説明

ネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法

【課題】本発明は、プリエンファシスを行うネットワーク試験システムにおいて、複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているかを判断可能にすることを目的とする。
【解決手段】本願発明は、マルチレーン構造を有する監視単位フレームのデータをレーンごとに演算してエラー検出符号として挿入するエラー検出符号付与部13と、エラー検出符号付与部13の出力データの信号ST00〜ST19を、送信する信号波形を調整して送信する送信部14と、信号ST00〜ST19が被測定対象100に入力されて出力された信号SR00〜SR19のデータDR00〜DR19から監視単位フレームのデータをレーンごとに取得して演算し、演算結果とエラー検出符号との一致又は不一致を判定するエラー検出部22と、不一致と判定したレーンの信号ST00〜ST19の信号波形を変化させる波形調整制御装置103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリエンファシスまたはイコライジングによる制御を必要とするネットワークシステムの試験を行うためのネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ITU−T勧告G.709において、OTU4(Optical−channel Transport Unit 4)フレーム及びOTU3(Optical−channel Transport Unit 3)フレームを送受信する旨が記載されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
図8に、OTU4フレーム構造の一例を示す。OTU4フレームは、大きく分けて、オーバーヘッドと、ペイロードと、FEC(Forward Error Correction)と、で構成される。オーバーヘッドのエリアのなかでも、先頭の6byteにFAS(Frame Alignment Signal)が挿入され、それに続く7byte目にMFAS(Multi Frame Alignment Signal)が挿入される。FASの6byteのうち、先頭のbyte1からbyte5まではフレームの先頭を示す識別子が挿入され、byte6はレーンの識別子を示すLM(Lane Marker)が挿入される。MFASには0〜255の数が割り当てられ、LMには0〜239の数が割り当てられる。
【0004】
また、ITU−T勧告G.709においては、MLD(Multi Lane Distribution)ブロックを用いてフレームを送信するよう勧告されている(例えば、非特許文献1参照。)。OTU4の場合のMLDブロックでは、図8のフレームのデータを16byteごとに20レーンに振り分け、さらにフレームごとにレーンのローテーションを行うことで、各20レーンにFASが挿入されるようになっている。
【0005】
図9に、MLDを用いたレーンのローテーションの一例を示す。1つ目のフレームの1byte目から16byte目を第0レーンに挿入し、17byte目から32byte目を第1レーンに挿入して、順に16byteずつ各レーンに振り分けていく。このとき、1つ目のフレームのFASは第0レーンに挿入され、そして、1つ目のフレームの最後尾が第19レーンに振り分けられる場合、それに続く2つ目のフレームの1byte目から16byte目は第0レーンではなく、フレームのローテーションが行われ、第1レーンに挿入される。このように、全てのレーンにFASが挿入されるように、フレームがローテーションしつつ、各レーンに16byteずつ振り分けられる。
【0006】
OTU3フレームの場合は、レーンの識別子を示すLMが、MFASバイト(8bit)の下位2bitとなっている。FASのbyte6は、byte1〜5と同じように、フレームの先頭を示す識別子となる。レーン数は4レーンである。OTU4フレームと同様に、ローテーションを行うことで、各レーンにFASが挿入される。
【0007】
高速シリアル伝送では、伝送路上での波形品質の劣化(高周波成分の減衰、振幅の減衰など)の影響を大きく受け、受信部で正常に受信できないことがある。受信部で正常に信号を受信できるようにするため、伝送路上での波形品質劣化を考慮し、あらかじめ送信部にて伝送波形を制御するプリエンファシス(pre−emphasis)や受信部にて受信した信号を補正するイコライジング(Equalizing)などの技術が用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ITU−T G.709
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
OTU4フレーム又はOTU3フレームを伝送する装置又はデバイスでも高速シリアル伝送と同様に、プリエンファシスやイコライジングを採用している。プリエンファシスで調整する際、受信した信号のエラー検出状況を参考に行うが、OTU4フレーム又はOTU3フレームの構造上、受信した複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているか判断できない。このため、どのレーンのシリアル信号にどのようなプリエンファシスをかけてよいかを判断できなかった。
【0010】
そこで、本発明は、プリエンファシスを行うネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法において、複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているかを判断することの可能なネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明のネットワーク試験システムは、マルチレーン構造を有する監視単位フレームのデータをレーンごとに取得し、取得したデータを予め定められた演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果を、前記データを取得したレーンのデータにエラー検出符号として挿入して出力するエラー検出符号付与部(13)と、前記エラー検出符号付与部の出力データの信号を、送信する信号波形を補正して送信する送信部(14)と、前記送信部の送信する信号が被測定対象(100)に入力されて出力された被測定信号を、受信する信号波形を補正して受信する受信部(21)と、前記受信部の受信した被測定信号から前記エラー検出符号及び監視単位フレームのデータをレーンごとに取得し、取得した監視単位フレームのデータを前記演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果と取得した前記エラー検出符号との一致又は不一致をレーンごとに判定するエラー検出部(22)と、前記送信部の送信する信号のうちの前記エラー検出部が不一致と判定したレーンの信号の信号波形を、前記エラー量が任意の量となるように変化させる波形調整制御装置(103)と、を備える。
【0012】
送信部及び受信部及び波形調整制御装置を備えるため、プリエンファシスを行うことができる。ここで、エラー検出符号付与部及びエラー検出部を備えるため、受信部の受信した被測定信号から得られたデータに誤りがあるか否かをレーンごとに判定することができる。したがって、本願発明のネットワーク試験システムは、プリエンファシスを行うネットワーク試験システムにおいて、複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているかを判断することができる。
【0013】
本願発明のネットワーク試験システムでは、前記波形調整制御装置は、前記エラー検出部の判定結果を用いて各レーンのエラー量を算出し、前記エラー量が減少するように、前記送信部の送信する信号の信号波形を変化させてもよい。
【0014】
本願発明のネットワーク試験システムでは、前記波形調整制御装置は、前記エラー量が最小になるように、前記送信部の送信する信号の信号波形を変化させてもよい。
【0015】
本願発明のネットワーク試験システムでは、前記受信部は、前記被測定対象からの被測定信号の信号波形を補正して受信可能とし、前記波形調整制御装置は、前記エラー量が減少するように、前記受信部の受信する被測定信号の信号波形を変化させてもよい。
【0016】
本願発明のネットワーク試験システムでは、前記波形調整制御装置は、前記送信部の送信する信号のエンファシス量を変化させてもよい。
【0017】
本願発明のネットワーク試験システムでは、前記波形調整制御装置は、前記送信部の送信する信号の出力電圧を変化させてもよい。
【0018】
本願発明のネットワーク試験方法は、前記送信装置が、マルチレーン構造を有するデータをレーンごとに取得し、取得したデータを予め定められた演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果を、前記データを取得したレーンのデータにエラー検出符号として挿入して送信する送信手順(S101)と、前記受信装置が、前記送信装置の送信した信号が被測定対象(100)に入力されて出力された被測定信号を受信する受信手順(S102)と、前記受信手順で受信した被測定信号から前記エラー検出符号及び監視単位フレームのデータをレーンごとに取得し、取得した監視単位フレームのデータを前記演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果と取得した前記エラー検出符号との一致又は不一致をレーンごとに判定する判定手順(S103)と、前記送信装置の送信する信号のうちの前記判定手順で不一致と判定したレーンの信号の信号波形を変化させる波形調整制御手順(S104)と、を順に有する。
【0019】
送信手順及び受信手順及び波形調整制御手順を有するため、プリエンファシスを行うことができる。ここで、送信手順においてエラー検出符号を挿入して送信し、受信手順の後に判定手順を有するため、受信部の受信した被測定信号から得られたデータに誤りがあるか否かをレーンごとに判定することができる。したがって、本願発明のネットワーク試験方法は、プリエンファシスを行うネットワーク試験方法において、複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているかを判断することができる。
【0020】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プリエンファシスを行うネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法において、複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているかを判断することの可能なネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るネットワーク試験システムの一例を示す。
【図2】本実施形態に係るネットワーク試験方法の一例を示す。
【図3】送信部の送信する信号の一例を示す。
【図4】MLD処理部13−00の一例を示す。
【図5】BIP計算・挿入部の計算方法の一例を示す。
【図6】MLD処理部22−00の一例を示す。
【図7】送信部の送信する信号の波形の変化の一例を示す。
【図8】OTU4フレーム構造の一例を示す。
【図9】MLDを用いたレーンのローテーションの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0024】
(実施形態1)
図1に、本実施形態に係るネットワーク試験システムの一例を示す。本実施形態に係るネットワーク試験システムは、OTUデータの信号ST00〜ST19を、送信する信号波形を調整して送信する送信装置101と、被測定対象100からのOTUデータの信号SR00〜SR19を、受信する信号波形を補正して受信する受信装置102と、送信装置101及び受信装置102の信号波形調整機能を制御する波形調整制御装置103と、を備える。
【0025】
送信装置101は、OTUデータ発生部11と、データ分配部12と、エラー検出符号付与部13と、送信部14と、を備える。受信装置102は、受信部21と、エラー検出部22と、データ集約部23と、OTUデータ解析部24と、を備える。送信部14と受信部21の間に、被測定対象100が配置される。
【0026】
波形調整制御装置103は、エラー検出部22から判定結果ERを受信し、エラーが少なくなるように信号ST00〜ST19を変化させる旨の波形制御命令OTを送信部14に出力する。これにより、プリエンファシスを行う。本実施形態に係るネットワーク試験システムでは、波形調整制御装置103がエラー検出符号付与部13及びエラー検出部22に対して、プリエンファシスのための処理の実行を命令するモード切替命令MT及びMRを出力できるようになっており、これによってプリエンファシスを行いながらエラーを検出するエラー検出モードと、エラーを検出せずにプリエンファシスを行うプリエンファシスモードとを選択可能になっている。以下、エラー検出モードの場合について説明する。
【0027】
被測定対象100は、マルチレーン構造を有するデータを伝送する装置又はデバイスである。マルチレーン構造を有するデータは、例えばOTU4フレームのデータであるが、OTU3フレームのデータなどマルチレーン構造を有するデータであればよい。
【0028】
図2に、本実施形態に係るネットワーク試験方法の一例を示す。本実施形態に係るネットワーク試験方法は、送信手順S101と、受信手順S102と、判定手順S103と、波形調整制御手順S104と、を順に有する。以下、本実施形態に係るネットワーク試験方法の詳細について、図1を参照しながら説明する。
【0029】
送信手順S101では、送信装置101が、信号ST00〜ST19を送信する。信号ST00〜ST19は、マルチレーン構造を有し、それぞれ異なるレーンから送信される。例えば、送信装置101は、第0レーンから信号ST00を送信し、第1レーンから信号ST01を送信し、・・・第19レーンから信号ST19を送信する。
【0030】
図3に、送信部の送信する信号の一例を示す。送信部の送信する信号は、レーンごとに複数の監視単位フレームFU−0,FU−1及びFU−2のデータを伝送する。ここで、監視単位フレームは、例えば、図9において、FASが挿入される1byte目のデータからマルチフレーム(1周期)の末尾に相当する16320byte目のデータまでである。各監視単位フレームFU−0,FU−1,FU−2は、少なくとも一部にエラー検出符号MEを含む。エラー検出符号MEの挿入場所は、任意であるが、後述するエラー検出符号MEの演算との関係で、各監視単位フレームの先頭又は最後尾であると処理が容易になる。各監視単位フレームの先頭に挿入する場合は、監視単位フレームFU−0のエラーを検出するためのエラー検出符号MEを、監視単位フレームFU−1以降のフレームである監視単位フレームFU−1又は監視単位フレームFU−2に挿入する。各監視単位フレームの最後尾に挿入する場合は、監視単位フレームFU−0のエラーを検出するためのエラー検出符号MEを、監視単位フレームFU−0に挿入することができる。
【0031】
送信手順S101において、送信装置101は、例えば以下のように動作する。
OTUデータ発生部11が、OTUデータDTを発生する。データ分配部12が、OTUデータ発生部11からのOTUデータDTを第0レーンから第19レーンに分配し、マルチレーン構造を有するデータDT00〜DT19を出力する。
【0032】
エラー検出符号付与部13は、データ分配部12からの監視単位フレームのデータDT00〜DT19をレーンごとに取得し、取得したデータを予め定められた演算規則に従ってレーンごとに演算し、演算結果を、データを取得したレーンのデータDT00〜DT19にエラー検出符号として挿入して出力する。エラー検出符号付与部13は、例えば、レーンごとにMLD処理部13−00〜13−19を備える。MLD処理部13−00〜13−19は、それぞれ、予め定められた演算規則に従って算出し、演算結果をデータにエラー検出符号MEとして挿入してデータDM00〜DM19を出力する。
【0033】
図4に、MLD処理部13−00の一例を示す。MLD処理部13−00は、BIP(Bit Interleaved Parity)計算・挿入部51と、データアライメント部52と、を備える。BIP計算・挿入部51は、予め定められた演算規則に従ってデータDT00の演算を行う。BIP計算・挿入部51では、予め定められた演算規則は8bitのパリティ演算を行う。このとき、BIP計算・挿入部51は、BIPタイミング信号に合わせて演算を行う。予め定められた演算規則は、パリティ演算に限らず、CRC(Cyclic Redundancy Check)などの種々の演算方法を用いることができる。そして、演算結果をデータにエラー検出符号MEとして挿入してデータDM00を出力する。データアライメント部52は、送信部14から適切に信号ST00〜ST19が送信されるよう、データDM00のデータアライメントを行う。
【0034】
図5に、BIP計算・挿入部の計算方法の一例を示す。第0レーンの監視単位フレームのデータDT00が16320byteであって、エラー検出符号MEがBIPを算出する場合、FASの先頭バイト(1byte目)を1bitずつのデータB−1〜B−8で表し、同2byte目を1bitずつのデータB−1〜B−8で表し、・・・同16320byte目を1bitずつのデータB16320−1〜B16320−8で表す。この場合、各1bit目同士の排他的論理和演算を、データB−1、データB−1、・・・データB16319−1について順に行い、1bitの演算結果を得る。第2bit目〜第8bit目も同様にして演算を行い、それぞれ1bitの演算結果を得る。これによって、計8bitのエラー検出符号MEを演算することができる。そして、16320byte目に、エラー検出符号MEを挿入する。
【0035】
送信部14が、エラー検出符号付与部13からのデータDM00〜DM19を、送信用の信号ST00〜ST19に変換し、送信する信号波形を調整して送信する。信号ST00〜ST19は、光信号であってもよいし、電気信号であってもよい。以上が送信装置101の動作である。
【0036】
信号ST00〜ST19が被測定対象100に入力される。被測定対象100によって伝送された後の信号SR00〜SR19が、受信装置102に入力される。
【0037】
受信手順S102では、受信装置102が、被測定信号SR00〜SR19を、受信する信号波形を補正して受信し、データDR00〜DR19を出力する。例えば、受信部21が、信号SR00を第0レーンで受信してデータDR00を出力し、信号SR01を第1レーンで受信してデータDR01を出力し、・・・信号SR19を第19レーンで受信してデータDR19を出力する。
【0038】
判定手順S103では、エラー検出部22が、受信部21からのデータDR00〜DR19からエラー検出符号ME及び監視単位フレームFU−0,FU−1,FU−2のデータをレーンごとに取得し、取得した監視単位フレームFU−0,FU−1,FU−2のデータを予め定められた演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果と取得したエラー検出符号MEとの一致又は不一致をレーンごとに判定する。一致していればデータDR00にエラーがなく、不一致であればデータDR00にエラーが存在する。そして、エラー検出部22は、エラーの有無を示す判定結果ERを波形調整制御部103に通知する。
【0039】
エラー検出部22は、例えば、レーンごとにMLD処理部22−00〜22−19を備える。MLD処理部22−00〜22−19は、それぞれ、監視単位フレームFU−0,FU−1,FU−2のデータを予め定められた演算規則に従って演算し、当該演算結果と取得したエラー検出符号MEとの一致又は不一致を判定する。
【0040】
判定手順S103の後、データ集約部23は、データDD00〜DD19を集約してデータDRをOTUデータ解析部24に出力する。OTUデータ解析部24は、データDRについての任意の解析を行う。
【0041】
図6に、MLD処理部22−00の一例を示す。MLD処理部22−00は、フレーム同期部61と、レーンリカバリ部62と、デスキュー部63と、BIP計算・比較部64と、を備える。フレーム同期部61は、受信部21からデータDR00を取得し、各フレームのFASを検出してフレーム同期を行う。このとき、フレーム同期部61がエラー検出符号MEを抜き出す。レーンリカバリ部62は、デスキューのためのデータをデータDR00から抽出する。デスキュー部63は、デスキューを行い、データDD00を出力する。
【0042】
BIP計算・比較部64は、監視単位フレームFU−0,FU−1,FU−2のデータDR00を予め定められた演算規則に従って演算する。例えば、FASの直後のビットから演算を開始する。予め定められた演算規則は、送信側のBIP計算・挿入部51と同じ演算規則を用いる。そして、BIP計算・比較部64は、演算結果と取得したエラー検出符号MEとの一致又は不一致を判定する。
【0043】
波形調整制御手順S104では、波形調整制御装置103が、送信部14の送信する信号ST00〜ST19のうちのエラー検出部22が不一致と判定したレーンの信号の信号波形を、エラー量が任意の量となるように変化させる。例えば、MLD処理部22−00がエラーを検出した旨の判定結果ERを通知した場合、波形調整制御装置103は、第0レーンの信号ST00の波形を変化させる旨の波形制御命令OTを送信部14に出力する。送信部14は、波形制御命令OTに従って、信号ST00の波形を変化させる。このように、第0レーンの信号ST00の波形を変化させることで、プリエンファシスを行う。
【0044】
図7に、送信部の送信する信号の波形の変化の一例を示す。送信部の送信する信号の信号波形81を変化させる場合、信号波形81のエンファシス量を変化させてもよいし、送信部の送信する信号の出力電圧を変化させてもよい。信号波形81のエンファシス量を変化させる場合、例えば、信号波形81の一部である時間t1から時間t2までの振幅を波形82のように変化させる。振幅の変化は、高くしてもよいし、低くしてもよい。また、振幅を変化させる時間帯を、時間t1から時間t3までに拡大してもよいし、さらに時間t6から時間t7までの振幅を変化させてもよい。また、時間t1から時間t7までの時間幅を時間t1から時間t8までの時間幅に変化させてデューティ比を変更してもよい。送信部の送信する信号の出力電圧を変化させて信号波形81全体の振幅が変化させてもよく、これによりエラー曲線の形状を変化させてエラー量を減少させることもできる。
【0045】
ここで、波形調整制御手順S104において、判定手順S103での判定結果ERを用いて各レーンのエラー量を算出し、算出したエラー量が減少するように、送信部14の送信する信号ST00〜ST19の信号波形を変化させることが好ましい。この場合、波形調整制御装置103は、判定結果ERを用いて、各レーンのエラー量を算出する。例えば、第0レーンが不一致になる確率を算出する。そして、波形調整制御装置103は、エラー量が減少するように、送信部14の送信する信号ST00〜ST19の信号波形を変化させる。例えば、第0レーンの信号ST00のエンファシス量を増加させたときにデータDR00のエラー量が増加すると、波形調整制御装置103は、第0レーンのST00のエンファシス量を減少させる旨の波形制御命令OTを送信部14に出力する。第0レーンの信号ST00のエンファシス量を減少させたときにデータDR00のエラー量が増加すると、波形調整制御装置103は、第0レーンのST00のエンファシス量を増加させる旨の波形制御命令OTを送信部14に出力する。
【0046】
ここで、波形調整制御装置103は、エラー量が予め定められた任意の量になるように、送信部14の送信する信号ST00〜ST19の信号波形を変化させてもよい。例えば、第0レーンの信号ST00のエンファシス量を変化させていったときに、データDR00のエラー量が予め定められた任意の量になると、波形調整制御装置103は、その時点でのエンファシス量に設定する旨の波形制御命令OTを送信部14に出力する。
【0047】
また、波形調整制御装置103は、エラー量が最小になるように、送信部14の送信する信号ST00〜ST19の信号波形を変化させることが好ましい。例えば、第0レーンの信号ST00のエンファシス量を増加させるとデータDR00のエラー量が増加するが、第0レーンの信号ST00のエンファシス量を減少させてもデータDR00のエラー量が増加するような特定のエンファシス量が存在する場合、波形調整制御装置103は、第0レーンの信号ST00のエンファシス量を当該特定のエンファシス量に設定する旨の波形制御命令OTを送信部14に出力する。
【0048】
さらに、波形調整制御手順S104において、受信装置102の受信する被測定信号SR00〜SR19の信号波形を、エラー量が任意の量となるように変化させてもよい。この場合、受信部21は、波形調整制御装置103からの補正命令ORに従って被測定信号SR00〜SR19の信号波形を補正し、補正した信号を受信する。波形調整制御装置103は、エラー量が減少するように、受信部21の受信する被測定信号SR00〜SR19の信号波形を変化させる補正命令ORを受信部21に出力する。例えば、第0レーンの信号SR00の補正値を増加したときにデータDR00のエラー量が増加すると、第0レーンの信号SR00の補正値を減少させる補正命令ORを出力する。これにより、データDR00のエラー量をさらに減少させることができる。
【0049】
ここで、波形調整制御装置103は、エラー量が予め定められた任意の量になるように、受信部21の受信する被測定信号SR00〜SR19の信号波形を変化させる補正命令ORを受信部21に出力してもよい。例えば、第0レーンの信号SR00の補正値を変化させていったときに、データDR00のエラー量が予め定められた任意の量になると、波形調整制御装置103は、その時点での第0レーンの信号SR00の補正値に設定する旨の補正命令ORを受信部21に出力する。
【0050】
また、波形調整制御装置103は、エラー量が最小になるように、被測定信号SR00〜SR19の信号波形を変化させてもよい。例えば、第0レーンの信号SR00の補正値を増加させるとデータDR00のエラー量が増加するが、第0レーンの信号SR00の補正値を減少させてもデータDR00のエラー量増加するような特定の補正値が存在する場合、波形調整制御装置103は、第0レーンの信号SR00の当該特定の補正値に設定する旨の補正命令ORを受信部21に出力する。
【0051】
上記の送信手順S101から波形調整制御手順S104を繰り返す。これにより、エラー検出部22で検出されるエラーが少なくなり、波形調整制御部103の算出するエラー量が減少する。そして、エラー検出部22で検出されるエラーが予め定められた閾値以下になったとき、又は、一定時間が経過したとき、波形調整制御部103は、モード切替命令MT及びMRをエラー検出符号付与部13及びエラー検出部22に出力し、エラー検出モードをプリエンファシスモードに切り替える。
【0052】
プリエンファシスモードでは、図4に示すBIP計算・挿入部51の機能を停止し、データアライメント部52がOTUデータ発生部11からのデータをそのままアライメントして送信部14に出力する。また、図6に示すBIP計算・比較部64の機能を停止する。このとき、受信部21の受信する被測定信号SR00〜SR19にエラーが生じないように、送信部14が信号ST00〜ST19の信号波形を調整しているか、又は、送信部14が信号ST00〜ST19の信号波形を調整するとともに受信部21が被測定信号SR00〜SR19に補正を行っている。これにより、本実施形態に係るネットワーク試験システム及びネットワーク試験方法は、複数のシリアル信号のうちのどのレーンにエラーが発生しているかを判断し、エラーを減少させた上で、プリエンファシスを行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態では、第0レーンの信号SR00にエラーが発生する場合について説明したが、第1レーンから第19レーンのすべてのレーンについても同様に、エラーを検出して信号SR01〜SR19の信号波形を補正し、信号ST01〜ST19の信号波形を補正する。また、本実施形態では、レーンの数が20レーンである場合について説明したが、レーンの数を任意の数にしても本発明の効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
11:OTUデータ発生部
12:データ分配部
13:エラー検出符号付与部
13−00〜13−19:MLD処理部
14:送信部
21:受信部
22:エラー検出部
22−00〜22−19:MLD処理部
23:データ集約部
24:OTUデータ解析部
51:BIP計算・挿入部
52:データアライメント部
61:フレーム同期部
62:レーンリカバリ部
63:デスキュー部
64:BIP計算・比較部
100:被測定対象
101:送信装置
102:受信装置
103:波形調整制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレーン構造を有する監視単位フレームのデータをレーンごとに取得し、取得したデータを予め定められた演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果を、前記データを取得したレーンのデータにエラー検出符号として挿入して出力するエラー検出符号付与部(13)と、
前記エラー検出符号付与部の出力データの信号を、送信する信号波形を調整して送信する送信部(14)と、
前記送信部の送信する信号が被測定対象(100)に入力されて出力された被測定信号を、受信する信号波形を補正して受信する受信部(21)と、
前記受信部の受信した被測定信号から前記エラー検出符号及び監視単位フレームのデータをレーンごとに取得し、取得した監視単位フレームのデータを前記演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果と取得した前記エラー検出符号との一致又は不一致をレーンごとに判定するエラー検出部(22)と、
前記送信部の送信する信号のうちの前記エラー検出部が不一致と判定したレーンの信号の信号波形を、前記エラー量が任意の量となるように変化させる波形調整制御装置(103)と、
を備えるネットワーク試験システム。
【請求項2】
前記波形調整制御装置は、前記エラー検出部の判定結果を用いて各レーンのエラー量を算出し、前記エラー量が減少するように、前記送信部の送信する信号の信号波形を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク試験システム。
【請求項3】
前記波形調整制御装置は、前記エラー量が最小になるように、前記送信部の送信する信号の信号波形を変化させる
ことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク試験システム。
【請求項4】
前記受信部は、前記被測定対象からの被測定信号の信号波形を補正して受信可能とし、
前記波形調整制御装置は、前記エラー量が減少するように、前記受信部の受信する被測定信号の信号波形を変化させることを特徴とする請求項2又は3に記載のネットワーク試験システム。
【請求項5】
前記波形調整制御装置は、前記送信部の送信する信号のエンファシス量を変化させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のネットワーク試験システム。
【請求項6】
前記波形調整制御装置は、前記送信部の送信する信号の出力電圧を変化させる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のネットワーク試験システム。
【請求項7】
前記送信装置が、マルチレーン構造を有するデータをレーンごとに取得し、取得したデータを予め定められた演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果を、前記データを取得したレーンのデータにエラー検出符号として挿入して送信する送信手順(S101)と、
前記受信装置が、前記送信装置の送信した信号が被測定対象(100)に入力されて出力された被測定信号を受信する受信手順(S102)と、
前記受信手順で受信した被測定信号から前記エラー検出符号及び監視単位フレームのデータをレーンごとに取得し、取得した監視単位フレームのデータを前記演算規則に従ってレーンごとに演算し、当該演算結果と取得した前記エラー検出符号との一致又は不一致をレーンごとに判定する判定手順(S103)と、
前記送信装置の送信する信号のうちの前記判定手順で不一致と判定したレーンの信号の信号波形を変化させる波形調整制御手順(S104)と、
を順に有するネットワーク試験方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−44496(P2012−44496A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184613(P2010−184613)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】