バーチャルスライド作成装置
【課題】簡易な構成で、移動パターンを予め設定することなく、観察対象のバーチャルスライドを作成する。
【解決手段】標本Aを搭載するステージ6と、標本Aからの光を集光する対物レンズ9と、これらの少なくとも一方を対物レンズ9の光軸に交差する方向に相対的に移動させる操作入力部4と、ステージ6と対物レンズ9との相対位置情報を取得する位置検出部8a,8bと、標本Aの部分的な拡大画像を取得する撮像部10と、取得された拡大画像を表示する表示部5と、取得された相対位置情報に基づいてステージ6および対物レンズ9の少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に撮像部10により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、保持された拡大画像を、検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置1を提供する。
【解決手段】標本Aを搭載するステージ6と、標本Aからの光を集光する対物レンズ9と、これらの少なくとも一方を対物レンズ9の光軸に交差する方向に相対的に移動させる操作入力部4と、ステージ6と対物レンズ9との相対位置情報を取得する位置検出部8a,8bと、標本Aの部分的な拡大画像を取得する撮像部10と、取得された拡大画像を表示する表示部5と、取得された相対位置情報に基づいてステージ6および対物レンズ9の少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に撮像部10により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、保持された拡大画像を、検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャルスライド作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病理診断等の医療の現場では、組織や細胞等の観察対象のごく一部の限定された微細構造を把握するだけでなく、観察対象の全体像も把握しながら診断を行う必要があり、全体像と微細な観察像とを効率的に観察する手法としてバーチャルスライドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
バーチャルスライドは、観察対象の各部を部分的に撮影した高倍率の顕微鏡画像の撮影を、撮影範囲が部分的に重なるようにずらして繰り返し行い、取得された複数枚の顕微鏡画像を画像処理してズレのないように貼り合わせることにより、仮想的に、観察対象全体を一度に撮影したようなスライド画像を観察可能にするものである。
【0003】
特許文献1に開示されているバーチャルスライド作成方法では、観察対象全体にわたって網羅的に撮影するための拡大画像の撮像位置を予め設定しておき、顕微鏡コントローラが、予め設定された移動パターンに従って、拡大画像を取得していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−17930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、予め設定した移動パターンによって観察対象全体を網羅的に撮影するためには、観察対象を含まない領域についてもマス目状に撮影範囲を設定して拡大画像を取得する必要があり、不要な画像が多数取得されて、後の画像処理が複雑化したり長時間化したりするという不都合がある。また、観察対象を含まない領域については画像取得しないようにするには、観察対象全体を一度プレスキャンして、観察対象を含まない領域を除外するように移動パターンを設定する必要があり、プレスキャン分の余計な工数と、観察対象を含まない領域を抽出するための処理時間がかかるという不都合がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、移動パターンを予め設定することなく、観察対象のバーチャルスライドを作成することができるバーチャルスライド作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、標本を搭載するステージと、該ステージ上に搭載された標本からの光を集光する対物レンズと、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方を該対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる相対移動機構と、該相対移動機構を操作するための操作入力部と、前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報を取得する位置検出部と、該前記対物レンズにより集光された光を撮影して標本の部分的な拡大画像を取得する撮像部と、該撮像部により取得された拡大画像を表示する表示部と、前記位置検出部により取得された相対位置情報に基づいて前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、該画像保持部により保持された拡大画像を前記位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、ステージに標本を搭載して、撮像部により標本を撮影し、撮影された標本の部分的な拡大画像を表示部に表示しながら、操作入力部を操作して、相対移動機構を作動させることにより、対物レンズと標本とを対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる。対物レンズとステージとが相対的に移動させられると、位置検出部により、相対位置情報が検出され、画像保持部が、その相対移動量を監視して、所定距離だけ相対的に移動する毎に撮像部により取得された拡大画像が保持される。保持された拡大画像は、画像処理部によって、拡大画像の取得時に位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列されることによって、簡易にバーチャルスライドとして合成される。
【0009】
すなわち、観察者は、表示部を確認しながら操作入力部によって対物レンズとステージとを相対的に移動させるので標本の存在しない領域において対物レンズとステージとを相対的に移動させる無駄な作業を行わずに済む。また、対物レンズとステージとが所定距離だけ相対的に移動する毎に、自動的に拡大画像が保持されるので、予め移動パターンを設定せずに済み、移動パターンの設定作業に要する工数やプレスキャンに要する時間を削減することができる。
【0010】
上記発明においては、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、相互に直交するX方向およびY方向に独立して相対移動可能に設けられ、前記画像保持部は、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、前記X方向または前記Y方向のいずれかに所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持してもよい。
このようにすることで、X方向およびY方向に同時に移動して、移動距離が所定距離を超えたとしても、X方向またはY方向のいずれかが所定距離だけ移動しない限り、拡大画像が保持されないので、隣接して保持される画像どうしの重なり幅寸法を一定に維持することができる。これにより、重なり部分の画像を用いた画像パターン認識によるズレを低減した貼り合わせ処理を容易にすることができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方の相対移動速度を検出する速度検出部を備え、前記画像保持部は、該速度検出部により検出された相対移動速度が、所定の閾値を下回る場合にのみ前記撮像部により取得された拡大画像を保持してもよい。
【0012】
このようにすることで、相対移動速度が所定の閾値以上の場合には、画像の取得が行われず、相対移動速度が所定の閾値を下回る場合に画像が取得される。一般に、操作入力部を操作しながら対物レンズとステージとを相対的に移動させる場合に、観察対象が存在しないなど、不必要な部分は相対移動速度が大きく、目的の観察対象が存在する場合には遅い相対移動速度で移動させられる。したがって、目的の観察対象が存在する領域では、相対移動速度が所定の閾値を下回ることになり、所定距離だけ相対的に移動する毎に撮像部により拡大画像が取得される。
【0013】
また、上記発明においては、前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、前記撮像部により取得された拡大画像のコントラスト値を算出するコントラスト算出部と、該コントラスト算出部により算出されたコントラスト値と、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像のコントラスト値とを比較するコントラスト比較部とを備え、前記画像処理部が、前記コントラスト比較部による比較の結果、新たに取得された拡大画像が前記記憶部に記憶されている他の拡大画像より高いコントラスト値を有する場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用してもよい。
このようにすることで、同一位置について取得された拡大画像が複数存在する場合に、コントラスト値が高い拡大画像が使用されてバーチャルスライドが合成されるので、より鮮明なバーチャルスライドを得ることができる。
【0014】
また、上記発明においては、観察方法を変更する観察方法変更部を備え、前記画像処理部が、前記観察方法変更部による観察方法の変更に応じて、新たなバーチャルスライドを合成してもよい。
このようにすることで、観察方法変更部の作動により観察方法が変更されると、画像処理部が新たなバーチャルスライドを合成する。観察方法としては、蛍光観察、白色光観察あるいは微分干渉観察のように目的とする観察対象に応じた種々の観察方法が存在するが、観察方向が変更されると目的とする観察対象が変更される。このため、新たなバーチャルスライドを合成することとして、バーチャルスライドを観察方法毎に作成することができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、観察倍率を変更する観察倍率変更部とを備え、前記画像処理部は、前記観察倍率変更部により変更された観察倍率が、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像の観察倍率より高い場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用してもよい。
このようにすることで、同一位置について取得された拡大画像が複数存在する場合に、観察倍率が高い拡大画像が使用されてバーチャルスライドが合成されるので、より鮮明なバーチャルスライドを得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で、移動パターンを予め設定することなく、観察対象のバーチャルスライドを作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーチャルスライド作成装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】図1のバーチャルスライド作成装置の制御部を示すブロック図である。
【図3】図1のバーチャルスライド作成装置を用いた拡大画像の取得動作を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートに従う拡大画像の取得動作を説明する図であり、(a)1段目の拡大画像列、(b)2段目の拡大画像列、(c)3段目の拡大画像列の取得順序をそれぞれ示している。
【図5】図1のバーチャルスライド作成装置による拡大画像の取得動作の変形例を示すフローチャートである。
【図6】図2の制御部の変形例を示すブロック図である。
【図7】図5のフローチャートにおける処理サブルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートに従う拡大画像の取得動作を説明する図である。
【図9】図2の制御部の他の変形例を示すブロック図である。
【図10】図5のフローチャートにおける処理サブルーチンの他の例を示すフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートに従う拡大画像の取得動作を説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るバーチャルスライド作成装置を模式的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るバーチャルスライド作成装置について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1は、図1に示されるように、顕微鏡本体2と、該顕微鏡本体2を制御するとともにバーチャルスライドを生成する制御部3と、該制御部3に対して顕微鏡本体2の操作指令信号を入力する操作入力部4と、顕微鏡本体2により撮影された画像を表示するとともに、制御部3により生成されたバーチャルスライドを表示する表示部5(例えばディスプレイ)とを備えている。
【0019】
顕微鏡本体2は、図1に示されるように、スライドガラス上に載置された標本Aを搭載するステージ6と、該ステージ6を相互に直交する水平2方向(後述する対物レンズ9の光軸に交差する方向すなわち対物レンズ9の光軸に対して垂直な矢印X,Y方向)に移動させるモータ(相対移動機構)7a,7bと、該モータ7a,7bにより移動されたステージ6の原点に対する位置(相対位置情報)を検出するセンサ(位置検出部)8a,8bと、標本Aに対向して配置され、標本Aからの光を集光する対物レンズ9と、該対物レンズ9により集光された光を撮影して標本Aの拡大画像を取得するCCDのような撮像部10とを備えている。
【0020】
ステージ6は、モータ7aによって矢印Xの方向に移動させられ、モータ7bによって矢印Yの方向に移動させられるようになっている。
センサ8aは、ステージ6のX方向位置を検出し、センサ8bはステージ6のY方向位置を検出し、それぞれ検出した位置情報を制御部3に向けて送信するようになっている。
【0021】
また、撮像部10は、スライドガラス上に載置された標本Aを撮影してその画像データを制御部3に送るようになっている。
操作入力部4は、ジョイスティックやジョグダイヤル等の任意の手動の入力装置であって、ステージ6をX,Y、2方向にそれぞれ水平移動させるように、モータ7a,7bに対する移動指令信号を出力するようになっている。
【0022】
制御部3は、顕微鏡本体2の撮像部10から送られてきた画像データを処理して表示部5に表示するようになっている。また、制御部3は、操作入力部4から入力された移動指令信号を各モータ7a,7bに送り、移動指令信号に応じた移動距離だけステージ6を水平移動させるようになっている。
【0023】
また、制御部3は、図2に示されるように、センサ8a,8bから送られてきたステージ6の位置情報に基づいて、直前の画像取得位置からのステージ6の移動距離を算出し、算出された移動距離が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定部11(例えばCPU(中央演算処理装置))を備えている。本実施形態においては、判定部11は、ステージ6の移動距離をX方向とY方向とに分けて算出するようになっている。また、閾値も、X方向とY方向とに分けて設定されている。
【0024】
また、制御部3は、図2に示されるように、算出された移動距離が所定の閾値を超えた場合に、その時点において撮像部10から送られてきた拡大画像と、センサ8a,8bから送られてきたステージ6の位置情報とを対応づけて記憶する記憶部(画像保持部)12(例えばイメージデータサーバ)と、該記憶部12に記憶された画像を配列してバーチャルスライドを生成する画像処理部13(例えばCPU)とを備えている。すなわち、制御部3は、X方向の移動距離がX方向の閾値を超えるかまたはY方向の移動距離がY方向の閾値を超えた場合に、拡大画像とステージ6の位置情報とを対応づけて記憶部12に記憶するようになっている。なお、拡大画像のデータと、ステージ6の位置情報のデータとは、別々の記憶部に記憶しても良い。
【0025】
画像処理部13は、記憶部12に記憶されている標本A各部の拡大画像を配列することにより拡大画像を貼り合わせてバーチャルスライドを生成するようになっている。具体的には、標本A各部の拡大画像には、該拡大画像が取得された時点におけるステージ6の位置情報が対応づけて記憶されているので、当該ステージ6の位置情報に従って拡大画像を配列するように合成するだけで、バーチャルスライドを生成することができるようになっている。
【0026】
このように構成された本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1の作用について図3および図4を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1を用いて標本Aのバーチャルスライドを生成するには、まず、初期設定を行い(ステップS1)、顕微鏡本体2の撮像部10を作動させて、ステージ6上の標本Aを撮影する(ステップS2)。初期設定においては、引数n=1の設定を行うとともに、ステージ6を原点位置(X0,Y0)に配置する。
【0027】
撮像部10により取得された画像は、常時、制御部3に送られて処理され、表示部5に表示される。観察者は、表示部5の表示を見ながら、操作入力部4を操作して顕微鏡本体2のステージ6をX,Y、2方向に水平移動させ、撮像部10により撮影される標本Aの撮影領域を移動させる。観察者は、表示部5に表示された画像中に表れる標本Aを探し、標本Aの全体が漏れなく表示されるようにステージ6を移動させることができる。
【0028】
ステージ6が移動させられると、センサ8a,8bによってステージ6の位置、例えば、ステージ6の中央の位置座標(X,Y)が取得され、制御部3に送られる(ステップS3)。制御部3の判定部11においては、送られてきたステージ6の位置座標(X,Y)と原点位置の位置座標(X0,Y0)との間の移動距離が算出される(ステップS4)。具体的には、ステージ6の位置座標(X,Y)と原点位置の位置座標(X0,Y0)との差分(X−X0,Y−Y0)が算出される。
【0029】
判定部11は、算出された移動距離である差分(X−X0,Y−Y0)と、所定の閾値(XC,YC)とを比較し、差分のX成分X−X0およびY成分Y−Y0が閾値XC,YCより大きいか否かを判断する(ステップS5,S6)。そして、制御部は、X−X0>XCまたはY−Y0>YCのいずれかが成立した場合には、その瞬間に取得された拡大画像と、その瞬間におけるステージ6の位置情報(X1,Y1)とを対応づけて記憶部12に記憶する(ステップS7)。
【0030】
そして、引数nがインクリメントされ(ステップS8)、全ての画像取得が終了したか否かが判定されて(ステップS9)、終了していない場合には、ステップS2〜S9が繰り返される。
全ての画像取得が終了していない場合に、観察者が、継続して操作入力部4を操作してステージ6を移動させると、センサ8a,8bによって検出されたステージ6の位置座標(X,Y)が制御部3に送られ、制御部3の判定部11においてステージ6の位置座標(X,Y)と直前に拡大画像が記憶されたステージの位置座標(Xn−1,Yn−1)との間の移動距離(X−Xn−1,Y−Yn−1)が算出される(ステップS4)。
【0031】
判定部11は、算出された移動距離である差分(X−Xn−1,Y−Yn−1)と、所定の閾値(XC,YC)とを比較し、差分のX成分X−Xn−1およびY成分Y−Yn−1が閾値XC,YCより大きいか否かを判断する(ステップS5,S6)。そして、判定部11は、X−Xn−1>XCまたはY−Yn−1>YCのいずれかが成立した場合には、その瞬間に取得された拡大画像と、その瞬間におけるステージ6の位置情報(Xn,Yn)とを対応づけて記憶部12に記憶する。
【0032】
このようにすることで、記憶部12に記憶される拡大画像Gは、隣接する拡大画像Gとの間におけるX方向またはY方向の重なり幅が一定となる。例えば、図4(a)に示される例では、撮影範囲を矢印の方向(主としてX方向)に沿って左から右に送っていくことにより、X方向の重なり幅hxが一定となるように、順次拡大画像Gが記憶されて一列目の拡大画像G列が取得される。図において、破線は過去の拡大画像G、実線は最新の拡大画像Gを示している。
【0033】
そして、図4(b)に示されるように、図4(a)の拡大画像G列の下段の拡大画像G列を取得する際には、図4(a)のような上段の拡大画像G列の一番右端の拡大画像Gに対してY方向の重なり幅hyが所定寸法となる位置で拡大画像Gが取得される。その後、撮影範囲を矢印の方向(主としてX方向)に沿って右から左に送っていくことにより、X方向の重なり幅hxが一定となるように、順次拡大画像Gが記憶されて2列目の拡大画像G列が取得される。同様に図4(c)に示されるように3列目の拡大画像列が取得される。これにより、標本A全体の拡大画像が漏れなく記憶される。
【0034】
制御部3に備えられた画像処理部13は、記憶部12に記憶されている拡大画像情報をそれに対応づけて記憶されている位置情報に従って貼り合わせることにより、バーチャルスライドを合成する。
【0035】
このように、本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1によれば、観察者が、表示部5の表示を確認しながら操作入力部4を操作するだけで、拡大画像Gが相互に隙間を空けないように自動的に記憶されていくので、移動パターンを予め設定しておかなくても、標本A全体を網羅する複数の拡大画像Gを簡単に取得することができ、その際に、標本Aが存在しないような無駄な画像を取得せずに済むという利点がある。また、予め移動パターンを設定する場合における標本Aの輪郭形状の抽出作業を行わずに済むので、バーチャルスライドが作成されるのに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、全ての拡大画像Gを取得した後に、画像処理部13によってバーチャルスライドを構成することとしたが、拡大画像Gを取得する毎に、バーチャルスライドを順次合成していってもよい。
また、本実施形態においては、判定部11が、ステージ6の移動距離をX方向とY方向とに分けて算出し、それぞれの閾値のいずれかを超えた時点で拡大画像Gを記憶部12に記憶することとしたが、これに代えて、判定部11が移動距離を算出し、移動距離が単一の閾値を超えた時点で拡大画像Gを記憶することにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1においては、図5〜図11に示されるように、バーチャルスライドを作成するために記憶部12に記憶する拡大画像Gについて、以下のような処理を施してもよい。
すなわち、図5に示されるように、拡大画像Gnおよびその位置座標(Xn,Yn)を記憶部12に記憶するステップS7と引数nをインクリメントするステップS8との間に、処理サブルーチンS10を配置してもよい。
【0038】
この場合に、制御部3の判定部11は、新規に取得された拡大画像Gnのコントラストを算出するとともに、既に記憶部12に記憶されている拡大画像Gを呼び出してそのコントラストを算出する。そして、判定部11は、コントラストが大きい方の拡大画像を記憶部12に記憶するようになっている。判定部11は、コントラスト算出部およびコントラスト比較部を構成する。
【0039】
処理サブルーチンS10の処理としては、例えば、図7に示されるように、まず、判定部11が、最後に記憶部12に記憶された最新の拡大画像Gnと同一位置に、過去に取得された拡大画像Gが存在するか否かを判定する(ステップS11)。この判定は、例えば、最新の拡大画像Gnの範囲内に中心座標を有する他の拡大画像Gが記憶部12内に記憶されているか否かを検索することにより行われる。他の拡大画像Gが存在しない場合には、引数nをインクリメントするステップS8に戻る。
【0040】
図8に示されるように、最新の拡大画像Gnと同一位置に他の拡大画像Gが存在する場合には、判定部11が、拡大画像GnのコントラストCnおよび記憶部12から呼び出した拡大画像GのコントラストCを算出する(ステップS12)。
【0041】
そして、判定部11は、これらのコントラストCn,Cを比較し(ステップS13)、最新の拡大画像GnのコントラストCnが過去の拡大画像GのコントラストCより大きい場合にはステップS8に戻る。一方、コントラストCnがコントラストC以下の場合には、最新の拡大画像Gnを削除し(ステップS14)、引数nをデクリメントして(ステップS15)ステップS8に戻る。
【0042】
このようにして取得された拡大画像Gを配列してバーチャルスライドを作成する際には、画像処理部13が、拡大画像Gを撮影順に上書きして合成することにより、同一位置において取得された拡大画像Gについては、コントラストの高いものが残ることになる。すなわち、このようにすることで、コントラストが高く鮮明なバーチャルスライドを作成することができるという利点がある。
【0043】
また、複数の対物レンズ9をレボルバ等の観察倍率変更部(図示略)によって交換することにより撮影倍率(観察倍率)を変更可能である場合には、上記処理サブルーチンS10は以下のように行われてもよい。
すなわち、図9に示されるように、制御部3の判定部11には、レボルバによって切り替えられた撮影倍率の情報も入力されるようになっている。
【0044】
図10に示されるように、まず、拡大画像Gが取得されて、処理サブルーチンS10が開始されると、判定部11においては、撮影倍率の情報が読み取られる(ステップS20)。そして、最後に記憶部12に記憶された最新の拡大画像Gnと同一位置に、過去に取得された拡大画像Gが存在するか否かを判定する(ステップS21)。他の拡大画像Gが存在しない場合には、引数nをインクリメントするステップS8に戻る。
【0045】
図11に示されるように、最新の拡大画像Gnと同一位置に他の拡大画像Gが存在する場合には、判定部11が、最新の拡大画像Gnの撮影倍率が、同一位置の他の拡大画像Gの撮影倍率より大きいか否かを判定し(ステップS22)、大きい場合には、引数nをインクリメントするステップS8に戻る。大きくない場合には、判定部11は撮影倍率が等しいか否かを判定し(ステップS23)、等しくない場合、すなわち、最新の拡大画像Gnの撮影倍率が、同一位置の他の拡大画像Gの撮影倍率より小さい場合には、最新の拡大画像Gnを削除し(ステップS26)、引数nをデクリメントして(ステップS27)ステップS8に戻る。
【0046】
一方、最新の拡大画像Gnの撮影倍率が、同一位置の他の拡大画像Gの撮影倍率と等しい場合には、判定部11により、拡大画像GnのコントラストCnおよび記憶部12から呼び出した他の拡大画像GのコントラストCが算出される(ステップS24)。そして、判定部11は、これらのコントラストCn,Cを比較し(ステップS25)、最新の拡大画像GnのコントラストCnが過去の拡大画像GのコントラストCより大きい場合にはステップS8に戻る。一方、コントラストCnがコントラストC以下の場合には、最新の拡大画像Gnを削除し(ステップS26)、引数nをデクリメントして(ステップS27)ステップS8に戻る。
【0047】
このようにして取得された拡大画像Gを配列してバーチャルスライドを作成する際には、画像処理部13が、拡大画像Gを撮影順に上書きして合成することにより、同一位置において取得された拡大画像Gについては、撮影倍率が高いか、またはコントラストの高いものが残ることになる。すなわち、このようにすることで、重要な部分について撮影倍率が高く、また、全体としてはコントラストが高く鮮明なバーチャルスライドを作成することができるという利点がある。
【0048】
また、撮影倍率を大きくすると、撮影範囲は小さくなるので、撮影倍率に応じて判定部11により記憶部12に記憶することを判定するための閾値を小さくし、撮影倍率を小さくした場合には閾値を大きく設定することにしてもよい。
また、対物レンズ9を固定し、標本Aを載置したステージ6を移動させることとしたが、この逆に、ステージ6を固定して対物レンズ9を移動させることにしてもよい。
【0049】
また、判定部11を、センサ8a,8bにより検出された位置情報を微分してステージ6の速度(相対移動速度)を算出する速度検出部としても機能させ、算出された速度が所定の閾値以上のときには、移動距離が所定の閾値を超えても拡大画像Gを記憶部12に記憶しないことにしてもよい。
【0050】
このようにすることで、ステージ6が高い速度で送られているときには、表示部5に表時される画像は高速に流れるので、観察者が観察する必要のない領域であると判断できる。したがって、このような領域での拡大画像12の記憶を行わないことにより、このような領域の無駄な拡大画像G(例えば、標本Aが存在しない画像等)が記憶部12に記憶されてしまう不都合の発生を防止することができる。
【0051】
また、顕微鏡本体として、蛍光観察、反射光観察あるいは微分干渉観察等、複数の観察方法によって同一の標本Aを観察することが可能なものを使用する場合には、観察方法変更部を設け、観察方法の切り替えに応じて、新たなバーチャルスライドを合成することにしてもよい。
【0052】
次に、本発明の他の実施形態に係るバーチャルスライド作成装置について、図面を参照して以下に説明する。
この実施形態に係るバーチャルスライド作成装置21は、図12に示されるように、顕微鏡本体22と、該顕微鏡本体22を制御するとともにバーチャルスライドを生成する制御部3と、顕微鏡本体22により撮影された画像を表示するとともに、制御部3により生成されたバーチャルスライドを表示する表示部5とを備えている。
【0053】
顕微鏡本体22は、スライドガラス上に載置された標本Aを搭載するステージ6と、該ステージ6を対物レンズ9の光軸に対して垂直な矢印X,Y方向に手動で直接移動させる操作ハンドル(操作入力部)24と、ステージ6の座標位置(相対位置情報)を検出するエンコーダ(位置検出部)28と、標本Aに対向して配置され、標本Aからの光を集光する対物レンズ9と、該対物レンズ9により集光された光を撮影して標本Aの拡大画像を取得する撮像部10とを備えている。
【0054】
具体的に操作ハンドル24は、内側の円筒部材と外側の円筒部材の二重構造になっており、それぞれの円筒部材を手動で回動させることにより、ステージ6が矢印X,Y方向に移動するようになっている。
また、操作ハンドル24上には、エンコーダ28が取り付けられている。このエンコーダ28は、ステージ6のX方向の座標位置とY方向の座標位置を検出し、それぞれ検出した位置情報を制御部3に向けて送信するようになっている。その他の構成は、上記実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0055】
この実施形態によれば、モータ等の駆動手段を使わずに、ステージ6を手動で移動させつつ、バーチャルスライドを作成することができる。したがって、上記実施形態の効果に加え、簡単な構造で安価なバーチャルスライド作成装置21を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
A 標本
1,21 バーチャルスライド作成装置
4 操作入力部
5 表示部
6 ステージ
7a,7b モータ(相対移動機構)
8a,8b センサ(位置検出部)
9 対物レンズ
10 撮像部
11 判定部(速度検出部、コントラスト算出部、コントラスト比較部)
12 記憶部(画像保持部)
13 画像処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャルスライド作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病理診断等の医療の現場では、組織や細胞等の観察対象のごく一部の限定された微細構造を把握するだけでなく、観察対象の全体像も把握しながら診断を行う必要があり、全体像と微細な観察像とを効率的に観察する手法としてバーチャルスライドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
バーチャルスライドは、観察対象の各部を部分的に撮影した高倍率の顕微鏡画像の撮影を、撮影範囲が部分的に重なるようにずらして繰り返し行い、取得された複数枚の顕微鏡画像を画像処理してズレのないように貼り合わせることにより、仮想的に、観察対象全体を一度に撮影したようなスライド画像を観察可能にするものである。
【0003】
特許文献1に開示されているバーチャルスライド作成方法では、観察対象全体にわたって網羅的に撮影するための拡大画像の撮像位置を予め設定しておき、顕微鏡コントローラが、予め設定された移動パターンに従って、拡大画像を取得していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−17930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、予め設定した移動パターンによって観察対象全体を網羅的に撮影するためには、観察対象を含まない領域についてもマス目状に撮影範囲を設定して拡大画像を取得する必要があり、不要な画像が多数取得されて、後の画像処理が複雑化したり長時間化したりするという不都合がある。また、観察対象を含まない領域については画像取得しないようにするには、観察対象全体を一度プレスキャンして、観察対象を含まない領域を除外するように移動パターンを設定する必要があり、プレスキャン分の余計な工数と、観察対象を含まない領域を抽出するための処理時間がかかるという不都合がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、移動パターンを予め設定することなく、観察対象のバーチャルスライドを作成することができるバーチャルスライド作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、標本を搭載するステージと、該ステージ上に搭載された標本からの光を集光する対物レンズと、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方を該対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる相対移動機構と、該相対移動機構を操作するための操作入力部と、前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報を取得する位置検出部と、該前記対物レンズにより集光された光を撮影して標本の部分的な拡大画像を取得する撮像部と、該撮像部により取得された拡大画像を表示する表示部と、前記位置検出部により取得された相対位置情報に基づいて前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、該画像保持部により保持された拡大画像を前記位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、ステージに標本を搭載して、撮像部により標本を撮影し、撮影された標本の部分的な拡大画像を表示部に表示しながら、操作入力部を操作して、相対移動機構を作動させることにより、対物レンズと標本とを対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる。対物レンズとステージとが相対的に移動させられると、位置検出部により、相対位置情報が検出され、画像保持部が、その相対移動量を監視して、所定距離だけ相対的に移動する毎に撮像部により取得された拡大画像が保持される。保持された拡大画像は、画像処理部によって、拡大画像の取得時に位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列されることによって、簡易にバーチャルスライドとして合成される。
【0009】
すなわち、観察者は、表示部を確認しながら操作入力部によって対物レンズとステージとを相対的に移動させるので標本の存在しない領域において対物レンズとステージとを相対的に移動させる無駄な作業を行わずに済む。また、対物レンズとステージとが所定距離だけ相対的に移動する毎に、自動的に拡大画像が保持されるので、予め移動パターンを設定せずに済み、移動パターンの設定作業に要する工数やプレスキャンに要する時間を削減することができる。
【0010】
上記発明においては、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、相互に直交するX方向およびY方向に独立して相対移動可能に設けられ、前記画像保持部は、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、前記X方向または前記Y方向のいずれかに所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持してもよい。
このようにすることで、X方向およびY方向に同時に移動して、移動距離が所定距離を超えたとしても、X方向またはY方向のいずれかが所定距離だけ移動しない限り、拡大画像が保持されないので、隣接して保持される画像どうしの重なり幅寸法を一定に維持することができる。これにより、重なり部分の画像を用いた画像パターン認識によるズレを低減した貼り合わせ処理を容易にすることができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方の相対移動速度を検出する速度検出部を備え、前記画像保持部は、該速度検出部により検出された相対移動速度が、所定の閾値を下回る場合にのみ前記撮像部により取得された拡大画像を保持してもよい。
【0012】
このようにすることで、相対移動速度が所定の閾値以上の場合には、画像の取得が行われず、相対移動速度が所定の閾値を下回る場合に画像が取得される。一般に、操作入力部を操作しながら対物レンズとステージとを相対的に移動させる場合に、観察対象が存在しないなど、不必要な部分は相対移動速度が大きく、目的の観察対象が存在する場合には遅い相対移動速度で移動させられる。したがって、目的の観察対象が存在する領域では、相対移動速度が所定の閾値を下回ることになり、所定距離だけ相対的に移動する毎に撮像部により拡大画像が取得される。
【0013】
また、上記発明においては、前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、前記撮像部により取得された拡大画像のコントラスト値を算出するコントラスト算出部と、該コントラスト算出部により算出されたコントラスト値と、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像のコントラスト値とを比較するコントラスト比較部とを備え、前記画像処理部が、前記コントラスト比較部による比較の結果、新たに取得された拡大画像が前記記憶部に記憶されている他の拡大画像より高いコントラスト値を有する場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用してもよい。
このようにすることで、同一位置について取得された拡大画像が複数存在する場合に、コントラスト値が高い拡大画像が使用されてバーチャルスライドが合成されるので、より鮮明なバーチャルスライドを得ることができる。
【0014】
また、上記発明においては、観察方法を変更する観察方法変更部を備え、前記画像処理部が、前記観察方法変更部による観察方法の変更に応じて、新たなバーチャルスライドを合成してもよい。
このようにすることで、観察方法変更部の作動により観察方法が変更されると、画像処理部が新たなバーチャルスライドを合成する。観察方法としては、蛍光観察、白色光観察あるいは微分干渉観察のように目的とする観察対象に応じた種々の観察方法が存在するが、観察方向が変更されると目的とする観察対象が変更される。このため、新たなバーチャルスライドを合成することとして、バーチャルスライドを観察方法毎に作成することができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、観察倍率を変更する観察倍率変更部とを備え、前記画像処理部は、前記観察倍率変更部により変更された観察倍率が、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像の観察倍率より高い場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用してもよい。
このようにすることで、同一位置について取得された拡大画像が複数存在する場合に、観察倍率が高い拡大画像が使用されてバーチャルスライドが合成されるので、より鮮明なバーチャルスライドを得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で、移動パターンを予め設定することなく、観察対象のバーチャルスライドを作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーチャルスライド作成装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】図1のバーチャルスライド作成装置の制御部を示すブロック図である。
【図3】図1のバーチャルスライド作成装置を用いた拡大画像の取得動作を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートに従う拡大画像の取得動作を説明する図であり、(a)1段目の拡大画像列、(b)2段目の拡大画像列、(c)3段目の拡大画像列の取得順序をそれぞれ示している。
【図5】図1のバーチャルスライド作成装置による拡大画像の取得動作の変形例を示すフローチャートである。
【図6】図2の制御部の変形例を示すブロック図である。
【図7】図5のフローチャートにおける処理サブルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートに従う拡大画像の取得動作を説明する図である。
【図9】図2の制御部の他の変形例を示すブロック図である。
【図10】図5のフローチャートにおける処理サブルーチンの他の例を示すフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートに従う拡大画像の取得動作を説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るバーチャルスライド作成装置を模式的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るバーチャルスライド作成装置について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1は、図1に示されるように、顕微鏡本体2と、該顕微鏡本体2を制御するとともにバーチャルスライドを生成する制御部3と、該制御部3に対して顕微鏡本体2の操作指令信号を入力する操作入力部4と、顕微鏡本体2により撮影された画像を表示するとともに、制御部3により生成されたバーチャルスライドを表示する表示部5(例えばディスプレイ)とを備えている。
【0019】
顕微鏡本体2は、図1に示されるように、スライドガラス上に載置された標本Aを搭載するステージ6と、該ステージ6を相互に直交する水平2方向(後述する対物レンズ9の光軸に交差する方向すなわち対物レンズ9の光軸に対して垂直な矢印X,Y方向)に移動させるモータ(相対移動機構)7a,7bと、該モータ7a,7bにより移動されたステージ6の原点に対する位置(相対位置情報)を検出するセンサ(位置検出部)8a,8bと、標本Aに対向して配置され、標本Aからの光を集光する対物レンズ9と、該対物レンズ9により集光された光を撮影して標本Aの拡大画像を取得するCCDのような撮像部10とを備えている。
【0020】
ステージ6は、モータ7aによって矢印Xの方向に移動させられ、モータ7bによって矢印Yの方向に移動させられるようになっている。
センサ8aは、ステージ6のX方向位置を検出し、センサ8bはステージ6のY方向位置を検出し、それぞれ検出した位置情報を制御部3に向けて送信するようになっている。
【0021】
また、撮像部10は、スライドガラス上に載置された標本Aを撮影してその画像データを制御部3に送るようになっている。
操作入力部4は、ジョイスティックやジョグダイヤル等の任意の手動の入力装置であって、ステージ6をX,Y、2方向にそれぞれ水平移動させるように、モータ7a,7bに対する移動指令信号を出力するようになっている。
【0022】
制御部3は、顕微鏡本体2の撮像部10から送られてきた画像データを処理して表示部5に表示するようになっている。また、制御部3は、操作入力部4から入力された移動指令信号を各モータ7a,7bに送り、移動指令信号に応じた移動距離だけステージ6を水平移動させるようになっている。
【0023】
また、制御部3は、図2に示されるように、センサ8a,8bから送られてきたステージ6の位置情報に基づいて、直前の画像取得位置からのステージ6の移動距離を算出し、算出された移動距離が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定部11(例えばCPU(中央演算処理装置))を備えている。本実施形態においては、判定部11は、ステージ6の移動距離をX方向とY方向とに分けて算出するようになっている。また、閾値も、X方向とY方向とに分けて設定されている。
【0024】
また、制御部3は、図2に示されるように、算出された移動距離が所定の閾値を超えた場合に、その時点において撮像部10から送られてきた拡大画像と、センサ8a,8bから送られてきたステージ6の位置情報とを対応づけて記憶する記憶部(画像保持部)12(例えばイメージデータサーバ)と、該記憶部12に記憶された画像を配列してバーチャルスライドを生成する画像処理部13(例えばCPU)とを備えている。すなわち、制御部3は、X方向の移動距離がX方向の閾値を超えるかまたはY方向の移動距離がY方向の閾値を超えた場合に、拡大画像とステージ6の位置情報とを対応づけて記憶部12に記憶するようになっている。なお、拡大画像のデータと、ステージ6の位置情報のデータとは、別々の記憶部に記憶しても良い。
【0025】
画像処理部13は、記憶部12に記憶されている標本A各部の拡大画像を配列することにより拡大画像を貼り合わせてバーチャルスライドを生成するようになっている。具体的には、標本A各部の拡大画像には、該拡大画像が取得された時点におけるステージ6の位置情報が対応づけて記憶されているので、当該ステージ6の位置情報に従って拡大画像を配列するように合成するだけで、バーチャルスライドを生成することができるようになっている。
【0026】
このように構成された本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1の作用について図3および図4を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1を用いて標本Aのバーチャルスライドを生成するには、まず、初期設定を行い(ステップS1)、顕微鏡本体2の撮像部10を作動させて、ステージ6上の標本Aを撮影する(ステップS2)。初期設定においては、引数n=1の設定を行うとともに、ステージ6を原点位置(X0,Y0)に配置する。
【0027】
撮像部10により取得された画像は、常時、制御部3に送られて処理され、表示部5に表示される。観察者は、表示部5の表示を見ながら、操作入力部4を操作して顕微鏡本体2のステージ6をX,Y、2方向に水平移動させ、撮像部10により撮影される標本Aの撮影領域を移動させる。観察者は、表示部5に表示された画像中に表れる標本Aを探し、標本Aの全体が漏れなく表示されるようにステージ6を移動させることができる。
【0028】
ステージ6が移動させられると、センサ8a,8bによってステージ6の位置、例えば、ステージ6の中央の位置座標(X,Y)が取得され、制御部3に送られる(ステップS3)。制御部3の判定部11においては、送られてきたステージ6の位置座標(X,Y)と原点位置の位置座標(X0,Y0)との間の移動距離が算出される(ステップS4)。具体的には、ステージ6の位置座標(X,Y)と原点位置の位置座標(X0,Y0)との差分(X−X0,Y−Y0)が算出される。
【0029】
判定部11は、算出された移動距離である差分(X−X0,Y−Y0)と、所定の閾値(XC,YC)とを比較し、差分のX成分X−X0およびY成分Y−Y0が閾値XC,YCより大きいか否かを判断する(ステップS5,S6)。そして、制御部は、X−X0>XCまたはY−Y0>YCのいずれかが成立した場合には、その瞬間に取得された拡大画像と、その瞬間におけるステージ6の位置情報(X1,Y1)とを対応づけて記憶部12に記憶する(ステップS7)。
【0030】
そして、引数nがインクリメントされ(ステップS8)、全ての画像取得が終了したか否かが判定されて(ステップS9)、終了していない場合には、ステップS2〜S9が繰り返される。
全ての画像取得が終了していない場合に、観察者が、継続して操作入力部4を操作してステージ6を移動させると、センサ8a,8bによって検出されたステージ6の位置座標(X,Y)が制御部3に送られ、制御部3の判定部11においてステージ6の位置座標(X,Y)と直前に拡大画像が記憶されたステージの位置座標(Xn−1,Yn−1)との間の移動距離(X−Xn−1,Y−Yn−1)が算出される(ステップS4)。
【0031】
判定部11は、算出された移動距離である差分(X−Xn−1,Y−Yn−1)と、所定の閾値(XC,YC)とを比較し、差分のX成分X−Xn−1およびY成分Y−Yn−1が閾値XC,YCより大きいか否かを判断する(ステップS5,S6)。そして、判定部11は、X−Xn−1>XCまたはY−Yn−1>YCのいずれかが成立した場合には、その瞬間に取得された拡大画像と、その瞬間におけるステージ6の位置情報(Xn,Yn)とを対応づけて記憶部12に記憶する。
【0032】
このようにすることで、記憶部12に記憶される拡大画像Gは、隣接する拡大画像Gとの間におけるX方向またはY方向の重なり幅が一定となる。例えば、図4(a)に示される例では、撮影範囲を矢印の方向(主としてX方向)に沿って左から右に送っていくことにより、X方向の重なり幅hxが一定となるように、順次拡大画像Gが記憶されて一列目の拡大画像G列が取得される。図において、破線は過去の拡大画像G、実線は最新の拡大画像Gを示している。
【0033】
そして、図4(b)に示されるように、図4(a)の拡大画像G列の下段の拡大画像G列を取得する際には、図4(a)のような上段の拡大画像G列の一番右端の拡大画像Gに対してY方向の重なり幅hyが所定寸法となる位置で拡大画像Gが取得される。その後、撮影範囲を矢印の方向(主としてX方向)に沿って右から左に送っていくことにより、X方向の重なり幅hxが一定となるように、順次拡大画像Gが記憶されて2列目の拡大画像G列が取得される。同様に図4(c)に示されるように3列目の拡大画像列が取得される。これにより、標本A全体の拡大画像が漏れなく記憶される。
【0034】
制御部3に備えられた画像処理部13は、記憶部12に記憶されている拡大画像情報をそれに対応づけて記憶されている位置情報に従って貼り合わせることにより、バーチャルスライドを合成する。
【0035】
このように、本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1によれば、観察者が、表示部5の表示を確認しながら操作入力部4を操作するだけで、拡大画像Gが相互に隙間を空けないように自動的に記憶されていくので、移動パターンを予め設定しておかなくても、標本A全体を網羅する複数の拡大画像Gを簡単に取得することができ、その際に、標本Aが存在しないような無駄な画像を取得せずに済むという利点がある。また、予め移動パターンを設定する場合における標本Aの輪郭形状の抽出作業を行わずに済むので、バーチャルスライドが作成されるのに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、全ての拡大画像Gを取得した後に、画像処理部13によってバーチャルスライドを構成することとしたが、拡大画像Gを取得する毎に、バーチャルスライドを順次合成していってもよい。
また、本実施形態においては、判定部11が、ステージ6の移動距離をX方向とY方向とに分けて算出し、それぞれの閾値のいずれかを超えた時点で拡大画像Gを記憶部12に記憶することとしたが、これに代えて、判定部11が移動距離を算出し、移動距離が単一の閾値を超えた時点で拡大画像Gを記憶することにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態に係るバーチャルスライド作成装置1においては、図5〜図11に示されるように、バーチャルスライドを作成するために記憶部12に記憶する拡大画像Gについて、以下のような処理を施してもよい。
すなわち、図5に示されるように、拡大画像Gnおよびその位置座標(Xn,Yn)を記憶部12に記憶するステップS7と引数nをインクリメントするステップS8との間に、処理サブルーチンS10を配置してもよい。
【0038】
この場合に、制御部3の判定部11は、新規に取得された拡大画像Gnのコントラストを算出するとともに、既に記憶部12に記憶されている拡大画像Gを呼び出してそのコントラストを算出する。そして、判定部11は、コントラストが大きい方の拡大画像を記憶部12に記憶するようになっている。判定部11は、コントラスト算出部およびコントラスト比較部を構成する。
【0039】
処理サブルーチンS10の処理としては、例えば、図7に示されるように、まず、判定部11が、最後に記憶部12に記憶された最新の拡大画像Gnと同一位置に、過去に取得された拡大画像Gが存在するか否かを判定する(ステップS11)。この判定は、例えば、最新の拡大画像Gnの範囲内に中心座標を有する他の拡大画像Gが記憶部12内に記憶されているか否かを検索することにより行われる。他の拡大画像Gが存在しない場合には、引数nをインクリメントするステップS8に戻る。
【0040】
図8に示されるように、最新の拡大画像Gnと同一位置に他の拡大画像Gが存在する場合には、判定部11が、拡大画像GnのコントラストCnおよび記憶部12から呼び出した拡大画像GのコントラストCを算出する(ステップS12)。
【0041】
そして、判定部11は、これらのコントラストCn,Cを比較し(ステップS13)、最新の拡大画像GnのコントラストCnが過去の拡大画像GのコントラストCより大きい場合にはステップS8に戻る。一方、コントラストCnがコントラストC以下の場合には、最新の拡大画像Gnを削除し(ステップS14)、引数nをデクリメントして(ステップS15)ステップS8に戻る。
【0042】
このようにして取得された拡大画像Gを配列してバーチャルスライドを作成する際には、画像処理部13が、拡大画像Gを撮影順に上書きして合成することにより、同一位置において取得された拡大画像Gについては、コントラストの高いものが残ることになる。すなわち、このようにすることで、コントラストが高く鮮明なバーチャルスライドを作成することができるという利点がある。
【0043】
また、複数の対物レンズ9をレボルバ等の観察倍率変更部(図示略)によって交換することにより撮影倍率(観察倍率)を変更可能である場合には、上記処理サブルーチンS10は以下のように行われてもよい。
すなわち、図9に示されるように、制御部3の判定部11には、レボルバによって切り替えられた撮影倍率の情報も入力されるようになっている。
【0044】
図10に示されるように、まず、拡大画像Gが取得されて、処理サブルーチンS10が開始されると、判定部11においては、撮影倍率の情報が読み取られる(ステップS20)。そして、最後に記憶部12に記憶された最新の拡大画像Gnと同一位置に、過去に取得された拡大画像Gが存在するか否かを判定する(ステップS21)。他の拡大画像Gが存在しない場合には、引数nをインクリメントするステップS8に戻る。
【0045】
図11に示されるように、最新の拡大画像Gnと同一位置に他の拡大画像Gが存在する場合には、判定部11が、最新の拡大画像Gnの撮影倍率が、同一位置の他の拡大画像Gの撮影倍率より大きいか否かを判定し(ステップS22)、大きい場合には、引数nをインクリメントするステップS8に戻る。大きくない場合には、判定部11は撮影倍率が等しいか否かを判定し(ステップS23)、等しくない場合、すなわち、最新の拡大画像Gnの撮影倍率が、同一位置の他の拡大画像Gの撮影倍率より小さい場合には、最新の拡大画像Gnを削除し(ステップS26)、引数nをデクリメントして(ステップS27)ステップS8に戻る。
【0046】
一方、最新の拡大画像Gnの撮影倍率が、同一位置の他の拡大画像Gの撮影倍率と等しい場合には、判定部11により、拡大画像GnのコントラストCnおよび記憶部12から呼び出した他の拡大画像GのコントラストCが算出される(ステップS24)。そして、判定部11は、これらのコントラストCn,Cを比較し(ステップS25)、最新の拡大画像GnのコントラストCnが過去の拡大画像GのコントラストCより大きい場合にはステップS8に戻る。一方、コントラストCnがコントラストC以下の場合には、最新の拡大画像Gnを削除し(ステップS26)、引数nをデクリメントして(ステップS27)ステップS8に戻る。
【0047】
このようにして取得された拡大画像Gを配列してバーチャルスライドを作成する際には、画像処理部13が、拡大画像Gを撮影順に上書きして合成することにより、同一位置において取得された拡大画像Gについては、撮影倍率が高いか、またはコントラストの高いものが残ることになる。すなわち、このようにすることで、重要な部分について撮影倍率が高く、また、全体としてはコントラストが高く鮮明なバーチャルスライドを作成することができるという利点がある。
【0048】
また、撮影倍率を大きくすると、撮影範囲は小さくなるので、撮影倍率に応じて判定部11により記憶部12に記憶することを判定するための閾値を小さくし、撮影倍率を小さくした場合には閾値を大きく設定することにしてもよい。
また、対物レンズ9を固定し、標本Aを載置したステージ6を移動させることとしたが、この逆に、ステージ6を固定して対物レンズ9を移動させることにしてもよい。
【0049】
また、判定部11を、センサ8a,8bにより検出された位置情報を微分してステージ6の速度(相対移動速度)を算出する速度検出部としても機能させ、算出された速度が所定の閾値以上のときには、移動距離が所定の閾値を超えても拡大画像Gを記憶部12に記憶しないことにしてもよい。
【0050】
このようにすることで、ステージ6が高い速度で送られているときには、表示部5に表時される画像は高速に流れるので、観察者が観察する必要のない領域であると判断できる。したがって、このような領域での拡大画像12の記憶を行わないことにより、このような領域の無駄な拡大画像G(例えば、標本Aが存在しない画像等)が記憶部12に記憶されてしまう不都合の発生を防止することができる。
【0051】
また、顕微鏡本体として、蛍光観察、反射光観察あるいは微分干渉観察等、複数の観察方法によって同一の標本Aを観察することが可能なものを使用する場合には、観察方法変更部を設け、観察方法の切り替えに応じて、新たなバーチャルスライドを合成することにしてもよい。
【0052】
次に、本発明の他の実施形態に係るバーチャルスライド作成装置について、図面を参照して以下に説明する。
この実施形態に係るバーチャルスライド作成装置21は、図12に示されるように、顕微鏡本体22と、該顕微鏡本体22を制御するとともにバーチャルスライドを生成する制御部3と、顕微鏡本体22により撮影された画像を表示するとともに、制御部3により生成されたバーチャルスライドを表示する表示部5とを備えている。
【0053】
顕微鏡本体22は、スライドガラス上に載置された標本Aを搭載するステージ6と、該ステージ6を対物レンズ9の光軸に対して垂直な矢印X,Y方向に手動で直接移動させる操作ハンドル(操作入力部)24と、ステージ6の座標位置(相対位置情報)を検出するエンコーダ(位置検出部)28と、標本Aに対向して配置され、標本Aからの光を集光する対物レンズ9と、該対物レンズ9により集光された光を撮影して標本Aの拡大画像を取得する撮像部10とを備えている。
【0054】
具体的に操作ハンドル24は、内側の円筒部材と外側の円筒部材の二重構造になっており、それぞれの円筒部材を手動で回動させることにより、ステージ6が矢印X,Y方向に移動するようになっている。
また、操作ハンドル24上には、エンコーダ28が取り付けられている。このエンコーダ28は、ステージ6のX方向の座標位置とY方向の座標位置を検出し、それぞれ検出した位置情報を制御部3に向けて送信するようになっている。その他の構成は、上記実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0055】
この実施形態によれば、モータ等の駆動手段を使わずに、ステージ6を手動で移動させつつ、バーチャルスライドを作成することができる。したがって、上記実施形態の効果に加え、簡単な構造で安価なバーチャルスライド作成装置21を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
A 標本
1,21 バーチャルスライド作成装置
4 操作入力部
5 表示部
6 ステージ
7a,7b モータ(相対移動機構)
8a,8b センサ(位置検出部)
9 対物レンズ
10 撮像部
11 判定部(速度検出部、コントラスト算出部、コントラスト比較部)
12 記憶部(画像保持部)
13 画像処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を搭載するステージと、
該ステージ上に搭載された標本からの光を集光する対物レンズと、
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方を該対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる操作入力部と、
前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報を取得する位置検出部と、
該前記対物レンズにより集光された光を撮影して標本の部分的な拡大画像を取得する撮像部と、
該撮像部により取得された拡大画像を表示する表示部と、
前記位置検出部により取得された相対位置情報に基づいて前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、
該画像保持部により保持された拡大画像を前記位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置。
【請求項2】
標本を搭載するステージと、
該ステージ上に搭載された標本からの光を集光する対物レンズと、
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方を該対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる相対移動機構と、
該相対移動機構を操作するための操作入力部と、
前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報を取得する位置検出部と、
該前記対物レンズにより集光された光を撮影して標本の部分的な拡大画像を取得する撮像部と、
該撮像部により取得された拡大画像を表示する表示部と、
前記位置検出部により取得された相対位置情報に基づいて前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、
該画像保持部により保持された拡大画像を前記位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置。
【請求項3】
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、相互に直交するX方向およびY方向に独立して相対移動可能に設けられ、
前記画像保持部は、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、前記X方向または前記Y方向のいずれかに所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項4】
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方の相対移動速度を検出する速度検出部を備え、
前記画像保持部は、該速度検出部により検出された相対移動速度が、所定の閾値を下回る場合にのみ前記撮像部により取得された拡大画像を保持する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項5】
前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記撮像部により取得された拡大画像のコントラスト値を算出するコントラスト算出部と、
該コントラスト算出部により算出されたコントラスト値と、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像のコントラスト値とを比較するコントラスト比較部とを備え、
前記画像処理部が、前記コントラスト比較部による比較の結果、新たに取得された拡大画像が前記記憶部に記憶されている他の拡大画像より高いコントラスト値を有する場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項6】
観察方法を変更する観察方法変更部を備え、
前記画像処理部が、前記観察方法変更部による観察方法の変更に応じて、新たなバーチャルスライドを合成する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項7】
前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
観察倍率を変更する観察倍率変更部とを備え、
前記画像処理部は、前記観察倍率変更部により変更された観察倍率が、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像の観察倍率より高い場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項1】
標本を搭載するステージと、
該ステージ上に搭載された標本からの光を集光する対物レンズと、
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方を該対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる操作入力部と、
前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報を取得する位置検出部と、
該前記対物レンズにより集光された光を撮影して標本の部分的な拡大画像を取得する撮像部と、
該撮像部により取得された拡大画像を表示する表示部と、
前記位置検出部により取得された相対位置情報に基づいて前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、
該画像保持部により保持された拡大画像を前記位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置。
【請求項2】
標本を搭載するステージと、
該ステージ上に搭載された標本からの光を集光する対物レンズと、
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方を該対物レンズの光軸に交差する方向に相対的に移動させる相対移動機構と、
該相対移動機構を操作するための操作入力部と、
前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報を取得する位置検出部と、
該前記対物レンズにより集光された光を撮影して標本の部分的な拡大画像を取得する撮像部と、
該撮像部により取得された拡大画像を表示する表示部と、
前記位置検出部により取得された相対位置情報に基づいて前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する画像保持部と、
該画像保持部により保持された拡大画像を前記位置検出部により検出された相対位置情報に基づいて配列することによりバーチャルスライドを合成する画像処理部とを備えるバーチャルスライド作成装置。
【請求項3】
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、相互に直交するX方向およびY方向に独立して相対移動可能に設けられ、
前記画像保持部は、前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方が、前記X方向または前記Y方向のいずれかに所定距離だけ相対的に移動する毎に前記撮像部により取得された拡大画像を保持する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項4】
前記ステージおよび前記対物レンズの少なくとも一方の相対移動速度を検出する速度検出部を備え、
前記画像保持部は、該速度検出部により検出された相対移動速度が、所定の閾値を下回る場合にのみ前記撮像部により取得された拡大画像を保持する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項5】
前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記撮像部により取得された拡大画像のコントラスト値を算出するコントラスト算出部と、
該コントラスト算出部により算出されたコントラスト値と、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像のコントラスト値とを比較するコントラスト比較部とを備え、
前記画像処理部が、前記コントラスト比較部による比較の結果、新たに取得された拡大画像が前記記憶部に記憶されている他の拡大画像より高いコントラスト値を有する場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項6】
観察方法を変更する観察方法変更部を備え、
前記画像処理部が、前記観察方法変更部による観察方法の変更に応じて、新たなバーチャルスライドを合成する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【請求項7】
前記撮像部により取得された拡大画像と、該拡大画像の取得時における前記位置検出部により検出された前記ステージと前記対物レンズとの相対位置情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
観察倍率を変更する観察倍率変更部とを備え、
前記画像処理部は、前記観察倍率変更部により変更された観察倍率が、同一の位置において取得され前記記憶部に記憶されている他の拡大画像の観察倍率より高い場合に、新たに取得された拡大画像を前記バーチャルスライドの合成に使用する請求項2に記載のバーチャルスライド作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−186305(P2011−186305A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53119(P2010−53119)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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