別を感知するように構成されているセンサと、
前記複数のモジュールのそれぞれおよび前記スイッチング素子に結合された制御素子であって、前記制御素子は、前記スイッチング素子を設定するように構成されており複数の経路は、第1の複数のモジュールから第2の複数のモジュールまで前記スイッチング素子を介して延びており、前記複数の経路は、光信号に関連付けられたトラフィックを運ぶ、制御素子と
を含むネットワークノード。
【請求項2】
前記スイッチング素子と前記複数のモジュールとを結合するバックプレーンを有するベースシャーシをさらに含む、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項3】
前記複数のモジュールは、複数の光ラインモジュールを含む、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項4】
前記複数のモジュールのうちの第1のものは、第1の組のラインモジュールを含み、前記複数のモジュールのうちの第2のものは、第2の組のラインモジュールを含み、前記複数のモジュールのうちの第3のものは、一組の分岐モジュールを含む、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項5】
前記複数のモジュールのうちの第1のものは、一組のラインモジュールを含み、前記複数のモジュールのうちの第2のものは、一組の分岐モジュールを含む、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項6】
前記複数のモジュールのうちの第1のものは、第1の組のラインモジュールを含み、前記複数のモジュールのうちの第2のものは、第2の組のラインモジュールを含む、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項7】
前記複数のモジュールのうちの第1のものは、第1の組のラインモジュールを含み、前記複数のモジュールのうちの第2のものは、第2の組のラインモジュールを含み、前記複数のモジュールのうちの第3のものは、第3の組のラインモジュールを含む、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項8】
前記複数のモジュールのうちの第4のものは、一組の分岐モジュールを含む、請求項7に記載のネットワークノード。
【請求項9】
前記スイッチング素子は、分散型スイッチング素子である、請求項7に記載のネットワークノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−231522(P2012−231522A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−153697(P2012−153697)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2008−519662(P2008−519662)の分割
【原出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(506346749)インフィネラ コーポレイション (17)
【出願人】(508000320)
【出願人】(508000319)
【出願人】(508000331)
【出願人】(508000342)
【出願人】(508000294)
【Fターム(参考)】