説明

パンツ型使い捨ておむつ

【課題】 廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部をしっかりと塞ぐことができ、また、そのための操作をスムーズに行うことのできるパンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】 背側部における、吸収体と各サイドシール部11との間に、帯状のテープファスナーが、その長さ方向に3つ折りに折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態の長さ方向をおむつ縦方向に向けた状態で配設されており、該テープファスナーは、おむつ外表面に固定された固定部2と、折り畳みにより固定部2上に積層された中間部3と、折り畳みにより中間部3に積層された先端部4とを有し、固定部2と中間部4とが、両者の積層部分の一部において剥離困難に接合されて、該テープファスナーが、おむつ幅方向外方に向かって突出する向きに展開し易くなっているパンツ型使い捨ておむつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつが知られている。
また、パンツ型使い捨ておむつにおいて、使用後の廃棄処理の際に、丸めたおむつを、その状態に維持できるようにするためにテープファスナーを設けたものも知られている。
例えば、背側部の巾方向中央部にテープファスナーを設けた使い捨ておむつ(特許文献1参照)や、背側部又は腹側部の両側縁それぞれの近傍に廃棄時止着用の止着用テープを設けた使い捨ておむつ(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】実公平8−10305号公報
【特許文献2】特開2002−65745公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背側部の巾方向中央部にテープファスナーを設けたものは、サイドシール部を引き剥がして展開させたおむつを、その腹側部側から背側部に向かって長手方向に丸めたときに、その丸めた部分の両端部(丸める方向に交差する方向の両端部)をしっかりと塞ぐことができない場合がある。
他方、特許文献2記載のおむつにおける止着用テープは、ウエスト開口部側の狭い部分のみが、おむつ外表面に接合されているため、止着用テープを強く引っ張ると、止着用テープが外れてしまう恐れがある。また、止着用テープの接合部が、背側部又は腹側部の両側縁から胴回り方向の内方にむかって、脚周り開口部寄りの端部に近づくように傾斜しているため、止着用テープを、おむつ幅方向外方に引き出すには、止着用テープを旋回させる操作が必要で、廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部を塞ぐための操作をスムーズに行うことが困難である。
【0005】
従って、本発明の目的は、廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部をしっかりと塞ぐことができ、また、そのための操作をスムーズに行うことのできるパンツ型使い捨ておむつ及びその効率的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、腹側部の両側部と背側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつにおいて、背側部における、吸収体と各サイドシール部との間に、帯状のテープファスナーが、その長さ方向に3つ折りに折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態の長さ方向をおむつ縦方向に向けた状態で配設されており、前記テープファスナーは、おむつ外表面に固定された固定部と、折り畳みにより該固定部上に積層された中間部と、折り畳みにより該中間部に積層された先端部とを有し、前記固定部と前記中間部とが、両者の積層部分の一部において剥離困難に接合されて、該テープファスナーが、おむつ幅方向外方に向かって突出する向きに展開し易くなっていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつを提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
本発明は、上記のパンツ型使い捨ておむつの好ましい製造方法であって、前記中間部に対応する部分と前記固定部に対応する部分とを有するテープファスナー連続体を連続的に搬送しながら、該連続体における、前記中間部に対応する部分と前記固定部に対応する部分との積層部分にジグザグ形状の接合部を形成し、そのテープファスナー連続体を個々のテープファスナーの寸法に切断して、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナーと他方の側部に配されるテープファスナーとを得、両者を、おむつ連続体における、相互に隣接する別のおむつ対応部分に分離して固定した後、両テープファスナー間を切断して個々のおむつを得ることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部をしっかりと塞ぐことができ、また、そのための操作をスムーズに行うことができる。
本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法は、そのようなパンツ型使い捨ておむつを簡易に効率良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを示す概略図である。
本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ10(以下、おむつ10という)は、着用時に、着用者の腹側に配される腹側部A、背中側に配される背側部B及びそれらの間に配される股下部Cとを有しており、腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とが、それぞれの側縁端の近傍において、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されている。そして、その接合により、おむつの両側縁端それぞれの近傍に、おむつ縦方向と略平行に延びるように帯状のサイドシール部11が形成されている。また、おむつ縦方向の上端部にはウエスト開口部12が形成され、おむつ股下部Bの両側それぞれにはレッグ開口部13が形成されている。図1において、腹側部Aは、背側部Bと重なった状態で背側部Bの向こう側に位置している。
【0010】
おむつ10は、実質的に縦長に形成された液保持性の吸収体14を有し、該吸収体14は、その長手方向を、おむつ10の前後方向と一致させ、腹側部Aと背側部Bとの間に亘るように配されている。吸収体14は、何れも図示しない、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートとの間に配されており、これらと厚み方向に一体化された状態で、外装体15の内面側に接合固定されている。外装体15は、おむつの外形を形成している。
【0011】
おむつ10は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける、吸収体4の長手方向の端部の位置14aよりウエスト開口部12の周縁端12a側に延出する部分としてのウエストフラップ部Dに、複数本のウエスト部弾性部材12bがそれぞれウエスト開口部の周方向に配されて、ウエストギャザーが形成されている。また、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける、吸収体14の長手方向の端部の位置14aより下方に位置する部分としての胴回り部Eの、吸収体14と各サイドシール部11との間E1,E1には、複数本の胴回り部弾性部材16が、それぞれ胴回りの周方向に沿って互いに平行に配されて、胴回りギャザーが形成されている。更に、レッグ開口部13の周縁部には、レッグ部弾性部材17がレッグ開口部の周方向に沿って配されて、レッグギャザーが形成されている。
外装体15は、おむつの外表面を構成する外層シート15aとその内面側に積層され接着された内層シート15bと、これら両シートの間に固定された各部の弾性部材12b,16,17とから構成されている。
【0012】
そして、背側部Aの胴回り部Eの、吸収体4と各サイドシール部11との間E1,E1には、それぞれ、図1及び図2に示すように、帯状のテープファスナー1が、その長さ方向に3つ折りに折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態の長さ方向をおむつ縦方向(図1の上下方向)に向けた状態で配設されている。
【0013】
各テープファスナー1は、図2に示すように、帯状のシート基材20と、該シート基材20の片面に、粘着剤を塗着して形成した各部の粘着層32,42及び接着層22からなる。
各テープファスナー1は、図2に示すように、おむつ外表面Sに固定された固定部2と、該固定部2上に積層された中間部3と、該中間部3に積層された先端部4とを有し、帯状のシート基材20は、これらの各部に亘って連続して存在している。
【0014】
固定部2、中間部3及び先端部4は、3つ折りに折り畳んだテープファスナー1の2つの折曲部、即ち第1折曲部5及び第2折曲部6によって区分されている。固定部2と中間部3との間の第1折曲部5は、折り畳まれた状態のテープファスナーの長さ方向におけるウエスト開口部12側(図1中の上側)に位置し、中間部3と先端部4との間の第2折曲部6は、同レッグ開口部13側(図1中の下側)に位置している。
【0015】
固定部2は、シート基材20における、その長さ方向の一端20aから第1折曲部5までの部分21と、該部分21のおむつ外表面Sに対向する面上に形成された接着層22とからなる。中間部3は、シート基材20における、第1折曲部5から第2折曲部6までの部分31と、該部分31の固定部2に対向する面上に形成された粘着層32とからなる。先端部4は、シート基材20における、第2折曲部5から長さ方向の他端20bまでの部分41と、該部分41の中間部2に対向する面上に形成された粘着層42とからなる。固定部2は、その片面の略全域が、接着層22を介して、おむつ外表面Sに剥離困難に固定されている。固定部2と中間部3との間、及び中間部3と先端部4との間は、それぞれ、粘着層32,42を介して剥離可能に接着されている。固定部21の粘着層32に対向する部分、及び中間部31の粘着層42に対向する部分には、それぞれ剥離処理が施されている。先端部4の前記他端20b近傍は、粘着剤が塗着されていない摘み部43を形成している。
このような構成を有するテープファスナー1は、粘着層32,42による接着部分を剥離して展開することができ、それにより、使用時に、その長さを大きく延長させることができる。
【0016】
本おむつ10における各テープファスナー1は、固定部2と中間部3とが、両者の積層部分の一部(図1及び図2中に符号7で示す部分)において剥離困難に接合されており、それによって、テープファスナー1が、おむつ幅方向外方に向かって突出する向きに展開しやすくなっている。具体的には、固定部2と中間部3との積層部分に、直線状の接合部7が、折り畳まれた状態のテープファスナーの長さ方向(図1,3中のX−X線)と45度の角度をなすように形成されている(θ=45°)。接合部7は、固定部2におけるテープ基材21と中間部3におけるテープ基材31との間を、熱融着により直線状に接合して形成されている。
ここで、剥離困難とは、上述した粘着層32や42による接合部分に比べて剥離しにくいことを意味し、手で引っ張る程度の力では、固定部2と中間部3との間が容易に剥離しないことが好ましい。
【0017】
本おむつ10を使用した後の処理方法の一例について説明する。
先ず、左右のサイドシール部11を引き剥がしておむつ10を展開状態とし、おむつを、その長手方向に、腹側部A側から背側部B側に向かって丸め、背側部の幅方向中央部上に丸めた部分を位置させる。
次いで、背側部の左右の各側部を、左右それぞれに引っ張りながら、おむつを丸めた部分の両端部(丸める方向に交差する方向の両端部)上に折り重ね、その状態が維持されるように、テープファスナー1を止着して固定する。
【0018】
テープファスナー1による固定は、図3及び図4に示すように、テープファスナー1を、先端部4の摘み部43を引っ張ることにより展開させ、先端部4の片面に露出した粘着層42を、丸めた部分の表面(外層シートからなる表面)に止着させることにより行う。粘着層42は、おむつの丸めた部分上に止着させても良いし、おむつの丸めた部分に折り重ねた、背側部の各側部上に止着させても良い。
このようにして、背側部の中央領域に位置させた丸めた部分の両端部(丸める方向と交差する方向の両端部)上に、背側部の両側部を重ねて固定することで、丸めた部分の渦巻き状の両端が覆われるため、丸めた状態のおむつから排泄物が漏れだしにくい。
【0019】
また、本おむつ10におけるテープファスナー1は、上述した剥離困難な接合部7が形成されているため、中間部3と固定部2との間が、レッグ開口部側からウエスト開口部側に向かって徐々に剥離されていく際に、接合部7が、中間部3と固定部2との間のそれ以上の剥離を阻止する抵抗線として機能する。即ち、図4に示す状態までは、剥離するが、図3に示す接合部7より先の三角形状の部分71は剥離しない。
これにより、テープファスナー1は、図4に示すように、おむつ幅方向外方に向かって突出する向きに容易に展開する。そのため、おむつの丸めた部分に、背側部の左右の各側部を固定する際に、テープファスナーがおむつ幅方向に沿って延びた状態となり易く、背側部の各側部の止め付け操作を極めてスムーズに行うことができる。
【0020】
また、本おむつ10においては、帯状のテープファスナー1を3つ折りしてその一部を固定部として、広い面積でおむつ外面に固定してあるため、テープファスナー1がおむつ外表面から取れてしまったり、外表面の固定部を固定した部分が破損してしまうこと等が起こりにくい。
このような観点から、折り畳まれた状態のテープファスナーの長さ方向の寸法及び/又は中間部の同方向の長さL(図2参照)に対する、固定部2の同方向の長さL1(図2参照)が80〜150%、特に100〜120%であることが好ましい。また、同長さL1は、少なくとも30mm以上、特に40〜80mmであることが好ましい。
【0021】
また、本おむつ10においては、帯状のテープファスナー1が、折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態における長さ方向をおむつ縦方向に向けた状態で配設されているため、背側部における、吸収体と各サイドシール部との間に、胴回りギャザーE1が形成されている場合であっても、その伸縮性に与える影響が小さい。そのため、胴回り部のフィット性に優れたパンツ型使い捨ておむつを提供することができる。
【0022】
本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法について、上述したおむつ10を製造する場合を例にして説明する。
本実施形態の製造方法の概略図を図5に示す。なお、図5(a)は図5(b)中の矢視Aから見たおむつ10及びその連続体10’を、図5(c)は図5(b)中の矢視Cから見たテープファスナー1及びその連続体1’を示している。
【0023】
本実施形態の製造方法においては、図5(c)に示すように、前記固定部2に対応する部分(以下、固定部対応部分という)2’と前記中間部3に対応する部分(以下、中間部対応部分という)3’とを有するテープファスナー連続体1’を、連続的に搬送しながら、該連続体1’における固定部対応部分2’と中間部対応部分3’との積層部分に対して、図5(b)に示すように、周面にジグザク形状の凸条部(図示略)を有するシールロール71とそれに対向するロール72とを有するヒートシールユニット70を用いて、ヒートシール加工を施し、固定部対応部分2’と中間部対応部分3’とが剥離困難に接合された平面視してジグザグ形状の接合部7’を形成する〔図5(c)参照〕。尚、接合部7’を形成する前のテープファスナー連続体1’は、幅方向の断面の構造が、接合部7及び接着層22を有しない以外は上述したテープファスナー1と同様の構造を有する。
【0024】
次いで、そのテープファスナー連続体1’を、図5(b)に示すように、周面に、2枚のカッターブレード82,83が周方向に離間させて配置されたカーターロール84と該ロール84に相対向するアンビルロール85との間に、フィードコンベア81により間欠的に送り込み、一回の送り込みにつき、2枚のブレード82,83による切断を一回行う。この切断により、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと、他方の側部に配されるテープファスナー1Bとが得られる。尚、図5中の符号8で示す部分は、フィードコンベア81による間欠的な送り込みにより生じる連続体1’の弛みを除去するための弛み除去装置であり、ダンサーロール等を用いた公知の弛み除去装置が用いられれている。
【0025】
アンビルロール85は、その周面における、周方向の特定の範囲が吸着領域となっており、その吸着領域に、切断により生じた左右一対のテープファスナー1A,1Bを1B→1Aの順に受け取る。その受け取りの際に、カッターロール84の回転速度に対してフィードコンベア81の回転速度を低速度にすることによって、両テープファスナー1A,1Bの間に所定の間隔2aが形成される。そして、両テープファスナー1A,1Bを、吸着領域に吸着させつつ、おむつ連続体10’との接合部Sまで移動させる。上述した間隔の形成方法は、カッターロール84及びアンビルロール85が、おむつ連続体10’と同速度で回転するため、ファスニングテープの取付精度が安定するので好ましい。
【0026】
おむつ連続体10’との接合部Sにおいては、アンビルロール85とスタンパーロール86との間で、左右一対のテープファスナー1A,1Bは、おむつ連続体10’に対して強く押しつけられ、接着層22を介して該おむつ連続体10’に対して剥離困難に接着される。接着層22は、図中のFで示す部位おいて公知の塗工装置により粘着剤を塗工して形成される。尚、粘着層22は、接合部7’形成後のテープファスナー連続体に形成するのに代えて、接合部7’形成前のテープファスナー連続体に形成しておいても良い。
【0027】
テープファスナーの貼着工程においては、一方のテープファスナー1Aと他方のテープファスナー1Bとは、図5(a)に示すように、相互に隣接する別のおむつ対応部分に固定される。おむつ対応部分とは、後の工程において、切断されて個々のおむつとされる各部分である。尚、おむつ連続体10’に対する左右一対のテープファスナー1A,1Bの固定は、図5(a)及び(b)に示すように、切断後のおむつ一つ分の幅に等しい所定のピッチで間欠的に行われる。
そして、おむつ連続体10’におけるテープファスナー1Aと1Bとの間に、図5(a)に示すように、ヒートシール加工を施してサイドシール部11,11を形成すると共に、隣接するサイドシール部同士間で、該連続体10’を順次切断することにより、上述した構成のおむつ10が順次得られる。
【0028】
本実施形態のおむつ10の各部の形成材料について説明すると、表面シート、裏面シート及び吸収体としては、この種の物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。内層シートとしては、織布、不織布、多孔性フィルム、またはこれらの積層体等を好ましく用いることができる。外層シートとしては、織布、不織布、多孔性フィルム、またはこれらの積層体等を用いることができるが、柔軟性や透湿性等を確保する観点から単層の不織布であることが好ましく、特にテープファスナーを引っ張ることによる破損等を防止する観点から、構成繊維として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンフタレート(PET)のようなポリエステルおよびナイロンのようなポリアミド等を成分とする複合繊維(芯鞘型、サイドバイサイド型等)、レーヨン及びキュプラ等の再生セルロース繊維、並びにコットン等の天然繊維を用いることが好ましい。好ましい不織布としてはスパンボンド、メルトブローン、あるいはスパンボンド/メルトブローンの多層積層体、エアスルー、ヒートボンド等を挙げることができる。
【0029】
テープファスナーのテープ基材としては、樹脂性シート(プラスチックシート,フィルム等)、不織布、織布等を挙げることができるが、接合部7を形成して特定の方向にテープファスナーを展開し易くする観点から、例えばポリプロピレンやポリエチレンあるいはポリプロピレンとポリエチレン含有、ポリエチレンテレフタレート含有、ポリウレタン含有などの、樹脂性シート(プラスチックシート,フィルム等)、不織布、織布などが好ましいものとして挙げられる。粘着層32,42及び接着層22形成用の粘着剤や接着剤としては、各種公知のものを用いることができる。さらに、粘着層42の代わりに機械的面ファスナーのオス部材を適用しても良い。機械的面ファスナーのオス部材としては、その表面に多数の突起状の係合部材が配された各種公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)、「クイックロン(登録商標)」(YKK社製)、「マジクロス(登録商標)」(カネボウベルタッチ社製)等を用いることができる。オス部材の係合部材としては、その形状が、錨形や鉤形、キノコ形等のものを挙げることができる。
【0030】
弾性部材12b、16,17としては、糸又は紐状のもの(糸ゴム、平ゴム等)、或いはフィルム状の発砲ポリウレタン等が好ましい。これらの形成素材としては、各種のエラストマー材料を用いることができ、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン等を用いることができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述したおむつ10の製造方法においては、一本のテープファスナー連続体1’から、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと、他方の側部に配されるテープファスナー1Bとの両者を得、これらをほぼ同時に、おむつ連続体10’に固定しておむつを製造したが、これに代えて、図6に示すように、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと、他方の側部に配されるテープファスナー1Bとを、別々のテープファスナー連続体1A’,1B’から製造し、これらを、おむつ連続体10’に対して順次固定しておむつ10を製造することもできる。この場合、図6(c)に示すように、各テープファスナー連続体1A,1Bには、各テープファスナーの接合部に対応する部分のみの短い接合部7a又は7bを形成する。
【0032】
また、上記実施形態においては、テープファスナーの固定部と中間部との間が直線状の接合部7で固定されていたが、これに代えて、該接合部7よりも第1折曲部5側における全域において固定部と中間部との間を剥離困難に固定しても良い。この場合、直角三角形状の接合部となり、第1折曲部5に対向する斜辺が剥離抵抗線となる。尚、直線状の接合部や三角形状の接合部からなる剥離抵抗線は、テープファスナーの長手方向中央線X−Xに対する角度θが30〜60°であることが好ましい〔図3(a)参照〕。
また、図7に示すように、中間部3と固定部2との接合部7Aを、図7(a)に示すように、おむつ幅方向外方側の縁部又はその近傍に点状(図示例では円形状)に形成し、図7(b)に示すように、その点状の接合部で抑えることで、テープファスナーが横方向に容易に展開されるようにしても良い。
【0033】
また、ファスニングテープの摘み部の構成は、図8に示すような構成とすることもできる。図8に示すファスニングテープにおいては、基材テープ20の先端部側の一端20bから所定長さの部分が、粘着層42の一部を覆うように、中間部5側に折り返されており、粘着層42を基材テープ20で挟んだ構成の摘み部43が形成されている。このような摘み部43を有するおむつ(他の構成はおむつ10と同一)によっても、おむつ10と同様の作用効果が奏し得られる。
【0034】
さらに、上述した実施形態においては、おむつの製造工程において剥離抵抗線となる接合部7を形成する方法を示したが、予め該接合部7が基材に形成された状態のテープファスナー連続体の材料を、公知の位相制御技術を用いて供給しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を、背面部B側から見た状態を示す図である。
【図2】図2は、図1のX―X線(おむつ縦方向と平行な線)に沿うテープファスナーの断面を示す断面図である。
【図3】図3は、図1のおむつにおけるテープファスナーを展開する途中の状態(先端部のみ展開した状態)を示す図であり、(a)は、背側部側からテープファスナーを見た図であり、(b)は、(a)のX−X線に沿う断面を見た図である。
【図4】図4は、図1のおむつにおけるテープファスナーを展開した状態を示す図である。
【図5】図5は、図1のおむつの製造方法の一例を示す概略図であり、(b)は、製造ラインを側方から視た状態を模式的に示す図であり、(a)は、(b)中の矢視Aから見たおむつ及びその連続体を示す図であり、(c)は、(b)中の矢視Cから見たテープファスナー及びその連続体を示す図である。
【図6】図6は、図1のおむつの製造方法の他の例を示す概略図であり、(b)は、製造ラインを側方から視た状態を模式的に示す図であり、(a)は、(b)中の矢視Aから見たおむつ及びその連続体を示す図であり、(c)は、(b)中の矢視Cから見たテープファスナー及びその連続体を示す図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態におけるテープファスナーを示す図であり、(a)は、図3(a)相当図、(b)は図4相当図である。
【図8】図8は、本発明の更に他の実施形態におけるテープファスナーの断面を示す断面図(図2相当図)である。
【符号の説明】
【0036】
10 パンツ型使い捨ておむつ
1 テープファスナー
2 固定部
3 中間部
4 先端部
7 接合部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側部の両側部と背側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつにおいて、
背側部における、吸収体と各サイドシール部との間に、帯状のテープファスナーが、その長さ方向に3つ折りに折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態の長さ方向をおむつ縦方向に向けた状態で配設されており、
前記テープファスナーは、おむつ外表面に固定された固定部と、折り畳みにより該固定部上に積層された中間部と、折り畳みにより該中間部に積層された先端部とを有し、前記固定部と前記中間部とが、両者の積層部分の一部において剥離困難に接合されて、該テープファスナーが、おむつ幅方向外方に向かって突出する向きに展開し易くなっていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記固定部と前記中間部との間の第1折曲部が前記ウエスト開口部寄りに位置し、前記中間部と前記先端部との間の第2折曲部が前記レッグ開口部寄りに位置しており、前記固定部と前記中間部とが剥離困難に接合された接合部は、第1折曲部の近傍に、前記吸収体側から前記各サイドシール部側に向かうにつれて前記レッグ開口部側に向かうように傾斜した剥離抵抗線を形成している請求項1記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項2記載のパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
前記固定部に対応する部分と前記中間部に対応する部分とを有するテープファスナー連続体を連続的に搬送しながら、該連続体における、前記固定部に対応する部分と前記中間部に対応する部分との積層部分にジグザグ形状の接合部を形成し、そのテープファスナー連続体を個々のテープファスナーの寸法に切断して、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナーと他方の側部に配されるテープファスナーとを得、両者を、おむつ連続体における、相互に隣接する別のおむつ対応部分に分離して固定した後、両テープファスナー間を切断して個々のおむつを得ることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−167194(P2006−167194A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364593(P2004−364593)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】