説明

ハウス内の暖房装置と暖房制御方法

【課題】 従来、ヒートポンプと、燃焼機を組込み、この機器を、選択的に使用することで、省エネルギーの向上と、着霜回避(暖房連続運転を確保)等を意図する発明が散見される。しかし、この発明は、着想の領域に留まり、実効性に問題を抱えている。
【構成】 本発明は、ヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、センサが、所定の温度以下を検知した場合、ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合、暖房機を可動し、煙突に排気された排熱と、外気との熱交換を介して、外気を暖気に変換し、暖気を、室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図り、ヒートポンプの連続運転を荷担し、ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減を図る構成としたハウス内の暖房制御方法と、その装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプと、暖房機、地中熱、他の熱源を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減(CO2の発生抑制)を図る構成としたハウス内の暖房装置は、昨今、地球環境の維持(地球の生態系の維持)と、又は石油燃料の高騰を背景として、重要性が増し、かつ最も、必要不可欠の条件である。そこで、近年、脚光を浴びているのが、ヒートポンプと、暖房機、地中熱、他の熱源を選択的に使用したハウス内の暖房用のハイブリットヒートポンプ(以下、ヒートポンプとする)である。この種のヒートポンプの採用により、前述した地球環境維持と、CO2削減に有益であり、殊に、我が国には、解決しなければならない課題である。
【0003】
また、このヒートポンプを採用するにあたり、後述の問題が課題となる。例えば、ヒートポンプの連続運転を確保し、ハウス内の温度を、作物に最適な状況を維持しつつ、燃料消費の効率化、また、CO2削減を達成することと、また、この連続運転を可能にするために、室外機への着霜防止を図ること等の解決が挙げられる(所期の目的を達成する)。
【0004】
このような面倒な要望と、その問題を解決するための方法を、先行文献と対比しながら説明する。文献(1)は、特開昭55−75150号の「ヒートポンプ式空気調和機」である。この発明は、ヒートポンプと、燃焼機を組込み、この機器を、選択的に使用することで、省エネルギーの向上と、着霜回避(暖房連続運転を確保)等を意図する。しかし、この発明は、明細書の第6欄に示されているように、外気温が高いときには、着霜がない熱出力の高いヒートポンプによる暖房運転を行い、逆に外気温が低いときには、ヒートポンプによる暖房運転を中止し、燃焼器のみによる暖房運転を行う構造である。しかし、この外気温が低いときに、ヒートポンプによる暖房運転を中止することで、ヒートポンプの連続運転が行えず、ヒートポンプの本来の能力を発揮できず、燃料等の有効利用が図れない等の問題がある、と考えられる。また、文献(2)は、特開平5−336847号の「施設園芸用温室の暖房方法」である。この発明は、外気温の最低値を基準に計算し、熱量の負担割合を、ヒートポンプに対し燃焼部を1〜3とするとともに、一日を複数の時間帯に分離し、かつ設定温度を定めて、運転制御する構造であり、暖房の効率化と、省エネルギーを図りつつ、これらの動きを、自動制御することを意図する。しかし、この発明は、施設園芸用温室を暖房することを目的としており、室外機の着霜を防止する構造についての記載がなく、室外機が着霜した場合は、デフロスト運転を行う必要が生じ、文献(1)と同様に、ヒートポンプの本来の能力を発揮できず、燃料等の有効利用が図れない等の問題がある、と考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開昭55−75150号
【特許文献2】特開平5−336847号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した如く、文献(1)と、文献(2)は、それぞれ問題点があることから、その改良が臨まれる処である。
【0007】
上記に鑑み、本発明は、外気温の実測値を基準とし、かつ現実に即した、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減を図る構成としたハウス内の暖房装置を提供する。これにより、下記のような特徴が発揮できる。
[イ] 室外機の着霜を、暖房機の煙突からの排熱を有効利用し、排熱の有効利用を図り、かつ省エネルギーの達成と、CO2削減を図る構成とする。……請求項1〜請求項4、請求項7
[ロ] 従来の器材、装置の利用を図り、設備投資を略ゼロとする。……請求項1〜請求項4、請求項7
[ハ] 熱交換器とハウス内の暖気を利用し、室外機の着霜防止と、熱の有効利用を図り、かつ省エネルギーの達成と、CO2削減を図る構成とする。……請求項5〜請求項7
[ニ] 少なくとも、外気温と、作物の温度を特定し、この温度を基準として、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減を図る。……請求項1〜請求項7
[ホ] 所定の箇所へのセンサ設置で、外気温と、ハウス内及び/又は作物の温度を検知し、この検知温度を基準として、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減を図る。……請求項1〜請求項7
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、前記[イ]、[ロ]、[ニ]、[ホ]の効果を意図する。
【0009】
請求項1は、ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、この暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、このハウスの室温を、所定の温度に維持するハウス内の暖房制御方法であって、
このヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、このセンサが、所定の温度以下を検知した場合、及び/又は、当該ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合において、前記暖房機を可動し、この煙突に排気された排熱と、外気との熱交換を介して、この外気を暖気に変換し、この暖気を、瞬時かつ短時間、前記室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図りつつ、前記ヒートポンプの連続運転を荷担するとともに、前記ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を最高に達成するために、開閉自在のダクト及び/又は熱交換筒体を利用したハウス内の暖房制御方法を提供すること等を意図する。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記暖房機の暖気を、煙突と、前記室外機の間に、ファンを備えたダクト及び/又は熱交換筒体を設け、このダクト及び/又は熱交換筒体を介して、ヒートポンプの室外機に送る構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を最高に達成するためにシャッターを設けたダクト及び/又は熱交換筒体を利用したハウス内の暖房制御方法を提供すること等を意図する。
【0013】
請求項3は、請求項2に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記ダクト及び/又は熱交換筒体に、シャッターを設ける構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0014】
請求項4の発明は、前記[イ]、[ロ]、[ニ]、[ホ]の効果を意図する。
【0015】
請求項4は、ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、この暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、このハウスの温度をコントロールするハウス内の暖房装置は、
この暖房機の煙突を、このハウス外に延設し、この煙突に、隙間を置いて熱交換筒体を設け、この熱交換筒体の一方に外気吸込口と、ファンを設け、また、この熱交換筒体の他方にダクトを設け、このダクトに開閉自在のシャッターを設けた構造とした、煙突を流れる排熱と、前記熱交換筒体を利用した、前記室外機の着霜防止機構と、
また、前記室外機の近傍に設けた温度センサ、この室外機の温度センサ、又はガス圧センサ等のセンサを介して、前記暖房機の入り切りを制御する制御回路を備えた暖房機の入り切りを選択的に使用し、ハウスの温度のコントロールをする機構と、
で構成したハウス内の暖房装置である。
【0016】
請求項5・6の発明は、前記[ハ]、[ニ]、[ホ]の効果を意図する。
【0017】
請求項5は、このヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、このセンサが、所定の温度以下を検知した場合、及び/又は、当該ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合において、前記暖房機を可動し、また、ハウスに設けた熱交換器を介して、外気との熱交換を介して、この外気を暖気に変換し、この暖気を、瞬時かつ短時間、前記室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図りつつ、前記ヒートポンプの連続運転を荷担するとともに、前記ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0018】
請求項6は、ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、この暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、このハウスの温度をコントロールするハウス内の暖房装置は、
このハウスに設けた熱交換器の一方に設けたファン及び/又は外気吸込口と、この外気吸込口を、当該ハウス外に延設し、また、熱交換器の他方に設けたダクトを、前記ヒートポンプの室外機に連設し、このダクトに開閉自在のシャッターを設けた構造とした、前記ハウス内の暖気と、前記熱交換器を利用した、前記室外機の着霜防止機構と、
また、前記室外機の近傍に設けた温度センサ、この室外機の温度センサ、又はガス圧センサ等のセンサを介して、前記暖房機の入り切りを制御する制御回路を備えた暖房機の入り切りを選択的に使用し、ハウスの温度のコントロールをする機構と、
で構成したハウス内の暖房装置である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1、請求項5の目的を達成すること、この目的を最高に達成するために作物に最適な制御盤を提供すること等を意図する。
【0020】
請求項7は、請求項1、又は請求項5に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記暖房機及び/又はヒートポンプの運転制御と、センサに略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度を、制御盤にインプットし、この制御盤の指令で、前記運転制御を、決定する構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明は、ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、暖房機の入り切りを選択的に使用して、ヒートポンプの室外機の着霜防止と、ハウスの室温を、所定の温度に維持するハウス内の暖房制御方法であって、
ヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、センサが、所定の温度以下を検知した場合、及び/又は、ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合において、暖房機を可動し、煙突に排気された排熱と、外気との熱交換を介して、外気を暖気に変換し、暖気を、瞬時かつ短時間、室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図りつつ、ヒートポンプの連続運転を荷担するとともに、ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0022】
従って、請求項1は、下記の効果を達成できる。
[イ] 室外機の着霜を、暖房機の煙突からの排熱を有効利用し、排熱の有効利用を図り、かつ省エネルギーの達成と、CO2削減が図れる。
[ロ] 従来の器材、装置の利用を図り、設備投資の略ゼロとなる。
[ニ] 少なくとも、外気温と、作物の温度を特定し、この温度を基準として、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減が図れる。
[ホ] 所定の箇所へのセンサ設置で、外気温と、ハウス内及び/又は作物の温度を検知し、この検知温度を基準として、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減が図れる。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記暖房機の暖気を、煙突と、前記室外機の間に、ファンを備えたダクト及び/又は熱交換筒体を設け、このダクト及び/又は熱交換筒体を介して、ヒートポンプの室外機に送る構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0024】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を最高に達成するために、開閉自在のダクト及び/又は熱交換筒体を利用したハウス内の暖房制御方法を提供できること等の特徴を有する。
【0025】
請求項3の発明は、請求項2に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記ダクト及び/又は熱交換筒体に、シャッターを設ける構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0026】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を最高に達成するためにシャッターを設けたダクト及び/又は熱交換筒体を利用したハウス内の暖房制御方法を提供できること等の特徴を有する。
【0027】
請求項4の発明は、ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、暖房機の入り切りを選択的に使用して、ヒートポンプの室外機の着霜防止と、ハウスの温度をコントロールするハウス内の暖房装置は、
暖房機の煙突を、ハウス外に延設し、煙突に、隙間を置いて熱交換筒体を設け、熱交換筒体の一方に外気吸込口と、ファンを設け、また、熱交換筒体の他方にダクトを設け、ダクトに開閉自在のシャッターを設けた構造とした、煙突を流れる排熱と、熱交換筒体を利用した、室外機の着霜防止機構と、
また、室外機の近傍に設けた温度センサ、室外機の温度センサ、又はガス圧センサ等のセンサを介して、暖房機の入り切りを制御する制御回路を備えた暖房機の入り切りを選択的に使用し、ハウスの温度のコントロールをする機構と、
で構成したハウス内の暖房装置である。
【0028】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を最高に達成するために、最適なハウス内の暖房装置を提供できること等の特徴を有する。
【0029】
請求項5の発明は、ヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、センサが、所定の温度以下を検知した場合、及び/又は、ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合において、暖房機を可動し、また、ハウスに設けた熱交換器を介して、外気との熱交換を介して、外気を暖気に変換し、暖気を、瞬時かつ短時間、室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図りつつ、ヒートポンプの連続運転を荷担するとともに、ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0030】
従って、請求項5は、下記の効果を有する。
[ハ] 熱交換器とハウス内の暖気を利用し、室外機の着霜防止と、熱の有効利用を図り、かつ省エネルギーの達成と、CO2削減が図れる。
[ニ] 少なくとも、外気温と、作物の温度を特定し、この温度を基準として、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減が図れる。
[ホ] 所定の箇所へのセンサ設置で、外気温と、ハウス内及び/又は作物の温度を検知し、この検知温度を基準として、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減が図れる。
【0031】
請求項6の発明は、ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、ハウスの温度をコントロールするハウス内の暖房装置は、
ハウスに設けた熱交換器の一方に設けたファン及び/又は外気吸込口と、外気吸込口を、ハウス外に延設し、また、熱交換器の他方に設けたダクトを、ヒートポンプの室外機に連設し、ダクトに開閉自在のシャッターを設けた構造とした、ハウス内の暖気と、熱交換器を利用した、室外機の着霜防止機構と、
また、室外機の近傍に設けた温度センサ、室外機の温度センサ、又はガス圧センサ等のセンサを介して、暖房機の入り切りを制御する制御回路を備えた暖房機の入り切りを選択的に使用し、ハウスの温度のコントロールをする機構と、
で構成したハウス内の暖房装置である。
【0032】
従って、請求項6は、請求項5の目的を達成できること、この目的を最高に達成するために、最適なハウス内の暖房装置を提供できること等の特徴を有する。
【0033】
請求項7の発明は、請求項1、又は請求項5に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
暖房機及び/又はヒートポンプの運転制御と、センサに略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度を、制御盤にインプットし、制御盤の指令で、運転制御を、決定する構成としたハウス内の暖房制御方法である。
【0034】
従って、請求項7は、請求項1、請求項5の目的を達成できること、この目的を最高に達成するために作物に最適な制御盤を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一例を説明する。
【0036】
以下、本発明の図面の説明をすると、図1は第一実施例であって、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用し、煙突の排熱を有効利用する構造の模式図、図2は図1の他の一例を示した模式図、図3はヒートポンプと、暖房機を選択的に使用する際の条件の一例を示した模式図、図4は第二実施例であって、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用し、ハウス内に設けた熱交換器を有効利用する構造の模式図、図5は図4の他の一例を示した模式図、図6は第三実施例であって、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用する際の条件の一例を示した模式図、図7−1は、センサを利用した、図1の制御を示したフローチャート、図7−2は、センサを利用した、図2の制御を示したフローチャートを示している。
【0037】
最初に、図1〜図3に示した第一実施例を説明すると、この第一実施例は、ハウスA内の暖房装置を、ヒートポンプの室内機1と、暖房機2の入り切りを選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減(CO2の発生抑制)を図る構成としたハウスA内の暖房装置であり、この暖房機2の煙突200をハウスA外に配管する。そして、この煙突200を、間隔をおいて熱交換筒体5で囲繞するとともに、この熱交換筒体5とヒートポンプの室外機100を、ダクト6及び/又はシャッター600aを介して接続する。この熱交換筒体5の外気吸込口500と、排出側にファン7a、7bを設ける。そして、この熱交換筒体5内には、外気吸込口500を介して、外気及び/又はハウスAの内気を吸込み、この内外気と、煙突200との排熱を介して、昇温し(熱交換)し、この暖気を生成し、この暖気を、ヒートポンプの室外機100に送り、着霜防止(デフロスト運転)を図りつつ、ヒートポンプの室内機1の連続運転を可能とする。尚、ヒートポンプの室外機100のファン100aを利用し、暖気を吸込む方式が、暖気の有効利用が図れて理想である。そして、このダクト6には、シャッター600a(ダンパー)、又はシャッター600b(ダンパー)を設けて、このシャッター600aは、熱交換筒体5内への内気の導入を図り、暖気の生成の確実性と、又はシャッター600bは、外気を導入し、このヒートポンプの室外機100の冷却を図る。このシャッター600a、又はシャッター600bの開閉制御は、ヒートポンプの暖房運転と、その冷房運転を、検知して行う。尚、ファン7aは、暖気を積極的に、ダクト6に送るための補助手段である。
【0038】
そして、この第一実施例では、次の条件で、
(1) ハウスAの近傍における外気温を、センサ8(温度センサ)で所定温度を検知した場合、例えば、略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度において、略5℃以下を検知した場合、
(2) そして、仮に、ヒートポンプの室外機100の着霜発生の恐れを、センサ8(温度センサ、ガス圧センサ、又は熱量センサ等のセンサ)で検知した場合、
の双方か、又は一方の状態が発生した場合においても、暖房機2を、望ましくは、瞬時かつ短時間可動し、煙突200の排熱を利用して、室外機100の着霜を回避するとともに、ヒートポンプの室内機1の連続運転を図る。尚、ハウスA内の温度が、所定の温度より、急激に低下した場合には、ハウスA内の暖房を行う。この操作で、ハウスA内の温度の低下を回避し、作物に対する弊害回避、及び/又は、品質確保を図り、かつCО2の削減等の前述した所期の目的を達成する。また、前記の様に、所定の温度より、急激に低下した場合、或いは、降雪、耐雨風時等の緊急時には、ヒートポンプと暖房機2を、同時に稼動することもあり得る。
【0039】
また、ヒートポンプを夏季等の高温時に可動する際には、ヒートポンプの室外機100の冷却を、ファン7b、100aの稼動し外気の利用、及び/又はハウスA内の冷気を利用して、行うことも可能であり、ヒートポンプの連続運転を可能とすることか、又はそのヒートアップ防止(圧縮機の過負荷防止)、更には従来の圧縮機の過負荷防止との併用によるヒートアップ防止に役立ち、有益である。そして、最も、大切なことは、ヒートポンプの連続運転を可能としつつ、重油暖房機、その他の暖房機の稼働時間を少なくし、CO2の削減と、このヒートポンプと暖房機の併用で、ハイブリット化を達成することと、ハウスAに複数段配置されたヒートポンプ及び暖房機の効率化と、CO2削減を図り、地球環境と、世界のエネルギー政策に寄与することである。
【0040】
尚、センサ8で、この例では、ヒートポンプの室外機100の近傍における外気温、又はヒートポンプの室外機100の着霜発生の恐れ、排熱の温度等を検知する。また、センサ9で、この例では、ハウスAの内気温の検知を図る。さらに、図示しないが、前述のセンサ8、9以外にセンサを設け、排熱の温度を測ることも可能である。そして、これらのセンサ8、9の作用で、前記ファン7a、7b、100aを制御する。
【0041】
そして、この制御の一例を説明すると、センサ8で外気温が所定温度を検知、例えば、略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度において、略5℃以下を検知→暖房機2を稼働→煙突200の排熱温度を検知(又はセンサ8で排熱が、所定温度、例えば、略10℃以上を検知)→ファン7a、7b及び/又はファン100aの稼働→熱交換筒体5のシャッター600aを閉塞、600bを開放→ヒートポンプの室外機100への暖気供給→ヒートポンプの室外機100の着霜及び/又は結露回避→ヒートポンプの連続運転可能となる。そして、前記の状態が正常に戻った場合(センサ8で外気温が、略5℃以上を検知)は、例えば、暖房機2の停止→ファン7a、7b及び/又はファン100aの稼働等の停止→シャッター600a、600bの閉塞等の操作を行う。
【0042】
尚、センサ9で、ハウスA内の温度が、作物に適する所定温度(後述する)より、上昇した状態を検知→ヒートポンプを稼働→ファン7a、7b及び/又はファン100aの稼働→熱交換筒体5のシャッター600a、600bを開放→ヒートポンプの室外機100の昇温回避→ヒートポンプの連続運転可能となる。そして、前記の状態が正常に戻った場合(センサ9でハウスA内の温度が、正常値を検知)は、例えば、ヒートポンプ、ファン7a、7b及び/又はファン100aの稼働等の停止、シャッター600a、600bの閉塞等の操作をする。勿論、ハウスAのビニールの開放と、前述との併用もあり得る。
【0043】
また、ハウスA内の温度の標準的なもの(適正温度)は、24時間において、その作物の生育状況等の要因を考慮して、変更することが望ましく、この温度は、前記制御盤(図示しない)にインプットする。そして、この温度は、勿論変更できる。そして、ハウスA内の温度が、急激に低下した場合とか、ハウスA内の暖房を始める場合は、ヒートポンプと暖房機2の併用もあり得ることは、前述の通りである。
【0044】
尚、前記センサ8、9で検知した場合に、何れかを優先するか、又は暖房機2・ファン7a及び/又はファン7b・ファン100a・シャッター600a、600b等の稼働タイミング及び/又は時間、並びにハウスA内の温度管理等は、主として、現場において、適宜変更されるとともに、最適な順序と操作等の手順と制御は、制御盤の指令を介して、採択されることを原則とする。
【0045】
そして、図3において、その作物がトマトであった場合において、ハウスA内の温度を、略18℃程度とし、ハウスAの近傍における外気温が、略7℃程度の条件下(X線)では、暖房機2を稼働し、第一実施例の暖気生成方法を介して、デフロスト運転(除霜運転)を図り、このヒートポンプの連続運転を可能とするとともに、ハウスA内の温度を、略18℃に維持管理する制御方法である。
【0046】
次に、図4、図5に示した第二実施例を説明すると、この第二実施例は、ハウスA内の暖房装置を、ヒートポンプの室内機1と、暖房機2を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減を図る構成としたハウスA内の暖房装置で、この暖房機2の煙突200をハウスA外に配管する。そして、この第二実施例では、熱交換器12をハウスA内に設け、この熱交換器12には吸込配管1200を設けるとともに、ダクト6を介してヒートポンプの室外機100と接続する。従って、外気を吸込配管1200で吸込み、ハウスA内の暖気との熱交換を介して、熱交換器12を利用し、ヒートポンプの室外機100を暖める構造であり、着霜防止を図りつつ、ヒートポンプの室内機1の連続運転を可能とする。尚、熱交換器12には、吸込み用のファン7cを設け、外気吸込口500に設けたファン7bと併用することで、外気の吸い込みを確実に行うことができる。また、このダクト6には、一例として、シャッター600aと、シャッター600bを設けて、このシャッター600aの閉塞と、シャッター600bの開放を介して、ヒートポンプの室外機100への暖気の供給を図り、そして、また、シャッター600bの閉塞と、シャッター600aの開放を介して、外気を導入し、このヒートポンプの室外機100の冷却を図る。
【0047】
そして、この第二実施例の条件と、この条件によるヒートポンプと暖房機2の稼動、センサ8、9等の動き等は、前述の第一実施例に準ずる。
【0048】
続いて、この制御の一例を説明すると、センサ8で外気温が所定温度、例えば、略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度において、略5℃以下を検知→暖房機2を稼働→熱交換器12の稼動→熱交換で外気を、暖気に変換→ファン7a〜7c及び/又はファン100aの稼働→熱交換器12のシャッター600aを閉塞、600bを開放→ヒートポンプの室外機100への暖気供給→ヒートポンプの室外機100の着霜及び/又は結露回避→ヒートポンプの連続運転可能となる。そして、前記の状態が正常に戻った場合(センサ8で外気温が5℃以上を検知)は、例えば、暖房機2、ファン7a〜7c及び/又はファン100aの稼働等の停止、シャッター600a、シャッター600bの閉塞等の操作をする。
【0049】
尚、センサ9で、ハウスA内の温度が、所定の温度より、上昇した状態、また、所定の温度より、急激に低下した場合等においては、前述の第一実施例に準ずる。そして、前記センサ8、9で検知した場合に、何れかを優先するかは、現場において、適宜変更されるとともに、最適な順序が採択されることを原則とする。
【0050】
そして、また、図示しないが、ヒートポンプの室外機100を建屋内に収容する構造も可能である。
【0051】
次に、図7−1は、センサ8、9等を利用した、図1の制御を示したフローチャート、図4の制御を示したフローチャートを説明すると、図7−1は、開始から始まり、(ST−1)において、センサ8が外気温を測定し、所定温度以下、例えば、略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度において、略5℃以下の場合には、(ST−2)において、暖房機2が稼動する。また、以上の場合には、終了である。この暖房機2からの排熱は、(ST−3)の如く、煙突200を介して、(ST−5)の如く、熱交換筒体5に送られるが、この際に、(ST−4)において、センサ(図示せず)で排熱を測定し、以上の場合には、前述の如く、(ST−5)の如く、熱交換筒体5に送られる。また、以下の場合には、送風しないか、又は図示しない、手段を介して、暖めるか、又はリターンする。この熱交換筒体5に送られた暖気は、(ST−6)の如く、ヒートポンプの室外機100に送られる。そして、(ST−7)の如く、このヒートポンプの室外機100をセンサ(図示せず)で計測し、着霜しない状態を確認した場合は終了し、また、確認できない(着霜があり得る場合は)、最初に戻る。この終了により、着霜がなくなり、ヒートポンプの連続運転が図られる。
【0052】
図7−2は、開始から始まり、(ST−10)において、センサ8が外気温を測定し、所定温度以下、例えば、略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度において、略5℃以下の場合には、(ST−20)において、暖房機2が稼動する。また、以上の場合には、終了である。この暖房機2でハウスA内の室温の上昇と、(ST−30)において、熱交換器12とを利用し、(ST−50)の如く、ダクト6に送られるが、この際に、(ST−40)において、センサ(図示せず)でダクト6の外気の昇温を測定し、以上の場合には、前述の如く、(ST−50)の如く、ダクト6に送られる。また、以下の場合には、送風しないか、又は図示しない、手段を介して、暖めるか、又はリターンする。このダクト6に送られた暖気は、(ST−60)の如く、ヒートポンプの室外機100に送られる。そして、(ST−70)の如く、このヒートポンプの室外機100をセンサ(図示せず)で計測し、着霜しない状態を確認した場合は終了し、また、確認できない(着霜があり得る場合は)、最初に戻る。この終了により、着霜がなくなり、ヒートポンプの連続運転が図られる。
【0053】
図6に示した第三実施例を説明すると、この第三実施例は、ハウスA内の暖房装置を、ヒートポンプの室内機1と、暖房機2を選択的に使用して、燃料の効率化、かつCO2削減を図る構成としたハウスA内の暖房装置で、ヒートポンプの室内機1の吐出口に、ダクト6を設け、このダクト6をヒートポンプの室外機100まで設ける構造であり、ヒートポンプの室内機1の暖気を、ダクト6を介して、ヒートポンプの室外機100まで順送する流れであり、このダクト6には、前記の如く、シャッター600a、600bを設けて、このシャッター600aの閉塞と、シャッター600bの開放を介して、ヒートポンプの室外機100への暖気の供給を図り、そして、また、シャッター600bの閉塞と、シャッター600aの開放を介して、外気を導入し、このヒートポンプの室外機100の冷却を図る。
【0054】
そして、この第三実施例の条件と、この条件によるヒートポンプと暖房機2の稼動、センサ8、9等の動き等は、前述の第一実施例に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は第一実施例であって、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用し、煙突の排熱を有効利用する構造の模式図
【図2】図2は図1の他の一例を示した模式図
【図3】図3はヒートポンプと、暖房機を選択的に使用する際の条件の一例を示した模式図
【図4】図4は第二実施例であって、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用し、ハウス内に設けた熱交換器を有効利用する構造の模式図
【図5】図5は図4の他の一例を示した模式図
【図6】図6は第三実施例であって、ヒートポンプと、暖房機を選択的に使用する際の条件の一例を示した模式図
【図7−1】図7−1は、センサを利用した、図1の制御を示したフローチャート
【図7−2】図7−2は、センサを利用した、図2の制御を示したフローチャート
【符号の説明】
【0056】
1 ヒートポンプの室内機
100 ヒートポンプの室外機
100a ファン
2 暖房機
200 煙突
5 熱交換筒体
500 外気吸込口
6 ダクト
600a シャッター(ダンパー)
600b シャッター(ダンパー)
7 ファン
7a ファン
7b ファン
7c ファン
8 センサ
9 センサ
12 熱交換器
1200 吸込配管
A ハウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、この暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、このハウスの室温を、所定の温度に維持するハウス内の暖房制御方法であって、
このヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、このセンサが、所定の温度以下を検知した場合、及び/又は、当該ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合において、前記暖房機を可動し、この煙突に排気された排熱と、外気との熱交換を介して、この外気を暖気に変換し、この暖気を、瞬時かつ短時間、前記室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図りつつ、前記ヒートポンプの連続運転を荷担するとともに、前記ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記暖房機の暖気を、煙突と、前記室外機の間に、ファンを備えたダクト及び/又は熱交換筒体を設け、このダクト及び/又は熱交換筒体を介して、ヒートポンプの室外機に送る構成としたハウス内の暖房制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記ダクト及び/又は熱交換筒体に、シャッターを設ける構成としたハウス内の暖房制御方法。
【請求項4】
ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、この暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、このハウスの温度をコントロールするハウス内の暖房装置は、
この暖房機の煙突を、このハウス外に延設し、この煙突に、隙間を置いて熱交換筒体を設け、この熱交換筒体の一方に外気吸込口と、ファンを設け、また、この熱交換筒体の他方にダクトを設け、このダクトに開閉自在のシャッターを設けた構造とした、煙突を流れる排熱と、前記熱交換筒体を利用した、前記室外機の着霜防止機構と、
また、前記室外機の近傍に設けた温度センサ、この室外機の温度センサ、又はガス圧センサ等のセンサを介して、前記暖房機の入り切りを制御する制御回路を備えた暖房機の入り切りを選択的に使用し、ハウスの温度のコントロールをする機構と、
で構成したハウス内の暖房装置。
【請求項5】
このヒートポンプの稼動時に、センサが外気温を検知し、このセンサが、所定の温度以下を検知した場合、及び/又は、当該ヒートポンプの室外機の着霜発生の恐れがあることを検知した場合において、前記暖房機を可動し、また、ハウスに設けた熱交換器を介して、外気との熱交換を介して、この外気を暖気に変換し、この暖気を、瞬時かつ短時間、前記室外機に送風し、着霜防止とヒートポンプの連続運転を介して、燃料の効率化、並びにCO2削減を図りつつ、前記ヒートポンプの連続運転を荷担するとともに、前記ハウスの室温を、所定の温度に維持する構成としたハウス内の暖房制御方法。
【請求項6】
ハウスに、ヒートポンプと、暖房機を設置し、この暖房機の入り切りを選択的に使用して、このヒートポンプの室外機の着霜防止と、このハウスの温度をコントロールするハウス内の暖房装置は、
このハウスに設けた熱交換器の一方に設けたファン及び/又は外気吸込口と、この外気吸込口を、当該ハウス外に延設し、また、熱交換器の他方に設けたダクトを、前記ヒートポンプの室外機に連設し、このダクトに開閉自在のシャッターを設けた構造とした、前記ハウス内の暖気と、前記熱交換器を利用した、前記室外機の着霜防止機構と、
また、前記室外機の近傍に設けた温度センサ、この室外機の温度センサ、又はガス圧センサ等のセンサを介して、前記暖房機の入り切りを制御する制御回路を備えた暖房機の入り切りを選択的に使用し、ハウスの温度のコントロールをする機構と、
で構成したハウス内の暖房装置。
【請求項7】
請求項1、又は請求項5に記載のハウス内の暖房制御方法であって、
前記暖房機及び/又はヒートポンプの運転制御と、センサに略5℃〜略7℃の温度幅で設定した温度を、制御盤にインプットし、この制御盤の指令で、前記運転制御を、決定する構成としたハウス内の暖房制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate


【公開番号】特開2010−2142(P2010−2142A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162436(P2008−162436)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】