説明

パイロット式制御バルブ

【課題】パイロット弁が主弁に当ることによって生ずる様々な問題を解決でき、圧力制御を適正に行うことのできるパイロット式減圧バルブを提供する。
【解決手段】主弁20と、背圧室36と、1次側の液を背圧室36に導入して圧力上昇させる導入小孔38と、背圧室36内の液を主弁20の下流側の2次側に抜いて圧力低下させるパイロット通路40と、軸方向に進退移動し、パイロット通路40の開度を変化させることによって、主弁20を追従して同方向に進退移動させるパイロット弁70とを有し、主弁20の弁開度を変化させることで2次側液圧Pを減圧制御するパイロット式減圧バルブにおいて、パイロット通路40を、パイロット弁70の進退移動方向に対して交差する方向の横孔78を有するものとなして、横孔78を挿入孔76の内面で軸直角向きに横向きに開口させ、その横向開口80の開度をパイロット弁70の軸方向の進退移動により変化させるようになす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパイロット式制御バルブに関し、詳しくは主弁の下流側の圧力若しくは温度に応じてパイロット弁を進退移動させることで主弁の弁開度を変化させ、圧力若しくは温度を制御するパイロット式制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(イ)主通路上に設けられ、主弁座に向けて進退移動して弁開度を変化させる主弁と、(ロ)主弁の背後に形成され、内部の圧力を主弁に対し閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(ハ)背圧室に連通し、主通路の主弁よりも上流側の1次側の液を背圧室に導入して圧力上昇させる導入小孔と、(ニ)背圧室に連通して主弁に設けられ、背圧室の液を主弁よりも下流側の2次側に抜いて圧力低下させる圧抜通路としてのパイロット通路と、(ホ)主弁の進退移動方向である軸方向に進退移動し、パイロット通路の開度を変化させることによって主弁を追従して同方向に進退移動させるパイロット弁と、を有するパイロット式バルブが知られている。
例えば下記特許文献1に、この種のパイロット式バルブが開示されている。
【0003】
このパイロット式バルブにあっては、パイロット弁を進退移動させると、例えばパイロット通路の開度を大きくする方向にパイロット弁を後退移動させると、背圧室の液が下流側の2次側に抜け出ることによって主弁を閉弁方向に押圧する背圧室の圧力が低下し、そのことによって主弁がパイロット弁に追従して開弁方向に後退移動する。
また逆にパイロット通路の開度を小さくする方向にパイロット弁を前進移動させると、背圧室の圧力が増大することによって主弁がパイロット弁に追従して閉弁方向に前進移動する。
【0004】
この種パイロット式バルブにおいて、パイロット弁をハンドル操作等により手動で進退移動させるときには、パイロット弁が比較的ゆっくりと移動することから、主弁をパイロット弁に良好に追従移動させることが可能である。
【0005】
しかしながらこのパイロット式バルブを圧力や温度の制御バルブに適用し、パイロット弁を主弁の下流側の圧力や温度に応じて進退移動させることにより主弁の弁開度を変化させ、下流側の圧力や温度を制御する制御バルブ、例えば減圧バルブや自動温度調節機能付の湯水混合バルブ等の制御バルブとして構成した場合、パイロット弁が圧力の変化や温度の変化に応答して極めて速い速度で俊敏に移動することから、主弁がその動きに応答良く追従することができない問題がある。
【0006】
この種形式のパイロット式バルブにあっては、パイロット弁が移動した後、導入小孔を通じての背圧室への液の供給や、パイロット通路を通じての背圧室からの液の流出が生じることによって、圧力バランスを保つように主弁がパイロット弁に追従して移動することから、その主弁の動きがパイロット弁の俊敏な動きに対して応答良く付いて行くことができないのである。
特にパイロット弁が主弁に対し、その進退移動方向である軸方向に当接して閉弁する形式のものである場合、パイロット弁の動きに対する主弁の動きの遅れが大きな問題となる。
【0007】
図15は、パイロット式制御バルブの一例として、下流側の圧力に感応してパイロット弁が進退移動し、主弁の開度を変化させて主弁の下流側の2次側液圧を減圧状態に保持するパイロット式減圧バルブの例を示したものである。
同図において300は主通路で、300-1及び300-2は上流側の1次側通路及び下流側の2次側通路である。
304は、主通路300上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁で、306は円筒部308の上端部にて構成された主弁座である。
主弁304は、主弁座306に向けて進退移動し、弁開度を変化させることで、主通路300における2次側通路300-2の2次側液圧を制御する。
【0008】
詳しくは、主弁304は主弁座306に向って前進移動することで弁開度を小さくし、1次側通路300-1から2次側通路300-2へと液が流れ込む際の流れに対する絞りを大として、そこでの圧損(圧力損失)を大とし、2次側液圧Pを減少させるように作用する。
また逆に主弁座306から図中上向きに後退移動して弁開度を大とし、主弁座306との隙間を大きくすることによって、1次側通路300-1から2次側通路300-2へと液が流れ込む際の流れに対する絞りを抑制して、そこでの圧損を小とし、2次側液圧Pを増大させるように作用する。
【0009】
310は、主弁304の図中上側の背後に形成された背圧室で、この背圧室310は、内部の圧力を主弁304に対する閉弁方向の押圧力として作用させる。
312は、1次側通路300-1の液を背圧室310に導入して圧力上昇させる導入小孔で、314は背圧室310の液を2次側通路300-2に抜いて背圧室310を圧力減少させる圧抜通路としてのパイロット通路、316は主弁304の図中上面に形成されたパイロット弁座317に向けて進退移動するパイロット弁で、318はパイロット弁316の先端部に設けられた弾性のシール部材である。
パイロット弁316は、パイロット弁座317に対して、即ち主弁304に対して図中下向きに軸方向に当接して閉弁し、またこれから図中上方に離間することで開弁する。
【0010】
320はパイロット弁316の図中奥側(上側)に形成された液室で、この液室320は隙間を通じて背圧室310と連通し、そこに背圧室310の圧力が導かれている。
322は感圧動作部材としてのダイヤフラムで、図中上面が2次側通路300-2の2次側液圧Pを受ける受圧面324とされている。ダイヤフラム322は2次側液圧Pを駆動力として変位動作する。
【0011】
このダイヤフラム322からは軸部326が図中上向きに延び出していて、この軸部326がパイロット弁316に結合されている。
具体的には、軸部326はダイヤフラム322側の軸部326-1とパイロット弁316側の軸部326-2とに軸方向に2分割されていてそれらがねじ結合され、以ってダイヤフラム322とパイロット弁316とが軸部326を介して図中上下に連結されている。
328は2次圧調節ばねでその付勢力を図中上向き、即ちダイヤフラム322に対し2次側液圧Pの作用方向とは逆向きに作用させている。
【0012】
このパイロット式減圧バルブでは、感圧動作部材としてのダイヤフラム322が、2次側液圧Pの増大により2次圧調節ばね328の付勢力の作用方向と逆方向の下方向に感圧変位動作して、パイロット弁316の弁開度を小とする方向にパイロット弁316を前進移動させる。
また2次側液圧Pの減少により、2次圧調節ばね328の付勢力の作用方向である上方向に感圧変位動作し、パイロット弁316の弁開度を大とする方向にパイロット弁316を後退移動させ、2次側液圧Pを1次側液圧Pよりも低い減圧状態に保持する。
【0013】
詳しくは、2次側液圧Pの増大によりダイヤフラム322が図中下向きに変位動作し、これによりパイロット弁316が図中下向きに前進移動することで、主弁304をこれに追従して移動させ、主弁304の弁開度を小さくして、2次側液圧Pを低くするように作用する。
【0014】
逆に2次側液圧Pが減少すると、ダイヤフラム322の図中上向きの変位動作により、パイロット弁316を上向きに後退移動させ、またこれに追従して主弁304を後退移動させることによって、主弁304の弁開度を大とし、2次側液圧Pを増大させるように作用する。
尚、この種構造のパイロット式減圧バルブは下記特許文献2に開示されている。
【0015】
このようなパイロット式減圧バルブ、即ちパイロット弁316が主弁304に対して軸方向に当接し、閉弁する形式のパイロット式減圧バルブでは、パイロット弁316が2次側液圧Pの変動に応じて極めて速い速度で俊敏に移動したときに、主弁304の動きがこれについて行けないことによって、また主弁304がパイロット弁316の進退移動に追従して移動するときの主弁304(詳しくはパイロット弁座317)とパイロット弁316との間の追従間隙が極めて微小(例えば50μm程度の微小な間隙)であることによって、例えばパイロット弁316が閉弁方向に瞬間的に移動したときに、主弁304の移動の遅れによってパイロット弁316が主弁304に当ってしまう問題を生ずる。
【0016】
この形式のパイロット式減圧バルブでは、パイロット弁316と主弁304との間に一定の微小な追従間隙が適正に保持されることで正確な制御を行い得るものであり、従って上記のようにパイロット弁316が主弁304に当ってしまうとそこで制御が乱れ、適正な調圧制御ができなくなってしまう。
またパイロット弁316が主弁304に当ることによって、振動やハンチングを生ぜしめてしまう。
【0017】
その他に、このパイロット式減圧バルブでは、図17に示しているように主弁304が傾いた状態で、主弁304に対してパイロット弁316が当ってしまうことがあり(主弁304の組付けのための必要なクリアランスは、主弁304とパイロット弁316との間の追従間隙に比べて大きく、主弁304が傾くのを完全に防止することはできない)、この場合パイロット弁316が主弁304に対して片当りしてしまって、その片当りの部位とは反対側に、パイロット弁316と主弁304との間の上記の適正な追従間隙よりも大きい隙間Sを生ぜしめてしまう。
【0018】
このようにパイロット弁316が主弁304に片当りし、またそこに大きな隙間Sを生じてしまうと、パイロット弁316の移動によって主弁304の移動を制御することができなくなるのみならず、大きな隙間Sが生じることによって、背圧室310の圧力が減少し、その結果主弁304が1次側通路300-1からの1次側液圧P21によってパイロット弁316を図中上向きに押し上げてしまい、2次側通路300-2の2次側液圧Pの制御を適正に行うことができなくなってしまう(2次側液圧Pが適正値よりも上昇してしまう)。
【0019】
図15に示すパイロット式減圧バルブはまた、パイロット弁316に対し、液室320即ち背圧室310の1次側の圧力が図中下向きに加わってしまい、そのことが2次側液圧Pの減圧値に対し影響を及ぼしてしまう問題がある。
即ち、パイロット弁316が純粋に2次側通路300-2の2次側液圧Pに応じて進退移動せず、背圧室310の圧力の作用がそこに加わって減圧制御に対して悪影響を及ぼしてしまう。
【0020】
パイロット弁316に対する背圧室310の圧力の作用による影響を排除する手段として、図16に示しているようにパイロット弁316に設けた軸部328を液室320から外部に貫通して突き出しておくといったことが考えらえるが、その場合には軸部328と液室320の形成部材(バルブボデー)との間を液密にシールするシール部材330が必要となる。
【0021】
ところがこのようにするとシール部材330によるシール抵抗、即ちシール部材330に対するパイロット弁316の摺動抵抗が発生し、その摺動抵抗が、減圧特性におけるヒステリシス現象の要因となってしまう。
詳しくは、パイロット弁316つまり主弁304が開く方向に移動するときと、閉じる方向に移動するときとで減圧特性に差を生じるヒステリシス現象を生ぜしめる要因となってしまう。
【0022】
またこのパイロット式減圧バルブでは、パイロット弁316が主弁304に対して軸方向の下向きに当接し閉弁する構造であることから、パイロット弁316及び軸部326の組付けに際して、主弁304に対し図中下側即ち2次側に位置する軸部326を、上記のように軸部326-1と326-2とに2分割して、これらをねじ締結等にて結合しなければならず、構造が複雑化してしまうといった問題も有している。
【0023】
以上パイロット式減圧バルブを例としてパイロット式制御バルブの問題点を述べたが、同様の問題はパイロット式湯水混合バルブにおいても生じ得る。
図18は、そのパイロット式湯水混合バルブの具体例を示している。
尚、この図18に示したパイロット式湯水混合バルブは下記特許文献3に開示されたものである。
【0024】
図において332はバルブケース(バルブボデー)で、このバルブケース332には水流入口334と湯流入口336とが形成されている。
338はダイヤフラム弁から成る水側主弁、340は水側主弁338に結合されてこれと一体移動する湯側主弁で、342はこれら水側主弁338及び湯側主弁340を有する主弁体、344,346はそれぞれ水側主弁338,湯側主弁340に各対応してバルブケース332に形成された水側主弁座及び湯側主弁座である。
【0025】
348は、水側主弁338の図中右側の背後に形成された水側背圧室で、350は水流入口334からの1次側の水を水側背圧室348に導入させ圧力上昇させる導入小孔、352は水側背圧室348の水を下流側の2次側に抜いて背圧室348を圧力低下させる、圧抜通路としての水側パイロット通路である。
【0026】
354は温調軸で、この温調軸354に、水側パイロット弁356を一体に有するスリーブ358が摺動可能に外嵌されている。
ここで水側パイロット弁356はバルブケース332における円筒形状の内筒部332Aに摺動可能に内嵌されている。
この水側パイロット弁356には、環状のシール部材364が保持されており、このシール部材364によって、水側パイロット弁356と内筒部332Aとの間が水密にシールされている。
【0027】
温調軸354には、湯水を混合する混合室359内において、形状記憶合金製のコイルばねから成る感温ばね(感温動作部材)360が保持されており、その付勢力がスリーブ358に対して、即ち水側パイロット弁356に対して図中右向きに及ぼされている。
温調軸354にはまた、水側パイロット弁356に対し感温ばね360とは反対側の位置において、コイルばねから成るバイアスばね362が保持されており、そのバイアスばね362の付勢力が、水側パイロット弁356に対し図中左向きに及ぼされている。
【0028】
このパイロット式湯水混合バルブにおいては、混合室359内の混合水温度が設定温度よりも高くなると、感温ばね360が速やかに伸張して右向きの付勢力を高め、水側パイロット弁356を図中右向きに移動させる。
そしてこれにより水側主弁338及びこれと一体の湯側主弁340が、水側パイロット弁356に追従して図中右向きに微小移動し、水側主弁338の弁開度を増大、湯側主弁340の弁開度を減少させて混合水温度を低下せしめ、混合水温度を設定温度に自動的に調節する。
【0029】
而してこのパイロット式湯水混合バルブにあっても、水側パイロット弁356が水側主弁338に対して軸方向に当接し閉弁する構造をなしており、そして水側パイロット弁356が水側主弁338に当ることによってもたらされる上記の問題を内包している。
【0030】
またこの湯水混合バルブにあっては、水側背圧室348の圧力が、水側パイロット弁356の外周面と内筒部332Aとの間に形成される、水側パイロット弁356の外径に応じた周長の長い隙間を通じて図中右側の空間に伝わり、水側パイロット弁356に作用するのを防止すべく、水側パイロット弁356と内筒部332Aとの間をシール部材364にてシールしていることから、水側パイロット弁356の移動に対し、そのシール部材364による摺動抵抗が発生し、その摺動抵抗が温調特性にヒステリシス現象を生ぜしめる要因となる。
即ち、低温側から高温側に温度調節をする際の温調特性と、高温側から低温側に温度調節する際の温調特性に差を生ぜしめるヒステリシス現象を起す要因となる。
【0031】
【特許文献1】特開2007−24062号公報
【特許文献2】特開平9−244749号公報
【特許文献3】特開2008−133860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明は以上のような事情を背景とし、パイロット弁が主弁に当ることによって生ずる様々な問題を解決でき、圧力制御若しくは温度制御を適正に行うことのできるパイロット式制御バルブを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
而して請求項1のものは、(イ)主通路上に設けられ、主弁座に向けて進退移動して弁開度を変化させる主弁と、(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(ハ)該背圧室に連通し、前記主通路の前記主弁よりも上流側の1次側の液を該背圧室に導入して圧力上昇させる導入小孔と、(ニ)該背圧室に連通して前記主弁に設けられ、該背圧室の液を前記主通路の該主弁よりも下流側の2次側に抜いて圧力低下させる圧抜通路としてのパイロット通路と、(ホ)前記主弁の進退移動方向である軸方向に進退移動し、前記パイロット通路の開度を変化させることによって該主弁を追従して同方向に進退移動させるパイロット弁と、を有し、該パイロット弁を前記主弁の下流側の圧力若しくは温度に感応して進退移動させることにより該主弁の開度を変化させ、該下流側の圧力若しくは温度を制御するパイロット式制御バルブにおいて、前記パイロット通路を、前記パイロット弁の進退移動方向に対して交差する方向に前記主弁の内部を通る横孔を有するものとなして、該横孔を、該パイロット弁を摺動案内する軸方向の摺動案内面で軸直角向きに横向きに開口させ、該横向開口の開度を該パイロット弁の軸方向の進退移動により該パイロット弁の摺動面にて変化させるようになしてあることを特徴とする。
【0034】
請求項2のものは、請求項1において、前記主弁には該主弁の2次側から前記背圧室の側に向けて軸方向に挿入孔が設けられていて、該挿入孔の内面を前記摺動案内面として前記パイロット弁が該挿入孔に前記2次側から摺動可能に挿入されており、前記横孔が該挿入孔の内面で開口せしめられているとともに、該挿入孔における前記パイロット弁の奥側には液室が形成されていて、該液室に前記2次側の圧力が導入されており、前記パイロット弁が該2次側の圧力空間に位置した状態で進退移動するようになしてあることを特徴とする。
【0035】
請求項3のものは、請求項2において、前記液室と前記2次側とを連通させ、該2次側の圧力を該液室に導く連通溝が前記挿入孔の内面に沿って軸方向に設けてあることを特徴とする。
【0036】
請求項4のものは、請求項2,3の何れかにおいて、前記挿入孔には前記パイロット弁を移動させる軸部が該パイロット弁とともに挿入されていて、該軸部と該挿入孔の内面との間に隙間が形成され、該隙間にて前記横孔に続く前記パイロット通路の一部が形成されているとともに、前記主弁には、該隙間の形成位置において該挿入孔の内面に沿って周方向に延びる環状の弾性を有するシール部材が設けてあり、前記パイロット弁が前記横向開口を閉鎖した後に、該シール部材と弾性嵌合して前記パイロット通路を径方向にシールし、連通遮断するようになしてあることを特徴とする。
【0037】
請求項5のものは、請求項2,3の何れかにおいて、前記挿入孔には前記パイロット弁を移動させる軸部が該パイロット弁とともに挿入されていて、該軸部と該挿入孔の内面との間に隙間が形成され、該隙間にて前記横孔に続く前記パイロット通路の一部が形成されているとともに、前記主弁には、該隙間の形成位置において該挿入孔の内面に沿って周方向に延びる環状の弾性を有するシール部材が設けてあり、前記軸部には前記隙間の形成位置において前記パイロット弁とは別のシール用弁部が設けてあり、該パイロット弁が前記横向開口を閉鎖した後に、前記シール用弁部が前記シール部材と弾性嵌合して前記パイロット通路を径方向にシールし、連通遮断するようになしてあることを特徴とする。
【0038】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記制御バルブが前記主弁の下流側の圧力を調圧する減圧バルブであって、(a)2次側液圧を受ける受圧面を有し、該2次側液圧を駆動力として変位動作する感圧動作部材と、(b)該感圧動作部材に対して該2次側液圧の作用方向とは逆向きに付勢力を作用させる2次圧調節ばねと、を有していて該感圧動作部材に前記パイロット弁が連結され、該感圧動作部材が該2次側液圧の増大により前記2次圧調節ばねの付勢力の作用方向と逆方向に感圧変位動作して前記パイロット弁の弁開度を小とする方向に、該2次側液圧の減少により該2次圧調節ばねの付勢力の作用方向に感圧変位動作して該パイロット弁の弁開度を大とする方向に該パイロット弁を進退移動させ、該2次側液圧を1次側液圧よりも低い減圧状態に保持するようになしてあることを特徴とする。
【0039】
請求項7のものは、請求項6において、前記減圧バルブが定差圧式の定流量バルブであって、前記感圧動作部材が該感圧動作部材自体若しくは通路形成部材との間にオリフィスを形成しており、該感圧動作部材に対して入側の前記2次側液圧と出側の3次側液圧との差圧を一定に保持して前記オリフィスを通過する液の流量を定流量に保持するようになしてあることを特徴とする。
【0040】
請求項8のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記制御バルブが、(a)温調軸の進退移動により弁開度を互いに逆の関係で大小変化させる水側主弁及び湯側主弁と、(b)混合水温度に感応して軸方向に伸縮し、該混合水温度が設定温度よりも高くなったときに前記水側主弁を開き、前記湯側主弁を閉じる方向にそれら水側主弁及び湯側主弁を移動させる感温動作部材と、(c)該水側主弁及び湯側主弁に対し該感温動作部材による移動方向と逆方向の付勢力を作用させるばねと、を有し、前記水側及び湯側の各主弁の下流側の混合水温度を自動調節する自動温度調節機能付の湯水混合バルブであって、前記背圧室が前記水側主弁又は/及び湯側主弁に対して内部の圧力を閉弁方向の押圧力として作用させるものとなしてあるとともに、前記パイロット弁が該感温動作部材の伸縮動作により前記混合水温度に感応して進退移動し、前記背圧室の圧力を増減させることで前記水側主弁又は/及び湯側主弁を開閉方向に移動させ、前記混合水温度を自動調節するものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0041】
以上のように本発明は、パイロット式制御バルブにおいて、パイロット通路を、パイロット弁の進退移動方向に対して交差する方向に主弁の内部を通る横孔を有するものとなして、その横孔を、パイロット弁を摺動案内する軸方向の摺動案内面で軸直角向きに横向きに開口させ、その横向開口の開度を、パイロット弁の軸方向の進退移動によりパイロット弁の摺動面にて変化させ、以ってパイロット通路を開度変化させるようになしたものである。
【0042】
かかる本発明によれば、圧力や温度に感応して俊敏に移動するパイロット弁に対して主弁の動きが遅れを生じた場合であっても、パイロット弁と主弁とが進退方向である軸方向に当るのを防止でき、従ってそれらパイロット弁と主弁とが当ることによってもたらされる上記の問題を解消することができる。
【0043】
更に主弁が傾いた場合においても、パイロット弁が主弁に当ってパイロット弁が主弁により後退方向に押し上げられてしまう問題も解消できる。
そしてこれにより、パイロット弁の進退移動に対して主弁の進退移動を良好に追従させることができ、圧力若しくは温度の制御を適正に精度高く行うことが可能となる。
【0044】
本発明では、主弁に対して2次側から背圧室の側に向けて軸方向に挿入孔を設け、その挿入孔の内面を摺動案内面として、パイロット弁を2次側から挿入孔に摺動可能に挿入するとともに、上記横孔をその挿入孔の内面で開口せしめ、更に挿入孔におけるパイロット弁の奥側に液室を形成して、そこに2次側の圧力を導入し、パイロット弁を2次側の圧力空間に位置した状態で進退移動させるようになしておくことができる(請求項2)。
【0045】
この請求項2では、主弁をパイロット弁により2次側から進退移動制御しているにも拘わらず、パイロット弁に対して背圧室の圧力が作用せず、従って背圧室の圧力がパイロット弁の移動に対して影響を及ぼさず、パイロット弁が純粋に下流側の圧力若しくは温度の変化に応じて移動するようになすことが可能であって、かかるパイロット弁の移動により主弁の下流側の圧力や温度の制御を精度高く適正に行うことが可能となる。
【0046】
またパイロット弁に対して背圧室の圧力が作用するのを排除するためのシール部材によるシール構造を必要とせず、従ってパイロット弁の移動に対しシール部材による摺動抵抗が働いて、そのことが圧力や温度等の制御特性にヒステリシス現象を生ぜしめる問題も解消することができる。
【0047】
加えて本発明では、パイロット弁の閉弁に際してパイロット弁を主弁に対し軸方向に当接させる必要がないため、主弁に設けた挿入孔に対し単に2次側からパイロット弁を挿入するだけでパイロット弁を組み込むことが可能となる。即ちパイロット弁を一方向から組み込むことが可能となり、組付性を良好となすことができる。
【0048】
更にこの請求項2においては、単にパイロット弁を2次側から挿入孔に差し込むだけでパイロット弁を組み込むことができることから、図15に示した減圧バルブのように、パイロット弁を移動させるための軸部を2分割構造として、それらをねじ結合等によって結合することを不要化でき、パイロット弁の組付構造を簡単な構造となすことができる。
【0049】
上記のようにこの請求項2では、パイロット弁と挿入孔の内面との間に、上記横向開口と上記奥側の液室との間の位置において、それらパイロット弁及び挿入孔の内面間をシールするシール部材を有しないシールレス構造となしておくことができる。
【0050】
この場合において、上記液室と2次側通路とを連通させ、2次側通路の2次側液圧を液室に導く連通溝を、挿入孔の内面に沿って軸方向に設けておくことができる(請求項3)。
【0051】
次に請求項4は、上記挿入孔にパイロット弁とともに軸部を挿入して、その軸部と挿入孔の内面との間に隙間形成し、その隙間にて上記横孔に続くパイロット通路の一部を形成するとともに、上記主弁には、隙間の形成位置において挿入孔の内面に沿って周方向に環状をなす弾性のシール部材を設け、パイロット弁が横向開口を閉鎖した後に、パイロット弁をシール部材と弾性嵌合させてパイロット通路を径方向にシールし、連通遮断するようになしたものである。
【0052】
このようにパイロット通路を液密にシールし、遮断状態とすることで、1次側通路と2次側通路とを、このパイロット通路の部分においても完全に遮断状態とすることができる。
【0053】
この請求項4は、各種のパイロット式制御バルブに適用でき、これにより上記の効果を奏するものであるが、この効果は特にパイロット式減圧バルブにおいて特に有用である。
【0054】
2次側液圧を1次側液圧よりも低い一定の設定圧力の減圧状態に調圧する減圧バルブの場合、主通路を液が流通しているとき即ち減圧調節しているときには、2次側液圧を設定圧力に減圧(調圧)することができるものの、パイロット弁が閉弁動作時においてパイロット通路を完全止水状態としないものであると、液の流通を止めたときに1次側液圧が2次側に漏出し、最終的に2次側液圧が1次側液圧と同じ圧力まで高まってしまう。
【0055】
減圧弁の用い方によっては、流通を止めた状態でも2次側液圧を1次側液圧よりも低い減圧状態に保持することが求められる場合がある。
例えば電気温水器を設置し、その電気温水器で加熱した湯を水栓器具に供給する場合において、電気温水器の温水タンクの上流側に減圧バルブを設置し、かかる減圧バルブにて温水タンクを保護する場合、減圧バルブには通水停止状態の下で2次側液圧を1次側液圧よりも低い減圧状態に保持する機能が求められる。
【0056】
通水停止状態で2次側液圧が1次側液圧まで高まってしまうと、温水タンクが損傷してしまう恐れが生ずる。
こうした場合に、請求項4によれば、パイロット弁にて上記の横孔即ち横向開口を閉鎖した後に、パイロット弁を環状のシール部材と弾性嵌合させ、パイロット通路を径方向にシールして完全遮断状態とすることで、液の流通停止状態の下で、2次側液圧が1次側液圧まで高まってしまうのを有効に防止でき、減圧バルブの下流側のタンク等の機器を有効に保護することができる。
【0057】
次に請求項5は、上記軸部に、上記の隙間の形成位置においてパイロット弁とは別のシール用弁部を設け、パイロット弁が横向開口を閉鎖した後に、シール用弁部をシール部材と弾性嵌合させてパイロット通路を径方向にシールし、連通遮断するようになしたものである。
【0058】
請求項4に従ってパイロット弁が横向開口を閉鎖した後、パイロット弁が更に前進移動して環状のシール部材と弾性嵌合し、パイロット通路を連通遮断する場合、パイロット弁が横向開口を閉鎖してから環状のシール部材に嵌合してパイロット通路を完全止水するまでの間に、パイロット弁が所定距離だけ軸方向に移動することとなる。
そしてその間に2次側液圧が上昇してしまう。
【0059】
しかるにこの請求項5では、パイロット弁とは別にシール用弁部を軸部に設け、これを環状のシール部材に弾性嵌合させて、パイロット通路を完全にシールするようになしていることから、シール用弁部及び環状のシール部材の位置を適正に定めておくことで、パイロット弁が横向開口を閉鎖した後、直ちにシール用弁部をシール部材と嵌合させ、パイロット通路を完全シール状態とすることが可能となる。
【0060】
従って請求項5によれば、液の流通停止の際に2次側液圧がパイロット通路における液の漏れによって上昇するのを可及的に小さく抑えることが可能となる。
【0061】
本発明の制御バルブは、様々な制御バルブとして構成することが可能であるが、請求項6に従い、これをパイロット式減圧バルブとして構成することができる。
この場合、本発明によれば2次側液圧の調圧制御を高精度で適正に行うことができる。
【0062】
或いはまた、請求項7に従い定差圧式のパイロット式定流量バルブとして構成することができる。
この場合、本発明によれば定流量化制御を高精度で適正に行うことができる。
【0063】
更には請求項8に従い、自動温度調節機能付のパイロット式湯水混合バルブとして構成することができる。
この場合、パイロット弁の進退移動による混合水の温度制御を高精度で適正に行うことができる。
尚、本発明のパイロット式制御バルブを、請求項8に従ってパイロット式湯水混合バルブとして構成するに際し、これを様々な形態のパイロット式バルブとなすことができる。
例えばパイロット式湯水混合バルブを、以下の(A),(B),(C)の構成を有するパイロット式バルブとして構成することができる。
【0064】
(A)(イ)水側主弁の背後に形成され、内部の圧力を水側主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室としての水側背圧室と、(ロ)水流入口からの1次側の水を水側背圧室の内部に導入して圧力上昇させる水側導入小孔と、(ハ)水側背圧室の水を水側主弁の下流側の2次側に抜いて圧力低下させる圧抜通路としての水側パイロット通路と、(ニ)水側主弁の進退移動方向である軸方向に進退移動し、水側パイロット通路の開度を変化させることによって水側主弁を同方向に追従して進退移動させる水側パイロット弁とを有するものとなすとともに、湯側主弁を水側主弁と一体に構成して、水側主弁を駆動弁として湯側主弁を一体に移動させるようになしたパイロット式湯水混合バルブ。
【0065】
(B)(イ)湯側主弁の背後に形成され、内部の圧力を湯側主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室としての湯側背圧室と、(ロ)湯流入口からの1次側の湯を湯側背圧室の内部に導入して圧力上昇させる湯側導入小孔と、(ハ)湯側背圧室の湯を湯側主弁の下流側の2次側に抜いて圧力低下させる圧抜通路としての湯側パイロット通路と、(ニ)湯側主弁の進退移動方向である軸方向に進退移動し、湯側パイロット通路の開度を変化させることによって湯側主弁を同方向に追従して進退移動させる湯側パイロット弁とを有するものとなすとともに、水側主弁を湯側主弁と一体に構成して、湯側主弁を駆動弁として水側主弁を一体に移動させるようになしたパイロット式湯水混合バルブ。
【0066】
(C)水側主弁と湯側主弁とが互いに別体且つ独立して移動可能とされているとともに(イ)水側主弁,湯側主弁の背後に形成され、内部の圧力を水側主弁,湯側主弁に対して閉弁方向の押圧力としてそれぞれ作用させる背圧室としての水側背圧室,湯側背圧室と、(ロ)水流入口,湯流入口からの1次側の水,湯をそれら背圧室の内部に導入して圧力上昇させる水側導入小孔,湯側導入小孔と、(ハ)水側,湯側の各背圧室の水,湯を水側主弁,湯側主弁の各下流側の2次側に抜いて圧力低下させる圧抜通路としての水側パイロット通路,湯側パイロット通路と、(ニ)水側主弁,湯側主弁の各進退移動方向である軸方向に進退移動し、各パイロット通路の開度を変化させることで水側主弁,湯側主弁をそれぞれ同方向に追従して進退移動させる水側パイロット弁,湯側パイロット弁と、を有するものとなしてあるパイロット式湯水混合バルブ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図4は、本発明をパイロット式減圧バルブに適用した例を示している。
図1において、10はパイロット式減圧バルブ(以下単に減圧バルブとする)を表している。
12はその減圧バルブのバルブボデーで、液の流入口14と流出口16とが設けられている。
18は流入口14と流出口16とを連絡する液の主通路で、18-1,18-2はそれぞれ主通路18における1次側通路,2次側通路をそれぞれ表している。
【0068】
20は、主通路18上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁で、ゴム製のダイヤフラム膜22と、これを保持する硬質の樹脂製の保持部材24とから成っている。ここでダイヤフラム膜22は、その外周部分がバルブボデー12に固定状態とされている。
この主弁20は、円筒部26の先端部にて構成された主弁座28に向けて進退移動し、弁開度を変化させる。
詳しくは、主弁座28に向けて前進移動することで弁開度を小とし、主弁座28と主弁20との間の隙間を小として、1次側通路18-1から2次側通路18-2へと液が流れ込む際に、そこでの圧損(圧力損失)を大として、2次側通路18-2の2次側液圧Pを減少させるように作用する。
【0069】
また逆に主弁座28から図中上向きに後退移動することで弁開度を大とし、主弁座28と主弁20との間の隙間を大として、これにより1次側通路18-1から2次側通路18-2へと液が流れ込む際の圧損を少なくして、2次側液圧Pを増大させるように作用する。
【0070】
主弁20は、図中上方に突出する断面円形の突出部30を有しており、この突出部30が、これに対応してバルブボデー12に形成された断面円形の嵌合孔32に摺動可能に嵌合されている。
主弁20は、この突出部30と嵌合孔32とによって、図中上下方向(軸方向)の進退移動が案内される。
嵌合孔32の内側には、突出部30の図中上側に液室34が形成されている。この液室34は、隙間を通じて後述の背圧室36と連通しており、液室34の圧力は背圧室36の圧力と同圧となっている。
【0071】
36は、主弁20の背面側即ち図中上側に設けられた背圧室で、この背圧室36は、内部の液の圧力を主弁20に対し図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
38は、主弁20の中心から偏心した位置で主弁20を貫通して設けられ、1次側通路18-1と背圧室36とを連通させる導入小孔で、この導入小孔38は1次側通路18-1の液を背圧室36に導入して背圧室36の圧力を増大させる。
【0072】
40は、背圧室36と2次側通路18-2とを連通させるように主弁20を貫通して設けられたパイロット通路で、このパイロット通路40は、背圧室36の液を2次側通路18-2へと流出させて背圧室36の圧力を減少させる。
【0073】
42は、2次側液圧Pに感応して動作する感圧動作部材としてのダイヤフラムで、外周部がバルブボデー12に固定されている。
このダイヤフラム42の図中上面は、2次側液圧Pを受ける受圧面44とされている。
このダイヤフラム42の図中下側には、連通孔46を通じて大気に開放されたばね室48が形成されていて、そこにコイルばねから成る2次圧調節ばね50が収容されている。
2次圧調節ばね50は、その上端をばね受52を介してダイヤフラム42に当接させ、その付勢力をダイヤフラム42に対し図中上向きに作用させている。
【0074】
54は、中心部に上記の連通孔46を有し、外周面に雄ねじ56の形成されたプラグで、外周面の雄ねじ56においてバルブボデー12の雌ねじ58に螺合され、2次圧調節ばね50の下端を受けるとともに、図中上方の内側にばね室48を形成している。
尚このプラグ54には、図中下端に工具係合用の係合溝60が設けられている。
【0075】
ダイヤフラム42の図中上側には2次圧室62が形成されており、この2次圧室62が、連通路64を通じて2次側通路18-2と連通させられている。
即ち2次側液圧Pが、連通路64を通じて2次圧室62に導入され、ダイヤフラム42に対してこの2次側液圧Pが図中下向きに、即ち2次圧調節ばね50による図中上向きの付勢力とは反対方向に作用せしめられている。
【0076】
ダイヤフラム42は、この2次側液圧Pを駆動力としてその中心部が図中上下方向に進退移動する。詳しくは、2次側液圧Pによる図中下向きの力と、2次圧調節ばね50による図中上向きの付勢力との差に応じて、中心部が図中上下方向に移動し感圧動作せしめられる。
【0077】
ダイヤフラム42には、軸部68が固定され、かかる軸部68がダイヤフラム42から2次側通路18-2を通って図中上向きに延び出している。そしてこの軸部68の先端部に、円柱状を成すパイロット弁70が一体に構成されている。
軸部68は、このパイロット弁70と基端側の大径部72との間に、パイロット弁70よりも細径を成す細径部74を有している。
この実施形態において、軸部68はパイロット弁70に到るまで全体が一体構造をなしている。
【0078】
主弁20には、図中下面から上向きに、即ち2次側通路18-2から背圧室36の側に向けて、外径が軸方向に一様な断面円形の挿入孔76が設けられており、そこにパイロット弁70及び細径部74が、挿入孔76の内面を摺動案内面として図中上向きに摺動可能に挿入されている。
【0079】
主弁20詳しくは保持部材24には、図2にも示しているように突出部30の付根位置において、これを直径方向に貫通する横孔78が設けられている。
この横孔78は、挿入孔76を通って設けられており、かかる横孔78が、挿入孔76の内面で開口せしめられている。
この開口は、挿入孔76の内面で軸直角向きに横向きに開口している。図中80はその軸直角向きの横向開口を表している。
上記挿入孔76は、軸部68における細径部74との間に縦の(軸方向の)環状隙間82を形成しており、上記パイロット通路40は、横孔78とこれに続く縦の環状隙間82とによって形成されている。
【0080】
84は、挿入孔76におけるパイロット弁70の上側の奥部に形成された液室で、この液室84に、2次側通路18-2の2次側液圧Pが導入されている。
詳しくは、図2(B)に示しているように主弁20にはこの液室84と2次側通路18-2とを連通させる連通溝86が形成されており、この連通溝86を介して2次側通路18-2の2次側液圧Pが液室84に導入されている。
尚、図2(B)に示しているようにこの連通溝86は、突出部30において横孔78よりも径方向の外側位置に形成されている。
【0081】
この実施形態では、背圧室36の液がパイロット通路40を通じて流出する際に、横孔78がその流れに対する絞り部として作用し、そこで圧損が生ぜしめられる。
また液室84には連通溝86を通じて2次側液圧Pが導入されており、従ってこの実施形態では、パイロット弁70に対してその上面に背圧室36の液圧が作用するのを防止するためのシール構造は特に設けられていない。
【0082】
詳しくは、パイロット弁70と挿入孔76の内面との間には、横孔78における横向開口80と液室84との間の位置において、それらパイロット弁70及び挿入孔76内面間をシールする環状のシール部材は設けられておらず、パイロット弁70と挿入孔76との間がシールレス構造とされている。
【0083】
次の本実施形態の減圧バルブ10の作用を以下に説明する。
この実施形態では、パイロット弁70が図中上下方向に軸方向に進退移動することで、主弁20がこれに追従して同方向に且つパイロット弁70と同一のストロークで進退移動せしめられる。
詳しくは、主弁20が閉弁した状態の下で図3(I)に示しているようにパイロット弁70が図中上方に後退移動すると、それまでパイロット弁70にて閉鎖されていた横向開口80が所定開度で開いた状態となる。
これにより、背圧室36の液がパイロット通路40を通じて2次側通路18-2へと流れ出し、背圧室36の圧力が減少する。
【0084】
すると主弁20に対して上向きに作用する1次側通路18-1の1次側液圧Pによって、主弁20が図中上向きに後退移動する。
而して主弁20が上向きに後退移動すると、横孔78よりも図中下側の主弁本体20Aとパイロット弁70との間の隙間が小となるとともに横向開口80の開度が小となり、ここにおいて背圧室36からパイロット通路40を通じて2次側通路18-2へと抜け出る液の量が減少し、背圧室36の圧力が相対的に上昇する。
そして図3(II)に示しているように、主弁20が一定距離図中上向きに後退移動したところで、背圧室36の圧力と1次側通路18-1の1次側液圧Pとが釣り合った(バランスした)状態となり、ここにおいて主弁20の後退移動が停止する。
【0085】
このとき、パイロット弁70と主弁本体20Aとの間には微小な一定の追従間隙が保たれる。
而して主弁20が図中上向きに後退移動することで、主弁20と主弁座28との間に隙間が生じ、主弁20が開弁した状態となる。
ここにおいて1次側通路18-1の液が、主弁座28と主弁20との間の隙間を通過して2次側通路18-2へと流れ込む。そして液がその隙間を通過する過程で圧力損失が生ぜしめられる。
【0086】
図3(II)に示す状態から、パイロット弁70が更に図中上向きに後退移動すると、背圧室36の圧力と1次側通路18-1の1次側液圧Pとをバランスさせるようにして、主弁20が主弁本体20Aとパイロット弁70との間に上記の追従間隙(追従間隙は例えば50μm程度)を保持しつつ、パイロット弁70の後退移動に追従して同じ距離だけ後退移動し、その弁開度を更に大とする。即ち主弁20と主弁座28との間の隙間を更に大きくする(図3(III))。
【0087】
尚、パイロット弁70が後退移動することによって一時的にパイロット弁70と主弁本体20Aとの間の隙間は大となるが、続いて主弁20がパイロット弁70に追従して後退移動することで、それらの間の間隙は上記のように微小な一定の追従間隙に保持される。
【0088】
主弁20が図3(II)から(III)に示す状態まで後退移動すると、主弁20の弁開度が更に大となることによって、1次側通路18-1から2次側通路18-2へと液が流れ込む際の圧損が更に少なくなり、その結果として2次側液圧Pがより増大する方向に変化する。
主弁20は、このようにして弁開度を変化させることで、2次側通路18-2の2次側液圧Pを1次側液圧Pよりも低い一定の設定圧力に減圧保持する。
【0089】
そして1次側液圧Pが増大又は減少変化して、2次側液圧Pが増大又は減少変化しようとしたとき、主弁20が弁開度を小さく又は大きく変化させて、2次側液圧Pを設定圧力に保持する。
また1次側液圧Pが大きくなって弁開状態では2次側液圧Pを設定圧力に保持できない状態になると、主弁20が閉弁動作して1次側通路18-1と2次側通路18-2との間を遮断する。即ち閉弁動作して1次側通路18-1から2次側通路18-2への液の流通を停止させる。
【0090】
図4(I)に示しているように、パイロット弁70が図中下向きに前進移動した場合においても、主弁20はこれに追従して主弁座28に向けて前進移動し、弁開度を小とする。その際の動作は基本的に上記と同様である。
即ち、パイロット弁70が図中下向きに前進移動し、横向開口80の開度が一時的に減少せしめられると、主弁20は背圧室36の圧力と1次側液圧Pとの圧力をバランスさせるようにして、パイロット弁70の前進移動に追従して図中下向きに前進移動し、弁開度を小とする(図4(II)参照)。
【0091】
そして更にパイロット弁70が前進移動すると、追従して主弁20がパイロット弁70の前進移動距離と同じ距離だけ主弁座28に向けて前進移動し、弁開度を更に小さくする。
そしてパイロット弁70の更なる図中下向きの前進移動により、最終的に主弁20が閉弁状態となり、1次側通路18-1から2次側通路18-2に向けての液の流通を停止させる(図4(III)参照)。
【0092】
上記のようなパイロット弁70の進退移動は、2次側液圧Pの作用を受けて動作するダイヤフラム42の図中上下方向の変位によって速い速度で俊敏に行われる。
このとき主弁20がパイロット弁20の移動に遅れて進退移動しても、この実施形態ではパイロット弁70が主弁20に対して当ることはなく、パイロット弁70と主弁20とが当ることによって従来もたらされていた不具合を生じることはない。
【0093】
また主弁20が傾いた場合においても、パイロット弁70が主弁20に当ってパイロット弁70が主弁20により後退方向に押し上げられてしまうこともなく、パイロット弁70の進退移動に対して主弁20の進退移動を良好に追従させることができ、2次側液圧Pの減圧制御を適正に精度高く行うことができる。
【0094】
更にこの実施形態では、主弁20をパイロット弁70により2次側通路18-2の側から進退移動制御しているにも拘わらず、パイロット弁70に対して背圧室36の圧力が作用せず、従って背圧室36の圧力がパイロット弁70の移動に対して影響を及ぼさず、パイロット弁70が純粋に2次側液圧Pの変化に応じて移動することができ、パイロット弁70の移動により主弁20の下流側の2次側液圧Pの制御を良好に行うことができる。
【0095】
またパイロット弁70に対して背圧室36の圧力が作用するのを排除するためのシール部材によるシール構造を設けていないため、パイロット弁70の移動に対しシール部材による摺動抵抗が働いて、そのことが2次側液圧Pの減圧制御特性にヒステリシス現象を生ぜしめる問題も生じない。
【0096】
加えて本実施形態では、パイロット弁70の閉弁に際してパイロット弁を主弁20に対し軸方向に当接させるものでないため、主弁20に設けた挿入孔76に対し、単に2次側通路18-2からパイロット弁70を挿入するだけで、パイロット弁70を組み込むこと、即ちパイロット弁70を一方向から組み込むことができ、組付性を良好となすことができる。
【0097】
更にこの実施形態においては、単にパイロット弁70を2次側通路18-2から挿入孔76に差し込むだけでパイロット弁70を組み込むことができることから、図15に示した減圧バルブのようにパイロット弁を移動させるための軸部を2分割構造として、それらをねじ結合等によって結合することを不要化でき、パイロット弁の組付構造を簡単な構造となすことができる。
【0098】
図5は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、主弁20における上記縦の環状隙間82の形成位置において、挿入孔76の内面に環状溝88を形成し、そこに弾性を有する環状のシール部材としてのOリング90を装着し、パイロット弁70の前進移動の際に、パイロット弁70が上記の横向開口80を閉鎖した後に、パイロット弁70をこのOリング90に弾性嵌合させ、パイロット弁70とOリング90との径方向シールによりパイロット通路40を連通遮断するようになしたものである。
【0099】
この実施形態によれば、パイロット通路40を液密にシールし、遮断状態とすることで、1次側通路18-1と2次側通路18-2とをこのパイロット通路40の部分においても完全に遮断状態とすることができる。
【0100】
2次側液圧Pを1次側液圧Pよりも低い一定の設定圧力の減圧状態に調圧する減圧バルブの場合、主通路18を液が流通しているとき即ち減圧調節しているときには、2次側液圧Pを設定圧力に減圧(調圧)することができるものの、パイロット弁70が閉弁時においてパイロット通路40を完全止水状態としないものであると、液の流通停止後に1次側液圧Pが2次側に漏出し、最終的に2次側液圧Pが1次側液圧Pと同じ圧力まで高まってしまう。
【0101】
減圧弁の用い方によっては、液の流通を止めた状態でも2次側液圧を1次側液圧よりも低い減圧状態に保持することが求められる場合がある。
例えば電気温水器の温水タンクの上流側に減圧バルブを設置し、かかる減圧バルブにて温水タンクを保護する場合、減圧バルブには通水停止状態の下で2次側液圧を1次側液圧よりも低い減圧状態に保持する機能が求められる。
【0102】
通水停止状態で2次側液圧が1次側液圧まで高まってしまうと、温水タンクが損傷してしまう恐れが生ずる。
こうした場合に、本実施形態の減圧バルブ10ではパイロット弁70にて横向開口80を閉鎖した後に、パイロット弁70をOリング90と弾性嵌合させ、パイロット通路40を径方向にシールして完全遮断状態とすることで、液の流通停止状態の下で2次側液圧Pが1次側液圧Pまで高まってしまうのを有効に防止でき、減圧バルブの下流側のタンク等の機器を有効に保護することができる。
【0103】
図6及び図7は本発明の更に他の実施形態を示している。
図6に示しているように、この例は上記の縦の環状隙間82の形成位置において、軸部68の細径部74に、上記のパイロット弁70とは別に且つ図中その下側位置に、細径部74よりも大径の円柱形状をなすシール用弁部92をパイロット弁70と離隔して設け、またこれに対応してこのシール用弁部92の下側位置に上記の環状溝88及びOリング90を設け、パイロット弁70の前進移動の際にパイロット弁70が横向開口80を閉鎖した後(図7(A)参照)、図7(B)に示しているようにシール用弁部92をOリング90に弾性嵌合させてパイロット通路40をシールし、連通遮断するようになした例である。
【0104】
尚この例では、パイロット弁70が主弁20の進退移動の制御動作を行っているときの、横向開口80の開放部分、即ち横向開口80の隙間が、シール用弁部92とOリング90との間の隙間よりも小さくなるように、シール用弁部92の位置がOリング90との関係において定められている。
従って主弁20の追従移動の制御は上記実施形態と同様にパイロット弁70の進退移動によって行われる。
【0105】
図5の実施形態において、パイロット弁70が横向開口80を閉鎖した後、パイロット弁70自体がOリング90と弾性嵌合し、パイロット通路40を連通遮断する場合、パイロット弁70が横向開口80を閉鎖してからOリング90に嵌合してパイロット通路40を止水するまでの間にパイロット弁70が所定距離だけ軸方向に移動し、その間に2次側液圧Pが上昇してしまう。
【0106】
しかるに本実施形態ではパイロット弁70とは別にシール用弁部92を軸部68に設け、これをOリング90に弾性嵌合させてパイロット通路40を完全にシールするようになしていることから、シール用弁部及びOリング90の位置を適正に定めておくことで、パイロット弁70が横向開口80を閉鎖した後、直ちにシール用弁部92をOリング90と嵌合させ、パイロット通路40を完全シール状態とすることが可能となる。
【0107】
従ってこの実施形態によれば、液の流通停止の際にパイロット弁70が横向開口80を塞いでから完全止水に到るまでの間に2次側液圧Pが上昇するのを可及的に小さく抑えることが可能となる。
図8はこれを模式的に表している。尚図8において横軸は流量Qを、縦軸は2次側液圧Pを表している。
図5の実施形態では、パイロット弁70が横向開口80を閉鎖した後、Oリング90に弾性嵌合してパイロット通路40を連通遮断しシールするまでのパイロット弁70の必要移動距離が長くなることから、上記のようにその間の2次側液圧Pの圧力上昇が大きくなってしまう。図8中のAはそのときの圧力上昇曲線を表している。
【0108】
これに対し、図6及び図7の実施形態では、パイロット弁70が横向開口80を閉鎖した後、微小な移動距離で速やかにシール用弁部92をOリング90と弾性嵌合させて、パイロット通路40を連通遮断することができるため、パイロット弁70が横向開口80を閉鎖してからの2次側液圧Pの圧力上昇を可及的に小さく抑えることができる。図8中Bはそのときの圧力上昇曲線を表している。
【0109】
図9は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、主弁20をダイヤフラム弁にて構成するのに代えて、これをピストン弁にて構成した例である。
他の点については図1〜図4に示す第1の実施形態と基本的に同様であり、対応する部分に対応する符号のみを示して、他の詳しい説明は省略する。
【0110】
図10は本発明のパイロット式制御バルブを、パイロット式減圧バルブの一形態例としてのパイロット式定流量バルブ94として構成した例である。
この例では、主弁20をピストン弁となすとともに、この主弁20に環状の突起96を設け、これをバルブボデー12に形成した主弁座28に向けて進退移動させるようになすとともに、感圧動作部材として上記のダイヤフラム42に代えてこれをピストン式弁部98となし、そしてそのピストン式弁部98で2次側通路18-2の2次側液圧Pを受けて、その2次側液圧Pの増減変化に対応してピストン式弁部98を図中上下方向に進退移動させ、以ってパイロット弁70を一体に進退移動させることにより、主弁20を追従して進退移動させ、その弁開度を増減変化させて2次側液圧Pを1次側液圧Pよりも低い一定の設定圧力の減圧状態に保持するとともに、ピストン式弁部98とバルブボデー12(通路形成部材)との間に環状のオリフィス100を形成して、2次側通路18-2からの液をそのオリフィス100を通過して3次側通路18-3へと流通させるようになしたものである。
【0111】
この実施形態では、オリフィス100を形成することによって、2次側通路18-2の2次側液圧Pと、3次側通路18-3の3次側液圧Pとの間に差圧が生じる。
この差圧に基づく2次側通路18-2から3次側通路18-3へと流通する液の流量は次の式(1)で与えられる。
【0112】
【数1】

【0113】
但し式(1)中、Qは流量で、aはオリフィス100の流路面積,c定数で、ΔPはPとPとの差圧、ρは液の比重である。
【0114】
而してこの実施形態では、2次側通路18-2の2次側液圧Pが一定の圧力に保持されることによって、2次側液圧Pと3次側液圧Pとの差圧は一定となる。
【0115】
従ってオリフィス100を通過して流れる液の流量は一定流量となる。
尚、他の点については基本的に図1〜図4の実施形態と同様である。従って対応する部分に対応する符号のみを示して、他の詳しい説明は省略する。
【0116】
本実施形態によれば、定流量バルブにおける定流量化制御を高精度で適正に行うことができる。
【0117】
図11〜図13は、本発明を自動温度調節機能付きのパイロット式湯水混合バルブ(以下単に湯水混合バルブとする)に適用した場合の実施形態を示している。
図11において、110はその湯水混合バルブを表している。
112は、この湯水混合バルブ110におけるバルブケース(バルブボデー)で、水流入口114,湯流入口116及びこれらに続いて形成された1次側通路としての水流入通路118,湯流入通路120を有している。
【0118】
これら水流入口114,湯流入口116から流入した水と湯とは、水流入通路118,湯流入通路120をそれぞれ流通した後、2次側通路である混合通路122を流通して混合室124に到り、そこで水と湯とが十分に混合された上で、その混合水が流出口126から図中右方に流出する。
【0119】
バルブケース112にはまた、後述の水側主弁132,湯側主弁134に各対応して水側主弁座128,湯側主弁座130が形成されている。
132は水側主弁で、この水側主弁132は、水側主弁座128に向けて図中左右方向の軸方向に進退移動し、弁開度を変化させて水流入口114からの水の流入量を増減変化させる。
この実施形態において、水側主弁132はダイヤフラム膜22と樹脂製の保持部材24とから成るダイヤフラム弁にて構成してある。
【0120】
134は湯側主弁で、この湯側主弁134は湯側主弁座130に向けて進退移動し、上記水側主弁132とは逆の関係で弁開度を大小変化させ、湯流入口116からの湯の流入量を増減変化させる。
136は、これら水側主弁132及び湯側主弁134を有する主弁体で、ここでは水側主弁132及び湯側主弁134がこの主弁体136に一体に構成されている(厳密には湯側主弁134が主弁体136における筒状部138にねじ結合にて一体結合されている)。
【0121】
140は、水側主弁132の図中左側の背後に形成された水側背圧室で、この水側背圧室140は、その内部の圧力を水側主弁132に対して図中右方向の閉弁方向の押圧力として作用させる。
この実施形態では、水側主弁132を駆動弁として湯側主弁134が一体に移動せしめられる。
【0122】
142は、水側主弁132を貫通して設けられた水側導入小孔で、この水側導入小孔142は、水流入口114から流入した水を背圧室140に導入してその圧力を増大せしめる。
【0123】
図12において、144は水側背圧室140に連通する状態で水側主弁132に直径方向に設けられた貫通の横孔で、この実施形態ではこの横孔144によってパイロット通路が構成されている。
この横孔144から成るパイロット通路は、水側背圧室140の水を2次側へと抜いて水側背圧室140の圧力を低下せしめる。
【0124】
水側主弁132は、この水側背圧室140の圧力の増減に基づいて図中左右方向に進退移動せしめられ、そしてこの水側主弁132を駆動弁として湯側主弁134が図中左右方向に進退移動せしめられる。
【0125】
その水側背圧室140の圧力は、水側パイロット弁145の図中左右方向の進退移動によって制御される。
従ってこの実施形態においても、水側パイロット弁145の図中左右方向の軸方向の進退移動により、水側主弁132及び湯側主弁134がこれに追従して同方向に同じストロークで進退移動せしめられる。
【0126】
図11において、146は軸部148においてハンドルに一体回転に連結される円筒形状の回転部で、バルブケース112の内面に回転可能に嵌合されている。
この回転部146の内側には、軸方向に進退移動する円筒形状の第1の進退部材150が配置されており、この進退部材150が、かかる進退部材150に形成された雄ねじ152と回転部146に形成された雌ねじ154とにおいてねじ結合されている。
【0127】
この進退部材150はまた、バルブケース112における内筒部156に対し、軸方向の係合溝と係合突条とを有する回止め機構158により回止めされている。
従って回転部146が回転させられると、進退部材150がねじ送りで図中左右方向に進退移動せしめられる。
【0128】
進退部材150の更に内側には、有底円筒形状をなす第2の進退部材160が配置されている。
この第2の進退部材160は、バルブケース112における上記の内筒部156に対して外嵌状態に摺動可能に嵌合されているとともに、第1の進退部材150に対し緩衝ばね機構162を介して連結されている。
従って進退部材150が図中左右方向に進退移動すると、その進退移動が緩衝ばね機構162を介して第2の進退部材160に伝えられ、かかる第2の進退部材160が、内筒部156の外面に沿って図中左右方向に進退移動せしめられる。
【0129】
この第2の進退部材160の底部166には、主弁体136即ち水側主弁132及び湯側主弁134を図中左右方向に進退移動させるための温調軸164の図中左端部が結合されている。
従って第2の進退部材160が図中左右方向に進退移動すると、この温調軸164がこれと一体に図中左右方向に進退移動せしめられる。
【0130】
図13にも示しているように、水側主弁132及び湯側主弁134即ち主弁体136は、温調軸164に対して別体に構成されている。
この温調軸164には、スリーブ168-1,168-2及び168-3が外嵌状態に且つ左右方向に相対移動可能に嵌合されている。
そして真中のスリーブ168-1に、上記のパイロット弁145が一体に構成されている。
スリーブ168-2は、温調軸164に対し止め輪にて図中右端が規定され、またスリーブ168-3は、同じく止め輪にて温調軸164に対し図中左端が規定されている。
【0131】
そしてスリーブ168-1と168-2との間に、感温動作部材としての形状記憶合金製のコイルばねから成る感温ばね170が介装され、その付勢力をスリーブ168-1に対して、即ちパイロット弁145に対して図中左向きに及ぼしている。
またスリーブ168-3とスリーブ168-1との間に、詳しくはパイロット弁145との間に、コイルばねから成るバイアスばね172が介装され、その付勢力をスリーブ168-1に対して、即ちパイロット弁145に対して図中右向きに及ぼしている。
【0132】
以上の説明から明らかなように、この実施形態ではパイロット弁145が、温調軸164に対して図中左右方向の軸方向に相対移動可能な状態で温調軸164により保持されており、そしてこのパイロット弁145に対し、図中右側と左側とに配置された感温ばね170とバイアスばね172とが、その付勢力を逆向きに及ぼしており、且つ感温ばね170とバイアスばね172とが、合計の長さを一定に保持しつつパイロット弁145とともに温調軸164と一緒に移動するように、それらが温調軸164に組み付けられ、全体としてパイロット弁ユニット174を構成している。
【0133】
図13(A)に示しているように、水側主弁132には円筒部(突出部)176が設けられており、この円筒部176が、水側主弁132における主弁本体132Aから図中左向きに突出せしめられている。
そしてこの円筒部176の付根位置に、上記と同様にして水側背圧室140に連通した直径方向の横孔144が形成され、この横孔144が、円筒部176の内側に形成された挿入孔178の内面で開口せしめられている。
【0134】
この実施形態においてもまた、図12に示しているようにその開口が、パイロット弁145に対する摺動案内面となる内面で軸直角方向の横向きに開口せしめられている。図中180はその横向開口を表している。
尚円筒部176は有底円筒形状をなしており、図中左端の底部を上記の温調軸164が貫通している。
この底部にはOリング182が保持されており、このOリング182によって、温調軸164と円筒部176とが水密にシールされている。
【0135】
この円筒部176の内側、即ち挿入孔178におけるパイロット弁145の図中奥側には液室184が形成されており、そこに2次側通路としての混合通路122の液圧が、温調軸164の外周面に沿って軸方向に形成された連通路186を通じて導入されている。
この実施形態においても、横孔144から成るパイロット通路は、背圧室140内の水が2次側に流出する際の流れに対する絞り部として働き、この横孔144の部分で圧損が生ぜしめられる。
【0136】
また液室184には、連通路186を通じて2次側の液圧が導入されており、従ってこの実施形態においても、パイロット弁145と円筒部176即ちその内側の挿入孔178との間には、シール部材によるシール構造は設けられていない。
従ってパイロット弁145は、挿入孔178の内面を摺動案内面としてシール部材による摺動抵抗を受けることなく、図中左右方向に進退移動可能である。
【0137】
この実施形態においても、パイロット弁145は図中左右方向の進退移動により横向開口180の開度を変化させ、これにより横孔144から成るパイロット通路の開度を変化させることによって、水側背圧室140の圧力を増減変化させ、水側パイロット弁145を図中左右方向に進退移動せしめる。
【0138】
但し上記実施形態で説明したように、パイロット弁145が左右方向に進退移動すると、水側主弁132における主弁本体132Aが、パイロット弁145との間に一定の追従間隙を保持しつつこれに追従して進退移動する。その原理については上記したのと同様である。
【0139】
尚、上記のスリーブ168-1には径方向の通孔188が形成されており、横孔144から流出した水側背圧室140の水は、この通孔188を経て連通路186に、更にはその下流側の混合室124へと流出する。
【0140】
尚、図11に示しているように円筒部176の図中左側には液室34が形成されているが、この液室34は隙間を通じて水側背圧室140と連通しており、液室34は水側背圧室140と同じ圧力となっている。
【0141】
この実施形態の湯水混合バルブ110では、ハンドルの回転操作によって回転部146を回転させると、第1の進退部材150がねじ送りで図中左右方向に進退移動させられる。
そしてこの進退部材150の進退移動に伴って、第2の進退部材160が同方向に進退移動させられ、またこれによって温調軸164が左右方向に進退移動させられる。
【0142】
このときパイロット弁145が一体に移動して、パイロット通路をなす横孔144における横向開口180の開度を変化させ、水側主弁132及び湯側主弁134を進退移動させ、それぞれの弁開度を互いに逆の関係で大小変化させる。
即ちハンドルによって回転部146が回転させられることによって、混合水温度が所望温度に設定される。
【0143】
そしてそのような操作によって水側主弁132及び湯側主弁134を設定位置に位置させた状態で、混合室124内の混合水温度が設定温度に対して高くなったときには、感温ばね170が伸張して図中左向きの付勢力を高め、これにより水側主弁132の弁開度を大とする方向に、また湯側主弁134の弁開度を小とする方向に、それら水側主弁132,湯側主弁134の位置をパイロット弁145の移動を介して変化させ、混合水温度を設定温度に自動調節する。
この自動温度調節動作時の感温ばね170の伸縮動作は極めて速いものであり、従ってこのとき水側パイロット弁145はこれに応じて極めて速い速度で俊敏に軸方向に進退移動する。
【0144】
一方水側主弁132及び湯側主弁134は、その動きに対して若干の遅れを伴って追従移動するが、この実施形態においてもその際に水側パイロット弁145が水側主弁132に対して当ることはなく、従って水側パイロット弁145と水側主弁132とが当ることによってもたらされる上記の不具合を生じることはない。
従ってこの実施形態においても、水側パイロット弁145の移動によって混合水温度を精度高く設定温度に調節すること、即ち温調制御することができる。
【0145】
またこの実施形態においても、パイロット弁145を水側主弁132に対して2次側から単に挿し込むだけでこれを組み込むことができ、その組付構造も簡単な構造とすることができる。
更に水側パイロット弁145と挿入孔178との間にはシール部材によるシール構造が設けてないため、パイロット弁145はシール部材による摺動抵抗を受けることなく円滑に進退動作することができる。
従って本実施形態においても、パイロット弁145の進退移動による混合水の温度制御を高精度で適正に行うことができる。
【0146】
図14は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例もまた湯水混合バルブ110の例であるが、ここでは上記の感温ばね170,バイアスばね172が温調軸に外嵌状態に保持されておらず、感温ばね170が、バルブケース112とスリーブ168-1との間に介装され、またバイアスばね172が、温調軸164とスリーブ168-1との間に介装されている。
【0147】
スリーブ168-1もまた温調軸164に外嵌状態に保持されておらず、かかるスリーブ168-1が、主弁体136における円筒部176と190との内面に、水側パイロット弁145とともに内嵌状態に摺動可能に嵌合され、保持されている。
本実施形態中他の点については上記の湯水混合バルブ110と基本的に同様であり、対応する部分に符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0148】
尚、上記の湯水混合バルブ110では、水側主弁132と湯側主弁134とを一体移動する状態に構成し、そして水側主弁132を駆動弁として、これをパイロット弁145の移動に追従して移動させるようになしているが、水側主弁及び湯側主弁を一体移動する状態に設けるとともに、湯側主弁の背後に湯側背圧室を形成し、そして湯流入口からの1次側の湯(熱水)を湯側背圧室に導入する導入小孔,湯側背圧室の湯を2次側に抜く湯側パイロット孔を設け、そして水側パイロット弁を設けるのに代えて湯側パイロット通路を設け、湯側パイロット弁の移動により湯側主弁をこれに追従して移動させ、そして湯側主弁を駆動弁として水側主弁を一体に移動させるようになすことも可能である。
【0149】
或いは水側主弁,湯側主弁をそれぞれ別体且つ独立して移動するように設けた上で、水側主弁の背後に水側背圧室を、湯側主弁の背後に湯側背圧室を、更にそれら水側背圧室,湯側背圧室の圧力を増減させる水側導入小孔,湯側導入小孔,水側パイロット通路,湯側パイロット通路をそれぞれ設け、水側パイロット弁と湯側パイロット弁とを同期して軸方向に移動させることで、水側主弁と湯側主弁とを互いに逆の関係で弁開度を大小変化させるように構成するといったことも可能である。
【0150】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の一実施形態のパイロット式減圧バルブを示した図である。
【図2】同実施形態の要部を示した図である。
【図3】同実施形態の作用説明図である。
【図4】図3とは異なる作用説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示した図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態を示した図である。
【図7】同実施形態の要部の作用説明図である。
【図8】同実施形態の効果を説明するための図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態のパイロット式定流量バルブの図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態のパイロット式湯水混合バルブの図である。
【図12】図11の要部を拡大して示した図である。
【図13】図11におけるパイロット弁ユニットの図である。
【図14】本発明の更に他の実施形態のパイロット式湯水混合バルブの図である。
【図15】従来のパイロット式減圧バルブの一例を示す図である。
【図16】図15のパイロット式減圧バルブの問題点を対策した例を示す図である。
【図17】図15のパイロット式減圧バルブの問題点を説明する図である。
【図18】従来のパイロット式湯水混合バルブを示す図である。
【符号の説明】
【0152】
10 パイロット式減圧バルブ
18 主通路
20 主弁
28 主弁座
34,84,184 液室
36,140 背圧室
38,142 導入小孔
40 パイロット通路
42 ダイヤフラム
44 受圧面
50 2次圧調節ばね
68 軸部
70,145 パイロット弁
76,178 挿入孔
78,144 横孔
80 ,180 横向開口
86 連通溝
90 Oリング
92 シール用弁部
100 オリフィス
110 湯水混合バルブ
132 水側主弁
134 湯側主弁
164 温調軸
170 感温ばね
172 バイアスばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)主通路上に設けられ、主弁座に向けて進退移動して弁開度を変化させる主弁と、(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(ハ)該背圧室に連通し、前記主通路の前記主弁よりも上流側の1次側の液を該背圧室に導入して圧力上昇させる導入小孔と、(ニ)該背圧室に連通して前記主弁に設けられ、該背圧室の液を前記主通路の該主弁よりも下流側の2次側に抜いて圧力低下させる圧抜通路としてのパイロット通路と、(ホ)前記主弁の進退移動方向である軸方向に進退移動し、前記パイロット通路の開度を変化させることによって該主弁を追従して同方向に進退移動させるパイロット弁と、を有し、該パイロット弁を前記主弁の下流側の圧力若しくは温度に感応して進退移動させることにより該主弁の開度を変化させ、該下流側の圧力若しくは温度を制御するパイロット式制御バルブにおいて、
前記パイロット通路を、前記パイロット弁の進退移動方向に対して交差する方向に前記主弁の内部を通る横孔を有するものとなして、該横孔を、該パイロット弁を摺動案内する軸方向の摺動案内面で軸直角向きに横向きに開口させ、該横向開口の開度を該パイロット弁の軸方向の進退移動により該パイロット弁の摺動面にて変化させるようになしてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項2】
請求項1において、前記主弁には該主弁の2次側から前記背圧室の側に向けて軸方向に挿入孔が設けられていて、該挿入孔の内面を前記摺動案内面として前記パイロット弁が該挿入孔に前記2次側から摺動可能に挿入されており、
前記横孔が該挿入孔の内面で開口せしめられているとともに、該挿入孔における前記パイロット弁の奥側には液室が形成されていて、該液室に前記2次側の圧力が導入されており、
前記パイロット弁が該2次側の圧力空間に位置した状態で進退移動するようになしてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項3】
請求項2において、前記液室と前記2次側とを連通させ、該2次側の圧力を該液室に導く連通溝が前記挿入孔の内面に沿って軸方向に設けてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項4】
請求項2,3の何れかにおいて、前記挿入孔には前記パイロット弁を移動させる軸部が該パイロット弁とともに挿入されていて、該軸部と該挿入孔の内面との間に隙間が形成され、該隙間にて前記横孔に続く前記パイロット通路の一部が形成されているとともに、
前記主弁には、該隙間の形成位置において該挿入孔の内面に沿って周方向に延びる環状の弾性を有するシール部材が設けてあり、
前記パイロット弁が前記横向開口を閉鎖した後に、該シール部材と弾性嵌合して前記パイロット通路を径方向にシールし、連通遮断するようになしてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項5】
請求項2,3の何れかにおいて、前記挿入孔には前記パイロット弁を移動させる軸部が該パイロット弁とともに挿入されていて、該軸部と該挿入孔の内面との間に隙間が形成され、該隙間にて前記横孔に続く前記パイロット通路の一部が形成されているとともに、
前記主弁には、該隙間の形成位置において該挿入孔の内面に沿って周方向に延びる環状の弾性を有するシール部材が設けてあり、
前記軸部には前記隙間の形成位置において前記パイロット弁とは別のシール用弁部が設けてあり、
該パイロット弁が前記横向開口を閉鎖した後に、前記シール用弁部が前記シール部材と弾性嵌合して前記パイロット通路を径方向にシールし、連通遮断するようになしてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記制御バルブが前記主弁の下流側の圧力を調圧する減圧バルブであって、
(a)2次側液圧を受ける受圧面を有し、該2次側液圧を駆動力として変位動作する感圧動作部材と、
(b)該感圧動作部材に対して該2次側液圧の作用方向とは逆向きに付勢力を作用させる2次圧調節ばねと、
を有していて該感圧動作部材に前記パイロット弁が連結され、該感圧動作部材が該2次側液圧の増大により前記2次圧調節ばねの付勢力の作用方向と逆方向に感圧変位動作して前記パイロット弁の弁開度を小とする方向に、該2次側液圧の減少により該2次圧調節ばねの付勢力の作用方向に感圧変位動作して該パイロット弁の弁開度を大とする方向に該パイロット弁を進退移動させ、該2次側液圧を1次側液圧よりも低い減圧状態に保持するようになしてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項7】
請求項6において、前記減圧バルブが定差圧式の定流量バルブであって、
前記感圧動作部材が該感圧動作部材自体若しくは通路形成部材との間にオリフィスを形成しており、該感圧動作部材に対して入側の前記2次側液圧と出側の3次側液圧との差圧を一定に保持して前記オリフィスを通過する液の流量を定流量に保持するようになしてあることを特徴とするパイロット式制御バルブ。
【請求項8】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記制御バルブが、(a)温調軸の進退移動により弁開度を互いに逆の関係で大小変化させる水側主弁及び湯側主弁と、(b)混合水温度に感応して軸方向に伸縮し、該混合水温度が設定温度よりも高くなったときに前記水側主弁を開き、前記湯側主弁を閉じる方向にそれら水側主弁及び湯側主弁を移動させる感温動作部材と、(c)該水側主弁及び湯側主弁に対し該感温動作部材による移動方向と逆方向の付勢力を作用させるばねと、を有し、前記水側及び湯側の各主弁の下流側の混合水温度を自動調節する自動温度調節機能付の湯水混合バルブであって、
前記背圧室が前記水側主弁又は/及び湯側主弁に対して内部の圧力を閉弁方向の押圧力として作用させるものとなしてあるとともに、
前記パイロット弁が該感温動作部材の伸縮動作により前記混合水温度に感応して進退移動し、前記背圧室の圧力を増減させることで前記水側主弁又は/及び湯側主弁を開閉方向に移動させ、前記混合水温度を自動調節するものとなしてあることを特徴とする混合水温度の制御バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−25180(P2010−25180A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185404(P2008−185404)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】