説明

パター型ゴルフクラブヘッド及びパター型ゴルフクラブ

【課題】ボールの転がり距離や方向を高いレベルに維持しつつ打球感をより高める。
【解決手段】前側にボールを打撃するフェース2を具えたパター型ゴルフクラブヘッド1であって、フェース2側に凹部3が設けられたヘッド本体1Aと、該ヘッド本体1Aの凹部3に装着された弾性材料からなるフェースインサート1Bとを具える。フェースインサート1Bは、最も前側に配された第1層8と、最も後側に配された第3層10と、前記第1層8と前記第3層10との間に挟まれた第2層9とからなる3層構造で、第1層8、第2層9及び第3層10の硬度をそれぞれh1、h2及びh3、並びに反発弾性率をr1、r2及びr3とするとき、h1>h2、h3>h2、r1>r2及びr3>r2の関係を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定したボールの転がり距離や方向が得られるパター型ゴルフクラブヘッド及びパター型ゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パター型ゴルフクラブヘッドとして、金属製のヘッド本体の凹部に弾性材料からなるフェースインサートを配したものが知られている。このようなパター型ゴルフクラブヘッドは、柔らかい打球感が得られる。
【0003】
従来、パターの打球感をよりソフトなものにするために、下記特許文献1等では、弾性材料としてエラストマーを用いたフェースインサートが提案されている。しかしながら、柔らかいフェースインサートを用いた場合、ボールの打出し方向が微妙にズレたり(方向性の悪化)、望ましくない余計なスピンが生じるおそれがある。
【0004】
上記不具合を解決するために、下記特許文献2では、フェースインサートを2層構造とし、そのフェース側に相対的に硬い弾性材料を用いることが提案されている。しかし、このようなパター型ゴルフクラブヘッドでは、ソフトな打球感は得られ難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−196668号公報
【特許文献2】特開2004−236985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、フェースインサートを3層構造とするとともに、各層の硬さ及び反発弾性率を規定することにより、柔らかい良好な打球感を確保しつつ安定したボールの転がり距離や方向が得られるパター型ゴルフクラブヘッド及びパター型ゴルフクラブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、前側にボールを打撃するフェースを具えたパター型ゴルフクラブヘッドであって、前記フェース側に凹部が設けられたヘッド本体と、該ヘッド本体の凹部に装着される弾性材料からなるフェースインサートとを具え、前記フェースインサートは、最も前側に配された第1層と、最も後側に配された第3層と、前記第1層と前記第3層との間に挟まれた第2層とからなる3層構造を有し、前記第1層、第2層及び第3層の硬度をそれぞれh1、h2及びh3、並びに反発弾性率をr1、r2及びr3とするとき、下記の関係を満足することを特徴とするパター型ゴルフクラブヘッドである。h1>h2、h3>h2、r1>r2、r3>r2
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記第1層、第2層及び第3層の硬度及び反発弾性率は、下記の関係を満足する請求項1記載のパター型ゴルフクラブヘッドである。h1=h3、r1=r3
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記フェースインサートは、前記第1層及び第3層が同一材料である請求項1又は2記載のパター型ゴルフクラブヘッドである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記フェースインサートは、前記第3層のみが前記ヘッド本体に接する請求項1乃至3のいずれかに記載のパター型ゴルフクラブヘッドである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記第1層及び第2層の硬度は、下記の関係を満足する請求項1乃至4のいずれかに記載のパター型ゴルフクラブヘッドである。0<h1−h2≦10°
【0012】
また請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかのパター型ゴルフクラブヘッドを具えたパター型ゴルフクラブである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ヘッド本体に装着されたフェースインサートを、フェース側から第1層、第2層及び第3層の3層構造とし、
a)第2層の硬度を、第1層及び第3層の硬度よりも小さくする
b)第2層の反発弾性率を、第1層及び第3層の反発弾性率よりも小さくする
という2つの関係を同時に満足させることにより、柔らかい打球感を確保しつつボールの転がり距離や方向を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のパター型ゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】そのフェースインサートの分解斜視図である。
【図4】他の実施形態のパター型ゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【図5】実打テストの要領を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1及び2に示されるように、本実施形態のパター型ゴルフクラブヘッド(以下、単に「パターヘッド」という。)1は、前側にボールを打撃するフェース2を具えている。
【0016】
前記フェース2は、該フェース2の中央部が凸となる凸形状をなし、トウT及びヒールHの方向(水平方向)に長い略横長矩形状で構成されている。また、フェース2は、例えば1〜3度程度の小さなロフト角で後傾している。
【0017】
また、パターヘッド1は、フェース2側に凹部3が設けられたヘッド本体1Aと、該ヘッド本体1Aの凹部3に装着される弾性材料からなるフェースインサート1Bとから構成されている。
【0018】
前記ヘッド本体1Aは、好適にはアルミニウム合金、ステンレス、チタン又は軟鉄等の金属材料からなり、前記フェース2の上縁、下縁、トウ側縁及びヒール側縁からそれぞれ後方にのびる扁平な略ブロック状で形成されている。該ヘッド本体1Aは、鋳造、鍛造又は削り出し等、種々の方法で製造される。また、例えば、ヘッド本体1Aの上面には、クラブシャフトSの下端が固着される。
【0019】
前記凹部3は、フェース2のトウ・ヒール方向及び上下方向の主要部に亘って形成されており、凹部3の輪郭を区画する環状の内周面3aと、該内周面3aをヘッド内部側で閉じる底面3bとを有する。このような凹部3は、フェース2から窪んだ有底の空間を形成する。本実施形態の凹部3は、フェース2の輪郭にほぼ沿ってトウ・ヒール方向に長い横長の矩形状で形成されているが、このような態様に限定されるものではない。なお、ヘッド本体1Aの前面かつ凹部3の周囲には、環状に連続する前面縁部4が形成される。
【0020】
前記フェースインサート1Bは、フェース2側に露出して配される前面5と、その反対側の面である後面7と、前面5と後面7との間を継いで環状にのびる外周面6とを有するブロック状で形成されている。該フェースインサート1Bは、後面7が凹部3の底面3bに、外周面6が凹部3の内周面3aにそれぞれ向き合わされ、かつ、好ましい態様では密着して配置される。そして、本実施形態では、フェースインサート1Bをヘッド本体1Aの凹部3に装着することにより、フェースインサート1Bの前面5は、ヘッド本体1Aの前面縁部4よりも前側に飛び出して形成される凸状をなし、これにより前記フェース2が形成される。なお、フェースインサート1Bは、両面テープや接着剤などを用いてヘッド本体1Aの凹部3に固着される。また、フェース2は、このような態様に限定されるものではなく、実質的に単一の平面に形成されるものでも良い。
【0021】
前記フェースインサート1Bは、図3に分解して示されるように、最も前側に配された第1層8と、最も後側に配された第3層10と、第1層8と第3層10との間に挟まれた第2層9とからなる3層構造を有している。そして、本発明では、第1層8、第2層9及び第3層10の硬度をそれぞれh1、h2及びh3、並びに反発弾性率をr1、r2及びr3とするとき、下記の関係を満足することを特徴とする。
h1>h2、h3>h2 ・・・(a)
r1>r2、r3>r2 ・・・(b)
【0022】
即ち、発明者らは、種々の実験の結果、
a)第2層の硬度を、第1層及び第3層の硬度よりも小さくする
b)第2層の反発弾性率を、第1層及び第3層の反発弾性率よりも小さくする
という2つの関係を満足させることにより、柔らかい打球感を確保しつつボールの転がり距離や方向を高いレベルに両立させ得ることを知見した。即ち、本発明では、上記a及びbの2条件を同時に満足させることにより、柔らかい打球感を確保しつつボールの転がり距離や方向を向上させるものである。
【0023】
とりわけ、条件a、即ち、中間に位置する第2層9を最も柔らかくし、かつ、その前後に位置する第1層8及び第3層10を相対的に硬くすることにより、打球感を良好に維持しつつボール打撃時のフェースインサートのたわみが適度に抑制される。また、条件bによって、ボールと直接接触する第1層8の反発弾性率を第2層9の反発弾性率より大きくすることにより、ボール打撃時、いわゆる球離れを早めて余分なスピンの発生を防ぎつつボールの方向安定性を向上しうるとともに、ボールの転がりを向上させる。また、ヘッド本体1Aに近い第3層10の反発弾性率を第2層9の反発弾性率より大きくすることにより、振動吸収効果を確保しつつ、方向安定性とボールの転がりとを高めるのに役立つ。これらの作用は、後述の実施例で明らかとなる。
【0024】
前記フェースインサート1Bの各層8乃至10に使用される弾性材料としては、例えばアイオノマー樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー若しくはポリアミド系エラストマー等の合成樹脂、又はスチレンブタジエンラバー若しくはブタジエンゴム等のゴム弾性体等が好適である。
【0025】
前記第1層8のショアD硬度h1は、35°〜65°が望ましい。即ち、前記硬度h1が35゜未満になると、ボール打撃時のフェースインサート1Bのたわみが大きくなり、ボールの方向性が悪化しやすい。逆に、前記硬度h1が65゜を超えると、ソフトな打感が得られないおそれがある。とりわけ、第1層8の硬度h1は、より好ましくは40°以上、さらに好ましくは45°以上が望ましく、また、より好ましくは63°以下、さらに好ましくは60°以下が望ましい。
【0026】
ここで、弾性材料のショアD硬度は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠し、ショアD型硬度計が取り付けられた自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)で測定される。測定には、フェースインサートの層と同じ材料により作製された厚さ2mmのシートが用いられる。該シートは、測定に先立ち、23℃の温度下に2週間保管され、測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
【0027】
前記第1層8の反発弾性率r1は 50%〜70%が望ましい。該反発弾性率r1が50%未満になると、ボールの転がりが悪くなるおそれがある。逆に、前記反発弾性率r1が70%を超えると、ボールの転がりが過度に向上してしまう他、不快な振動がプレーヤーの手に伝わり易い。とりわけ、前記反発弾性率r1は、より好ましくは53%以上、さらに好ましくは56%以上が望ましく、また、より好ましくは67%以下、さらに好ましくは63%以下が望ましい。
【0028】
前記反発弾性率は、「JIS K 6255」の規定に準拠して、リュプケ式反発弾性試験(試験温湿度23℃、50RH%)により得られる。測定には、熱プレスで成形された、厚さ2mmかつ直径28mmの円盤状のスラブが用いられる。測定には、6枚のスラブが重ね合わされる。フェースインサートの各層の弾性材料と同一の組成物からなるスラブが、測定に用いられる。なお、スラブは、予め、23℃の温度下に2週間保管される。
【0029】
図3に示されるように、第1層8の厚さD1は、0.3〜4.0mmが望ましい。前記厚さD1が小さくなると、十分にソフトな打感が得られないおそれがあり、逆に厚さD1が大きくなると、たわむ部分が大きくなり、ボールの方向性が悪化するおそれがある。とりわけ、前記厚さD1は、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上が望ましく、また、より好ましくは3.8mm以下、さらに好ましくは3.5mm以下が望ましい。
【0030】
なお、フェースインサート1Bの各層の厚さは、一定ではない場合、最も頻繁にボールと直接的に又は間接的に接触するトウ・ヒール方向の中央領域における最小の厚さとする。
【0031】
第2層9のショアD硬度h2は、上述の通り、第1層8及び第3層10の硬度h1及びh3よりも小さく設定されるが、好ましくは30〜60°が望ましい。前記硬度h2が、30゜未満になると、ボール打撃時の第1層8のたわみを抑えることができず、ボールの方向性が悪化するおそれがあり、逆に60゜を超えると、ソフトな打感が得られないおそれがある。とりわけ、第2層9のショアD硬度h2は、より好ましくは35°以上、さらに好ましくは40°以上が望ましく、また、好ましくは57°以下、より好ましくは55°以下が望ましい。
【0032】
また、上述の作用をより発揮させる観点より、第2層9のショアD硬度h2と第1層8のショアD硬度h1との差h1−h2は、好ましくは10°以下が望ましい。
【0033】
第2層9の反発弾性率r2は、30〜60%が望ましい。該反発弾性率r2が30%未満では、ボール打撃時のフェースインサートのたわみが大きくなりすぎて、プレーヤーの手に打感が伝わり難く、距離感が把握しづらくなる。逆に、前記反発弾性率r2が60%を超えると、打撃時の不快な振動がプレーヤーの手に伝わるおそれがある。とりわけ、第2層9の反発弾性率r2は、より好ましくは33%以上、さらに好ましくは35%以上が望ましく、また、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下が望ましい。
【0034】
また、第2層9の厚さD2は1.0〜5.0mmが良い。前記厚さD2が1.0mmを下回ると、ソフトな打感が得られないおそれがある。逆に、前記厚さD2が5.0mmを超えると、第1層8のたわみを抑えることができず、ボールの方向性が悪化するおそれがある。とりわけ、第2層9の厚さD2は、より好ましくは1.2mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上が望ましく、また、より好ましくは4.8mm以下、さらに好ましくは4.5mm以下が望ましい。
【0035】
第3層10のショアD硬度h3は 35〜65°が望ましい。該硬度h3が35゜未満になると、ボール打撃時のフェースインサート1Bのたわみが大きくなり、ボールの方向性が悪化するおそれがある。逆に、前記硬度h3が65゜を超えると、ソフトな打感が得られないおそれがある。とりわけ、第3層10のショアD硬度h3は、より好ましくは40°以上、さらに好ましくは45°以上が望ましく、また、より好ましくは63°以下、さらに好ましくは60°以下が望ましい。
【0036】
第3層10の反発弾性率r3は、50〜70%が望ましい。該反発弾性率r3が50%未満になると、フェースインサート1Bのたわみが大きくなり、ひいてはプレーヤーの手に打感が伝わり難く距離感が把握しづらくなり、逆に、70%を超えると、打撃時の振動が十分に吸収されないおそれがある。とりわけ、反発弾性率r3は、より好ましくは53%以上、さらに好ましくは57%以上が望ましく、また、より好ましくは67%以下、さらに好ましくは63%以下が望ましい。
【0037】
第3層10の厚さD3は、1.0〜5.0mmが望ましい。前記厚さD3が1.0mm未満であると、ソフトな打感が得られないおそれがあり、逆に5.0mmを超えると、ボール打撃時にたわむ部分が大きくなり、著しく打感が柔らかくなるおそれがある。とりわけ、前記第3層10の厚さD3は、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上が望ましく、また、より好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下が望ましい。
【0038】
また、上述の作用をより発揮させる観点より、第1層8のショアD硬度h1と第3層10のショアD硬度h3とが同一及び第1層8の反発弾性率r1と第3層10の反発弾性率r3とが同一であるのが望ましい。とりわけ、第1層8と第3層10とが同一材料で形成されるのがさらに望ましい。
【0039】
また、図3に示されるように、本実施形態の第1層8は、トウ・ヒール方向にのびかつ中央側に形成された厚肉部8bと、この厚肉部8bの周りを連続して囲むとともに厚肉部8bよりも厚さが小さい薄肉部8cとを有する凸状部8Aとして形成される。
【0040】
本実施形態の第2層9は、板状の基部9aと、該基部9aの外周から前方に突出しかつ基部9aの内側に向かって折れ曲がるL字状のフランジ部9bとから構成されている。第1層8の薄肉部8cは、フランジ部9bの内側面に連続して接する。このような第2層9は、第1層8の前後方向の振動のみならず、上下及びトウ・ヒール方向の振動も含めて多方向の振動成分を吸収減衰させる点で好ましい。
【0041】
本実施形態の第3層10は、板状の基部10aと、該基部10aの前面かつトウT側から前方に突出し第2層9の外周面を覆うトウ側フランジ10bと、前記基部10aの前面かつヒールH側から前方に突出し第2層9の外周面を覆うヒール側フランジ10cとから構成されている。このような第3層10も、第1層8及び第2層9のトウ・ヒール方向の振動も含めて多方向の振動成分を吸収減衰させる点で好ましい。
【0042】
また、本発明の他の実施形態が、図4に示される。この実施形態では、第3層10のみが、前記ヘッド本体1Aの凹部3の内周面3aに接する。このようなパターヘッド1は、ボールの打撃位置がクラブシャフトSから離れるため、振動成分がより吸収減衰され、さらに柔らかい打球感を得ることができる。
【0043】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【実施例】
【0044】
本発明の効果を確認するために、図1に示した基本形状を有するパター型ゴルフクラブヘッドにシャフトを装着して全長34インチのパター型ゴルフクラブが試作され、その実打テストが行われた。ヘッド本体は、SUS630の鋳造品とした。また、フェースインサートは、図2に示す基本形状とし、第2層のフランジ部の厚さは1mm、第3層のフランジ部の厚さは最大部分で2mmである。
【0045】
実打テストは、SRIスポーツ社製の市販の3ピースゴルフボール(Z−UR)を用いて、ゴルファー10名が6mのパッティングを5回繰り返すことにより行われた。そして、打球感については、各ゴルファーが、パッティングした時の硬さの程度及び手に伝わる振動をフィーリングに基づいて、下記の基準で評価し、全平均を結果とした。数値が大きいほど打球感が良好であることを示す。
〈打感(硬さ)〉
5点・・・非常にソフト
4点・・・ソフト
3点・・・普通(比較例1を基準)
2点・・・硬い
1点・・・非常に硬い
〈打感(振動)〉
5点・・・手に伝わる振動が非常に小さい
4点・・・手に伝わる振動が小さい
3点・・・普通(比較例1を基準)
2点・・・手に伝わる振動が大きい
1点・・・手に伝わる振動が非常に大きい
【0046】
また、図5に示されるように、ボールの打ち出し位置P1と目標位置P2とを結ぶ縦ラインNからボールの停止位置P3までの横ズレ量b、及び前記目標位置P2を通り且つ前記縦ラインNと直交する横ラインMからボールの停止位置P3までの縦ズレ量aが測定された。評価は、各横ズレ量b及び縦ズレ量aについての10名の平均である平均横ズレ量及び平均縦ズレ量が計算され、各々、比較例1を1とする指数で表示されている。数値が大きいほどズレ量が大きく性能が悪いことを意味している。テスト結果などは、表1に示される。
【0047】
【表1】


【0048】
また、表1中のフェースインサートの材料についての記号は次の通りである。
PEBAX:
ポリエーテルブロックアミド(製造メーカー:アルケマ(Arkema)社)
TPU:
熱可塑性ウレタン樹脂(製品名:エラストラン11TYPE、BASF社製)
【0049】
テストの結果、実施例のパター型ゴルフクラブは、ズレ量が小さく、ボールの転がり距離や方向を高いレベルに維持していることが確認された。また、打球感についても、良好な結果が得られた。
【符号の説明】
【0050】
1 パター型ゴルフクラブヘッド
1A ヘッド本体
1B フェースインサート
2 フェース
3 凹部
8 第1層
9 第2層
10 第3層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側にボールを打撃するフェースを具えたパター型ゴルフクラブヘッドであって、
前記フェース側に凹部が設けられたヘッド本体と、該ヘッド本体の凹部に装着される弾性材料からなるフェースインサートとを具え、
前記フェースインサートは、最も前側に配された第1層と、最も後側に配された第3層と、前記第1層と前記第3層との間に挟まれた第2層とからなる3層構造を有し、
前記第1層、第2層及び第3層の硬度をそれぞれh1、h2及びh3、並びに反発弾性率をr1、r2及びr3とするとき、下記の関係を満足することを特徴とするパター型ゴルフクラブヘッド。
h1>h2
h3>h2
r1>r2
r3>r2
【請求項2】
前記第1層、第2層及び第3層の硬度及び反発弾性率は、下記の関係を満足する請求項1記載のパター型ゴルフクラブヘッド。
h1=h3
r1=r3
【請求項3】
前記フェースインサートは、前記第1層及び第3層が同一材料である請求項1又は2記載のパター型ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記フェースインサートは、前記第3層のみが前記ヘッド本体に接する請求項1乃至3のいずれかに記載のパター型ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1層及び第2層の硬度は、下記の関係を満足する請求項1乃至4のいずれかに記載のパター型ゴルフクラブヘッド。
0<h1−h2≦10°
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかのパター型ゴルフクラブヘッドを具えたパター型ゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9735(P2013−9735A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143089(P2011−143089)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(504017809)ダンロップスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】