説明

パネル用梱包体

【課題】輸送時や保管時等において密閉性を維持することができ、また専用の設備を用いた移動や移載に対応するだけでなく、人手による移動や移載にも対応し、その上、積層した場合に高さ方向に嵩張ることのないパネル用梱包体を提供する。
【解決手段】梱包体10Aは、箱体20および蓋体30からなる梱包箱を複数組備え、箱体20のそれぞれに蓋体30を個別に取付けて使用する第1使用状態と、箱体20を重箱状に積層し、かつ最上段に位置する箱体に蓋体10を取付けて使用する第2使用状態とをとり得る。箱体20のそれぞれは、側面20cに達するように下面に設けられた移載用の溝部を有する。第2使用状態において、最上段に位置する箱体20の上面20aに蓋体30が取付けられるとともに、箱体20が重箱状に積層されることで形成される一対の側面20cのそれぞれに残る蓋体30が取付けられることにより、箱体20の収容部26のすべてが密閉される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用パネルや当該表示装置用パネルの一部品であるガラス基板等のパネルを梱包するためのパネル用梱包体に関し、より特定的には、箱体および蓋体からなる梱包箱を複数組備えてなるパネル用梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル、エレクトロルミネセンスパネルに代表される表示装置用パネルや当該表示装置用パネルの一部品であるガラス基板等のパネルを梱包するためのパネル用梱包体として、各種の構成のものが知られている。そのうちの一つとして、上面に開口部を有する箱体および当該開口部を閉塞するための蓋体からなる梱包箱を利用し、箱体の収容部にパネルおよび緩衝シートを交互に積層した状態で収容する構成のものがある(たとえば、特開2007−84124号公報(特許文献1)、特開2007−314236号公報(特許文献2)、特開2008−239210号公報(特許文献3)等参照)。
【0003】
この箱体および蓋体からなる梱包箱は、一般に樹脂発泡体で形成されており、軽量化および耐衝撃性の観点において優位であり、また比較的廉価に製作できるメリットを有している。加えて、箱体および蓋体を嵌合可能に構成することにより、パネルが収容される収容部の密閉性を高く維持することも可能であり、輸送時や保管時等においてパネルに塵や埃といった異物が付着することも防止できるメリットがある。このように、箱体および蓋体からなる梱包箱を利用した構成のパネル用梱包体とすることにより、各種の利点を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−84124号公報
【特許文献2】特開2007−314236号公報
【特許文献3】特開2008−239210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した箱体および蓋体からなる梱包箱を利用した構成のパネル用梱包体とした場合には、輸送時や保管時等において、積層した梱包箱が高さ方向に嵩張ってしまう問題がある。これは、箱体に個別に蓋体が取付けられる構成であるため、蓋体の厚み分だけ余計に嵩が生じてしまうことによる。この問題は、パネルを小分けに梱包箱に収容するように構成した場合に特に顕著となり、所定体積当たりのパネルの収容数が減少し、輸送コストや保管コストが増大してしまう問題を招来する。
【0006】
一方で、近年においては、各種表示装置の大型化が飛躍的に進んでおり、これに伴い表示装置用パネルや当該表示装置用パネルの一部品であるガラス基板等のパネルも大型のものが流通するようになってきている。このような大型のパネルを梱包箱に収容する場合には、パネルが梱包された状態における梱包箱の取扱いを容易とするために、パネルを小分けに梱包箱に収容する必要がある。すなわち、梱包箱に大量のパネルを梱包した場合には、梱包箱全体としての重量が大幅に増加してしまい、人手による梱包箱の移動や移載が事実上不可能になってしまう。
【0007】
通常、パネルが梱包された状態における梱包箱の移動や移載には、フォークリフトや専用の移載装置等の設備が利用される場合が多い。しかしながら、場所によっては必ずしも当該設備が完備されているとは限らず、また仮に当該設備が完備されていた場合にも、人手による移動や移載が必要になる場合も十分に想定される。したがって、パネル用梱包体においては、専用の設備を用いた移動や移載に対応するだけでなく、人手による移動や移載にも対応している必要がある。
【0008】
以上を考慮した場合には、箱体に個別に蓋体を設けることとせず、箱体同士を直接積層可能とする重箱状の構造を採用し、最上段に位置する箱体にのみ蓋体を取付ける構成とすることが考えられる。このように構成すれば、高さ方向において蓋体の占める厚みを大幅に減少させることができ、箱体にパネルを小分けに収容しつつ、パネル用梱包体が高さ方向に嵩張ることを抑制することができる。しかしながら、このような重箱状の構成を採用したパネル用梱包体とした場合には、別途以下の問題が生じてしまう。
【0009】
第1に、箱体に個別に蓋体を設けない構成であるため、箱体を積層せずに保管等する場合に蓋体の数が足りず、箱体の収容部が露出してしまうこととなってパネルに異物が付着してしまうおそれがある。この問題は、蓋体を別途予め必要数準備しておき、これをパネルが梱包された梱包体とあわせて一緒に輸送するといった対策や、受け渡し場所等において蓋体を予め複数完備しておくといった対策をとれば解決するものではあるが、蓋体だけを輸送または保管等する必要が生じ、現実的には煩雑な管理が必要となってしまう。
【0010】
第2に、梱包箱をフォークリフトや専用の移載装置等を利用して移動または移載させるためには支持アーム(フォーク)を挿入するための移載用の溝部を箱体の下面に側面にまで達するように形成しておく必要があるが、当該溝部を設けた箱体とした場合には、箱体を重箱状に積層した場合に、当該溝部を介して収容部が外部と直接連通してしまうことになり、輸送時や保管時等において塵や埃といった異物がパネルに付着してしまう問題が生じる。より具体的には、通常、箱体の下面には、相対する一対の側面に達するように上記移載用の溝部が設けられるが、当該箱体を重箱状に積層した場合には、下段に位置する箱体の収容部と、当該箱体の上段に位置する箱体の上記溝部が直接対面することにより、上記溝部の端部(すなわち、重箱状に積層された箱体の相対する一対の側面に位置する溝部の端部)が外部に露出してしまうことになり、当該露出した溝部の端部から異物が下段の箱体の収容部に混入してしまう問題が生じる。
【0011】
このように、パネル用梱包体の構成としては、単に箱体を重箱状に積層可能にしただけでは十分とは言えず、さらなる改良が必要である。
【0012】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、輸送時や保管時等においてパネルが収容される収容部の密閉性を維持することができ、また専用の設備を用いた移動や移載に対応するだけでなく、人手による移動や移載にも対応し、その上、積層した場合に高さ方向に嵩張ることのないパネル用梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した問題を解決するために、本発明者らは、梱包箱の箱体の下面に移載用の溝部を設けるのではなく、梱包箱の底板部に側面から内側に向かって延びる中空状の穴部を設けることにより、箱体を重箱状に積層した場合にも上段の箱体の下面によって下段の上面開口部が完全に閉塞されるように構成することに着想した。しかしながら、当該構成を採用した場合には、箱体の底板部の厚みを相当程度分厚く形成する必要があり、その結果、分厚い底板部の分だけ高さ方向の厚みが嵩張ってしまう問題が生じてしまう。また、当該構成を採用した場合には、やはり蓋体を別途予め必要数準備しておき、これをパネルが梱包された梱包体とあわせて一緒に輸送するといった対策や、受け渡し場所等において蓋体を予め複数完備しておくといった対策が必要となり、上述した如くの煩雑な管理が必要となってしまう。
【0014】
そのため、本発明者らは、箱体の数に応じた数の蓋体を予め準備しておき、箱体を重箱状に積層して使用しない場合には、これを個別に箱体に取付けて各箱体の内部に位置する収容部を密閉可能とし、箱体を重箱状に積層して使用する場合には、最上段に位置する箱体の上面に蓋体を取付けるとともに、積層後の箱体の相対する側面に残る余剰の蓋体を取付け、取付けた蓋体によって当該側面に位置する上記溝部の端部を閉塞することにより、、上記問題がすべて解消することに着想した。すなわち、本発明に基づくパネル用梱包体は、以下の特徴を備えている。
【0015】
本発明に基づくパネル用梱包体は、略直方体形状の箱体および略平板状の蓋体からなる梱包箱を複数組備えてなるものである。上記複数組の梱包箱は、上記複数の箱体のそれぞれに上記複数の蓋体のそれぞれが個別に取付けられることで使用される第1使用状態と、上記複数の箱体が上下方向に重箱状に積層され、かつ最上段に位置する箱体に上記複数の蓋体のうちの少なくともいずれか1つが取付けられることで使用される第2使用状態とをとり得る。上記複数の箱体の各々は、パネルを収容するための収容部と、パネルを出し入れするための上面開口部と、相対する一対の側面の少なくとも一方に達するように下面に設けられた移載用の溝部とを有している。上記第1使用状態において、上記複数の箱体の上面のそれぞれに上記複数の蓋体のそれぞれが取付けられることにより、上記複数の収容部のいずれもが密閉される。また、上記第2使用状態において、上記最上段に位置する箱体の上面に上記複数の蓋体のうちの少なくともいずれか1つが取付けられることにより、上記最上段に位置する箱体の収容部が密閉されるとともに、上記複数の箱体が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面のそれぞれに上記複数の蓋体のうちの残る少なくともいずれか1つがそれぞれ取付けられることにより、当該一対の側面に位置する上記移載用の溝部の端部が閉塞され、これにより上記最上段に位置する箱体を除く上記複数の箱体の収容部のいずれもが密閉される。
【0016】
上基本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記複数の箱体の各々の上面に箱体側第1嵌合部が設けられており、上記複数の蓋体の各々の下面に蓋体側第1嵌合部が設けられている。これら箱体側第1嵌合部および蓋体側第1嵌合部が嵌合することにより、上記第1使用状態において、上記複数の箱体の上面のそれぞれに上記複数の蓋体のそれぞれが嵌合固定されることになる。
【0017】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記複数の箱体の各々の上面に箱体側第2嵌合部が設けられており、上記複数の箱体の各々の下面に箱体側第3嵌合部が設けられている。これら箱体側第2嵌合部および箱体側第3嵌合部が嵌合することにより、上記第2使用状態において、上記複数の箱体が重箱状に積層されることになる。
【0018】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記複数の箱体が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面の各々に箱体側第4嵌合部が設けられており、上記複数の蓋体の下面の各々に蓋体側第2嵌合部が設けられている。これら箱体側第4嵌合部および蓋体側第2嵌合部が嵌合することにより、上記第2使用状態において、上記複数の箱体が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面のそれぞれに上記複数の蓋体がそれぞれ嵌合固定されることになる。
【0019】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記箱体側第1嵌合部および上記箱体側第4嵌合部が同一形状に形成されていることが好ましい。その場合には、上記蓋体側第1嵌合部および上記蓋体側第2嵌合部が兼用可能に共通化できることになる。
【0020】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記蓋体側第1嵌合部および上記箱体側第3嵌合部が同一形状に形成されていることが好ましい。その場合には、上記箱体側第1嵌合部および上記箱体側第2嵌合部が兼用可能に共通化できることになる。
【0021】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記複数の蓋体の各々の上面に蓋体側第3嵌合部が設けられており、上記複数の蓋体の各々の下面に蓋体側第4嵌合部が設けられている。これら蓋体側第3嵌合部および蓋体側第4嵌合部が嵌合することにより、上記複数の蓋体が積層された状態において、当該複数の蓋体同士が互いに嵌合固定されることになる。
【0022】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記箱体側第1嵌合部および上記蓋体側第3嵌合部が同一形状に形成されていることが好ましい。その場合には、上記蓋体側第1嵌合部および上記蓋体側第4嵌合部が兼用可能に共通化できることになる。
【0023】
上記本発明に基づくパネル用梱包体にあっては、上記複数組の梱包箱の数が、3個以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、輸送時や保管時等においてパネルが収容される収容部の密閉性を維持することができ、また専用の設備を用いた移動や移載に対応するだけでなく、人手による移動や移載にも対応し、その上、積層した場合に高さ方向に嵩張ることのないパネル用梱包体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における梱包体の梱包箱を個別に使用する場合の概略斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における梱包体の梱包箱を個別に使用する場合の概略斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略斜視図および模式断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における梱包体の他の使用例において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略斜視図および模式断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の模式断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略斜視図および模式断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3における梱包体の他の使用例において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略斜視図および模式断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態5における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、パネル用梱包体として、液晶パネルを梱包するための梱包体を例示して説明を行なう。なお、液晶パネルとは、一対の平板状の板ガラスの間に液晶が充填されてなる液晶表示装置用のサブアセンブリのことである。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図であり、図2および図3は、図1に示す梱包箱を個別に使用する場合の概略斜視図である。また、図4は、本実施の形態における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の構造を示す図である。なお、図2は、梱包箱を斜め上方から見下ろした状態を示す概略斜視図であり、図3は、梱包箱を斜め下方から見上げた状態を示す斜視図である。また、図4(A)は、梱包体を斜め上方から見下ろした状態を示す概略斜視図であり、図4(B)は、図4(A)中に示すIVB−IVB線に沿った模式断面図である。
【0028】
図1ないし図4に示すように、本実施の形態における梱包体1Aは、箱体20および蓋体30からなる複数組の梱包箱10を備えている。図示する梱包体1Aは、梱包箱10を3組備えており、箱体20および蓋体30は、合計でそれぞれ3つずつ具備している。これら箱体20および蓋体30は、いずれも樹脂発泡体にて形成されており、たとえば発泡スチロール(発泡ポリスチレン)等にて形成されている。
【0029】
図2および図3に示すように、箱体20は、略直方体形状を有しており、上面20a、下面20bおよび2組の相対する一対の側面を含んでいる。一方、図2および図3に示すように、蓋体30は、略平板状の形状を有しており、主として上面30aおよび下面30bを含んでいる。
【0030】
箱体20の上面20aには、液晶パネル100および緩衝シート200を出し入れするための上面開口部21が設けられている。また、箱体20は、液晶パネル100および緩衝シート200を収容するための収容部26を内部に有している。液晶パネル100および緩衝シート200は、これらが相互に積層された状態で上記収容部26に収容される。なお、収容部26に収容される液晶パネル100の枚数は、液晶パネル100のサイズ等によっても異なるが、当該液晶パネル100が梱包された状態における梱包箱10の総重量が重くなり過ぎないようにするために、数枚〜数十枚程度とされ、特に大型のものを梱包する場合には、数枚〜十数枚程度とされる。
【0031】
箱体20の下面20bには、嵌合凸部22と、移載用の溝部25とが設けられている。嵌合凸部22は、箱体20の下面20bから下方に向けて突出するように形成されており、その形状は、箱体20を下方から見た場合に移載用の溝部25が形成された部分を除いて全体として略矩形状とされている。移載用の溝部25は、箱体20の下面20bから上方に向けて凹むように形成されており、箱体20の上記2組の相対する一対の側面のうち、その幅が長い方の1組の一対の側面20cの両方に達するように、箱体20の下面20bの短手方向に沿って延びている。なお、箱体20の下面20bに設けられた移載用の溝部25は、フォークリフトや専用の移載装置等の支持アーム(フォーク)を挿入するためのものであり、図示する如く箱体20の下面20bの2箇所に設けられていることが好ましい。
【0032】
箱体20の側面20cには、上述した溝部25の端部24が位置しているとともに、嵌合凹部23が設けられている。本実施の形態における梱包体1Aにおいては、この嵌合凹部23が梯子状に形成された溝によって構成されている。より具体的には、嵌合凹部23は、箱体20の側面20cの両端部近傍に位置する合計2本の縦溝と、箱体20の側面20cの上部および下部に位置する合計2本の横溝とを含んでおり、2本の横溝がその両端において2本の縦溝に繋がっている。また、2本の縦溝は、箱体20の上面20aおよび下面20bに達するように設けられている。
【0033】
蓋体30の下面30bには、嵌合凸部32が設けられている。嵌合凸部32は、蓋体30の下面30bから下方に向けて突出するように形成されており、その形状は、蓋体30を下方から見た場合に矩形の枠状とされている。
【0034】
蓋体30の上面30aには、嵌合凹部31が設けられている。嵌合凹部31は、蓋体30の上面30aから下方に向けて凹むように形成されており、その形状は、蓋体30を上方から見た場合に矩形の枠状とされている。
【0035】
図2および図3に示すように、梱包体1Aに含まれる複数組の梱包箱10を個別に使用する第1使用状態においては、箱体20の上面20aに蓋体30が取付けられる。その際、箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32を嵌合させることにより、梱包箱10が密閉された状態となり、箱体20の収容部26が外部と非連通となることで塵や埃といった異物の混入が防止できる。
【0036】
ここで、箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21は、箱体側第1嵌合部に相当し、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32は、蓋体側第1嵌合部に相当する。したがって、箱体20および蓋体30にこれら箱体側第1嵌合部としての上面開口部21および蓋体側第1嵌合部としての嵌合凸部32を設けることにより、箱体20の上面20aに蓋体30を嵌合固定することが可能になる。
【0037】
なお、この第1使用状態においては、箱体20の下面20bに設けられた嵌合凸部22、箱体20の側面20cに設けられた嵌合凹部23、および蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31は、特に他の部位に嵌合させて用いられることはない。
【0038】
一方、図1および図4(A)に示すように、梱包体1Aに含まれる箱体20を重箱状に積層して使用する第2使用状態においては、複数の箱体20が上下方向に直接積層されることで重箱状に積層され、かつ最上段に位置する箱体20の上面20aに蓋体30が取付けられるとともに、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに蓋体30が取付けられる。
【0039】
その際、図4(B)に示すように、複数の箱体20同士にあっては、下段に位置する箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21に上段に位置する箱体20の下面20bに設けられた嵌合凸部32が嵌合される。また、最上段に位置する箱体20とその上面20aに取付けられる蓋体30とにあっては、最上段に位置する箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合される。さらに、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cとこれら側面20cにそれぞれ取付けられる蓋体30とにあっては、当該一対の側面20cのそれぞれに形成された嵌合凹部23に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合される。
【0040】
これにより、最上段に位置する箱体20の収容部26は、箱体20と蓋体30とによって密閉された状態となり、外部と非連通となることで塵や埃といった異物の混入が防止できる。一方、最上段に位置する箱体20を除く複数の箱体20の収容部26は、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに蓋体30が取付けられることで移載用の溝部25の端部24が閉塞されることになるため、上段に位置する箱体20の下面20bとこの一対の側面20cをそれぞれ覆うように取付けられた蓋体30とによって密閉された状態となり、外部と非連通となることで塵や埃といった異物の混入が防止できる。
【0041】
ここで、箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21は、箱体側第2嵌合部に相当し、箱体20の下面20bに設けられた嵌合凸部22は、箱体側第3嵌合部に相当する。したがって、箱体20にこれら箱体側第2嵌合部としての上面開口部21および箱体側第3嵌合部としての嵌合凸部22を設けることにより、箱体20同士を重箱状に積層して嵌合固定することが可能になる。なお、本実施の形態における梱包体1Aにおいては、上記蓋体側第1嵌合部としての嵌合凸部32と、上記箱体側第3嵌合部としての嵌合凸部22とが同一形状とされているため、箱体20に設けるべき上記箱体側第1嵌合部および上記箱体側第2嵌合部が、箱体20の上面20aに設けられた1つの上面開口部21によって兼用可能に共通化されている。
【0042】
また、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに設けられた嵌合凹部23は、箱体側第4嵌合部に相当し、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32は、蓋体側第2嵌合部に相当する。したがって、箱体20および蓋体30にこれら箱体側第4嵌合部としての嵌合凹部23および蓋体側第2嵌合部としての嵌合凸部32を設けることにより、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cにそれぞれ蓋体30を嵌合固定することが可能になる。なお、本実施の形態における梱包体1Aにおいては、上記箱体側第1嵌合部としての嵌合凹部23と、上記箱体側第4嵌合部としての嵌合凹部23とが同一形状とされているため、蓋体30に設けるべき上記蓋体側第1嵌合部および上記蓋体側第2嵌合部が、蓋体30の下面30bに設けられた1つの嵌合凸部32によって兼用可能に共通化されている。
【0043】
なお、この第2使用状態においても、蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31は、特に他の部位に嵌合させて用いられることはない。
【0044】
以上において説明した本実施の形態の如くの梱包体1Aとすることにより、箱体20に個別に蓋体30を取付けて使用する第1使用状態と、箱体20を重箱状に積層した状態で使用する第2使用状態のいずれをも採用することが可能な梱包体とすることができる。その際、第1使用状態においては、箱体20に個別に蓋体30が取付け可能となるため、いずれの梱包箱10においても収容部26の密閉性を高く維持することができ、また、第2使用状態においても、上段に位置する箱体20の上面開口部21を閉塞するために使用する蓋体30以外の余剰の蓋体30を用いて、重箱状に積層した箱体20の側面20cに位置する移載用の溝部25の端部24を閉塞することが可能となるため、積層した箱体20の収容部26をすべて密閉することができる。したがって、いずれの使用状態を採用した場合にも、液晶パネル100に塵や埃といった異物が付着することが確実に防止でき、輸送および保管に適した使用状態を適宜選択することが可能な使い勝手のよい梱包体とすることができる。
【0045】
また、上記構成の梱包体1Aとすることにより、第2使用状態においても、第1使用状態を選択した場合に必要となる数の蓋体30を漏れなく使用する構成であるため、蓋体30だけを別途輸送または保管等する必要がなく、煩雑な管理を行うことも一切不要になる。
【0046】
また、上記構成の梱包体1Aとすることにより、第2使用状態を採用した場合にも、最上段に位置する箱体20の上面20aに取付けられる蓋体30のみが梱包体1Aの高さ方向において存在することになり、梱包体1Aが高さ方向に嵩張ることが抑制できる。したがって、所定体積当たりのパネルの収容数を高めることができ、輸送コストや保管コストを削減することができる。
【0047】
さらには、上記構成の梱包体1Aとすることにより、フォークリフトや専用の移載装置等の設備を用いた移動や移載に対応するだけでなく、箱体20に小分けに液晶パネル100を収容する構成とできるため、人手による移動や移載にも対応した梱包体とすることができる。
【0048】
このように、本実施の形態の如くの梱包体1Aとすることにより、輸送時や保管時等においてパネルが収容される収容部の密閉性を維持することができ、また専用の設備を用いた移動や移載に対応するだけでなく、人手による移動や移載にも対応し、その上、積層した場合に高さ方向に嵩張ることのない梱包体とすることができる。
【0049】
なお、上記構成の梱包体1Aとすることにより、第2使用状態において、重箱状に積層された箱体20同士が互いに嵌合固定されるのみならず、相対する一対の側面20cに取付けられた蓋体によっても間接的に嵌合固定されることになるため、輸送時および保管時等に荷崩れ等が生じることが防止できる副次的な効果を得ることもできる。
【0050】
以上においては、梱包体1Aが3組の梱包箱10を一纏まりとして具備してなる場合を例示して説明を行なったが、同様の構造および形状の梱包箱10を4組利用して梱包体1Aを構成した場合にも、上述した効果と同様の効果を得ることができる。以下においては、梱包体1Aに4組の梱包箱10を一纏まりとして具備させた場合の使用例について説明する。
【0051】
図5は、本実施の形態における梱包体の他の使用例において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の構造を示す図である。なお、図5(A)は、梱包体を斜め上方から見下ろした状態を示す概略斜視図であり、図5(B)は、図5(A)中に示すVB−VB線に沿った模式断面図である。
【0052】
図5(A)および図5(B)に示すように、本使用例においては、梱包体1Aが、箱体20および蓋体30をそれぞれ合計で4つずつ具備している。上述した第2使用状態においては、4つの箱体20が重箱状に積層されるとともに、最上段に位置する箱体20の上面に2つの蓋体30が積層されて取付けられており、4つの箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cにそれぞれ残る蓋体30が1つずつ取付けられている。
【0053】
上記第2使用状態においては、4つの箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cに取付けられたそれぞれの蓋体30により、当該側面20cに位置する移載用の溝部25の端部24のうち、最下段に位置する箱体20に設けられた移載用の溝部25の端部24を除くすべてが閉塞されることになる。したがって、積層された4つの箱体20の内部に位置するすべての収容部26が密閉された状態となるため、上述した梱包体1Aに3組の梱包箱10を具備させた場合と同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、最上段に位置する箱体20の上面に取付けられた2つの蓋体30は、上述したように積層した状態で取付けられている。より具体的には、下側に位置する蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31に上側に位置する蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合することにより、2つの蓋体30が積層されている。
【0055】
ここで、蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31は、蓋体側第3嵌合部に相当し、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32は、蓋体側第4嵌合部に相当する。したがって、蓋体30にこれら蓋体側第3嵌合部としての嵌合凹部31および蓋体側第4嵌合部としての嵌合凸部32を設けることにより、蓋体30同士を積層して嵌合固定することが可能になる。なお、本実施の形態における梱包体1Aにおいては、上記箱体側第1嵌合部としての上面開口部21と、上記蓋体側第3嵌合部としての嵌合凹部31とが同一形状とされているため、蓋体30に設けるべき上記蓋体側第1嵌合部および上記蓋体側第4嵌合部が、蓋体30の下面30bに設けられた1つの嵌合凸部32によって兼用可能に共通化されている。
【0056】
以上においては、最上段に位置する箱体20の上面に2つの蓋体30を積層した状態で取付けた場合を例示して説明を行なったが、4つの箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのいずれかに2つの蓋体30を積層した状態で取付けることとしてもよい。
【0057】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の構造を示す模式断面図である。なお、上述した本発明の実施の形態1における梱包体と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0058】
上述した本発明の実施の形態1における梱包体1Aは、3組の梱包箱10が一纏まりとして使用されることを前提に、付加的に4組の梱包箱10が一纏まりとして使用可能に構成されたものである。これに対し、本実施の形態における梱包体1Bは、4組の梱包箱10が一纏まりとして使用されることが前提に構成されたものである。
【0059】
図6に示すように、本実施の形態における梱包体1Bは、箱体20および蓋体30からなる4組の梱包箱10を備えており、箱体20および蓋体30は、合計でそれぞれ4つずつ具備している。箱体20の側面には、上述した本発明の実施の形態1における梱包体1Aの場合と同様に、梯子状の溝にて構成されれた嵌合凹部23が設けられているが、その形状が上記梱包体1Aとは異なっている。すなわち、本実施の形態における梱包体1Bにおいては、箱体20の側面の両端部近傍に位置する合計2本の縦溝と、箱体20の側面の上下方向の略中央部に位置する1本の横溝とを含んでおり、これら2本の縦溝と1本の横溝からなる嵌合凹部23は、平面視略H字状とされている。
【0060】
本実施の形態における梱包体1Bにおいて箱体20を重箱状に積層して使用する第2使用状態においては、上記箱体20が積層されることで形成される相対する一対の側面に位置することとなる上記嵌合凹部23に蓋体30の下面に設けられた嵌合凸部32が嵌合されることになる。このように、本実施の形態における梱包体1Bにおいては、予め4組の梱包箱10が一纏まりとして使用されることが前提とされているため、重箱状に積層された箱体20の側面に取付けられる蓋体30が、積層された4つすべての箱体20に対して嵌合固定されることになる。
【0061】
このように構成した場合にも、上記箱体20が積層されることで形成される相対する一対の側面に位置する移載用の溝部25の端部24が蓋体30によって閉塞されることになるため、積層された4つすべての箱体20の収容部26が密閉されることになる。したがって、本実施の形態の如くの梱包体1Bとした場合にも、上述した本発明の実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、さらに詳細に説明することは省略するが、一纏まりとされる梱包箱10の数としては、第2使用状態において最上段に位置する箱体20の上面開口部21を閉塞するための蓋体30と、同じく第2使用状態において箱体20が積層されることで形成される一対の側面に取付けられる一対の蓋体30とが少なくとも必要であるため、最小で3つとされる。また、一纏まりとされる梱包箱10の数がn個(ただし、nは3以上の自然数)とされた場合には、上述した本発明の実施の形態1の如くの構成を採用することで、n個の梱包箱10を一纏まりとして使用する場合の他、n+1個の梱包箱10を一纏まりとして使用することも可能である。
【0063】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図であり、図8は、当該状態で使用する場合の構造を示す図である。なお、図8(A)は、梱包体を斜め上方から見下ろした状態を示す概略斜視図であり、図8(B)は、図7(A)中に示すVIIIB−VIIIB線に沿った模式断面図である。なお、上述した本発明の実施の形態1における梱包体と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0064】
図7、図8(A)および図8(B)に示すように、本実施の形態における梱包体1Cは、上述した本発明の実施の形態1における梱包体1Aと大部分において共通するものであり、箱体20の側面20cに設けられた嵌合凹部23、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32、および蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31の形状においてのみ相違している。
【0065】
より詳細には、本実施の形態における梱包体1Cにおいては、箱体20の側面20cの両端部近傍を除く部分のすべてを凹ませることで嵌合凹部23が形成されており、そのため、箱体20の下面20bに設けられた移載用の溝部25の端部24は、箱体20の側面20cに相当する嵌合凹部23の底面にまで達した状態とされている。また、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32は、蓋体30の下面30bの周縁を除く部分のすべてを突出させることで平面視矩形状に形成されている。一方、蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31は、蓋体30の下面30bの周縁を除く部分のすべてを凹ませることで平面視矩形状に形成されている。
【0066】
図7および図8(A)に示すように、梱包体1Cに含まれる箱体20を重箱状に積層して使用する第2使用状態においては、複数の箱体20が上下方向に直接積層されることで重箱状に積層され、かつ最上段に位置する箱体20の上面20aに蓋体30が取付けられるとともに、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに蓋体30が取付けられる。
【0067】
その際、図8(B)に示すように、複数の箱体20同士にあっては、下段に位置する箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21に上段に位置する箱体20の下面20bに設けられた嵌合凸部32が嵌合される。また、最上段に位置する箱体20とその上面20aに取付けられる蓋体30とにあっては、最上段に位置する箱体20の上面20aに設けられた上面開口部21に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合される。さらに、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cとこれら側面20cにそれぞれ取付けられる蓋体30とにあっては、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに形成された嵌合凹部23に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合される。
【0068】
したがって、上述した本実施の形態における梱包体1Cの如くの構成を採用した場合にも、上述した本発明の実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0069】
以上においては、梱包体1Cが3組の梱包箱10を一纏まりとして具備してなる場合を例示して説明を行なったが、同様の構造および形状の梱包箱10を4組利用して梱包体1Aを構成した場合にも、上述した効果と同様の効果を得ることができる。以下においては、梱包体1Cに4組の梱包箱10を一纏まりとして具備させた場合の使用例について説明する。
【0070】
図9は、本実施の形態における梱包体の他の使用例において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の構造を示す図である。なお、図9(A)は、梱包体を斜め上方から見下ろした状態を示す概略斜視図であり、図9(B)は、図9(A)中に示すIXB−IXB線に沿った模式断面図である。
【0071】
図9(A)および図9(B)に示すように、本使用例においては、梱包体1Cが、箱体20および蓋体30をそれぞれ合計で4つずつ具備している。上述した第2使用状態においては、4つの箱体20が重箱状に積層されるとともに、最上段に位置する箱体20の上面に2つの蓋体30が積層されて取付けられており、4つの箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cにそれぞれ残る蓋体30が1つずつ取付けられている。
【0072】
ここで、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cに位置することとなる嵌合凹部23の全体としての形状は、図示する如く平面視矩形状となる。そのため、蓋体30は、当該側面20cの上下方向の任意の位置に取付けが可能であり、この取付け位置を適宜調整することにより、当該側面20cに位置する移載用の溝部25の端部24のうち、最下段に位置する箱体20に設けられた移載用の溝部25の端部24を除くすべてが閉塞可能となる。したがって、積層された4つの箱体20の内部に位置するすべての収容部26が密閉された状態となるため、上述した梱包体1Cに3組の梱包箱10を具備させた場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図である。なお、上述した本発明の実施の形態1における梱包体と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0074】
図10に示すように、本実施の形態における梱包体1Dは、上述した本発明の実施の形態1における梱包体1Aと大部分において共通するものであり、箱体20の側面20cに設けられた嵌合凹部23、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32、および蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31の形状においてのみ相違している。
【0075】
より詳細には、本実施の形態における梱包体1Dにおいては、箱体20の側面20cの周縁を除く部分のすべてを凹ませることで平面視矩形状に嵌合凹部23が形成されている。また、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32は、互いに並行するように平面視矩形状に3列設けられている。一方、蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31は、互いに並行するように平面視矩形状に3列設けられている。
【0076】
このように構成した場合にも、第2使用状態において、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに形成された嵌合凹部23に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合されることになり、当該側面20cに位置する移載用の溝部25の端部24のうち、最下段に位置する箱体20に設けられた移載用の溝部25の端部24を除くすべてが閉塞可能となる。したがって、上述した本発明の実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5における梱包体において、箱体を重箱状に積層した状態で使用する場合の概略部分分解斜視図である。なお、上述した本発明の実施の形態1における梱包体と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0078】
図11に示すように、本実施の形態における梱包体1Eは、上述した本発明の実施の形態1における梱包体1Aと大部分において共通するものであり、箱体20の側面20cに設けられた嵌合凹部23、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32、および蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31の形状においてのみ相違している。
【0079】
より詳細には、本実施の形態における梱包体1Eにおいては、箱体20の側面20cの水平方向の両端部近傍および略中央部を凹ませることで平面視円形状に嵌合凹部23が形成されている。また、蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32は、行列状に設けれており、個々の嵌合凸部32は、平面視円状に形成されている。一方、蓋体30の上面30aに設けられた嵌合凹部31は、行列状に設けれており、個々の嵌合凹部31は、平面視円状に形成されている。
【0080】
このように構成した場合にも、第2使用状態において、複数の箱体20が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面20cのそれぞれに形成された嵌合凹部23に蓋体30の下面30bに設けられた嵌合凸部32が嵌合されることになり、当該側面20cに位置する移載用の溝部25の端部24のうち、最下段に位置する箱体20に設けられた移載用の溝部25の端部24を除くすべてが閉塞可能となる。したがって、上述した本発明の実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0081】
以上において説明した本発明の実施の形態1ないし5における梱包体においては、箱体および蓋体を嵌合固定するための嵌合部、箱体同士を嵌合固定するための嵌合部、および蓋体同士を嵌合固定するための嵌合部を可能な限り共通化することにより、箱体および蓋体に設ける嵌合部の数を最小限とした場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのように構成する必要はなく、上記嵌合部を共通化せずに個別に設けることとしてもよい。また、箱体および蓋体のいずれに嵌合凸部または嵌合凹部を設けるかも特に制限されるものではない。加えて、嵌合凸部および嵌合凹部の形状や数、大きさ等も特に制限されるものではなく、上述した本発明の実施の形態1ないし5における形状や数、大きさ等に限定されるものではない。
【0082】
また、以上において説明した本発明の実施の形態1ないし5においては、梱包体として液晶パネルを梱包するためのものを例示して説明を行なったが、本発明は、液晶パネルの一部品であるガラス基板や有機エレクトロルミネセンスパネル等の種々のパネルを梱包するためのパネル用梱包体に適用することが可能である。
【0083】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0084】
1A〜1E 梱包体、10 梱包箱、20 箱体、20a 上面、20b 下面、20c 側面、21 嵌合凹部、22 嵌合凸部、23 嵌合凹部、24 端部開口部、25 溝部、26 収容部、30 蓋体、30a 上面、30b 下面、31 嵌合凹部、32 嵌合凸部、100 パネル、200 緩衝シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状の箱体および略平板状の蓋体からなる梱包箱を複数組備えてなるパネル用梱包体であって、
前記複数組の梱包箱は、前記複数の箱体のそれぞれに前記複数の蓋体のそれぞれが個別に取付けられることで使用される第1使用状態と、前記複数の箱体が上下方向に重箱状に積層され、かつ最上段に位置する箱体に前記複数の蓋体のうちの少なくともいずれか1つが取付けられることで使用される第2使用状態とをとり、
前記複数の箱体の各々は、パネルを収容するための収容部と、パネルを出し入れするための上面開口部と、相対する一対の側面の少なくとも一方に達するように下面に設けられた移載用の溝部とを有し、
前記第1使用状態において、前記複数の箱体の上面のそれぞれに前記複数の蓋体のそれぞれが取付けられることにより、前記複数の収容部のいずれもが密閉され、
前記第2使用状態において、前記最上段に位置する箱体の上面に前記複数の蓋体のうちの少なくともいずれか1つが取付けられることにより、前記最上段に位置する箱体の収容部が密閉されるとともに、前記複数の箱体が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面のそれぞれに前記複数の蓋体のうちの残る少なくともいずれか1つがそれぞれ取付けられることにより、当該一対の側面に位置する前記移載用の溝部の端部が閉塞され、これにより前記最上段に位置する箱体を除く前記複数の箱体の収容部のいずれもが密閉される、パネル用梱包体。
【請求項2】
前記第1使用状態において、前記複数の箱体の上面のそれぞれに前記複数の蓋体のそれぞれが嵌合固定されるように、前記複数の箱体の各々の上面に箱体側第1嵌合部が、前記複数の蓋体の各々の下面に蓋体側第1嵌合部が、それぞれ設けられ、
前記第2使用状態において、前記複数の箱体が重箱状に積層されるように、前記複数の箱体の各々の上面に箱体側第2嵌合部が、前記複数の箱体の各々の下面に箱体側第3嵌合部が、それぞれ設けられ、
前記第2使用状態において、前記複数の箱体が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面のそれぞれに前記複数の蓋体がそれぞれ嵌合固定されるように、前記複数の箱体が重箱状に積層されることで形成される相対する一対の側面の各々に箱体側第4嵌合部が、前記複数の蓋体の下面の各々に蓋体側第2嵌合部が、それぞれ設けられている、請求項1に記載のパネル用梱包体。
【請求項3】
前記箱体側第1嵌合部および前記箱体側第4嵌合部が、同一形状に形成され、
前記蓋体側第1嵌合部および前記蓋体側第2嵌合部が、兼用可能に共通化されている、請求項2に記載のパネル用梱包体。
【請求項4】
前記蓋体側第1嵌合部および前記箱体側第3嵌合部が、同一形状に形成され、
前記箱体側第1嵌合部および前記箱体側第2嵌合部が、兼用可能に共通化されている、請求項2または3に記載のパネル用梱包体。
【請求項5】
前記複数の蓋体が積層された状態において、当該複数の蓋体同士が互いに嵌合固定されるように、前記複数の蓋体の各々の上面に蓋体側第3嵌合部が、前記複数の蓋体の各々の下面に蓋体側第4嵌合部が、それぞれ設けられている、請求項2から4のいずれかに記載のパネル用梱包体。
【請求項6】
前記箱体側第1嵌合部および前記蓋体側第3嵌合部が、同一形状に形成され、
前記蓋体側第1嵌合部および前記蓋体側第4嵌合部が、兼用可能に共通化されている、請求項5に記載のパネル用梱包体。
【請求項7】
前記複数組の梱包箱の数が、3個以上である、請求項1から6のいずれかに記載のパネル用梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−32164(P2013−32164A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267287(P2009−267287)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】