説明

バックライトユニットおよび液晶表示装置

【課題】 少ない設置数の光源や線状発光パッケージでも、暗部、色度ムラまたは輝度ムラの発生を抑制可能なバックライトユニットおよび液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 透光性の板材で構成されその端面2aから入射された光を導光すると共に光路変換してその上面から照明対象物に対して面状の照明光を出射する導光板2と、該導光板の端面に配されて導光板2内に光を出射する光源Lとを備え、導光板2が、端面2aの中央側から側面2bに向けて互いに離間しつつ端面2aに対して斜め方向にかつ光源Lに対向して延在して切り込まれた少なくとも一対のスリット部2cまたは溝部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルなどの照明に用いるバックライトユニットおよびこれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、モバイルタイプPC、PDA、ATM(現金自動預け払い機)、携帯電話機等のディスプレイには、画像表示のための液晶表示装置が広く採用されている。この液晶表示装置には、液晶表示パネルの裏面側から光を照射して表示画面の輝度を高めるバックライトユニットが用いられている。
【0003】
このバックライトユニットには、蛍光管やLED等の光源と、該光源からの光を導光して主面全体から液晶表示パネルに向けて出射させる導光板とが用いられている。例えば、特許文献1には、導光板と、該導光板の端面に対向して配された複数のLEDとを備えたバックライトが記載されている。このバックライトでは、光源として複数のLEDが導光板の入光面である端面に沿って並べて設置されている。
また、特許文献2には、波長が異なる3つの発光ダイオードからなる光源と、端面に光源を配した導光板とを備えた面光源装置が記載されている。この面光源装置では、導光板の端面に微細な凹凸を設けて、光源から入射される光を導光板内で拡散させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−331958号公報
【特許文献2】特開2005−353506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記特許文献1に記載のバックライトユニットのように導光板の端面に複数のLEDを並べて設置する場合、LEDの部品点数が多くなり、高コストになってしまう問題があった。この対策として、設置するLEDの数を低減すると共に各LEDを高輝度化する手法が考えられるが、この場合、LEDの間隔が拡がると共にLEDの間や導光板の側面側に暗部が生じてしまう不都合があった。特許文献2に記載の面光源装置のように、光入射面である端面に光を拡散させる微細な凹凸等の光学素子形状を設ける方法もあるが、微細な光学素子形状の形成により製造コストが増大すると共に、光学素子形状だけでは十分な拡散効果が得られず、やはり面光源として色度ムラや輝度ムラが生じてしまう問題があった。特に、近年、複数のLED素子を並べて1パッケージ化した光源(線状発光パッケージ)を用いることが検討されており、このような線状発光パッケージでも導光板内で入射した光を十分に拡散させることが要望されている。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、少ない設置数の光源や線状発光パッケージでも、暗部、色度ムラまたは輝度ムラの発生を抑制可能なバックライトユニットおよび液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のバックライトユニットは、透光性の板材で構成されその端面から入射された光を導光すると共に光路変換してその上面から照明対象物に対して面状の照明光を出射する導光板と、該導光板の端面に配されて前記導光板内に光を出射する光源とを備え、前記導光板が、前記端面の中央側から側面に向けて互いに離間しつつ前記端面に対して斜め方向にかつ前記光源に対向して延在して切り込まれた少なくとも一対のスリット部または溝部を備えていることを特徴とする。
【0008】
このバックライトユニットでは、導光板が、端面の中央側から側面に向けて互いに離間しつつ端面に対して斜め方向にかつ光源に対向して延在して切り込まれた少なくとも一対のスリット部または溝部を備えているので、光源から入射された光のうち一部を少なくとも一対のスリット部または溝部が左右2方向、すなわち両側面に向けて全反射すると共に、入射された光のうち一部を屈折および透過させて、光の高い拡散性を得ることができる。すなわち、光源に対向して延在するスリット部または溝部は、光源からの光の入射位置および入射角度に応じて、光を全反射する機能と光を屈折させて透過させる機能とを有している。これにより、導光板の端面に微細な光学素子形状を形成する必要が無く、スリット部または溝部によって低コストで光の高い拡散性が得られることで、少ない設置数の光源や線状発光パッケージでも、暗部、色度ムラまたは輝度ムラの発生を抑制することができる。なお、スリット部または溝部は、一つの直線又は曲線で延在したものだけでなく、複数の直線や曲線を組み合わせて構成され延在したものでも構わない。
【0009】
第2の発明のバックライトユニットは、第1の発明において、対となる前記スリット部または前記溝部が、V字状に形成されていることを特徴とする。
すなわち、このバックライトユニットでは、対となるスリット部または溝部が、V字状に形成されているので、V字状のスリット部または溝部の角度に応じて、左右方向に全反射する光の量や反射角度を設定でき、不足しがちな側面付近の輝度を高めて全体の輝度均一性を向上させることができる。
【0010】
第3の発明のバックライトユニットは、第1の発明において、対となる前記スリット部または前記溝部の基端部が、互いに離間していることを特徴とする。
すなわち、このバックライトユニットでは、対となるスリット部または溝部の基端部が、互いに離間しているので、スリット部間または溝部間を通過する光がスリット部や溝部によって反射または屈折されることなく、入射端面の反対側の端面まで直接導光されることで、側面付近だけでなく該反対側の端面付近の輝度も向上させることができる。
【0011】
第4の発明のバックライトユニットは、第1の発明において、前記スリット部または前記溝部が、先端部と、前記端面から前記先端部までの主延在部とで構成され、前記先端部が、前記主延在部よりも前記端面に対する角度が大きく設定されて延在していることを特徴とする。
すなわち、このバックライトユニットでは、スリット部または溝部の先端部が、主延在部よりも端面に対する角度が大きく設定されて延在しているので、先端部で反射された光が主延在部で反射された光よりも端面に対して大きな角度で反射されることで、主延在部に比べて多くの光をより遠くに向けて反射させ、光の入射端面側の側面付近だけでなく入射端面から離間した側面付近の輝度も向上させることができる。
【0012】
第5の発明のバックライトユニットは、第1の発明において、前記スリット部または前記溝部が、先端部と、前記端面近傍の基端部と、該基端部と前記先端部との間の中間部とで構成され、前記先端部および前記基端部が、前記中間部よりも前記端面に対する角度が大きく設定されて延在していることを特徴とする。
すなわち、このバックライトユニットでは、スリット部または溝部の先端部および基端部が、中間部よりも端面に対する角度が大きく設定されて延在しているので、光源の中央付近からの光を基端部により側面に向けて全反射させると共に、光源の端部付近からの光を先端部により側面に向けて全反射させることができる。また、中間部では、先端部および基端部に比べて多くの光が屈折しつつ透過する。これにより、スリット部または溝部の2箇所で積極的に光を側方へ全反射させて輝度均一性を向上させることができる。
【0013】
第6の発明のバックライトユニットは、第1の発明において、前記スリット部または前記溝部が、複数対設けられ、対毎に前記端面に対する角度が異なっていることを特徴とする。
すなわち、このバックライトユニットでは、複数対のスリット部または溝部が、対毎に端面に対する角度が異なっているので、対向する光源の形状や配置などに対応して対毎にスリット部または溝部の延在する方向の角度を設定することで、面内の輝度分布を調整することができる。
【0014】
第7の発明のバックライトユニットは、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記光源が、前記端面の延在方向に複数の半導体発光素子を並べて基板上に配置した発光パッケージであることを特徴とする。
すなわち、このバックライトユニットでは、光源が、端面の延在方向に複数の半導体発光素子を並べて基板上に配置した発光パッケージであるので、複数の光源を個別に実装する場合に比べて組み込みばらつきが生じ難く、色度や輝度のばらつきを抑制可能であり、生産性を向上することができる。また、フレキシブルプリント基板を用いて複数の光源を設置する必要が無く、低コスト化を図ることができる。
【0015】
第8の発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、該液晶表示パネルの裏面側に配された第1から第7の発明のいずれかのバックライトユニットとを備えていることを特徴とする。
すなわち、この液晶表示装置では、第1から第7の発明のいずれかのバックライトユニットを備えているので、安価で製造でき、色度および輝度のばらつきが少ない高品質な液晶表示が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置によれば、導光板が、端面の中央側から側面に向けて互いに離間しつつ端面に対して斜め方向にかつ光源に対向して延在して切り込まれた少なくとも一対のスリット部または溝部を備えているので、微細な光学素子形状を用いずとも、光の高い拡散性を得ることができる。
したがって、少ない設置数の光源や線状発光パッケージでも、暗部、色度ムラまたは輝度ムラの発生を抑制することができ、本発明のバックライトユニットを液晶表示装置に用いれば、安価であると共に高品質な液晶表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第1実施形態において、バックライトユニットを示す要部の平面図である。
【図2】第1実施形態の液晶表示装置を示す簡易的な分解斜視図である。
【図3】第1実施形態において、スリット部に沿って切断した際のバックライトユニットを示す要部の断面図である。
【図4】第1実施形態において、光源を示す正面図である。
【図5】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第2実施形態において、バックライトユニットを示す要部の平面図である。
【図6】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第3実施形態において、バックライトユニットを示す要部の平面図である。
【図7】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第4実施形態において、バックライトユニットを示す要部の平面図である。
【図8】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第5実施形態において、バックライトユニットを示す要部の平面図である。
【図9】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第6実施形態において、溝部に沿って切断した際のバックライトユニットの3つの例を示す要部の断面図である。
【図10】本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の実施例において、スリット部が無い場合(a)とスリット部が有る場合(b)とにおける導光板半分での輝度分布画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第1実施形態を、図1から図4に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0019】
本実施形態におけるバックライトユニット1は、図1から図3に示すように、透光性の板材で構成されその端面2a(以下、入射端面2aとも称す)から入射された光を導光すると共に光路変換してその上面(表面または主面)から照明対象物である液晶表示パネル11に対して面状の照明光を出射する導光板2と、該導光板2の端面2aに配されて導光板2内に光を出射する光源Lとを備えている。
【0020】
また、このバックライトユニット1は、図2に示すように、導光板2の裏面側に設置された反射シート3と、導光板2上に配置された拡散シート4と、該拡散シート4上に配置されたプリズムシートである輝度上昇フィルム5と、該輝度上昇フィルム5上に配置された反射型偏光フィルム6とを備えている。
また、本実施形態の液晶表示装置10は、液晶表示パネル11と、該液晶表示パネル11の裏面側に配された上記バックライトユニット1とを備えている。
なお、これら部材は、図示しない支持筐体内に収納、支持されている。
【0021】
上記光源Lは、図4に示すように、端面2aの延在方向に複数の半導体発光素子7を並べて基板8上に配置した白色LEDの発光パッケージである。この光源Lは、長板状に延在した基板8上の半導体発光素子7を樹脂材9で一体に封止したものである。すなわち、光源Lは、基板8に沿って並ぶ半導体発光素子7と基板8に沿って延在する樹脂材9とにより線状の発光領域を有する線状発光パッケージである。
上記半導体発光素子7は、例えば青色(波長λ:470〜490nm)LED素子又は紫外光(波長λ:470nm未満)LED素子であって、例えばサファイア基板などの絶縁性基板上に窒化ガリウム系化合物半導体(例えばInGaN系化合物半導体)の複数の半導体層が積層されて形成されたものである。
【0022】
また、この半導体発光素子7を封止する樹脂材9は、シリコーン樹脂を主剤とし、例えばYAG蛍光体が添加されている。このYAG蛍光体は、半導体発光素子からの青色光又は紫外光を黄色光に変換させて混色効果により白色光を生じさせるものである。なお、白色LEDとしては、上記以外でも種々のものが採用可能である。
この光源Lでは、基板8上に各半導体発光素子7に電気的に接続されたアノード用およびカソード用の電極パッド8aが形成されている。これら電極パッド8aにリード線等を接続することで外部に接続される。また、この光源Lは、放熱体となる板金等で形成された支持筐体の内面等にネジ止め等により設置される。
【0023】
上記導光板2は、入光面である端面2aに配した光源Lから入射され導光した光を光路変換して主面側から面状に出射する薄板状の導光体である。例えば、導光板2は、ポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂等の透光性樹脂材料で構成されている。なお、導光板2の表面(主面)及び裏面の少なくとも一方に、白色ドット印刷やプリズム形状等の微細光学形状を施して輝度調整を行っても構わない。
【0024】
この導光板2は、端面2aの中央側から側面に向けて互いに離間しつつ端面2aに対して斜め方向にかつ光源Lに対向して延在して切り込まれた一対のスリット部2cを備えている。この一対の上記スリット部2cは、V字状に形成されている。すなわち、一対のスリット部2cは、端面2aの中心に対して左右対称に延在している。なお、スリット部2c内は、空気層を構成している。これらスリット部2cの延在方向(端面2aとの角度)および延在距離に応じて、配光調整を行うことができる。
【0025】
なお、図1において、スリット部2cを屈折して透過する光は、一点鎖線の矢印で模式的に示し、スリット部2cで全反射される光は、二点鎖線の矢印で模式的に示している。例えば、スリット部2cが、端面2aに対して45°の角度で直線状に延在している場合(すなわち、一対のスリット部2cが90°のV字状となる場合)、光源Lから端面2aに垂直に入射した光は、左右に光路が90°変更されて全反射され、左右の側面2bへ向けて拡散される。
【0026】
上記反射シート3は、光反射機能を有する金属板、フィルム、箔等、銀蒸着膜を設けたフィルムや、アルミ金属蒸着膜を設けたフィルム、白色シートなどが採用可能であり、本実施形態では、例えばポリエステル系樹脂を用いた多層膜構造の反射フィルムを用いている。
上記拡散シート4は、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂などの透明樹脂にシリカ粒子などを分散させたシートである。
【0027】
上記輝度上昇フィルム5は、拡散シート4からの光を上面側に集光するための透明シート状の部材であり、平行な複数の稜線を有するプリズム形状が上面側に施されているプリズムシートである。例えば住友スリーエム株式会社製のBEF(Brightness Enhancement Firm:商品名)シートが採用可能である。
【0028】
また、反射型偏光フィルム6は、光のS成分とP成分の内、一方の成分のみを透過し、他方を反射するシートである。反射された成分の光は、反射シート3側に戻り、再度、反射型偏光フィルム6に入射するまでの間に、反射型偏光フィルム6を透過する成分の光に変換される。このような反射型偏光フィルム6は、例えば住友スリーエム株式会社製のD−BEF(商品名)シートが採用可能である。
【0029】
上記液晶表示パネル11は、透過型又は半透過型の液晶表示パネルが採用される。例えば、透過型の液晶表示パネル11の場合、透明電極、配向膜及び偏光板をそれぞれ有する上基板と下基板との間隙に液晶材料をシール材で封止したTFT液晶方式、STN液晶方式またはTN液晶方式等の液晶パネル本体を備えたものである。
【0030】
このように本実施形態のバックライトユニット1では、導光板2が、端面2aの中央側から側面に向けて互いに離間しつつ端面に対して斜め方向にかつ光源Lに対向して延在して切り込まれた一対のスリット部2cを備えているので、光源Lから入射された光のうち一部を一対のスリット部2cが左右2方向、すなわち両側面2bに向けて全反射すると共に、入射された光のうち一部を屈折および透過させて、光の高い拡散性を得ることができる。
【0031】
すなわち、光源Lに対向して延在するスリット部2cは、光源Lからの光の入射位置および入射角度に応じて、光を全反射する機能と光を屈折させて透過させる機能とを有している。これにより、導光板2の端面2aに微細な光学素子形状を形成する必要が無く、スリット部2cによって低コストで光の高い拡散性が得られることで、少ない設置数の光源や線状発光パッケージでも、暗部、色度ムラまたは輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0032】
特に、第1実施形態では、対となるスリット部2cが、V字状に形成されているので、V字状のスリット部2cの角度に応じて、左右方向に全反射する光の量や反射角度を設定でき、不足しがちな側面2b付近の輝度を高めて全体の輝度均一性を向上させることができる。
また、光源Lが、端面2aの延在方向に複数の半導体発光素子7を並べて基板8上に配置した発光パッケージであるので、複数の光源Lを個別に実装する場合に比べて組み込みばらつきが生じ難く、色度や輝度のばらつきを抑制可能であり、生産性を向上することができる。また、フレキシブルプリント基板を用いて複数の光源を設置する必要が無く、低コスト化を図ることができる。
したがって、上記バックライトユニット1を備えた本実施形態の液晶表示装置10では、安価で製造でき、色度および輝度のばらつきが少ない高品質な液晶表示が可能になる。
【0033】
次に、本発明に係るバックライトユニットおよび液晶表示装置の第2〜第6実施形態について、図4〜図9を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0034】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、対となるスリット部2cの基端部が同位置にあり、スリット部2cが一対でV字状に形成されているが、第2実施形態のバックライトユニット21は、図5に示すように、導光板22において、対となるスリット部22cの基端部が互いに離間している点である。
すなわち、第2実施形態では、対となるスリット部22cの基端部が互いに離間しているので、スリット部22c間を通過する光がスリット部22cによって反射または屈折されることなく、入射端面2aの反対側の端面まで直接導光されることで、側面2b付近だけでなく該反対側の端面付近の輝度も向上させることができる。
【0035】
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、対となる2本のスリット部2cがそれぞれ直線状で延在しているのに対し、第3実施形態のバックライトユニット31は、図6に示すように、導光板32のスリット部32cが、先端部32dと、端面2aから先端部32dまでの主延在部32eとで構成され、先端部32dが、主延在部32eよりも端面2aに対する角度が大きく設定されて曲線状で延在している点である。
【0036】
すなわち、第3実施形態では、スリット部32cの先端部32dが、主延在部32eよりも端面2aに対する角度が大きく設定されて延在しているので、先端部32dで反射された光が主延在部32eで反射された光よりも端面2aに対して大きな角度で反射されることで、主延在部32eに比べて多くの光をより遠くに向けて反射させ、光の入射端面2a側の側面2b付近だけでなく入射端面2aから離間した側面2b付近の輝度も向上させることができる。
【0037】
第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、スリット部32cが先端部32dと、端面2aから先端部32dまでの主延在部32eとで構成されているのに対し、第4実施形態のバックライトユニット41は、図7に示すように、導光板42のスリット部42cが、先端部42dと、端面2a近傍の基端部42fと、該基端部42fと先端部32dとの間の中間部42gとで構成され、先端部32dおよび基端部42fが、中間部42gよりも端面2aに対する角度が大きく設定されて曲線状で延在している点である。
【0038】
すなわち、第4実施形態では、スリット部42cの先端部42dおよび基端部42fが、中間部42gよりも端面2aに対する角度が大きく設定されて延在しているので、光源Lの中央付近からの光を基端部42fにより側面2bに向けて全反射させると共に、光源Lの端部付近からの光を先端部42dにより側面2bに向けて全反射させることができる。また、中間部42gでは、先端部42dおよび基端部42fに比べて多くの光が屈折しつつ透過する。これにより、スリット部42cの2箇所(先端部42dおよび基端部42f)で積極的に光を側方へ全反射させて輝度均一性を向上させることができる。
【0039】
第5実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、一対のスリット部22cが形成されているのに対し、第5実施形態のバックライトユニット51は、図8に示すように、導光板52のスリット部52cが、複数対設けられ、対毎に端面2aに対する角度が異なっている点である。なお、本実施形態では、5対のスリット部52cが、互いに基端部を離間させ端面2aの中心に対して左右対称に形成されていると共に、側面2b側のスリット部52cほど端面2aに対する角度が小さく設定されて延在している。
すなわち、第5実施形態では、複数対のスリット部52cが、対毎に端面2aに対する角度が異なっているので、対向する光源Lの形状や配置などに対応して対毎にスリット部52cの延在する方向の角度を設定することで、面内の輝度分布を調整することができる。
【0040】
第6実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、導光板2にスリット部2cが形成されているのに対し、第6実施形態のバックライトユニット61は、図9の(a)に示すように、導光板62Aに一対の溝部62aが形成されている点である。
すなわち、第1実施形態のスリット部2cは、導光板2の表裏を貫通した切り込みであるのに対し、第6実施形態の溝部62aは、導光板2の主面側(表面側)のみが切り込まれたものである。この溝部62aの厚さ方向の切り込み深さは、図9の(a)に示すように、延在方向にわたって一定に設定されている。
【0041】
なお、第6実施形態の他の例としては、図9の(b)に示すように、溝部62bの切り込み深さが端面2a側の基端から先端に向けて延在方向で漸次浅くなるように設定した導光板62Bや、図9の(c)に示すように、溝部62cの切り込み深さが基端から一定距離までは一定に設定され、途中から先端に向けて延在方向で漸次浅くなるように設定した導光板62Cでも構わない。これら溝部62a〜62cの切り込み深さは、導光板62A〜62Cの輝度面内分布などの調整に応じて決定される。
【実施例】
【0042】
次に、本発明に係るバックライトユニットの実施例について、輝度分布を評価した結果を、図10を参照して説明する。
本発明の実施例は、第1実施形態のバックライトユニットの光源と導光板とで作製し、導光板の主面における輝度分布を測定し、画像処理した。また、比較例として、スリット部が無い導光板についても同様にして輝度分布を測定し、画像処理した。これらの輝度分布画像を、図9の(a)および(b)に示す。なお、輝度分布画像は、それぞれ導光板の半分について表示した。また、これらの輝度分布画像は、いずれも元画像がカラー像であるが、図9においてはグレースケールによる白黒画像に変換して図示している。
【0043】
これらの輝度分布画像からわかるように、スリット部の無い比較例では、光源の直近部分が非常に高い輝度領域になっていると共に導光板の入射端面側の側面近傍に暗部が生じてしまっているのに対し、スリット部を設けた本発明の実施例では、光源の直近部分の輝度が抑制されていると共に側面近傍の輝度が向上している。
このように、スリット部により反射および屈折した光により、光源の直近部分の輝度を抑制すると共に側面近傍の輝度を向上させることができ、全体として輝度均一性を高めることができる。
【0044】
なお、本発明は上記各実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0045】
例えば、上記実施形態の液晶表示装置では、拡散シートを用いているが、拡散シートを省略したバックライトユニットとしても構わない。また、輝度上昇フィルムであるプリズムシートを1枚使用しているが、2枚使用する構成でもかまわない。また、反射型偏光フィルムを省略しても構わない。
また、上記第1〜第5実施形態までは、スリット部が形成された導光板を採用しているが、これら実施形態のスリット部を溝部に置き換えて形成した導光板でも構わない。
【符号の説明】
【0046】
1,21,31,41,51,61…バックライトユニット、2,22,32,42,52,62A,62B,62C…導光板、2a…導光板の端面、2b…導光板の側面、2c,22c,32c,42c,52c…スリット部、7…半導体発光素子、10…液晶表示装置、11…液晶表示パネル、32d,42d…スリット部の先端部、32e…スリット部の主延在部、42f…スリット部の基端部、42g…スリット部の中間部、62a,62b,62c…溝部、L…光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の板材で構成されその端面から入射された光を導光すると共に光路変換してその上面から照明対象物に対して面状の照明光を出射する導光板と、
該導光板の端面に配されて前記導光板内に光を出射する光源とを備え、
前記導光板が、前記端面の中央側から側面に向けて互いに離間しつつ前記端面に対して斜め方向にかつ前記光源に対向して延在して切り込まれた少なくとも一対のスリット部または溝部を備えていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のバックライトユニットにおいて、
対となる前記スリット部または前記溝部が、V字状に形成されていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のバックライトユニットにおいて、
対となる前記スリット部または前記溝部の基端部が、互いに離間していることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のバックライトユニットにおいて、
前記スリット部または前記溝部が、先端部と、前記端面から前記先端部までの主延在部とで構成され、
前記先端部が、前記主延在部よりも前記端面に対する角度が大きく設定されて延在していることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のバックライトユニットにおいて、
前記スリット部または前記溝部が、先端部と、前記端面近傍の基端部と、該基端部と前記先端部との間の中間部とで構成され、
前記先端部および前記基端部が、前記中間部よりも前記端面に対する角度が大きく設定されて延在していることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項6】
請求項1に記載のバックライトユニットにおいて、
前記スリット部または前記溝部が、複数対設けられ、対毎に前記端面に対する角度が異なっていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のバックライトユニットにおいて、
前記光源が、前記端面の延在方向に複数の半導体発光素子を並べて基板上に配置した発光パッケージであることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項8】
液晶表示パネルと、
該液晶表示パネルの裏面側に配された請求項1から7のいずれか一項に記載のバックライトユニットとを備えていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−26166(P2013−26166A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162711(P2011−162711)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】