説明

ハロゲン化銀カラー写真感光材料

【課題】 高感度硬調で迅速処理適正に優れ、特に残色ステインの少ないハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供すること。
【解決手段】 支持体上に赤感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層および青感性ハロゲン化銀乳剤層を各々少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つが、塩化銀含有率が90モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子が該ハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成し得る分光増感色素により分光増感されており、さらに該分光増感色素とともに440nmから700nmに実質的に吸収を有さない非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆し、該分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆する面積に対して25%以上の面積比で該非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆しているハロゲン化銀カラー写真感光材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に関し、詳しくは迅速処理に適しかつ高感度、硬調で残色ステインの良好なハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー印画紙を用いたカラープリント分野においてもデジタル化の浸透は目覚しく、例えばレーザー走査露光によるデジタル露光方式は、従来から行われている処理済のカラーネガフィルムからカラープリンターで直接焼付けを行うアナログ露光方式に比べ、飛躍的な普及率の伸びを示している。このようなデジタル露光方式は、画像処理を行うことで高画質が得られる特徴があり、カラー印画紙を用いたカラープリントの品質向上に果たす役割は極めて大きい。また、同時に、デジタルカメラのような電子記録媒体から直接高画質なカラープリントが迅速に得られるため、更に飛躍的な普及が期待される。
【0003】
カラープリント方式としては、インクジェット方式、昇華型方式、カラーゼログラフィー等の技術がそれぞれ進歩し、写真画質を謳うなど、カラープリント方式として認知されつつある。これらの中でカラー印画紙を用いたデジタル露光方式の特徴は、高画質、高生産性、そして画像の高堅牢性にあり、これらの特徴を更に伸ばし、より高品質の写真をより簡単にしかもより安価に提供することが望まれている。特に、店頭でデジタルカメラの記録媒体を受け取り、数分程度の短時間内に高画質プリントを仕上げその場で返却、つまりカラープリントのワンストップサービスができるようになれば、カラー印画紙を用いたカラープリントの優位性は益々高まる。また、カラー印画紙の迅速処理性を高めれば、より小型安価でありながら生産性の高いプリント機器が使用でき、カラープリントのワンストップサービスが益々普及することが期待できる。これらの点から、カラー印画紙の迅速処理性高めることが重要である。このためには、露光時間の短縮、露光してから処理開始するまでのいわゆる潜像時間の短縮、処理から乾燥までの時間の短縮等の様々な観点からの検討が必要であり、従来からもそれぞれの観点で提案されてきた。
【0004】
カラー印画紙に用いられるハロゲン化銀乳剤は、前述のように種々の要求を満たさなければならない。迅速処理性の要請から、塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤が用いられているが、さらに、現像時間を短縮して迅速処理適性をアップするために、使用するハロゲン化銀粒子の小サイズ化が望まれる。しかしながら、小サイズ化すると乳剤中に含まれるハロゲン化銀の総表面積が増加するため、いわゆる分光増感を行う際に用いる増感色素の使用量が増大する。このことは処理後の残色ステインの増加を生じ、特に迅速処理時には大きな問題となる。残色ステインを低減する技術としては増感色素の親水性を高めたり、ハロゲン化銀粒子への吸着力を低減したりすることが試みられた(例えば特許文献1、2参照)。
【0005】
しかしながら、上記技術は感光材料の性能を不安定にする傾向があり改良が望まれた。また、増感色素の使用量が増大した場合には上記技術のみでは残色ステインは十分には改良できなかった。したがって、分光増感色素の使用量を低減できる技術が望まれた。ところが粒子総表面積に対して色素使用量を低下させると、色素吸着量に粒子間分布が生じ、感光材料の階調が軟調化して画像が劣化するという深刻な問題を生じた。ハロゲン化銀写真感光材料に用いられる増感色素の多くが、ハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成するが、会合体を形成した場合に増感色素の不均一吸着が顕著となる。これはいったん会合体が形成されると、そのサイトで会合体が成長するためである。
【0006】
特許文献3および4には、高塩化銀乳剤の亜表面に濃度極大を有するIを含有した乳剤によって、高感度で高照度不軌の少ない乳剤が得られることが開示されている。特許文献5には、粒子形成の93%時点でIバンドを形成した粒子に特定の化合物を含有させることで、相反則不軌、露光時の温度依存性や圧力性に優れた乳剤が得られることが開示されている。また、特許文献6には、粒子表面から減衰するヨード分布を有する高塩化銀粒子により高い感度を得る技術が開示されているが、表面付近のヨードは増感色素の吸着を促進し、前述のような不均一吸着を促進する問題があった。
【0007】
特許文献7にはジアミノスチルベン系化合物を用いて残色ステインを低減する技術が記載されているが、該化合物は現像液中に導入されるもので、増感色素の不均一吸着は改良されない。また、特許文献8、9および10にはメルカプトアゾール化合物あるいはジヒドロキシベンゼン、アミノフェノール、フェニレンジアミン誘導体または2−メルカプトピリミジン誘導体を感光材料中に含有させることで白地性の優れた感光材料を得る技術が開示されているが、これらの化合物は銀塩を形成するため、有効にハロゲン化銀表面を被覆することができない。したがって使用量が低減した場合に会合体を形成する増感色素の均一吸着を促進することは困難で、新規な技術望まれていた。
【0008】
また、特許文献11には分光増感波長とは異なる吸収を示す色素を会合体形成増感色素と併用する例が開示されているが、会合体形成増感色素の使用量低減に伴う性能劣化には言及していない。また、実施例の増感色素使用量はハロゲン化銀粒子表面を50%以上被覆すると考えられる量であり、さらに、可視域に吸収を示さない色素は増感色素の20質量%のみの使用量であって、増感色素の均一吸着ではなく、かぶり抑制を目的に使用されていた。
【特許文献1】特開平9−106027号公報
【特許文献2】特許公報第2791499号公報
【特許文献3】米国特許第5,726,005号明細書
【特許文献4】米国特許第5,736,310号明細書
【特許文献5】欧州特許EP0928988A1号明細書の実施例
【特許文献6】米国特許第6,706,468B2号明細書
【特許文献7】特開平7−5614号公報
【特許文献8】特開平1−292335号公報
【特許文献9】特開平9−152674号公報
【特許文献10】特開2001−188311号公報
【特許文献11】特開昭62−160450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の問題点を克服し、高感度硬調で迅速処理適性に優れ、特に残色ステインの少ないハロゲン化銀カラー写真感光材料、特にカラープリントに適したハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は鋭意検討の結果、前記課題は下記の手段で達成できることを見出した。
(1)支持体上に赤感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層および青感性ハロゲン化銀乳剤層を各々少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つが、塩化銀含有率が90モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子が該ハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成し得る分光増感色素により分光増感されており、さらに該分光増感色素とともに440nmから700nmに実質的に吸収を有さない非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆し、該分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆する面積に対して25%以上の面積比で該非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆していることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(2)前記分光増感色素の前記ハロゲン化銀粒子への平均被覆率が50%以下であることを特徴とする(1)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(3)前記非分光増感色素が下記一般式(1)または(2)で表される化合物であることを特徴とする(1)または(2)項に記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式(1)中、Lはメチン基を表す。R101およびR102は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。V1〜V8は各々独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は各々独立に−O−または−N(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。M101は電荷均衡対イオンを表し、m101は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。
【0013】
【化2】

【0014】
一般式(2)中、R103およびR104は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。V1〜V4は各々独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は−O−または−N(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
(4)前記非分光増感色素を含有する乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子がセレン(Se)化合物またはテルル(Te)化合物と、金化合物とにより、化学増感されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(5)前記非分光増感色素を含有する乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子の平均球相当径が0.1μm〜0.45μmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(6)前記非分光増感色素を含有する乳剤が銀1モルあたり、0.05モルから1.0モルのヨードを含有し、かつ周囲よりも沃化銀の濃度が高い沃化銀含有相を形成していることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(7)処理後可視域に吸収を持たない化合物を含有するハロゲン化銀乳剤層に含まれる銀の量が該乳剤層中の全てのカプラーを発色させるために必要な量の1倍〜1.6倍であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(8)総塗設銀量が0.2g/m2以上0.45g/m2以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(9)総塗設ゼラチン量が3g/m2以上6g/m2以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(10)前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、該感光材料を像様露光してから9秒以内に発色現像を開始し、該発色現像が28秒以内の時間で行なわれることにより画像を形成する迅速処理用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(11)前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、レーザー走査露光で像様露光されるデジタル露光用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(12)前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、反射支持体上にイエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ1層ずつ有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0015】
(13)前記ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が、少なくとも2種類の感度の異なる塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤を有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤の少なくとも一方が、該ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子が該ハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成し得る分光増感色素により分光増感されており、さらに該分光増感色素とともに440nmから700nmに実質的に吸収を有さない非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆し、該非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆する面積が、該分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆する面積の25%以上であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(14)前記イエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤が、球相当径が0.5μm以下のハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする(12)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(15)前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の少なくとも一方が、0.1〜7モル%の臭化銀を含有し、周囲よりも臭化銀の濃度が高い臭化銀含有相を形成していることを特徴とする(13)項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(16)前記ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が、塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤が下記一般式(D1)で表される金属錯体を少なくとも1種含有することを特徴とする(1)〜(15)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(D1)
[MXD1D1(6−n)
一般式(D1)中、MD1はCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、XD1はハロゲンイオンを表し、LD1はXD1とは異なる任意の配位子を表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。ただし、一般式(D1)で表される金属錯体はCNを配位子として有さないか、または有するとしても1個である。
(17)前記一般式(D1)で表される金属錯体が、ハロゲン化銀粒子に銀1モルあたり1×10−10から1×10−6モル含有されていることを特徴とする(16)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0016】
(18)前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の少なくとも一つが、下記一般式(D2)で表される金属錯体を少なくとも1種含有するハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする(1)〜(17)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(D2)
[IrXD2D2(6−n)
一般式(D2)中、XD2はハロゲンイオンを表すかまたはシアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表す。LD2は、XD2とは異なる任意の配位子を表す。nは3、4または5を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
(19)前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、発光波長420nm〜460nmの青色半導体レーザーを用いた走査露光で像様露光されるデジタル露光用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とする(1)〜(18)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、高感度硬調で迅速処理適性に優れ、残色ステインの少ないハロゲン化銀カラー写真感光材料、特にカラープリントに適したハロゲン化銀カラー写真感光材料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のハロゲン化銀乳剤には、所望の光波長域に感光性を示す、いわゆる分光感度を付与する目的で、分光増感色素を含有させる。青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては、例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds (John Wiley & Sons [New York,London] 社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0019】
分光増感色素は会合体を形成すると吸光係数が増大するので、ハロゲン化銀感光材料ではハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成し得る色素を用いる。本発明において、「会合体」とは2個以上の分子が会合して形成される集合体を言うものである。
【0020】
分光増感色素の添加量は乳剤中のハロゲン化銀粒子の総表面積を完全に被覆する量に近いことが均一吸着、あるいは光吸収の観点では好ましい。しかしながら、使用するハロゲン化銀粒子のサイズが減少すると、前記総表面積が増大するため分光増感色素の使用量も増加する。このことは、迅速処理時に感光材料中への分光増感色素残存量増加を引き起こし、ステインの原因となる。したがって、本発明では残色ステイン低減のため、増感色素を含む層中のハロゲン化銀粒子の最大吸着量(飽和被覆量)に対する分光増感色素使用量、すなわち分光増感色素のハロゲン化銀粒子への平均被覆率は50%以下が好ましく、40%以下が特に好ましい。
なお、分光増感色素は、目的とするハロゲン化銀乳剤層の感度を得るには、ハロゲン化銀粒子の最大吸着量の0.1%以上、好ましくは1%以上使用される。一方、単純に分光増感色素の被覆量を低減すると、吸着量の粒子間分布を生じ、写真性の劣化を生じる。そのため、本発明では、440nmから700nmに実質的に吸収を有さない非分光増感色素を添加して、前述の問題を解決した。非分光増感色素は本来乳剤が目的とする分光増感域に吸収を示さないことが必要であるが、分光増感色素の会合体形成に影響を与えて、分光増感波長のピークをシフトさせたり、吸収強度を変化させたりしても良い。非分光増感色素の使用量は、分光増感色素の使用量に依存するが、面積比で分光増感色素がハロゲン化銀粒子を被覆する面積の25%以上で、分光増感色素が被覆していないハロゲン化銀粒子表面を被覆することが必要であり、分光増感色素が被覆する面積の30%以上の面積比で被覆するのが好ましい。また、分光増感色素と非分光増感色素を併せて、ハロゲン化銀粒子の総表面積の50%以上を被覆するのが好ましく、70%以上を被覆するのが特に好ましい。
【0021】
分光増感色素あるいは非分光増感色素によるハロゲン化銀粒子の被覆量は、飽和吸着量を吸着等温線より測定することで求められる(T. Tani, Photographic Sensitivity OXFORD UNVERSITY PRESS (1995)の5.3節参照)。また、分光増感色素がハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成していることは反射吸収スペクトルの測定等で確認するすることができる。
【0022】
本発明で言う非分光増感色素とは溶液(例えば、メタノール、水)状態において、可視域である440nmから700nmに実質的に吸収がなく、かつハロゲン化銀粒子に吸着して被覆する化合物である。なお本発明において、「実質的に吸収を有さない」とは440〜700nmの範囲で、吸光係数が5000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは1000以下であることを意味する。本発明では、特に400nmから700nmに吸収を示さない色素が好ましい。ハロゲン化銀吸着時には会合体形成をして400nm以上に吸収が生じてもよいが、撮影時の露光あるいは製造時や処理時等の取り扱い時にハロゲン化銀乳剤を感光させない色素も好ましい。非分光増感色素は銀塩を形成してエピタキシャル成長したり、ハロゲン化銀粒子をコンバージョンしたりすることはなく、この点で安定化剤として用いられるメルカプト化合物等とは異なる。後者の場合には低被覆率の会合体形成増感色素を均一吸着させることはできない。
【0023】
以下に本発明に用いられる非分光増感色素について述べる。
非分光増感色素として具体的には、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素などのメチン色素が挙げられる。好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、オキソノール色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、オキソノール色素であり、特に好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
【0024】
これらの色素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク,ロンドン,1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」,第18章,第14節,第482から515頁,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク,ロンドン,1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊,第15章,第369から422頁,エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊,ニューヨーク,などに記載されている。
【0025】
本発明において用いられる非分光増感色素は、一般式で示すと、特に好ましくは、下記一般式(1)あるいは(2)で表されるメチン色素である。
【0026】
【化3】

【0027】
一般式(1)中、L はメチン基を表す。R101およびR102は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。V1〜V8は各々独立に水素原子または置換基を表す。該置換基は後述する置換基Wとして説明する。X1およびX2は各々独立に−O−または−N(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。該置換基は後述する置換基Wとして説明する。M101は電荷均衡対イオンを表し、m101は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。
【0028】
【化4】

【0029】
一般式(2)中、R103およびR104は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。V1〜V4は各々独立に水素原子または置換基を表す。該置換基は後述する置換基Wとして説明する。X1およびX2は各々独立に−O−または−N(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。該置換基は後述する置換基Wとして説明する。
【0030】
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、置換の有無にかかわらず、どのような置換基でも良い。
【0031】
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0032】
更に詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、
【0033】
アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)]、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0034】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、
【0035】
アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0036】
アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、
【0037】
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールまたはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、
【0038】
イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスフォ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
【0039】
また、2つのWが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
【0040】
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【0041】
101〜R104は、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、好ましくはアルキル基、アリール基または複素環基である。R101〜R104として表されるアルキル基、アリール基、及び複素環基として、具体的には、例えば、好ましくは炭素原子1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、好ましくは炭素原子1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基{例えば置換基として前述のWが置換したアルキル基が挙げられる。特に、上述した置換基W中の酸基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、これらの塩である基等)を持つアルキル基が好ましい。好ましくはアラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル、2−(4−ビフェニル)エチル、2−スルホベンジル、4−スルホベンジル、4−スルホフェネチル、4−ホスホベンジル、4−カルボキシベンジル)、不飽和炭化水素基(例えばアリル基、ビニル基、すなわち、ここでは置換アルキル基にアルケニル基、アルキニル基も含まれることとする。)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2−フェノキシエチル、2−(4−ビフェニロキシ)エチル、2−(1−ナフトキシ)エチル、2−(4−スルホフェノキシ)エチル、2−(2−ホスホフェノキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボニルメチル、2−ベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3−フェノキシカルボニルプロピル、3−スルホフェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば2−アセチルエチル)、
【0042】
カルバモイルアルキル基(例えば2−モルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル、3−フェニル−3−スルホプロピル、4−フェニル−4−スルホブチル、3−(2−ピリジル)−3−スルホプロピル)、スルホアルケニル基、スルファトアルキル基(例えば、2ースルファトエチル、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、2−(2−ピリジル)エチル、テトラヒドロフルフリル、3−ピリジニオプロピル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル)、アシルカルバモイルアルキル基(例えばアセチルカルバモイルメチル)、アシルスルファモイルアルキル基(例えばアセチルスルファモイルメチル)、アルキルスルフォニルスルファモイルアルキル基(例えばメタンスルフォニルスルファモイルメチル)、アンモニオアルキル基(例えば、3−(トリメチルアンモニオ)プロピル、3−アンモニオプロピル)、アミノアルキル基(例えば、3−アミノプロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、4−(メチルアミノ)ブチル)、グアニジノアルキル基(例えば、4−グアニジノブチル)}、好ましくは炭素数6から20、さらに好ましくは炭素数6から10、特に好ましくは炭素数6から8の、置換または無置換アリール基(置換アリール基としては例えば置換基の例として挙げた前述のWが置換したアリール基が挙げられる。具体的にはフェニル、1−ナフチル、p−メトキシフェニル、p−メチルフェニル、p−クロロフェニル、ビフェニル、4−スルホフェニル、4−スルホナフチルなどが挙げられる。)、好ましくは炭素数1から20、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ましくは炭素数4から8の、置換または無置換複素環基(置換複素環基としては置換基の例として挙げた前述のWが置換した複素環基が挙げられる。具体的には2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、3−ピラゾリル、3−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、2−チアゾリル、2−ピリダジル、2−ピリミジル、3−ピラジル、2−(1,3,5−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5−テトラゾリル、5−メチル−2−チエニル、4−メトキシ−2−ピリジル、4−スルホ−2−ピリジルなどが挙げられる。)が挙げられる。
【0043】
101〜R104で表される置換基として好ましくは無置換アルキル基、置換アルキル基であり、置換アルキル基として好ましくは上述の酸基を持つアルキル基である。酸基として、好ましくはスルホ基、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基であり、特に好ましくは、スルホ基、カルボキシル基であり、最も好ましくはスルホ基である。
【0044】
101は、色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオン又は陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。また、CO2、SO3は、対イオンとして水素イオンを持つときはCO2H、SO3Hと表記することも可能である。
【0045】
101は電荷を均衡させるのに必要な0 以上の数を表し、好ましくは0〜4の数であり、さらに好ましくは0〜1の数であり、分子内で塩を形成する場合には0である。
【0046】
一般式(1)または(2)で表される化合物は、例えばリサーチ・ディスクロージャー、Item 38957、セクションVに記載の方法で容易に合成することができる。
【0047】
以下に一般式(1)または(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
【化5】

【0049】
【化6】

【0050】
本発明ではセレン増感剤を用いるのが好ましい。
本発明においては、ハロゲン化銀乳剤を増感するセレン化合物であればどのような化合物でも構わないが、以下の一般式(SE1)、(SE2)または(SE3)で表される化合物が好ましい。
一般式(SE1)
【0051】
【化7】

【0052】
一般式(SE1)中、MおよびMは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、またはカルバモイル基を表す。Qはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、OMまたはNMを表す。ここで、M〜Mは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。また、M、MおよびQはそれぞれ互いに結合して環構造を形成してもよい。
一般式(SE2)
【0053】
【化8】

【0054】
一般式(SE2)中、X、XおよびXは各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、OJまたはNJを表す。ここで、J〜Jは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
一般式(SE3)
【0055】
【化9】

【0056】
一般式(SE3)において、EおよびEは各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。EおよびEはそれぞれ同じであっても異なっても良い。
【0057】
次に一般式(SE1)で表されるセレン化合物について詳細に説明する。
【0058】
一般式(SE1)中、M〜MおよびQで表されるアルキル基とは直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換アルキル基を表す。好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、1,5−ジメチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、カルボキスメチル、カルボキシエチル、ソディウムスルホエチル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、ブトキシプロピル、エトキシエトキシエチル、n−ヘキシルオキシプロピル等)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、シクロドデシル等)を表す。また、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、(つまり炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基であり、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。M〜MおよびQで表されるアルケニル基とは、炭素数2〜16のアルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)を表し、M〜MおよびQで表されるアルキニル基とは、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル、3−ペンチニル等)を表す。
【0059】
〜MおよびQで表されるアリール基としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基(例えば無置換フェニル、無置換ナフチル、3,5−ジメチルフェニル、4−ブトキシフェニル、4−ジメチルアミノフェニル基)等が挙げられ、ヘテロ環基としては炭素数0〜20の、少なくとも一つのヘテロ原子(好ましくは窒素原子、酸素原子、イオウ原子)を環構成原子として含む3〜12員環のヘテロ環基が好ましく、例えばピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジル、モルホリル等が挙げられる。
【0060】
一般式(SE1)中、MおよびMで表されるアシル基としては、炭素数1〜30のアシル基が好ましく、例えばアセチル、ホルミル、ベンゾイル、ピバロイル、カプロイル、n−ノナノイル等が挙げられ、アミノ基としては、炭素数0〜30のアミノ基が好ましく、例えば無置換アミノ、メチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、n−オクチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、n−ブチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、n−デシルオキシ等が挙げられる。カルバモイル基としては、炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、例えば無置換カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等が挙げられる。
【0061】
一般式(SE1)において、MとM、QとM、またはQとMは互いに結合して環構造を形成しても良く、更にQがNMを表す場合、MとMは互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0062】
一般式(SE1)中、M〜MおよびQは、可能な限り置換基を有してもよく、その置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素、クロル、臭素、または沃素)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0063】
なお、ここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここで電子求引性基とは、アシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環構造をとってもよい。また塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。これらの置換基は、これらの置換基でさらに置換されてもよい。
【0064】
一般式(SE1)で表される好ましい化合物としては、MおよびMが各々独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、ヘテロ環基、またはアシル基であり、Qが、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、またはNMであり、MおよびM各々独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基を表す場合である。
【0065】
一般式(SE1)で表されるより好ましい化合物としては、MおよびMが各々独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基であり、Qが炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、またはNMであり、MおよびM各々独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基である場合である。
【0066】
一般式(SE1)で表される更に好ましい化合物としては、QがNMであり、MおよびM各々独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基である場合である。
一般式(SE1)で表される化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化10】

【0068】
本発明の一般式(SE1)で表される化合物は、公知の方法、例えばケミカル・レビューズ(Chem. Rev.),55,181−228(1955)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.),24,470−473(1959)、ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(J. Heterocycl. Chem.),4,605−609(1967)、「薬誌」82,36−45(1962)、特公昭39−26203号公報、特開昭63−229449号公報、OLS−2,043,944号明細書に記載の方法またはこれに準じた方法で容易に合成できる。
次に一般式(SE2)で表されるセレン化合物について詳細に説明する。
【0069】
一般式(SE2)中、X〜XおよびJ〜Jで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロ環基は、それぞれ一般式(SE1)においてM〜MおよびQが表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。またX〜XおよびJ〜Jは可能な限り置換基を有してもよく、その置換基の例は一般式(SE1)においてM〜MおよびQが有していても良い置換基と同義である。
【0070】
一般式(SE2)で表される化合物として好ましくはX〜Xが各々独立に、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基を表す場合であり、より好ましくはX〜Xが各々独立に、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基を表す場合である。
以下に、一般式(SE2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
【化11】

【0072】
本発明の一般式(SE2)で表される化合物は、公知の方法、例えば、オルガニック・フォスフォラス・コンパウンズ(Organic Phosphorus Compounds、4巻、1〜73)、ジャーナル・ケミカル・ソサイエティーB(J. Chem. Soc.(B)、1416頁、1968年)、ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.,32巻、1717頁、1967年)、ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.,32巻、2999頁、1967年)、テトラヘドロン(Tetrahedron、20、449頁、1964年)、ジャーナル・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J. Am. Chem. Soc.,91巻、2915頁、1969年)等に記載の方法またはこれに準じた方法で容易に合成できる。
【0073】
次に一般式(SE3)で表されるセレン化合物について詳細に説明する。
【0074】
一般式(SE3)においてEおよびEで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロ環基は、それぞれ一般式(SE1)においてM〜MおよびQが表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。EおよびEで表されるアシル基としては、炭素数1〜30のアシル基が好ましく、例えばアセチル、ホルミル、ベンゾイル、ピバロイル、カプロイル、n−ノナノイル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル等が挙げられ、アリールオキシカルボニル基としては、炭素数6〜30のアリールオキシカルボニル基が好ましく、例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基などが挙げられ、カルバモイル基としては、炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、例えば無置換カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルなどが挙げられる。また、EおよびEは可能な限り置換基を有してもよく、その置換基の例は一般式(SE1)においてM〜MおよびQが有していても良い置換基と同義であり好ましい範囲も同じである。
【0075】
本発明において、式(SE3)で表わされる好ましい化合物は、EおよびEが下記一般式(T1)〜(T2)で表わされる基より選ばれる。この場合、EおよびEは同じであっても異なっても良い。
【0076】
【化12】

【0077】
一般式(T1)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ORまたはNRを表わし、R〜Rは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表わす。一般式(T2)において、Lは2価の連結基を表わし、EWGは電子求引性基を表わす。一般式(T3)において、Aは酸素原子、硫黄原子またはNRを表わし、R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表わす。一般式(T4)において、Aは酸素原子、硫黄原子またはNR11を表わす。Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基またはアシル基を表し、R〜R11は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表わす。Zは置換基を表わし、nは0から4の整数を表わす。nが2以上である場合、複数のZは同じであっても異なっても良い。
【0078】
一般式(T1)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ORまたはNRを表わし、R〜Rは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表わすが、ここで言うアルキル基とは一般式(SE1)におけるM〜MおよびQが表すアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。同様に、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基についてもそれぞれM〜MおよびQが表すアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0079】
一般式(T1)において、本発明では、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基である場合が好ましく、アルキル基またはアリール基である場合がより好ましい。
【0080】
一般式(T2)において、Lで表される2価の連結基は、炭素数2〜20のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基を表わし、好ましくは炭素数2〜10の直鎖、分岐または環状のアルキレン基(例えばエチレン、プロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン)、アルケニレン基(例えばビニレン)、アルキニレン基(例えばプロピニレン)を表わす。好ましいLとしては一般式(L1)、一般式(L2)に示すものが挙げられる。
一般式(L1)
【0081】
【化13】

【0082】
一般式(L2)
【0083】
【化14】

【0084】
一般式(L1)、一般式(L2)において、G、G、G、Gは各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜10のヘテロ環基を表し、G、G、Gはこれらが互いに連結して環を形成しても良い。G、G、G、Gとして好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基であり、水素原子またはアルキル基がより好ましい。
【0085】
一般式(T2)において、EWGは電子求引性基を表わす。ここでいう電子求引性基とは、ハメットの置換定数σ値が正の値である置換基であり、好ましくはσ値が0.2以上であり、上限としては1.0以下の置換基を表す。σ値が0.2以上の電子求引性基の具体例としてはアシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σ値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。本発明において、EWGは好ましくはアシル基、ホルミル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基、σ値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、またはハロゲン原子であり、より好ましくはアシル基、ホルミル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、更に好ましくはアシル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基である。
【0086】
一般式(T3)においてR〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表すが、ここで言うアルキル基とは一般式(SE1)においてM〜MおよびQが表すアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。同様に、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基についても、それぞれM〜MおよびQが表すアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0087】
本発明において、Rはアルキル基が好ましい。RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましく、一方が水素原子で他方が水素原子またはアルキル基である場合が最も好ましい。Rは水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましく、アルキル基が最も好ましい。
【0088】
一般式(T3)において、Aは酸素原子、硫黄原子またはNRを表すが、本発明においては酸素原子または硫黄原子である場合が好ましく、酸素原子である場合が最も好ましい。
【0089】
次に式(T4)における基について説明する。
【0090】
一般式(T4)において、R〜R11で表されるアルキル基とは一般式(SE1)におけるM〜MおよびQが表すアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。同様に、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基についても、それぞれ一般式(SE1)におけるM〜MおよびQが表すアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。Rで表されるアシル基はアセチル基、ホルミル基、ベンゾイル基、ピパロイル基、カプロイル基、n−ノナノイル基などが挙げられる。
【0091】
一般式(T4)においてZは置換基を表すがその例としては先に一般式(SE1)においてM〜MおよびQが有しても良い置換基と同じものが挙げられる。
【0092】
本発明において、Zとして好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基(及びその塩を含む)、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基(及びその塩を含む)、スルファモイル基などであり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシ基(及びその塩を含む)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、チオウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基(及びその塩を含む)などであり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、カルボキシ基(及びその塩を含む)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホ基(及びその塩を含む)などである。
【0093】
一般式(T4)において、nは0から4の整数を表す。本発明においてnは0から2を表す場合が好ましく、0または1である場合がより好ましい。
【0094】
一般式(T4)において、Aは酸素原子、硫黄原子またはNR11を表すが、本発明においては酸素原子または硫黄原子を表す場合がより好ましい。
【0095】
本発明において一般式(SE3)で表される化合物のうち、好ましい化合物はEが一般式(T1)でEが一般式(T1)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T2)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T4)、Eが一般式(T2)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T2)でEが一般式(T4)、Eが一般式(T3)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T3)でEが一般式(T4)、Eが一般式(T4)でEが一般式(T4)の場合であり、より好ましくはEが一般式(T1)でEが一般式(T1)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T2)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T4)、Eが一般式(T2)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T3)でEが一般式(T4)、Eが一般式(T4)でEが一般式(T4)の場合であり、更に好ましくは、Eが一般式(T1)でEが一般式(T2)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T4)、Eが一般式(T2)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T3)でEが一般式(T4)の場合であり、最も好ましくはEが一般式(T1)でEが一般式(T2)、Eが一般式(T1)でEが一般式(T3)、Eが一般式(T2)でEが一般式(T3)の場合である。
【0096】
以下に、一般式(SE3)で表されるセレン化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はこれに限定されるものではない。また、立体異性体が複数存在しうる化合物については、その立体構造を限定するものではない。
【0097】
【化15】

【0098】
【化16】

【0099】
一般式(SE3)で表される化合物は既に知られている次の文献、S. Patai, Z. Rappoport編、ザ ケミストリー オブ オルガニック セレニウム アンド テルリウム コンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellurium Compounds)、第1巻(1986年)、同、第2巻(1987年)、D. Liotta著、オルガノセレニウム ケミストリー(Organo-selenium Chemistry),(1987年)等に記載の方法またはこれに準じた方法で容易に合成できる。
【0100】
また、本発明においては、上記以外のセレン化合物として、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−271341号、同5−40324号、同5−11385号、同6−51415号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−92599号、同7−98483号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号、同8−114882号、同9−138475号、同9−197603号、同10−10666号などの各公報に記載されているセレン化合物、具体的には、コロイド状金属セレン、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類などを用いることができる。またさらに、特公昭46−4553号公報、同52−34492号公報などに記載の非不安定セレノ化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸類(例えば、セレノシアン酸カリウム)、セレナゾール類、セレニド類なども用いることができる。この中では特にセレノシアン酸類が好ましい。
【0101】
以上、セレン化合物として、好ましく使用できる構造を示してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明で用いるセレン化合物は、X線電子分光装置で測定したセレン原子の3d起動電子の束縛エネルギー値が54.0eV以上65.0eV以下であることが、硬調化や低カブリの点で好ましい。
【0102】
用いるセレン増感剤の使用量は、使用するセレン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等により変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-4モル、好ましくは10-7〜10-5モル程度を用いる。また、本発明における化学増感の条件としては、特に制限はないが、pClとしては0〜7が好ましく、0〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。温度としては40〜95℃が好ましく、50〜85℃がより好ましい。
【0103】
本発明で用いるセレン化合物は、粒子形成直後から、化学増感終了直前までのどの段階にも添加することができる。好ましい添加時期は、脱塩後から化学増感工程の間である。
【0104】
本発明においては、硫黄増感およびテルル増感および他の金増感や貴金属増感とも併用できる。非分光増感色素を含有する乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子がセレン(Se)化合物またはテルル(Te)化合物と、金化合物とにより、化学増感されていることが好ましい。金化合物としては、コロイド状硫化金あるいは金の錯安定度定数logβ2が21以上かつ35以下の金増感剤を好ましく併用することができる。これら以外に、通常用いられる金化合物(例えば、塩化金酸塩、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシッド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールド等)も併用することができる。
また、テルル増感剤となるテルル化合物としては、例えば、特開平5−11381号公報、英国特許第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,958号に記載の化合物を用いることができる。
【0105】
還元増感剤を併用することも可能であり、具体的には、塩化第1スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物、等が挙げられる。
【0106】
また、本発明においては、ハロゲン化銀溶剤の存在下で、セレン化合物による化学増感を行うのが好ましい。具体的には、チオシアン酸塩(例えば、チオシアン酸カリウム、等)、チオエーテル化合物(例えば、米国特許第3,021,215号、同第3,271,157号、特公昭58−30571号、特開昭60−136736号等の公報または明細書に記載の化合物、特に、3,6−ジチア−1,8オクタンジオール等)、四置換チオ尿素化合物(例えば、特公昭59−11892号公報、米国特許第4,221,863号明細書等に記載の化合物、特に、テトラメチルチオ尿素等)、更に、特公昭60−11341号公報に記載のチオン化合物、特公昭63−29727号公報に記載のメルカプト化合物、特開昭60−163042号公報に記載のメソイオン化合物、米国特許第4,782,013号明細書に記載のセレノエーテル化合物、特開平2−118566号公報に記載のテルロエーテル化合物、亜硫酸塩等が挙げられる。特に、これらの中で、チオシアン酸塩、チオエーテル化合物、四置換チオ尿素化合物とチオン化合物は好ましく用いることができる。使用量としては、ハロゲン化銀1モル当り10-5〜10-2モル程度用いることができる。
【0107】
本発明ではハロゲン化銀粒子中に金属錯体をドープして階調あるいは高照度感度を改良することが一般的に行われる。感光材料の階調を硬調にするためには、下記一般式(D1)で表される錯体(硬調化錯体)を用いるのが好ましい。
一般式(D1)
[MXD1D1(6−n)
一般式(D1)中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、XD1はハロゲンイオンを表し、LD1はXD1とは異なる任意の配位子を表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
D1はフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンであり、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンであることが特に好ましい。LD1は無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷であってもよいが、無電荷の無機化合物であることが好ましい。LD1として好ましくはHO、NOまたはNSである。
ここで、3〜6個のXD1は互いに同一でも異なってもよく、またLD1が複数存在する場合、複数のLD1は互いに同一でも異なってもよい。ただし、LD1は2個以上のCNを含まない。
【0108】
一般式(D1)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(D1A)で表される金属錯体が好ましい。
一般式(D1A)
[MD1AD1AD1A(6−n)
一般式(D1A)中、MD1AはRe、Ru、OsまたはRhを表し、XD1Aはハロゲンイオンを表す。LD1AはMD1AがRe、RuまたはOsの場合、NOまたはNSを表し、MIIAがRhの場合、HO、OHまたはOを表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
ここで、XD1Aは一般式(D1)のXD1と同義であり、好ましい範囲も同じである。なお、3〜6個のXD1Aは互いに同一でも異なってもよく、またLD1Aが複数存在する場合、複数のLD1Aは互いに同一でも異なってもよい。
【0109】
以下に一般式(D1)で表される金属錯体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ReCl6]2-
[ReCl5 (NO) ]2-
[RuCl6]2-
[RuCl6]3-
[RuCl5 (NO) ]2-
[RuCl5 (NS) ]2-
[RuBr5 (NS) ]2-
[OsCl6]4-
[OsCl5 (NO) ]2-
[OsBr5 (NS) ]2-
[RhCl6]3-
[RhCl5(H2O)]2-
[RhCl4(H2O)2]-
[RhBr6]3-
[RhBr5(H2O)]2-
[RhBr4(H2O)2]-
[PdCl6]2-
[PtCl6]2-
これらの中でも、特に[OsCl5 (NO) ]2-あるいは[RhBr6]3-が好ましい。
【0110】
また、感光材料の高照度感度を改良するためには、下記一般式(D2)で表される金属錯体(高照度感度改良錯体)を用いるのが好ましい。
一般式(D2)
[IrXD2D2(6−n)
一般式(D2)中、XD2はハロゲンイオン、またはシアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表し、LD2はXD2とは異なる任意の配位子を表す。nは3、4または5を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
ここで、3〜5個のXD2は互いに同一でも異なってもよく、またLD2が複数存在する場合、複数のLは互いに同一でも異なってもよい。
上記において、擬ハロゲン(ハロゲノイド)イオンとは、ハロゲンイオンに似た性質を有するイオンのことであり、例えば、シアン化物イオン(CN)、チオシアン酸イオン(SCN)、セレノシアン酸イオン(SeCN)、テルロシアン酸イオン(TeCN)、アジドジチオ炭酸イオン(SCSN)、シアン酸イオン(OCN)、雷酸イオン(ONC)、アジ化物イオン(N)等が挙げられる。
D2として好ましくはフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、イソシアン酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、または、アジ化物イオンであり、中でも塩化物イオン、および臭化物イオンであることが特に好ましい。LD2には特に制限はなく、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷であってもよいが、無電荷の無機化合物または有機化合物であることが好ましい。
【0111】
一般式(D2)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(D2A)で表される金属錯体が好ましい。
一般式(D2A)
[IrXD2AD2A(6−n)
一般式(D2A)中、XD2Aはハロゲンイオン、またはシアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表し、LD2AはXD2Aとは異なる任意の無機配位子を表す。nは3、4または5を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
ここで、XD2Aは一般式(D2)のXD2と同義であり、好ましい範囲も同じである。LD2Aとして好ましくは水、OCN、アンモニア、ホスフィンまたはカルボニルであり、特に水であることが好ましい。
なお、3〜5個のXD2Aは互いに同一でも異なってもよく、またLD2Aが複数存在する場合、複数のLD2Aは互いに同一でも異なってもよい。
【0112】
一般式(D2)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(D2B)で表される金属錯体が更に好ましい。
一般式(D2B)
[IrXD2BD2B(6−n)
一般式(D2B)中、XD2Bはハロゲンイオン、またはシアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表し、LD2Bは鎖式または環式の炭化水素を母体構造とするか、またはその母体構造の一部の炭素または水素原子が他の原子または原子団に置き換えられた配位子を表す。nは3、4または5を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
ここで、XD2Bは一般式(D2)におけるXD2と同義であり、好ましい範囲も同じである。LD2Bは鎖式または環式の炭化水素を母体構造とするか、またはその母体構造の一部の炭素または水素原子が他の原子または原子団に置き換えられた配位子を表すが、シアン化物イオンは含めない。LD2Bは複素環化合物が好ましい。より好ましくは5員環化合物を配位子とする金属錯体であり、5員環化合物の中でも少なくとも1の窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を5員環骨格の中に含有する化合物であることがさらに好ましい。
なお、3〜5個のXD2Bは互いに同一でも異なってもよく、またLD2Bが複数存在する場合、複数のLD2Bは互いに同一でも異なってもよい。
【0113】
一般式(D2B)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(D2C)で表される金属錯体が更に好ましい。
一般式(D2C)
[IrXD2CD2C(6−n)
一般式(D2C)中、XD2Cはハロゲンイオン、またはシアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表し、LD2Cは5員環配位子であって、環骨格中に少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有する配位子を表す。該5員環配位子は環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持ってよい。nは3、4または5を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
ここで、XD2Cは一般式(I)のXD2と同義であり、好ましい範囲も同じである。LD2C中の環骨格中の炭素原子上の置換基としては、n−プロピル基より小さな体積を持つ置換基であることが好ましい。置換基としてメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、チオホルミル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ヒドラジノ基、アジド基、ニトロ基、ニトロソ基、ヒドロキシアミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が好ましい。
なお、3〜5個のXD2Cは互いに同一でも異なってもよく、またLD2Cが複数存在する場合、複数のLD2Cは互いに同一でも異なってもよい。
【0114】
一般式(D2C)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(D2D)で表される金属錯体が更に好ましい。
一般式(D2D)
[IrXD2DD2D(6−n)
一般式(D2D)中、XD2Dはハロゲンイオン、またはシアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表し、LD2Dは5員環配位子で、環骨格中に少なくとも2つの窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有する配位子を表す。該5員感配位子は環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持ってよい。nは3、4または5を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
ここで、XD2Dは一般式(D2)におけるXD2と同義であり、好ましい範囲も同じである。LD2Dとして好ましくはチアジアゾールを骨格とする化合物であり、化合物中の炭素原子には水素以外の置換基が結合することが好ましい。置換基として好ましくはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、メトキシカルボキシル基、アシル基、アセチル基、クロロホルミル基、メルカプト基、メチルチオ基、チオホルミル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、メチルアミノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基、ヒドロキシアミノ基、ヒドロキシイミノ基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基またはアジド基であり、より好ましくは、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、クロロホルミル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基、ヒドロキシイミノ基、ニトロソ基、ニトロ基、または、アジド基である。中でも塩素、臭素、クロロホルミル基、イソシアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基が特に好ましい。nとして好ましくは4または5、mとして好ましくは2−または1−である。
ここで、3〜5個のXD2Dは互いに同一でも異なってもよく、またLD2Dが複数存在する場合、複数のLD2Dは互いに同一でも異なってもよい。
【0115】
以下に一般式(D2)で表される金属錯体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[IrCl5(H2O)]2-
[IrCl4(H2O)2]-
[IrCl5(H2O)] -
[IrCl4(H2O)2]0
[IrCl5(OH)]3-
[IrCl4(OH)2]2-
[IrCl5(OH)] 2-
[IrCl4(OH)2]2-
[IrCl5(O)]4-
[IrCl4(O)2]5-
[IrCl5(O)]3-
[IrCl4(O)2]4-
[IrBr5(H2O)]2-
[IrBr4(H2O)2]-
[IrBr5(H2O)] -
[IrBr4(H2O)2]0
[IrBr5(OH)]3-
[IrBr4(OH)2]2-
[IrBr5(OH)] 2-
[IrBr4(OH)2]2-
[IrBr5(O)]4-
[IrBr4(O)2]5-
[IrBr5(O)]3-
[IrBr4(O)2]4-
[IrCl5(OCN)]3-
[IrBr5(OCN)]3-
[IrCl5(thiazole)]2-
[IrCl4(thiazole)2]-
[IrCl3(thiazole)3]0
[IrBr5(thiazole)]2-
[IrBr4(thiazole)2]-
[IrBr3(thiazole)3]0
[IrCl5(5-methylthiazole)]2-
[IrCl4(5-methylthiazole)2]-
[IrBr5(5-methylthiazole)]2-
[IrBr4(5-methylthiazole)2]-
これらの中でも特に、[IrCl5(5-methylthiazole)]2-が好ましい。
【0116】
以上に挙げた金属錯体は陰イオンであり、陽イオンと塩を形成した時にはその対陽イオンとして水に溶解しやすいものが好ましい。具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。これらの金属錯体は、水のほかに水と混合し得る適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に溶かして使うことができる。一般式(D1)で表される金属錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10-11モル〜1×10-6モル添加することが好ましく、1×10-10モル〜1×10-7モル添加することが最も好ましい。一般式(D2)で表される金属錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10-10モル〜1×10-3モル添加することが好ましく、1×10-8モル〜1×10-5モル添加することが最も好ましい。
【0117】
本発明において上記の金属錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むのが好ましい。また、あらかじめ金属錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成してハロゲン化銀粒子に組み込むことも好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることもできる。
【0118】
これらの金属錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも行われるが、特開平4−208936号、特開平2−125245号、特開平3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号の各明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることもでき、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。
【0119】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、特定のハロゲン化銀粒子を含む。粒子形状は特に制限はないが、実質的に{100}面を持つ立方体、14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)、8面体の結晶粒子、主表面が{100}面または{111}面からなるアスペクト比3以上の平板状粒子からなることが好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。
【0120】
塩化銀含有率は90モル%以上である必要があり、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率は93モル%以上が好ましく、95モル%以上が更に好ましい。臭化銀含有率は硬調で潜像安定性に優れることから0.1〜7モル%であることが好ましく、0.5〜5モル%であることが更に好ましい。沃化銀含有率は高照度露光で高感度かつ硬調であることから0.02〜1モル%であることが好ましく、0.05〜0.50モル%が更に好ましく、0.07〜0.40モル%が最も好ましい。本発明の特定のハロゲン化銀粒子は、沃臭塩化銀粒子が好ましく、上記のハロゲン組成の沃臭塩化銀粒子が更に好ましい。
【0121】
本発明のハロゲン化銀乳剤における特定のハロゲン化銀粒子は、臭化銀含有相および/または沃化銀含有相を有することが好ましい。ここで、臭化銀あるいは沃化銀含有相とは周囲よりも臭化銀あるいは沃化銀の濃度が高い部位を意味する。臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相とその周囲とのハロゲン組成は連続的に変化してもよく、また急峻に変化してもよい。このような臭化銀あるいは沃化銀含有相は、粒子内のある部分で濃度がほぼ一定の幅をもった層を形成してもよく、広がりをもたない極大点であってもよい。臭化銀含有相の局所的臭化銀含有率は、5モル%以上であることが好ましく、10〜80モル%であることが更に好ましく、15〜50モル%であることが最も好ましい。沃化銀含有相の局所的沃化銀含有率は、0.3モル%以上であることが好ましく、0.5〜8モル%であることが更に好ましく、1〜5モル%であることが最も好ましい。また、このような臭化銀あるいは沃化銀含有相は、それぞれ粒子内に層状に複数個あってもよく、それぞれの臭化銀あるいは沃化銀含有率が異なってよいが、それぞれ最低1個の含有相を有する必要がある。
【0122】
本発明のハロゲン化銀乳剤の臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相は、それぞれ粒子を取り囲むように層状にあることが好ましい。粒子を取り囲むように層状に形成された臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相は、それぞれの相の中で粒子の周回方向に均一な濃度分布を有することがひとつの好ましい態様である。しかし、粒子を取り囲むように層状にある臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相の中は、臭化銀あるいは沃化銀濃度の極大点または極小点が粒子の周回方向に存在し、濃度分布を有していてもよい。例えば、粒子表面近傍に粒子を取り囲むように層状に臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相を有する場合、粒子コーナーまたはエッジの臭化銀あるいは沃化銀濃度は、主表面と異なる濃度になる場合がある。また、粒子を取り囲むように層状にある臭化銀含有相と沃化銀含有相とは別に、粒子の表面の特定部に完全に孤立して存在し、粒子を取り囲んでいない臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相があってもよい。
【0123】
本発明のハロゲン化銀乳剤が臭化銀含有相を含有する場合、その臭化銀含有相は粒子の内部に臭化銀濃度極大を有するように層状に形成されていることが好ましい。また、本発明のハロゲン化銀乳剤が沃化銀含有相を含有する場合、その沃化銀含有相は粒子の表面に沃化銀濃度極大を有するように層状に形成されていることが好ましい。このような臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相は、より少ない臭化銀あるいは沃化銀含有量で局所濃度を上げる意味から、粒子体積の3%以上30%以下の銀量で構成されていることが好ましく、3%以上15%以下の銀量で構成されていることが更に好ましい。
【0124】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、臭化銀含有相および沃化銀含有相を両方含むことが好ましい。その場合、臭化銀含有相と沃化銀含有相は粒子の同一個所にあっても、異なる場所にあってもよいが、異なる場所にあるほうが粒子形成の制御を容易にする点で好ましい。また、臭化銀含有相に沃化銀を含有していてもよく、逆に沃化銀含有相に臭化銀を含有していてもよい。一般に、高塩化銀粒子形成中に添加する沃化物は臭化物よりも粒子表面にしみだしやすいために沃化銀含有相は粒子表面の近傍に形成されやすい。従って、臭化銀含有相と沃化銀含有相が粒子内の異なる場所にある場合、臭化銀含有相は沃化銀含有相より内側に形成することが好ましい。このような場合、粒子表面近傍の沃化銀含有相よりも更に外側に、別の臭化銀含有相を設けてもよい。
【0125】
高感度化や硬調化などの本発明の効果を発現させるために必要な臭化銀含有量あるいは沃化銀含有量は、臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相を粒子内部に形成するほど増加してしまい、必要以上に塩化銀含有量を落として迅速処理性を損なってしまう恐れがある。従って、写真作用を制御するこれらの機能を粒子内の表面近くに集約するために、臭化銀含有相と沃化銀含有相は隣接していることが好ましい。これらの点から、臭化銀含有相は内側から測って粒子体積の50%から100%の位置のいずれかに形成し、沃化銀含有相は粒子体積の85%から100%の位置のいずれかに形成することが好ましい。また、臭化銀含有相は粒子体積の70%から95%の位置のいずれかに形成し、沃化銀含有相は粒子体積の90%から100%の位置のいずれかに形成することが更に好ましい。
【0126】
本発明のハロゲン化銀乳剤に臭化銀あるいは沃化銀を含有させるための臭化物あるいは沃化物イオンの導入は、臭化物塩あるいは沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて臭化物塩あるいは沃化物塩溶液を添加してもよい。後者の場合は、臭化物塩あるいは沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、または臭化物塩あるいは沃化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加してもよい。臭化物塩あるいは沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類臭化物塩あるいは沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から臭化物イオンあるいは沃化物イオンを開裂させることで導入することもできる。また別の臭化物あるいは沃化物イオン源として、微小臭化銀粒子あるいは微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0127】
臭化物塩あるいは沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行ってもよく、またある一定期間かけて行ってもよい。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは85%より外側から行うのがよい。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのがよい。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
一方、臭化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から行うのがよい。
【0128】
粒子内の深さ方向への臭化物あるいは沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight − Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMSを用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明の乳剤は、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましく、臭化物イオンは粒子内部で濃度極大を有することが好ましい。臭化銀の局所濃度は、臭化銀含有量がある程度高ければX線回折法でも測定することができる。
【0129】
本明細書において球相当径は、個々の粒子の体積と等しい体積を有する球の直径で表される。本発明の乳剤は粒子サイズ分布が単分散な粒子からなることが好ましい。本発明の全粒子の球相当径の変動系数は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。球相当径の変動係数とは、個々の粒子の球相当径の標準偏差の、球相当径の平均に対する百分率で表される。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0130】
本発明は、イエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも一層ずつ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料に適用される。この場合、イエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤の球相当径は、0.6μm以下(好ましくは0.1μm以上0.6μm以下)であることが好ましく、0.5μm以下(好ましくは0.1μm以上0.5μm以下)であることがより好ましく、0.45μm以下(好ましくは0.15μm以上0.45μm以下)であることが更に好ましく、0.4μm以下(好ましくは0.1μm以上0.4μm以下)であることが最も好ましい。マゼンタ色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層およびシアン色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤の球相当径は、0.5μm以下(好ましくは0.1μm以上0.5μm以下)であることが好ましく、0.45μm以下(好ましくは0.1μm以上0.45μm以下)であることがより好ましく、0.4μm以下(好ましくは0.1μm以上0.4μm以下)であることが更に好ましく、0.3μm以下(好ましくは0.1μm以上0.3μm以下)であることが最も好ましい。本明細書において球相当径は、個々の粒子の体積と等しい体積を有する球の直径で表される。球相当径0.6μmの粒子は辺長約0.48μmの立方体粒子に相当し、球相当径0.5μmの粒子は辺長約0.40μmの立方体粒子に相当し、球相当径0.4μmの粒子は辺長約0.32μmの立方体粒子に相当し、球相当径0.3μmの粒子は辺長約0.24μmの立方体粒子に相当する。本発明のハロゲン化銀乳剤には、本発明で定義されるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子(即ち、特定のハロゲン化銀粒子)以外のハロゲン化銀粒子を含んでよい。しかしながら、本発明で定義されるハロゲン化銀乳剤は、全粒子の全投影面積の50%以上が本発明で定義されるハロゲン化銀粒子であることが必要で、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0131】
本発明のハロゲン化銀乳剤における特定のハロゲン化銀粒子は、一般式(D2)で表されるイリジウム錯体以外にも、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるイリジウム錯体を更に含有することができる。この場合、6配位錯体中にCl、BrまたはIが混在していてもよい。Cl、BrまたはIをリガンドとして有するイリジウム錯体は、臭化銀含有相に含まれることが、高照度露光で硬調な階調を得るために特に好ましい。
【0132】
以下に、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるイリジウム錯体の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
[IrCl62-
[IrCl63-
[IrBr62-
[IrBr63-
[IrI63-
【0133】
本発明においては、以上に述べた金属錯体以外にも他の金属イオンをハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面にドープするがことができる。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。また、配位子として有機化合物を用いることも出来、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、特に好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
【0134】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせである。本発明においては、以上に述べた金属錯体とこれらの化合物を併用することが好ましい。これらの化合物においてシアン化物イオンは、中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、または、4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10-8モル〜1×10-2モル添加することが好ましく、1×10-6モル〜5×10-4モル添加することが最も好ましい。
【0135】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、当業界に知られる金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、乳剤を高感度化でき、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を小さくすることができるからである。金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることができる。
【0136】
有機配位子(有機化合物)を有する金(I)化合物としては、特開平4-267249号公報に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えばビス(1,4,5-トリメチル-1,2,4-トリアゾリウム-3-チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレート、特開平11-218870号公報に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1-[3-(2-スルホナートベンズアミド)フェニル]-5-メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、特開平4-268550号公報に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1-メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。これらの有機配位子を有する金(I)化合物は、あらかじめ合成して単離したものを使用する他に、有機配位子とAu化合物(例えば塩化金酸やその塩)とを混合することにより、発生させて単離することなく、乳剤に添加することができる。更には、乳剤に有機配位子とAu化合物(例えば塩化金酸やその塩)とを別々に添加し、乳剤中で有機配位子を有する金(I)化合物を発生させてもよい。
また、米国特許第3、503、749号明細書に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8-69074号、特開平8-69075号、特開平9-269554号の各公報に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号の各公報に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0137】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics )第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。上記Reserch Disclosureには、コロイド状硫化金の製造の際、チオシアナートイオンを用いる方法が記載されているが、代わりにメチオニンやチオジエタノールなどのチオエーテル化合物を用いることができる。
コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、平均粒径50nm以下のものを用いることが好ましく、平均粒径10nm以下がより好ましく、平均粒径3nm以下が更に好ましい。この粒径はTEM写真から測定できる。また、コロイド状硫化金の組成は、Au21でもよく、Au21〜Au22の様な硫黄過剰な組成のものであってもよく、硫黄過剰な組成が好ましい。Au21.1〜Au21.8が更に好ましい。
このコロイド状硫化金の組成分析は、例えば、硫化金粒子を取り出して金の含有量と硫黄の含有量をそれぞれICPやヨードメトリーなどの分析法を利用して求めることができる。液相に溶解している金イオン、イオウイオン(硫化水素やその塩を含む)が硫化金コロイド中に存在すると硫化金コロイド粒子の組成分析に影響する為、限外ろ過などにより硫化金粒子を分離した上で分析は行われる。硫化金コロイドの添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0138】
金増感と併せてカルコゲン増感も同一の分子で行うことが可能であり、AuChを放出可能な分子を用いることができる。ここでAuはAu(I)を表し、Chは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子を表す。AuChを放出可能な分子とは、例えば、AuCh−Lで表される金化合物が挙げられる。ここで、LはAuChと結合して分子を構成する原子団を表す。また、Auに対して、Ch-Lとともに更にもう一つ以上の配位子が配位してもよい。また、AuCh−Lで表される金化合物は銀イオン共存下、溶媒中で反応させるとChがSの場合AgAuSを、ChがSeの場合AgAuSeを、ChがTeの場合AgAuTeを生成させやすい特徴を有しているものである。このような化合物として、Lがアシル基であるものが挙げられるが、その他に、下記に示す、式(AuCh1)、式(AuCh2)、式(AuCh3)で表される化合物が挙げられる。
【0139】
式(AuCh1) R−X−M−ChAu
ここで、AuはAu(I)を表し、Chは硫黄原子、セレン原子、テルル原子を表し、Mは置換または無置換のメチレン基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、NR2を表し、Rは、Xと結合して分子を構成する原子団(例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基などの有機基)を表し、R2は、水素原子及び置換基(例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基などの有機基)を表す。R1とMは互いに結合して環を形成してもよい。
式(AuCh1)で表される化合物において、Chが硫黄原子、及びセレン原子であるものが好ましく、Xは酸素原子、硫黄原子が好ましく、Rはアルキル基、アリール基が好ましい。より具体的な化合物の例としては、チオ糖のAu(I)塩(α金チオグルコース等の金チオグルコース、金パーアセチルチオグルコース、金チオマンノース、金チオガラクトース、金チオアラビノース等)、セレノ糖のAu(I)塩(金パーアセチルセレノグルコース、金パーアセチルセレノマンノース等)、テルロ糖のAu(I)塩、等である。ここでチオ糖、セレノ糖、テルロ糖とは、糖のアノマー位水酸基がそれぞれSH基、SeH基、TeH基に置き換わった化合物を表す。
【0140】
式(AuCh2) W1W2C=CR3ChAu
ここで、AuはAu(I)を表し、Chは硫黄原子、セレン原子、テルル原子を表し、R及びW2は、置換基(例えば、水素原子、ハロゲン原子、及び、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基などの有機基)を表し、W1はハメットの置換基定数σp値が正の値である電子吸引性基を表す。RとW1、R3とW2 、W1とW2は互いに結合して環を形成してもよい。
式(AuCh2)で表される化合物において、Chが硫黄原子、及びセレン原子であるものが好ましく、 Rは、水素原子及びアルキル基が好ましく、W1及びW2はハメットの置換基定数σ値が0.2以上である電子吸引性基が好ましい。より具体的な化合物の例としては、(NC)2C=CHSAu、(CH3OCO)2C=CHSAu、CH3CO(CH3OCO)C=CHSAuなどが挙げられる。
【0141】
式(AuCh3) W3−E−ChAu
ここで、AuはAu(I)を表し、Chは硫黄原子、セレン原子、テルル原子を表し、Eは置換もしくは無置換のエチレン基を表し、W3はハメットの置換基定数σ値が正の値である電子吸引性基を表す。
式(AuCh3)で表される化合物において、Chが硫黄原子、及びセレン原子であるものが好ましく、Eはハメットの置換基定数σ値が正の値である電子吸引性基を有するエチレン基であることが好ましく、W3はハメットの置換基定数σ値が0.2以上である電子吸引性基が好ましい。これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは3×10−6〜3×10−4モルである。
【0142】
本発明のハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は、特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更にEP0447647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0143】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基若しくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本願の明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸及びこれらの塩など)、米国特許第5,556,741号明細書の一般式(A)で表されるヒドロキシルアミン類(米国特許第5,556,741号明細書の第4欄の第56行〜第11欄の第22行の記載は本願においても好ましく適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる)、特開平11−102045号公報の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤は、本発明においても好ましく使用される。
【0144】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、前記ハロゲン化銀乳剤層のうち少なくとも一層が、本発明のハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする。本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。これらのハロゲン化銀乳剤層中に含有する銀の量は該ハロゲン化銀乳剤層中の全てのカプラーを発色させる量の1倍であることが理想的であるが、好ましくは全てのカプラーを発色させるのに必要な量(モル数)の1〜1.6倍であり、より好ましくは1〜1.4倍、特に好ましくは1〜1.3倍である。
【0145】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層に少なくとも2種類の感度の異なる塩化銀含有率が90モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有することが好ましい。感度の異なるハロゲン化銀乳剤は、2種類以上あれば良いが、感光材料の設計上は2種類もしくは3種類であることが好ましい。感度の異なるハロゲン化銀乳剤が3種類以上の場合には、この中の少なくとも1種類のハロゲン化銀乳剤に本発明が適用される。2種類のハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズ、ハロゲン組成や構造、増感色素、化学増感剤、かぶり防止剤等の種類や量が異なっていてもよく、また同じであってもよい。但し、2種類のハロゲン化銀乳剤は、感度が異なっている必要がある。感度は、用いる感光材料の構成で10−4秒の像様露光を行い、用いる現像処理を行った場合に、0.05〜0.8logE異なっていることが好ましく、0.15〜0.5logE異なっていることが更に好ましい。
【0146】
少なくとも2種類の感度の異なる塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤は、同一ハロゲン化銀乳剤層に混合されていることが好ましいが、感度の異なる乳剤がそれぞれ別々の乳剤層に塗り分けられていてもよい。但し、それらの層はほぼ等しい感色性や発色色相を有していることが必要である。ここで、ほぼ等しい感色性とは、カラー写真感光材料の場合、例えば青感色性同士、緑感色性同士または赤感色性同士のことで、その範囲なら分光感度が異なっていてもよい。また、ほぼ等しい発色色相とは、カラー写真感光材料の場合、例えばイエロー発色同士、マゼンタ発色同士またはシアン発色同士のことで、その範囲なら発色色相が異なっていてもよい。
【0147】
少なくとも2種類の感度の異なる塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤の少なくとも一方は、上記の金属錯体を含有する。2種類の感度の異なるハロゲン化銀乳剤の両方に上記の金属錯体を含有することが好ましく、ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤全てに上記の金属錯体を含有することが更に好ましい。
【0148】
少なくとも2種類の感度の異なる塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤において、上記の金属錯体のハロゲン化銀1モル当たりの含有量は、高感度側の乳剤よりも低感度側の乳剤の方が多いことが好ましい。更に、1粒子当たりの平均含有量は、高感度側の乳剤よりも低感度側の乳剤の方が多いことが好ましい。これらの場合、高感度側乳剤には上記の金属錯体は含有しなくてもよいが、低感度側の乳剤よりも少ない量含有することが好ましい。
【0149】
少なくとも2種類の感度の異なる塩化銀含有率が95モル%以上のハロゲン化銀乳剤において、上記の金属錯体による減感度は、高感度側の乳剤よりも低感度側の乳剤の方が大きいことが好ましい。ここで金属錯体による減感度とは、同一乳剤で該当する金属錯体を含有させなかったときの感度と含有させた時の感度差を減感方向を正として表す。また、一方が該当する金属錯体を含有していない乳剤の場合、減感度は0とする。高感度側の乳剤および低感度側の乳剤、それぞれの減感度は0〜0.8logEであることが好ましく、0.1〜0.5logEであることが更に好ましい。低感度側の乳剤の該当する金属錯体による減感度は、高感度側の乳剤のそれに対して0.1〜0.8logE大きいことが好ましく、0.1〜0.5logE大きいことが更に好ましい。
【0150】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0151】
本発明の感光材料には、従来公知の写真用素材や添加剤を使用できる。
例えば、写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては、特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0152】
本発明においてさらに好ましい反射支持体としては、ハロゲン化銀乳剤層を設ける側の紙基体上に微小空孔を有するポリオレフィン層を有しているものが挙げられる。ポリオレフィン層は多層から成っていてもよく、その場合、好ましくはハロゲン化銀乳剤層側のゼラチン層に隣接するポリオレフィン層は微小空孔を有さず(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、紙基体上に近い側に微小空孔を有するポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)から成るもの
がより好ましい。紙基体及び写真構成層の間に位置するこれら多層若しくは一層のポリオレフィン層の密度は0.40〜1.0g/mlであることが好ましく、0.50〜0.70g/mlがより好ましい。また、紙基体及び写真構成層の間に位置するこれら多層若しくは一層のポリオレフィン層の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。また、ポリオレフィン層と紙基体の厚さの比は0.05〜0.2が好ましく、0.1〜0.15がさらに好ましい。
【0153】
また、上記紙基体の写真構成層とは逆側(裏面)にポリオレフィン層を設けることも、反射支持体の剛性を高める点から好ましく、この場合、裏面のポリオレフィン層は表面が艶消しされたポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。裏面のポリオレフィン層は5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、さらに密度が0.7〜1.1g/mlであることが好ましい。本発明における反射支持体において、紙基体上に設けるポリオレフィン層に関する好ましい態様については、特開平10−333277号公報、同10−333278号公報、同11−52513号公報、同11−65024号公報、EP0880065号明細書、及びEP0880066号明細書に記載されている例が挙げられる。
【0154】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、前記蛍光増白剤を分散含有する親水性コロイド層を、別途形成してもよい。前記蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系を用いることができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されていないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
【0155】
反射型支持体としては、透過型支持体、又は上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。また、反射型支持体は、鏡面反射性又は第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0156】
また、本発明の感光材料に用いられる支持体としては、ディスプレイ用に白色ポリエステル系支持体又は白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよい。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側又は裏面に塗設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもディスプレイが観賞できるように、支持体の透過濃度を0.35〜0.8の範囲に設定するのが好ましい。
【0157】
本発明の感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール系染料)を感光材料の680nmに於ける光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを12質量%以上(より好ましくは14質量%以上)含有させるのが好ましい。
【0158】
本発明の感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許EP0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号公報、同5−127325号公報、同5−216185号公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0159】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0160】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報の3頁右上欄から8頁に記載された染料や、特開平3−7931号公報の3頁右上欄から11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、例えば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号明細書、同3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0161】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙等に用いられるが、中でもカラー印画紙として用いるのが好ましい。カラー印画紙は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
【0162】
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されても構わないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からは、シアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号公報、同9−114035号公報、同10−246940号公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0163】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号公報、特開平2−33144号公報、欧州特許EP0355660A2号明細書に記載されているもの、特に欧州特許EP0355660A2号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号公報、同4−359249号公報、同4−313753号公報、同4−270344号公報、同5−66527号公報、同4−34548号公報、同4−145433号公報、同2−854号公報、同1−158431号公報、同2−90145号公報、同3−194539号公報、同2−93641号公報、欧州特許公開第0520457A2号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0164】
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表1に示す特許の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0165】
【表1】

【0166】
本発明において用いられるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目やEP0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明はWO98/33760号公報の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0167】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0168】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0169】
なお、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0170】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号明細書、同第884640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0171】
また、本発明に用いられるイエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある)は前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許出願公開第0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、同第0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、同第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号の各明細書等に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド型カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、特開2002−296740号、同2002−296741号、同2002−318443号、同2002−318442号の各明細書に記載されたN−アルキル−4−ピリミドンが結合した酢酸アニリド型カプラー、特開2003−173007号明細書に記載された1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル型および酢酸アニリド型カプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラー、N−アルキル−4−ピリミドンが結合した酢酸アニリド型カプラー、1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル型および酢酸アニリド型カプラーの使用が好ましく、特に1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドが結合した酢酸エステル型および酢酸アニリド型カプラーが好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0172】
本発明に使用するカプラーは、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0173】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる特許に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、WO98/33760号明細書、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号公報、特開平10−282615号公報及び独国特許第19629142A1号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号明細書、欧州特許第839623A1号明細書、欧州特許第842975A1号明細書、独国特許19806846A1号明細書及び仏国特許第2760460A1号明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0174】
本発明においては、紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の特許に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号公報、同55−152776号公報、特開平5−197074号公報、同5−232630号公報、同5−307232号公報、同6−211813号公報、同8−53427号公報、同8−234364号公報、同8−239368号公報、同9−31067号公報、同10−115898号公報、同10−147577号公報、同10−182621号公報、独国特許第19739797A号明細書、欧州特許第711804A号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0175】
本発明の感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0176】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0177】
本発明における写真構成層構成層中の総塗設ゼラチン量は3g/m以上6g/m以下であることが好ましく、3g/m以上5g/m以下であることが更に好ましい。また、超迅速処理した場合でも、現像進行性、及び定着漂白性、残色を満足するために、写真構成層全体の膜厚が3μm〜7.5μmであることが好ましく、更に3μm〜6.5μmであることが好ましい。乾燥膜厚の評価方法は、乾燥膜剥離前後の膜厚の変化、あるいは断面の光学顕微鏡や電子顕微鏡での観察により測定することができる。本発明において、現像進行性と乾燥速度を上げることを両立するために、膨潤膜厚が8μm〜19μmであることが好ましく、更に9μm〜18μmであることが好ましい。膨潤膜厚の測定としては、35℃の水溶液中に乾燥した感光材料を浸し、膨潤して十分平衡に達した状態で打点方法にて測定することができる。本発明における塗布銀量は、0.2g/m〜0.5g/mであることが好ましく、0.2g/m〜0.45g/mであることが更に好ましく、0.2g/m〜0.40g/mであることが最も好ましい。
【0178】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としては、フッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用しても構わないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10-5〜1g/m2、好ましくは1×10-4〜1×10-1g/m2、更に好ましくは1×10-3〜1×10-2g/m2である。
【0179】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。
本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0180】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0181】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0182】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては1×10-4秒以下、更に好ましくは1×10-6秒以下である。
【0183】
本発明をハロゲン化銀カラー写真感光材料に適用する場合、発光波長420nm〜460nmの青色レーザーのコヒーレント光により像様露光することが好ましい。青色レーザーの中でも、青色半導体レーザーを用いることが特に好ましい。
レーザー光源として具体的には、波長430〜450nmの青色半導体レーザー(2001年3月 第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長 約940nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約470nmの青色レーザー、半導体レーザー(発振波長 約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
【0184】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号公報並びに特開平10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特開2000−310822号公報に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0185】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した特許に詳しく記載されている。
【0186】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許EP0789270A1明細書や同EP0789480A1号明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0187】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した特許に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0188】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料として適用することができる。この場合、発色現像時間は好ましくは28秒以下、さらに好ましくは25秒以下6秒以上、より好ましくは20秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは30秒以下、更に好ましくは25秒以下6秒以上、より好ましくは20秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは60秒以下、更に好ましくは40秒以下6秒以上である。
なお、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0189】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。
アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号公報、同9−152686号公報、同9−152693号公報、同9−211814号公報、同9−160193号公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0190】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号公報、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0191】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【実施例】
【0192】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(青感層乳剤BH−1の調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀溶液と塩化ナトリウム溶液を同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が10%の時点から20%の時点にかけて、Cs[OsCl(NO)]を添加した。硝酸銀の添加が70%の時点から85%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり3.0モル%)およびK[Fe(CN)]を添加した。硝酸銀の添加が75%の時点から80%の時点にかけて、K[IrCl]を添加した。硝酸銀の添加が88%の時点から98%の時点にかけて、K[IrCl(HO)]およびK[IrCl(HO)]を添加した。硝酸銀の添加が93%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.3モル%)を激しく攪拌しながら添加した。得られた乳剤粒子は、辺長0.25μm、変動係数9.5%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤に沈降脱塩処理を施した後、ゼラチンと、化合物Ab−1、Ab−2、Ab−3、および硝酸カルシウムを添加し再分散を行った。
【0193】
再分散した乳剤を40℃で溶解し、ベンゼンチオ硫酸ナトリウム、p−グルタルアミドフェニルジスルフィド、セレン増感剤としてSE-1および金増感剤として(ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレート)を添加し、化学増感が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−3で表される繰り返し単位2または3が主成分の化合物(末端XおよびXはヒドロキシル基)、化合物−4および臭化カリウムを添加した。更に乳剤調製工程の途中で分光増感色素S−1、S−2、およびS−3を添加することにより分光増感を行った。こうして得られた乳剤を乳剤BH−1とした。
【0194】
【化17】

【0195】
【化18】

【0196】
【化19】

【0197】
(青感層乳剤BL−1の調製)
乳剤BH−1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.25μm、変動係数9.5%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量をBH−1のから変更する以外は同様にして乳剤BL−1を調製した。
【0198】
(緑感層乳剤GH−1の調製)
62℃で攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウムを激しく攪拌しながら24分間かけて、同時添加して、塩化銀核を形成した。使用した銀は出来上がりの全銀量の5%であった。さらに、硝酸銀の添加が70%の時点から85%の時点にかけて、K[Ru(CN)]、K[IrCl]、K[RhBr(HO)]および臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり1モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.1モル%)を激しく攪拌しながら添加した。更に、硝酸銀の添加が87%から98%の時点にかけて、K[IrCl(HO)]およびK[IrCl(HO)]を添加した。得られた乳剤粒子は、球相当径0.53μm、変動係数9.0%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤に前記と同様に沈降脱塩処理および再分散を施した。
【0199】
この乳剤を40℃で溶解し、ベンゼンチオ硫酸ナトリウム、p−グルタルアミドフェニルジスルフィド、セレン増感剤としてSE−1および金増感剤として(ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレート)を添加し、化学増感が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−4および臭化カリウムを添加した。更に乳剤調製工程の途中で増感色素として、分光増感色素S−4およびS−5を銀1モル当り1.4×10-4モル、非分光増感色素T−1を1.4×10-5モルおよび分光増感色素S−7を1.4×10-6モル添加することにより分光増感を行った。こうして得られた乳剤を乳剤GH−1とした。分光増感色素S−4、S−5およびS−7は会合体を形成し、ハロゲン化銀粒子表面の55%を被覆した(平均被覆率55%)。非分光増感色素T−1の被覆率は2.3%であった。
【0200】
【化20】

【0201】
(緑感層乳剤GL−1の調製)
乳剤GH−1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.53μm、変動係数9.0%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される化学増感剤の量を乳剤GH−1から変更して所望の感度を得た以外は乳剤GH−1と同様にして乳剤GL−1を調製した。
【0202】
(赤感層用乳剤RH−1の調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、Cs[OsCl(NO)]を添加した。硝酸銀の添加が93%の時点から98%の時点にかけて、K[Ru(CN)]を添加した。硝酸銀の添加が85%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり3モル%)を添加した。硝酸銀の添加が88%の時点から93%の時点にかけて、K[IrCl(5−methylthiazole)]を添加した。硝酸銀の添加が93%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モル当たり沃化銀量が0.1モル%となる量)を激しく攪拌しながら添加した。更に、硝酸銀の添加が93%から98%の時点にかけて、K[IrCl(HO)]およびK[IrCl(HO)]を添加した。得られた乳剤粒子は立方体辺長0.25μm、変動係数9.5%の単分散立方体沃臭塩化銀乳剤粒子であった。得られた乳剤に前記と同様にして沈降脱塩処理および再分散を行った。
【0203】
この乳剤を40℃で溶解し、分光増感色素S−8、化合物−5、ベンゼンチオ硫酸ナトリウム、p−グルタルアミドフェニルジスルフィド、金硫黄増感剤として化合物−1、セレン増感剤としてSE−1および金増感剤として(ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレート)を添加し、化学増感が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−4、および臭化カリウムを添加した。こうして得られた乳剤を乳剤RH−1とした。
【0204】
【化21】

【0205】
(赤感層用乳剤RL−1の調製)
乳剤RH−1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.25μm、変動係数9.5%の単分散立方体沃臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量を乳剤RH−1から変更する以外は同様にして乳剤RL−1を調製した。
【0206】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(Ex−Y)24g、色像安定剤(Cpd−8)6g、色像安定剤(Cpd−16)1g、色像安定剤(Cpd−17)1g、色像安定剤(Cpd−18)11g、色像安定剤(Cpd−19)1g、色像安定剤(Cpd−21)11g、添加剤(ExC−3)0.1g、色像安定剤(UV−A)1gを溶媒(Solv−4)17g、溶媒(Solv−6)3g、溶媒(Solv−9)17g及び酢酸エチル45mlに溶解し、この液を3gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液205g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて700gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤BH−1、BL−1を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0207】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3、及びAb−4をそれぞれ全量が10.0mg/m2、43.0mg/m2,3.5mg/m2及び7.0mg/m2となるように添加した。
【0208】
1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第三層、第五層、および第六層、それぞれ0.2mg/m、0.2mg/m、0.6mg/mとなるように添加した。青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10−4モル、2×10−4モル添加した。赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/mを添加した。第三層、第五層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m、6mg/m、18mg/mとなるように添加した。各層にポリスチレンスルホン酸ナトリウムを必要に応じて加え塗布液の粘度を調節した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0209】
【化22】

【0210】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)、蛍光増白剤(4,4′−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン(含有率0.03質量%)および青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m
第一層(青色感光性乳剤層)
乳剤(BH−1とBL−1の5:5混合物(銀モル比)) 0.13
ゼラチン 1.00
イエローカプラー(Ex−Y) 0.24
色像安定剤(Cpd−8) 0.06
色像安定剤(Cpd−16) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.01
色像安定剤(Cpd−18) 0.11
色像安定剤(Cpd−19) 0.01
色像安定剤(Cpd−21) 0.11
添加剤(ExC−3) 0.001
色像安定剤(UV−A) 0.01
溶媒(Solv−4) 0.17
溶媒(Solv−6) 0.03
溶媒(Solv−9) 0.17
【0211】
第二層(中間発色層)
ゼラチン 0.33
イエローカプラー(Ex−Y) 0.08
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
色像安定剤(Cpd−16) 0.01
色像安定剤(Cpd−17) 0.01
色像安定剤(Cpd−18) 0.03
色像安定剤(Cpd−19) 0.01
色像安定剤(Cpd−21) 0.03
添加剤(ExC−3) 0.001
色像安定剤(UV−A) 0.01
溶媒(Solv−4) 0.05
溶媒(Solv−6) 0.01
溶媒(Solv−9) 0.05
【0212】
第三層(混色防止層)
ゼラチン 0.31
混色防止剤(Cpd−4) 0.020
混色防止剤(Cpd−12) 0.004
色像安定剤(Cpd−3) 0.004
色像安定剤(Cpd−5) 0.004
色像安定剤(Cpd−6) 0.020
色像安定剤(UV−A) 0.020
色像安定剤(Cpd−7) 0.002
溶媒(Solv−1) 0.024
溶媒(Solv−2) 0.024
溶媒(Solv−5) 0.028
溶媒(Solv−8) 0.028
【0213】
第四層(赤色感光性乳剤層)
乳剤(RH−1とRL−1の4:6混合物(銀モル比)) 0.09
ゼラチン 0.77
シアンカプラー(ExC−1) 0.16
シアンカプラー(ExC―2) 0.005
シアンカプラー(ExC−3) 0.01
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.03
色像安定剤(Cpd−10) 0.001
色像安定剤(Cpd−14) 0.001
色像安定剤(Cpd−15) 0.15
色像安定剤(Cpd−16) 0.03
色像安定剤(Cpd−17) 0.02
色像安定剤(UV−5) 0.07
溶媒(Solv−5) 0.07
【0214】
第五層(混色防止層)
ゼラチン 0.39
混色防止剤(Cpd−4) 0.025
混色防止剤(Cpd−12) 0.005
色像安定剤(Cpd−3) 0.005
色像安定剤(Cpd−5) 0.005
色像安定剤(Cpd−6) 0.025
色像安定剤(UV−A) 0.025
色像安定剤(Cpd−7) 0.002
溶媒(Solv−1) 0.030
溶媒(Solv−2) 0.030
溶媒(Solv−5) 0.035
溶媒(Solv−8) 0.035
【0215】
第六層(緑色感光性乳剤層)
乳剤(GH−1とGL−1の1:3混合物(銀モル比)) 0.09
ゼラチン 1.10
マゼンタカプラー(ExM) 0.12
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.005
色像安定剤(Cpd−10) 0.005
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
紫外線吸収剤(UV−B) 0.26
溶媒(Solv−3) 0.04
溶媒(Solv−4) 0.08
溶媒(Solv−6) 0.05
溶媒(Solv−9) 0.12
溶媒(Solv−7) 0.11
化合物(S1−4) 0.0015
【0216】
第七層(保護層)
ゼラチン 0.44
添加剤(Cpd−20) 0.015
流動パラフィン 0.01
界面活性剤(Cpd−13) 0.01
【0217】
【化23】

【0218】
【化24】

【0219】
【化25】

【0220】
【化26】

【0221】
【化27】

【0222】
【化28】

【0223】
【化29】

【0224】
【化30】

【0225】
【化31】

【0226】
以上のようにして作成した試料を試料001とした。
【0227】
(試料002(緑感光性乳剤:辺長0.40μmの粒子サイズ)の調製)
GH−1およびGL−1乳剤の調製に際して、核形成に要した時間を12分にすることで、球相当径が0.40μmでその変動係数が9.6%の高塩化銀立方体乳剤を形成した。さらに、分光増感色素S−4およびS−5を銀1モル当り1.86×10-4モル、非分光増感色素T−1を1.86×10-5モルおよび分光増感色素S−7を1.86×10-6モル添加することにより分光増感を行った。粒子サイズおよび増感色素の添加量を変更した以外は、GH−1およびGL−1と同様にして乳剤GH−2およびGL−2を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−2およびGL−2乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料002を調製した。
【0228】
(試料003(緑感光性乳剤:辺長0.31μmの粒子サイズ)の調製)
GH−2およびGL−2乳剤の調製に際して、核形成の温度を40℃にすることで、球相当径が0.31μmでその変動係数が10.2%の高塩化銀立方体乳剤を形成した。さらに、分光増感色素S−4およびS−5を銀1モル当り2.4×10-4モル、非分光増感色素T−1を2.4×10-5モルおよび分光増感色素S−7を2.4×10-6モル添加することにより分光増感を行った。粒子サイズおよび増感色素の添加量を変更した以外は、GH−1およびGL−1と同様にして乳剤GH−3およびGL−3を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−3およびGL−3乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料003を調製した。
【0229】
(試料004(緑感光性乳剤:辺長0.31μmの粒子サイズ、増感色素量低減)の調製)
GH−3およびGL−3乳剤の調製に際して、分光増感色素S−4を銀1モルあたり1.0×10-4モル、分光増感色素S−5を銀1モル当り2.4×10-4モル、非分光増感色素T−1を2.4×10-5モルおよび分光増感色素S−7を2.4×10-6モル添加することにより分光増感を行った。増感色素の添加量を変更した以外は、GH−3およびGL−3と同様にして乳剤GH−4およびGL−4を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−4およびGL−4乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料004を調製した。
【0230】
(試料005(緑感光性乳剤:辺長0.31μmの粒子サイズ、増感色素量低減、非分光増感色素使用)の調製)
GH−3およびGL−3乳剤の調製に際して、分光増感色素S−4を銀1モルあたり1.0×10-4モル、S−5を銀1モル当り2.4×10-4モル、T−1(非分光増感色素)を1.8×10-4モルおよびS−7を2.4×10-6モル添加することにより分光増感を行った。増感色素の添加量を変更した以外は、GH−3およびGL−3と同様にして乳剤GH−5およびGL−5を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−5およびGL−5乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料005を調製した。分光増感色素S−4、S−5およびS−7は会合体を形成し、ハロゲン化銀粒子表面の38%を被覆した。非分光増感色素T−1の被覆率は18%であった。なお、T−1はメタノール溶液の吸収スペクトルから、λmaxが389nmにあり、440nm〜700nmの範囲に吸収を持たないことを確認している。
【0231】
処理A
上記の試料001から005を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア350(富士写真フイルム社製)を用いて標準的な写真画像を露光した。その後下記の処理工程にて発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング処理液を用いた処理を処理Aとした。
【0232】
処理工程 温度 時間 補充量
発色現像 38.5℃ 45秒 45mL
漂白定着 38.0℃ 45秒 A剤17.5mL
B剤17.5mL
リンス1 38.0℃ 20秒 −
リンス2 38.0℃ 20秒 −
リンス3 38.0℃ 20秒 −
リンス4 38.0℃ 20秒 121mL
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1mあたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0233】
各処理液の組成は以下の通りである。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800mL 800mL
蛍光増白剤(FL−1) 2.2g 5.1g
蛍光増白剤(FL−2) 0.35g 1.75g
トリイソプロパノールアミン 8.8g 8.8g
ポリエチレングリコール平均分子量300 10.0g 10.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.20g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 4.8g 14.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000mL 1000mL
pH(25℃、硫酸とKOHで調整) 10.15 12.40
【0234】
[漂白定着液] [タンク液] [補充液A] [補充液B]
水 800mL 500mL 300mL
チオ硫酸アンモニウム(750g/L) 107mL − 386mL
重亜硫酸アンモニウム(65%) 30.0g − 190g
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム 47.0g 133g −
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 5g 6g
硝酸(67%) 16.5g 66.0g −
イミダゾール 14.6g 50.0g −
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 8.3g 33.0g −
水を加えて全量 1000mL 1000mL 1000mL
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整) 6.5 6.0 6.0
【0235】
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下) 1000mL 1000mL
pH(25℃) 6.5 6.5
【0236】
処理A後の各試料のマゼンタ発色濃度を測定し、感度、階調およびかぶりの値を得た(表2)。感度は各試料の発色濃度がかぶりに加えて1.0となるのに要する露光量Eの対数から求めた。試料001の感度を基準(0.0)とし、相対値で表した。数値がプラスで値が大きいほど高感度である。また、発色濃度0.3を与えるのに要する露光量からlogEで0.5多い露光量における発色濃度Dを読み取り、(D−0.3)/0.5を階調γとして求めた。
【0237】
【表2】

【0238】
表2の試料001〜003に示されるように、小サイズ化に伴い、感度はサイズ(1粒子の表面積)減少に比例しており、量子感度はほぼ一定と推定された(光吸収率が一定と仮定した)。試料001〜003では階調変化も観測されなかったが、かぶりは増加した。これは、増感色素使用量増加に伴って、処理後の増感色素残存による、いわゆる残色ステインに起因すると考えられる。増感色素S−4を低減した試料004は、かぶりが低下したが、階調が軟調となり、感度も低下した。これは、増感色素が少ないために、粒子間で不均一が生じた結果と考えられる。これに対し、非分光増感色素T−1のハロゲン化銀粒子に対する被覆面積を18%、分光増感色素の被覆面積を38%とした本発明の試料005では、かぶりを抑制したまま、階調が硬調となった。さらに驚くべきことに、分光増感色素使用量が少ないにも関わらず、試料003と同等の感度が得られた。これは、非分光増感色素により、分光特性が、露光に使用したレーザーの特性に有利になるように変化した結果であった。
【0239】
実施例2(超迅速処理)
処理B
上記の試料001から005を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア340(富士写真フイルム社製)を用いて標準的な写真画像を露光した。その後下記の処理工程にて発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。なお、プロセッサーは下記処理時間にするため処理ラック改造により搬送速度変更を実施した。このランニング処理液を用いた処理を処理Bとした。
【0240】
処理工程 温度 時間 補充量
発色現像 45.0℃ 12秒 35mL
漂白定着 40.0℃ 12秒 A剤15mL
B剤15mL
リンス1 45.0℃ 4秒 −
リンス2 45.0℃ 2秒 −
リンス3 45.0℃ 2秒 −
リンス4 45.0℃ 3秒 175mL
乾燥 80℃ 15秒
(注)
* 感光材料1mあたりの補充量
【0241】
各処理液の組成は以下の通りである。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800mL 800mL
蛍光増白剤(FL−3) 4.0g 10.0g
残色低減剤(SR−1) 3.0g 3.0g
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 2.0g 4.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 10.0g 10.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.10g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 7.0g 19.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000mL 1000mL
pH(25℃、硫酸とKOHで調整) 10.25 12.8
【0242】
[漂白定着液] [タンク液] [補充液A] [補充液B]
水 700mL 300mL 300mL
チオ硫酸アンモニウム(750g/L) 107mL − 400mL
亜硫酸アンモニウム 30.0g − −
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム 47.0g 200g −
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 0.5g 10.0g
硝酸(67%) 7.0g 30.0g −
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 3.0g 13.0g −
重亜硫酸アンモニウム液(65%) − − 200g
コハク酸 7.0g 30.0g −
水を加えて全量 1000mL 1000mL 1000mL
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整) 6.0 2.0 5.6
【0243】
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下) 1000mL 1000mL
pH(25℃) 6.5 6.5
【0244】
【化32】

【0245】
各試料に以下の露光装置で上記処理Bでグレイを与える階調露光を与え、露光を終了して5秒後から上記処理AおよびBで発色現像処理を行った。レーザー光源としては、半導体レーザー(発振波長 約940nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約470nmの青色レーザー、半導体レーザー(発振波長 約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザーおよび波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)を用いた。3色のそれぞれのレーザー光はポリゴンミラーにより走査方向に対して垂直方向に移動し、試料上に、順次走査露光できるようにした。半導体レーザーの温度による光量変動は、ペルチェ素子を利用して温度が一定に保たれることで抑えられている。実効的なビーム径は、80μmで、走査ピッチは42.3μm(600dpi)であり、1画素あたりの平均露光時間は、1.7×10−7秒であった。半導体レーザーは温度による光量変化を抑えるために、ペルチェ素子を用いて温度を一定にした。
【0246】
処理B後の各試料のマゼンタ発色濃度を実施例1と同様にして測定し、感度、階調およびかぶりの値を得た(表3)。
【0247】
【表3】

【0248】
表3の結果は、表2と同様の傾向を示したが、より迅速な処理の場合には、試料001〜003に示されるように、小サイズ化に伴いうかぶりの増加が深刻であった。これは、迅速な処理に伴う残色ステインの増加に起因すると考えられる。増感色素S−4を低減した試料004は、かぶりが低下したが、階調が軟調となり、感度も低下した。これに対し、非分光増感色素T−1のハロゲン化銀粒子に対する被覆面積を18%、分光増感色素の被覆面積を38%とした本発明の試料005では、粒子サイズが減少したにも係らず、試料001と同等のかぶりおよび階調が得られ、さらに、分光増感色素使用量が少ないにも関わらず、試料003と同等の感度が得られ、この場合に本発明の効果が顕著であることがわかった。
【0249】
実施例3
試料006の調製(ヨードを含まない緑感光性乳剤の調製)
GH−3およびGL−3乳剤の調製に際して、ヨウ化カリウムを添加しなかった以外は、GH−3およびGL−3と同様にして乳剤GH−6およびGL−6を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−6およびGL−6乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料006を調製した。
【0250】
試料007の調製(ヨードを含まない色素低減した緑感光性乳剤の調製)
GH−4およびGL−4乳剤の調製に際して、ヨウ化カリウムを添加しなかった以外は、GH−4およびGL−4と同様にして乳剤GH−7およびGL−7を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−7およびGL−7乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料007を調製した。
【0251】
試料008の調製(ヨードを含まず、非分光増感色素を使用した緑感光性乳剤の調製)
GH−5およびGL−5乳剤の調製に際して、ヨウ化カリウムを添加しなかった以外は、GH−5およびGL−5と同様にして乳剤GH−8およびGL−8を得た。GH−1およびGL−1乳剤をGH−8およびGL−8乳剤に変更した以外は試料001と同様にして試料008を調製した。
【0252】
試料003および試料006から試料008に対して処理Bを行い、実施例1と同様に処理B後の各試料のマゼンタ発色濃度を測定し、感度、階調およびかぶりの値を得た(表4)。
【0253】
【表4】

【0254】
表4に示されるようにヨードをハロゲン化銀粒子に用いない場合は、かぶりの増加は低減するものの、低感度となった。すなわち、本発明はヨードを用いて高感度を得ようとした場合に効果が大きいことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に赤感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層および青感性ハロゲン化銀乳剤層を各々少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つが、塩化銀含有率が90モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子が該ハロゲン化銀粒子表面で会合体を形成し得る分光増感色素により分光増感されており、さらに該分光増感色素とともに440nmから700nmに実質的に吸収を有さない非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆し、該分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆する面積に対して25%以上の面積比で該非分光増感色素が該ハロゲン化銀粒子表面を被覆していることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項2】
前記分光増感色素の前記ハロゲン化銀粒子への平均被覆率が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項3】
前記非分光増感色素が下記一般式(1)または(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー感光材料。
【化1】

一般式(1)中、L はメチン基を表す。R101およびR102は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。V1〜V8は各々独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は各々独立に−O−または−N(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。M101は電荷均衡対イオンを表し、m101は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。
【化2】

一般式(2)中、R103およびR104は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。V1〜V4は各々独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は−O−または−N(R)−を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
【請求項4】
前記非分光増感色素を含有する乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子がセレン(Se)化合物またはテルル(Te)化合物と、金化合物とにより、化学増感されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項5】
前記非分光増感色素を含有する乳剤層に含まれるハロゲン化銀粒子の平均球相当径が0.1μm〜0.45μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項6】
前記非分光増感色素を含有する乳剤が銀1モルあたり、0.05モルから1.0モルのヨードを含有し、かつ周囲よりも沃化銀の濃度が高い沃化銀含有相を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項7】
処理後可視域に吸収を持たない化合物を含有するハロゲン化銀乳剤層に含まれる銀の量が該乳剤層中の全てのカプラーを発色させるために必要な量の1倍〜1.6倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項8】
総塗設銀量が0.2g/m2以上0.45g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項9】
総塗設ゼラチン量が3g/m2以上6g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項10】
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、該感光材料を像様露光してから9秒以内に発色現像を開始し、該発色現像が28秒以内の時間で行なわれることにより画像を形成する迅速処理用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項11】
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、レーザー走査露光で像様露光されるデジタル露光用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【請求項12】
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、反射支持体上にイエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ1層ずつ有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。

【公開番号】特開2006−98864(P2006−98864A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286227(P2004−286227)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】