ハニカム構造体
【課題】大型のハニカム構造体として好適に使用することが可能なハニカム構造体を提供する。
【解決手段】ハニカム焼成体110が接着材層101を介して複数個結束されてなるセラミックブロック103とその外周面に形成されたシール材層102とからなるハニカム構造体100であって、ハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の形状が四角形である第1の形状のユニット110及びセラミックブロックの外周部に位置し第1の形状のユニットと隣接して配置される第2の形状のユニット120を含み、第2の形状のユニットの長手方向垂直断面における形状は、直角を形成する第1の辺と第2の辺及びこの直角と対向する傾斜辺とを有し、第2の辺が第1の形状のユニットと隣接して配置されており、第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、第1の形状のユニットの長手方向垂直断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長い。
【解決手段】ハニカム焼成体110が接着材層101を介して複数個結束されてなるセラミックブロック103とその外周面に形成されたシール材層102とからなるハニカム構造体100であって、ハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の形状が四角形である第1の形状のユニット110及びセラミックブロックの外周部に位置し第1の形状のユニットと隣接して配置される第2の形状のユニット120を含み、第2の形状のユニットの長手方向垂直断面における形状は、直角を形成する第1の辺と第2の辺及びこの直角と対向する傾斜辺とを有し、第2の辺が第1の形状のユニットと隣接して配置されており、第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、第1の形状のユニットの長手方向垂直断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中のスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が、環境及び人体に害を及ぼすことが近年問題となっている。そこで、多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いることにより、排ガス中のパティキュレートを捕集し、排ガスを浄化するパティキュレートフィルタが種々提案されている。
【0003】
このようなハニカム構造体としては、炭化珪素等のセラミック材料等を含む混合物を押出成形し、脱脂、焼成等の処理を行うことによって作製される柱形状のハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されたものが知られている。
【0004】
特許文献1には、ハニカム構造体を製造する方法が開示されている。
特許文献1においてハニカム構造体を製造する場合には、角柱状のハニカム焼成体(ハニカムセグメント)を接着材層を介して複数個結束して角柱状のセラミックブロック(ハニカムセグメント接合体)を作製する。そして、セラミックブロックの外周を研削する研削加工を行うことによってセラミックブロックを作製する。そして、このセラミックブロックの外周面をシール材(コーティング材)で被覆することによってハニカム構造体を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−179526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ディーゼルトラック等の大型車、農業機械、建設機械、船舶、機関車等から排出される排ガスを浄化するための大型のパティキュレートフィルタとしてハニカム構造体を設置する。
上述したように、ハニカム構造体を製造する際には、セラミックブロックを所定の外周形状に研削加工する研削加工を行っていたが、大型のフィルタを作製する場合には研削加工によって研削するセラミック部分の量が多いために、無駄になる材料が多くなるという問題がある。また、炭化ケイ素等のセラミックはその硬度が高いことから研削加工に長時間を要するという問題がある。
【0007】
そのため、研削加工に起因する上記問題を解決することができ、大型のハニカム構造体として好適に使用することが可能なハニカム構造体を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のハニカム構造体は、
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックと、上記セラミックブロックの外周面に形成されたシール材層とからなるハニカム構造体であって、
上記ハニカム焼成体は、第1の形状のユニット及び第2の形状のユニットを含み、
上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形であり、
上記第2の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における形状は、少なくとも第1の辺と、上記第1の辺と直角を形成する第2の辺と、上記直角と対向する傾斜辺とを有し、
上記第2の形状のユニットの外周部には外壁が形成されており、
上記第2の形状のユニットは、上記セラミックブロックの外周部に位置し、上記第2の辺が上記第1の形状のユニットと隣接して配置されており、
上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面形状において、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長いことを特徴とする。
【0009】
第2の形状のユニットは、第1の辺と第2の辺を有し、第1の辺と第2の辺が直角を形成している。第1の形状のユニットと隣接して配置される辺を第2の辺とする。
また、第2の辺の長さは第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長い。
【0010】
第2の形状のユニットは、外周を構成する傾斜辺を有する。
傾斜辺は、第1の辺及び第2の辺で形成される直角に対向する辺であって、最も長い辺である。
傾斜辺は、円弧からなる辺又は直線からなる辺とすることができる。
傾斜辺が円弧からなる辺の場合、この円弧からなる傾斜辺が最も外周側に位置するように第2の形状のユニットを配置することによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを製造することができる。
傾斜辺が直線からなる辺の場合、傾斜辺は、第1の辺と第2の辺で形成される直角を含む直角三角形を想定した場合の斜辺となる辺の傾きに近い傾きを有する辺である。この直線からなる傾斜辺が最も外周側に位置するように第2の形状のユニットを配置することによっても、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを製造することができる。
そして、セラミックブロックの外周面にシール材層を形成することによってその形状を円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状とすることができる。
【0011】
すなわち、第2の形状のユニット及び第1の形状のユニットを含むハニカム構造体は、研削加工を行うことなく製造することに適しており、その製造に際して無駄になる材料がなく、また、研削加工に要する時間が不要である。すなわち、請求項1に記載のハニカム構造体は、研削加工に起因する問題を解決することができる。
【0012】
請求項2に記載のハニカム構造体では、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍である。
【0013】
第2の形状のユニットの断面形状をこのように定めることによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状により近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0014】
請求項3に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム焼成体は、第3の形状のユニットをさらに含み、上記第3の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は三角形であり、
上記第3の形状のユニットは上記セラミックブロックの外周部に位置している。
【0015】
第3の形状のユニットを配置することによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状にさらに近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0016】
請求項4に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム焼成体の数は25個以上である。
【0017】
請求項5に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム構造体の上記長手方向に垂直な断面の形状が円形であり、直径が190mm以上である。
【0018】
請求項6に記載のハニカム構造体では、上記多数のセルの上記長手方向に垂直な断面の形状が四角形である。
【0019】
請求項7に記載のハニカム構造体では、上記多数のセルは、大容量セルと小容量セルからなる。
【0020】
請求項8に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状となっている四角形である。
【0021】
請求項9に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、四角形の少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状になっている形状である。
【0022】
請求項10に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である。
【0023】
請求項11に記載のハニカム構造体では、上記多数のセルのいずれか一方の端部は封止されている。
【0024】
請求項12に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム構造体の上記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状である。
【0025】
請求項13に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの上記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状に近い形状である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第1の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第2の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第3の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示すハニカム構造体の側面図である。
【図6】図6は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図8】図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)及び図8(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【図9】図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)及び図9(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第1の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図10】図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)及び図10(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図11】図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)及び図11(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第3の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、ハニカム焼成体として、その長手方向に垂直な断面における形状が少なくとも第1の辺と第2の辺と傾斜辺とを有する形状のユニット(以下、このような形状のハニカム焼成体を第2の形状のユニットといい、断面扇形ユニット又は断面台形ユニットともいう)を作製した。
さらに、その長手方向に垂直な断面の形状が四角形であるユニット(以下、このような形状のハニカム焼成体を第1の形状のユニットといい、断面四角形ユニットともいう)を作製した。
そして、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットと断面四角形ユニットを組み合わせてセラミックブロックを作製する際に、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットがセラミックブロックの外周部に位置するように配置することによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを作製した。
なお、本明細書において「セラミックブロックの外周部に位置するユニット」とは、セラミックブロックの外周面の一部を構成するユニット(ハニカム焼成体)を指すものとする。
【0028】
そして、このセラミックブロックの外周面に、ハニカム構造体の形状が円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状になるようにシール材層を形成することによってハニカム構造体を研削加工を行うことなく製造することができることを見出した。
【0029】
また、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットの断面形状において、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットの外周を構成する第2の辺の長さが断面四角形ユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長くなるようにすると、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを好適に作製することができることを見出し、本発明を完成した。
なお、本明細書において、第2の形状のユニットのうち、傾斜辺が円弧であるものを断面扇形ユニットといい、傾斜辺が直線からなる辺であるものを断面台形ユニットという。
【0030】
なお、ハニカム構造体の形状は、長手方向に垂直な断面の形状が円であるものに限られず、断面の形状が長円、楕円、又は三角形の頂点部が曲線となっている形状等であってもよい。セラミックブロックの断面の形状も、上記ユニットを組み合わせることにより、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状等に近い形状とすることができる。
また、セラミックブロックの断面の形状が長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状等に近い形状であるということは、それぞれの形状の外周から部分的に凸部又は凹部があるが、それぞれの形状に近似している形状のことをいう。
また、三角形の頂点が曲線となっている形状の曲線部分は円弧の一部の形状のことをいう。
【0031】
(第一実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第1の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
図3は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第2の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第3の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【0032】
図1に示すハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素からなる、図2(a)及び図2(b)に示すような形状のハニカム焼成体110(第1の形状のユニット110)、図3に示すような形状のハニカム焼成体120(第2の形状のユニット120)、並びに、図4に示すような形状のハニカム焼成体130(第3の形状のユニット130)がシール材層(接着材層)101を介して複数個結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にシール材層(コート層)102が形成されている。
【0033】
図2(a)及び図2(b)に示す第1の形状のユニット110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図2(a)中、両矢印aの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスGは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。
従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
第1の形状のユニット110の長手方向に垂直な断面の形状は四角形であり、第1の形状のユニット110は、断面四角形ユニットである。
また、上記四角形の外周を構成する四つの辺114の長さは略同一であり、第1の形状のユニット110の長手方向に垂直な断面の形状は略正方形となっている。
【0034】
図3に示す第2の形状のユニット120にも、第1の形状のユニット110と同様に多数のセル121、封止材122及びセル壁123が設けられている。従って、第2の形状のユニット120はPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
また、第2の形状のユニット120の外周部にはセル壁からなる外壁123aが設けられている。
第2の形状のユニット120の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺124と、第2の辺125と、第3の辺127と、傾斜辺126を有する。
第1の辺124と第2の辺125の形成する角度は直角であり、傾斜辺126はその直角に対向して設けられている。傾斜辺126は円弧からなる。
なお、本明細書において「直角に対向する」とは、傾斜辺が直角を形成する2辺以外の辺であることを意味する。
第3の辺127は傾斜辺126と第1の辺124を接続している辺であり、第3の辺127は第2の辺125と平行になっている。
すなわち、第2の形状のユニット120は1つの円弧及び3つの直線部からなる断面扇形ユニットである。
【0035】
また、図4に示す第3の形状のユニット130にも、第1の形状のユニット110と同様に多数のセル131、封止材132及びセル壁133が設けられている。従って、第3の形状のユニット130はPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
第3の形状のユニット130の長手方向に垂直な断面の形状は三角形であり、第3の形状のユニット130は、断面三角形ユニットである。
また、第3の形状のユニット130の長手方向に垂直な断面の形状は、第1の辺134及び第2の辺135で形成される直角を有し、上記直角に対向する斜辺136を有する直角二等辺三角形となっている。
【0036】
なお、本明細書においては、各ユニットの形状やセルの形状を三角形、四角形等の名称で表現しているが、本明細書における三角形、四角形とは、完全な直線のみからなる厳密な図形を意味するものではなく、その角(頂点)が直線や曲線で面取りされていて三角形、四角形と実質的に同視し得る形状を包含する。また、本明細書において「直角」、「平行」、「直角二等辺三角形」等の語は数学的に厳密な形状を意味するものではなく、「直角」、「平行」、「直角二等辺三角形」等の形状と実質的に同視し得る形状を包含する。
【0037】
図5は、図1に示すハニカム構造体の側面図である。
以下、図5を参照してハニカム構造体100における第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120及び第3の形状のユニット130の配置について説明する。
ハニカム構造体100では、その断面の中央部に第1の形状のユニット110(断面四角形ユニット)が配置されている。第1の形状のユニット110の数は32個である。
【0038】
第1の形状のユニット110の周囲には第2の形状のユニット120(断面扇形ユニット)が8個配置されている。第2の形状のユニット120は、第2の辺125が第1の形状のユニット110と隣接するように配置されている。また、傾斜辺126がセラミックブロックの外周面となるように配置されている。また、2つの第2の形状のユニット120が、各第2の形状のユニット120の第1の辺124同士が隣接するように配置されている。
第2の形状のユニット120の第2の辺125の長さは、第1の形状のユニット110の外周を構成する辺114の長さよりも長くなっている。
特に、第2の形状のユニット120の第2の辺125の長さが第1の形状のユニット110の外周を構成する辺114の長さの1.5〜2.5倍となっていることが望ましい。
【0039】
第1の形状のユニット110の周囲であって、第2の形状のユニット120が配置されていない部位には第3の形状のユニット130(断面三角形ユニット)が4個配置されている。
第3の形状のユニット130は、その第1の辺134及び第2の辺135が第1の形状のユニット110と隣接するように配置されている。また、第3の形状のユニット130の斜辺136がセラミックブロックの外周面となるように配置されている。
【0040】
このハニカム構造体100においては、ハニカム焼成体の数は合計で44個である。その内訳は第1の形状のユニットが32個、第2の形状のユニットが8個、第3の形状のユニットが4個である。
そして、44個のハニカム焼成体が接着材層101を介して結束されてセラミックブロック103を形成している。
さらに、セラミックブロック103の外周面にはシール材層102が形成されており、ハニカム構造体100の長手方向に垂直な断面の形状は円形になっている。
また、この断面円形のハニカム構造体の直径は190mm以上となっている。
なお、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の形状が長円、楕円、三角形の頂点部が曲線となっている形状の場合は、各形状の中心を通る、外周の2点の間の線分のうち最も長い線分の長さが190mm以上であることが望ましい。
【0041】
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、
セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する焼成工程と、
複数の上記ハニカム焼成体を接着材層を介して接着させてセラミックブロックを作製する結束工程と、
上記セラミックブロックの外周面にシール材層を形成するシール材層形成工程を含むハニカム構造体の製造方法であって、
上記成形工程及び上記焼成工程において、少なくとも第1の形状のユニット及び第2の形状のユニットを作製し、
上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は四角形であり、
上記第2の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は、少なくとも第1の辺と、上記第1の辺と直角を形成する第2の辺と、上記直角と対向する傾斜辺とを有し、上記第2の形状のユニットの外周部には外壁が形成されており、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長く、
上記結束工程において、上記第2の形状のユニットを、その上記第2の辺が上記第1の形状のユニットと隣接するように、かつ、その上記傾斜辺が上記セラミックブロックの最外周になるように配置することを特徴とする。
【0042】
また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程及び上記焼成工程において、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さが、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍となるように上記第2の形状のユニットを作製する。
【0043】
また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程及び上記焼成工程において、その長手方向に垂直な断面の形状が三角形である第3の形状のユニットをさらに作製し、上記第3の形状のユニットを上記セラミックブロックの外周部に配置する。
【0044】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法を工程順に説明する。
まず、セラミック原料としての平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水等を混合して、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
【0045】
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入して押出成形する成形工程を行い、所定の形状のハニカム成形体を作製する。
このとき、金型の形状を変更して、第1の形状のユニットとなる第1の形状のハニカム成形体、
第2の形状のユニットとなる第2の形状のハニカム成形体、及び、第3の形状のユニットとなる第3の形状のハニカム成形体をそれぞれ所定の数作製する。
以下の工程で、ハニカム成形体というときはこれら3種のハニカム成形体を区別せずに指すものとする。
【0046】
次に、ハニカム成形体の両端を切断装置を用いて切断する切断工程を行い、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、切断したハニカム成形体を乾燥機を用いて乾燥する。
次いで、セルのいずれか一方の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このような工程を経て、セル封止ハニカム成形体を作製する。
なお、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
【0047】
次に、セル封止ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、ハニカム脱脂体を作製する。このハニカム脱脂体の形状は図2(a)、図3及び図4に示す各ハニカム焼成体の形状とほぼ同様である。
【0048】
そして、ハニカム脱脂体を焼成炉に搬送し、アルゴン雰囲気下、2000〜2300℃で焼成する焼成工程を行うことによって、図2(a)、図3及び図4に示す形状のハニカム焼成体、すなわち、第1の形状のユニット、第2の形状のユニット及び第3の形状のユニットを作製する。
以下の工程で、ハニカム焼成体というときはこれら3種のユニットを区別せずに指すものとする。
【0049】
続いて、ハニカム焼成体間に接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を加熱固化して接着材層とし、接着材層を介して複数のハニカム焼成体を結束させてセラミックブロックとする結束工程を行う。
接着材ペーストとしては、無機繊維及び/又はウィスカ、無機粒子、無機バインダ、並びに、有機バインダを含む接着材ペーストが好適に用いられる。
【0050】
この結束工程においては、中央部に第1の形状のユニットを配置し、その周囲に第2の形状のユニット及び第3の形状のユニットを配置して、図5に示すような断面形状を有するセラミックブロックを作製する。
特に、第2の形状のユニットを、その第2の辺が第1の形状のユニットと隣接するように、かつ、その傾斜辺がセラミックブロックの最外周になるように配置する。
また、第3の形状のユニットを、その第1の辺及び第2の辺が第1の形状のユニットと隣接するように、かつ、その斜辺がセラミックブロックの最外周になるように配置する。
【0051】
続いて、セラミックブロックの外周面にシール材ペーストを塗布し、シール材ペーストを乾燥固化させてシール材層(コート層)を形成するシール材層形成工程を行い、円柱状のハニカム構造体を作製する。
なお、上記シール材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用することができる。以上の工程によって、ハニカム構造体を作製する。
【0052】
以下、本実施形態のハニカム構造体の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体は、第2の形状のユニットの傾斜辺が最も外周側に配置されているため、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
このような本実施形態のハニカム構造体は、研削加工を行うことなく製造することに適しており、その製造に際して無駄になる材料がなく、また、研削加工に要する時間が不要である。そのため、研削加工に起因する問題を解決することができる。
【0053】
(2)本実施形態のハニカム構造体では、第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍である。
そのため、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状により近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0054】
(3)本実施形態のハニカム構造体では、第3の形状のユニットが配置されているため、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状にさらに近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0055】
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(第1の形状のユニットの作製工程)
炭化ケイ素を主成分とする湿潤混合物を用いて押出成形する成形工程を行い、図2(a)に示した形状と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない、第1の形状の生のハニカム成形体を作製した。
【0056】
次いで、上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記生のハニカム成形体と同様の組成のペーストを所定のセルに充填し、封止セルを有するハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0057】
ハニカム成形体の脱脂工程、及び、焼成工程を行い、大きさが34.3mm×34.3mm×150mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体、すなわち図2(a)に示す形状の第1の形状のユニットを作製した。
【0058】
(第2の形状のユニットの作製工程)
成形工程において使用する金型の形状を変更した他は上記第1の形状のユニットの作製工程と同様にして、図3に示す形状の第2の形状のユニットを作製した。
作製した第2の形状のユニットの第1の辺の長さは23.8mm、第2の辺の長さは67.6mm、第3の辺の長さは16.6mm、傾斜辺の長さは61.7mmである。また、長手方向の長さは第1の形状のユニットと同様である。
【0059】
(第3の形状のユニットの作製工程)
成形工程において使用する金型の形状を変更した他は上記第1の形状のユニットの作製工程と同様にして、図4に示す形状の第3の形状のユニットを作製した。
作製した第3の形状のユニットの第1の辺の長さは34.3mm、第2の辺の長さは34.3mm、斜辺の長さは48.3mmである。また、長手方向の長さは第1の形状のユニットと同様である。
【0060】
(結束工程)
続いて、アルミナファイバ及び炭化ケイ素を含む耐熱性の接着材ペーストを用いて、中央部に第1の形状のユニットを配置し、その周囲に第2の形状のユニット及び第3の形状のユニットを配置して、ハニカム焼成体を多数結束させ、さらに、接着材ペーストを180℃で乾燥固化させて接着材層を形成して図5に示すような直線部と曲線部が交互につながった8つの直線部と8つの曲線部からなる断面形状を有するセラミックブロックを作製した。直線部とは、第2の形状のユニット120の第3の辺127を2つ、接着材層を間にはさんでなる部位、又は、第3の形状のユニット130の斜辺136のことを指す。
【0061】
(シール材層形成工程)
続いて、接着材ペーストと同様の組成からなるシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布して、シール材ペーストを120℃で乾燥固化させてシール材層を形成して、円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0062】
本実施例で製造したハニカム構造体は、研削加工を行うことなく作製されているため、その製造に際して無駄になる材料がない。
ハニカム構造体の断面の形状は円形であり直径が266.7mm(10.5インチφ)であった。
その断面においてユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は88%であった。
【0063】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について図面を参照しながら説明する。
図6は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
本発明の第二実施形態のハニカム構造体200は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体100と同様に第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120、第3の形状のユニット130を備える。
本発明の第二実施形態のハニカム構造体200は、第1の形状のユニットの数が異なる他は本発明の第一実施形態のハニカム構造体100と同様である。
【0064】
このハニカム構造体200におけるハニカム焼成体の数は合計で33個である。その内訳は第1の形状のユニットが21個、第2の形状のユニットが8個、第3の形状のユニットが4個である。
そして、33個のハニカム焼成体が接着材層201を介して結束されてセラミックブロック203を形成している。
さらに、セラミックブロック203の外周面にはシール材層202が形成されており、ハニカム構造体200の長手方向に垂直な断面の形状は円形になっている。
また、この円形の直径は190mm以上となっている。
【0065】
本発明の第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法と同様であるためその詳細な説明は省略する。
また、本発明の第二実施形態に係るハニカム構造体の作用効果は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の作用効果と同様である。
【0066】
(実施例2)
実施例1と同様に、第1の形状のユニット、第2の形状のユニット、第3の形状のユニットを作製し、実施例1と同様に結束工程を行って図6に示すような断面形状を有するセラミックブロックを作製した。
続いて、実施例1と同様にシール材層形成工程を行って、円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0067】
本実施例で製造したハニカム構造体の断面の形状は円形であり直径が228.6mm(9インチφ)であった。
その断面においてユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は88%であった。
【0068】
(第三実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第三実施形態について図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
本発明の第三実施形態のハニカム構造体300は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体100と同様に第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120、第3の形状のユニット130を備える。
本発明の第三実施形態のハニカム構造体300は、第1の形状のユニットの数が異なる他は本発明の第一実施形態のハニカム構造体100と同様である。
【0069】
このハニカム構造体300におけるハニカム焼成体の数は合計で57個である。その内訳は第1の形状のユニットが45個、第2の形状のユニットが8個、第3の形状のユニットが4個である。
そして、57個のハニカム焼成体が接着材層301を介して結束されてセラミックブロック303を形成している。
さらに、セラミックブロック303の外周面にはシール材層302が形成されており、ハニカム構造体300の長手方向に垂直な断面の形状は円形になっている。
また、この円形の直径は190mm以上となっている。
ここで、本発明の第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態の第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120の大きさの関係について説明する。
本発明の第一実施形態(図5参照)は、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、第1の形状のユニット110の2個分の辺の長さと第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺である第2の辺125とが等しく、
第1の形状のユニット110の2個分の辺の位置とユニット120の一番長い長さの直線の辺である第2の辺125の位置とが同じ位置にある例を示している。
本発明の第二実施形態(図6参照)は、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、第1の形状のユニット110の2個分の辺の長さと第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺とが等しく、
第1の形状のユニット110の2個分の辺の位置とユニット120の一番長い長さの直線の辺の位置とが実質的に異なる位置にあり(具体的には、第1の形状のユニット110の1/2個分の辺の長さだけずれている)、第3の形状のユニット130の位置に重なるように第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺が存在している例を示している。
本発明の第三実施形態(図7参照)は、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、第1の形状のユニット110の2個分の辺の長さと第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺とが等しく、
第1の形状のユニット110の2個分の辺の位置と第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺の位置とが実質的に異なる位置にあり(具体的には、第1の形状のユニット110の1/2個分の辺の長さだけずれている)、第3の形状のユニット130に隣接する第1の形状のユニット110の一辺と第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺とが隣接している例を示している。
【0070】
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法と同様であるためその詳細な説明は省略する。
また、本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体の作用効果は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の作用効果と同様である。
【0071】
(実施例3)
実施例1と同様に、第1の形状のユニット、第2の形状のユニット、第3の形状のユニットを作製し、実施例1と同様に結束工程を行って図7に示すような断面形状を有するセラミックブロックを作製した。
続いて、実施例1と同様にシール材層形成工程を行って、円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0072】
本実施例で製造したハニカム構造体の断面の形状は円形であり直径が304.8mm(12インチφ)であった。
その断面においてユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は88%であった。
【0073】
(その他の実施形態)
各実施形態において、第2の形状のユニットとしては、断面扇形ユニット又は断面台形ユニットを使用することができる。
図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)及び図8(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの一例を模式的に示す側面図である。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、断面扇形ユニットを示しており、図8(d)及び図8(e)は、断面台形ユニットを示している。
各図面に示す各断面扇形ユニット及び各断面台形ユニットは、長手方向に垂直な断面の形状が四角形であるセルを備えている。
【0074】
第2の形状のユニットとしては、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び2つの直線部からなる形状、1つの円弧及び3つの直線部からなる形状、又は、1つの円弧及び4つの直線部からなる形状等が挙げられる。第2の形状のユニットの形状は、長手方向に垂直な断面の形状が少なくとも1つの円弧と2つの直線部を備えていればよく、円弧の数が2つ以上であってもよく、直線部の数が5つ以上であってもよい。
【0075】
図8(a)は、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び2つの直線部からなる断面扇形ユニットの一例を示している。図8(a)に示す断面扇形ユニット510の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺511と、第2の辺512と、傾斜辺513を有する。
第1の辺511と第2の辺512の形成する角度は直角であり、傾斜辺513はその直角に対向して設けられている。傾斜辺513は円弧からなる。
傾斜辺513は第1の辺511及び第2の辺512に接続している。
【0076】
図8(b)は、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び3つの直線部からなる断面扇形ユニットの一例を示している。この断面扇形ユニットは、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の説明で説明した第2の形状のユニットと同じ形状である。
図8(b)に示す断面扇形ユニット520の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺521と、第2の辺522と、傾斜辺523と、第3の辺524を有する。
第1の辺521と第2の辺522の形成する角度は直角であり、傾斜辺523はその直角に対向して設けられている。傾斜辺523は円弧からなる。
第3の辺524は傾斜辺523と第1の辺521を接続している辺であり、第3の辺524は第2の辺522と平行になっている。
【0077】
図8(c)は、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び4つの直線部からなる断面扇形ユニットの一例を示している。図8(c)に示す断面扇形ユニット530の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺531と、第2の辺532と、傾斜辺533と、第3の辺534と、第4の辺535を有する。
第1の辺531と第2の辺532の形成する角度は直角であり、傾斜辺533はその直角に対向して設けられている。傾斜辺533は円弧からなる。
第3の辺534は傾斜辺533と第1の辺531を接続している辺であり、第3の辺534は第2の辺532と平行になっている。
第4の辺535は傾斜辺533と第2の辺532を接続している辺であり、第4の辺535は第1の辺531と平行になっている。
【0078】
断面台形ユニットとしては、長手方向に垂直な断面の形状が4つの直線部からなる形状、又は、5つの直線部からなる形状等が挙げられる。
断面台形ユニットの形状は、その直線部が少なくとも1つの傾斜辺と2つの辺(第1の辺及び第2の辺)を備えていればよく、傾斜辺の数が2つ以上であってもよく、直線部の数が6つ以上であってもよい。なお、「断面台形ユニット」の断面形状は台形に限定されるものではなく、五角形、六角形等の多角形であってもよい。
【0079】
図8(d)は、長手方向に垂直な断面の形状が4つの直線部からなる断面台形ユニットの一例を示している。図8(d)に示す断面台形ユニット610の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺611と、第2の辺612と、傾斜辺613と、第3の辺614を有する。
第1の辺611と第2の辺612の形成する角度は直角であり、傾斜辺613はその直角に対向して設けられている。傾斜辺613は直線からなる。
第3の辺614は傾斜辺613と第1の辺611を接続している辺であり、第3の辺614は第2の辺612と平行になっている。
【0080】
図8(e)は、長手方向に垂直な断面の形状が5つの直線部からなる断面台形ユニットの一例を示している。図8(e)に示す断面台形ユニット620の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺621と、第2の辺622と、傾斜辺623と、第3の辺624と、第4の辺625とを有する。
第1の辺621と第2の辺622の形成する角度は直角であり、傾斜辺623はその直角に対向して設けられている。傾斜辺623は直線からなる。
第3の辺624は傾斜辺623と第1の辺621を接続している辺であり、第3の辺624は第2の辺622と平行になっている。
第4の辺625は傾斜辺623と第2の辺622を接続している辺であり、第4の辺625は第1の辺621と平行になっている。
【0081】
各ハニカム焼成体が有するセルの形態は、これまでの本発明の実施形態において説明した形態に限定されるものではない。
図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)及び図9(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第1の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図に示すハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の面積が相対的に大きい大容量セルと、上記断面の面積が相対的に小さい小容量セルが交互に配設されてなる。
以下、これらの図面を用いてハニカム焼成体のセルの断面形状のその他の実施形態を説明する。
【0082】
図9(a)に示すハニカム焼成体710は、大容量セル711aと、小容量セル711bが交互に配設されてなる。
大容量セル711aの長手方向に垂直な断面の形状は、八角形である。小容量セル711bの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形である。
なお、小容量セル711bの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形の少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状になっている形状であってもよい。
【0083】
図9(b)に示すハニカム焼成体720は、大容量セル721aと、小容量セル721bが交互に配設されてなる。
大容量セル721aの長手方向に垂直な断面の形状は、角部に相当する部分が円弧状になっている四角形である。小容量セル721bの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形である。
【0084】
図9(c)に示すハニカム焼成体730は、大容量セル731aと、小容量セル731bが交互に配設されてなる。
大容量セル731a及び小容量セル731bの長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である形状である。
すなわち、図9(c)ではセル壁733の断面形状が曲線である。
大容量セル731aの断面形状は、セル壁733がセルの断面の中心から外側に向かって凸の形状である。
一方、小容量セル731bの断面形状は、セル壁733がセルの断面の外側から中心に向かって凸の形状である。
セル壁733はハニカム焼成体の断面の水平方向及び垂直方向に対して起伏する「波形」の形状を有しており、隣り合うセル壁733の波形の山の部分(正弦曲線でいう振幅の極大値の部分)が互いに最近接することで、セルの断面形状が外側に膨らんだ大容量セル731aとセルの断面形状が内側に凹んだ小容量セル731bとが形成される。なお、波形の振幅は一定でもよくまた変化しても良いが、一定であることが好ましい。
【0085】
図9(d)に示すハニカム焼成体770は、大容量セル771aと、小容量セル771bが交互に配設されてなる。
図9(d)に示すハニカム焼成体770では、大容量セル771aの長手方向に垂直な断面の形状は四角形であり、小容量セル771bの長手方向に垂直な断面の形状は四角形である。
【0086】
図9(e)に示すハニカム焼成体780は、大容量セル781aと、小容量セル781bが交互に配設されてなる。
図9(e)に示すハニカム焼成体780では、大容量セル781aの長手方向に垂直な断面の形状は四角形の角部に相当する部分が円弧状である形状であり、小容量セル781bの長手方向に垂直な断面の形状は四角形の角部に相当する部分が円弧状である形状である。
なお、上記大容量セルと小容量セルの形状は、上記した以外の形状であってもよい。
【0087】
ハニカム焼成体が大容量セルと小容量セルを有する場合、隣り合う大容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離と、隣り合う小容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離とは、等しいことが望ましい。
「隣り合う大容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離」とは、一の大容量セルの長手方向に垂直な断面における重心と、隣り合う大容量セルの長手方向に垂直な断面における重心との最小の距離をいい、一方、「隣り合う小容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離」とは、一の小容量セルの長手方向に垂直な断面における重心と、隣り合う小容量セルの重心との最小の距離のことをいう。
【0088】
上記2つの重心間距離が等しいとき、再生時に熱が均一に拡散することで、ハニカム構造体内部の局所的な温度の偏りがなくなり、長期間繰り返し使用しても、熱応力に起因するクラック等が発生することのない耐久性に優れたハニカム構造体となるからである。
【0089】
ハニカム焼成体が有するセルが大容量セルと小容量セルからなる場合について、第1の形状のユニットを例にして説明したが、第2の形状のユニット又は第3の形状のユニットが大容量セルと小容量セルを備えていても良い。
【0090】
図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)及び図10(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図面に示す第2の形状のユニット810、820、830、870、880は、それぞれ大容量セル811a、821a、831a、871a、881a及び小容量セル811b、821b、831b、871b、881bが交互に配設されてなる。
大容量セル及び小容量セルの形状は、上述した第1の形状のユニットの場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)及び図11(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第3の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図面に示す第3の形状のユニット910、920、930、970、980は、それぞれ大容量セル911a、921a、931a、971a、981a及び小容量セル911b、921b、931b、971b、981bが交互に配設されてなる。
大容量セル及び小容量セルの形状は、上述した第1の形状のユニットの場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
また、本発明のハニカム構造体においては、その長手方向に垂直な断面の形状が三角形である第3の形状のユニットは必ずしも必要ではない。
図12は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図12に示すハニカム構造体400の形状は、図5に示すハニカム構造体100において第3の形状のユニット130を有さない形状である。
このような形状のハニカム構造体400も本発明のハニカム構造体に含まれるが、ハニカム構造体の有効濾過面積を高める観点からは、第3の形状のユニットを有するハニカム構造体のほうが好ましい。
【0093】
ハニカム構造体の形状は、円柱状に限定されるものではなく、楕円柱状、長円柱状、三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状、又は、多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0094】
ハニカム焼成体の気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体で構成されるハニカム構造体をフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカム焼成体がすぐに目詰まりを起こし、一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下して容易に破壊されるからである。
【0095】
ハニカム焼成体の平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体で構成されるハニカム構造体をフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こし、一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、フィルタとして充分に機能することができないからである。
【0096】
なお、上記気孔率及び気孔径は、従来公知の水銀圧入法により測定することができる。
【0097】
ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されないが、0.2〜0.4mmが望ましい。
ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.2mm未満であると、ハニカム構造を支持するセル壁の厚さが薄くなり、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなり、一方、ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失の上昇を引き起こすからである。
【0098】
また、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、31個/cm2(200個/in2)、望ましい上限は、93個/cm2(600個/in2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/in2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/in2)である。
ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面におけるユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は85%以上が望ましく、88%以上がより望ましい。ハニカム構造体におけるハニカム焼成体の占有率が高いほど、ろ過面積が大きくなり、排ガス浄化性能が向上する。
【0099】
ハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。また、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたケイ素含有炭化ケイ素も同様の理由で好適に使用できる。
【0100】
また、本発明のハニカム構造体には、触媒が担持されていてもよい。
ハニカム構造体にCO、HC及びNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化することが可能となる触媒を担持させることにより、触媒反応により排ガス中の有害なガス成分を充分に浄化することが可能となる。また、PMの燃焼を助ける触媒を担持させることにより、PMをより容易に燃焼除去することが可能となる。
【0101】
これまで、本発明のハニカム構造体としては、セルのいずれか一方の端部が封止されているハニカム構造体(ハニカムフィルタ)について説明を行ったが、本発明のハニカム構造体は、セルの端部が封止されていなくてもよい。このような本発明のハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することが可能となる。
【0102】
本発明のハニカム構造体の製造方法においてハニカム焼成体を所定の位置に配置してセラミックブロックを作製する方法は特に限定されるものでないが、例えば以下の方法を用いることができる。
【0103】
はじめに、ハニカム焼成体をスペーサを介して縦横に複数個並列することにより、その長手方向に垂直な断面の形状が作製するセラミックブロックの形状と略同一である、ハニカム焼成体の並列体を作製する。
このとき、各ハニカム焼成体の間にはスペーサの厚さ分の空隙が形成される。
【0104】
続いて、円筒状等の筒状体を有する充填装置内にハニカム焼成体の並列体を設置し、ハニカム焼成体の間に形成された空隙、及び、ハニカム焼成体と筒状体の間に形成された空隙にシール材ペーストを充填する。
【0105】
充填装置は、円筒状等の筒状体とシール材ペースト供給器を備えている。筒状体の内径は設置するハニカム焼成体の並列体の直径より少し大きくなっており、ハニカム焼成体の並列体を筒状体の内部空間に設置した際に、筒状体とハニカム焼成体の並列体との間に空隙が形成されるように構成されている。
【0106】
シール材ペースト供給器は、シール材ペースト室に収容されたシール材ペーストをハニカム焼成体間の空隙と、筒状体とハニカム焼成体の並列体の間の空隙に同時に充填することができるように構成されている。
【0107】
このようなハニカム焼成体の並列体と充填装置を用いて、ハニカム焼成体の間の空隙、及び、ハニカム焼成体と筒状体の間に形成された空隙にシール材ペーストを充填する。続いて、シール材ペーストを乾燥固化させることによってハニカム焼成体間の接着材層とシール材層(コート層)とを同時に形成する。
【0108】
すなわち、上記方法はセラミックブロックを作製する結束工程とセラミックブロックの外周面にシール材層を形成するシール材層形成工程を同時に行う方法である。
【0109】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法においてハニカム焼成体を所定の位置に配置してセラミックブロックを作製する方法としては、例えば以下の方法を用いることもできる。
以下、図5に示すセラミックブロックを作製する場合を例にして、セラミックブロックを作製する方法を説明する。
まず、第1の形状のユニット110の側面に接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する。そして、この接着材ペースト層の上に、順次他の第1の形状のユニット110を積層する工程を繰り返す。
【0110】
次に、図5において第1の形状のユニット110の周囲であって、第2の形状のユニット120が配置されていない部位に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する。
そして、第3の形状のユニット130の第1の辺134及び第2の辺135が第1の形状のユニット110と接着材ペースト層を介して互いに接するように、第1の形状のユニット110の周囲に第3の形状のユニット130を嵌め込む。
【0111】
続けて、図5において第1の形状のユニット110の周囲であって、第3の形状のユニット130が配置されていない部位に、接着材ペーストを塗布して接着ペースト層を形成する。
そして、第2の形状のユニットの第2の辺125が第1の形状のユニット110と隣接し、かつ、2つの第2の形状のユニット120の第1の辺124同士が隣接するように第1の形状のユニット110の周囲に第2の形状のユニット120を嵌め込む。
この際、2つの第2の形状のユニット120の間の第1の辺にも接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する。
【0112】
これにより、32個の第1の形状のユニット110と、8個の第2の形状のユニット120と、4個の第3の形状のユニット130とが接着材ペースト層で結束された、図5に示す断面形状のセラミックブロックを作製する。
【0113】
続いて、セラミックブロックの外周面にシール材ペーストを塗布し、シール材ペーストを乾燥固化させてシール材層(コート層)を形成するシール材層形成工程を行い、円柱状のハニカム構造体を製造する。
【0114】
すなわち、上記方法はセラミックブロックを作製する結束工程とセラミックブロックの外周面にシール材層を形成するシール材層形成工程を別工程として行う方法である。
【符号の説明】
【0115】
100、200、300、400 ハニカム構造体
101、201、301 接着材層
102、202、302 シール材層
103、203、303 セラミックブロック
110、710、720、730、770、780 第1の形状のユニット(ハニカム焼成体)
111、121、131 セル
113、123、133、733 セル壁
114 辺(第1の形状のユニットの辺)
120、510、520、530、610、620、810、820、830、870、880 第2の形状のユニット(ハニカム焼成体)
123a 外壁
124、511、521、531、611、621 第1の辺
125、512、522、532、612、622 第2の辺
126、513、523、533、613、623 傾斜辺
130、910、920、930、970、980 第3の形状のユニット(ハニカム焼成体)
711a、721a、731a、771a、781a、811a、821a、831a、871a、881a、911a、921a、931a、971a、981a 大容量セル
711b、721b、731b、771b、781b、811b、821b、831b、871b、881b、911b、921b、931b、971b、981b 小容量セル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中のスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が、環境及び人体に害を及ぼすことが近年問題となっている。そこで、多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いることにより、排ガス中のパティキュレートを捕集し、排ガスを浄化するパティキュレートフィルタが種々提案されている。
【0003】
このようなハニカム構造体としては、炭化珪素等のセラミック材料等を含む混合物を押出成形し、脱脂、焼成等の処理を行うことによって作製される柱形状のハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されたものが知られている。
【0004】
特許文献1には、ハニカム構造体を製造する方法が開示されている。
特許文献1においてハニカム構造体を製造する場合には、角柱状のハニカム焼成体(ハニカムセグメント)を接着材層を介して複数個結束して角柱状のセラミックブロック(ハニカムセグメント接合体)を作製する。そして、セラミックブロックの外周を研削する研削加工を行うことによってセラミックブロックを作製する。そして、このセラミックブロックの外周面をシール材(コーティング材)で被覆することによってハニカム構造体を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−179526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ディーゼルトラック等の大型車、農業機械、建設機械、船舶、機関車等から排出される排ガスを浄化するための大型のパティキュレートフィルタとしてハニカム構造体を設置する。
上述したように、ハニカム構造体を製造する際には、セラミックブロックを所定の外周形状に研削加工する研削加工を行っていたが、大型のフィルタを作製する場合には研削加工によって研削するセラミック部分の量が多いために、無駄になる材料が多くなるという問題がある。また、炭化ケイ素等のセラミックはその硬度が高いことから研削加工に長時間を要するという問題がある。
【0007】
そのため、研削加工に起因する上記問題を解決することができ、大型のハニカム構造体として好適に使用することが可能なハニカム構造体を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のハニカム構造体は、
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックと、上記セラミックブロックの外周面に形成されたシール材層とからなるハニカム構造体であって、
上記ハニカム焼成体は、第1の形状のユニット及び第2の形状のユニットを含み、
上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形であり、
上記第2の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における形状は、少なくとも第1の辺と、上記第1の辺と直角を形成する第2の辺と、上記直角と対向する傾斜辺とを有し、
上記第2の形状のユニットの外周部には外壁が形成されており、
上記第2の形状のユニットは、上記セラミックブロックの外周部に位置し、上記第2の辺が上記第1の形状のユニットと隣接して配置されており、
上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面形状において、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長いことを特徴とする。
【0009】
第2の形状のユニットは、第1の辺と第2の辺を有し、第1の辺と第2の辺が直角を形成している。第1の形状のユニットと隣接して配置される辺を第2の辺とする。
また、第2の辺の長さは第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長い。
【0010】
第2の形状のユニットは、外周を構成する傾斜辺を有する。
傾斜辺は、第1の辺及び第2の辺で形成される直角に対向する辺であって、最も長い辺である。
傾斜辺は、円弧からなる辺又は直線からなる辺とすることができる。
傾斜辺が円弧からなる辺の場合、この円弧からなる傾斜辺が最も外周側に位置するように第2の形状のユニットを配置することによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを製造することができる。
傾斜辺が直線からなる辺の場合、傾斜辺は、第1の辺と第2の辺で形成される直角を含む直角三角形を想定した場合の斜辺となる辺の傾きに近い傾きを有する辺である。この直線からなる傾斜辺が最も外周側に位置するように第2の形状のユニットを配置することによっても、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを製造することができる。
そして、セラミックブロックの外周面にシール材層を形成することによってその形状を円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状とすることができる。
【0011】
すなわち、第2の形状のユニット及び第1の形状のユニットを含むハニカム構造体は、研削加工を行うことなく製造することに適しており、その製造に際して無駄になる材料がなく、また、研削加工に要する時間が不要である。すなわち、請求項1に記載のハニカム構造体は、研削加工に起因する問題を解決することができる。
【0012】
請求項2に記載のハニカム構造体では、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍である。
【0013】
第2の形状のユニットの断面形状をこのように定めることによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状により近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0014】
請求項3に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム焼成体は、第3の形状のユニットをさらに含み、上記第3の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は三角形であり、
上記第3の形状のユニットは上記セラミックブロックの外周部に位置している。
【0015】
第3の形状のユニットを配置することによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状にさらに近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0016】
請求項4に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム焼成体の数は25個以上である。
【0017】
請求項5に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム構造体の上記長手方向に垂直な断面の形状が円形であり、直径が190mm以上である。
【0018】
請求項6に記載のハニカム構造体では、上記多数のセルの上記長手方向に垂直な断面の形状が四角形である。
【0019】
請求項7に記載のハニカム構造体では、上記多数のセルは、大容量セルと小容量セルからなる。
【0020】
請求項8に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状となっている四角形である。
【0021】
請求項9に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、四角形の少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状になっている形状である。
【0022】
請求項10に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である。
【0023】
請求項11に記載のハニカム構造体では、上記多数のセルのいずれか一方の端部は封止されている。
【0024】
請求項12に記載のハニカム構造体では、上記ハニカム構造体の上記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状である。
【0025】
請求項13に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの上記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状に近い形状である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第1の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第2の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第3の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示すハニカム構造体の側面図である。
【図6】図6は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【図8】図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)及び図8(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【図9】図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)及び図9(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第1の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図10】図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)及び図10(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図11】図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)及び図11(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第3の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、ハニカム焼成体として、その長手方向に垂直な断面における形状が少なくとも第1の辺と第2の辺と傾斜辺とを有する形状のユニット(以下、このような形状のハニカム焼成体を第2の形状のユニットといい、断面扇形ユニット又は断面台形ユニットともいう)を作製した。
さらに、その長手方向に垂直な断面の形状が四角形であるユニット(以下、このような形状のハニカム焼成体を第1の形状のユニットといい、断面四角形ユニットともいう)を作製した。
そして、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットと断面四角形ユニットを組み合わせてセラミックブロックを作製する際に、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットがセラミックブロックの外周部に位置するように配置することによって、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを作製した。
なお、本明細書において「セラミックブロックの外周部に位置するユニット」とは、セラミックブロックの外周面の一部を構成するユニット(ハニカム焼成体)を指すものとする。
【0028】
そして、このセラミックブロックの外周面に、ハニカム構造体の形状が円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状になるようにシール材層を形成することによってハニカム構造体を研削加工を行うことなく製造することができることを見出した。
【0029】
また、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットの断面形状において、断面扇形ユニット及び/又は断面台形ユニットの外周を構成する第2の辺の長さが断面四角形ユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長くなるようにすると、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを好適に作製することができることを見出し、本発明を完成した。
なお、本明細書において、第2の形状のユニットのうち、傾斜辺が円弧であるものを断面扇形ユニットといい、傾斜辺が直線からなる辺であるものを断面台形ユニットという。
【0030】
なお、ハニカム構造体の形状は、長手方向に垂直な断面の形状が円であるものに限られず、断面の形状が長円、楕円、又は三角形の頂点部が曲線となっている形状等であってもよい。セラミックブロックの断面の形状も、上記ユニットを組み合わせることにより、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状等に近い形状とすることができる。
また、セラミックブロックの断面の形状が長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状等に近い形状であるということは、それぞれの形状の外周から部分的に凸部又は凹部があるが、それぞれの形状に近似している形状のことをいう。
また、三角形の頂点が曲線となっている形状の曲線部分は円弧の一部の形状のことをいう。
【0031】
(第一実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第1の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
図3は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第2の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一つである第3の形状のユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【0032】
図1に示すハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素からなる、図2(a)及び図2(b)に示すような形状のハニカム焼成体110(第1の形状のユニット110)、図3に示すような形状のハニカム焼成体120(第2の形状のユニット120)、並びに、図4に示すような形状のハニカム焼成体130(第3の形状のユニット130)がシール材層(接着材層)101を介して複数個結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にシール材層(コート層)102が形成されている。
【0033】
図2(a)及び図2(b)に示す第1の形状のユニット110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図2(a)中、両矢印aの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスGは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。
従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
第1の形状のユニット110の長手方向に垂直な断面の形状は四角形であり、第1の形状のユニット110は、断面四角形ユニットである。
また、上記四角形の外周を構成する四つの辺114の長さは略同一であり、第1の形状のユニット110の長手方向に垂直な断面の形状は略正方形となっている。
【0034】
図3に示す第2の形状のユニット120にも、第1の形状のユニット110と同様に多数のセル121、封止材122及びセル壁123が設けられている。従って、第2の形状のユニット120はPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
また、第2の形状のユニット120の外周部にはセル壁からなる外壁123aが設けられている。
第2の形状のユニット120の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺124と、第2の辺125と、第3の辺127と、傾斜辺126を有する。
第1の辺124と第2の辺125の形成する角度は直角であり、傾斜辺126はその直角に対向して設けられている。傾斜辺126は円弧からなる。
なお、本明細書において「直角に対向する」とは、傾斜辺が直角を形成する2辺以外の辺であることを意味する。
第3の辺127は傾斜辺126と第1の辺124を接続している辺であり、第3の辺127は第2の辺125と平行になっている。
すなわち、第2の形状のユニット120は1つの円弧及び3つの直線部からなる断面扇形ユニットである。
【0035】
また、図4に示す第3の形状のユニット130にも、第1の形状のユニット110と同様に多数のセル131、封止材132及びセル壁133が設けられている。従って、第3の形状のユニット130はPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
第3の形状のユニット130の長手方向に垂直な断面の形状は三角形であり、第3の形状のユニット130は、断面三角形ユニットである。
また、第3の形状のユニット130の長手方向に垂直な断面の形状は、第1の辺134及び第2の辺135で形成される直角を有し、上記直角に対向する斜辺136を有する直角二等辺三角形となっている。
【0036】
なお、本明細書においては、各ユニットの形状やセルの形状を三角形、四角形等の名称で表現しているが、本明細書における三角形、四角形とは、完全な直線のみからなる厳密な図形を意味するものではなく、その角(頂点)が直線や曲線で面取りされていて三角形、四角形と実質的に同視し得る形状を包含する。また、本明細書において「直角」、「平行」、「直角二等辺三角形」等の語は数学的に厳密な形状を意味するものではなく、「直角」、「平行」、「直角二等辺三角形」等の形状と実質的に同視し得る形状を包含する。
【0037】
図5は、図1に示すハニカム構造体の側面図である。
以下、図5を参照してハニカム構造体100における第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120及び第3の形状のユニット130の配置について説明する。
ハニカム構造体100では、その断面の中央部に第1の形状のユニット110(断面四角形ユニット)が配置されている。第1の形状のユニット110の数は32個である。
【0038】
第1の形状のユニット110の周囲には第2の形状のユニット120(断面扇形ユニット)が8個配置されている。第2の形状のユニット120は、第2の辺125が第1の形状のユニット110と隣接するように配置されている。また、傾斜辺126がセラミックブロックの外周面となるように配置されている。また、2つの第2の形状のユニット120が、各第2の形状のユニット120の第1の辺124同士が隣接するように配置されている。
第2の形状のユニット120の第2の辺125の長さは、第1の形状のユニット110の外周を構成する辺114の長さよりも長くなっている。
特に、第2の形状のユニット120の第2の辺125の長さが第1の形状のユニット110の外周を構成する辺114の長さの1.5〜2.5倍となっていることが望ましい。
【0039】
第1の形状のユニット110の周囲であって、第2の形状のユニット120が配置されていない部位には第3の形状のユニット130(断面三角形ユニット)が4個配置されている。
第3の形状のユニット130は、その第1の辺134及び第2の辺135が第1の形状のユニット110と隣接するように配置されている。また、第3の形状のユニット130の斜辺136がセラミックブロックの外周面となるように配置されている。
【0040】
このハニカム構造体100においては、ハニカム焼成体の数は合計で44個である。その内訳は第1の形状のユニットが32個、第2の形状のユニットが8個、第3の形状のユニットが4個である。
そして、44個のハニカム焼成体が接着材層101を介して結束されてセラミックブロック103を形成している。
さらに、セラミックブロック103の外周面にはシール材層102が形成されており、ハニカム構造体100の長手方向に垂直な断面の形状は円形になっている。
また、この断面円形のハニカム構造体の直径は190mm以上となっている。
なお、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の形状が長円、楕円、三角形の頂点部が曲線となっている形状の場合は、各形状の中心を通る、外周の2点の間の線分のうち最も長い線分の長さが190mm以上であることが望ましい。
【0041】
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、
セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する焼成工程と、
複数の上記ハニカム焼成体を接着材層を介して接着させてセラミックブロックを作製する結束工程と、
上記セラミックブロックの外周面にシール材層を形成するシール材層形成工程を含むハニカム構造体の製造方法であって、
上記成形工程及び上記焼成工程において、少なくとも第1の形状のユニット及び第2の形状のユニットを作製し、
上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は四角形であり、
上記第2の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は、少なくとも第1の辺と、上記第1の辺と直角を形成する第2の辺と、上記直角と対向する傾斜辺とを有し、上記第2の形状のユニットの外周部には外壁が形成されており、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長く、
上記結束工程において、上記第2の形状のユニットを、その上記第2の辺が上記第1の形状のユニットと隣接するように、かつ、その上記傾斜辺が上記セラミックブロックの最外周になるように配置することを特徴とする。
【0042】
また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程及び上記焼成工程において、上記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さが、上記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍となるように上記第2の形状のユニットを作製する。
【0043】
また、本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程及び上記焼成工程において、その長手方向に垂直な断面の形状が三角形である第3の形状のユニットをさらに作製し、上記第3の形状のユニットを上記セラミックブロックの外周部に配置する。
【0044】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法を工程順に説明する。
まず、セラミック原料としての平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水等を混合して、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
【0045】
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入して押出成形する成形工程を行い、所定の形状のハニカム成形体を作製する。
このとき、金型の形状を変更して、第1の形状のユニットとなる第1の形状のハニカム成形体、
第2の形状のユニットとなる第2の形状のハニカム成形体、及び、第3の形状のユニットとなる第3の形状のハニカム成形体をそれぞれ所定の数作製する。
以下の工程で、ハニカム成形体というときはこれら3種のハニカム成形体を区別せずに指すものとする。
【0046】
次に、ハニカム成形体の両端を切断装置を用いて切断する切断工程を行い、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、切断したハニカム成形体を乾燥機を用いて乾燥する。
次いで、セルのいずれか一方の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このような工程を経て、セル封止ハニカム成形体を作製する。
なお、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
【0047】
次に、セル封止ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、ハニカム脱脂体を作製する。このハニカム脱脂体の形状は図2(a)、図3及び図4に示す各ハニカム焼成体の形状とほぼ同様である。
【0048】
そして、ハニカム脱脂体を焼成炉に搬送し、アルゴン雰囲気下、2000〜2300℃で焼成する焼成工程を行うことによって、図2(a)、図3及び図4に示す形状のハニカム焼成体、すなわち、第1の形状のユニット、第2の形状のユニット及び第3の形状のユニットを作製する。
以下の工程で、ハニカム焼成体というときはこれら3種のユニットを区別せずに指すものとする。
【0049】
続いて、ハニカム焼成体間に接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を加熱固化して接着材層とし、接着材層を介して複数のハニカム焼成体を結束させてセラミックブロックとする結束工程を行う。
接着材ペーストとしては、無機繊維及び/又はウィスカ、無機粒子、無機バインダ、並びに、有機バインダを含む接着材ペーストが好適に用いられる。
【0050】
この結束工程においては、中央部に第1の形状のユニットを配置し、その周囲に第2の形状のユニット及び第3の形状のユニットを配置して、図5に示すような断面形状を有するセラミックブロックを作製する。
特に、第2の形状のユニットを、その第2の辺が第1の形状のユニットと隣接するように、かつ、その傾斜辺がセラミックブロックの最外周になるように配置する。
また、第3の形状のユニットを、その第1の辺及び第2の辺が第1の形状のユニットと隣接するように、かつ、その斜辺がセラミックブロックの最外周になるように配置する。
【0051】
続いて、セラミックブロックの外周面にシール材ペーストを塗布し、シール材ペーストを乾燥固化させてシール材層(コート層)を形成するシール材層形成工程を行い、円柱状のハニカム構造体を作製する。
なお、上記シール材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用することができる。以上の工程によって、ハニカム構造体を作製する。
【0052】
以下、本実施形態のハニカム構造体の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体は、第2の形状のユニットの傾斜辺が最も外周側に配置されているため、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状に近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
このような本実施形態のハニカム構造体は、研削加工を行うことなく製造することに適しており、その製造に際して無駄になる材料がなく、また、研削加工に要する時間が不要である。そのため、研削加工に起因する問題を解決することができる。
【0053】
(2)本実施形態のハニカム構造体では、第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍である。
そのため、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状により近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0054】
(3)本実施形態のハニカム構造体では、第3の形状のユニットが配置されているため、円柱、長円柱、楕円柱又は三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状にさらに近い形状のセラミックブロックを作製することができる。
【0055】
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(第1の形状のユニットの作製工程)
炭化ケイ素を主成分とする湿潤混合物を用いて押出成形する成形工程を行い、図2(a)に示した形状と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない、第1の形状の生のハニカム成形体を作製した。
【0056】
次いで、上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記生のハニカム成形体と同様の組成のペーストを所定のセルに充填し、封止セルを有するハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0057】
ハニカム成形体の脱脂工程、及び、焼成工程を行い、大きさが34.3mm×34.3mm×150mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体、すなわち図2(a)に示す形状の第1の形状のユニットを作製した。
【0058】
(第2の形状のユニットの作製工程)
成形工程において使用する金型の形状を変更した他は上記第1の形状のユニットの作製工程と同様にして、図3に示す形状の第2の形状のユニットを作製した。
作製した第2の形状のユニットの第1の辺の長さは23.8mm、第2の辺の長さは67.6mm、第3の辺の長さは16.6mm、傾斜辺の長さは61.7mmである。また、長手方向の長さは第1の形状のユニットと同様である。
【0059】
(第3の形状のユニットの作製工程)
成形工程において使用する金型の形状を変更した他は上記第1の形状のユニットの作製工程と同様にして、図4に示す形状の第3の形状のユニットを作製した。
作製した第3の形状のユニットの第1の辺の長さは34.3mm、第2の辺の長さは34.3mm、斜辺の長さは48.3mmである。また、長手方向の長さは第1の形状のユニットと同様である。
【0060】
(結束工程)
続いて、アルミナファイバ及び炭化ケイ素を含む耐熱性の接着材ペーストを用いて、中央部に第1の形状のユニットを配置し、その周囲に第2の形状のユニット及び第3の形状のユニットを配置して、ハニカム焼成体を多数結束させ、さらに、接着材ペーストを180℃で乾燥固化させて接着材層を形成して図5に示すような直線部と曲線部が交互につながった8つの直線部と8つの曲線部からなる断面形状を有するセラミックブロックを作製した。直線部とは、第2の形状のユニット120の第3の辺127を2つ、接着材層を間にはさんでなる部位、又は、第3の形状のユニット130の斜辺136のことを指す。
【0061】
(シール材層形成工程)
続いて、接着材ペーストと同様の組成からなるシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布して、シール材ペーストを120℃で乾燥固化させてシール材層を形成して、円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0062】
本実施例で製造したハニカム構造体は、研削加工を行うことなく作製されているため、その製造に際して無駄になる材料がない。
ハニカム構造体の断面の形状は円形であり直径が266.7mm(10.5インチφ)であった。
その断面においてユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は88%であった。
【0063】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について図面を参照しながら説明する。
図6は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
本発明の第二実施形態のハニカム構造体200は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体100と同様に第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120、第3の形状のユニット130を備える。
本発明の第二実施形態のハニカム構造体200は、第1の形状のユニットの数が異なる他は本発明の第一実施形態のハニカム構造体100と同様である。
【0064】
このハニカム構造体200におけるハニカム焼成体の数は合計で33個である。その内訳は第1の形状のユニットが21個、第2の形状のユニットが8個、第3の形状のユニットが4個である。
そして、33個のハニカム焼成体が接着材層201を介して結束されてセラミックブロック203を形成している。
さらに、セラミックブロック203の外周面にはシール材層202が形成されており、ハニカム構造体200の長手方向に垂直な断面の形状は円形になっている。
また、この円形の直径は190mm以上となっている。
【0065】
本発明の第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法と同様であるためその詳細な説明は省略する。
また、本発明の第二実施形態に係るハニカム構造体の作用効果は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の作用効果と同様である。
【0066】
(実施例2)
実施例1と同様に、第1の形状のユニット、第2の形状のユニット、第3の形状のユニットを作製し、実施例1と同様に結束工程を行って図6に示すような断面形状を有するセラミックブロックを作製した。
続いて、実施例1と同様にシール材層形成工程を行って、円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0067】
本実施例で製造したハニカム構造体の断面の形状は円形であり直径が228.6mm(9インチφ)であった。
その断面においてユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は88%であった。
【0068】
(第三実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第三実施形態について図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
本発明の第三実施形態のハニカム構造体300は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体100と同様に第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120、第3の形状のユニット130を備える。
本発明の第三実施形態のハニカム構造体300は、第1の形状のユニットの数が異なる他は本発明の第一実施形態のハニカム構造体100と同様である。
【0069】
このハニカム構造体300におけるハニカム焼成体の数は合計で57個である。その内訳は第1の形状のユニットが45個、第2の形状のユニットが8個、第3の形状のユニットが4個である。
そして、57個のハニカム焼成体が接着材層301を介して結束されてセラミックブロック303を形成している。
さらに、セラミックブロック303の外周面にはシール材層302が形成されており、ハニカム構造体300の長手方向に垂直な断面の形状は円形になっている。
また、この円形の直径は190mm以上となっている。
ここで、本発明の第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態の第1の形状のユニット110、第2の形状のユニット120の大きさの関係について説明する。
本発明の第一実施形態(図5参照)は、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、第1の形状のユニット110の2個分の辺の長さと第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺である第2の辺125とが等しく、
第1の形状のユニット110の2個分の辺の位置とユニット120の一番長い長さの直線の辺である第2の辺125の位置とが同じ位置にある例を示している。
本発明の第二実施形態(図6参照)は、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、第1の形状のユニット110の2個分の辺の長さと第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺とが等しく、
第1の形状のユニット110の2個分の辺の位置とユニット120の一番長い長さの直線の辺の位置とが実質的に異なる位置にあり(具体的には、第1の形状のユニット110の1/2個分の辺の長さだけずれている)、第3の形状のユニット130の位置に重なるように第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺が存在している例を示している。
本発明の第三実施形態(図7参照)は、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面において、第1の形状のユニット110の2個分の辺の長さと第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺とが等しく、
第1の形状のユニット110の2個分の辺の位置と第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺の位置とが実質的に異なる位置にあり(具体的には、第1の形状のユニット110の1/2個分の辺の長さだけずれている)、第3の形状のユニット130に隣接する第1の形状のユニット110の一辺と第2の形状のユニット120の一番長い長さの直線の辺とが隣接している例を示している。
【0070】
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法と同様であるためその詳細な説明は省略する。
また、本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体の作用効果は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の作用効果と同様である。
【0071】
(実施例3)
実施例1と同様に、第1の形状のユニット、第2の形状のユニット、第3の形状のユニットを作製し、実施例1と同様に結束工程を行って図7に示すような断面形状を有するセラミックブロックを作製した。
続いて、実施例1と同様にシール材層形成工程を行って、円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0072】
本実施例で製造したハニカム構造体の断面の形状は円形であり直径が304.8mm(12インチφ)であった。
その断面においてユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は88%であった。
【0073】
(その他の実施形態)
各実施形態において、第2の形状のユニットとしては、断面扇形ユニット又は断面台形ユニットを使用することができる。
図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)及び図8(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの一例を模式的に示す側面図である。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、断面扇形ユニットを示しており、図8(d)及び図8(e)は、断面台形ユニットを示している。
各図面に示す各断面扇形ユニット及び各断面台形ユニットは、長手方向に垂直な断面の形状が四角形であるセルを備えている。
【0074】
第2の形状のユニットとしては、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び2つの直線部からなる形状、1つの円弧及び3つの直線部からなる形状、又は、1つの円弧及び4つの直線部からなる形状等が挙げられる。第2の形状のユニットの形状は、長手方向に垂直な断面の形状が少なくとも1つの円弧と2つの直線部を備えていればよく、円弧の数が2つ以上であってもよく、直線部の数が5つ以上であってもよい。
【0075】
図8(a)は、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び2つの直線部からなる断面扇形ユニットの一例を示している。図8(a)に示す断面扇形ユニット510の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺511と、第2の辺512と、傾斜辺513を有する。
第1の辺511と第2の辺512の形成する角度は直角であり、傾斜辺513はその直角に対向して設けられている。傾斜辺513は円弧からなる。
傾斜辺513は第1の辺511及び第2の辺512に接続している。
【0076】
図8(b)は、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び3つの直線部からなる断面扇形ユニットの一例を示している。この断面扇形ユニットは、本発明の第一実施形態のハニカム構造体の説明で説明した第2の形状のユニットと同じ形状である。
図8(b)に示す断面扇形ユニット520の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺521と、第2の辺522と、傾斜辺523と、第3の辺524を有する。
第1の辺521と第2の辺522の形成する角度は直角であり、傾斜辺523はその直角に対向して設けられている。傾斜辺523は円弧からなる。
第3の辺524は傾斜辺523と第1の辺521を接続している辺であり、第3の辺524は第2の辺522と平行になっている。
【0077】
図8(c)は、長手方向に垂直な断面の形状が1つの円弧及び4つの直線部からなる断面扇形ユニットの一例を示している。図8(c)に示す断面扇形ユニット530の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺531と、第2の辺532と、傾斜辺533と、第3の辺534と、第4の辺535を有する。
第1の辺531と第2の辺532の形成する角度は直角であり、傾斜辺533はその直角に対向して設けられている。傾斜辺533は円弧からなる。
第3の辺534は傾斜辺533と第1の辺531を接続している辺であり、第3の辺534は第2の辺532と平行になっている。
第4の辺535は傾斜辺533と第2の辺532を接続している辺であり、第4の辺535は第1の辺531と平行になっている。
【0078】
断面台形ユニットとしては、長手方向に垂直な断面の形状が4つの直線部からなる形状、又は、5つの直線部からなる形状等が挙げられる。
断面台形ユニットの形状は、その直線部が少なくとも1つの傾斜辺と2つの辺(第1の辺及び第2の辺)を備えていればよく、傾斜辺の数が2つ以上であってもよく、直線部の数が6つ以上であってもよい。なお、「断面台形ユニット」の断面形状は台形に限定されるものではなく、五角形、六角形等の多角形であってもよい。
【0079】
図8(d)は、長手方向に垂直な断面の形状が4つの直線部からなる断面台形ユニットの一例を示している。図8(d)に示す断面台形ユニット610の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺611と、第2の辺612と、傾斜辺613と、第3の辺614を有する。
第1の辺611と第2の辺612の形成する角度は直角であり、傾斜辺613はその直角に対向して設けられている。傾斜辺613は直線からなる。
第3の辺614は傾斜辺613と第1の辺611を接続している辺であり、第3の辺614は第2の辺612と平行になっている。
【0080】
図8(e)は、長手方向に垂直な断面の形状が5つの直線部からなる断面台形ユニットの一例を示している。図8(e)に示す断面台形ユニット620の長手方向に垂直な断面における形状は、第1の辺621と、第2の辺622と、傾斜辺623と、第3の辺624と、第4の辺625とを有する。
第1の辺621と第2の辺622の形成する角度は直角であり、傾斜辺623はその直角に対向して設けられている。傾斜辺623は直線からなる。
第3の辺624は傾斜辺623と第1の辺621を接続している辺であり、第3の辺624は第2の辺622と平行になっている。
第4の辺625は傾斜辺623と第2の辺622を接続している辺であり、第4の辺625は第1の辺621と平行になっている。
【0081】
各ハニカム焼成体が有するセルの形態は、これまでの本発明の実施形態において説明した形態に限定されるものではない。
図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)及び図9(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第1の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図に示すハニカム焼成体は、長手方向に垂直な断面の面積が相対的に大きい大容量セルと、上記断面の面積が相対的に小さい小容量セルが交互に配設されてなる。
以下、これらの図面を用いてハニカム焼成体のセルの断面形状のその他の実施形態を説明する。
【0082】
図9(a)に示すハニカム焼成体710は、大容量セル711aと、小容量セル711bが交互に配設されてなる。
大容量セル711aの長手方向に垂直な断面の形状は、八角形である。小容量セル711bの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形である。
なお、小容量セル711bの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形の少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状になっている形状であってもよい。
【0083】
図9(b)に示すハニカム焼成体720は、大容量セル721aと、小容量セル721bが交互に配設されてなる。
大容量セル721aの長手方向に垂直な断面の形状は、角部に相当する部分が円弧状になっている四角形である。小容量セル721bの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形である。
【0084】
図9(c)に示すハニカム焼成体730は、大容量セル731aと、小容量セル731bが交互に配設されてなる。
大容量セル731a及び小容量セル731bの長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である形状である。
すなわち、図9(c)ではセル壁733の断面形状が曲線である。
大容量セル731aの断面形状は、セル壁733がセルの断面の中心から外側に向かって凸の形状である。
一方、小容量セル731bの断面形状は、セル壁733がセルの断面の外側から中心に向かって凸の形状である。
セル壁733はハニカム焼成体の断面の水平方向及び垂直方向に対して起伏する「波形」の形状を有しており、隣り合うセル壁733の波形の山の部分(正弦曲線でいう振幅の極大値の部分)が互いに最近接することで、セルの断面形状が外側に膨らんだ大容量セル731aとセルの断面形状が内側に凹んだ小容量セル731bとが形成される。なお、波形の振幅は一定でもよくまた変化しても良いが、一定であることが好ましい。
【0085】
図9(d)に示すハニカム焼成体770は、大容量セル771aと、小容量セル771bが交互に配設されてなる。
図9(d)に示すハニカム焼成体770では、大容量セル771aの長手方向に垂直な断面の形状は四角形であり、小容量セル771bの長手方向に垂直な断面の形状は四角形である。
【0086】
図9(e)に示すハニカム焼成体780は、大容量セル781aと、小容量セル781bが交互に配設されてなる。
図9(e)に示すハニカム焼成体780では、大容量セル781aの長手方向に垂直な断面の形状は四角形の角部に相当する部分が円弧状である形状であり、小容量セル781bの長手方向に垂直な断面の形状は四角形の角部に相当する部分が円弧状である形状である。
なお、上記大容量セルと小容量セルの形状は、上記した以外の形状であってもよい。
【0087】
ハニカム焼成体が大容量セルと小容量セルを有する場合、隣り合う大容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離と、隣り合う小容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離とは、等しいことが望ましい。
「隣り合う大容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離」とは、一の大容量セルの長手方向に垂直な断面における重心と、隣り合う大容量セルの長手方向に垂直な断面における重心との最小の距離をいい、一方、「隣り合う小容量セルの長手方向に垂直な断面の重心間距離」とは、一の小容量セルの長手方向に垂直な断面における重心と、隣り合う小容量セルの重心との最小の距離のことをいう。
【0088】
上記2つの重心間距離が等しいとき、再生時に熱が均一に拡散することで、ハニカム構造体内部の局所的な温度の偏りがなくなり、長期間繰り返し使用しても、熱応力に起因するクラック等が発生することのない耐久性に優れたハニカム構造体となるからである。
【0089】
ハニカム焼成体が有するセルが大容量セルと小容量セルからなる場合について、第1の形状のユニットを例にして説明したが、第2の形状のユニット又は第3の形状のユニットが大容量セルと小容量セルを備えていても良い。
【0090】
図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)及び図10(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第2の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図面に示す第2の形状のユニット810、820、830、870、880は、それぞれ大容量セル811a、821a、831a、871a、881a及び小容量セル811b、821b、831b、871b、881bが交互に配設されてなる。
大容量セル及び小容量セルの形状は、上述した第1の形状のユニットの場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)及び図11(e)は、本発明のハニカム構造体に係る第3の形状のユニットの端面の一例を模式的に示す側面図である。
これらの図面に示す第3の形状のユニット910、920、930、970、980は、それぞれ大容量セル911a、921a、931a、971a、981a及び小容量セル911b、921b、931b、971b、981bが交互に配設されてなる。
大容量セル及び小容量セルの形状は、上述した第1の形状のユニットの場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
また、本発明のハニカム構造体においては、その長手方向に垂直な断面の形状が三角形である第3の形状のユニットは必ずしも必要ではない。
図12は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の一例を模式的に示す側面図である。
図12に示すハニカム構造体400の形状は、図5に示すハニカム構造体100において第3の形状のユニット130を有さない形状である。
このような形状のハニカム構造体400も本発明のハニカム構造体に含まれるが、ハニカム構造体の有効濾過面積を高める観点からは、第3の形状のユニットを有するハニカム構造体のほうが好ましい。
【0093】
ハニカム構造体の形状は、円柱状に限定されるものではなく、楕円柱状、長円柱状、三角形の頂点部が曲線になっている形状の柱状体等の各形状、又は、多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0094】
ハニカム焼成体の気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体で構成されるハニカム構造体をフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカム焼成体がすぐに目詰まりを起こし、一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下して容易に破壊されるからである。
【0095】
ハニカム焼成体の平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体で構成されるハニカム構造体をフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こし、一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、フィルタとして充分に機能することができないからである。
【0096】
なお、上記気孔率及び気孔径は、従来公知の水銀圧入法により測定することができる。
【0097】
ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されないが、0.2〜0.4mmが望ましい。
ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.2mm未満であると、ハニカム構造を支持するセル壁の厚さが薄くなり、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなり、一方、ハニカム焼成体のセル壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失の上昇を引き起こすからである。
【0098】
また、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、31個/cm2(200個/in2)、望ましい上限は、93個/cm2(600個/in2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/in2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/in2)である。
ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面におけるユニット(ハニカム焼成体)が占める面積の割合(ハニカム焼成体の占有率)は85%以上が望ましく、88%以上がより望ましい。ハニカム構造体におけるハニカム焼成体の占有率が高いほど、ろ過面積が大きくなり、排ガス浄化性能が向上する。
【0099】
ハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。また、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたケイ素含有炭化ケイ素も同様の理由で好適に使用できる。
【0100】
また、本発明のハニカム構造体には、触媒が担持されていてもよい。
ハニカム構造体にCO、HC及びNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化することが可能となる触媒を担持させることにより、触媒反応により排ガス中の有害なガス成分を充分に浄化することが可能となる。また、PMの燃焼を助ける触媒を担持させることにより、PMをより容易に燃焼除去することが可能となる。
【0101】
これまで、本発明のハニカム構造体としては、セルのいずれか一方の端部が封止されているハニカム構造体(ハニカムフィルタ)について説明を行ったが、本発明のハニカム構造体は、セルの端部が封止されていなくてもよい。このような本発明のハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することが可能となる。
【0102】
本発明のハニカム構造体の製造方法においてハニカム焼成体を所定の位置に配置してセラミックブロックを作製する方法は特に限定されるものでないが、例えば以下の方法を用いることができる。
【0103】
はじめに、ハニカム焼成体をスペーサを介して縦横に複数個並列することにより、その長手方向に垂直な断面の形状が作製するセラミックブロックの形状と略同一である、ハニカム焼成体の並列体を作製する。
このとき、各ハニカム焼成体の間にはスペーサの厚さ分の空隙が形成される。
【0104】
続いて、円筒状等の筒状体を有する充填装置内にハニカム焼成体の並列体を設置し、ハニカム焼成体の間に形成された空隙、及び、ハニカム焼成体と筒状体の間に形成された空隙にシール材ペーストを充填する。
【0105】
充填装置は、円筒状等の筒状体とシール材ペースト供給器を備えている。筒状体の内径は設置するハニカム焼成体の並列体の直径より少し大きくなっており、ハニカム焼成体の並列体を筒状体の内部空間に設置した際に、筒状体とハニカム焼成体の並列体との間に空隙が形成されるように構成されている。
【0106】
シール材ペースト供給器は、シール材ペースト室に収容されたシール材ペーストをハニカム焼成体間の空隙と、筒状体とハニカム焼成体の並列体の間の空隙に同時に充填することができるように構成されている。
【0107】
このようなハニカム焼成体の並列体と充填装置を用いて、ハニカム焼成体の間の空隙、及び、ハニカム焼成体と筒状体の間に形成された空隙にシール材ペーストを充填する。続いて、シール材ペーストを乾燥固化させることによってハニカム焼成体間の接着材層とシール材層(コート層)とを同時に形成する。
【0108】
すなわち、上記方法はセラミックブロックを作製する結束工程とセラミックブロックの外周面にシール材層を形成するシール材層形成工程を同時に行う方法である。
【0109】
また、本発明のハニカム構造体の製造方法においてハニカム焼成体を所定の位置に配置してセラミックブロックを作製する方法としては、例えば以下の方法を用いることもできる。
以下、図5に示すセラミックブロックを作製する場合を例にして、セラミックブロックを作製する方法を説明する。
まず、第1の形状のユニット110の側面に接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する。そして、この接着材ペースト層の上に、順次他の第1の形状のユニット110を積層する工程を繰り返す。
【0110】
次に、図5において第1の形状のユニット110の周囲であって、第2の形状のユニット120が配置されていない部位に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する。
そして、第3の形状のユニット130の第1の辺134及び第2の辺135が第1の形状のユニット110と接着材ペースト層を介して互いに接するように、第1の形状のユニット110の周囲に第3の形状のユニット130を嵌め込む。
【0111】
続けて、図5において第1の形状のユニット110の周囲であって、第3の形状のユニット130が配置されていない部位に、接着材ペーストを塗布して接着ペースト層を形成する。
そして、第2の形状のユニットの第2の辺125が第1の形状のユニット110と隣接し、かつ、2つの第2の形状のユニット120の第1の辺124同士が隣接するように第1の形状のユニット110の周囲に第2の形状のユニット120を嵌め込む。
この際、2つの第2の形状のユニット120の間の第1の辺にも接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する。
【0112】
これにより、32個の第1の形状のユニット110と、8個の第2の形状のユニット120と、4個の第3の形状のユニット130とが接着材ペースト層で結束された、図5に示す断面形状のセラミックブロックを作製する。
【0113】
続いて、セラミックブロックの外周面にシール材ペーストを塗布し、シール材ペーストを乾燥固化させてシール材層(コート層)を形成するシール材層形成工程を行い、円柱状のハニカム構造体を製造する。
【0114】
すなわち、上記方法はセラミックブロックを作製する結束工程とセラミックブロックの外周面にシール材層を形成するシール材層形成工程を別工程として行う方法である。
【符号の説明】
【0115】
100、200、300、400 ハニカム構造体
101、201、301 接着材層
102、202、302 シール材層
103、203、303 セラミックブロック
110、710、720、730、770、780 第1の形状のユニット(ハニカム焼成体)
111、121、131 セル
113、123、133、733 セル壁
114 辺(第1の形状のユニットの辺)
120、510、520、530、610、620、810、820、830、870、880 第2の形状のユニット(ハニカム焼成体)
123a 外壁
124、511、521、531、611、621 第1の辺
125、512、522、532、612、622 第2の辺
126、513、523、533、613、623 傾斜辺
130、910、920、930、970、980 第3の形状のユニット(ハニカム焼成体)
711a、721a、731a、771a、781a、811a、821a、831a、871a、881a、911a、921a、931a、971a、981a 大容量セル
711b、721b、731b、771b、781b、811b、821b、831b、871b、881b、911b、921b、931b、971b、981b 小容量セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックと、前記セラミックブロックの外周面に形成されたシール材層とからなるハニカム構造体であって、
前記ハニカム焼成体は、第1の形状のユニット及び第2の形状のユニットを含み、
前記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形であり、
前記第2の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における形状は、少なくとも第1の辺と、前記第1の辺と直角を形成する第2の辺と、前記直角と対向する傾斜辺とを有し、
前記第2の形状のユニットの外周部には外壁が形成されており、
前記第2の形状のユニットは、前記セラミックブロックの外周部に位置し、前記第2の辺が前記第1の形状のユニットと隣接して配置されており、
前記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面形状において、前記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、前記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長いことを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、前記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍である請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記ハニカム焼成体は、第3の形状のユニットをさらに含み、前記第3の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は三角形であり、
前記第3の形状のユニットは前記セラミックブロックの外周部に位置している請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ハニカム焼成体の数は25個以上である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記ハニカム構造体の前記長手方向に垂直な断面の形状が円形であり、直径が190mm以上である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記多数のセルの前記長手方向に垂直な断面の形状が四角形である請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記多数のセルは、大容量セルと小容量セルからなる請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状となっている四角形である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、四角形の少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状になっている形状である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記多数のセルのいずれか一方の端部は封止されている請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記ハニカム構造体の前記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状である請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記セラミックブロックの前記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状に近い形状である請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックと、前記セラミックブロックの外周面に形成されたシール材層とからなるハニカム構造体であって、
前記ハニカム焼成体は、第1の形状のユニット及び第2の形状のユニットを含み、
前記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は、四角形であり、
前記第2の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における形状は、少なくとも第1の辺と、前記第1の辺と直角を形成する第2の辺と、前記直角と対向する傾斜辺とを有し、
前記第2の形状のユニットの外周部には外壁が形成されており、
前記第2の形状のユニットは、前記セラミックブロックの外周部に位置し、前記第2の辺が前記第1の形状のユニットと隣接して配置されており、
前記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面形状において、前記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、前記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さよりも長いことを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記第2の形状のユニットの外周を構成する第2の辺の長さは、前記第1の形状のユニットの長手方向に垂直な断面における外周を構成する4つの辺のうち最も長い辺の長さの1.5〜2.5倍である請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記ハニカム焼成体は、第3の形状のユニットをさらに含み、前記第3の形状のユニットの長手方向に垂直な断面の形状は三角形であり、
前記第3の形状のユニットは前記セラミックブロックの外周部に位置している請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ハニカム焼成体の数は25個以上である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記ハニカム構造体の前記長手方向に垂直な断面の形状が円形であり、直径が190mm以上である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記多数のセルの前記長手方向に垂直な断面の形状が四角形である請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記多数のセルは、大容量セルと小容量セルからなる請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状となっている四角形である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、四角形、又は、四角形の少なくとも1つの角部に相当する部分が円弧状になっている形状である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である請求項7に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記多数のセルのいずれか一方の端部は封止されている請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記ハニカム構造体の前記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状である請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記セラミックブロックの前記長手方向に垂直な断面の形状は、円、長円、楕円、又は、三角形の頂点部が曲線となっている形状に近い形状である請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−240331(P2011−240331A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88385(P2011−88385)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]