説明

バッテリ制御装置及び車両

【課題】小型軽量であるバッテリ制御装置、及び当該装置を備える車両を提供する。
【解決手段】バッテリ制御装置1は、外部電源PSから供給される電力により充電が可能なバッテリBの充放電を制御するものであって、バッテリBに対し、モータMTを電気的に接続するのか、外部電源PSを電気的に接続するのかを切り替える切替器13と、バッテリBと切替器13との間に設けられ、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換する第1変換と、外部電源PSからの交流電力を直流電力に変換する第2変換とが可能な電力変換回路12と、バッテリBにモータMTが電気的に接続された場合には電力変換回路12に第1変換をさせてモータMTの駆動制御を行い、バッテリBに外部電源PSが電気的に接続された場合には電力変換回路12に第2変換をさせてバッテリBの充電制御を行う制御回路18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から供給される電力により充電が可能なバッテリの充放電を制御するバッテリ制御装置、及び当該装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会を実現すべく、動力発生源としてエンジンとモータとを併用するハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)や動力発生源としてモータのみを用いる電気自動車(EV:Electric Vehicle)の研究が盛んに行われている。これらハイブリッド自動車や電気自動車は、モータに対して電力を供給する再充電が可能なリチウムイオン二次電池等の二次電池(バッテリ)を備えている。
【0003】
電気自動車は、基本的には外部の充電装置を電気自動車に装着することによってバッテリの充電が可能である。また、ハイブリッド自動車のうち、所謂プラグイン・ハイブリッド車と呼ばれるものは、電気自動車とは異なり、自ら充電装置(プラグイン充電装置)を備えている。このため、プラグイン・ハイブリッド車は、外部の電源(例えば、電圧が200Vの商用交流電源)のプラグをプラグイン充電装置の差し込み口に介挿することでバッテリの充電が可能である。
【0004】
電気自動車が備えるバッテリの充電に用いられる充電装置は、例えばPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)コンバータ、PWMインバータ、及び整流器を備えており、電圧が200Vの商用交流電源からバッテリの充電に必要となる直流電力を生成する。従って、充電装置が電気自動車に装着されると、充電装置で生成された直流電力が電気自動車に供給されてバッテリの充電が行われる。
【0005】
プラグイン・ハイブリッド車が備えるプラグイン充電装置は、例えばPWMコンバータ及びDC/DCコンバータを備えており、外部の電源から供給される電力からバッテリの充電に必要となる直流電力を生成する。従って、外部電源のプラグがプラグイン充電装置の差し込み口に介挿されると、バッテリを充電する直流電力がプラグイン充電装置で生成されてバッテリの充電が行われる。以下の特許文献1には、プラグイン充電装置を備えており、外部からバッテリを充電することができる車両の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−201197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、車両の重量が重くなるにつれて車両を加速・減速させるためにより多くのエネルギーが必要になることから、燃費は一般的に低下する傾向がある。このため、燃費が重視される車種では、車両の重量を軽減する対策が行われている。上述したプラグイン充電装置は、燃費が重視されるプラグイン・ハイブリッド車等の車両に常時搭載されるものであるため極力小型軽量であることが望ましい。
【0008】
また、プラグイン充電装置は、車両に設けられたバッテリの充電時以外は使用されるものではないため稼働率が低い。仮に、プラグイン充電装置をバッテリの充電以外にも使用することができ、バッテリの制御を行う他の装置(例えば、バッテリの放電量を制御する装置)と共用することができれば、プラグイン充電装置の稼働率を高めることができるとともに、装置構成を簡略化することができ、プラグイン充電装置の小型化及び軽量化を実現することができると考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型軽量であるバッテリ制御装置、及び当該装置を備える車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のバッテリ制御装置は、外部電源(PS)から供給される電力により充電が可能なバッテリ(B)の充放電を制御するバッテリ制御装置(1、2)であって、前記バッテリに対し、モータ(MT)を電気的に接続するのか、前記外部電源を電気的に接続するのかを切り替える切替部(13)と、前記バッテリと前記切替部との間に設けられ、前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換する第1変換と、前記外部電源からの交流電力を直流電力に変換する第2変換とが可能な電力変換部(12)と、前記バッテリに前記モータが電気的に接続された場合には前記電力変換部に前記第1変換をさせて前記モータの駆動制御を行い、前記バッテリに前記外部電源が電気的に接続された場合には前記電力変換部に前記第2変換をさせて前記バッテリの充電制御を行う制御部(18、50)とを備えることを特徴としている。
また、本発明のバッテリ制御装置は、前記外部電源からの交流電力の位相を検出する位相検出部(15)を備えており、前記制御部が、前記位相検出器の検出結果を用いて前記バッテリの充電制御を行うことを特徴としている。
また、本発明のバッテリ制御装置は、前記外部電源からの交流電力、及び前記電力変換部で前記第1変換により変換されて前記モータに供給される交流電力は、三相交流電力であることを特徴としている。
また、本発明のバッテリ制御装置は、前記外部電源が、各相毎に設けられたリアクトル(14)を介して前記電力変換部と接続されることを特徴としている。
また、本発明のバッテリ制御装置は、前記バッテリと前記電力変換部との間に設けられ、前記電力変換部で前記第2変換により変換される直流電力の電圧を、前記バッテリに適した電圧に低下させる降圧装置(40)を備えることを特徴としている。
本発明の車両は、動力発生源としてのモータ(MT)と、外部電源(PS)から供給される電力により充電が可能であって前記モータに電力を供給するバッテリ(B)とを備える車両であって、前記バッテリの充放電を制御する上記の何れかに記載のバッテリ制御装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切替部によってバッテリに対してモータ及び外部電源の何れを接続するかを切り替え可能にし、バッテリからの直流電力を交流電力に変換する第1変換と外部電源からの交流電力を直流電力に変換する第2変換とが可能な電力変換部を設け、バッテリにモータが接続された場合には制御部が電力変換部に第1変換をさせてモータの駆動制御を行い、バッテリに外部電源が接続された場合には、制御部が電力変換部に交流直流変換をさせてバッテリの充電制御を行っている。このため、モータの駆動制御を行う場合とバッテリの充電制御を行う場合とで電力変換部を共用することができるため、バッテリ制御装置を小型軽量にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態によるバッテリ制御装置の要部構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態によるバッテリ制御装置の要部構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるバッテリ制御装置及び車両について詳細に説明する。尚、以下では、車両がプラグイン・ハイブリッド車であるものとし、バッテリ制御装置がプラグイン・ハイブリッド車に設けられたバッテリの充放電を制御するものであるとする。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるバッテリ制御装置の要部構成を示す回路図である。図1に示す通り、本実施形態のバッテリ制御装置1は、コンデンサ11、電力変換回路12(電力変換部)、切替器13(切替部)、リアクトル14、位相検出回路15(位相検出部)、電流センサ16、電圧センサ17、及び制御回路18(制御部)を備えており、バッテリBの充放電を制御する。
【0015】
ここで、バッテリBは、プラグイン・ハイブリッド車に設けられたリチウムイオン二次電池等の二次電池であり、外部電源PSから供給される電力により充電が可能であって、プラグイン・ハイブリッド車に設けられている動力発生源としてのモータMTに電力を供給する。外部電源PSは、例えば電圧が200Vの三相交流電力を供給する商用交流電源であり、プラグイン・ハイブリッド車に設けられた充電用の差し込み口(図示省略)にプラグを介挿することで、図1に示す通りリアクトル14及び位相検出回路15に接続される。
【0016】
コンデンサ11は、バッテリBの正電極と負電極との間に接続されており、バッテリBの充電時に外部電源PSから供給されて電力変換回路12で整流された電力を平滑化して直流電力にするために設けられる。電力変換回路12は、コンデンサ11と切替器13との間に設けられており、制御回路18の制御の下で、バッテリBからの直流電力を交流電力(三相交流電力)に変換する直流交流変換(第1変換)、又は外部電源PSからの交流電力(三相交流交流電力)を直流電力に変換する交流直流変換(第2変換)を行う。尚、直流交流変換によって得られた交流電力は切替器13側に出力され、交流直流変換によって得られた直流電力はバッテリB側に出力される。
【0017】
この電力変換回路12は、トランジスタ21a〜21fとダイオード22a〜22fとを備えている。トランジスタ21a〜21fは、バイポーラトランジスタであり、制御回路18によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ21a〜21fとしてFETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いることも可能である。
【0018】
トランジスタ21a,21c,21eは、コレクタ電極がコンデンサ11の一方の電極に接続されており、エミッタ電極がトランジスタ21b,21d,21fのコレクタ電極にそれぞれ接続されている。また、トランジスタ21b,21d,21fは、エミッタ電極がコンデンサ11の他方の電極に接続されている。これらトランジスタ21a〜21fのベース電極は制御回路18に接続されている。また、ダイオード22a〜22fは、トランジスタ21a〜21fのコレクタ・エミッタ間にそれぞれ接続されている。
【0019】
トランジスタ21a〜21fの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、バッテリBからの直流電力が交流電力に変換されて切替器13に出力される。尚、このような直流交流変換は、切替器13によってモータMTがバッテリBに電気的に接続されている場合に制御回路18の制御の下で行われる。
【0020】
これに対し、トランジスタ21a〜21fが全てオフ状態である場合に切替器13から交流電力(外部電源PSからの交流電力)が供給されると、その交流電力がダイオード22a〜22fによって整流されてコンデンサ11で平滑化されることにより直流電力に変換されてバッテリBに出力される。ここで、電力変換回路12で交流直流変換が行われる場合にも、電力の変換量が制御されるときには、トランジスタ21a〜21fのスイッチング動作が行われる。尚、このような交流直流変換は、切替器13によって外部電源PSがバッテリBに電気的に接続されている場合に制御回路18の制御の下で行われる。
【0021】
切替器13は、制御回路18の制御の下で、モータMTを電力変換回路12に接続するのか、又は、外部電源PSを電力変換回路12に接続するのかを切り替える。ここで、モータMTが電力変換回路12に接続された場合にはバッテリBに対してモータが電気的に接続され、外部電源PSが電力変換回路12に接続された場合にはバッテリBに対して外部電源PSが電気的に接続されることになる。
【0022】
尚、本実施形態では、切替器13の切り替えが制御回路18によって制御される例について説明するが、その切り替え制御は必ずしも制御回路18が行う必要はない。例えば、不図示の充電用の差し込み口にプラグが介挿されたか否かを検出するスイッチを設け、このスイッチがオン状態になったときに、切替器13の切り替えが機械的又は電気的に自動的に行われるようにしても良い。
【0023】
リアクトル14は、差し込み口にプラグが介挿されたときに流れる突入電流を防止するためのものであり、切替器13と不図示の充電用の差し込み口との間において各相毎に設けられている。つまり、外部電源PSは、各相毎に設けられたリアクトル14を介して電力変換回路12と接続されることになる。位相検出回路15は、不図示の充電用の差し込み口にプラグが介挿された場合に、外部電源PSから供給される交流電力の各相の位相を検出する。尚、この位相検出回路15の検出結果は、上記の不図示の充電用の差し込み口にプラグが介挿されたか否かを判断するためにも用いられる。
【0024】
電流センサ16は、バッテリBの正電極に接続された電流路に取り付けられており、バッテリBから流出する電流(放電電流)、及びバッテリBに流入する電流(充電電流)を検出する。電圧センサ17は、コンデンサ11に対して並列に取り付けられており、コンデンサ11の電位差(バッテリBの電圧)を検出する。これら電流センサ16及び電圧センサ17の検出結果を示す検出信号は、制御回路18に出力される。
【0025】
制御回路18は、演算器31、自動電流制御器(ACR:Automatic Current Regulator)32、演算器33、自動電圧制御器(AVR:Automatic Voltage Regulator)34、及びPWM制御器35を備えており、電流センサ16及び電圧センサ17の検出結果並びに位相検出回路15の検出結果を参照しつつ、バッテリBの充放電電流が電流指令信号S1で示される電流になるように電力変換回路12を制御する。また、位相検出回路15の検出結果に応じて切替器13の切り替え制御も行う。
【0026】
演算器31は、外部から入力される電流指令信号S1から電流センサ16の検出結果を減算することにより、バッテリBの実際の充放電電流と電流指令信号S1で指示される電流値との差である電流誤差信号を求める。自動電流制御器32は、演算器31から出力される電流誤差信号を零とする制御信号を生成して出力する。演算器33は、自動電流制御器32から出力される制御信号から電圧センサ17の検出結果を減算することにより、バッテリBの実際の出力電圧と自動電流制御器32から出力される制御信号との差である電圧誤差信号を求める。自動電圧制御器34は、演算器33から出力される電圧誤差信号を零とする制御信号を出力する。
【0027】
PWM制御器35は、位相検出回路15の検出結果を参照しつつ、自動電圧制御器34から出力される制御信号に基づいて電力変換回路12に設けられたトランジスタ21a〜21fの各々をスイッチング動作(PWMスイッチング動作)させる。また、PWM制御器35は、位相検出回路15の検出結果に応じて切替器13の切り替え制御を行う。以上の制御回路18において、電流センサ16、演算器31〜PWM制御器35、及び電力変換回路12からなる制御ループ(メジャー制御ループ)でバッテリBの充放電電流が制御され、電圧センサ17、演算器33〜PWM制御器35、及び電力変換回路12からなる制御ループ(マイナー制御ループ)で電力変換回路12の電圧制御が行われる。
【0028】
次に、上記構成におけるバッテリ制御装置1の動作について説明する。バッテリ制御装置1の動作は、バッテリBの電力を用いてモータMTを駆動する場合の駆動動作と、外部電源PSを用いてバッテリBを充電する場合の充電動作とに大別される。以下、各々の動作について順に説明する。
【0029】
[駆動動作]
バッテリBの電力を用いてモータMTの駆動が行われる場合には、プラグイン・ハイブリッド車に設けられた不図示の充電用の差し込み口に対するプラグ(外部電源PSのプラグ)の介挿は行われない。このため、位相検出回路15で位相検出が行われないことから、制御回路18に設けられたPWM制御器35は、切替器13を制御してモータMTを電力変換回路12に接続させる。これにより、バッテリBに対してモータMTが電気的に接続される。
【0030】
モータMTがバッテリBに対して電気的に接続されている状態で電流指令信号S1が入力されると、制御回路18に設けられたPWM制御器35は、自動電圧制御器34から出力される制御信号に基づいて、電力変換回路12に設けられたトランジスタ21a〜21fの各々のスイッチング動作を開始させる。トランジスタ21a〜21fのスイッチング動作が開始されると、バッテリBからの直流電力が交流電力に変換される。この交流電力は切替器13を介してモータMTに供給され、これによりモータMTが駆動される。
【0031】
ここで、電流指令信号S1で示される電流値の値が大きくなると、トランジスタ21a〜21fのスイッチング周期の長さと、トランジスタ21a〜21fがオン状態である時間との比であるデューティ比が大きくなる。すると、モータMTに供給される平均的な電力量が増大し、これによりモータMTの回転数が高くなる。これに対し、電流指令信号S1で示される電流値の値が小さくなるとデューティ比が小さくなる。すると、モータMTに供給される平均的な電力量が減少し、これによりモータMTの回転数は低くなる。このようにして、モータMの駆動制御が行われる。
【0032】
[充電動作]
外部電源PSからの電力を用いてバッテリBの充電を行う場合には、まずユーザが外部電源PSのプラグをプラグイン・ハイブリッド車に設けられた不図示の充電用の差し込み口に介挿する。すると、外部電源PSからの交流電力がプラグを介してバッテリ制御装置1に供給され、位相検出回路15で交流電力の位相検出が行われる。位相検出回路15の検出結果が制御回路18のPWM制御器35に出力されると、PWM制御器35は切替器13を制御して外部電源PSを電力変換回路12に接続させる。これにより、バッテリBに対して外部電源PSが電気的に接続される。
【0033】
外部電源PSがバッテリBに対して電気的に接続されている状態で電流指令信号S1が入力されると、制御回路18に設けられたPWM制御器35は、位相検出回路15の検出結果を参照しつつ、自動電圧制御器34から出力される制御信号に基づいて、電力変換回路12に設けられたトランジスタ21a〜21fの各々のスイッチング動作を開始させる。尚、自動電圧制御器34から出力される制御信号によってはスイッチング動作を開始させずに、トランジスタ21a〜21fをオフ状態に維持することもある。
【0034】
ここで、説明を簡単にするために、トランジスタ21a〜21fの全てがオフ状態に維持されているとすると、電力変換回路12に設けられたダイオード22a〜22fによって三相全波整流回路が構成される。外部電源PSから供給される交流電力は、リアクトル14を介して電力変換回路12に入力し、三相全波整流回路を構成するダイオード22a〜22fによって整流され、コンデンサ11で平滑されることにより直流電力に変換される。このようにして変換された直流電力は、バッテリBに供給されてバッテリBが充電される。
【0035】
ここで、あるデューティ比でトランジスタ21a〜21fの各々のスイッチング動作が行われている場合について考える。かかる場合に、電流指令信号S1で示される電流値の値が大きくなると、電力変換回路12で交流電力から直流電力に変換される電力の量が増大し、これによりバッテリBの充電に用いられる電力量が多くなる。これに対し、電流指令信号S1で示される電流値の値が小さくなると、電力変換回路12で交流電力から直流電力に変換される電力の量が減少し、これによりバッテリBの充電に用いられる電力量が少なくなる。このようにして、バッテリBの充電制御が行われる。
【0036】
以上の通り、本実施形態では、バッテリBに対してモータMT及び外部電源PSの何れを接続するかを切り替える切替器13と、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換する直流交流変換と外部電源PSからの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換とが可能な電力変換回路12とが設けられている。そして、バッテリBにモータMTが接続された場合には、制御回路18が電力変換回路12に直流交流変換をさせてモータMTの駆動制御を行い、バッテリBに外部電源PSが接続された場合には、制御回路18が電力変換回路12に交流直流変換をさせてバッテリBの充電制御を行っている。
【0037】
このように、本実施形態では、電力変換回路12をモータMTの駆動制御を行う場合とバッテリBの充電制御を行う場合とで共用することができるため、バッテリ制御装置1を小型・軽量にすることができる。また、小型・軽量のバッテリ制御装置1をプラグイン・ハイブリッド車に設けることで、プラグイン・ハイブリッド車の燃費を向上させることができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態によるバッテリ制御装置の要部構成を示す回路図である。尚、図2においては、図1に示した構成と同じ構成については、同一の符号を付してある。図2に示す通り、本実施形態のバッテリ制御装置2は、図1に示したバッテリ制御装置1にDC/DCコンバータ40(降圧装置)を追加し、制御回路18を制御回路50に代えた構成である。電力変換回路12は、外部電源PSからの電力を用いたバッテリBの充電を行う場合に昇圧動作しかできない。バッテリBの仕様によってはバッテリBに印加する電圧を低減する必要があることから、本実施形態ではDC/DCコンバータ40及び制御回路50を設け、このような仕様のバッテリBに対応したものである。
【0039】
DC/DCコンバータ40は、バッテリBとコンデンサ11との間に設けられており、制御回路50の制御の下で、バッテリBから供給される直流電力、或いはコンデンサ11で平滑化された直流電力の電力変換を行う。このDC/DCコンバータ40は、コンデンサ41、チョークコイル42、トランジスタ43a,43b、及びダイオード44a,44bを備えている。コンデンサ41は、バッテリBの正電極と負電極との間に接続されている。チョークコイル42は、一端がコンデンサ41の一方の電極に接続されており、他端がトランジスタ43aのエミッタ電極とトランジスタ43bのコレクタ電極との接続点に接続されている。
【0040】
トランジスタ43a,43bは、バイポーラトランジスタであり、制御回路50によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ43a,43bとしてFETトランジスタを用いることも可能である。トランジスタ43aは、コレクタ電極がコンデンサ11の一方の電極に接続されており、エミッタ電極がトランジスタ43bのコレクタ電極に接続されている。また、トランジスタ43bは、エミッタ電極がコンデンサ11の他方の電極に接続されている。これらトランジスタ43a,43bのベース電極は制御回路50に接続されている。また、ダイオード44a,44bは、トランジスタ43a〜43bのコレクタ・エミッタ間にそれぞれ接続されている。
【0041】
トランジスタ43aをオフ状態にし、トランジスタ43bをスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、DC/DCコンバータ40は、非絶縁型昇圧チョークコンバータとして動作する。このため、バッテリBの出力電圧を昇圧することができる。尚、かかる動作は、切替器13によってモータMTがバッテリBに電気的に接続されている場合に制御回路50の制御の下で行われる。
【0042】
これに対し、トランジスタ43bをオフ状態にし、トランジスタ43aをスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、DC/DCコンバータ40は、非絶縁型降圧チョークコンバータとして動作する。このため、コンデンサ11に現れる電圧をバッテリBに適した電圧に降圧することができる。尚、かかる動作は、切替器13によって外部電源PSがバッテリBに電気的に接続されている場合に制御回路50の制御の下で行われる。
【0043】
制御回路50は、図1に示す制御回路18が備える演算器31〜PWM制御器35に加えて、PWM制御器51を備える。但し、図1に示す制御回路18は、自動電流制御器32の出力端が演算器33に接続されていたが、制御回路50は、自動電流制御器32の出力端がPWM制御器51に接続され、演算器33には外部から中間電圧指令信号S2が入力されている。つまり、制御回路50は、バッテリBの充放電電流の制御を電流指令信号S1を用いて行い、電力変換回路12の電圧制御を中間電圧指令信号S2を用いて行う構成である。
【0044】
PWM制御器51は、自動電流制御器32から出力される制御信号に基づいて、DC/DCコンバータ40に設けられたトランジスタ43a,43bの各々をスイッチング動作(PWMスイッチング動作)させる。具体的には、モータMTがバッテリBに電気的に接続されている場合には、例えばトランジスタ43aをオフ状態にし、トランジスタ43bをスイッチング動作させる制御を行う。これに対し、外部電源PSがバッテリBに電気的に接続されている場合には、例えばトランジスタ43bをオフ状態にし、トランジスタ43aをスイッチング動作させる制御を行う。尚、トランジスタ43a,43bをPWMスイッチング動作させる場合のデューティ比は、電圧を昇圧させ又は降圧させる度合いに応じて制御される。
【0045】
以上の構成におけるバッテリ制御装置2の動作は、モータMTの駆動制御時にバッテリBの出力電圧がDC/DCコンバータ40で昇圧され、バッテリBの充電制御時にコンデンサ11に現れる電圧が降圧される点を除いて、基本的には第1実施形態のバッテリ制御装置1の動作と同様である。このため、ここでは、バッテリ制御装置2の動作の詳細については省略する。
【0046】
本実施形態においても、バッテリBに対してモータMT及び外部電源PSの何れを接続するかを切り替える切替器13と、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換する直流交流変換と外部電源PSからの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換とが可能な電力変換回路12とが設けられている。そして、バッテリBにモータMTが接続された場合には、制御回路50が電力変換回路12に直流交流変換をさせてモータMTの駆動制御を行い、バッテリBに外部電源PSが接続された場合には、制御回路50が電力変換回路12に交流直流変換をさせてバッテリBの充電制御を行っている。
【0047】
このように、本実施形態でも、電力変換回路12をモータMTの駆動制御を行う場合とバッテリBの充電制御を行う場合とで共用することができるため、バッテリ制御装置2を小型・軽量にすることができる。また、小型・軽量のバッテリ制御装置2をプラグイン・ハイブリッド車に設けることで、プラグイン・ハイブリッド車の燃費を向上させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態によるバッテリ制御装置及び車両について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、外部電源PSが三相交流電力を供給するものであり、電力変換回路12がバッテリBからの直流電力を三相交流電力に変換するものである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、外部電源が単相交流電力を供給するものであって、電力変換回路がバッテリBからの直流電力を単相交流電力に変換するものである場合にも適用可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、車両がプラグイン・ハイブリッド車である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、外部電源から供給される電力により充電が可能なバッテリと、このバッテリから供給される電力によって動力を発生する動力発生源としてのモータを備える車両一般に適用することができる。例えば、上記のプラグイン・ハイブリッド車以外に、電気自動車、電動式の重機等の車両にも本発明を適用可能である
【符号の説明】
【0050】
1,2 バッテリ制御装置
12 電力変換回路
13 切替器
14 リアクトル
15 位相検出回路
18 制御回路
40 DC/DCコンバータ
50 制御回路
B バッテリ
MT モータ
PS 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から供給される電力により充電が可能なバッテリの充放電を制御するバッテリ制御装置であって、
前記バッテリに対し、モータを電気的に接続するのか、前記外部電源を電気的に接続するのかを切り替える切替部と、
前記バッテリと前記切替部との間に設けられ、前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換する第1変換と、前記外部電源からの交流電力を直流電力に変換する第2変換とが可能な電力変換部と、
前記バッテリに前記モータが電気的に接続された場合には前記電力変換部に前記第1変換をさせて前記モータの駆動制御を行い、前記バッテリに前記外部電源が電気的に接続された場合には前記電力変換部に前記第2変換をさせて前記バッテリの充電制御を行う制御部と
を備えることを特徴とするバッテリ制御装置。
【請求項2】
前記外部電源からの交流電力の位相を検出する位相検出部を備えており、
前記制御部は、前記位相検出器の検出結果を用いて前記バッテリの充電制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリ制御装置。
【請求項3】
前記外部電源からの交流電力、及び前記電力変換部で前記第1変換により変換されて前記モータに供給される交流電力は、三相交流電力であることを特徴とする請求項2記載のバッテリ制御装置。
【請求項4】
前記外部電源は、各相毎に設けられたリアクトルを介して前記電力変換部と接続されることを特徴とする請求項3記載のバッテリ制御装置。
【請求項5】
前記バッテリと前記電力変換部との間に設けられ、前記電力変換部で前記第2変換により変換される直流電力の電圧を、前記バッテリに適した電圧に低下させる降圧装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のバッテリ制御装置。
【請求項6】
動力発生源としてのモータと、外部電源から供給される電力により充電が可能であって前記モータに電力を供給するバッテリとを備える車両であって、
前記バッテリの充放電を制御する請求項1から請求項5の何れか一項に記載のバッテリ制御装置を備えることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−44766(P2012−44766A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183197(P2010−183197)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】