説明

パンツ型使い捨ておむつ

【課題】 廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部をしっかりと塞ぐことができ、また、強く引っ張ってもテープファスナーがとれたりすることのないパンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】 腹側部の両側部と背側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつにおいて、背側部Bにおける、吸収体4と各サイドシール部11との間に、帯状のテープファスナー1が、その長さ方向に2つ折りに折り畳まれた状態で配設されており、テープファスナー1は、折曲部の両側に位置する各部分が、何れもおむつ縦方向に長い形状を有しており、一方の部分が、おむつ外表面に固定され、他方の部分が、前記一方の部分に剥離可能に接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつが知られている。
また、パンツ型使い捨ておむつにおいて、使用後の廃棄処理の際に、丸めたおむつを、その状態に維持できるようにするためにテープファスナーを設けたものも知られている。
例えば、背側部の巾方向中央部にテープファスナーを設けた使い捨ておむつ(特許文献1参照)や、背側部又は腹側部の両側縁それぞれの近傍に廃棄時止着用の止着用テープを設けた使い捨ておむつ(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】実公平8−10305号公報
【特許文献2】特開2002−65745公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背側部の巾方向中央部にテープファスナーを設けたものは、サイドシール部を引き剥がして展開させたおむつを、その腹側部側から背側部に向かって長手方向に丸めたときに、その丸めた部分の両端部(丸める方向に交差する方向の両端部)をしっかりと塞ぐことができない場合がある。
他方、特許文献2記載のおむつにおける止着用テープは、ウエスト開口部側の狭い部分のみが、おむつ外表面に接合されているため、止着用テープを強く引っ張ると、止着用テープが外れてしまう恐れがある。また、止着用テープの接合部が、背側部又は腹側部の両側縁から胴回り方向の内方にむかって、脚周り開口部寄りの端部に近づくように傾斜しているため、止着用テープを、おむつ幅方向外方に引き出すには、止着用テープを旋回させる操作が必要で、廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部を塞ぐための操作をスムーズに行うことが困難である。
【0005】
本発明の目的は、廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部をしっかりと塞ぐことができ、また、強く引っ張ってもテープファスナーがとれたりすることのないパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、腹側部の両側部と背側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつにおいて、背側部における、吸収体と各サイドシール部との間に、テープファスナーが、その長さ方向に2つ折りに折り畳まれた状態で配設されており、前記テープファスナーは、折曲部の両側に位置する各部分が、何れもおむつ縦方向に長い形状を有し、一方の部分が、おむつ外表面に固定され、他方の部分が、前記一方の部分に剥離可能に接着されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、廃棄時に、おむつの丸めた部分の両端部をしっかりと塞ぐことができ、また、強く引っ張ってもテープファスナーがとれたりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを示す概略図である。
本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ10(以下、おむつ10という)は、着用時に、着用者の腹側に配される腹側部A、背中側に配される背側部B及びそれらの間に配される股下部Cとを有しており、腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とが、それぞれの側縁端の近傍において、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されている。そして、その接合により、おむつの両側縁端それぞれの近傍に、おむつ縦方向と略平行に延びるように帯状のサイドシール部11が形成されている。また、おむつ縦方向の上端部にはウエスト開口部12が形成され、おむつ股下部Bの両側それぞれにはレッグ開口部13が形成されている。図1において、腹側部Aは、背側部Bと重なった状態で背側部Bの向こう側に位置している。
【0009】
おむつ10は、実質的に縦長に形成された液保持性の吸収体14を有し、該吸収体14は、その長手方向を、おむつ10の前後方向と一致させ、腹側部Aと背側部Bとの間に亘るように配されている。吸収体14は、何れも図示しない、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートとの間に配されており、これらと厚み方向に一体化された状態で、外装体15の内面側に接合固定されている。外装体15は、おむつの外形を形成している。
【0010】
おむつ10は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける、吸収体4の長手方向の端部の位置14aよりウエスト開口部12の周縁端12a側に延出する部分としてのウエストフラップ部Dに、複数本のウエスト部弾性部材12bがそれぞれウエスト開口部の周方向に配されて、ウエストギャザーが形成されている。また、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける、吸収体14の長手方向の端部の位置14aより下方に位置する部分としての胴回り領域Eの、吸収体14と各サイドシール部11との間E1,E1には、複数本の胴回り部弾性部材16が、それぞれ胴回りの周方向に沿って互いに平行に配されて、胴回りギャザーが形成されている。更に、レッグ開口部13の周縁部には、レッグ部弾性部材17がレッグ開口部の周方向に沿って配されて、レッグギャザーが形成されている。
外装体15は、おむつの外表面を構成する外層シート15aとその内面側に積層され接着された内層シート15bと、これら両シートの間に固定された各部の弾性部材12b,16,17とから構成されている。
【0011】
そして、背側部Bの胴回り部Eの、吸収体4と各サイドシール部11との間E1,E1には、それぞれ、図1及び図2に示すように、帯状のテープファスナー1が、その長さ方向に2つ折りに折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態の長さ方向をおむつ縦方向(図1の上下方向)に向けた状態で配設されている。
【0012】
各テープファスナー1は、図2に示すように、帯状のシート基材20と、該シート基材20の片面に形成された粘着層32及び接着層22からなる。
各テープファスナー1は、図1及び図2に示すように、2つ折りされることによって形成される折曲部5の両側に位置する各部分2,3が、何れもおむつ縦方向に長い長方形状を有している。図2に示すように、テープファスナー1は、折曲部5を境にして、長手方向の一端20a側に位置する部分2と、長手方向の他端20b側に位置する部分とに区分される。帯状のシート基材20は、これら両部分に連続して存在している。
折曲部5の一端20a側に位置する部分(一方の部分,以下、固定部ともいう)2は、該部分に存在するシート基材21の片面に形成された接着層22を介して、おむつ外表面Sに接着固定されている。
折曲部5の一端20b側に位置する部分(他方の部分,以下、展開部ともいう)3は、該部分に存在するシート基材31の片面に形成された粘着層32を介して、前記固定部2上に剥離可能に接着されている。展開部3は、テープファスナー1の他端20b近傍に、粘着層32が形成されていない部分33を有し、該部分が、テープファスナーを展開させる際の摘み部となる。
このような構成を有するテープファスナー1は、粘着層32による接着部分を剥離して展開することができ、それにより、使用時に、その長さを大きく延長させることができる。尚、摘み部は、基材テープ20の先端部側の一端20bから所定長さの部分を、粘着層32の固定部2側の面の一部を覆うように、固定部2側に折り返して形成することもできる。この場合の摘み部は、粘着層32を基材テープ20で挟んだ構成である。
【0013】
折曲部5は、折り畳まれた状態のテープファスナー1のウエスト開口部12側の端部に位置している。即ち、折り畳まれた状態のテープファスナー1は、その長手方向の一端側に折曲部5、他端側に、展開状態におけるテープファスナーの各端部20a,20bが存在する端部を有しているが、それら両端部のうちの、折曲部5側の端部が、ウエスト開口部12側、即ち図1における上側となる向きに固定されている。
【0014】
本おむつ10における固定部2は、折曲部5近傍に形成された三角形状の非接着部7を残して、おむつ外表面に接着されている。即ち、図2(b)に示すように、固定部2は、おむつ対向面の大部分、例えば70%以上が、基材シート21に接着剤を塗工して形成された接着剤22を介して、おむつ外表面に接着されているが、折曲部5側の端部に、三角形状に接着層22が形成されていない部分を有し、該部分においては、おむつ外表面に接着されておらず、非接着部7となっている。
テープファスナー1は、このように、固定部2に、接着層22を介しておむつ外表面に接着された部分(接着部)と、接着層22が形成されていないためおむつ外表面に接着されていない部分、即ち非接着部7とを有しており、それらの境界線71は、図1に示すように、吸収体14側から各サイドシール部11側に向かうにつれてウエスト開口部12に近づくように傾斜している。
【0015】
本おむつ10を使用した後の処理方法の一例について説明する。
先ず、左右のサイドシール部11を引き剥がしておむつ10を展開状態とし、おむつを、その長手方向に、腹側部A側から背側部B側に向かって丸め、背側部の幅方向中央部上に丸めた部分を位置させる。
次いで、背側部の左右の各側部を、左右それぞれに引っ張りながら、おむつを丸めた部分の両端部(丸める方向に交差する方向の両端部)上に折り重ね、その状態が維持されるように、テープファスナー1を止着して固定する。
【0016】
テープファスナー1による固定は、図4(a)に示すように、テープファスナー1を、摘み部33を把持して引っ張ることにより展開させ、展開部3の片面に露出した粘着層32を、丸めた部分の表面(外層シートからなる表面)に止着させることにより行う。粘着層32は、おむつの丸めた部分上に止着させても良いし、おむつの丸めた部分に折り重ねた、背側部の各側部上に止着させても良い。
このようにして、背側部の中央領域に位置させた丸めた部分の両端部(丸める方向と交差する方向の両端部)上に、背側部の両側部を重ねて固定することで、丸めた部分の渦巻き状の両端が覆われるため、丸めた状態のおむつから排泄物が漏れだしにくい。
【0017】
また、本おむつ10におけるテープファスナー1は、上述したように、固定部2に、おむつ外表面に接着された接着部と、おむつ外表面に接着されていない非接着部7とを有し、それらの境界線71は、図1に示す向きに傾斜しているため、テープファスナー1は、図4(b)に示すように、おむつ幅方向外方に向かって突出する向きに容易に展開する。そのため、おむつの丸めた部分に、背側部の左右の各側部を固定する際に、テープファスナーがおむつ幅方向に沿って延びた状態となり易く、背側部の各側部の止め付け操作を極めてスムーズに行うことができる。テープファスナー1は、展開部3をおむつ幅方向外方に向かって展開した際に、粘着層32が、おむつ10の側縁部より突出することが好ましい。
【0018】
また、本おむつ10においては、帯状のテープファスナー1を2つ折りしてその一部を固定部2として、広い面積でおむつ外面に固定してあるため、テープファスナー1がおむつ外表面から取れてしまったり、おむつ外表面の、固定部2を固定した部分が破損してしまうこと等が起こりにくい。
このような観点から、固定部2の長手方向の長さL〔図2(a)参照〕と展開部3の長手方向の長さL1〔図2(a)参照〕とがほぼ等しいことが好ましい。具体的には、長さLとL1の差(絶対値)が、Lの長さの20%以内であることが好ましく、10%以内であることがより好ましく、5%以内であることが特に好ましい。また、固定部2の長手方向の長さLは、少なくとも30mm以上、特に40〜80mmであることが好ましい。また、固定部2の幅は、おむつ装着時の収納性(剥がれにくさ)の観点及びおむつ処理・展開時の操作性(摘みやすさ)の観点から10〜30mm、特に13〜20mmであることが好ましい。
【0019】
また、本おむつ10においては、帯状のテープファスナー1が、折り畳まれた状態で且つその折り畳まれた状態における長さ方向をおむつ縦方向に向けた状態で配設されているため、背側部における、吸収体と各サイドシール部との間に、胴回りギャザーE1が形成されている場合であっても、その伸縮性に与える影響が小さい。そのため、胴回り部のフィット性に優れたパンツ型使い捨ておむつを提供することができる。
【0020】
本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法について、上述したおむつ10を製造する場合を例にして説明する。
本実施形態の製造方法の概略図を図5に示す。なお、図5(a)は図5(b)中の矢視Aから見たおむつ10及びその連続体10’を、図5(c)は図5(b)中の矢視Cから見たテープファスナー1及びその連続体1’を示している。
【0021】
本実施形態の製造方法においては、図5(c)に示すように、幅方向に二つ折りされたテープファスナー連続体1’を、連続的に搬送しながら、該連続体1’における、前記固定部2に対応する部分2’に所定形状に接着剤22’を塗工して、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと他方の側部に配されるテープファスナー1Bとが交互に配置された構成の連続体を得る。本実施形態においては、固定部2に対応する部分2’に連続的に接着剤22’を塗工し、その塗工幅は、前記部分2’のほぼ全幅とするが、接着剤塗工部の折曲部5に近い方の縁部が、図5(c)に示すように、ジクザク形状となるように塗工する。図中、符号7’で示す部分は、接着剤22’が塗工されていない部分であり、非接着部7となる部分である。尚、接着層22形成後のテープファスナー連続体1’は、幅方向の断面の構造が、テープファスナー1と同様の構造を有する。
【0022】
次いで、そのテープファスナー連続体1’を、図5(b)に示すように、周面に、2枚のカッターブレード82,83が周方向に離間させて配置されたカーターロール84と該ロール84に相対向するアンビルロール85との間に、フィードコンベア81により間欠的に送り込み、一回の送り込みにつき、2枚のブレード82,83による切断を一回行う。この切断により、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと、他方の側部に配されるテープファスナー1Bとが得られる。尚、図5中の符号8で示す部分は、フィードコンベア81による間欠的な送り込みにより生じる連続体1’の弛みを除去するための弛み除去装置であり、ダンサーロール等を用いた公知の弛み除去装置が用いられれている。
【0023】
アンビルロール85は、その周面における、周方向の特定の範囲が吸着領域となっており、その吸着領域に、切断により生じた左右一対のテープファスナー1A,1Bを1B→1Aの順に受け取る。その受け取りの際に、カッターロール84の回転速度に対してフィードコンベア81の回転速度を低速度にすることによって、両テープファスナー1A,1Bの間に所定の間隔2aが形成される。そして、両テープファスナー1A,1Bを、吸着領域に吸着させつつ、おむつ連続体10’との接合部Sまで移動させる。上述した間隔の形成方法は、カッターロール84及びアンビルロール85が、おむつ連続体10’と同速度で回転するため、ファスニングテープの取付精度が安定するので好ましい。
【0024】
おむつ連続体10’との接合部Sにおいては、アンビルロール85とスタンパーロール86との間で、左右一対のテープファスナー1A,1Bは、おむつ連続体10’に対して強く押しつけられ、接着層22を介して該おむつ連続体10’に対して剥離困難に接着される。尚、接着層22は、公知の接着剤塗工機22Aで塗工することができるが、特にパターンロールコーターを用いることが所定形状に接着剤22’を塗工できるので好ましい。このテープファスナーの貼着工程においては、一方のテープファスナー1Aと他方のテープファスナー1Bとは、図5(a)に示すように、相互に隣接する別のおむつ対応部分に固定される。おむつ対応部分とは、後の工程において、切断されて個々のおむつとされる各部分である。尚、おむつ連続体10’に対する左右一対のテープファスナー1A,1Bの固定は、図5(a)及び(b)に示すように、切断後のおむつ一つ分の幅に等しい所定のピッチで間欠的に行われる。
そして、おむつ連続体10’におけるテープファスナー1Aと1Bとの間に、図5(a)に示すように、ヒートシール加工を施してサイドシール部11,11を形成すると共に、隣接するサイドシール部同士間で、該連続体10’を順次切断することにより、上述した構成のおむつ10が順次得られる。
【0025】
本実施形態のおむつ10の各部の形成材料について説明すると、表面シート、裏面シート及び吸収体としては、この種の物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。内層シートとしては、織布、不織布、多孔性フィルム、またはこれらの積層体等を好ましく用いることができる。外層シートとしては、織布、不織布、多孔性フィルム、またはこれらの積層体等を用いることができるが、柔軟性や透湿性等を確保する観点から単層の不織布であることが好ましく、特にテープファスナーを引っ張ることによる破損等を防止する観点から、構成繊維として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンフタレート(PET)のようなポリエステルおよびナイロンのようなポリアミド等を成分とする複合繊維(芯鞘型、サイドバイサイド型等)、レーヨン及びキュプラ等の再生セルロース繊維、並びにコットン等の天然繊維を用いることが好ましい。好ましい不織布としてはスパンボンド、メルトブローン、あるいはスパンボンド/メルトブローンの多層積層体、エアスルー、ヒートボンド等を挙げることができる。
【0026】
テープファスナーのテープ基材の形成材料としては、樹脂性シート(プラスチックシート,フィルム等)、不織布、織布等を挙げることができるが、非接着部7を形成して特定の方向にテープファスナーを展開し易くする観点から、例えばポリプロピレンやポリエチレンあるいはポリプロピレンとポリエチレン含有、ポリエチレンテレフタレート含有、ポリウレタン含有などの、樹脂性シート(プラスチックシート,フィルム等)、不織布、織布などが好ましいものとして挙げられる。粘着層32及び接着層22形成用の粘着剤や接着剤としては、各種公知のものを用いることができる。さらに、粘着層32の代わりに機械的面ファスナーのオス部材を適用しても良い。機械的面ファスナーのオス部材としては、その表面に多数の突起状の係合部材が配された各種公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)、「クイックロン(登録商標)」(YKK社製)、「マジクロス(登録商標)」(カネボウベルタッチ社製)等を用いることができる。オス部材の係合部材としては、その形状が、錨形や鉤形、キノコ形等のものを挙げることができる。
【0027】
弾性部材12b、16,17としては、糸又は紐状のもの(糸ゴム、平ゴム等)、或いはフィルム状の発砲ポリウレタン等が好ましい。これらの形成素材としては、各種のエラストマー材料を用いることができ、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン等を用いることができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述したおむつ10の製造方法においては、一本のテープファスナー連続体1’から、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと、他方の側部に配されるテープファスナー1Bとの両者を得、これらをほぼ同時に、おむつ連続体10’に固定しておむつを製造したが、これに代えて、図6に示すように、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナー1Aと、他方の側部に配されるテープファスナー1Bとを、別々のテープファスナー連続体1A’,1B’から製造し、これらを、おむつ連続体10’に対して順次固定しておむつ10を製造することもできる。
【0029】
また、上記実施形態においては、直角三角形状の非接着部7であったが、これに代えて、台形状の非接着部等が形成されるようにしても良い。非接着部7と接着部との境界線71は、テープファスナーの長手方向中央線X−Xに対する角度θ〔図3参照〕が30〜60°であることが好ましく、上記実施形態のように45°であることが特に好ましい。 また、固定部2を、非接着部7を形成せずに、その全域において、おむつ外表面に固定しても良い。この場合においても、固定部2と展開部3とが何れもおむつ縦方向に長いことによって、強く引っ張ってもテープファスナーがとれにくい等の効果が奏される。
また、非接着部7を形成する場合の非接着部と接着部との境界線71は、直線状に限られず、湾曲していたり、概ね一方向に延びるが微視的には波形形状をしているもの等であっても良い。
【0030】
さらに、上述した実施形態においては、おむつの製造工程においてテープファスナー連続体に所定形状に接着剤を塗工する方法を示したが、予め所定形状に接着剤が塗工された状態のテープファスナー連続体を、公知の位相制御技術を用いて供給しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を、背面部B側から見た状態を示す図である。
【図2】図2は、図1のおむつにおけるテープファスナーの詳細を示す図で、図2(a)は、図1のX―X線(おむつ縦方向と平行な線)に沿うテープファスナーの断面を示す断面図、図2(b)は、図2(a)に示すテープファスナーを、おむつ外表面側から見た状態を示す図である。
【図3】図3は、図1のおむつにおけるテープファスナーの詳細を示す図で、おむつ外方からテープファスナーを見た図である。
【図4】図4は、図1のおむつにおけるテープファスナーを展開する様子を示す図である。
【図5】図5は、図1のおむつの製造方法の一例を示す概略図であり、(b)は、製造ラインを側方から視た状態を模式的に示す図であり、(a)は、(b)中の矢視Aから見たおむつ及びその連続体を示す図であり、(c)は、(b)中の矢視Cから見たテープファスナー及びその連続体を示す図である。
【図6】図6は、図1のおむつの製造方法の他の例を示す概略図であり、(b)は、製造ラインを側方から視た状態を模式的に示す図であり、(a)は、(b)中の矢視Aから見たおむつ及びその連続体を示す図であり、(c)は、(b)中の矢視Cから見たテープファスナー及びその連続体を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10 パンツ型使い捨ておむつ
1 テープファスナー
2 固定部(折曲部両側の一方の部分)
3 展開部(折曲部両側の他方の部分)
7 非接着部
71 非接着部と接着部との境界線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側部の両側部と背側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつにおいて、
背側部における、吸収体と各サイドシール部との間に、帯状のテープファスナーが、その長さ方向に2つ折りに折り畳まれた状態で配設されており、
前記テープファスナーは、折曲部の両側に位置する各部分が、何れもおむつ縦方向に長い形状を有しており、一方の部分が、おむつ外表面に固定され、他方の部分が、前記一方の部分に剥離可能に接着されていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記一方の部分の長さと前記他方の部分の長さがほぼ等しい請求項1記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記折曲部が、折り畳まれた状態のテープファスナーの前記ウエスト開口部側の端部に位置し、前記一方の部分が、前記折曲部近傍の非接着部を残して、おむつ外表面に接着されており、前記非接着部と接着部との境界線が、前記吸収体側から前記各サイドシール部側に向かうにつれて前記ウエスト開口部に近づくように傾斜している請求項1又は2記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項3記載のパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
幅方向に二つ折りされたテープファスナー連続体であって、前記一方の部分に対応する部分に所定形状に接着剤が塗工され、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナーと他方の側部に配されるテープファスナーとが交互に配置された構成を有するテープファスナー連続体を得る工程、該テープファスナー連続体を、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナーと他方の側部に配されるテープファスナーとに分割する工程、分割された両テープファスナーを、おむつ連続体における、相互に隣接する別のおむつ対応部分に分離して固定する工程、及び両テープファスナー間を切断して個々のおむつを得ることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【請求項5】
請求項3記載のパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
幅方向に二つ折りされたテープファスナー連続体を連続的に搬送しながら、該連続体のおける、前記一方の部分に対応する部分に所定形状に接着剤を塗工して、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナーと他方の側部に配されるテープファスナーとが交互に配置された構成の連続体を得、これを、おむつ幅方向の一方の側部に配されるテープファスナーと他方の側部に配されるテープファスナーとに分割し、両者を、おむつ連続体における、相互に隣接する別のおむつ対応部分に分離して固定した後、両テープファスナー間を切断して個々のおむつを得ることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−167195(P2006−167195A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364594(P2004−364594)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】