説明

パネル型消火器容器

本発明は、消火薬剤の加圧時に消火器容器の膨張変形を防止することで安全且つ堅固であり、ドアや壁に容易に設置することができるパネル型消火器容器に関する。本発明によると、内部に充填された消火薬剤を噴射する噴射手段50が結合される消火器容器であって、消火薬剤が充填される内部空間32を形成すると同時に両面に前面板30と後面板31が形成されるパネル容器20と、内部空間32を横切って前面板30と後面板31とを互いに結合させる少なくとも一つの連結部材33と、を含むパネル型消火器容器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル型消火器容器に関し、特に、消火薬剤の加圧時に消火器容器の膨張変形を防止し、安全且つ堅固なパネル型消火器容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物には、火災の発生時に初期の鎮火のためにまたは消防車が出動するまで火災の拡散を遅延させるために消火器が備えられる。通常の消火器には、通常消火薬剤が充填される円筒状の消火器容器から構成され、安全ピンを取り外すと作動するインフレーターの加圧ガスにより消火薬剤を噴射するようになっている。
【0003】
このような円筒状消火器は設置時に室内空間の一部を占めるため、人の通行に邪魔になったり視覚的に周辺のインテリアと釣り合わない場合がある。
【0004】
近年では、室内の壁や天井またはドアなどに消火装置を埋め込んで、火災の発生時に自動的に消火薬剤を噴射できるようにしたパネル型消火器が開発されている。
このようなパネル型消火器は、消火器容器がパネルの形態になっていて、消火薬剤の加圧時に加圧ガスと消火薬剤によりパネル板の膨張変形(すなわち、パネル板が膨らむ現象)が発生する可能性が大きいため、消火器容器が破損または爆発するおそれがあるだけでなく、これらの安全上の問題により、消防規定などにより製品化されにくいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような問題に鑑み、本発明の目的は、消火薬剤の加圧時に消火器容器の膨張変形を防止することで安全且つ堅固であり、またドアや壁への設置が容易で必要なとき便利に移動できることで、設置及び使用の便利なパネル型消火器容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、内部に充填された消火薬剤を噴射する噴射手段50が結合される消火器容器であって、消火薬剤が充填される内部空間32が形成され、前面板30と後面板31が供えられるパネル容器20と、内部空間32を横切って前面板30と後面板31とを互いに結合させる少なくとも一つの連結部材33と、を含むパネル型消火器容器が提供される。
【0007】
本発明の別の態様によると、前面板30と後面板31との間には少なくとも一つの補強溝34が形成されることを特徴とするパネル型消火器容器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、消火薬剤が充填される内部空間32を形成すると同時に両面に前面板30と後面板31が形成されたパネル容器20が備えられ、前面板30と後面板31は内部空間32を横切る連結部材33により互いに結合されるように備えられることで、パネル容器20内に充填された消火薬剤の加圧による前面板30と後面板31の膨張変形(すなわち、加圧力により前面板30と後面板31が膨らむ現象)を防止できるだけでなく、これによりパネル容器20の破損や変形または深刻な場合は爆発の危険を防止して、安全且つ堅固なパネル容器20を提供することができるという利点がある。
【0009】
また、前面板30と後面板31には、内部空間32側に陥没形成された補強溝34がさらに形成されることで、前面板30と後面板31を補強し内部の圧力を堅固に支えて、前面板30と後面板31の膨張変形をより堅固且つ安全に防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による噴射手段の断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述した本発明の目的、特徴、及び利点は、以下に詳述される説明で明らかになるであろう。
【0012】
図1〜図4は、本発明のさまざまな実施形態を示す正面図および断面図である。
本発明の一実施形態によるパネル容器20は、図1に示すように、内部に消火薬剤を充填できるように所定厚さの円板状に構成され、その外縁部には消火薬剤を噴射するための噴射手段50が結合される。パネル容器20の中央部には連結部材33が備えられ、前面板30と後面板31が互いに結合される。この連結部材33を中心に複数の補強溝34が放射状に形成される。
【0013】
噴射手段50は、パネル容器20の内部の消火薬剤を加圧排出するために加圧ガスが充填された密閉容器の形態からなるインフレーター40と、このインフレーター40が結合される噴射モジュール51とを含む。インフレーター40が結合される噴射モジュール51の一側端からは注入管41がパネル容器20に連通され、インフレーター40から排出される高圧ガスがパネル容器20内に注入される。一方、噴射モジュール51の他側には排出管42がパネル容器20と連通される。パネル容器20内で高圧ガスにより加圧された消火薬剤は排出管42を通して排出され、噴射モジュール51を経てノズル66から外部へ吐出される。このような噴射手段50は様々な形態に変形されることができ、図示された実施形態のようにパネル容器20の外部に設けられず、パネル容器20内に内蔵されることもできる。
【0014】
本発明の一実施形態によるパネル容器20の詳細な構成を図2を参照して説明する。図示されたように、前面板30と後面板31は円形からなり、所定の幅を有する内部空間を形成するように互いに結合される。ここで、前面板30と後面板31は円形の他にも長方形や三角形などを含めて様々な形からなってもよい。また、前面板30と後面板31は、相互結合のために、その周縁に沿って折曲されたりまたは別の縁部材を備えて、それの溶接などにより接合されることができるだけでなく、一体に成形されることができる。パネル容器20は、ドアに内蔵できる厚さまたは通常の額縁の厚さ(略3〜5cm)を有し、金属材質からなることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0015】
なお、前面板30と後面板31は、その内部空間32を横切って結合される連結部材33により、膨張が防止されるように構成される。この連結部材33は前面板30と後面板31の中心部を貫通し、その端部が前面板30と後面板31のそれぞれに溶接などにより気密を維持するように結合される。連結部材33は短管体やボルトまたは円形棒など様々な形態で構成されることができる。また、前面板30と後面板31の大きさによって複数の連結部材33が備えられてもよく、その一は適切に選択される。この連結部材33により前面板30と後面板31が内部で互いに堅固に結合され、消火薬剤の加圧時に前面板30と後面板31の膨張変形を防止することができる。
【0016】
なお、前面板30と後面板31には、連結部材33を中心に複数の補強溝34が放射状に延長される。この補強溝34により前面板30と後面板31の剛性を補強して、前述された連結部材33とともに前面板30と後面板31の膨張変形を防止することで、さらに堅固且つ安全な消火器容器を得ることができる。
【0017】
本発明によるパネル容器20はドアに内蔵されて自動的に消火薬剤を噴射することができ、または壁に額縁や飾り物のように掛けて保管し、火災時に取り出して火災現場に運んで手動操作により消火薬剤を噴射することもできる。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態による噴射手段の断面図であり、図示されたように、噴射手段50は感熱による自動作動または手動操作でインフレーター40を開放して消火薬剤の噴射が行われるように作動する噴射モジュール51を備える。この噴射モジュール51は、感熱プラグ60及び安全ピン62により取り外されるプラグ61により保持される撃発器具70及びこの撃発器具70により保持されるバルブ80を含んで構成される。
【0019】
噴射モジュール51はインフレーター40が結合されると同時に注入管41と排出管42が連結されるモジュール本体52を含む。このモジュール本体52の内部には互いに連通されるストッパー孔53とバルブ孔54と軸孔55が形成される。ストッパー孔53はモジュール本体52の横方向に貫通するように形成され、その内部にはスプリング56により外側に弾性力を受ける状態で設けられる一対のストッパー57が備えられる。ストッパー孔53の一側の入口には、ストッパー57のうち一つにプラグ61が結合される。このプラグ61は安全ピン62によりモジュール本体52に固定される。また、ストッパー孔53の他側の入口にはストッパー57のうち別の一つに感熱プラグ60が結合されて、ストッパー57を保持する。この感熱プラグ60は、鉛または鉛合金のような低温溶融金属からなり、火災時に迅速に溶融される。
【0020】
ストッパー孔53の中央部にはインフレーター40側に軸孔55が形成され、この軸孔55の内部にはストッパー57により保持される撃発器具70が備えられる。この撃発器具70には可動ロッド71が備えられ、その一端部のネック部72はストッパー57により両側から保持される。この可動ロッド71はスプリング73によりインフレーター40の方に弾性加圧され、その先端部には可動ロッド71により打撃されてインフレーター40を開放する開放ピン59が備えられる。
【0021】
モジュール本体52にはストッパー孔53を基準に軸孔55の反対側の位置に一対のバルブ孔54が平行に形成される。このバルブ孔54の端部には排出管42と連通される連通孔63が延長されると同時に、側面の一側には別の連通孔64が形成される。連通孔63の端部には連結管65が連結され、この連結管65の端部に、消火薬剤を外部に噴射するノズル66が結合される。
【0022】
排出管42、バルブ孔54、連通孔63、64、及び連結管65は互いに連通されて消火薬剤が排出される排出管路を形成する。このような排出管路を開閉するために、バルブ孔54の内部にはバルブ80が設けられる。このバルブ80は、排出口を遮断するバルブ体81とこのバルブ体81から延長形成されてストッパー57にその端部が保持されるバルブストッパー82を含み、このバルブストッパー82にはスプリング83が弾設され、ストッパー57の保持が解除されるとスプリング83の弾性力により前方に突進してバルブ体81が排出管路を開放するように構成される。
【0023】
このような構成によると、プラグ61または感熱プラグ60が手動操作により除去されたりまたは熱により自動的に除去されると、撃発器具70の作動及びパネル容器20とノズル66間の排出管路が機械的連動により開放されて、消火薬剤がノズル66を通して外部に噴出される。
【0024】
ここで、一対のノズル66が手動または自動的にそれぞれ作動されるように備えられる。安全ピン62の除去により手動操作される場合、モジュール本体52の一側に備えられる連結管65またはこれに連結される消防ホース(図示せず)に備えられるノズル66を通して消火薬剤が噴出される。感熱による自動作動の場合、前出された排出管路を通してモジュール本体52の他側に備えられる別のノズル66から消火薬剤が噴射される。
【0025】
一方、本発明の別の実施形態によると、図4に示すように、前面板30と後面板31のそれぞれには、連結部材33を中心に同心円状に複数の円形の補強溝34が形成される。このような補強溝34は放射状または円形の他にも波形状のように様々な形態に形成されることができる。
【0026】
インフレーター40は通常の密閉容器の形態で備えられ、自動車のエアバッグと同様にアジ化ナトリウムの化学反応により膨張させたり、圧縮気体または液化気体を利用して膨張させることができる。また、本発明のパネル容器20が備えられた消火器を容易に運ぶために、パネル容器20の一側にショルダーストラップを結合するためのリングをさらに形成されたり、別途のリングを設けずに連結部材33を中空の短管体の形態に製作してショルダーストラップまたは壁に掛ける用途のストラップを結合させることができる。
【0027】
本発明は、上述された実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることは本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0028】
20 パネル容器
30 前面板
33 連結部材
34 補強溝
40 インフレーター
41 注入管
42 排出管
50 噴射手段
51 噴射モジュール
61 プラグ
62 安全ピン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に充填された消火薬剤を噴射する噴射手段(50)が結合される消火器容器であって、
消火薬剤が充填される内部空間(32)を形成すると同時に両面に前面板(30)と後面板(31)が形成されるパネル容器(20)と、
前記内部空間(32)を横切って前記前面板(30)と後面板(31)とを互いに結合させる少なくとも一つの連結部材(33)と、
前記前面板(30)と後面板(31)との間に形成された補強溝(34)と、を含むことを特徴とするパネル型消火器容器。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−513421(P2013−513421A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543014(P2012−543014)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008495
【国際公開番号】WO2011/071266
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512133351)エフピージー コリア カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】