説明

ハンディプリンタ

【課題】
ハンディプリンタの移動方向が所望する印刷方向に対して斜めに傾いている場合も所望する方向に沿って画像が印刷可能なハンディプリンタを提供する。
【解決手段】
制御部110は、画像形成部106、判断部102、CPU101を備える。制御部110は、プリンタ本体1の移動を開始したときに検出部108によって基準ガイド11を検出させる。その基準ガイド11から判断部102によって実際の移動方向Lを判断させる。実際の移動方向Lが基準ガイド11が示す方向に沿っている場合、制御部110は、画像を出力部107によって印刷させる。実際の移動方向Lが基準ガイド11が示す方向に沿っていない場合、制御部110は、ずれ角度θに基づいて画像形成部106によって画像を修正させる。そして、制御部110は、修正した画像を出力部107によって印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録シートに印刷するハンディ型のプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリッジ走査型のプリンタは、印刷ヘッドを有するキャリッジが移動して、1つ目の印刷領域を印刷した後、記録シートをキャリッジの進行方向に対して直交する方向にステップ送りし、次の印刷領域で停止させて印刷を行なう。
【0003】
しかしながら、上記構成のプリンタでは、印刷シートの送りモータや印刷ヘッドを有するキャリッジ等が必要となり、プリンタ本体が大型化してしまう問題があった。また、当該プリンタでは、手動走査しながら画像を印刷する場合、プリンタ本体の進行方向が所望する方向に対して斜めに傾きやすいため、記録シートに対して印刷する画像がゆがんで印刷される。あるいは、印刷領域を変えるごとに誤差が蓄積され、記録シートの下段に行くにつれてゆがみが大きくなってしまう問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1では、印刷中、所望する方向に対してプリンタ本体の移動方向が斜めに傾いた場合、サーマルヘッドを記録シートに対して一定の角度に押し付けることで、サーマルヘッドを記録シートに垂直に接触させ、印刷する画像がゆがまないようにするハンディプリンタが開示されている。
【特許文献1】特開平03−297677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のハンディプリンタは、1つの印刷領域に印刷する画像のゆがみを解消することができる。しかし、2つ目の印刷領域に印刷する画像については、1つ目の印刷領域に印刷した画像に対して平行に印刷できない。すなわち、ハンディプリンタの移動方向が1つ目の印刷領域に印刷された画像に対して斜めに傾いている場合は、傾いている方向に画像を印刷してしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、ハンディプリンタの移動方向が所望する印刷方向に対して斜めに傾いている場合も所望する方向に沿って画像が印刷可能なハンディプリンタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、入力された画像を印刷する出力部を記録シートに押し当て、前記記録シート上を移動させながら前記記録シートに前記画像を印刷するハンディプリンタであって、プリンタ本体の移動方向を示す基準ガイドが付された記録シートから前記基準ガイドを検出する検出部と、前記基準ガイドに沿って前記画像を印刷できるように、前記出力部に出力する前記画像を修正する画像形成部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ハンディプリンタとは、利用者によって手動走査して記録シートに画像を印刷するハンディ型のプリンタである。詳しくは、ハンディプリンタは、利用者がプリンタ本体1の底面を記録シートに押し当て、そして、プリンタ本体を本体幅方向に移動させたときに、プリンタ本体が移動した記録シート上に画像を印刷する。
【0009】
通常、手動走査しながら記録シートに画像を印刷する場合、プリンタ本体の移動方向が所望する方向に沿って進ませることが難しい。そのため、画像は、記録シートに対してゆがんで印刷される。そこで、本発明では、画像がゆがんで印刷されることを防止するために、記録シートに付された基準ガイドの示す方向に沿って画像を印刷する。
【0010】
ここで、基準ガイドとは、特定の方向を示すベクトルであって、例えば、互いに直交する矢印によって表示される。
【0011】
検出部が所望する方向を示す基準ガイドを検出する。検出された基準ガイドが示す方向とプリンタ本体が実際に移動している移動方向とを比較する。基準ガイドが示す方向に対して実際の移動方向がずれていない場合、出力部は、プリンタ本体の移動方向に沿って画像を記録シートに印刷する。基準ガイドが示す方向に対して実際の移動方向がずれている場合、画像形成部は、基準ガイドに沿って並ぶように画像を形成することにより画像を修正する。出力部は、修正した画像を記録シートに印刷する。
【0012】
ハンディプリンタは、基準ガイドが示す方向に対してプリンタ本体の実際の移動方向が沿っているか否かを判断する判断部を備える。判断部は、基準ガイドの示す方向とプリンタ本体の実際の移動方向とを比較し、基準ガイドに対する実際の移動方向のずれ角度を算出する。
【0013】
ずれ角度が「0」の場合、判断部は、実際の移動方向が基準ガイドが示す方向に沿った方向と判断する。ずれ角度がある場合、判断部は、基準ガイドが示す方向に対して実際の移動方向がずれていると判断する。
【0014】
画像形成部は、所望する方向、すなわち、基準ガイドの示す方向に画像が印刷できるように、算出されたずれ角度に基づいて印刷する画像を回転させて修正する。
【0015】
具体的には、検出部と判断部と画像形成部と出力部とを制御する制御部を備える。制御部は、プリンタ本体の移動を開始したときに前記検出部を作動させる。基準ガイドが検出されると、制御部は前記判断部を作動さて、ずれ角度を算出させる。ずれ角度が算出されると、制御部は画像形成部を作動させ、画像の角度を修正する。画像が修正されると、制御部は、修正された画像を出力部に送信し、出力部を作動させて記録シートに修正された画像を印刷させる。
【0016】
画像の修正方法としては、ずれ角度に基づいて画像を回転させる修正方法、新たな画像を形成する修正方法が挙げられる。画像を回転させる場合、例えば、画像形成部は、ずれ角度に基づいて画像を回転させる。そして、元の画像に基づいて、回転させた画像を配列する。新たな画像を形成する場合、例えば、画像形成部は、ずれ角度に基づいて画像を作成する位置を特定する。そして、元の画像に基づいて、特定した位置に画像を形成する。
【0017】
これにより、ハンディプリンタは、常に、基準ガイドが示す方向に沿って画像を印刷することができる。
【0018】
検出部は、記録シートと対向したプリンタ本体の底面に配置される。この構成によると、検出部は、常に、記録シートと対向する位置とされる。そのため、検出部は、記録シートに付された基準ガイドを検出することができる。
【0019】
出力部は、画像を印刷するときに、同時に基準ガイドを印刷する。記録シートに基準ガイドが付されていない場合、出力部は、画像を印刷する前に基準ガイドを印刷する。このとき、出力部は、記録シートのエッジに基づいて基準ガイドを印刷する。
【0020】
上記構成によると、出力部は、記録シートに基準ガイドが付されているときはその基準ガイドに沿って、記録シートに基準ガイドが付されていないときは記録シートのエッジに沿って基準ガイドを印刷する。これにより、基準ガイドは、常に一定の方向を示すことになる。
【0021】
基準ガイドは、画像を印刷する印刷領域の下端近傍に印刷される。あるいは、画像の印刷開始位置に印刷される。
【0022】
ここで、印刷領域とは、プリンタ本体の1回の操作によって記録シートに画像が印刷できる領域を示す。例えば、記録シートの1行中に画像が印刷できる領域を印刷領域とする。
【0023】
上記構成によると、例えば、2つ目以降の印刷領域に画像を印刷する際、プリンタ本体を先の印刷領域の一部、すなわち、2つ目以降の印刷領域の近傍の先の印刷領域と重なるように移動させることで、確実に基準ガイドを検出することができる。
【0024】
基準ガイドは、クリアインク、低濃度のインク、磁気インク等の専用のインクで印刷される。すなわち、基準ガイドは、目立ちにくいインクで印刷される。
【0025】
上記構成によると、基準ガイドは、目立ちにくくなり、印刷される画像の品質が向上する。また、クリアインクで印刷された場合、検出部による読み取り精度が高くなる。
【0026】
検出部が印刷済みの基準ガイドを検出しないときは、画像が乱れてしまう可能性が高いので、印刷を禁止する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、利用者の手動走査によって所望する方向に対してずれてプリンタ本体が移動した場合であっても、常に、基準ガイドの示す方向に沿って画像が印刷される。これにより、利用者の手元の操作がぶれても、一定の方向に沿って画像を印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明のハンディプリンタを詳細に説明する。
【0029】
本ハンディプリンタは、プリンタ本体1の底面を記録シート10に押し当て、プリンタ本体1を本体幅方向L(実際の移動方向)に移動させることで、記録シート10に入力された画像を印刷するハンディ型のプリンタである。
【0030】
ハンディプリンタは、図1に示すように、マウス状のプリンタ本体1によって外殻が形成される。
【0031】
プリンタ本体1には、図2に示すように、画像を印刷するためのインクを貯蓄するインクタンク(図示せず)と、USBメモリや外部機器等からの文字や写真等の画像が入力される入力部104と、入力された画像を保存するメモリ105と、文字や写真等の画像を記録シート10に印刷する出力部107と、これら各部を制御する制御部110とが内装される。
【0032】
インクタンクは、画像を印刷するためのインクを貯蓄するための容器である。インクタンクの上端、すなわち、インクタンクの天井には、インクタンク内に残るインクの量を検出するインク残量検出部103が備えられる。なお、インク残量検出部103は、赤外線センサや超音波センサ等の非接触式センサを用いた公知のものである。
【0033】
入力部104は、通信I/Fであって、USBやD−subといった端子が接続するコネクタを有する。接続されたUSBメモリや外部機器との間で双方向通信を行ない、画像を入力する。入力部104は、コネクタに接続されたUSBメモリや外部機器から入力されてきたデータを受け取ると、本ハンディプリンタが扱えるデータに展開するためのメモリ105に記憶する。なお、入力部104は、コネクタを有さず、赤外線等の無線によって通信しても良い。
【0034】
メモリ105は、例えば、RAM、EEPROM、ハードディスク、フラッシュメモリ等で構成される。メモリ105は、制御部110からの指示に基づいて、入力部104から入力された画像を記憶する。また、メモリ105は、制御部110によって制御される制御中のデータ、入力された各種指示内容等を記憶する。
【0035】
出力部107は、画像を記録シート10に印刷するインクヘッドであって、一般的なキャリッジ機構によってプリンタ本体1に支持される。出力部107は、図3に示すように、プリンタ本体1の下面に形成された開口部1aに配置させる。すなわち、出力部107は、記録シート10と対向するように配置される。
【0036】
制御部110は、CPU101、ROM、RAM等によって構成される。制御部110は、装置全体の動作を制御する。
【0037】
プリンタ本体1の上面には、図1に示すように、電源のON/OFF操作をする電源スイッチ2と、動作状況等を表示する表示部3と、インクタンクに残るインクの残量を報知するインク残量ランプ5とを備える。
【0038】
表示部3は、画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルを駆動制御する液晶ドライバとを備える。表示部3は、制御部110からの指示に基づいて、図4(a)および(b)に示すような動作状況を表示する。例えば、画像を印刷している場合は、「印字中」の文字と移動方向Lとを示す矢印が表示される。画像の印刷をしていない場合は、「停止中」の文字と停止を意味する記号が表示される。なお、この表示は一例であって、これに限定されるものではなく、他の表示であっても良い。
【0039】
インク残量ランプ5は、LEDといった点灯表示する報知部である。インク残量ランプ5は、インクタンク内に残るインク量が少なくなったことをインク残量検出部103によって検出されたとき、制御部110からの指示に基づいて点灯あるいは点滅して利用者に報知する。
【0040】
ハンディプリンタは、利用者によってプリンタ本体1を図5中に示す矢印A、および、矢印Cに沿って移動させたときに画像を印刷する。具体的には、利用者がプリンタ本体1を記録シート10に押し当てる。そして、図5中の矢印Aに沿ってプリンタ本体1を移動させることで、1つ目の印刷領域内に画像Xを印刷する。1つ目の印刷領域の印刷が終了すると、図5中の矢印Bに沿ってプリンタ本体1を移動させて、2つ目の印刷領域の始点に移動させる。そして、図5中の矢印Cに沿ってプリンタ本体1を移動させることで、2つ目の印刷領域内に画像Yを印刷する。
【0041】
ここで、印刷領域とは、プリンタ本体1の1回の操作によって記録シート10に画像が印刷できる領域を示す。例えば、1回の操作で200ライン(1ライン:0.04mm)、具体的には、記録シート10の2行に画像を印刷する場合、印刷領域は、記録シート10の2行分の領域となる。
【0042】
従来のハンディプリンタの場合、プリンタ本体1の位置情報をプリンタ本体1の移動情報履歴から得ているため、移動ごとに誤差が蓄積され、画像が乱れてしまう。また、プリンタ本体1が移動方向に対して斜めに傾いていると、通常、図6(a)に示すように画像が印刷されるところ、図6(b)に示すように傾いている方向に画像が印刷されてしまう。
【0043】
そこで、本実施形態は、画像が異状な印刷とならないようにする印刷画像修正機能を備える。これにより、ハンディプリンタは、プリンタ本体1の実際の移動方向Lに係わらず、一定の方向に沿って画像を印刷する。一定の方向を示すために、基準ガイド11が記録シート10に
【0044】
基準ガイド11とは、特定の方向を示すベクトルであって、例えば、図7に示すように、互いに直交する矢印である。直交す一方の矢印は、所望する方向、すなわち、画像を印刷する方向を示す。他方の矢印は、画像を印刷する際の始点、すなわち、画像を印刷し始める位置を示す。この基準ガイド11に基づいて、横方向および縦方向に画像を揃えて印刷できる。
【0045】
プリンタ本体1は、図1に示すように、印刷画像修正機能のON/OFFを操作する機能実行スイッチ4を備える。機能実行スイッチ4は、プリンタ本体1の上面に配置される。
【0046】
利用者が機能実行スイッチをON操作すると、制御部101は、基準ガイド11に沿って画像を印刷するように印刷画像修正機能が実行する。機能実行スイッチをOFF操作すると、制御部110は、印刷画像修正機能の実行を停止する。
【0047】
ハンディプリンタは、基準ガイド11を検出する検出部108を備える。制御部110は、検出された基準ガイド11からずれが検出されたときに、基準ガイド11が示す方向に沿うように画像を修正して、出力部107に出力する。
【0048】
検出部108は、図3に示すように、プリンタ本体1の下面に形成された開口部1aに備えられる。検出部108は、出力部107よりプリンタ本体1の実施の移動方向側で、実際の移動方向Lに沿って出力部107と並列に配置される。
【0049】
検出部108は、光源とカメラやCCD等を組み合わせたセンサであって、記録シート10に光を発して、記録シート10からの反射光により記録シート10に形成されている画像を検出する。
【0050】
制御部110は、入力された画像を出力部107から印刷できるように出力画像を生成する画像形成部106と、検出された基準ガイド11からプリンタ本体1の実際の移動方向Lのずれを判断する判断部102とを有する。画像形成部106および判断部102は、CPU101によって制御される。
【0051】
CPU101は、検出部108から出力された画像データから基準ガイド11を抽出する。具体的には、CPU101は、変換した画像データを解析し、あらかじめ記憶された基準ガイド11と一致する画像があるかを比較する。一致する画像があった場合は、一致した画像を基準ガイド11と判断する。
【0052】
判断部102は、CPU101からの指示に基づいて、検出された基準ガイド11からプリンタ本体1の実際の移動方向Lを判断する。すなわち、判断部102は、基準ガイド11が示す方向に沿ってプリンタ本体1が移動されているか否かを判断する。
【0053】
具体的には、判断部102は、図8に示すように、プリンタ本体1の幅方向をプリンタ本体1が実際に移動している移動方向Lと規定する。判断部102は、規定した実際の移動方向Lと検出された基準ガイド11の示す理想の移動方向とを比較する。そして、判断部102は、実際の移動方向Lが理想の移動方向に対してのずれ角度θを算出する。
【0054】
ずれ角度θがθ=0の場合、判断部102は、基準ガイド11が示す方向にプリンタ本体1が沿って移動していると判断する。ずれ角度θがθ>0の場合、判断部102は、基準ガイド11が示す方向にプリンタ本体1が沿って移動していないと判断する。基準ガイド11が示す理想の移動方向に沿って移動していると判断した場合、判断部102は、算出したすれ角度θをメモリ104に記憶させるとともに、ずれ角度θをCPU101に送信する。
【0055】
なお、基準ガイド11が示す方向に沿ってプリンタ本体1が移動されているか否かを判断するずれ角度θに許容範囲を持たせても良い。例えば、ずれ角度θが±5度以内ならばずれていないと判断しても良い。
【0056】
画像形成部106は、算出されたずれ角度θに基づいて印刷する画像を修正する。具体的には、実際の移動方向Lが基準ガイド11の示す方向に沿って移動していないと判断されたとき、CPU101は、画像が基準ガイド11に沿って印刷できるように、画像形成部106に画像の修正を指示する。画像形成部106は、CPU101からの指示に基づいて、メモリ104からずれ角度θを読み出し、読み出されたずれ角度θに基づいて印刷する画像を修正する。
【0057】
修正としては、例えば、ずれ角度θに基づいて画像を回転させる修正と、ずれ角度θと記憶される画像とに基づいて新たな画像を形成する修正とが挙げられる。
【0058】
画像を回転させて修正する場合は、図9(a)および(b)に示すように、画像に含まれる文字や絵等を一つずつ回転させて修正する。あるいは、画像全体を回転させて修正する。なお、画像全体とは、プリンタ本体1が1回の動作で印刷できる画像、例えば、1つ目の印刷領域に印刷される画像のことである。
【0059】
画像に含まれる文字や絵等を一つずつ回転させる場合は、画像形成部106がずれ角度θに基づいて1字ずつ回転させる。そして、画像形成部106は、元の画像に基づいて回転させた画像を配列する。画像全体を回転させる場合は、画像形成部106がずれ角度θに基づいて画像全体を回転させる。
【0060】
新たな画像を形成する場合は、例えば、ずれ角度θに基づいて画像を作成する位置を特定する。そして、特定した位置に元の画像に基づいた新たな画像を形成する。
【0061】
画像形成部106は、画像の修正が終了すると、修正した画像をメモリ104に記憶させる。
【0062】
ところで、基準ガイド11は、2つ目以降の印刷領域に付されていない場合がある。あるいは、記録シート10に付されていない場合がある。これらの場合、ハンディプリンタは、画像を印刷すると同時に、あるいは、画像を印刷する前に基準ガイド11を生成し、記録シート10に印刷する。
【0063】
具体的には、画像形成部106が基準ガイド11を生成する。画像形成部106は、先に印刷された基準ガイド11a、あるいは、記録シート10のエッジに基づいて新たな基準ガイド11bを形成する。
【0064】
2つ目以降の印刷領域に基準ガイド11が付されていない場合、画像形成部106は、先の印刷領域に印刷された基準ガイド11aに基づいて、新たな基準ガイド11bを生成する。例えば、2つ目以降の印刷領域に画像を印刷する場合、利用者は、プリンタ本体1の一部を先の印刷領域の一部と重ねて手動走査する。これにより、検出部108は、先の印刷領域に印刷される基準ガイド11aを検出することができる。そして、検出された基準ガイド11aに基づいて新たな基準ガイド11bを生成する。
【0065】
記録シート10に基準ガイド11が付されていない場合、画像形成部106は、記録シート10のエッジに基づいて、新たな基準ガイド11bを生成する。例えば、1つ目の印刷領域に画像を印刷する場合、利用者は、プリンタ本体1の一部を記録シート10のエッジと重ねて手動走査する。これにより、検出部108は、記録シート10のエッジを検出することができる。そして、検出されたエッジに基づいて新たな基準ガイド11bを生成する。
【0066】
画像形成部106は、新たな基準ガイド11bの生成が終了すると、生成した基準ガイド11bをメモリ104に記憶させ、その旨をCPU101に送信する。
【0067】
出力部107は、生成された基準ガイド11bを記録シート10に印刷する。具体的には、出力部107は、CPU101からの指示に基づいて、画像を印刷する印刷領域の下端近傍で画像の印刷開始位置に基準ガイド11を印刷する。すなわち、出力部107は、図5中に示す範囲Zに基準ガイド11を印刷する。例えば、画像が印刷できる印刷領域を200ラインとした場合、そのライン下端の50ライン程度の位置に基準ガイド11を印刷する。
【0068】
なお、この印刷は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、印刷領域の全体に印刷しても良い。あるいは、印刷領域の下端全体に印刷しても良い。
【0069】
出力部107は、基準ガイド11を印刷するためのインクを貯蓄するサブインクタンク(図示せず)を備える。出力部107は、サブインクタンクに貯蓄されるクリアインク、あるいは、低濃度のインクで基準ガイド11を印刷する。これにより、基準ガイド11は検出部108からの読み取り精度を高くすることができる。また、印刷後、画像として目立ちにくくなり、印刷される画像の品質を向上することができる。
【0070】
なお、この印刷は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、透明なインクで印刷しても良い。あるいは、黄色や白といった目立たない色のインクで印刷しても良い。逆に、目立つインクで基準ガイド11を印刷する。利用者は、基準ガイド11を目印にしてプリンタ本体1を移動させることができ、大きくずれることを防止できる。
【0071】
制御部110は、機能実行スイッチ4がONか否かを確認する。機能実行スイッチ4がOFFの場合、制御部110は、印刷画像修正機能を実行しない。すなわち、プリンタ本体1の実際の移動方向Lに沿って画像が印刷される。機能実行スイッチ4がONの場合、制御部101は、印刷画像修正機能を実行する。
【0072】
次に、具体的な印刷画像修正機能の動作を説明する。なお、説明の便宜上、プリンタ本体1の実際の移動方向Lは、プリンタ本体1の幅方向とする。画像が1回で印刷できる印刷領域は200ラインとする。基準ガイド11は、印刷領域の下端近傍で画像の印刷開始位置に基準ガイド11を印刷する。
【0073】
基準ガイド11が付された記録シート10を用いる場合を説明する。
【0074】
利用者から電源スイッチ2のON操作がされ、入力部104から画像が入力されると、制御部101は、入力された画像をメモリ105に記憶される。制御部110は、機能実行スイッチ4がON操作されたか否かを確認する。
【0075】
利用者によって機能実行スイッチ4のON操作がされると、制御部101は、印刷画像修正機能を実行する。基準ガイド11は、記録シート10の画像の印刷を開始する位置に付されている。利用者は、その位置に合うようにプリンタ本体1を持っていき、横方向、すなわちプリンタ本体の幅方向に移動させる。
【0076】
制御部110は、検出部108を作動させて基準ガイド11を検出させる。基準ガイド11が検出されると、制御部110のCPU101は、判断部102を作動させて実際の移動方向Lを判断させる。
【0077】
このとき、CPU101は、メモリ105から基準ガイド11を抽出し、画像形成部106に送信する。そして、CPU101は、画像形成部106を作動させ、基準ガイド11aに基づいて新たな基準ガイド11bを形成させる。新たな基準ガイドが生成されると、画像形成部106は、新たな基準ガイド11bをメモリ104に記憶させる。
【0078】
実際の移動方向Lが基準ガイド11が示す方向に沿っている場合、制御部110は、メモリ105から画像と基準ガイド11を抽出し、出力部107に送信する。そして、制御部110は、出力部107を作動させて、送信した画像と基準ガイド11を記録シート10に印刷させる。なお、基準ガイド11は、印刷領域の下端近傍で画像の印刷開始位置に印刷される。
【0079】
実際の移動方向Lが基準ガイド11が示す方向に沿っていない場合、制御部110のCPU101は、メモリ105からずれ角度θと印刷する画像を抽出し、画像形成部106に送信する。CPU101は、画像形成部106を作動させて、ずれ角度θに基づいて画像を修正させる。画像が修正されると、CPU101は、修正された画像と基準ガイド11をメモリ105から抽出し、その画像と基準ガイド11を出力部107に送信する。そして、出力部107を作動させて、送信した画像と基準ガイド11を記録シート10に印刷させる。なお、基準ガイド11は、印刷領域の下端近傍で画像の印刷開始位置に印刷される。
【0080】
次に、基準ガイド11が付されていない記録シート10を用いる場合を説明する。
【0081】
利用者は、プリンタ本体1をシートの上端に沿って移動させる。制御部110は、検出部108を作動させて記録シート10のエッジを検出させる。エッジが検出されると、制御部110のCPU101は、画像形成部106を作動させ、エッジに基づいて新たな基準ガイド11bを形成させる。新たな基準ガイドが生成されると、画像形成部106は、新たな基準ガイド11bをメモリ104に記憶させる。
【0082】
制御部110は、メモリ105から基準ガイド11を抽出し、出力部107に送信する。そして、制御部110は、出力部107を作動させて、送信した基準ガイド11を記録シート10に印刷させる。なお、基準ガイド11は、印刷領域の下端近傍で画像の印刷開始位置に印刷される。
【0083】
2つ目以降の印刷領域に画像を印刷する場合、利用者は、検出部108が先の印刷領域の一部と重なるようにプリンタ本体1を移動させる。具体的には、利用者は、先の印刷領域の印刷が終了した後、2つ目の印刷領域に画像を印刷する場合、先の印刷領域200ラインのうち、50ライン程度重なるようにプリンタ本体1を位置させる。そして、利用者は、次の印刷領域に画像を印刷するためにプリンタ本体1を手動走査させる。ずれている場合、上記と同様に、修正された画像が印刷される。
【0084】
これにより、利用者の手動走査によってプリンタ本体1が傾いたり、所望する方向に移動しなかったとしても、ハンディプリンタは、基準ガイド11の示す方向に画像を印刷することができる。また、ハンディプリンタは、記録シートに印刷される画像全てを基準ガイドの示す方向に印刷することができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。本実施形態では、プリンタで説明したが、コピー機、FAX機、スキャナ機であってもよい。
【0086】
本実施形態では、インクジェット方式で画像を印刷しているが、特にこれに限れられない。例えば、熱転写式や電子写真式といった印刷方式で印刷しても良い。あるいは、その他の印刷方式であっても良い。
【0087】
本実施形態では、基準ガイドを検出できない場合、記録シートのエッジに基づいて基準ガイドを生成し、その基準ガイドを印刷した後に画像を印刷しているが、特にこれに限られない。例えば、エッジに基づいて画像を修正し、生成した基準ガイドと修正した画像とを同時に印刷しても良い。
【0088】
本実施形態では、基準ガイドの示す方向と実際の移動方向とを比較してすれ角度を算出し、ずれ角度が0か否かによって実際の移動方向が基準ガイドの示す方向に沿っているか否かを判断しているが、特にこの限りではない。例えば、実際の移動方向と基準ガイドが示す方向をそれぞれ直線で表し、2つの直線が重なり合うか否かによって判断しても良い。この場合、基準となる線が必要となる。例えば、実際の移動方向をプリンタ本体の幅方向と規定し、その幅方向の直線を基準線として判断しても良い。
【0089】
本実施形態では、1回の手動走査で印刷できる印刷領域の範囲を200ラインと規定しているが、特にこの限りではない。例えば、200ラインよりも小さくても良い。あるいは、大きくても良い。
【0090】
本実施形態では、基準ガイドを印刷するためのインクを貯蓄するサブインクタンクを備えているが、特にこの限りではない。画像を印刷するインクタンクと一緒にしても良い。この場合、基準ガイドを印刷するインクは、画像を印刷する際に使用するインクを流用する。例えば、画像をいんさつするインクの濃度を薄めて、低濃度のインクで印刷しても良い。あるいは、黄色や白といった目立たない色のインクで印刷しても良い。
【0091】
本実施形態では、表示部が印刷動作の状況を示す画面を表示しているが、特にこの限りではない。例えば、検出部によって検出された記録シートの画像をLIVEで表示しても良い。例えば、画像を印刷するための基準位置である基準ガイドの位置を検出する際に用いる。これにより、利用者は、記録シートのどの位置に基準ガイドを付されているかを確認することができる。そして、利用者は、基準ガイドに沿ってが印刷視点を揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施形態に係るハンディプリンタを示す斜視図
【図2】ハンディプリンタのブロック図
【図3】ハンディプリンタの底面図
【図4】表示部に表示される画面の一例を示す図
【図5】記録シートに画像を印刷した場合の事例を示す図
【図6】画像の印刷した事例を示す図であって、(a)は正しく印刷された場合を示す図、(b)は傾いて印刷された場合を示す図
【図7】図5中の範囲Zの拡大図
【図8】基準ガイドと実際の移動方向とを比較を説明するための簡略図
【図9】画像の修正を示す図であって、(a)は一文字ずつ修正する場合を示す図、(b)は画像全体を修正する場合を示す図
【符号の説明】
【0093】
1 プリンタ本体
2 電源スイッチ
3 表示部
4 機能実行スイッチ
5 インク残量ランプ
10 記録シート
11 基準ガイド
11a 先の基準ガイド
11b 新たな基準ガイド
101 CPU
102 判断部
103 インク残量検出部
104 入力部
105 メモリ
106 画像軽視得部
107 出力部
108 検出部
110 制御部
X 1つ目の印刷領域の画像
Y 2つ目の印刷領域の画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像を印刷する出力部を記録シートに押し当て、前記記録シート上を移動させながら前記記録シートに前記画像を印刷するハンディプリンタであって、
プリンタ本体の移動方向を示す基準ガイドが付された記録シートから前記基準ガイドを検出する検出部と、前記基準ガイドに沿って前記画像を印刷できるように、前記出力部に出力する前記画像を修正する画像形成部とを備えたことを特徴とするハンディプリンタ。
【請求項2】
基準ガイドからプリンタ本体の実際の移動方向を判断する判断部を備え、
前記判断部は、前記基準ガイドと前記実際の移動方向とを比較してずれ角度を算出し、
画像形成部は、前記ずれ角度に基づいて画像を回転させることを特徴とする請求項1に記載のハンディプリンタ。
【請求項3】
印刷動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、プリンタ本体の移動が開始されたときに前記検出部を作動させ、基準ガイドを検出してから印刷を開始させることを特徴とする請求項2に記載のハンディプリンタ。
【請求項4】
基準ガイドが検出できないとき、制御部は、出力部の動作を禁止することを特徴とする請求項3に記載のハンディプリンタ。
【請求項5】
出力部は、基準ガイドを記録シートに印刷することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハンディプリンタ。
【請求項6】
基準ガイドのない記録シートを用いるとき、制御部は、画像の印刷前に基準ガイドを印刷するように出力部を制御することを特徴とする請求項5に記載のハンディプリンタ。
【請求項7】
出力部は、画像を印刷する印刷領域の下端近傍に基準ガイドを印刷することを特徴とする請求項5に記載のハンディプリンタ。
【請求項8】
出力部は、基準ガイドを画像の印刷開始位置に印刷することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のハンディプリンタ。
【請求項9】
出力部は、基準ガイドを専用のインクで印刷することを特徴とする請求項5に記載のハンディプリンタ。
【請求項10】
専用のインクが、クリアインク、あるいは、低濃度のインクであることを特徴とする請求項9に記載のハンディプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−208291(P2009−208291A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51829(P2008−51829)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】