説明

ネットワーク試験装置

【課題】本発明は、パケットのフィルタリングにおいて、予め設定された情報に基づいて特定するばかりでなく、端末間で確立されたセッションをリアルタイムで特定することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るネットワーク試験装置は、端末31との間でSIP(Session Initiation Protocol)シグナリングパケットを送受信してSIPシグナリングを行い、端末31との間でセッションを確立するシグナリング部61と、シグナリング部61がSIPシグナリングにより得たIP(Internet Protocol)アドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを、シグナリング部61から取得するセッション情報取得部81と、セッション情報取得部81の取得したIPアドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを用いて端末11と端末31との間で送受信されるパケットを抽出するパケット抽出部82と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク試験装置に関し、特に複数の端末間のパケットをセッションごとにフィルタリングするネットワーク試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パケット伝送の性能評価のために、パケットのフィルタリングが行われている。従来は、端末ごとに性能評価を行っていたため、当該端末を特定する情報を予め設定しておけばフィルタリングが可能であった(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第4187209号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、アプリケーションごとに性能評価を行う場合、端末間で確立されたセッションごとにパケットをフィルタリングする必要がある。セッションを特定可能な情報は、セッションを確立するたびに変動するため、通常予め設定することができない。
【0004】
そこで、本発明は、パケットのフィルタリングにおいて、予め設定された情報に基づいて特定するばかりでなく、端末間で確立されたセッションをリアルタイムで特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るネットワーク試験装置は、SIP(Session Initiation Protocol)シグナリングにより取得したフローを決定する情報を自動設定することを特徴とする。
【0006】
具体的には、本発明に係るネットワーク試験装置は、端末との間でSIP(Session Initiation Protocol)シグナリングパケットを送受信してSIPシグナリングを行い、前記端末との間でセッションを確立するシグナリング部(61)と、前記シグナリング部がSIPシグナリングにより得たIP(Internet Protocol)アドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを、前記シグナリング部から取得するセッション情報取得部と、前記セッション情報取得部の取得したIPアドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを用いて送受信されるパケットを抽出するパケット抽出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
IPアドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを取得することで、セッションの特定を行うことができる。ここで、SIPシグナリングパケットによって得られた情報をそのまま利用するので、端末間で確立されたセッションを特定する情報をリアルタイムで取得することができる。したがって、パケットのフィルタリングにおいて、予め設定された情報に基づいて特定するばかりでなく、端末間で確立されたセッションをリアルタイムに自動で特定することができる。
【0008】
本発明に係るネットワーク試験装置では、前記パケット抽出部の抽出するパケットを解析するパケット解析部をさらに備えることが好ましい。
前記パケット解析部は、パケットの伝達特性の測定、パケットの計数、パケットのキャプチャー、又はパケットに含まれるアプリケーションデータの監視を行うことが好ましい。
パケットを解析することで、アプリケーションごとに性能評価を行うことができる。
【0009】
本発明に係るネットワーク試験装置では、前記シグナリング部の行うSIPシグナリングのシナリオを格納し、格納するシナリオに従ったシグナリングを前記シグナリング部に指示するシナリオ解析部(91)をさらに備え、前記シグナリング部は、前記シナリオ解析部の指示に従ってシグナリングパケットを送受信してもよい。
シナリオ解析部を備えるため、シグナリング部は、任意のIPアドレス、任意のポート番号及び任意のプロトコルタイプを用いたシグナリングを行うことができる。これにより、任意のセッションを確立させ、確立されたセッションをリアルタイムに自動で特定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パケットのフィルタリングにおいて、予め設定された情報に基づいて特定するばかりでなく、端末間で確立されたセッションをリアルタイムに自動で検出特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係るネットワーク構成の概略図である。
【図2】セッション情報の一例を示す。
【図3】実施形態2に係るネットワーク構成の概略図である。
【図4】発呼シナリオの一例を示す。
【図5】ステップS103のシナリオの一例を示す。
【図6】着呼シナリオの一例を示す。
【図7】ステップS203のシナリオの一例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るネットワーク構成の概略図である。本実施形態に係るネットワーク構成では、ネットワーク試験装置95が端末31と接続されている。ネットワーク試験装置95は、シナリオ解析部91と、端末11と、セッション情報取得部81と、パケット抽出部82と、パケット解析部83と、を備え、端末11が端末31との間でパケットの送受信を行う。端末11は、ネットワーク試験装置95内に構築された擬似的な端末である。端末31も端末11と同様にネットワーク試験装置95内に構築された擬似的な端末であってもよい。
【0014】
端末11は、シグナリング部61と、メディア送信部62と、メディア受信部63と、を備える。シナリオ解析部91は、シグナリング部61の行うSIPシグナリングのシナリオを格納し、格納するシナリオに従ったシグナリングをシグナリング部61に指示する。シグナリング部61は、シナリオ解析部91の指示に従ってSIP(Session Initiation Protocol)シグナリングパケットを送受信してSIPシグナリングを行い、端末31との間でセッションを確立する。これにより、シグナリング部61は、セッション情報を取得する。
【0015】
セッション情報取得部81は、シグナリング部61がSIPシグナリングにより得たセッション情報をシグナリング部61から取得する。セッション情報は、例えば、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、プロトコルタイプ、送信元ポート番号、宛先ポート番号である。
【0016】
図2に、セッション情報の一例を示す。端末11から端末31に送信するパケットを抽出する場合、セッション情報は、例えば、端末11のIPアドレス50.60.70.80が送信元IPアドレスであり、端末31のIPアドレス100.200.10.20が宛先IPアドレスであり、端末11の送信ポート番号40が送信元ポート番号であり、端末31の受信ポート番号60が宛先ポート番号である。また、端末11が端末31から受信するパケットを抽出する場合、セッション情報は、例えば、端末31のIPアドレス100.200.10.20が送信元IPアドレスであり、端末11のIPアドレス50.60.70.80が宛先IPアドレスであり、端末31の送信ポート番号41が送信元ポート番号であり、端末11の受信ポート番号61が宛先ポート番号である。
【0017】
メディア送信部62は、シグナリング部61の取得したセッション情報を用いて、端末31にメディアデータを送信する。メディア受信部63は、シグナリング部61の取得したセッション情報を用いて、端末31からメディアデータを受信する。パケット抽出部82は、セッション情報取得部81の取得したIPアドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを用いて送受信されるパケットを抽出する。これにより、セッションごとのフローを測定することができる。
【0018】
パケット解析部83は、パケット抽出部82の抽出するパケットを解析する。例えば、パケットの伝達特性の測定、パケットの計数、キャプチャー、又はパケットに含まれるアプリケーションデータの監視を行う。パケットの伝達特性の測定は、例えば、パケットの遅延又はロスである。これにより、特定のセッションにおけるパケットロス、アクセスログ、データの内容の監視を行うことができる。
【0019】
(実施形態2)
図3は、本実施形態に係るネットワーク構成の概略図である。本実施形態に係るネットワーク試験装置95は、模擬LAN部41と、模擬WAN部42と、シナリオ解析部91と、実行制御部92と、を備える。図3では、一例として、図1に示す端末11が模擬LAN部41に含まれ、図1に示す端末31が模擬WAN部42に含まる例を示した。
【0020】
模擬LAN部41及び模擬WAN部42は、試験対象であるネットワーク装置10と接続される。これにより、ネットワーク装置10について、LAN上、WAN上、又はLAN及びWAN上での動作確認を行うための試験を行うことができる。
【0021】
ネットワーク装置10についての試験内容としては、例えば、ネットワーク装置10のルータ機能といった機能試験、通信帯域の確保又はパケットの優先順位制御といった品質・信頼性試験、メディアデータの品質制御又はトランスコーデックといったマルチメディア試験、異なる物理インタフェースを使用したときの接続確認といったマルチインタフェース試験が例示できる。
【0022】
ルータ機能についての試験としては、例えば、動的アドレスコンフィグレーション、NAT(Network Address Translation)又はNAPT(Network Address Port Translation)の動作、ファイアウォール、マルチキャストスヌーピングがある。通信帯域の確保の試験としては、SIPによる帯域制御の処理内容又はデータレートの試験が例示できる。パケットの優先順位制御の試験としては、パケット損失率又は遅延時間の試験が例示できる。メディアデータの品質制御の試験としては,RTPパケットの測定値の試験が例示できる。トランスコーデックの試験としては、変換後の画像の試験が例示できる。接続確認の試験としては、通信プロトコル又はデータの試験が例示できる。
【0023】
模擬LAN部41は、設定されたIPアドレスを有する複数の端末11、12、21、22で構成される。端末11、12、21、22は、SIPを用いて互いにパケットを送受信する。模擬WAN部42は、複数の端末31、32、33、34及びルータ51で構成される。ルータ51は、端末31、32、33、34同士を接続する。端末31、32、33、34は、設定されたIPアドレスを有し、SIPを用いて模擬LAN部41の端末11、12、21、22との間でパケットを送受信する。
【0024】
このように、模擬LAN部41及び模擬WAN部42を備えることで、LAN内で送受信するパケット及びLANとWANの間で送受信するパケットについての試験を行うことができる。例えば、端末間で送受信したパケットについての、データの遅延時間、損失率及びデータレートを測定することができる。また、LAN側から出力されたパケットのピークレートを測定し、バースト的にデータ量が増加した場合にネットワーク装置10で流量制御されているか否かの確認をすることができる。
【0025】
ルータ51は、PPPoEサーバ、マルチキャストIGMP/MLD又はDHCPサーバなどの各種サーバとして機能してもよい。これにより、ネットワーク装置10のアドレス解決、NAT/NAPT機能、ファイアウォール機能、マルチキャストスヌーピング機能などの試験を行うことができる。
【0026】
模擬WAN部42は、端末データサーバ53及び端末登録サーバ52を備えることが好ましい。例えば、端末データサーバ53は、模擬WAN部42の端末31、32、33、34に設定されているIPアドレスを格納する。端末登録サーバ52は、模擬LAN部41の端末11、12、21、22からの接続要求があった場合に、当該端末11、12、21、22のIPアドレスを端末データサーバ53に登録する。これにより、SIPを用いてパケットを送受信する通信ネットワークの試験を行うことができる。
【0027】
例えば、端末データサーバ53は、端末11、12、21、22、31、32、33、34のIPアドレスを格納する。そして、端末登録サーバ52は、端末データサーバ53をロケーションサーバとして機能させ、端末登録サーバ52をレジストラサーバなどのSIPサーバとして機能させることで、SIPの適合性の試験を、WANを含めて行うことができる。
【0028】
模擬WAN部42は、接続制御サーバ54を備えることが好ましい。接続制御サーバ54は、ルータ51の受信したパケットに、シナリオで定められた処理を施してルータ51に戻す。例えば、模擬LAN部41と模擬WAN部42との通信において中継する可能性の高い中継サーバが予め分かっている場合には、その中継サーバのIPアドレスなどの通信条件の設定を接続制御サーバ54に行う。接続制御サーバ54は、模擬WAN部42からルータ51に送信されたパケットをシナリオで定められた中継サーバを経由した状態でルータ51に戻す。こうすることで、実際のWANを介したパケットと同様のパケットを、ネットワーク装置10に受信させることができる。これにより、実際に近い環境を、模擬LAN部41と模擬WAN部42との通信において再現することができる。
【0029】
実行制御部92は、設定されたシナリオに従って、模擬LAN部41及び模擬WAN部42の端末11、12、21、22、31、32、33、34に、パケットを送受信させる。例えば、シナリオに従って、端末11、12、21、22内で、SIPを用いて互いにパケットの送受信を行わせる。または、模擬LAN部41の端末11、12、21、22と模擬WAN部42の端末31、32、33、34との間で、SIPを用いて互いにパケットの送受信を行わせる。シナリオでは、各端末の動作は、自身が送信したコマンドに対する返信の内容に応じて異なる。そのため、実行制御部92は、各端末が受信したパケットから情報を抽出して、全体端末の進捗管理を行う。
【0030】
シナリオ解析部91は、設定されたシナリオを解析し、ハードウェアが実行可能なコードに変換するとともに端末11、12、21、22、31、32、33、34ごとの通信条件の設定を行う。模擬LAN部41及び模擬WAN部42の両方のシナリオ及び通信条件の設定を共通のシナリオ解析部91で行うことができるので、試験を行う通信ネットワークの全体での設定を容易に行うことができる。
【0031】
通信条件の設定では、模擬LAN部41及び模擬WAN部42の各端末がSIPを用いて互いにパケットを送受信するために必要な情報の設定を行う。例えば、模擬LAN側では、送信先IPアドレス、ポート番号、切断するまでの時間、発生時間間隔、QoSクラス、発呼時・着呼時の処理、メディアデータ、QoSクラスの設定を行う。模擬WAN側では、発呼時・着呼時の処理を行う。発呼時の処理は、例えば、SIPのメッセージ内容、切断するまでの時間、メディアデータ、発生時間間隔がある。着呼時の処理は、例えば、レスポンスの内容、応答時間、接続の成功率、メディアデータがある。
【0032】
シナリオ解析部91は、端末の数の設定も行う。本実施形態では模擬LAN部41及び模擬WAN部42をそれぞれ4台の端末で構成する例を示したが、模擬LAN部41及び模擬WAN部42の端末の数を任意に設定できる。また、ルータ51、接続制御サーバ54、端末登録サーバ52及び端末データサーバ53の数や接続関係についても同様に任意に設定可能であることが好ましい。これにより、現実のWANに近いネットワーク構成を構築することができる。
【0033】
シナリオ解析部91は、端末11、12、21、22のIPアドレスを自動取得に設定してもよい。例えば、模擬LAN部41の端末11、12、21、22のIPアドレスは、ネットワーク装置10によって設定される。端末11、12、21、22がネットワーク装置10から割り当てられたIPアドレスを取得すると、シナリオ解析部91は、各端末11、12、21、22に割り当てられたIPアドレスを各端末11、12、21、22から取得する。
【0034】
シナリオ設定部96は、模擬LAN部41の端末間、又は、模擬LAN部41と模擬WAN部42の間で、SIPを用いてセッションを開始、変更、又は終了する際の設定を行う。このとき、リクエストメッセージやレスポンスメッセージに対する各端末の動作をシナリオとして設定する。
【0035】
模擬LAN部41及び模擬WAN部42の端末は、受信したパケットを収集し、模擬LAN部41及び模擬WAN部42の端末が送受信したパケットの解析を行う。パケットの解析は、例えば、OSI参照モデルのセッション層のコマンドに対する返信の内容の判定である。これにより、端末11、12、21、22、31、32、33、34間で、SIPを用いて互いにパケットを送受信する通信ネットワークの試験を行うことができる。
【0036】
ネットワーク試験装置95は、各端末の送受信するパケットから指定されたセッションのパケットを抽出する。このとき、セッションの指定は、シナリオ解析部91によって設定してもよいし、自動取得にしてもよい。自動取得にしておくことで、個々の端末間に確立されたセッションのそれぞれについて、パケットの解析を行うことができる。
【0037】
また、パケットの解析には、パケットそのものが正しいか否か、パケットが正しく送受信されたか否か、通信ネットワークとして機能しているか否かを含む。例えば、MAC(Media Access Control)フレーム、FCS(Frame Check Sequence)、IPヘッダのチェックサム、又は、TCP(Transmission Control Protocol)シーケンス番号、パケットの遅延時間、BER(Bit Error Rate)、パケットロス、APR(Address Resolution Protocol)によるアドレス解決、pingコマンドによる接続確認、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)によるアドレス割当てがある。
【0038】
次に、図4、図5、図6、図7及び図8を参照しながら、ネットワーク試験装置95の動作の詳細について説明する。図4は、発呼シナリオの一例を示す。端末11が発呼シナリオを実行する場合、ネットワーク試験装置95は、以下のように動作する。
【0039】
ステップS101では、ネットワークを構築する。例えば、ネットワーク試験装置95内に、端末群である模擬LAN部41及び模擬WAN部42の設定、ルータ51の設定、端末登録サーバ52の設定及びこれらのIPアドレスの設定を行う。
【0040】
ステップS102では、端末登録サーバ52への登録を行う。例えば、端末11がSIPシグナリングによって、端末登録サーバ52に端末11のIPアドレスを登録する。登録することによって、URLからIPアドレスを取得することができる。
【0041】
ステップS103では、SIPシグナリングによって、端末11が端末31に呼接続する。これによって、端末11と端末31の間にセッションが確立する。
【0042】
ステップS104では、測定を開始する。例えば、メディアデータの送受信IPパケット数のカウントを開始する。測定するパケットは、例えば送信IPパケット数及び受信パケット数であり、ステップS103で得られた情報を基に設定される。
【0043】
ステップS105では、メディアデータの送受信を開始する。例えば、ステップS103で得られた情報を基にメディアデータの送受信を開始する。これにより、メディアデータの送受信IPパケット数がカウント可能になる。
【0044】
ステップS106では、メディアデータの送受信を停止する。これにより、メディアデータの送受信IPパケット数のカウントが止まる。
【0045】
ステップS107では、SIPシグナリングによって、端末11が端末31との呼接続を開放する。ステップS108では、ステップS104で開始した測定を停止する。これにより、メディアデータの送受信IPパケット数のカウントを停止する。
【0046】
図5は、ステップS103のシナリオの一例を示す。
ステップS111では、呼び出し待ちタイマーの設定を行う。ステップS112では、Inviteメッセージを送信する。ステップS114では、呼び出し待ちタイマーを開始する。これにより、ステップS115の呼び出し中の状態となる。
【0047】
ここで、ステップS112において、端末11は、Inviteメッセージから端末11のIPアドレス及びポート番号並びにプロトコルタイプを抽出し、セッション情報取得部81に出力する。これにより、セッション情報取得部81にセッション情報が設定される。
【0048】
呼び出し待ちタイマーが満了する前に、180メッセージを受信したら(ステップS121)、呼び出し待ちタイマーを停止する(ステップS122)。そして、呼び出し中の状態に戻る(ステップS115)。
【0049】
呼び出し待ちタイマーが満了する前に、200OKメッセージを受信したら(ステップS141)、ACKメッセージを送信する(ステップS142)。そして、SIPシグナリング(電話をかける)成功で終了する(ステップS143)。
【0050】
ここで、ステップS141において、200OKメッセージから端末31のIPアドレス及びポート番号を抽出し、セッション情報取得部81に出力する。これにより、セッション情報取得部81にセッション情報が設定される。
【0051】
図6は、着呼シナリオの一例を示す。端末11が着呼シナリオを実行する場合、ネットワーク試験装置95は、以下のように動作する。
【0052】
ステップS201では、ネットワークを構築する。例えば、ネットワーク試験装置95内に、端末群である模擬LAN部41及び模擬WAN部42の設定、ルータ51の設定、端末登録サーバ52の設定、及びこれらのIPアドレスの設定を行う。
【0053】
ステップS202では、端末登録サーバ52への登録を行う。例えば、端末11がSIPシグナリングによって、端末登録サーバ52に端末11のIPアドレスを登録する。登録することによって、URLからIPアドレスを取得することができる。
【0054】
ステップS203では、SIPシグナリングによって、端末11が端末31から電話を受ける。これによって、端末11と端末31の間にセッションが確立する。
【0055】
ステップS204では、測定を開始する。例えば、メディアデータの送受信IPパケット数のカウントを開始する。測定するパケットは、例えば送信IPパケット数及び受信パケット数であり、ステップS203で得られた情報を基に設定される。
【0056】
ステップS205では、メディアデータの送受信を開始する。例えば、ステップS203で得られた情報を基にメディアデータの送受信を開始する。これにより、メディアデータの送受信IPパケット数をカウント可能になる。
【0057】
ステップS206では、メディアデータの送受信を停止する。これにより、メディアデータの送受信IPパケット数のカウントが止まる。
【0058】
ステップS207では、SIPシグナリングによって、端末11が端末31との呼接続を開放する。ステップS208では、ステップS104で開始した測定を停止する。これにより、メディアデータの送受信IPパケット数のカウントを停止する。
【0059】
図7は、ステップS203のシナリオの一例を示す。
ステップS211では、200OK応答送信待ちタイマーを設定する。ステップS212では、200OK再送間隔タイマーを設定する。ステップS213では、ACK待ちタイマーを設定する。そして、ステップS214において、着信待ちの状態となる。
【0060】
ステップS215では、Inviteメッセージを受信する。ステップS217では、180Ringingメッセージを送信する。ステップS218では、200OK応答送信待ちタイマーを開始する。これにより、200OK応答送信待ちタイマーが開始される。そして、ステップS219では、呼び出し中の状態となる。
【0061】
ここで、ステップS215において、Inviteメッセージのなかから端末31のIPアドレス及びポート番号並びにプロトコルタイプを抽出し、セッション情報取得部81に出力する。これにより、セッション情報取得部81にセッション情報が設定される。
【0062】
200OK応答送信待ちタイマーが満了すると(ステップS221)、200OKメッセージを送信する(ステップS222)。次に、200OK再送間隔タイマーを開始し(ステップS223)、ACK待ちタイマーを開始する(ステップS224)。そして、呼び出し中の状態となる(ステップS219)。
【0063】
ここで、ステップS222において、200OKメッセージのなかから端末11のIPアドレス及びポート番号を抽出し、セッション情報取得部81に出力する。これにより、セッション情報取得部81にセッション情報が設定される。
【0064】
200OK再送間隔タイマーが満了する前でありかつACK待ちタイマーが満了する前に、ACKメッセージを受信したら(ステップS231)、SIPシグナリング成功で終了する(ステップS232)。
【0065】
200OK再送間隔タイマーが満了すると(ステップS241)、200OKを送信し(ステップS242)、200OK再送間隔タイマーを再スタートし(ステップS243)、呼び出し中の状態となる(ステップS219)。
【0066】
ACK待ちタイマーが満了すると(ステップS251)、200OK再送間隔タイマーを停止し(ステップS252)、SIPシグナリング失敗で終了する(ステップS253)。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ネットワークゲートウェイなどの通信ネットワーク装置の試験に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
10:ネットワーク装置
11、12、21、22、31、32、33、34:端末
41:模擬LAN部
42:模擬WAN部
51:ルータ
52:端末登録サーバ
53:端末データサーバ
54:接続制御サーバ
61:シグナリング部
62:メディア送信部
63:メディア受信部
81:セッション情報取得部
82:パケット抽出部
83:パケット解析部
91:シナリオ解析部
92:実行制御部
95:ネットワーク試験装置
96:シナリオ設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末との間でSIP(Session Initiation Protocol)シグナリングパケットを送受信してSIPシグナリングを行い、前記端末との間でセッションを確立するシグナリング部(61)と、
前記シグナリング部がSIPシグナリングにより得たIP(Internet Protocol)アドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを、前記シグナリング部から取得するセッション情報取得部(81)と、
前記セッション情報取得部の取得したIPアドレス、ポート番号及びプロトコルタイプを用いて送受信されるパケットを抽出するパケット抽出部(82)と、
を備えることを特徴とするネットワーク試験装置。
【請求項2】
前記パケット抽出部の抽出するパケットを解析するパケット解析部(83)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク試験装置。
【請求項3】
前記パケット解析部は、パケットの伝達特性の測定、パケットの計数、パケットのキャプチャー、又はパケットに含まれるアプリケーションデータの監視を行うことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク試験装置。
【請求項4】
前記シグナリング部の行うSIPシグナリングのシナリオを格納し、格納するシナリオに従ったシグナリングを前記シグナリング部に指示するシナリオ解析部(91)をさらに備え、
前記シグナリング部は、前記シナリオ解析部の指示に従ってシグナリングパケットを送受信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のネットワーク試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−211430(P2011−211430A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76242(P2010−76242)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】