説明

パークゴルフ用クラブのヘッド

【課題】ボールを打撃したときに、木材で打撃したときの打球感を有し、かつ、加工が容易で、耐久性の向上したパークゴルフ用ヘッドを提供しようとするものである。
【解決手段】木材の繊維伸長方向に対して垂直に切断した木口面cにおいて、長辺が15mm〜18mm、短辺は5mm〜6mmの矩形で、繊維の伸長方向である側面bの長さが100mmとなるように切り出して小木片8aを形成した。次にこの小木片8aの長辺側の側面aを3片にわたり接合して木口面がほぼ正方形の複合木片9とした。この木片9を、その3つの小木片が接合された接合面が現れる側面bと、他の木片8の長辺側の側面aとを交互に接合して積木合板7とし、この積木合板7の木口面cがヘッド1の上面部3となるよう切削加工してヘッド本体1aを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パークゴルフ用クラブのヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パークゴルフに用いられるクラブは、図4に示すように、一般に木製のヘッド10と、シャフト15から構成されている。シャフト15は、ゴルフクラブのシャフトに比べて管状体の径が大きく従って、曲げ剛性が大きくなっている。また、ヘッド10としては、そのヘッド10の主要部分を占める木製のヘッド本体16と、ヘッド本体16の底面に装着されたソール板14、そして、後述するボールを打撃するそのフェース部12の一部または全面に装着されたフェース板13を含んだ構成となっている。
【0003】
一方、これら競技に使用されるボールは、直径6cm程度とゴルフボールに比べて大きく、またその材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの硬質プラスチックスが用いられた硬いものである。したがって、このようなボールを打撃するヘッドでは、ひとつの木材の塊から削り出してヘッドとした場合には、前記フェース板を介して加わる衝撃力や、あるいは、フェース板以外の木製のフェース部に加わる衝撃力が繰り返されることにより、前記フェース部を含むヘッド本体が破壊したり欠損する恐れがあった。また、1個の木の塊から、複雑な形状のヘッドを形成するには多くの木材を必要とし、天然資源の枯渇を招くなどの問題点があった。
【0004】
このような問題点を改善する方法として、薄い板材を複数積層した合板を用いることはゴルフクラブ用ヘッドとしては、従来から実施されている。例えば、ゴルフクラブ用ヘッドとしては、特許文献1には、フェース面に平行な木目を持つように積層された主合板部と、その上下面には、繊維方向が主合板部の繊維方向と直行する副合板部が積層されて形成されたヘッドが開示されている。
【0005】
また、パークゴルフ用クラブのヘッドとしては、特許文献2には、竹板と、木板を組み合わせた集成材を用いて形成されたヘッドが開示されている。このヘッドは、その繊維方向に沿って厚みが2mm〜5mm程度となるように切断して竹材よりなる竹板と、木材よりなる木板を切り出し、それらの平板部を上下に積み重ねて集成材11とする。そして、前記集成材11を、その竹材と木板がフェース面において略水平方向の層となって交互に現れるように切削加工してヘッドとしている。
【特許文献1】実開昭51−49170号公報
【特許文献2】特開2004−173796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、薄い板材をその平面側を上下に接合して形成したいわゆる積層合板においては、積層合板の板材が層となって現れる側面の側は、平面側に比べて衝撃強度が劣る。
したがって、前記集成材を、フェース面において略水平方向の層となって交互に現れるように成形したものにあっては、フェース部に積層合板の強度が低い側が現れることとなり、ボールを繰り返し打撃することにより破壊されやすい。また、板材が薄いので、これら薄い板材を接合すると、接合するための接着剤の特性の影響が大きく、積層合板としての硬度は大きくなるが、木材本来の柔らかい打球感が得られ難いという問題点があった。
さらに、ヘッド形状は外形が丸みを帯びており、特にヘッドの先端側の部分では、その曲面が小さく、前記積層合板を曲面に加工すると繊維が剥がれやすく、耐久性に劣るものであった。また、シャフトを挿入固着する挿入孔を形成するにあたっても、該挿入孔の先端の薄板の繊維が裂けるなど、加工に手間がかかった。
【0007】
そこで、本発明はこれら従来の問題点を解決し、ボールを打撃したときに、木材で打撃したときの打球感を有し、かつ、加工が容易で、耐久性の向上したパークゴルフ用クラブのヘッドを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のパークゴルフ用クラブのヘッドは、前記ヘッドの主要部分が木材で形成されたパークゴルフ用クラブのヘッドであって、前記ヘッド本体は、木材の繊維の伸長方向に対して垂直方向の面である木口面が矩形の棒状の木片の側面を複数積層してなる積木合板により構成され、かつ、前記積木合板の側面がフェース部側となるよう形成されていることを特徴とするパークゴルフ用クラブのヘッドである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパークゴルフ用クラブのヘッドは、木材の伸長方向に垂直に切断してなる小口面が矩形の棒状に切り出した木材により、その側面を、前記木材の繊維の並列方向が互いに異なるように接合して積木合板を形成し、その積木合板を用いて、その積木合板の側面側が、フェース面の方向となるように切削加工してヘッドを形成したものであるから、ヘッドを成形する際に、切削加工工程が容易で、かつ、耐久性が向上し、しかも木材の打球感を保持したヘッドとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面とともに示す一実施の形態に基づき説明する。図1は本発明の実施形態に係るパークゴルフ用クラブのヘッドの斜視図、図2、図3はその成形材料を説明する図である。
図1に示すように、本発明のヘッド1は、ボールを打撃するフェース部2と、ヘッド1の上面をなす上面部3と、ヘッド1の下面をなすソール部4と、前記上面部3とソール部4との間を繋ぐ側面部5を備えたヘッド本体1aを木製で形成し、そのヘッド本体1aのフェース部2にはその表面を保護するフェース板2aが装着されており、また、ソール部4には金属製のソール板4aが装着された構成となっている。
前記ヘッド1の上面部3にはシャフト6を装着するための孔3aが設けられていて、この孔3aにシャフト6を装着することでパークゴルフ用クラブとなる。
本発明においては、ヘッド本体を形成するために積木合板7を用いている。前記積木合板Aは、図2に示すように、木材の繊維伸長方向に垂直に切断した木口面cにおいて、一辺が5mm−15mm程度の矩形である棒状に切り出した木片8を、その繊維伸張方向である長さ方向の側面aを接合して合板としたものである。
【0011】
前記木片7はその木口面cの各辺がほぼ均等であることが好ましい。このほぼ均等であるとは、1本の棒状体である木片8が、その木口面cが正方形に形成された状態であるもののほか、例えば前記木片8よりも小さい棒状体であって、その木口面が長方形の小木片8aの長辺側の側面aを接合することで、前記木片8の木口面cに相当する複合木片9としてもよい。このとき、このような複合木片9を用いて積木合板7とする場合には、複合木片9の、小木片8aの短辺側の側面bと、次の複合木片9の長辺側の側面aを接合して積木合板7とする。このようにすることにより、積木合板7としたときに、該合板の側面a、bの位置により強度、反発性の違いが少なくできるので好ましい。そして、このような積木合板を用いることにより、ヘッドを成形加工作業が容易となる。また、前記積木合板Aの長さは、少なくともヘッドが切り出せる長さであれば良い。
【0012】
このような積木合板7を用いてヘッド本体1aを成形するにあたっては、前記積木合板の側面aがフェース部2に現れるように加工する。硬くて大きいパークゴルフ用ボールを繰り返し打撃するフェース面方向には、強度特性が重要であり、木口面より側面側のほうが衝撃強度が高いためである。
【実施例】
【0013】
本実施例では、積木合板7として、楓材を用いた。この木材を、図3に示すように、その繊維伸長方向に対して垂直に切断した木口面cにおいて、長辺が15mm〜18mm、短辺は5mm〜6mmの矩形で、繊維の伸長方向である側面bの長さが100mmとなるように切り出して小木片8aを形成した。次にこの小木片8aの長辺側の側面aを3片にわたり接合して木口面がほぼ正方形の複合木片9とした。この木片9を、その3つの小木片が接合された接合面が現れる側面bと、他の木片8の長辺側の側面aとを交互に接合して積木合板7とし、この積木合板7の木口面cがヘッド1の上面部3となるよう切削加工してヘッド本体1aを形成した。そして、このヘッド本体1aのフェース部2にはフェース板2a、ソール部4にはソール板4aを装着し、ヘッド1とした。
【0014】
前記積木合板7においては、木片8を複数接合するにあたり、この木片8を3片の小木片8aを接合して形成しているが、本発明では、このような構成に限定されることなく、木片の木口面における矩形の少なくとも2辺eが5mm以上の厚みを有するものであれば良く、木片8を構成する小木片の接合枚数は限定されるものではない。また、積木合板を形成する木材の材料としては、前記楓のほか、柿、竹などが用いられる。
【0015】
比較例のパークゴルフ用クラブのヘッド10としては、図4に示すように、木材をその木口面の厚みが1mm〜2mm程度となるように形成し、それらの平面側を複数接合して積層合板11を形成した。この積層合板11を用いて、ヘッド10のフェース部に前記積層合板11の木口面が現れるように切削加工し、その後、フェース部12にはフェース板13、ソール部にはソール板14を装着し、パークゴルフ用クラブのヘッド10とした。
【0016】
実施例のヘッドと比較例のヘッドについて、それぞれのヘッドから、一部を試験片として切り出した。この試験片を用いて、アイゾット衝撃試験機によるアイゾット衝撃試験方法に準じて試験し、その衝撃強度について比較した。その実施例のヘッドの結果を表1に、比較例のヘッドの結果を表2に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
表1および表2に示すに、本実施例の積み木合板は、従来の積層合板に比して、側面と木口面の強度の差が少ない。
このような積木合板を用い、かつ、前記積木合板の側面側がヘッドの強度を必要とするフェース部側となるように形成したことで、ヘッドの耐久性がより向上した。また、クラウン側に現れる木口面は、従来の合板に比して強度も大きく、クラウン側に加わる予想外の衝撃、たとえば、クラブの出し入れや収納時、プレー中の他の障害物との衝突にも十分耐久性がある。また、クラウン部にはシャフトを固着するための孔を穿設するが、この孔の穿設にあたっては、積木合板の繊維方向に穿設するので、穿設作業が容易となる。
さらに、前記合板は木材の特性を有しているため、シャフトを孔に挿入して固着した部分の境界での折損をある程度、防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るヘッドの一実施形態を示す外観図。
【図2】本発明に係るヘッドを構成する成形材料の一例を説明する図。
【図3】本発明に係るヘッドを構成する成形材料の他の例を説明する図。
【図4】従来のヘッドを説明する図。
【符号の説明】
【0021】
1 ヘッド
1a ヘッド本体
2 フェース部
2a フェース板
3 上面部
3a 孔
4 ソール部
4a ソール板
5 側面部
6 シャフト
7 積木合板
8 木片
8a 小木片
9 複合木片
10 ヘッド
11 集成材
12 フェース部
13 フェース板
14 ソール板
15 シャフト
16 ヘッド本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドの主要部分であるヘッド本体が木材で形成されたパークゴルフ用クラブのヘッドであって、前記ヘッド本体は、木材の繊維の伸長方向に対して垂直方向の面である木口面が矩形の棒状の木片の側面を複数積層してなる積木合板により構成され、かつ、前記積木合板の側面がフェース部側となるよう形成されていることを特徴とするパークゴルフ用クラブのヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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