説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法

【課題】 発汗現象の発生が低く、迅速処理性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法を提供することにあり、更には処理後の画像堅牢性に優れ、特に高湿度条件下での光照射における画像ステインの発生が少なく、しかもランニング液で処理した場合の白色度の経時劣化耐性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(B)で表され、かつ分子量が200以上である化合物を少なくとも一種含有し、誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒を0.6g/m以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【化1】


一般式(B)中、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、脂肪族基またはアリール基を表わし、Rはn1価の脂肪族基またはn1価のアリール基を表わし、Xは2価の有機基を表わす。n1は1以上の整数、n2は0以上の整数を表わす。ここでn2が2以上のとき、複数のXは互いに同一でも異なってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法に関するものであり、特に処理後の画像堅牢性、迅速処理性に優れ、更にはランニング液で処理した場合の白色度の経時劣化耐性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、写真処理サービス業界においては、ユーザーに対するサービス向上の一環として、また生産性向上の手段として迅速に処理出来る高画質な写真感光材料が望まれている。この要望に応えるために、現在は高塩化銀乳剤を含有する写真感光材料(以降「高塩化銀プリント材料」とも呼ぶ)を発色現像時間45秒で処理し、現像工程開始から乾燥工程完了までのトータル処理時間を約4分で行う迅速処理が通常行われている(例えば富士写真フイルム(株)製カラー処理CP−48S等)。しかしながら、他のカラー画像作製方式(例えば静電転写方式、熱転写方式、インクジェット方式)の画像作製の迅速性と比べれば、この高塩化銀プリント材料の迅速処理システムでも、未だ満足のいく迅速性とは言い難く、高塩化銀カラープリント材料の現像開始から乾燥終了までのトータル処理時間が1分を切るレベルの超迅速処理が望まれている。
【0003】
そのために、当業界では超迅速化適性の向上手段の様々な検討および努力が図られてきた。例えば、超迅速処理適性の向上の手段として、(1)高活性カプラーや発色色素の分子吸光係数の大きいカプラーの採用による有機素材塗設量の減量、並びに親水性バインダー塗設量の削減、(2)現像速度の速いハロゲン化銀乳剤の採用、などが検討されている。
【0004】
このような発色色素の分子吸光係数の大きいカプラーとして、ピロロトリアゾール系カプラーが提案されている(特許文献1、2参照)。このカプラーはシアンカプラーとして、従来から使われているフェノール系カプラーやナフトール系カプラーに比べ高活性かつ発色色素の分子吸光係数が高く、迅速化の観点で優れたカプラーである。
【0005】
また、現像速度の最も遅いハロゲン化銀乳剤層(従来のカラープリント材料ではイエローカプラー含有層が当てはまる)を支持体から遠い側に塗設することで現像の迅速化を図る方法が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0006】
また、ハロゲン化銀カラープリント材料(以降「プリント材料」とも呼ぶ)の親水性バインダーの総量や膜厚を減ずることも迅速化の観点から有効であることが知られている(例えば、特許文献5参照)。親水性バインダーの総量や膜厚を減ずる為には、カプラー等の油溶性成分も同時に減量しなければ、膜の物理的な強度低下や、いわゆる発汗現象の発生等、好ましくない現象が起こる(特許文献6参照)。カプラーは通常、高沸点有機溶媒に溶解した状態でプリント材料に組み込まれる。油溶分量減量の観点からは高沸点有機溶媒はカプラーの溶解性の高いものが望まれる。カプラーのような比較的極性の高い有機化合物を溶解する溶媒には、同様に比較的極性の高いもの、即ち誘電率の高い有機溶媒を用いることが有利である。
【0007】
しかしながら、現像処理の迅速化には、しばしば画質の低下が伴い、特に超迅速化を図る際にはこれが大きな制約となっている。なお、超迅速化に伴う画質の低下は特にハイライト部の白さの低下である。白色度低下の要因として、現像活性の増加に伴うカブリの増加、感光材料中の増感色素の一部が現像処理後の画像中に残留して起きる着色(残色と呼ばれる)による最小濃度値(Dmin)の増大、脱銀不良や感光材料中の残存物による画像の白地部分の着色、親水性バインダーの着色による黄色味の上昇等が挙げられる。
【0008】
これらの超迅速現像処理に伴う欠陥の解決策に関しては、当業界の精力的な検討がなされてきている。カブリや残色を抑え、かつ低濃度のDmin
を得る方法(例えば、特許文献7〜9参照)に記載の方法、画像ステインの経時増加を抑える方法(例えば、特許文献10、11)、残色を低減する方法としては水溶性のジアミノスチルベン系蛍光増白剤を使用する方法や、親水性の高い増感色素を使用する方法(例えば特許文献12参照)等が挙げられるが、未だ十分なものではなく、改良が望まれている。
【0009】
特に画像ステインの経時増加については、現像処理後のプリント材料が様々な環境条件下で保管、鑑賞されるので、ある環境条件で有効だった対策も、実用的には不十分である場合があり、より幅広い環境条件で有効な対策手段の開発が望まれている。特に高湿度条件下での光照射における画像ステインの防止策、ランニング処理液で現像処理した場合の白色度の経時劣化防止策が強く求められていた。
一方、特許文献13〜16に特定のアクリル酸エステル類が開示されているが、発色色素画像の光堅牢性を改良するために使用するものであって、上記のような高湿度条件下での光照射における画像ステインを低減させるために使用されるものではなく、また、これらの特許文献に記載されている方法では必ずしも満足できるものではなかった。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,256,526号明細書
【特許文献2】欧州特許第0545300号明細書
【特許文献3】特開平7−239538号公報
【特許文献4】特開平7−239539号公報
【特許文献5】特開2002−351024号公報
【特許文献6】特開2003−121972号公報
【特許文献7】特開平6−39936号公報
【特許文献8】特開平6−59421号公報
【特許文献9】特開平6−202291号公報
【特許文献10】特開平7−140625号公報
【特許文献11】特開平5−341470号公報
【特許文献12】特開平6−329936号公報
【特許文献13】特開平11−327100号公報
【特許文献14】特開平11−258748号公報
【特許文献15】特開2004−334128号公報
【特許文献16】特開2004−334134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、画像ステインの経時増加について、種々検討を行っている中で、比較的高い誘電率を持つ有機溶媒を使用したプリント材料について、画像ステインの経時増加が従来知られている高湿度条件に加え、同時に光を照射すると、より増加することを見い出した。さらに、これは前記ピロロトリアゾール型カプラーを用いた場合、より顕著であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、前述の問題点を克服し、発汗現象の発生が低く、迅速処理性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法を提供することにあり、更には処理後の画像堅牢性に優れ、特に高湿度条件下での光照射における画像ステインの発生が少なく、しかもランニング液で処理した場合の白色度の経時劣化耐性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは鋭意検討の結果、以下のハロゲン化銀カラー写真感光材料によって、上記の目的が達成されることを見い出した。即ち、
<1>支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層、および非感光性親水性コロイド層を少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、下記一般式(B)で表され、かつ分子量が200以上である化合物を少なくとも一種含有し、誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒を0.6g/m以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0013】
【化1】

【0014】
一般式(B)中、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、脂肪族基またはアリール基を表わし、Rはn1価の脂肪族基またはn1価のアリール基を表わし、Xは2価の有機基を表わす。n1は1以上の整数、n2は0以上の整数を表わす。ここでn2が2以上のとき、複数のXは互いに同一でも異なってもよい。
<2>下記一般式(1)で表されるシアン色素形成カプラーの少なくとも一種を含有することを特徴とする<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0015】
【化2】

【0016】
一般式(1)中、RおよびRは、各々独立に、ハメットの置換基定数のσ値が、0.20以上の電子吸引性基を表し、RおよびRのσ値の和は、0.65以上である。Rは、置換基を表す。Xは、水素原子、または芳香族第一級アミンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離脱する基を表す。Yは、水素原子もしくは、置換基を表す。
<3>分子量200以上であって、前記一般式(B)で表される化合物の少なくとも一種を含有する層に、下記一般式(Ph)で表される化合物の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0017】
【化3】

【0018】
一般式(Ph)中、Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基を表し、Rb2〜Rb5は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。
<4>前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像時間が10〜20秒の間で処理することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、迅速処理性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法が提供でき、更には発汗現象の発生が低く、処理後の画像堅牢性に優れ、特に高湿度条件下での光照射における画像ステインの発生が少なく、しかもランニング液で処理した場合の白色度の経時劣化耐性に優れるハロゲン化銀カラー写真感光材料および画像形成方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、「ハメット則」とは、ベンゼン誘導体の反応性または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hamettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数はσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、例えば、J.A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域増刊」、122号、96〜103頁、1979年(南江堂)Chemical Reviews,91巻、165頁〜195頁、1991年に詳しい。
本発明に用いられる化合物は、ハメットの置換基定数σ値により規定される場合があるが、これらの成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれる限り包含されることは勿論である。
【0021】
本明細書中における脂肪族とは、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖または環状で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリールとは、単環であっても縮合環であっても良く、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、ヘテロ環とは、そのヘテロ環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0022】
本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等を挙げることができる。
【0023】
次に、本発明の一般式(B)で表される化合物を詳細に説明する。
【0024】
【化4】

【0025】
式中、R1、R2およびR3は各々独立に、水素原子、脂肪族基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数1から24のアルキル基であって、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ドデシル、ヘキサデシル、メトキシエチル)またはアリール基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数6から30のアリール基であって、例えば、フェニル、4−メチルフェニル)を表わし、Rbはn1価の脂肪族基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数1から24のn1価のアルキル基であって、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ドデシル、ヘキサデシル、メトキシエチル、メチレン、メチリデン、1,2,3−プロパントリイル)、アリール基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数6から30のn1価のアリール基であって、例えば、フェニル、4−メチルフェニル、フェニレン)、または複素環基(好ましくは置換基を有してよい、窒素、酸素、硫黄原子を含む炭素数2から30の複素環であって、例えば、複素環がピリジン、トリアジン、モルホリン、チオフェンのもの)を表し、X2は2価の有機基を表わす。ここでn2が2以上のとき、複数のX2は互いに同一でも異なってもよい。2価の有機基とは、単結合の結合手を2個(2箇所)有する有機の基であって、例えば、前述の本発明の置換基の説明項で述べた例示の置換基(1価の基)から、更に任意の水素原子が離脱して生成する2本の結合手を持つ有機の基(2価の基)である。例えば後述するような基や、−O−、−S−、−SO−、−SO2―、−NRX−(RXは水素原子、脂肪族基、複素環基を表す)が挙げられる。
但し、一般式(B)で表わされる化合物は分子量が200以上である。
【0026】
本発明の効果の点で、R1、R2、R3は水素原子または脂肪族基である場合が好ましく、水素原子またはアルキル基である場合がさらに好ましく、いずれも水素原子である場合が最も好ましい。本発明の効果の点で、Rbはn1価の脂肪族基または複素環である場合が好ましく、n1価のアルキル基である場合は更に好ましい。本発明の効果の点で、n1が1から6である場合が好ましく、2から4である場合がより好ましい。X2は下記に示す2価の基である場合が好ましく、((1))〜((10))、((14))〜((17))、((20))、((23))である場合が更に好ましく、((1))〜((4))、((6))〜((8))、((20))、((23))である場合が最も好ましい。一般式(B)で表わされる化合物は分子量が200以上(好ましくは200〜3000)であるが、本発明の効果の点で分子量が350以上(好ましくは350〜2000)である場合がより好ましく、350〜1000の場合が、さらに好ましい。
【0027】
【化5】

【0028】
本発明においては、n1が1である場合、n1が2である場合、n1が3である場合もそれぞれ好ましく、またn1が3の場合、Rbが複素環基が好ましい。 さらに、X2は下記一般式(C)で表される基が好ましく、特にn1が3の場合が好ましい。
【0029】
【化6】

【0030】
式中Rcはアルキレン基[好ましくは置換基を有してもよい炭素数1〜24(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6)のアルキレン基で、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、1,6−ヘキシレン]を表す。また、n2が2以上のとき、複数の−RcO−は同一でも異なってもよい。
【0031】
本発明の効果の点で、R1が水素原子あるいはメチル基であって、R2、R3が水素原子であって、n1が2、3または4であって、n2が1または2であって、X2が((1))〜((4))、((6))〜((8))、((20))または((23))であって、Rbがn1価のアルキル基である場合が好ましく、R1、R2、R3がすべて水素原子であって、n1が3または4であって、X2が((1))〜((4))、((6))〜((8))または((20))または((23))であって、Rbがn1価のアルキル基である場合がより好ましい。
【0032】
以下に本発明の一般式(B)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
【化9】

【0036】
【化10】

【0037】
【化11】

【0038】
【化12】

【0039】
【化13】

【0040】
【化14】

【0041】
【化15】

【0042】
【化16】

【0043】
【化17】

【0044】
【化18】

【0045】
【化19】

【0046】
【化20】

【0047】
本発明の一般式(B)で表される化合物は、単独で使用しても、複数の化合物を混合して使用してもよい。また、これらの化合物は市販されているものも多く、例えば、新中村化学工業株式会社からNKエステルAMP−60Gなる商品名で市販されている製品は例示化合物(B−1)を含む製品である。同様に日本化薬株式会社からKAYARAD HDDAなる商品名で市販されている製品は例示化合物(B−24)、東亞合成化学株式会社からアロニックスM315なる商品名で市販されている製品は(B−38)を含む製品であり、容易に入手可能である。また、これらの化合物はジペンタエリスリトールに、化合物によってはエステル化、アミド化したり、アルキル化剤等やラクトンを反応させ、次いでアクリル酸等の誘導体を反応させることによって合成することができる。また、他の化合物も通常のエステル化、アミド化等の反応により容易に合成することができる。
【0048】
本発明の一般式(B)で表される化合物は公知の分散方法により感光材料中に導入出来る。一般式(B)で表される化合物は色素形成カプラーと同一層に添加されても別層に添加されてもよく、感光性乳剤層中に添加しても非感光性親水性コロイド層中に添加してもよい。一般式(B)で表される化合物の添加量は、総油溶成分量に対し0.05から50質量%である場合が好ましく、0.1から20質量%である場合は更に好ましく、1〜10質量%である場合は最も好ましい。
【0049】
本発明に用いられる誘電率が5.8以上の高沸点有機溶媒を説明する。
該高沸点有機溶媒の誘電率は、5.8以上であるが、好ましくは6.0以上である。なお上限としては15以下が好ましく、10以下がより好ましい。ここで誘電率とは安藤電機製TRS−10T型誘電率測定装置を用い、変成器ブリッジ法により測定温度25℃、測定周波数10kHzで測定した、真空に対する比誘電率のことである。
【0050】
本発明に用いられる誘電率が5.8以上の高沸点有機溶剤の具体例として、好ましいものは下記一般式(I)〜(V)で表される。
【0051】
【化21】

【0052】
一般式(I)〜(V)において、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R10、R11は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表わす。R6 はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアルコキシカルボニル基を表わす。aは0〜3の整数を表わし、aが複数のとき、複数のR6 は同じでも異なっていてもよい。Arはアリール基を表わす。R7 はb価の炭化水素基はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表わす。bは1〜7の整数を表わし、bが複数のとき複数のR7 は同じでも異なっていてもよい。R8 はアルキル基又はシクロアルキル基を表わす。R9 はc価の炭化水素又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表わす。cは1〜6の整数を表わし、cが複数のとき、複数のR8 は同じであっても異っていてもよい。R12は(d+1)価の炭化水素基を表わす。dは1〜5の整数を表わし、dが複数のとき複数個のR11は同じでも異なっていてもよい。
一般式(I)〜(V)において、好ましくはR、R、R、R、R、R10、R11はそれぞれ炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−ブチル、n−ブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、ブトキシカルボニルメチル)、炭素数3〜10のシクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)または炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、クレジル)を表す。
【0053】
は、好ましくはハロゲン原子(例えば、クロル、ブロム)、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、ブトキシ)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ)または炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニル)を表す。Rはb価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。Rはc価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。R12は2価のアリール基以外の(d+1)価の炭化水素基が好ましく、さらには(d+1)価の脂肪族炭化水素基が好ましい。これらの炭化水素基としては、非環式でも単環式、縮合多環式でも架橋環式等であってもよい。例えば、直鎖または分岐のアルカン、アルケン、アルカジエン、シクロアルカン、シクロアルケン、ベンゼン、ナフタレン、ビシクロアルカンなどが挙げられる。
【0054】
本発明で用いられる誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒の代表例を誘電率(25℃、10KHz)と共に示す。
【0055】
【化22】

【0056】
【化23】

【0057】
【化24】

【0058】
【化25】

【0059】
本発明の誘電率が5.8以上の高沸点有機溶媒は、本発明においては、感光材料中(好ましくは支持体上の写真構成層中)に、0.6g/m以上含有する。含有量は好ましくは0.7g/m以上、より好ましくは0.8g/m以上、さらに好ましくは0.9g/m以上、よりさらに好ましくは1.0g/m以上、特に好ましくは1.1g/m以上である。なお、上限は5.0g/m以下が好ましく、3.0g/m以下がより好ましい。
本発明の5.8以上の高沸点有機溶媒は写真構成層中のどの層に用いてもよく、また複数の層で用いてもよい。
【0060】
次に、本発明で好ましく使用される一般式(1)で表されるシアン色素形成カプラーを説明する。
【0061】
【化26】

【0062】
一般式(1)中、R1 及びR2 は、各々独立に、ハメットの置換基定数σ値が、0.2以上の電子吸引性基であり、0.35以上の電子吸引基が好ましく、0.6以上の電子吸引基がさらに好ましい。ハメットの置換基定数σ値の上限としては、1.0以下程度である。R1 とR2 とのσ値の和は、0.65以上であり、上限は1.8程度である。
【0063】
前記R1 及びR2 として表すσ値が0.20〜1.0の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフイニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σ値0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、複素環基、塩素原子、臭素原子、アゾ基、又はセレノシアネート基があげられる。これらの置換基のうちさらに置換基を有することが可能な基は、後述するR3 で挙げるような置換基をさらに有してもよい。
【0064】
前記R1及びR2 として表すσ値が0.2〜1.0の代表的な電子吸引性基のσ値は、臭素原子(0.23)、塩素原子(0.23)、シアノ基(0.66)、ニトロ基(0.78)、トリフルオロメチル基(0.54)、トリブロモメチル基(0.29)、トリクロロメチル基(0.33)、カルボキシル基(0.45)、アセチル基(0.50)、ベンゾイル基(0.43)、アセチルオキシ基(0.31)、トリフルオロメタンスルホニル基(0.92)、メタンスルホニル基(0.72)、ベンゼンスルホニル基(0.70)、メタンスルフィニル基(0.49)、カルバモイル基(0.36)、メトキシカルボニル基(0.45)、エトキシカルボニル基(0.45)、フェノキシカルボニル基(0.44)、ピラゾリル基(0.37)、メタンスルホニルオキシ基(0.36)、ジメトキシホスホリル基(0.60)、スルファモイル基(0.57)などである。
【0065】
一般式(1)中、R1 及びR2 としては、好ましくは、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルキルオキシ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アリール基、2個以上のニトロ基で置換されたアリール基及び複素環基が挙げられる。さらに好ましくは、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アリールスルホニル基、カルバモイル基及びハロゲン化アルキル基である。より好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン化アルキル基である。特に好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基である。
【0066】
一般式(1)中、R1 及びR2 の組み合わせとして、好ましくは、R1 がシアノ基かつR2 が直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは環状のアルコキシカルボニル基である。
【0067】
一般式(1)中、R2 として特に好ましくは、下記一般式(2)で表わされる、脂肪族オキシカルボニル基である。
【0068】
【化27】

【0069】
一般式(2)中、R’1及びR’2は、脂肪族基(例えば炭素数1〜36の、直鎖又は分岐鎖アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基)を表し、具体的には、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、トリデシル、シクロペンチル、シクロヘキシルを表す。R’1及びR’2として好ましくは、アルキル基(t−ブチルなど)、シクロヘキシル基である。R’3、R’4及びR’5は、水素原子又は脂肪族基を表す。脂肪族基としては、先にR’1及びR’2で挙げた基が挙げられる。R’3、R’4及びR’5として好ましくは、水素原子である。
【0070】
一般式(2)中、Zは、5〜8員環を形成するのに必要な、非金属原子群を表し、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子又は炭素原子が好ましく、炭素原子がさらに好ましい。Zで形成される環は、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、後述する、一般式(1)中のR3 を表す置換基として挙げられたものと同様である。
【0071】
一般式(2)中、Zで形成される環としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘブタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピペラジン環、オキサン環、チアン環等が挙げられ、Zは、後述する一般式(1)中のR3 を表す置換基で置換されていてもよい。
【0072】
一般式(2)中、Zで形成される環として好ましくは、置換されていてもよいシクロヘキサン環であり、特に好ましくは、4位が炭素数1〜36のアルキル基(R3 を表す置換基で置換されていてもよい)で置換されたシクロヘキサン環である。
【0073】
一般式(1)中、R3 は、置換基を表し、該置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子);脂肪族基(炭素数1〜36の直鎖又は分岐鎖アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等であり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、トリデシル、t−アミル、t−オクチル、2−メタンスルホニルエチル、3−(3−ペンタデシルフェノキシ)プロピル、3−{4−{2−〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ドデカンアミド}フェニル}プロピル、2−エトキシトリデシル、トリフルオロメチル、シクロペンチル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシプロピル);アリール基(炭素数6〜36のアリール基であり、例えばフェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル、4−テトラデカンアミドフェニル、2−メトキシフェニル);ヘテロ環基(炭素数1〜36のヘテロ環基であり、例えば2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル);
【0074】
シアノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;カルボキシ基;アミノ基;アルコキシ基(炭素数1〜36の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ドデシルオキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ);アリールオキシ基(炭素数6〜36のアリールオキシ基であり、例えばフェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイルフェノキシ);アリールカルボニルオキシ基(炭素数7〜37のアリールオキシ基であり、例えばフェニルカルボニルオキシ);アシルアミノ基(炭素数2〜36のアシルアミノ基であり、例えばアセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、2−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド、2−{4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ}デカンアミド);アルキルアミノ基(炭素数1〜36のアルキルアミノ基であり、例えばメチルアミノ、ブチルアミノ、ドデシルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ);
【0075】
アニリノ基(炭素数6〜36のアニリノ基であり、例えばフェニルアミノ、2−クロロアニリノ、2−クロロ−5−テトラデカンアミノアニリノ、2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルアニリノ、N−アセチルアニリノ、2−クロロ−5−{2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ドデカンアミド}アニリノ);ウレイド基(炭素数2〜36のウレイド基であり、例えばフェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド);スルファモイルアミノ基(炭素数1〜36のスルファモイルアミノ基であり、例えばN,N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−メチル−N−デシルスルファモイルアミノ);アルキルチオ基(炭素数1〜36のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、オクチルチオ、テトラデシルチオ、2−フェノキシエチルチオ、3−フェノキシプロピルチオ、3−(4−t−ブチルフェノキシ)プロピルチオ);アリールチオ基(炭素数6〜36のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオ、2−ブトキシー5−t−オクチルフェニルチオ、3−ペンタデシルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ、4−テトラデカンアミドフェニルチオ);
【0076】
アルコキシカルボニルアミノ基(炭素数2〜36のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノ、テトラデシルオキシカルボニルアミノ);スルホンアミド基(炭素数1〜36のアルキル及びアリールスルホンアミド基であり、例えばメタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、オクタンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド、2−メトキシ−5−t−ブチルベンゼンスルホンアミド);カルバモイル基(炭素数1〜36のカルバモイル基であり、例えばN−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル}カルバモイル);スルファモイル基(炭素数1〜36のスルファモイル基であり、例えばN−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル);
【0077】
スルホニル基(炭素数1〜36のアルキル又はアリールスルホニル基であり、例えばメタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル);アルコキシカルボニル基(炭素数2〜36のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル);ヘテロ環オキシ基(炭素数1〜36のヘテロ環オキシ基であり、例えば1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えばフェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ);アシルオキシ基(炭素数2〜36のアシルオキシ基であり、例えばアセトキシや複素環アシルオキシ);カルバモイルオキシ基(炭素数1〜36のカルバモイルオキシ基であり、例えばN−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ);シリルオキシ基(炭素数3〜36のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ);
【0078】
アリールオキシカルボニルアミノ基(炭素数7〜36のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェノキシカルボニルアミノ);イミド基(炭素数4〜36のイミド基であり、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド、3−オクタデセニルスクシンイミド);ヘテロ環チオ基(炭素数1〜36のヘテロ環チオ基であり、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジーフェノキシー1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ);スルフィニル基(炭素数1〜36のスルフィニル基であり、例えばドデカンスルフィニル、3−ペンタデシルフェニルスルフィニル、3−フェノキシプロピルスルフィニル);アルキル、アリール若しくは複素環オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、2−ペンタデシルオキシカルボニル);
【0079】
アルキル、アリール若しくは、複素環オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、テトラデシルオキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシカルボニルアミノ);スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド、2−メトキシ−5−tert−ブチルベンゼンスルホンアミド);カルバモイル基(例えばN−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル、N−〔3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル〕カルバモイル);スルファモイル基(例えばN−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル);ホスホニル基(炭素数1〜36のホスホニル基であり、例えばフェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル);スルファミド基(例えばジプロピルスルファモイルアミノ);イミド基(例えばN−サクシンイミド、ヒダントイニル、N−フタルイミド、3−オクタデセニルスクシイミド);アゾリル基(例えばイミダゾリル、ピラゾリル、3−クロロ−ピラゾール−1−イル、トリアゾリル)、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、無置換のアミノ基等が挙げられる。
【0080】
一般式(1)中、R3 として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アゾリル基が挙げられる。
【0081】
一般式(1)中、R3 としてさらに好ましくは、アルキル基、アリール基であり、より好ましくは、置換アリール基である。
【0082】
一般式(1)中、Xは、水素原子若しくは、一般式(1)で表されるカプラーが芳香族第一級アミンカラー現像主薬の酸化体と反応したとき、離脱しうる基(以下、「離脱基」と称する。))を表し、該離脱基としては、ハロゲン原子、アリールオキシ基、アルキル、アリール、置換アミノ若しくは複素環アシルオキシ基、アルキル、アリール若しくは複素環スルホニルオキシ基、ジアルキル若しくはジアリールホスホノオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、複素環オキシカルボニルオキシ基、ガルバモイルオキシ基、アルキル、アリール若しくは複素環スルホニル基、アルキル・アリール若しくは複素環スルフィニル基、アルキル、アリール若しくは複素環チオ基、イミド基、アゾ基、窒素原子でカップリング位と結合する5員若しくは6員の含窒素複素環基などが挙げられる。これらの離脱基に含まれるアルキル部位、アリール部位若しくは複素環部位は、R3 として挙げられた置換基で置換されていてもよい。また、これらの置換基が2つ以上のときは、同一でもあっても異なっていてもよい。
【0083】
前記離脱基として具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数6〜30のアリールオキシ基(例えば4−メチルフェノキシ、4−クロロフェノキシ、4−メトキシフェノキシ、2−メトキシフェノキシ、4−エトキシカルボキシフェノキシ、3−アセチルアミノフェノキシ)、炭素数2〜30のアルキル若しくは複素環アシルオキシ基(例えばアセトキシ、テトラデカノイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ)、炭素数1〜30のアルキル、アリール若しくは複素環スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、炭素数1〜30のジアルキル若しくはジアリールホスホノオキシ基(例えばジエチルホスホノオキシ、ジフェニルホスホノオキシ)、炭素数2〜30のアルコキシカルボニルオキシ基(例えばエトキシカルボニルオキシ、(i)−ブトキシカルボニルオキシ)、炭素数6〜40のアリールカルボニルオキシ基(例えばベンゾイルオキシ、2,6−ジクロロベンゾイルオキシ、4−オクタデシルオキシベンゾイルオキシ)、炭素数6〜40のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、炭素数1〜30のカルバモイルオキシ基(例えばジエチルカルバモイルオキシ、ジアリルカルバモイルオキシ)、炭素数1〜30のアルキル、アリール若しくは複素環スルホニル基(例えばメタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、炭素数1〜30のアルキル、アリール若しくぱ複素環スルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、炭素数1〜30のアルキル、アリール若しくは複素環チオ基(例えばエチルチオ、2−ブトキシー5−t−オクチルフェニルチオ、テトラゾリルチオ)、複素環オキシ基(ピリミジノオキシ、トリアジノオキシ)、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−ジヒドロー2−オキソー1−ピリジル、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾが挙げられる。離脱基は、現像抑制剤、現像促進剤など写真的有用基を含んでいてもよい。
【0084】
一般式(1)中、Xとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アリールオキシ基、複素環アシルオキシ基、ジアルキルホスホノオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基又はカルバモイルオキシ基である。Xはさらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、複素環アシルオキシ、アリールカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基であり、特に好ましくは複素環アシルオキシ、アリールカルボニルオキシ基とカルバモイルオキシ基である。
【0085】
一般式(1)中、Yは、水素原子若しくは置換基を表し、該置換基として好ましくは、一般式(1)で表されるカプラーが現像主薬の酸化体とカップリング反応した後に脱離しうる基であり、例えば特開昭61−228444号公報等に記載されている様なアルカリ条件下で、離脱しうる基や特開昭56−133734号公報に記載されている様な現像主薬との反応により、カップリングオフする置換基が挙げられる。Yとして好ましくは、水素原子の場合である。
【0086】
一般式(1)で表されるカプラーは、R1 、R2 、R3 、又はXを表す基が一般式(1)で表されるカプラー残基を含有していて二量体以上の多量体を形成していたり、R1 、R2 、R3 又はXを表す基が高分子鎖を含有していて単独重合体若しくは共重合体を形成していてもよい。高分子鎖を含有している単独重合体若しくは共重合体とは一般式(1)で表されるカプラー残基を有するエチレン型不飽和化合物の単独若しくは共重合体(付加重合体)が典型例である。この場合、一般式(1)で表されるカプラー残基を有するシアン発色繰り返し単位は重合体中に1種類以上含有されていてもよく、共重合成分としてアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル類の如き芳香族一級アミン現像薬の酸化生成物とカップリングしない非発色性のエチレン型モノマーの1種又は1種以上を含む共重合体であってもよい。
【0087】
以下に、一般式(1)で表されるカプラーの具体例を示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものでぱない。
【0088】
【化28】

【0089】
【化29】

【0090】
【化30】

【0091】
【化31】

【0092】
【化32】

【0093】
【化33】

【0094】
【化34】

【0095】
【化35】

【0096】
【化36】

【0097】
【化37】

【0098】
【化38】

【0099】
【化39】

【0100】
【化40】

【0101】
本発明において、一般式(1)で表されるカプラーは、公知の方法、例えば特開昭5−255333号、同5−202004号、同7−48376号等公報に記載の方法にて合成することができる。
【0102】
次に、本発明に好ましく使用される一般式(Ph)で表される化合物について詳細に説明する。
【0103】
【化41】

【0104】
一般式(Ph)において、Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基またはスルホニル基を表し、Rb2〜Rb5は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。
【0105】
以下に一般式(Ph)で表される化合物について詳細に説明する。 Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基またはスルホニル基を表す。また、これらの置換基は更に他の置換基によって置換され得る。脂肪族基としてはメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。カルバモイル基としてはN,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基が挙げられる。アシルアミノ基としてはブチルアミド基、ヘキシルアミド基、オクチルアミド基、ベンズアミド等が挙げられる。カルボニル基としてはヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。スルホニル基としてはブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ドデシルスルホニル基などが挙げられる。
【0106】
b2〜Rb5は各々独立に、水素原子またはハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、ヒドロキシ基、アルキル基(例えばメチル、エチル、ブチル、アリル等)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル等)、複素環基(例えばピペリジル基、ピロリル基、インドリル基等)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、オクチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、ナフトキシ等)、複素環オキシ基(例えばピペリジルオキシ、ピロリルオキシ、インドリルオキシ等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニルフェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、メタクリロイル等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、オキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、オクチルオキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル等)、カルバモイル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、ジフェニルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル等)、アシルアミド基(例えばヘプチルアミド、ウンデシルアミド、ペンタデシルアミド、1−ヘキシルノニルアミド等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、オクタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ等)またはアリールチオ基(フェニルチオ等)を表す。またRb1〜Rb5はそれぞれ連結基となって2つ以上のフェノール母核を連結しても良い。 Rb1として好ましい基はアルキル基、カルバモイル基、アシルアミド基であり、中でもアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb2としてはアミド基、脂肪族オキシ基、アルキレン連結基が好ましく、アルキレン連結基である場合は2つのフェノール母核が連結されていることが好ましい。
【0107】
以下に、一般式(Ph)で表される化合物の好ましい構造を示す。
【0108】
【化42】

【0109】
一般式(Ph−1)で表される化合物について詳しく説明する。 Rb6は脂肪族基、アリール基、アミノ基、アシル基を表し、Rb1は一般式(Ph)で定義したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb7、Rb8、Rb9は各々独立に、一般式(Ph)で定義したRb2〜Rb5と同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb6は脂肪族基であることが好ましく、更に無置換の脂肪族基が好ましく、特に分岐の脂肪族基が好ましい。また、Rb6の総炭素数は8以上25以下が好ましく、12以上20以下が特に好ましい。Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、オキシカルボニル基が好ましく、脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb7、Rb8、Rb9は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0110】
一般式(Ph−2)で表される化合物について詳しく説明する。 Rb1は一般式(Ph)で定義したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb10は水素原子、脂肪族基(例えばブチル、ベンジル等)、アシル基(例えばアクリロイル、1−メチルアクリロイル、2−メチルアクリロイル等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)シリル基、フォスホリル基を表す。Xbはアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピルメチレン、ペンチルメチレン等、)フェニレン基(フェニレン等)、−O−、−S−である。Rb11〜Rb16は各々独立に、一般式(Ph)で定義したRb2〜Rb5と同義であり好ましい範囲も同じである。
【0111】
b10で好ましい基は光堅牢性改良の観点では、水素原子、アシル基、アルキル基で、水素原子、アシル基が更に好ましい。光堅牢性改良の観点では水素原子が特に好ましいが、Rb10が水素原子であると、一般式(Ph−2)で表される化合物自体がパラフェニレンジアミン酸化体と反応してシアン発色することによる色にごりを生じるため好ましくない。Xbはアルキレン連結が好ましく、−CHRb21(Rb21は水素原子、脂肪族基またはアリール基を表わす。)が更に好ましく、Rb21は脂肪族基であることが特に好ましい。Rb11、Rb14は脂肪族基が好ましく、炭素数6以下の脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。 Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、オキシカルボニル基が好ましく、脂肪族基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。Rb12、Rb13、Rb15、Rb16は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0112】
一般式(Ph−3)で表される化合物について詳しく説明する。 Rb17、Rb18は各々独立に、脂肪族基またはアリール基を表わす。Rb1は一般式(Ph)で定義したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb19、Rb20は一般式(Ph)で定義したRb2〜Rb5と同義であり、好ましい範囲も同じである。 Rb17、Rb18は脂肪族基が好ましい。Rb19、Rb20は水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子が特に好ましい。Rb1はカルバモイル基、オキシカルボニル基、脂肪族基が好ましく、カルバモイル基、オキシカルボニル基が特に好ましい。
【0113】
以下に、一般式(Ph)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0114】
【化43】

【0115】
【化44】

【0116】
【化45】

【0117】
【化46】

【0118】
【化47】

【0119】
【化48】

【0120】
【化49】

【0121】
【化50】

【0122】
【化51】

【0123】
【化52】

【0124】
【化53】

【0125】
【化54】

【0126】
【化55】

【0127】
【化56】

【0128】
【化57】

【0129】
【化58】

【0130】
一般式(Ph)で表される化合物は、特開2004−361936号公報に記載の方法または該方法に準じた方法で容易に合成できる。
【0131】
一般式(Ph)で表される化合物は1種でも、数種併用されてもよいが、少なくとも一種は一般式(B)で表される化合物と同一層に添加されるのが好ましい。
一般式(Ph)で表される化合物の添加量は一般式(B)で表される化合物に対して0.0001モル%〜400モル%が好ましく、0.0005モル%〜200モル%が更に好ましく、0.0005モル%〜150モル%が特に好ましい。
【0132】
本発明において、本発明の一般式(B)で表される化合物、本発明で好ましくに使用される色素形成カプラー、一般式(Ph)で表される化合物、紫外線吸収剤、水不溶性の単独重合体若しくは共重合体等の添加物は公知の分散方法により感光材料に導入できるが、本発明の誘電率が5.8以上の高沸点有機溶媒をも含む高沸点有機溶媒(低沸点有機溶媒の併用も可)に溶解し、ゼラチン水溶液に乳化分散してハロゲン化銀乳剤に添加する水中油滴分散法が好ましく用いられる。
本発明の誘電率が5.8以上の高沸点有機溶媒と併用して、水中油滴分散法に用いられる高沸点有機溶媒の例は米国特許第2,322,027号明細書等に記載されている。また、ポリマー分散法の1つとしてラテックス分散法の具体例が米国特許第4,199,363号、西独特許(OLS)第2,541,274号、特公昭53−41091号、欧州特許出願公開第0,727,703A1号、同第0,727,704A1号の各明細書などに記載されている。さらに、有機溶媒可溶性ポリマーによる分散法がPCT国際公開WO88/723号パンフレットに記載されている。
【0133】
水中油滴分散法に用いることのできる高沸点有機溶媒としては、フタル酸エステル類(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等)、リン酸またはホスホン酸エステル類(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル等)、脂肪酸エステル類(コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等)、安息香酸エステル類(安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸ドデシル等)、アミド類(N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルオレインアミド等)、アルコールまたはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール等)、アニリン類(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、塩素化パラフィン類、炭化水素類(ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等)、カルボン酸類(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)酪酸等などが挙げられる。なお、これらの中には誘電率が5.8以上のものも含まれる。また、補助溶媒として沸点が30℃以上160℃以下の有機溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等)を併用してもよい。高沸点有機溶媒はカプラーに対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量、用いるのが好ましい。
【0134】
本発明に係る化合物を色素形成カプラー等とともに、親水性保護コロイド中に乳化分散して親油性微粒子とするには、界面活性剤などの分散助剤を用いて、撹拌器、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波装置などにより分散する。
【0135】
また、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。 この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.04〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(コールターエレクトロニクス社、商品名)等を用いて測定できる。
【0136】
以下に、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)について詳細に説明する。
【0137】
本発明においてハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料が好ましく用いられる。 本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。該イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0138】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0139】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙、映画用カラーネガ、映画用カラーポジ、ディスプレイ感光材料、カラープルーフ(特にデジタルカラープルーフ)感光材料等に用いることができる。
【0140】
本発明においては、直接鑑賞用に用いられる感光材料、カラー印画紙(カラーペーパー)、ディスプレイ感光材料、カラープルーフ、カラー反転フィルム(カラーリバーサル)、カラー反転印画紙、映画用カラーポジで好ましく適用される。なかでも、カラー印画紙やカラー反転フィルムが好ましい。 本発明が、カラーペーパーに適用される場合は、特開平11−7109号公報に記載の感光材料等が好ましく、特に該公報の段落番号0071〜0087の記載は本明細書の一部としてそのまま取り込まれる。 本発明が、カラーネガフィルムに適用される場合は、特開平11−305396号公報の段落番号0115〜0217の記載が好ましく適用され、本明細書の一部として取り込まれる。 本発明が、カラー反転フィルムに適用される場合は、特開2001−142181号に記載の感光材料に好ましく、該明細書の段落番号0164〜0188の記載および特開平11−84601号公報の段落番号0018〜0021の記載が好ましく適用され、本明細書の一部として取り込まれる。
【0141】
以下に本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀感光材料に関して詳細に述べる。 本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0142】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が90モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0143】
本発明における乳剤は、沃化銀を含有することが好ましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、またはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0144】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0145】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight − Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMS(商品名)を用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明における乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0146】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。 本発明における乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。 臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−9〜1×10−2モルが好ましい。
【0147】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/または成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
【0148】
この中で本発明におけるハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウムイオンを持つことが特に好ましい。 配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。 特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配位子の中でも5−メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0149】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、または、4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−8モル〜1×10−2モル添加することが好ましく、1×10−6モル〜5×10−4モル添加することが最も好ましい。
【0150】
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることが出来る。 [IrCl6]3−、[IrCl6]2−、[IrCl5(H2O)]2−、[IrCl5(H2O)]、[IrCl4(H2O)2]、[IrCl4(H2O)2]0、[IrCl3(H
2O)3]0、[IrCl3(H2O)3]+、[IrBr6]3−、[IrBr6]2−、[IrBr5(H2O)]2−、[IrBr5(H2O)]、[IrBr4(H2O)2]、[IrBr4(H2O)2]0、[IrBr3(H2O)3]0および[IrBr3(H2O)3]+である。
【0151】
これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10モル〜1×10−3モル添加することが好ましく、1×10−8モル〜1×10−5モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10モル〜1×10−6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10−9モル〜1×10−6モル添加することである。
【0152】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むことが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0153】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、同2−125245号、同3−188437号の各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0154】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.01μm〜2μmが好ましい。 また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0155】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更に欧州特許第0447647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0156】
本発明において、全ての写真構成層の総塗設銀量は、0.5g/m2以下(好ましくは0.2g/m2以上0.5g/m2以下)が好ましく、0.45g/m2以下(好ましくは0.2g/m2以上0.45g/m2以下)がさらに好ましく、0.4g/m2以下(0.2g/m2以上0.4g/m2以下)が最も好ましい。
【0157】
更に、本発明において感光材料中に下記一般式(X)で表される繰り返し単位をもつ化合物を含有せしめることがかぶりを抑制する点で好ましい。
【0158】
【化59】

【0159】
一般式(X)において、R1は−OR、−SRまたは−N−R(−R’)を表し、RおよびR’は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基(炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホアルキル(またはその塩)基、カルボキシアルキル(またはその塩)基がさらに好ましい)、置換されていてもよいアリール基(炭素数6〜12のアリール基が好ましく、無置換のアリール基、もしくは置換基としてスルホ(またはその塩)基、カルボキシル(またはその塩)基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子で置換されたアリール基がさらに好ましい)、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基または、置換されていてもよいヘテロ環基を表す。ここで、RおよびR’が互いに結合して飽和炭素環、もしくは−O−を含むアルキレン基から構成されるヘテロ環を形成してもよい。 R2およびR3は各々独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基、もしくは、置換基としてヒドロキシル基、スルホ(またはその塩)基、カルボキシ(またはその塩)基などが置換したアルキル基がさらに好ましい)を表す。 Y1およびY2は各々独立に、置換されていてもよいポリメチレン基(炭素数2〜12のポリメチン基が好ましく、無置換のポリメチン基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたポリメチレン基がさらに好ましい)、置換されてもよいアリーレン基(炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、無置換のアリーレン基、もしくは、置換基としてスルホ(またはその塩)基、カルボキシル(またはその塩)基、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子で置換されたアリーレン基がさらに好ましい)、またはシクロアルキレン基(炭素数3〜12のシクロアルキレン基が好ましい)を表し、Zは−O−、−SO2−または−CH2−を表し、mは0または1で表す。
【0160】
一般式(X)中の上記の各基はすべての繰り返し単位で同一である必要はなく、その場合の繰り返し単位の配列の規則性にも制約はない。特公平4−32375号の一般式(I)の具体例として記載された、2種のジアミン成分を交互に含むものも好ましく使用できる。
【0161】
前記一般式(X)で表される繰り返し単位をもつ化合物は、1,3,5−トリアジン環を含有する化合物であり、該繰り返し単位は好ましくは2以上であって、両末端が互いに結合して環状となっていても良い。一般式(X)で表される繰り返し単位をもつ化合物を説明するにおいて、その調整方法(合成方法)によって説明する。 上記化合物の調製法を略記すると、下記一般式(XA)で表される1,3,5−トリアジン化合物と下記一般式(XB)で表されるジアミノ化合物との重合反応か、または、下記一般式(XC)で表されるビス(ハロゲノ−1,3,5−トリアジン)化合物と前述の一般式(XB)で表されるジアミノ化合物との重縮合反応によって、一般式(X)で表される繰り返し単位を有する化合物を得ることができる。
【0162】
【化60】

【0163】
一般式(XA)において、Xはハロゲン原子(例えば塩素、臭素)を表し、R1は前述の一般式(X)で説明したR1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0164】
【化61】

【0165】
一般式(XB)において、R2、R3、Y1、Y2、Zおよびmはそれぞれ前述の一般式(X)と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0166】
【化62】

【0167】
一般式(XC)において、Xは前述の一般式(XA)において説明したXと同義であり、R1、R2、R3、Y1、Y2、Zおよびmはそれぞれ前述の一般式(X)と同義であり、好ましい範囲も同じである。 上記の一般式(XA)、(XC)で表されるハロゲノ−1,3,5−トリアジン化合物は例えば、ジャーナル.オブ.ザ.アメリカン.ケミカル.ソサイアティー,第73巻,2981〜2992頁(1951年)に記載の塩化シアヌルを出発物質とする方法によって調製することができる。
【0168】
一般式(X)で表される繰り返し単位を有する化合物について更に詳しく説明する。 前述の一般式(X)、および出発物質である一般式(XA)、(XC)におけるR1の例としては次のような基を挙げることができる。
【0169】
−OH、−OCH3、−OC25、−OC49、−SCH3、−SC25、 −NH2、−NHCH3、−NHC25、−NHC49、−N(CH32、 −NHC1225、−NHCH2CH2OH、−NHCH2CH2OH2OH、 −N(CH2CH2OH)2、−NHCH2CH2−SO3Na、 −NHCH2CH2−SO3H、−NHCH2−COOH
【0170】
また、本発明に好ましく使用する化合物の前述の一般式(X)、および出発物質もしくは重縮合反応の試薬である一般式(XB)、(XC)における、−N(R1)−(Y1−Z)m−Y2−N(R2)−の例としては次のような基を挙げることができる。
【0171】
−NH(CH22−NH−、−HN(CH23−NH−、 −HN(CH24−NH−、−HN(CH26−NH−、 −HN(CH212−NH−、 −HNCH2CH2−O−CH2CH2NH−、
【0172】
分子中に、前述の一般式(X)で表される繰り返し単位を含有する化合物の調製法を具体的に述べると次のような(a)、(b)の2つの一般的な方法がある。
【0173】
(a);前述の一般式(XA)で表されるジハロゲノ−1,3,5−トリアジン化合物1モルと前述一般式(XB)で示されるジアミノ化合物の約1モルと適当な溶媒(好ましくは水、アセトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドなど)中、適当な脱酸剤(好ましくは酸性炭素アルカリ、炭酸アルカリ、苛性アルカリなどの無機塩基、あるいはピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ジアミノビシクロオクタンなどの有機塩基)の存在もしくは非存
在下において適当な温度(好ましくは10〜150℃)で反応させる方法、
【0174】
(b);前述の一般式(XC)で表されるビス(ハロゲノ−1,3,5−トリアジン)化合物の1モルと上述の一般式(XB)で表されるジアミノ化合物の約1モルとの適当な温度(好ましくは30〜150℃)で、(a)に述べたものと同じ脱酸剤を使用して反応させる方法。
【0175】
なお、一般式(X)で表される繰り返し単位を有する化合物は、上述の(a)、(b)の一般的方法のいずれの方法で調整されたものでも、またはそれ以外の方法によって得られたものでも何ら差し支えない。
【0176】
一般式(X)で表される繰り返し単位を有する化合物の具体例を以下に列挙する。好ましい繰り返し単位としては2以上が好ましく、より好ましくは2以上20以下が好ましい。
【0177】
【化63】

【0178】
【化64】

【0179】
一般式(X)で表される繰返し単位を有する化合物が鎖状の重合物である場合、両末端X1、X2を有するが、X1は通常、前述の一般式(X)において説明したXで表されるハロゲン原子、またはヒドロキシル基であり、X2は水素原子または一般式(X)の片方のXを除いた基(但し、残りのXは上記X1と同様にハロゲン原子またはヒドロキシル基)となっていると考えられる。一般式(X)で表される繰返し単位を有する化合物は1,3,5−トリアジン環を含む繰り返し単位の数がある範囲の分布を持っていてもよく、また合成の過程において意図せざる位置に置換基が結合した不純物(例えば、上記の末端基X1がR1と同じ基であるもの)を含んでいてもよい。
【0180】
一般式(X)で表される繰返し単位を有する化合物は、感光材料調製工程のいずれかの時点(例えばハロゲン化銀乳剤調製工程、感光材料塗布液調整工程等)において添加混合することにより、感光材料中に含有せしめることが出来る。また、非感光性層、感光性ハロゲン化銀乳剤層のいずれの層に含有せしめることも出来るが、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含有せしめることが好ましく、青感光性ハロゲン化銀乳剤層中に含有せしめることがより好ましい態様の1つである。また、複数の感光性ハロゲン化銀乳剤層に含有せしめることも出来る。含有量は目的に応じ様々であるが、一般に感光材料1m2当たり0.001mgから100mgが好ましく、0.01mgから20mgがより好ましく、0.05mgから10mgが更に好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層に含有せしめる場合、一般式(X)で表される繰返し単位を有する化合物は含有される層のハロゲン化銀1モル当たり1mgから10gが好ましく、5mgから5gがより好ましく、10mgから2gが更に好ましい。
【0181】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、特開平11−102045号公報の一般式(I)〜(III)のいずれかで表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0182】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。 本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds(John Wiley & Sons [New York,London]社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0183】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10−6モル〜1.0×10−2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10−6モル〜5.0×10−3モルの範囲である。
【0184】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号公報の第18頁右下欄〜第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0185】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0186】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号公報に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、特開平11−218870号公報に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、特開平4−268550号公報に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3、503、749号明細書に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、同8−69075号、同9−269554号の各公報に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号の各明細書に記載の化合物も用いることができる。 これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0187】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B 第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。 本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0188】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許出願公開第0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号の各公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0189】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層を用いてもよい。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0190】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報3頁右上欄〜8頁に記載された染料や、特開平3−7931号公報3頁右上欄〜11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、たとえば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同第3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0191】
本発明をカラー印画紙に適用する場合は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、こ
れらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。 しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
【0192】
本発明の感光材料において、イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号の各公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0193】
本発明に用いられる写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレート、三酢酸セルロースフイルムなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。本発明においては反射支持体(反射型支持体)が好ましく、反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0194】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号の各公報、欧州特許出願公開第0,355,660A2号明細書に記載されているもの、特に欧州特許出願公開第0,355,660A2号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号の各公報、欧州特許公開第0520457A2号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0195】
本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、併用できるイエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す公報の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0196】
【表1】

【0197】
本発明において併用することができるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目や欧州特許出願公開第0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。 また、本発明は国際公開WO98/33760号パンフレット記載の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報記載の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0198】
本発明において併用することができるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目や欧州特許出願公開第0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明は国際公開WO98/33760号パンフレット記載の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報記載の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0199】
本発明で好ましく使用されるシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、前述の通りである。前述の一般式(1)で表されるシアン色素形成カプラーは単独でも他のシアン色素形成カプラーと併用してもよい。併用してもよい色素形成カプラーとしては、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーが挙げられ、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外の併用してもよいシアン色素形成カプラーとしては、欧州特許第0488248号明細書及び欧州特許出願公開第0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号明細書に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号の各公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0200】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許出願公開第0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許出願公開第0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを併用することもできる。
【0201】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許出願公開第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該公報の段落番号0009〜0026はそのまま本発明に適用され、本明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号、同第884640号明細書等に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0202】
また、イエロー色素形成カプラー(単に、「イエローカプラー」という場合がある)としては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号明細書、同第953871A1号明細書、同第953872A1号明細書、同第953873A1号明細書、同第953874A1号明細書、同第953875A1号明細書等に記載のピロール‐2又は3‐イル若しくはインドール‐2又は3‐イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーまたは特開2003−173007号公報に記載のアシル基にヘテロ環が置換したアセトアニリド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラー、またはアシル基にヘテロ環が置換したアセトアニリド型イエローカプラーの使用が好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。が好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラー、またはアシル基にヘテロ環が置換したアセトアニリド型イエローカプラーの使用が好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0203】
本発明に使用するカプラーは、本発明の誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒および前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号パンフレットの第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0204】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる公報に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号パンフレット、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、同10−282615号公報及び独国特許第19629142A1号等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号、欧州特許第839623A1号、欧州特許第842975A1号、独国特許19806846A1号及び仏国特許第2760460A1号の各明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0205】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号の各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0206】
本発明の感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0207】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0208】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明においてはフッ素原子含有の界面活性剤も好ましく用いられる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10−5〜1g/m2、好ましくは1×10−4〜1×10−1g/m2、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2g/m2である。
【0209】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。
本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0210】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0211】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0212】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては1×10−4秒以下、更に好ましくは1×10−6秒以下である。特に1画素当たりの露光時間が1×10−8秒〜1×10−4秒で、かつ隣接するラスター間の重なり(好ましくはラスター間の重なりが1/8〜7/8、さらに好ましくは1/5〜4/5)がある走査露光で露光することにより、相反則不軌が改良される点で好ましい。本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した特許に詳しく記載されている。
【0213】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号並びに同10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特開2000−310822号公報に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0214】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した公報に詳しく記載されている。
【0215】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許出願公開第0789270A1号や同0789480A1号明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0216】
本発明の感光材料は、特に、芳香族第一級アミン系カラー現像薬の酸化体とカップリングして色素を形成する色素形成カプラーをハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料に好ましく適用される。
本発明の感光材料の現像処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び同4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0217】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料にも好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上、最も好ましくは20秒以下10秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上、最も好ましくは20秒以下10秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
尚、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0218】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。
アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号の各公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0219】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号公報、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0220】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem
36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【実施例】
【0221】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0222】
実施例1
(青感層乳剤BH−1の調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、Cs[OsCl(NO)]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり1.5モル%)およびK[Fe(CN)]を添加した。硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけて、K[IrCl]を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K[IrCl(HO)]およびK[IrCl(HO)]を添加した。硝酸銀の添加が94%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.27モル%)を激しく攪拌しながら添加した。得られた乳剤粒子は、辺長0.54μm、変動係数8.5%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤に沈降脱塩処理を施した後、ゼラチンと、化合物Ab−1、Ab−2、Ab−3、および硝酸カルシウムを添加し再分散を行った。
【0223】
再分散した乳剤を40℃で溶解し、本発明の増感色素S−1、増感色素S−2および増感色素S−3を分光増感が最適になるように添加した。次に、ベンゼンチオ硫酸ナトリウム、硫黄増感剤としてトリエチルチオ尿素、金増感剤として化合物−1を添加して、化学増感が最適になるように熟成した。その後、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−3で表される繰り返し単位nが2または3が主成分の化合物(末端XおよびXはヒドロキシル基)、化合物−4および臭化カリウムを添加して化学増感を終了した。こうして得られた乳剤を乳剤BH−1とした。
【0224】
【化65】

【0225】
【化66】

【0226】
(青感層乳剤BL−1の調製)
乳剤BH−1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.44μm、変動係数9.5%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量をBH−1のから変更する以外は同様にして乳剤BL−1を調製した。
【0227】
(緑感層乳剤GH−1の調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K[Ru(CN)]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%)を添加した。硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけて、K[IrCl]およびK[RhBr(HO)]を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.1モル%)を激しく攪拌しながら添加した。更に、硝酸銀の添加が92%から98%の時点にかけて、K[IrCl(HO)]およびK[IrCl(HO)]を添加した。得られた乳剤粒子は、辺長0.42μm、変動係数8.0%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤に前記と同様に沈降脱塩処理および再分散を施した。
【0228】
この乳剤を40℃で溶解し、ベンゼンチオ硫酸ナトリウム、p−グルタルアミドフェニルジスルフィド、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物および金増感剤として(ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレート)を添加し、化学増感が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−4および臭化カリウムを添加した。更に乳剤調製工程の途中で増感色素として、増感色素S−4、S−5、S−6およびS−7を添加することにより分光増感を行った。こうして得られた乳剤を乳剤GH−1とした。
【0229】
【化67】

【0230】
(緑感層乳剤GL−1の調製)
乳剤GH−1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.35μm、変動係数9.8%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤を最分散後、添加される各種化合物の量を乳剤GH−1から変更する以外は同様にして乳剤GL−1を調製した。
【0231】
(赤感層用乳剤RH−1の調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、Cs[OsCl(NO)]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K[Ru(CN)]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり1.3モル%)を添加した。硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけて、K[IrCl(5−methylthiazole)]を添加した。硝酸銀の添加が88%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モル当たり沃化銀量が0.05モル%となる量)を激しく攪拌しながら添加した。更に、硝酸銀の添加が92%から98%の時点にかけて、K[IrCl(HO)]およびK[IrCl(HO)]を添加した。得られた乳剤粒子は立方体辺長0.39μm、変動係数10%の単分散立方体沃臭塩化銀乳剤粒子であった。得られた乳剤に前記と同様にして沈降脱塩処理および再分散を行った。
【0232】
この乳剤を40℃で溶解し、増感色素S−8、化合物−5、硫黄増感剤としてトリエチルチオ尿素および金増感剤として化合物−1を添加し、化学増感が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−4、および臭化カリウムを添加した。こうして得られた乳剤を乳剤RH−1とした。
【0233】
【化68】

【0234】
(赤感層用乳剤RL−1の調製)
乳剤RH−1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.29μm、変動係数9.9%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤を沈降脱塩処理および最分散後、添加される各種化合物の量を乳剤RH−1から変更する以外は同様にして乳剤RL−1を調製した。
【0235】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(Ex−Y)34g、色像安定剤(Cpd−1)1g、色像安定剤(Cpd−2)1g、色像安定剤(Cpd−8)8g、色像安定剤(Cpd−18)1g、色像安定剤(Cpd−20)16g、色像安定剤(Cpd−21)1g、添加剤(ExC−1)0.1g、色像安定剤(UV−A)1gを溶媒(Solv−4)21g、溶媒(Solv−6)4g、溶媒(Solv−9)21g及び酢酸エチル60mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液270g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤BH−1、BL−1を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0236】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3、及びAb−4をそれぞれ全量が14.0mg/m2、62.0mg/m2,5.0mg/m2及び10.0mg/m2となるように添加した。
【0237】
1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、および第六層、それぞれ0.2mg/m、0.2mg/m、0.6mg/mとなるように添加した。青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10−4モル、2×10−4モル添加した。赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/mを添加した。第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m、6mg/m、18mg/mとなるように添加した。各層にポリスチレンスルホン酸ナトリウムを必要に応じて加え塗布液の粘度を調節した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0238】
【化69】

【0239】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)、蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン(含有率0.03質量%)および青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m
第一層(青色感光性乳剤層)
乳剤(BH−1とBL−1の5:5混合物(銀モル比)) 0.16
ゼラチン 1.32
イエローカプラー(Ex−Y) 0.34
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.08
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
色像安定剤(Cpd−20) 0.16
色像安定剤(Cpd−21) 0.01
添加剤(ExC−1) 0.001
色像安定剤(UV−A) 0.01
溶媒(Solv−4) 0.21
溶媒(Solv−6) 0.04
溶媒(Solv−9) 0.21
【0240】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.78
混色防止剤(Cpd−4) 0.05
混色防止剤(Cpd−12) 0.01
色像安定剤(Cpd−3) 0.01
色像安定剤(Cpd−5) 0.006
色像安定剤(Cpd−6) 0.05
色像安定剤(UV−A) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.006
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−2) 0.06
溶媒(Solv−5) 0.07
溶媒(Solv−8) 0.07
【0241】
第三層(緑色感光性乳剤層)
乳剤(GH−1とGL−1の1:3混合物(銀モル比)) 0.12
ゼラチン 0.95
マゼンタカプラー(ExM) 0.12
紫外線吸収剤(UV−A) 0.03
色像安定剤(Cpd−2) 0.02
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.005
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
色像安定剤(Cpd−20) 0.01
溶媒(Solv−3) 0.06
溶媒(Solv−4) 0.12
溶媒(Solv−6) 0.03
溶媒(Solv−9) 0.16
【0242】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.65
混色防止剤(Cpd−4) 0.04
混色防止剤(Cpd−12) 0.01
色像安定剤(Cpd−3) 0.01
色像安定剤(Cpd−5) 0.005
色像安定剤(Cpd−6) 0.04
色像安定剤(UV−A) 0.05
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
溶媒(Solv−1) 0.05
溶媒(Solv−2) 0.05
溶媒(Solv−5) 0.06
溶媒(Solv−8) 0.06
【0243】
第五層(赤色感光性乳剤層)
乳剤(RH−1とRL−1の4:6混合物(銀モル比)) 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−1) 0.11
シアンカプラー(ExC―2) 0.01
シアンカプラー(ExC−3) 0.04
色像安定剤(Cpd−1) 0.03
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.02
色像安定剤(Cpd−10) 0.001
色像安定剤(Cpd−14) 0.001
色像安定剤(Cpd−15) 0.18
色像安定剤(Cpd−16) 0.002
色像安定剤(Cpd−17) 0.001
色像安定剤(Cpd−18) 0.05
色像安定剤(UV−5) 0.10
溶媒(Solv−5) 0.19
【0244】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.33
紫外線吸収剤(UV−B) 0.22
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.11
【0245】
第七層(保護層)
ゼラチン 0.82
添加剤(Cpd−22) 0.03
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.02
【0246】
【化70】

【0247】
【化71】

【0248】
【化72】

【0249】
【化73】

【0250】
【化74】

【0251】
【化75】

【0252】
【化76】

【0253】
【化77】

【0254】
【化78】

【0255】
以上のようにして作成した試料を試料101とした。試料101に対し、第五層のみを以下のように変更した試料102を作製した。
【0256】
第五層(赤色感光性乳剤層)
乳剤(RH−1とRL−1の4:6混合物(銀モル比)) 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC―2) 0.05
シアンカプラー(ExC−3) 0.18
色像安定剤(Cpd−1) 0.22
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.001
色像安定剤(Cpd−14) 0.001
色像安定剤(Cpd−15) 0.02
色像安定剤(Cpd−16) 0.002
色像安定剤(Cpd−17) 0.001
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
色像安定剤(UV−5) 0.10
溶媒(Solv−8) 0.23
【0257】
次に、試料101に対して、各層の構成を以下のように変更した、試料103を作製した。
【0258】
第一層(青色感光性乳剤層)
乳剤(BH−1とBL−1の5:5混合物(銀モル比)) 0.16
ゼラチン 1.43
イエローカプラー(Ex−Y) 0.34
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.08
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
色像安定剤(Cpd−20) 0.16
色像安定剤(Cpd−21) 0.01
添加剤(ExC−1) 0.001
色像安定剤(UV−A) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.40
溶媒(Solv−6) 0.02
溶媒(Solv−7) 0.20
溶媒(Solv−9) 0.10
【0259】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.78
混色防止剤(Cpd−4) 0.05
混色防止剤(Cpd−12) 0.01
色像安定剤(Cpd−3) 0.01
色像安定剤(Cpd−5) 0.006
色像安定剤(Cpd−6) 0.05
色像安定剤(UV−A) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.006
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−2) 0.06
溶媒(Solv−5) 0.07
溶媒(Solv−8) 0.07
【0260】
第三層(緑色感光性乳剤層)
乳剤(GH−1とGL−1の1:3混合物(銀モル比)) 0.12
ゼラチン 1.59
マゼンタカプラー(ExM) 0.12
紫外線吸収剤(UV−A) 0.03
色像安定剤(Cpd−2) 0.02
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.005
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
色像安定剤(Cpd−20) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.60
溶媒(Solv−3) 0.22
溶媒(Solv−4) 0.04
溶媒(Solv−6) 0.03
溶媒(Solv−9) 0.06
【0261】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.65
混色防止剤(Cpd−4) 0.04
混色防止剤(Cpd−12) 0.01
色像安定剤(Cpd−3) 0.01
色像安定剤(Cpd−5) 0.005
色像安定剤(Cpd−6) 0.04
色像安定剤(UV−A) 0.05
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
溶媒(Solv−1) 0.05
溶媒(Solv−2) 0.05
溶媒(Solv−5) 0.06
溶媒(Solv−8) 0.06
【0262】
第五層(赤色感光性乳剤層)
乳剤(RH−1とRL−1の4:6混合物(銀モル比)) 0.10
ゼラチン 1.52
シアンカプラー(ExC−1) 0.11
シアンカプラー(ExC―2) 0.01
シアンカプラー(ExC−3) 0.04
色像安定剤(Cpd−1) 0.03
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.02
色像安定剤(Cpd−10) 0.001
色像安定剤(Cpd−14) 0.001
色像安定剤(Cpd−15) 0.18
色像安定剤(Cpd−16) 0.002
色像安定剤(Cpd−17) 0.001
色像安定剤(Cpd−18) 0.05
色像安定剤(UV−5) 0.10
溶媒(Solv−1) 0.22
溶媒(Solv−5) 0.07
溶媒(Solv−7) 0.18
【0263】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.33
紫外線吸収剤(UV−B) 0.22
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.11
【0264】
第七層(保護層)
ゼラチン 0.82
添加剤(Cpd−22) 0.03
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.02
【0265】
以上のように作製した試料101〜103をもとに、本発明の一般式(B)で表される化合物を添加した試料104〜123を作製した。各試料に使用した本発明の一般式(B)で表される化合物の種類、添加層、および添加量は後述する試験結果とともに第2表に記す。なお、試料104〜123において、誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒の使用量を、第2表のように変更した。なお、これら試料に使用した本発明の一般式(B)で表される化合物を以下に記す。
【0266】
(AC−1)
日本化薬株式会社製
KAYARAD DCPA−30
(例示化合物B−57を含む製品)
(AC−2)
東亞合成化学株式会社製
アロニックス M−402
(例示化合物B−53を含む製品)
(AC−2)
東亞合成化学株式会社製
アロニックス M−450
(例示化合物B−45を含む製品)
【0267】
上記の試料101を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア350(富士写真フイルム社製)を用いて標準的な写真画像を露光した。その後下記の処理工程にて発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。
【0268】
処理工程 温度 時間 補充量
発色現像 38.5℃ 45秒 45mL
漂白定着 38.0℃ 45秒 A剤17.5mL
B剤17.5mL
リンス1 38.0℃ 20秒 −
リンス2 38.0℃ 20秒 −
リンス3 38.0℃ 20秒 −
リンス4 38.0℃ 20秒 121mL
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1mあたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0269】
各処理液の組成は以下の通りである。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800mL 800mL
蛍光増白剤(FL−1)
2.2g 5.1g
蛍光増白剤(FL−2)
0.35g 1.75g
トリイソプロパノールアミン
8.8g 8.8g
ポリエチレングリコール平均分子量300
10.0g 10.0g
エチレンジアミン4酢酸
4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.20g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸ナトリウム
0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン
8.5g 14.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン・3/2硫酸塩・モノハイドレード
4.8g 14.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000mL 1000mL
pH(25℃、硫酸とKOHで調整)
10.15 12.40
【0270】
[漂白定着液] [タンク液] [補充液A] [補充液B]
水 800mL 500mL 300mL
チオ硫酸アンモニウム(750g/L)
107mL − 386mL
重亜硫酸アンモニウム(65%)
30.0g − 190g
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム
47.0g 133g −
エチレンジアミン4酢酸
1.4g 5g 6g
硝酸(67%) 16.5g 66.0g −
イミダゾール 14.6g 50.0g −
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸
8.3g 33.0g −
水を加えて全量 1000mL 1000mL 1000mL
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整)
6.5 6.0 6.0
【0271】
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム
0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下)
1000mL 1000mL
pH(25℃) 6.5 6.5
【0272】
【化79】

【0273】
試料101〜123について、塗布後25℃相対湿度55%の環境下に10日間保存の後、以下の評価を行った。
(評価1 白地ステインの評価)
試料101〜123について未露光試料を前記ランニング試験後の処理液にて、前記工程に従い処理を行った。処理済み試料をXrite社製Xrite310型濃度測定機にてStatusAで濃度測定を行った。濃度測定後の試料をガラス温室中で南向けに配置し、40日間経時試験を行った。なお、照射時の温室中の平均温度は28℃、平均相対湿度は70%であった。経時試験後の試料を濃度測定し、イエロー濃度とシアン濃度について経時試験前後の差を求めることで、白地濃度の変化量を評価した。
(評価2 発汗現象の評価)
試料101〜123について光学楔を通して赤色光にて階調露光を行い、前記ランニング試験後の処理液にて、前記工程に従い処理を行った。処理済み試料を80℃、相対湿度80%の環境条件下5日間経時試験を行った。経時試験後の試料は10倍ルーペによる目視観察で発汗現象の有無を評価した。
【0274】
上記評価結果は、先述した試料101〜123の構成とともに表2に記した。
【0275】
【表2】

【0276】
表2中、高誘電率オイル合計使用量とは、誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒の使用量を表す。誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒使用量が本発明の範囲のみの試料(試料101、102)は白地部の濃度変化が大きいものの、発汗現象は認められない。逆に使用量が少ない試料(試料103)は白地部濃度変化が比較的小さいものの発汗現象が認められ、共に保存性はよくない。本発明の一般式(B)で表される化合物(AC−1〜3)を単独で用いて(試料104)も白地部濃度変化は若干改良されるものの、発汗現象は改良されない。誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒を本発明の範囲で使用し、かつ本発明の一般式(B)で表される化合物を用いた試料(試料105〜123)はその、何れもが解決されており、保存性に優れることが分かる。また、本発明のシアン色素形成カプラーを用いた場合、白地部のシアン濃度変化が大きくなる傾向である(試料101、103)が、本発明の一般式(B)で表される化合物を併用することで解決される。また、本発明の一般式(B)で表される化合物は感光材料中のどの層に入れても効果を奏することが分かる(試料105〜123)。
【0277】
実施例2
試料101〜123について、下記の処理工程、処理液にて実施例1と同様な実験を行った。その結果、実施例1と同様な結果を得た。また、追加実験として、試料101〜123に対して、下記露光装置によりグレー階調露光を行い、下記の処理工程、処理液にて現像処理を行い、発色濃度を測定したところ試料103、104は十分な発色濃度が得られなかった。
以上から、本発明の効果は迅速処理系においても発現する。
【0278】
(処理工程、処理液の内容)
試料101を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア340(富士写真フイルム社製)を用いて標準的な写真画像を露光した。その後下記の処理工程にて発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。なお、プロセッサーは下記処理時間にするため処理ラック改造により搬送速度変更を実施した。このランニング処理液を用いた処理を行った。
【0279】
処理工程 温度 時間 補充量
発色現像 45.0℃ 16秒 35mL
漂白定着 40.0℃ 16秒 A剤15mL
B剤15mL
リンス1 45.0℃ 5秒 −
リンス2 45.0℃ 3秒 −
リンス3 45.0℃ 3秒 −
リンス4 45.0℃ 5秒 175mL
乾燥 80℃ 15秒
(注)
* 感光材料1mあたりの補充量
【0280】
各処理液の組成は以下の通りである。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800mL 800mL
蛍光増白剤(FL−3) 4.0g 10.0g
残色低減剤(SR−1) 3.0g 3.0g
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 2.0g 4.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 10.0g 10.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.10g
塩化カリウム 10.0g ―
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 7.0g 19.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000mL 1000mL
pH(25℃、硫酸とKOHで調整) 10.25 12.8
【0281】
[漂白定着液] [タンク液] [補充液A] [補充液B]
水 700mL 300mL 300mL
チオ硫酸アンモニウム(750g/L)
107mL − 400mL
亜硫酸アンモニウム 30.0g − −
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム
47.0g 200g −
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 0.5g 10.0g
硝酸(67%) 7.0g 30.0g −
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸
3.0g 13.0g −
重亜硫酸アンモニウム液(65%) − − 200g
コハク酸 7.0g 30.0g −
水を加えて全量 1000mL 1000mL 1000mL
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整)
6.0 2.0 5.6
【0282】
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下)
1000mL 1000mL
pH(25℃) 6.5 6.5
【0283】
(露光装置の構成)
レーザー光源としては、半導体レーザー(発振波長 約940nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約470nmの青色レーザー、半導体レーザー(発振波長 約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザーおよび波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)を用いた。3色のそれぞれのレーザー光はポリゴンミラーにより走査方向に対して垂直方向に移動し、試料上に、順次走査露光できるようにした。半導体レーザーの温度による光量変動は、ペルチェ素子を利用して温度が一定に保たれることで抑えられている。実効的なビーム径は、80μmで、走査ピッチは42.3μm(600dpi)であり、1画素あたりの平均露光時間は、1.7×10−7秒であった。半導体レーザーは温度による光量変化を抑えるために、ペルチェ素子を用いて温度を一定にした。
【0284】
実施例3
実施例1で用いた処理液の組成の内、リンス液のみを下記組成に変更した処理液を用い、実施例1と同様な試験を行った結果、試料103、104の発汗現象の程度が拡大し、他はほぼ同等の結果が得られた。以上から本発明の効果はこの様な、特殊な処理系においても発現する。
【0285】
(処理液の組成)
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
亜硫酸カリウム 2.0g 2.0g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下)
1000mL 1000mL
pH(25℃) 9.0 9.0
【0286】
実施例4
実施例1の試料を硫酸バリウム練り込んだ175μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレート)反射支持体上に塗設した試料を作製し、実施例1に準じた評価を行った結果、ほぼ同様の結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層、および非感光性親水性コロイド層を少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、下記一般式(B)で表され、かつ分子量が200以上である化合物を少なくとも一種含有し、誘電率5.8以上の高沸点有機溶媒を0.6g/m以上含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【化1】

(一般式(B)中、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、脂肪族基またはアリール基を表わし、Rはn1価の脂肪族基またはn1価のアリール基を表わし、Xは2価の有機基を表わす。n1は1以上の整数、n2は0以上の整数を表わす。ここでn2が2以上のとき、複数のXは互いに同一でも異なってもよい。)
【請求項2】
下記一般式(1)で表されるシアン色素形成カプラーの少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【化2】

(一般式(1)中、RおよびRは、各々独立に、ハメットの置換基定数のσ値が、0.20以上の電子吸引性基を表し、RおよびRのσ値の和は、0.65以上である。Rは、置換基を表す。Xは、水素原子、または芳香族第一級アミンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離脱する基を表す。Yは、水素原子もしくは、置換基を表す。)
【請求項3】
分子量200以上であって、前記一般式(B)で表される化合物の少なくとも一種を含有する層に、下記一般式(Ph)で表される化合物の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【化3】

(一般式(Ph)中、Rb1は脂肪族基、アリール基、カルバモイル基、アシルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基を表し、Rb2〜Rb5は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色現像時間10〜20秒の間で処理することを特徴とする画像形成方法。

【公開番号】特開2006−251410(P2006−251410A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68259(P2005−68259)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】