説明

ヒダントサイジン誘導体の製造方法

【課題】ヒダントサイジンの新規製造法の提供。
【解決手段】1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロウンデカン−8,9−ジオン誘導体に、酸存在下、ラネー触媒を用いて水素添加することにより、一般式(V)


で表わされる化合物を製造する[R1 、R2 =H、アルキリデン基]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた除草活性を有する下記式
【0002】
【化9】

【0003】
で表されるヒダントサイジン([2R,3S,4R,5S]−2−ヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロキシ−1−オキサ−6,8−ジアザスピロ[4,4]ノナン−7,9−ジオン)の新規な製造中間体及び製造法に関する。
【背景技術】
【0004】
放線菌の代謝産物として得られるヒダントサイジンは、単子葉、双子葉の一年生雑草のみならず、多年生雑草に対しても強力な殺草及び生育抑制活性を有する化合物として知られている(特許文献1、非特許文献1及び2)。
【0005】
ヒダントサイジンは、動物、魚類及び微生物に対して際立った安全性を示し、又、土壌中で速やかに分解されることから、環境上望ましい性質を有しており、優れた除草剤として有用である化合物である。
【0006】
又、ヒダントサイジンの化学的な製造法としては、従来、上記の他に特許文献2及び非特許文献3〜8の方法が知られている。
【特許文献1】特開昭62−12789号公報
【特許文献2】特開平2−85287号公報
【非特許文献1】M. Nakajima et al., J. Antibiot., 44, 293 (1991)
【非特許文献2】H. Haruyama et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. I., 1637 (1991)
【非特許文献3】S. Mio et al., Tetrahedron 47, 2111 (1991)
【非特許文献4】S. Mio et al., Tetrahedron 47, 2133 (1991)
【非特許文献5】S. Mirza, DE 4,129,728A1(1991)
【非特許文献6】G. W. J. Fleet et al., Tetrahedron Lett., 34, 3327 (1993)
【非特許文献7】S. Terashima et al., Tetrahedron Lett., 34, 6289 (1993)
【非特許文献8】Philippe Chemla, Tetrahedron Lett., 34, 7391 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このヒダントサイジンを、工業的に製造する場合、放線菌からの醗酵によって行うには生産量が余りに少ないため困難である(上記特許文献1)。
【0008】
又、特許文献2、非特許文献3〜7の方法を工業的に行うには、種々の困難な問題を含んでいる。
【0009】
例えば、特許文献2及び非特許文献3の方法では、原料又は試薬として高価な酒石酸や四酸化オスミウムを用いることとなる。非特許文献4では、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォン酸やトリメチルシリルアジド等の高価な試薬を用いることとなる。非特許文献5では、無水トリフルオロメタンスルフォン酸や四酸化オスミウム等の高価な試薬を用い、かつ目的物の収率が低い。非特許文献6では、テトラプロピルパールテネートや無水トリフルオロメタンスルフォン酸等をはじめとする多くの高価な試薬を使用することとなる。又、非特許文献5、6及び7の方法では、ヒダントサイジンに比べて除草活性が大きく劣る、ヒダントサイジンのスピロ部分の立体異性体が優先して得られるため、ヒダントサイジン自身の効率的な製造法とはなっていない。
【0010】
非特許文献8の方法中の多くの反応は、試薬が高価であったり毒性が高かったりするため、実験室レベルにおいてのみ用いることのできる反応であり、工業的には不利なため、この方法で実生産(工業的生産)することは不可能である。
【0011】
本発明者等は、ヒダントサイジンの工業的製造法について永年に亘り鋭意研究を行なった結果、新規な中間体を経由する製造方法によって、ヒダントサイジンが立体異性体に比して極めて優先的に、高収率で、安価かつ簡便・安全に製造できることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一般式(I)
【0013】
【化10】

【0014】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R3 及びR4 は水素原子を示すか又はR3 とR4 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R5 及びR6 は同一又は異なって、水素原子、式−COR10(R10は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基(但し、R5 とR6 がともに水素原子の場合を除く)又は式−SO211(R11は低級アルキル基、アリール基又は1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基を示す。)で表される基を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、R3 とR4は一緒になってアルキリデン基を示し、R5 は水素原子を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、
更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R3 とR4 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R5 は水素原子を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示す。]で表わされる化合物及びその塩、
一般式(II)
【0015】
【化11】

【0016】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R6 は水素原子、式−COR10(R10は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基又は式−SO211(R11は低級アルキル基、アリール基又は1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基を示す。)で表される基を示し、R7 は式−CH2 OHで表される基、ホルミル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又は式CONHR14{R14は水素原子、低級アルキル基、フェニル基又はアラルキル基(当該フェニル基及びアラルキル基はハロゲン原子、低級アルコキシ基又はニトロ基で置換されていてもよい)を示す。}で表される基を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、R6 は水素原子又は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、R7 は式−CH2 OHで表される基、ホルミル基、カルボキシル基又は式CONH2 で表される基を示し、
更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R6 は水素原子又は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示し、R7 は式−CH2 OHで表される基、ホルミル基、カルボキシル基又は式CONH2 で表される基を示し、
より更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示し、R7 は式−CH2 OHで表される基、ホルミル基、カルボキシル基又は式CONH2 で表される基を示す。]で表わされる化合物及びその塩、及び、
一般式(III)
【0017】
【化12】

【0018】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示す。]で表わされる化合物及びその塩、並びに、
一般式(IV)
【0019】
【化13】

【0020】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、
好適には、式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 及びR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示す。]で表わされる化合物に、ラネー触媒を用いて、好適には酸の存在下、更に好適には酢酸の存在下、水素添加することを特徴とする、一般式(V)
【0021】
【化14】

【0022】
[式中、R1 及びR2 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法、
一般式(VI)
【0023】
【化15】

【0024】
[式中、Xは、脱離基を示し、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R3 及びR4 は水素原子を示すか又はR3 とR4 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、
好適には、式中、Xは、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子又は沃素原子を示し、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、R3 とR4 は一緒になってアルキリデン基を示し、
更に好適には、式中、Xは、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子又は沃素原子を示し、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R3 とR4 は一緒になってイソプロピリデン基を示す。]で表わされる化合物に、一般式HONR56 [式中、R5 及びR6 は同一又は異なって、水素原子、式−COR10(R10は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基又は式−SO211(R11は低級アルキル基、アリール基又は1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基を示す。)で表される基を示し
好適には、式中、R5 は水素原子を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、
更に好適には、式中、R5 は水素原子を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示す。]で表される化合物を反応することを特徴とする、一般式(I)
【0025】
【化16】

【0026】
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法、
一般式(I)
【0027】
【化17】

【0028】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R3 及びR4 は水素原子を示すか又はR3 とR4 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R5 及びR6 は同一又は異なって、水素原子、式−COR10(R10は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基又は式−SO211(R11は低級アルキル基、アリール基又は1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基を示す。)で表される基を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、R3 とR4は一緒になってアルキリデン基を示し、R5 は水素原子を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、
更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R3 とR4 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R5 は水素原子を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示す。]で表される化合物を、酸触媒の存在下、好適には触媒としてスルホン酸類又は鉱酸類の存在下、更に好適には触媒として硫酸又はメタンスルホン酸の存在下反応することを特徴とする、一般式(IIa)
【0029】
【化18】

【0030】
[式中、R1 、R2 及びR6 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法、
一般式(IIc)
【0031】
【化19】

【0032】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、R14は水素原子を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、R14は水素原子を示し、
更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示し、R14は水素原子を示す。]で表される化合物を、溶媒の存在下、塩基で、好適にはアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は低級アルコールのアルカリ金属塩で、更に好適には水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで処理することを特徴とする、一般式(IV)
【0033】
【化20】

【0034】
[式中、R1 及びR2 は前記と同意義を示す。]で表される化合物の製造法、
一般式(IIb)
【0035】
【化21】

【0036】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)で表される基を示し、
更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示し、R6 は式−COR10(R10は低級アルコキシ基を示す。)で表される基を示す。]で表される化合物を、溶媒の存在下アンモニアで処理することを特徴とする、一般式(III)
【0037】
【化22】

【0038】
[式中、R1 及びR2 は前記と同意義を示す。]で表される化合物の製造法、及び、
一般式(III)
【0039】
【化23】

【0040】
[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示し、
好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってアルキリデン基を示し、
更に好適には、式中、R1 とR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示す。]で表される化合物を酸化、好適には次亜塩素酸塩類、クロム酸又はクロム酸塩を用いて酸化、更に好適にはクロム酸塩を用いて酸化することを特徴とする、一般式(IV)
【0041】
【化24】

【0042】
[式中、R1 及びR2 は前記と同意義を示す。]で表される化合物の製造法である。
【0043】
1 、R2 、R3 及びR4 において、「置換されていてもよいアルキリデン基」とは、メチリデン、エチリデン、n−プロピリデン、イソプロピリデン、n−ブチリデン、イソブチリデン、s−ブチリデン、t−ブチリデン、n−ペンチリデン、イソペンチリデン、2−メチルブチリデン、ネオペンチリデン、1−エチルプロピリデン、n−ヘキシリデン、1−t−ブチルエチリデン、1−フェニルエチリデン、2,2,2−トリクロロエチリデンのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキリデン基、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデンのような環状アルキリデン基、ベンジリデン、4−メトキシベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、3,4−ジメトキシベンジリデン、2−ニトロベンジリデン、α−メトキシベンジリデンのような芳香族置換アルキリデン基及び、メトキシメチレン、エトキシメチレン、1−メトキシエチリデン、1−エトキシエチリデンのようなアルコキシ置換アルキリデン基であり、好適には炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルキリデン基、環状アルキリデン基、芳香族置換アルキリデン基であり、更に好適にはメチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、n−ブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデンであり、最も好適にはイソプロピリデン基である。
【0044】
10、R11及びR14において、「低級アルキル基」とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、好適にはメチル又はエチル基であり、最も好適には、メチル基である。
【0045】
10及びR14において、「低級アルコキシ基」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、2−メチルブトキシ、ネオペントキシ、n−ヘキシルオキシ、4−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、1,1−ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシのような、前記「低級アルキル基」が酸素原子に結合した基、すなわち炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、好適には炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、更に好適には、メトキシ基又はエトキシ基であり、最も好適にはエトキシ基である。
【0046】
10及びR11において、「アリール基」とは、例えば、フェニル、インデニル、ナフチル、フェナンスレニル、アントラセニルのような炭素数5乃至14個の芳香族炭化水素基であり、好適にはフェニル基である。
【0047】
又、該アリール基は、アリ−ル環上に、1乃至3個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、前記「低級アルキル基」、前記「低級アルコキシ基」、後記「ハロゲン原子」を挙げることができ、好適には低級アルキル基であり、そのような置換基を有するアリール基として最も好適にはp−トルイル基である。
【0048】
10において、「アリールオキシ基」とは、例えば、フェニルオキシ、インデニルオキシ、ナフチルオキシ、フェナンスレニルオキシ、アントラセニルオキシのような、前記「アリール基」に酸素原子が結合した基、すなわち炭素数5乃至14個の芳香族炭化水素オキシ基であり、好適にはフェニルオキシ基である。
【0049】
又、該アリールオキシ基も、前記「アリール基」と同様の置換基を有していてもよい。
【0050】
14において、「アラルキル基」とは、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α,α−ジメチルベンジル基のような、前記「低級アルキル基」に前記「アリール基」が置換した基であり、好適にはベンジル基である。
【0051】
10において、「アラルキルオキシ基」とは、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシのような、前記「アラルキル基」に酸素原子が結合した基であり、好適にはベンジルオキシ基である。
【0052】
10及びR11において、「1乃至2個の低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基」とは、無置換のアミノ基又は、前記「低級アルキル基」が1乃至2個置換したアミノ基であり、好適には無置換のアミノ基又はジメチルアミノ基である。
【0053】
10において、「低級アルケニルオキシ基」とは、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ、2−ブテニルオキシ、3−メチル−2−ブテニルオキシ、2−メチル−2−ブテニルオキシのような炭素数2乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルケニルオキシ基であり、好適にはアリルオキシ基である。
【0054】
7 において、「低級アルコキシカルボニル基」とは、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基のような、前記「低級アルコキシ基」がカルボニル基と結合した基であり、好適にはメトキシカルボニル基である。
【0055】
14の定義において、「ハロゲン原子」とは、弗素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子であり、好適には塩素原子である。
【0056】
14において、「ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はニトロ基で置換されていてもよいフェニル基」とは、無置換フェニル基又は、例えば、4−メトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、4−クロロフェニル、4−ニトロフェニルのような、前記「ハロゲン原子」、前記「低級アルコキシ基」又はニトロ基が1乃至3個置換したフェニル基であり、好適には無置換フェニル基である。
【0057】
14において、「ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はニトロ基で置換されていてもよいアラルキル基」とは、無置換の前記「アラルキル基」又は、例えば、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、4−クロロベンジル、4−ニトロベンジルのような、前記「ハロゲン原子」、前記「低級アルコキシ基」又はニトロ基が1乃至3個置換したアラルキル基であり、好適にはp−メトキシベンジル基である。
【0058】
本発明の化合物(I)、(II)及び(III)は、塩にすることができる。そのような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩等の金属塩、及びグアニジン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩のような有機塩基であり、好適にはアルカリ金属塩であり、最も好適にはナトリウム塩である。
【0059】
本発明の化合物(I)、(II)及び(III)は、その分子内に不斉炭素を有し、各々がS配位、R配位である立体異性体が存在するが、その各々或いはそれらの混合物のいずれも、本発明に包含されうる。
【0060】
上記において、R1 及びR2 は、好適にはR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基であり、更に好適にはR1 とR2 が一緒になってアルキリデン基であり、最も好適にはR1 とR2 が一緒になってイソプロピリデン基である。
【0061】
3 及びR4 は、好適にはR3 とR4 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基であり、更に好適にはR3 とR4 が一緒になってアルキリデン基であり、最も好適にはR3 とR4 が一緒になってイソプロピリデン基である。
【0062】
5 は、好適には水素原子である。
【0063】
6 は、好適には、水素原子又は式−COR10で表される基であり、更に好適には、式−COR10で表される基である。
【0064】
10は、好適には、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又は低級アルケニルオキシ基であり、更に好適には、低級アルコキシ基であり、より更に好適にはメトキシ基又はエトキシ基である。
【0065】
7 は、好適には、式−CH2 OHで表される基、ホルミル基、カルボキシル基、式−CONH2 で表される基である。
【0066】
以下に、ヒダントサイジンの製造法を示す。
【0067】
【化25】

【0068】
[上記式中、Xは、脱離基を示し、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R14は前記と同意義を示す。]
上記において、Xの定義における脱離基とは、通常、求核残基として脱離する基であれば特に限定はないが、好適には、塩素原子、臭素原子、沃素原子のようなハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシのような低級アルカンスルホニルオキシ基;トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ペンタフルオロエタンスルホニルオキシのようなハロゲノ低級アルカンスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリ−ルスルホニルオキシ基であり、更に好適には、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子、沃素原子である。
【0069】
次に、各工程を更に詳しく説明する。
【0070】
尚、以下の工程及び反応において、水酸基の保護基(R1 、R2 、R3 及びR4 を含む)及び窒素原子の保護基(R5 、R6 及びR14を含む)は、その後の反応に支障のない限り、適宜、保護及び脱保護を行うことができる。すなわち、保護基の変換をすることができることはもちろん、保護された状態又は保護されていない状態で各反応に供することができる。
【0071】
そのような水酸基及び窒素原子の保護基並びに保護及び脱保護の方法は、T. W. Green,"Protective groups in Organic Synthesis" A Wiley-Interscience Publication, New York, 1981,の記載に準じて選び、行うことができる。
【0072】
(工程A)
本工程は、フルクトースを出発原料として、一般式(VI)で表される化合物を製造する工程である。以下に、本工程を更に詳しく示す。
【0073】
【化26】

【0074】
[上記式中、R20及びR21は、置換されていてもよいアルキリデン基を示し、X、R1 、R2 、R3 及びR4 は、前記と同意義を示す。] 工程A−1、A−2、A−3及びA−4は、公知の方法、例えば、J. G. Moffatt et. al., J. Org.Chem., 41, 1836 (1976) に記載の方法に準じて行うことができる。
【0075】
工程A−5は、工程A−1〜4で得られる一般式(X)で表される化合物から、一般式(VI)で表される化合物を製造する工程である。
【0076】
本工程は、前記J. G. Moffatt et. al., J. Org. Chem., 41, 1836 (1976) に記載の方法に準じて、又は、これまでに知られている水酸基から脱離基を製造する通常の方法に従って、製造することができる。
【0077】
(工程B)
本工程は、一般式(VI)で表される化合物から、N−O結合を有する一般式(I)で表される化合物を製造する工程である。
【0078】
溶媒の存在下、塩基を用いて、一般式HONR56(R5 、R6 は前記と同意義を示す。)で表される化合物と反応することによって、Xが置換され、化合物(I)が製造される。
【0079】
一般式HONR56 で表される化合物において、好適には、R5 が水素原子であり、R6 が低級アルコキシカルボニル基である化合物である。
【0080】
使用される塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような低級アルコールのアルカリ金属塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化アルカリ金属、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミドのようなアルカリ金属アミド類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸アルカリ金属塩類であり、好適には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような低級アルコールのアルカリ金属塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化アルカリ金属、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属である。塩基は、原料に対して1当量乃至10当量使用する。
【0081】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコールのような低級アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類であり、更に好適には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコールのような低級アルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶剤である。
【0082】
反応温度は、通常−50℃乃至200℃で行われ、好適には、0℃乃至150℃である。
【0083】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常1時間乃至120時間である。
【0084】
一般式(I)において、R5 が水素原子であり、R6 が式−COR10(R10は前記と同意義を示す。)又は、式−SO211(R11は前記を同意義を示す。)である化合物は、化合物(I)においてR5 及びR6 が共に水素原子である化合物(Philippe Chemla, Tetrahedron Lett., 34, 7391 (1993) に記載の公知化合物)と、アシル化剤又はスルホニル化剤を適当な溶媒中、塩基存在下、反応させることによっても製造される。
【0085】
使用されるアシル化剤は、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ベンゾイルのような酸ハライド類、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸のような酸無水物類、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸フェニル、クロロ炭酸ベンジル、クロロ炭酸イソブチル、炭酸ジメチルのような炭酸エステル類、ジメチルカルバミン酸クロリド、ジエチルカルバミン酸クロリドのようなカルバミン酸ハライド類、メチルイソシアネート、トリメチルシリルイソシアネートのようなイソシアネート類である。
【0086】
使用されるスルホニル化剤は、塩化メタンスルホニル、塩化パラトルエンスルホニルのような塩化スルホニル類、無水メタンスルホン酸、無水ベンゼンスルホニルのような無水スルホン酸類、ジメチルアミノスルホニルクロリド、ジエチルアミノスルホニルクロリドのようなアミノスルホニルクロリド類である。
【0087】
使用される塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような低級アルコールのアルカリ金属塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化アルカリ金属、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミドのようなアルカリ金属アミド類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸アルカリ金属塩類、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンのようなトリ低級アルキルアミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンのような複素芳香族3級アミン類、DBU、DBN、DABCOのような脂環式環状アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのような芳香族アミン類であり、好適には、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンのようなトリ低級アルキルアミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンのような複素芳香族3級アミン類である。
【0088】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類であり、更に好適には、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類である。
【0089】
反応温度は、通常−60℃乃至160℃で行われ、好適には、0℃乃至100℃である。
【0090】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.6時間乃至24時間である。
【0091】
(工程C)
本工程は、工程Bにより製造される一般式(I)で表される化合物を原料として、酸触媒の存在下、溶媒中で反応し、二環性化合物(IIa)を製造する工程である。
【0092】
原料である化合物(I)において、好適にはR5 は水素原子である。
【0093】
使用される酸触媒とは、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸のようなスルホン酸類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸のようなカルボン酸類、塩酸、硫酸、過塩素酸のような鉱酸類、塩化アルミニウム、塩化亜鉛のようなルイス酸類、燐酸類等であり、好適には、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸のようなスルホン酸類、塩酸、硫酸、過塩素酸のような鉱酸類であり、更に好適には、硫酸及びメタンスルホン酸である。酸触媒は、原料に対して0.001当量乃至100当量使用し、好適には、0.1当量から50当量である。
【0094】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、ペンタンのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類であり、更に好適には、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、アセトニトリルのようなニトリル類である。
【0095】
反応温度は、通常−50℃乃至150℃で行われ、好適には、0℃乃至50℃である。
【0096】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至24時間である。
【0097】
本反応は、原料である化合物(I)においてR3 とR4 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示す場合、脱保護と環化反応が同時に行うことができるため、好都合である。
【0098】
更に、オキサゾリジノン環を有する三環性化合物を経由して、化合物(IIa)を製造することもできる。
【0099】
【化27】

【0100】
工程C−2は、上記の酸触媒を用いた工程Cに準じて行うことができる。
【0101】
工程C−3は、溶媒の存在下、アルカリを用いて、オキサゾリジノン環を開環する工程である。
【0102】
使用されるアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような低級アルコールのアルカリ金属塩類であり、好適には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0103】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、水及びその混合溶媒を使用することができ、その混合相手の溶媒としては、好適には、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒であり、更に好適には、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類であり、より更に好適には、メタノール、テトラヒドロフランである。
【0104】
反応温度は、通常−50℃乃至150℃で行われ、好適には、0℃乃至100℃である。
【0105】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至24時間である。
【0106】
一般式(IIa)において、R6 が水素原子の場合、それを原料として、アシル化剤又はスルホニル化剤を適当な溶媒中、塩基存在下又は非存在下、反応することにより、更にR6 が−COR10又は−SO211である化合物(R10、R11は前記と同意義を示す。)を製造することができる。
【0107】
使用されるアシル化剤としては、好適には、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ベンゾイルのような酸ハライド類、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸のような酸無水物類、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸フェニル、クロロ炭酸ベンジル、クロロ炭酸イソブチル、炭酸ジメチルのような炭酸エステル類、ジメチルカルバミン酸クロリド、ジエチルカルバミン酸クロリドのようなカルバミン酸ハライド類、メチルイソシアネート、トリメチルシリルイソシアネートのようなイソシアネート類である。
【0108】
使用されるスルホニル化剤としては、好適には、塩化メタンスルホニル、塩化パラトルエンスルホニルのような塩化スルホニル類、無水メタンスルホン酸、無水ベンゼンスルホニルのような無水スルホン酸類、ジメチルアミノスルホニルクロリド、ジエチルアミノスルホニルクロリドのようなアミノスルホニルクロリド類である。
【0109】
使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような低級アルコールのアルカリ金属塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化アルカリ金属、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミドのようなアルカリ金属アミド類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸アルカリ金属塩類、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンのようなトリ低級アルキルアミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンのような複素芳香族三級アミン類、DBU、DBN、DABCOのような脂環式環状アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのような芳香族アミン類であり、好適には、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンのようなトリ低級アルキルアミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンのような複素芳香族三級アミン類である。
【0110】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、ペンタンのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類であり、更に好適には、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類である。
【0111】
反応温度は、通常−50℃乃至150℃で行われ、好適には、0℃乃至50℃である。
【0112】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至24時間である。
【0113】
(工程D)
本工程は、工程Cにより製造される一般式(IIa)で表される化合物の一級水酸基をアルデヒドに酸化して、一般式(IIb)で表される化合物を製造する工程である。
【0114】
使用される酸化剤は、一級水酸基をアルデヒドに酸化することのできる比較的温和な酸化剤であれば特に限定はないが、好適には、ジメチルスルホキシド酸化(DMSO酸化)に使用される試薬(ジメチルスルホキシドに対し、ジシクロヘキシルアミド、オキザリルクロリド、ホスゲン、クロロ蟻酸エステル、無水酢酸、五酸化リン、ピリジン−無水硫酸との錯体、メチルスルフィドとN−クロロこはく酸イミド、塩素等の塩素化剤とから生じるスルホニウム塩)、クロム酸のようなクロム酸塩、プラチナのような金属触媒存在下の酸素、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸塩類、次亜塩素酸ナトリウム、t−ブチルハイポクロライトのような次亜塩素酸化合物、オキソンのようなパーオキシサルフェート、四酸化ルテニウム及び反応系中でそれを発生させ得るルテニウム塩類、次亜塩素酸ナトリウムとTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル)の組み合わせからなるオキソアンモニウム塩類である。酸化剤の当量は、用いる条件によって大きく変り、例えば、DMSO酸化であればオキザリルクロリド1当量から5当量及びDMSO1当量から10当量使用する。
【0115】
反応は、溶媒の存在下行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類である。
【0116】
反応温度は、通常−70℃乃至150℃で行われ、好適には、−60℃乃至50℃である。
【0117】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至24時間である。
【0118】
(工程E)
本工程は、一般式(IIb)で表される化合物のアルデヒド基を、カルボン酸又はエステルに酸化後、アミド化することにより、一般式(IIc)で表される化合物を製造する工程である。
【0119】
本工程の原料としては、R6 が−COR10又は−SO211(R10及びR11は前記と同意義を示す。)である化合物が好ましく、更に好適にはR6 が−COR10である化合物である。
【0120】
酸化反応に使用される酸化剤は、アルデヒドをカルボン酸に酸化することのできる酸化剤であれば特に限定はないが、好適には、酸化銀、酸化銅、酢酸銅又は酢酸ニッケル存在下の酸素、プラチナのような金属触媒存在下の酸素、クロム酸のようなクロム酸塩、硝酸銀、酸化銀のような銀塩類、亜塩素酸ナトリウムのような亜塩素酸類、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸塩、四酸化ルテニウム及び反応系中でそれを発生させ得るルテニウム塩類、次亜塩素酸ナトリウムとTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル)の組み合わせからなるオキソアンモニウム塩、ニッケルオキシドであり、更に好適には、酸化銀、酸化銅、酢酸銅又は酢酸ニッケル存在下の酸素、プラチナのような金属触媒存在下の酸素、亜塩素酸ナトリウムのような亜塩素酸類、四酸化ルテニウム及び反応系中でそれを発生させ得るルテニウム塩類、次亜塩素酸ナトリウムとTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル)の組み合わせからなるオキソアンモニウム塩であり、より更に好適には、亜塩素酸ナトリウムである。酸化剤は、原料に対して1当量乃至10当量使用する。
【0121】
反応は、溶媒の存在下又は非存在下行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、t−ブチルアルコールのような3級アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、水であり、更に好適には、t−ブチルアルコールのような3級アルコール類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、水であり、更に好適には、1,4−ジオキサン、t−ブチルアルコール及び水である。
【0122】
反応温度は、通常−20℃乃至150℃で行われ、好適には、20℃乃至100℃である。
【0123】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至24時間である。
【0124】
エステルは、上記の方法によりアルデヒドを酸化して生成したカルボン酸を、対応するアルコールと酸等で処理することにより得ることができる。
【0125】
以上により得られたカルボン酸又はエステルは、アンモニアを反応させることにより、アミド(IIc)に変換される。
【0126】
本反応に使用されるアンモニアは、エーテル類、ニトリル類、アルコール類、水等の溶媒に溶かしたアンモニア又はアンモニアガスであり、好適にはアンモニアガスである。
【0127】
本反応は、エステルに直接アンモニアを反応させるか、アンモニアを反応させる前にカルボン酸を活性化しておくことが望ましい。
【0128】
そのような活性化の方法としては、トリエチルアミンのような塩基存在下に、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチルのようなクロロ炭酸エステル類と処理し、酸無水物とする方法、塩化チオニル、オキシ塩化リン等と処理して酸ハライドとする方法、1−メチル−2−クロロピリジウムヨーダイドと処理する方法、ジエチル燐酸シアニドのような燐酸エステル類と処理する方法等があり、好適には、塩化チオニル、オキシ塩化リン等と処理して酸ハライドとする方法である。
【0129】
反応は、溶媒の存在下又は非存在下行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、ペンタンのような脂肪属炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類であり、更に好適には、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類であり、より更に好適には、ハロゲン化炭化水素である。
【0130】
反応温度は、通常−50℃乃至150℃で行われ、好適には、0℃乃至50℃である。
【0131】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至24時間である。
【0132】
(工程F)
本工程は、工程Eにより製造される一般式(IIc)で表される化合物の内、R6 が−COR10(R10は前記と同意義を示す。)である化合物を、溶媒の存在下、塩基で処理することにより、環化してヒダントイン環を形成し、一般式(IV)で表される三環性化合物を製造する工程である。
【0133】
本工程の原料である化合物(IIc)において、R1 及びR2 は、水素原子であっても置換されていてもよいアルキリデン基であってもよい。
【0134】
使用される塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような低級アルコールのアルカリ金属塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化アルカリ金属、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミドのようなアルカリ金属アミド類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸アルカリ金属塩類、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンのようなトリ低級アルキルアミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンのような複素芳香族3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカン−7−エン(DBU),1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−5−エン(DBN),1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のような脂環式環状アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのような芳香族アミン類であり、好適には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等の低級アルコールのアルカリ金属塩である。塩基は、原料に対して1当量乃至10当量使用する。
【0135】
反応は、溶媒の存在下又は非存在下行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコールのような低級アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、水であり、更に好適には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコールのような低級アルコール類、水である。
【0136】
反応温度は、通常−50℃乃至100℃で行われ、好適には、0℃乃至70℃である。
【0137】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.1時間乃至24時間である。
【0138】
(工程G)
本工程は、工程Dにより製造される一般式(IIb)で表される化合物の内、R6 が−COR10(R10は前記と同意義を示す。)である化合物を、溶媒の存在下アンモニアで処理することにより、アルデヒド基にアミンを付加してアミノアルコールに変換し且つ環化して、一般式(III)で表される化合物を製造する工程である。
【0139】
本発明の原料化合物(IIb)としては、好適には、R6 が低級アルコキシカルボニル基である化合物である。
【0140】
本反応に使用されるアンモニアは、エーテル類、ニトリル類、アルコール類、水等の溶媒に溶かしたアンモニア又はアンモニアガスであり、好適には、アンモニア水である。アンモニアは、化合物(IIb)に対して1当量乃至大過剰量使用する。
【0141】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコールのような低級アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、水であり、更に好適には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコールのような低級アルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、水である。
【0142】
反応温度は、通常−50℃乃至100℃で行われ、好適には、0℃乃至50℃である。
【0143】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.1時間乃至24時間である。
【0144】
(工程H)
本工程は、工程Gにより製造される一般式(III)で表される化合物のジヒドロヒダントイン環の二級水酸基を酸化することにより、一般式(IV)で表される化合物を製造する工程である。
【0145】
使用される酸化剤としては、二級水酸基を酸化してカルボニル基に変換するものであれば特に限定はないが、好適には、DMSO酸化に使用される試薬(ジメチルスルホキシドに対し、ジシクロヘキシルアミド、オキザリルクロリド、ホスゲン、クロロ蟻酸エステル、無水酢酸、五酸化リン、ピリジン−無水硫酸との錯体、メチルスルフィドとN−クロロこはく酸イミド、塩素のような塩素化剤とから生じるスルホニウム塩)、二酸化マンガンのようなマンガン類、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸塩類、酸化銀、酸化銅、酢酸銅又は酢酸ニッケル存在下の酸素、プラチナのような金属触媒存在下の酸素、クロム酸等のクロム酸塩、硝酸銀、酸化銀のような銀塩類、四酸化ルテニウム及び反応系中でそれを発生させ得るルテニウム塩類、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムのような次亜塩素酸塩類、塩素、臭素のような分子状ハロゲン類であり、更に好適には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩類、クロム酸であり、より更に好適には、クロム酸である。酸化剤は、化合物(III)に対して1当量乃至10当量使用する。
【0146】
反応は、溶媒の存在下又は非存在下行われる。使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、水であり、更に好適には、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、水である。
【0147】
反応温度は、通常−50℃乃至100℃で行われ、好適には、0℃乃至70℃である。
【0148】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.1時間乃至24時間である。
【0149】
(工程I)
本工程は、工程F及び工程Hにより製造される一般式(IV)で表される三環性化合物のN−O結合を切断し、所望により水酸基の保護基であるR1 及びR2を除去してヒダントサイジンを製造する工程である。
【0150】
1 及びR2 が共に水素原子の場合は、保護基除去の反応は不要である。
【0151】
N−O結合の切断と保護基の除去の順序は、適宜変えることができる。
【0152】
N−O結合の切断は、ラネー触媒(Na−Ni)を使用して、溶媒存在下、水素添加する反応によって行なう。
【0153】
ラネー触媒は、化合物(IV)の重量に対して0.01倍から10倍量使用する。
【0154】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、メタノール、エタノール、n−ブタノールのような低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、水、及びそれらの混合溶媒であり、更に好適には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、メタノール、エタノール、n−ブタノールのような低級アルコール類、水、及びそれらの混合溶媒であり、より更に好適には、メタノール、エタノール、n−ブタノールのような低級アルコール類、水、及びそれらの混合溶媒である。
【0155】
本反応は、常圧下よりも加圧下で行なう方が好ましい。加圧する場合、好適には1〜100kg/cm2 、更に好適には3〜6kg/cm2 である。
【0156】
常温では反応が進行しないため、加熱することが望ましい。反応温度は、通常30℃乃至150℃で行われ、好適には、40℃乃至100℃、更に好適には45℃乃至70℃である。
【0157】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間乃至72時間である。
【0158】
1 及びR2 が共に水素原子の場合には、反応系中のpHを下げるために、さらに、添加物を加えることが望ましい。添加物を加えないと、生成物であるヒダントサイジンが反応系中で分解して収率が低下するので、その原因と考えられる反応系中の極端なアルカリ性を防止するためである。しかし、その一方、ラネー触媒は、ややアルカリ性でのみ触媒活性を有するので、触媒活性を失わせない範囲で、添加物を加えることが必要となる。この添加物によって、収率が劇的に向上し、かつ、スピロ部の異性化も極力おさえることができる。
【0159】
そのような添加物としては、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸のようなスルホン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸のようなカルボン酸、塩酸、硫酸、過塩素酸のような鉱酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛のようなルイス酸、燐酸等であり、好適には、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸のようなスルホン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸のようなカルボン酸等の有機酸であり、更に好適には、メタンスルホン酸又は酢酸である。
【0160】
この添加物は、化合物(IV)に対して0.01当量乃至0.2当量、好ましくは0.1当量乃至0.2当量使用する。
【0161】
本工程において、N−O結合の切断反応後に水酸基の保護基を脱保護する場合、ヒダントサイジン7位の窒素原子が保護されていないとスピロ炭素の立体異性体が混じる場合がある。従って、N−O結合の切断反応後水酸基の保護基を脱保護する前に窒素原子を保護するのが好ましい。この窒素原子の保護基は、水酸基の保護基を脱保護した後、脱保護される。
【0162】
そのような窒素原子の保護基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基のようなアシル基、メチルスルホニル基、パラトルエンスルホニル基のようなスルホニル基等であり、好適には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基のようなアシル基、メトキシカルボニル基のようなアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基のようなアリールオキシカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基のような(置換)アミノカルボニル基であり、更に好適には、アセチル基である。
【0163】
上記各工程及び反応は、それぞれ段階的に行うことができるのはもちろん、場合によっては、相前後する各工程及び反応と組み合わせて、一度に行うこともできる。この場合、単に精製過程のみをまとめて一度に行うこともできれば、各反応を1つの反応容器内で行うこともできる。
【0164】
上記、各反応終了後、反応の目的物は常法に従って、反応混合物から採取される。
【0165】
例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水洗後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得られる。
【0166】
得られた目的化合物は必要ならば、常法、例えば再結晶、再沈殿又はクロマトグラフィー等によって更に精製できる。
【実施例】
【0167】
以下に、実施例を示して、本発明を更に詳しく説明する。
【0168】
【化28】

【0169】
【化29】

【0170】
【化30】

【0171】
【化31】

【0172】
【化32】

【0173】
【化33】

【0174】
【化34】

【0175】
【化35】

【0176】
【化36】

【0177】
【化37】

【0178】
【化38】

【0179】
【化39】

【0180】
【化40】

【0181】
【化41】

【0182】
【化42】

【0183】
【化43】

【0184】
【化44】

【0185】
【化45】

【0186】
【化46】

【0187】
【化47】

【0188】
実施例1
フルクトース(573.96g,3.19mol) を、アセトン(5.74L) に懸濁させ、濃硫酸(28.7ml)を加え、室温で2.5 時間撹伴した。反応液に28%アンモニア水(60ml)を加え、生じた沈澱をセライトにてろ別した。ろ液を濃縮し、濃縮物を塩化メチレンに溶かし、水、及び半飽和食塩水で洗浄した。有機層を濃縮後、ヘキサン−塩化メチレン混合溶媒から結晶化させ、目的物1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−フルクトピラノースを371.70g(収率45%)得た。
【0189】
実施例2
実施例1で得た1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−フルクトピラノース(352.14g,1.35mol) ,テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(12.65g,45.5mol)および三塩化ルテニウム(10.00g)を塩化メチレン(1.5L)に溶かし、室温で次亜塩素酸ナトリウム水溶液[1.2M,1.3L] を徐々に加えた。反応温度は上昇し、還流温度となった。反応終了後、反応液をセライトにてろ過し、ろ液から塩化メチレンにて3回抽出した。抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。生じた結晶をエーテル−ヘキサン(1:1)で洗浄し、乾燥後、目的物1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−エリスロ−2,3−ヘキソジウロ−2,6−ピラノースを313.76g(収率90%)得た。
【0190】
実施例3
実施例2で得た1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−エリスロ−2,3−ヘキソジウロ−2,6−ピラノース(313.76g,1.21mol) をエタノール(2.75L) に溶かし、氷冷下、ナトリウムボロヒドリド(13.79g,0.364mol) を加え、1時間撹伴した。反応液を濃縮し、飽和塩化アンモン水溶液を加え、30分撹伴した。その水層より酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、減圧下、濃縮して、目的物1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコピラノースを312.91g(収率99%)得た。
【0191】
実施例4
実施例3で得た1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコピラノース(312.91g,1.20mol) をアセトン(3.0L)に溶かし、濃硫酸(16.6ml)を室温で加え、10時間撹伴した。反応液にアンモニア水(40ml)を加えた後、生じた硫酸アンモンをセライトでろ別した。ろ液を減圧下、濃縮し、得られた濃縮物を水−酢酸エチルに分配した。水層より、さらに2回酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し(酢酸エチル:ヘキサン1:3)、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノースを195.93g(収率63%)得た。
【0192】
実施例5
実施例4で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(17.4g,66.9mmol)の塩化メチレン溶液(200ml)に0℃でトリエチルアミン(20.5ml,147mmol)及び塩化メタンスルホニル(5.7ml,74mmol)を順次滴下し、20分間撹伴した。水を注いで反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース20.9g(収率92%)を得た。
【0193】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.76(d,1H,J=5.8Hz),4.62(d,1H,J=5.8Hz),4.31(d,1H,J=9.9Hz),4.39-4.23(m,3H),4.06(d,1H,J=9.9Hz),3.07(s,3H),1.45(s,6H),1.38(s,3H),1.33(s,3H).
MS(m/z) 338(M+),323,279,263,229,205,149,113.
【0194】
実施例6
実施例5と同様の操作で、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(133mg,511μmol)、トリエチルアミン(0.36ml,2.6mmol)及びトシルクロリド(244mg,1.28mmol)から、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−p−トルエンスルホニル−D−プシコフラノース193mg(収率91%)を得た。
【0195】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.80(d,2H,J=8.4Hz),7.36(d,2H,J=8.4Hz),4.68(d,1H,J=5.8Hz),4.56(d,1H,J=5.8Hz),4.26(d,1H,J=9.9Hz),4.21(q,1H,J=8.0Hz),4.10(dd,1H,J=10.0,8.0Hz),4.05(dd,1H,J=10.0,8.0Hz),4.01(d,1H,J=9.9Hz),2.45(s,3H),1.40(s,3H),1.36(s,3H),1.35(s,3H),1.29(s,3H).
MS(m/z) 414(M+),399,356,298,240,229,205,155.
【0196】
実施例7
実施例4で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(1.02g,3.92mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液20mlに、トリフェニルホスフィン(1.23g,4.70mmol)とN−クロロこはく酸イミド(NCS)(628mg,4.70mmol)を順次加え、室温で40分間撹伴した。水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製して、目的物6−クロロ−6−デオキシ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース930mg(収率85.1%)を得た。
【0197】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.80(dd,1H,J=5.8,1.0Hz),4.61(d,1H,J=5.8Hz),4.28(dd,1H,J=9.8Hz),4.23(ddd,1H,J=9.3,6.4,1.0Hz),4.04(d,1H,J=9.8Hz),3.59(dd,1H,J=9.8,6.4Hz),3.54(dd,1H,J=9.8,9.3Hz),1.44(s,6H),1.37(s,3H),1.32(s,3H).
MS(m/z) 279(M+1),263,221,203,185,162,147.
【0198】
実施例8
実施例7と同様に、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(1.02g,3.92mmol)とトリフェニルホスフィン(1.23g,4.70mmol)とN−ブロモこはく酸イミド(NBS)(837mg,4.70mmol)から目的物6−ブロモ−6−デオキシ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース903mg(収率71%)を得た。
【0199】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.82(d,1H,J=5.8Hz),4.62(d,1H,J=5.8Hz),4.30(dd,1H,J=9.6,6.4Hz),4.27(d,1H,J=10.2Hz),4.04(d,1H,J=10.2Hz),3.44(dd,1H,J=10.2,6.4Hz),3.38(dd,1H,J=10.2,9.6Hz),1.45(s,3H),1.44(s,3H),1.37(s,3H),1.32(s,3H).
MS(m/z) 323(M+),309,265,249,206,191,163.
【0200】
実施例9
実施例4で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(1.06g,4.07mmol)、クロロジフェニルホスフィン(1.17g,5.29mmol)及びイミダゾール(610mg,8.96mmol)のトルエン溶液10mlに沃素(1.34g,5.29mmol)を少しずつ加え、室温で10分間撹伴した。1N水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液10mlを加え反応を停止し、よくかきまぜた後に水層を分離した。有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回洗浄し、沃素の色が消えたのを確認して、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製して、目的物6−デオキシ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−ヨード−D−プシコフラノース1.14g(収率75%)を得た。
【0201】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.82(dd,1H,J=5.8,1.0Hz),4.64(d,1H,J=5.8Hz),4.37(ddd,1H,J=9.8,6.4,1.0Hz),4.28(d,1H,J=9.8Hz),4.04(d,1H,J=9.8Hz),3.30(dd,1H,J=10.0,6.4Hz),3.22(dd,1H,J=10.0,9.8Hz),1.48(s,3H),1.44(s,3H),1.38(s,3H),1.33(s,3H).
MS(m/z) 371(M+1),355,313,295,255,237,170.
【0202】
実施例10
メチル N−ヒドロキシカーバメート(2.89g,31.7mmol)を、ジメチルホルムアミド30mlに溶かし、室温でカリウムt−ブトキシド(3.56g,31.7mmol)及び、実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(3.50g,10.3mmol)のジメチルホルムアミド溶液(6.5ml)を加えた。80℃で7時間撹伴後、氷水中に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース1.4553g(収率42%)を得た。
【0203】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.86(1H,br.s),4.81(1H,dd,J=1.1,5.8Hz),4.61(1H,d,J=5.8Hz),4.31(1H,dt,J=1.1,5.8Hz),4.28(1H,d,J=9.8Hz),4.03(1H,d,J=9.8Hz),4.05-3.88(2H,m),3.75(3H,s),1.44(3H,s),1.43(3H,s),1.36(3H,s),1.31(3H,s).
MS(m/z) 333(M+),316,275,260,229,217,200,159,109,69,59,44.
【0204】
実施例11
メチル N−ヒドロキシカルバメート(245mg,2.69mmol)、及び水素化ナトリウム(108mg,2.69mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)溶液3mlに、0℃で、実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(607mg,1.79mmol)のDMF溶液3mlを加え、60℃で3時間半撹伴した。室温で空冷した後に、さらに、メチル N−ヒドロキシカルバメート(817mg,8.95mmol)のDMF溶液2mlと水素化ナトリウム(358mg,8.95mmol)を順次加え、60℃で3時間撹伴した。水を注いで反応を停止し、ジエチルエーテルで3回抽出して、有機層を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース301mg(収率50%)を得た。
【0205】
機器データは、実施例10のものと一致した。
【0206】
実施例12
実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(1.15g,3.40mmol)をt−ブタノール20mlに溶かし、室温で、エチル N−ヒドロキシカーバメート(0.71g,6.80mmol)、及び水酸化カリウム(85%)(0.67g,10.2mmol)を加え、3時間還流した。反応液を冷却後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースを865.5mg(収率73%)得た。
【0207】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.69(1H,br.s),4.83(1H,d,J=5.9Hz),4.62(1H,d,J=5.9Hz),4.33(1H,t,J=6.4Hz),4.30(1H,d,J=10.0Hz),4.21(2H,ABq,J=7.5Hz),4.04(1H,d,J=10.0Hz),4.02(1H,dd,J=5.8,11.4Hz),3.95(1H,dd,J=7.4,11.4Hz),1.46(3H,s),1.44(3H,s),1.37(3H,s),1.32(3H,s),1.29(3H,t,J=7.3Hz).
MS(m/z) 347(M+),332,289,126,109,69,59,44.
【0208】
実施例13
実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(1.27g,3.75mmol)を、t−ブタノール(25.0ml)に溶かし、エチル N−ヒドロキシカルバメート(0.79g,7.50mmol)、及びカリウムt−ブトキシド(1.26g,11.25mmol) を加え、5時間加熱還流した。反応液を冷却後、水を加え、酢酸エチルにて3回抽出した。合わせた有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースを1.08g(収率83%)得た。
【0209】
機器データは、実施例12のものと一致した。
【0210】
実施例14
実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(9.70g,28.7mmol)を、イソプロパノール(200ml)に溶かし、エチル N−ヒドロキシカルバメート(6.00g,57.3mmol)、及びカリウムt−ブトキシド(9.65g,86.0mmol)を加え、4時間加熱還流した。反応液を冷却後、水を加え、酢酸エチルにて3回抽出した。合わせた有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(6.62g, 収率67%)及び1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソプロピルオキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(2.67g,26%)得た。
【0211】
1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースの機器データは、実施例12のものと一致した。
【0212】
1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソプロピルオキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.62(1H,br.s),4.99(1H,qq,J=6.3,6.3Hz),4.83(1H,dd,J=1.1,5.8Hz),4.62(1H,d,J=5.8Hz),4.33(1H,dt,J=1.1,6.0Hz),4.29(1H,d,J=9.7Hz),4.04(1H,d,J=9.7Hz),4.05-3.89(2H,m),1.46(3H,s),1.44(3H,s),1.37(3H,s),1.31(3H,s),1.27(3H,d,J=6.3Hz).
MS(m/z) 361(M+),346,332,303,268,260,244,229,186,159,142,126,69,59,44.
【0213】
実施例15
実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(1.25g,3.81mmol)及びエチル N−ヒドロキシカーバメート(0.80g,7.6mmol) を、t−ブタノール16.0ml及びジメチルスルホキシド8.0mlの混合溶媒に溶かし、カリウムt−ブトキシド(1.28g,11.4mmol)を加え、2時間還流した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースを841.8mg(収率64%)得た。
【0214】
機器データは、実施例12のものと一致した。
【0215】
実施例16
実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(296.2mg,0.8753mmol)をイソプロパノール6mlに溶かし、室温にて、イソブチル N−ヒドロキシカーバメート350mg、水酸化カリウム(KOH)173mgを加え、同温で30分間撹伴後、70〜80℃に加熱し、2時間撹伴した。反応溶液に水を加え、酢酸エチル抽出後食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1→4:1)にて精製し目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソブチルオキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースを167.6mg(収率51%)得、原料を92.7mg(31%)回収した。
【0216】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.74(1H,s),4.83(1H,dd,J=1.1,5.8Hz),4.62(1H,d,J=5.8Hz),4.33(1H,td,J=1.1,6.8Hz),4.30(1H,d,J=9.8Hz),4.04(1H,d,J=9.8Hz),4.05-3.90(4H,m),1.95(1H,qq,J=6.7,6.7Hz),1.46(3H,s),1.44(3H,s),1.37(3H,s),1.32(3H,s),0.93(6H,d,J=6.7Hz).
MS(m/z) 375(M+),360,317,186,126,109,69,57,44.
【0217】
実施例17
実施例6で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−p−トルエンスルホニル−D−プシコフラノース(516mg,1.25mmol)のt−ブタノール溶液6mlに、エチル N−ヒドロキシカルバメート(262mg,2.49mmol)のtBuOH 溶液4mlとカリウムt−ブトキシド(419mg,3.74mmol)を順次加え、6時間還流した。水を注いで反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出して、有機層を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:2)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース326mg(収率75%)を得た。
【0218】
機器データは、実施例12のものと一致した。
【0219】
実施例18
実施例8で得た6−ブロモ−6−デオキシ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(528mg,1.63mmol)のエタノール溶液10mlに、エチル N−ヒドロキシカルバメート(343mg,3.26mmol)及び水酸化カリウム(183mg,3.26mmol)を加え、9時間還流した。水を注いで反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出して、有機層を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース61.2mg(収率11%)を得た。
【0220】
機器データは、実施例12のものと一致した。
【0221】
実施例19
実施例18と同様の操作で、実施例9で得た6−デオキシ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−ヨード−D−プシコフラノース(557mg,1.50mmol)、エチル N−ヒドロキシカルバメート(474mg,4.51mmol)及び水酸化カリウム(253mg,4.51mmol)から、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース54.1mg(収率10%)を得た。
【0222】
機器データは、実施例12のものと一致した。
【0223】
実施例20
アセトキシム(163mg,2.22mmol)と水素化ナトリウム(NaH)(60%)(89.0mg,2.22mmol) のDMF溶液5mlに、0℃で実施例5で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニル−D−プシコフラノース(503mg,1.49mmol)を加え、60℃で3時間撹伴した。反応溶液に0℃で水を注いで反応を停止し、ジエチルエーテルで3回抽出して、有機層を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソプロピリデンアミノ−D−プシコフラノース353mg(収率75%)及び副生成物として7,7−ジメチル−3,4−イソプロピリデンジオキシ−2−メチリデン−1,6,8−トリオキサスピロ[4.4]ノナン30.3mg(収率8.4%)を得た。
【0224】
1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソプロピリデンアミノ−D−プシコフラノース
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ:4.80(d,1H,J=5.9Hz),4.63(d,1H,J=5.9Hz),4.35(dd,1H,J=8.6,6.1Hz),4.26(d,1H,J=9.6Hz),4.12(dd,1H,J=11.2,6.1Hz),4.05(dd,1H,J=11.2,8.6Hz),4.05(d,1H,J=9.6Hz),1.86(s,6H),1.44(s,6H),1.36(s,3H),1.32(s,3H).
MS(m/z) 315(M+),300,257,242,229,200,171,141.
7,7−ジメチル−3,4−イソプロピリデンジオキシ−2−メチリデン−1,6,8−トリオキサスピロ[4.4]ノナン
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ:5.12(d,1H,J=5.6Hz),4.58(d,1H,J=1.9Hz),4.56(d,1H,J=5.6Hz),4.36(d,1H,J=1.9Hz),4.36(d,1H,J=9.9Hz),4.16(d,1H,J=9.9Hz),1.51(s,3H),1.44(s,3H),1.41(s,3H),1.36(s,3H).
MS(m/z) 242(M+),227,203,184,169,141,113.
【0225】
実施例21
実施例4で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(24.0g,92.3mmol)、トリフェニルホスフィン(29.1g,111mmol) 、N−ヒドロキシフタルイミド(18.1g,111mmol) のTHF溶液500mlに、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)(17.4ml,111mmol)を滴下し、30分間室温で撹伴した。溶媒を減圧留去した後に、ヘキサン−ジエチルエーテル混合溶媒(1:1)を注いで結晶を析出させ、その結晶をセライトを用いて濾別し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−フタルイミド−D−プシコフラノース35.4g(収率95%)を得た。
【0226】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.88-7.74(m,4H),5.04(d,1H,J=5.8Hz),4.65(d,1H,J=5.8Hz),4.51-4.14(m,3H),4.29(d,1H,J=9.8Hz),4.05(d,1H,J=9.8Hz),1.46(s,3H),1.40(s,3H),1.36(s,6H).
MS(m/z) 405(M+),390,347,332,289,272,231,202,185,163.
【0227】
実施例22
実施例21で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−フタルイミド−D−プシコフラノース(35.4g,87.4mmol)のエタノール溶液350mlに、ヒドラジン−水和物(4.5ml,92mmol)を加え、90分間加熱還流した。反応溶液が室温まで冷えた後に、反応中に生じた白色結晶をセライトを用いて濾別し、濾液を濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルと水を注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース22.1g(収率92%)を得た。
【0228】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:5.50(br.s,2H),4.73(d,1H,J=5.8Hz),4.53(d,1H,J=5.8Hz),4.31(dd,1H,J=7.6,5.4Hz),4.25(d,1H,J=9.6Hz),4.02(d,1H,J=9.6Hz),3.76(dd,1H,J=10.2,5.4Hz),3.67(dd,1H,J=10.2,7.6Hz),1.43(s,6H),1.35(s,3H),1.30(s,3H).
MS(m/z) 318(M+),303,279,260,243,229,217,159.
【0229】
実施例23
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.34g,4.87mmol)のトルエン溶液13mlに、オルト酢酸トリエチル2mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−(1−エトキシエチリデン)−D−プシコフラノース1.55g(収率92%)を得た。
【0230】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.80(d,1H,J=5.8Hz),4.63(d,1H,J=5.8Hz),4.39(dd,1H,J=8.4,7.2Hz),4.28(d,1H,J=9.7Hz),4.05(d,1H,J=9.7Hz),4.06-3.88(m,3H),4.00(q,2H,J=7.1Hz),1.94(s,3H),1.45(s,6H),1.38(s,3H),1.33(s,3H),1.26(t,3H,J=7.1Hz).
MS(m/z) 345(M+),330,287,272,243,230,216,171.
【0231】
実施例24
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(5.00g,18.2mmol)をジクロロエタン100mlに溶かし、0℃にてピリジン(1.33ml,18.16mmol)、クロル炭酸メチル(1.47ml,19.1mmol)を加え、同温で1時間撹伴した。この反応溶液に水、食塩水を加え、ジクロロメタン抽出し、乾燥、濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:2→1:1)にて精製し、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースを5.75g(収率94%)得た。
【0232】
機器データは、実施例10のものと一致した。
【0233】
実施例25
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(0.71g,2.6mmol) を、塩化メチレン(14ml)に溶かし、0℃でピリジン(0.25ml,3.1mmol)、及びクロロ炭酸フェニル(0.36ml,2.8mmol)を加え、1時間撹伴した。反応液に水を加え、塩化メチレンにて3回抽出した。合わせた有機層を、希塩酸、及び半飽和食塩水で洗浄後、乾燥(Na2SO4)、濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−フェノキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノースを979.4mg(収率96%)得た。
【0234】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:8.27(1H,br.s),7.41-7.33(2H,m),7.26-7.13(3H,m),4.87(1H,dd,J=1.0,5.8Hz),4.65(1H,d,J=5.8Hz),4.38(1H,br.t,J=5.6Hz),4.32(1H,d,J=9.8Hz),4.18-4.00(3H,m),1.49(3H,s),1.46(3H,s),1.39(3H,s),1.32(3H,s).
MS(m/z) 395(M+),360,337,262,244,109,94,59,44.
【0235】
実施例26
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(4.62g,16.8mmol)を、塩化メチレン(60ml)に溶かし、0℃でピリジン(1.5ml,18mmol)、及びクロロ炭酸ベンジル(2.6ml,18mmol)を加えた。室温にし、1時間撹伴した。水を加え、塩化メチレンで3回抽出した。有機層を合わせ、希塩酸、飽和食塩水で洗浄後、乾燥(Na2SO4)、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物6−O−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノースを6.18g(収率90%)得た。
【0236】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.81(1H,br.s),7.36(5H,br.s),5.19(2H,s),4.80(1H,d,J=5.8Hz),4.60(1H,d,J=5.8Hz),4.35-4.26(2H,m),4.08-3.91(3H,m),1.44(6H,s),1.36(3H,s),1.30(3H,s).
MS(m/z) 409(M+),394,350,307,229,149,127,113,91,69,59,44.
【0237】
実施例27
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.69g,6.14mmol)を、ジクロロエタン溶液17mlに、0℃でピリジン(0.52ml,6.4mmol)及び無水酢酸(0.61ml,6.4mmol)を順次加え、同温で30分間撹伴した。水を加えて反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出して、有機層を1回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:7)で精製し、目的物6−O−アセトアミド−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース1.71g(収率88%)を得た。
【0238】
1H-NMR (200MHz,DHSO-d6)δ:11.08(br.s,1H),4.86(d,1H,J=5.8Hz),4.64(d,1H,J=5.8Hz),4.19(dd,1H,J=8.2,5.7Hz),4.15(d,1H,J=9.6Hz),3.94(d,1H,J=9.6Hz),3.83(dd,1H,J=9.8,5.7Hz),3.77(dd,1H,J=9.8,8.2Hz),1.74(s,3H),1.38(s,3H),1.33(s,3H),1.29(s,3H).
MS(m/z) 317(M+),302,259,229,202,184,159,127.
【0239】
実施例28
実施例27と同様の操作で、実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.12g,4.07mmol)、ピリジン(0.35ml,4.3mmol)及びベンゾイルクロライド(0.50ml,4.3mmol)から、目的物6−O−ベンズアミド−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース1.50g(収率97%)を得た。
【0240】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:9.19(br.s,1H),7.77-7.73(m,2H),7.56-7.39(m,3H),4.93(d,1H,J=5.8Hz),4.70(d,1H,J=5.8Hz),4.41(dd,1H,J=7.2,5.1Hz),4.34(d,1H,J=9.7Hz),4.25(dd,1H,J=11.4,5.1Hz),4.12(dd,1H,J=11.4,7.2Hz),4.04(d,1H,J=9.7Hz),1.47(s,3H),1.41(s,3H),1.39(s,3H),1.34(s,3H).
MS(m/z) 379(M+),364,321,306,263,229,205,163.
【0241】
実施例29
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(3.00g,10.9mmol)のTHF溶液30mlに、トリメチルシリルイソシアネート(4.4ml,33mmol)とトリエチルアミン1滴を加え、室温で30分間撹伴した。水を注いで反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出して、有機層を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−ウレイド−D−プシコフラノース3.02g(収率87%)を得た。
【0242】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.34(br.s,1H),5.67(br.s,2H),4.68(dd,1H,J=5.8,1.1Hz),4.62(d,1H,J=5.8Hz),4.41(ddd,1H,J=7.8,4.5,1.1Hz),4.32(d,1H,J=9.8Hz),4.05(d,1H,J=9.8Hz),4.00(dd,1H,J=11.4,7.8Hz),3.89(dd,1H,J=11.4,4.5Hz),1.47(s,3H),1.46(s,3H),1.38(s,3H),1.32(s,3H).
MS(m/z) 318(M+),303,279,260,217,202,185,159.
【0243】
実施例30
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.07g,3.89mmol)のジクロロエタン溶液10mlに、0℃でピリジン(0.38ml,4.7mmol)及びジメチルカルバモイルクロリド(0.43ml,4.7mmol)を加え、50℃で12時間加熱撹伴した。水を注いで反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出して、有機層を水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−(3,3−ジメチルウレイド)−D−プシコフラノース1.18g(収率87%)を得た。
【0244】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.31(br.s,1H),4.85(d,1H,J=5.8Hz),4.63(d,1H,J=5.8Hz),4.37(dd,1H,J=7.7,5.8Hz),4.29(d,1H,J=9.7Hz),4.03(d,1H,J=9.7Hz),3.99(dd,1H,J=11.2,5.8Hz),3.93(dd,1H,J=11.2,7.7Hz),2.89(s,6H),1.44(s,6H),1.36(s,3H),1.32(s,3H).
MS(m/z) 346(M+),331,273,229,213,172,147.
【0245】
実施例31
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.14g,4.14mmol)の塩化メチレンン溶液11mlに、0℃でトリエチルアミン(0.61ml,4.3mmol)と塩化メタンスルホニル(0.34ml,4.3mmol)を加え、室温で終夜撹伴した。水を注いで反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出して、有機層を1回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製して、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース1.29g(収率88%)及び1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−ジメタンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース94.1mg(収率5.3%)を得た。
【0246】
1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.19(br.s,1H),4.75(d,1H,J=5.8Hz),4.62(d,1H,J=5.8Hz),4.35(dd,1H,J=7.0,5.2Hz),4.30(d,1H,J=9.7Hz),4.14(dd,1H,J=12.0,5.2Hz),4.10(dd,1H,J=12.0,7.0Hz),4.06(d,1H,J=9.7Hz),3.08(s,3H),1.46(s,6H),1.38(s,3H),1.33(s,3H).
MS(m/z) 353(M+),338,295,229,208,166.
1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−ジメタンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.87(d,1H,J=5.8Hz),4.62(d,1H,J=5.8Hz),4.40-4.16(m,3H),4.30(d,1H,J=9.4Hz),4.04(d,1H,J=9.4Hz),3.35(s,6H),1.45(s,6H),1.38(s,3H),1.33(s,3H).
MS(m/z) 432(M+1),416,373,338,315,298,257,229,185.
【0247】
実施例32
実施例31と同様の操作で、実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.03g,3.74mmol)及びトリエチルアミン(0.57ml,4.1mmol)、塩化p−トルエンスルホニル(785mg,4.11mol)から、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−p−トルエンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース775mg(収率48%)及び6−O−[ビス(p−トルエンスルホニル)アミノ]−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース741mg(収率34%)を得た。
【0248】
1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−p−トルエンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.81(d,2H,J=8.3Hz),7.35(d,2H,J=8.3Hz),7.24(br.s,1H),4.72(dd,1H,J=5.8,1.1Hz),4.56(d,1H,J=5.8Hz),4.52(ddd,1H,J=7.6,5.8,1.1Hz),4.27(d,1H,J=9.8Hz),4.12(dd,1H,J=11.2,5.8Hz),4.05(dd,1H,J=11.2,7.6Hz),4.02(d,1H,J=9.8Hz),2.45(s,3H),1.43(s,3H),1.42(s,3H),1.36(s,3H),1.30(s,3H).
MS(m/z) 429(M+),414,371,356,313,296,242,216,198,171.
6−O−[ビス(p−トルエンスルホニル)アミノ]−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.66(d,4H,J=8.4Hz),7.19(d,4H,J=8.4Hz),4.84(d,1H,J=5.8Hz),4.62(d,1H,J=5.8Hz),4.29(d,1H,J=9.8Hz),4.32-4.21(m,3H),4.05(d,1H,J=9.8Hz),2.42(s,6H),1.46(s,3H),1.42(s,3H),1.38(s,3H),1.34(s,3H).
MS(m/z) 583(M+),568,525,411,370,299,270,238,185.
【0249】
実施例33
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(1.22g,4.43mmol)のジクロロエタン溶液12mlに、0℃でピリジン(0.43ml,5.3mmol)及びジメチルスルファモイルクロリド(0.57ml,5.3mmol)を加え、70℃に加熱し9時間撹伴した。水を注いで反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出して、有機層を1回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製して、目的物1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−ジメチルアミノスルホニルアミノ−D−プシコフラノース1.18g(収率70%)を得た。
【0250】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.45(br.s,1H),4.75(d,1H,J=5.8Hz),4.61(d,1H,J=5.8Hz),4.30(dd,1H,J=7.2,5.9Hz),4.30(d,1H,J=9.9Hz),4.08(dd,1H,J=11.2,5.9Hz),4.04(d,1H,J=9.9Hz),4.02(dd,1H,J=11.2,7.2Hz),2.99(s,6H),1.45(s,6H),1.38(s,3H),1.32(s,3H).
MS(m/z) 382(M+),367,324,309,266,229,208,168.
【0251】
実施例34
実施例22で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−アミノ−D−プシコフラノース(121.4mg,0.441mmol) を、アセトニトリル(4.0ml)に溶かし、メタンスルホン酸(14 μl,0.22mmol) を加え、室温で14時間撹伴した。反応液に希アンモニア水を加え、その水層より、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)にて精製し、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを6.5mg(収率7%)得た。
【0252】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.94(d,1H,J=5.8Hz),4.92(d,1H,J=5.8Hz),4.35(s,1H),3.95(d,1H,J=11.0Hz),3.82(d,1H,J=11.8Hz),3.76(d,1H,J=11.8Hz),3.70(d,1H,J=11.0Hz),3.02(br.s,2H),1.50(s,3H),1.37(s,3H).
MS(m/z) 217(M+),202,159,149,126.
【0253】
実施例35
実施例34で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(115mg,530μmol)のアセトニトリル溶液1mlに、0℃でクロロ蟻酸メチル1mlを加え、室温で24時間撹伴した。水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン65.7mg(収率45%)を得た。
【0254】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.97(1H,d,J=5.6Hz),4.91(1H,d,J=5.6Hz),4.39(1H,m),4.26(1H,dd,J=6.5,12.6Hz),4.19(1H,dd,J=1.4,11.5Hz),4.03(1H,dd,J=9.7,12.6Hz),3.84(3H,s),3.72(1H,dd,J=1.2,11.5Hz),3.32(1H,dd,J=6.5,9.7Hz),1.51(3H,s),1.40(3H,s).
1H-NMR (200MHz,CDCl3+D2O)δ:4.96(1H,d,J=5.6Hz),4.91(1H,d,J=5.6Hz),4.39(1H,m),4.25(1H,d,J=12.6Hz),4.19(1H,dd,J=1.4,11.5Hz),4.02(1H,d,J=12.6Hz),3.84(3H,s),3.72(1H,dd,J=1.2,11.5Hz),1.51(3H,s),1.39(3H,s).
MS(m/z) 275(M+),260,217,159,126,69,59,44.
【0255】
実施例36
実施例25で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−フェノキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(481.0mg,1.216mmol) をアセトニトリル5mlに溶かし、室温にて濃硫酸(7μl,10mmol) を加え、同温にて、2.5 時間撹伴した。この反応溶液に水を加え酢酸エチルで抽出後、食塩水で洗浄、乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、目的物[4R,5R,6R,7R]−1−アザ−5,6−イソプロピリデンジオキシ−2,9,11−トリオキサトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−10−オンを243.4mg(収率82.3%)得た。
【0256】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:5.07(d,1H,J=5.3Hz),4.95(d,1H,J=5.3Hz),4.46(d,1H,J=10.3Hz),4.33(t,1H,J=1.8Hz),4.31(d,1H,J=10.3Hz),4.30(dd,1H,J=12.2,1.8Hz),3.81(dd,1H,J=12.2,1.8Hz),1.48(s,3H),1.38(s,3H).
MS(m/z) 244(M+1),228,205,185,175,149,126.
【0257】
実施例37
実施例30で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−(3,3−ジメチルウレイド)−D−プシコフラノース(188mg,542μmol)のジクロロエタン溶液5mlに、メタンスルホン酸(18μl,0.27mmol) を加え、70℃で7時間半撹伴した。水を注いで反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出して、有機層を1回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して、目的物[4R,5R,6R,7R]−1−アザ−5,6−イソプロピリデンジオキシ−2,9,11−トリオキサトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−10−オン43.4mg(収率33%)を得た。
【0258】
機器データは、実施例36のものと一致した。
【0259】
実施例38
実施例36で得た[4R,5R,6R,7R]−1−アザ−5,6−イソプロピリデンジオキシ−2,9,11−トリオキサトリシクロ[5.3.0.14,7]ウンデカン−10−オン(1.14g,4.70mol)のメタノール(MeOH)溶液(10ml)に、1N NaOH 水溶液10mlを加え、50℃で1時間半撹伴した。1N塩酸(HCl)水溶液を加え反応溶液を中和し、酢酸エチルで5回抽出して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製して、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン873mg(収率86%)を得た。
【0260】
機器データは、実施例34のものと一致した。
【0261】
実施例39
実施例10で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(4.33g,13.0mmol)をジクロロエタンに溶かし、室温にてメタンスルホン酸(0.42ml)を加え、30分間撹伴した。この反応溶液に水を加え、塩化メチレンで抽出し、食塩水にて洗浄後、乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→2:3)にて精製し、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタンを3.215g(収率90%)得た。
【0262】
機器データは、実施例35のものと一致した。
【0263】
実施例40
実施例12で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−エトキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(5.26g,15.1mmol)をアセトニトリル(50ml)に溶かし、室温で、濃硫酸0.04mlを加え、4時間撹伴した。反応液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを3.00g(収率68%)得た。
【0264】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.97(1H,d,J=5.6Hz),4.91(1H,d,J=5.6Hz),4.39(1H,m),4.29(2H,q,J=7.1Hz),4.25(1H,dd,J=6.4,12.6Hz),4.20(1H,dd,J=1.4,11.6Hz),4.03(1H,dd,J=9.7,12.6Hz),3.72(1H,dd,J=1.2,11.6Hz),3.35(1H,dd,J=6.4,9.7Hz),1.52(3H,s),1.40(3H,s),1.35(3H,t,J=7.1Hz).
1H-NMR (200MHz,CDCl3+D2O)δ:4.96(1H,d,J=5.6Hz),4.91(1H,d,J=5.6Hz),4.39(1H,m),4.29(2H,q,J=7.1Hz),4.24(1H,d,J=12.6Hz),4.20(1H,dd,J=1.4,11.5Hz),4.02(1H,d,J=12.6Hz),3.72(1H,dd,J=1.2,11.5Hz),1.51(3H,s),1.40(3H,s),1.35(3H,t,J=7.1Hz).
MS(m/z) 289(M+),274,231,173,126,69,59,44.
【0265】
実施例41
実施例14で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソプロピルオキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(1.58g,4.37mmol)をアセトニトリル(16.0mL)に溶かし、室温にて、濃硫酸(0.02ml,0.9mmol)を加え、2時間撹伴した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥(Na2SO4)、濃縮し、その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製後(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−イソプロピルオキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタンを0.93g(収率70%)得た。
【0266】
1H-NMR (200MHz,CDCl3+D2O)δ:5.06(1H,qq,J=6.3,6.3Hz),4.95(1H,d,J=5.6Hz),4.90(1H,d,J=5.6Hz),4.38(1H,brd.s),4.23(1H,d,J=12.5Hz),4.17(1H,dd,J=1.3,12.6Hz),4.01(1H,d,J=12.6Hz),3.70(1H,dd,J=1.3,12.6Hz),1.51(3H,s),1.40(3H,s),1.34(3H,d,J=6.3Hz),1.32(3H,d,J=6.3Hz).
MS(m/z) 303(M+),288,244,217,159,149,126,69,59,44.
【0267】
実施例42
実施例16で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−イソブチルオキシカルボニルアミノ−D−プシコフラノース(147.9mg,0.394mmol)を溶かしたジクロロエタン(5ml)溶液に、室温にてメタンスルホン酸(13 μl,0.20mmol)を加え、同温で1時間撹伴した。この反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、食塩水洗浄後、乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→3:1)にて精製し、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−2−N−イソブチルオキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを77.0mg(収率62%)得た。
【0268】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.97(1H,d,J=5.6Hz),4.91(1H,d,J=5.6Hz),4.39(1H,br.s),4.29-4.16(2H,m),4.08-3.93(3H,m),3.72(1H,br.d,J=11.6Hz),3.34(1H,dd,J=6.5,9.8Hz),2.02(1H,qq,J=6.6Hz),1.51(3H,s),1.40(3H,s),0.97(6H,d,J=6.6Hz).
1H-NMR (200MHz,CDCl3+D2O)δ:4.97(1H,d,J=5.6Hz),4.91(1H,d,J=5.6Hz),4.39(1H,br.s),4.23(1H,d,J=12.5Hz),4.19(1H,br.d,J=11.7Hz),4.06-3.93(2H,m),4.01(1H,d,J=12.5Hz),3.72(1H,br.d,J=11.7Hz),2.02(1H,qq,J=6.6Hz),1.51(3H,s),1.40(3H,s),0.96(6H,d,J=6.6Hz).
MS(m/z) 317(M+),302,259,167,149,126,69,57,42.
【0269】
実施例43
実施例26で得た6−O−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(6.18g,15.1mmol)をアセトニトリル(100ml)に溶かし、室温で濃硫酸(0.20mL)を加え、5時間撹伴した。反応液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを4.59g(収率80%)得た。
【0270】
1H-NMR (200MHz,CDCl3+D2O)δ:7.38(5H,s),5.32-5.17(2H,m),4.97(1H,d,J=5.5Hz),4.90(1H,d,J=5.5Hz),4.38(1H,m),4.26(1H,d,J=12.5Hz),4.18(1H,d,J=11.6Hz),4.02(1H,d,J=12.5Hz),3.71(1H,d,J=11.6Hz),1.51(3H,s),1.39(3H,s).
MS(m/z) 349(M+),334,290,260,216,113,92,69,59,44.
【0271】
実施例44
実施例39と同様の操作で、実施例27で得た6−O−アセトアミド−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(192mg,604μmol)から、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−アセチル−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン8.6mg(収率5.5 %)を得た。
【0272】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.93(d,1H,J=5.6Hz),4.91(d,1H,J=5.6Hz),4.36(t,1H,J=0.7Hz),4.35(d,1H,J=8.1Hz),4.21(d,1H,J=8.1Hz),3.96(dd,1H,J=11.0,0.7Hz),3.69(dd,1H,J=11.0,0.7Hz),2.11(s,3H),1.88(1H,br.s),1.49(s,3H),1.37(s,3H).
MS(m/z) 259(M+),244,219,201,175,149,126.
【0273】
実施例45
実施例39と同様の操作で、実施例28で得た6−O−ベンズアミド−1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−D−プシコフラノース(241mg,635μmol)から、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンゾイル−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン42.7mg(収率21%)を得た。
【0274】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:8.08-8.03(m,2H),7.62-7.41(m,3H),5.01(d,1H,J=5.6Hz),4.94(d,1H,J=5.6Hz),4.62(d,1H,J=12.2Hz),4.47(d,1H,J=12.2Hz),4.39(t,1H,J=1.4Hz),3.98(dd,1H,J=11.6,1.4Hz),3.96(br.s,1H),3.72(dd,1H,J=11.6,1.4Hz),1.52(s,3H),1.39(s,3H).
MS(m/z) 321(M+),306,279,263,216,163,149.
【0275】
実施例46
実施例31で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−メタンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース(209mg,592μmol)のジクロロエタン溶液(5ml)に、メタンスルホン酸(19μl,0.30mmol) を滴下し、室温で90分間撹伴した。水を注いで反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:3)で精製して、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタン135mg(収率77%)を得た。
【0276】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:4.97(d,1H,J=5.5Hz),4.89(d,1H,J=5.5Hz),4.80(dd,1H,J=11.4,0.9Hz),4.46(t,1H,J=0.9Hz),4.30(d,1H,J=13.2Hz),4.03(d,1H,J=13.2Hz),3.71(dd,1H,J=11.4,0.9Hz),3.16(s,3H),2.61(br.s,1H),1.50(s,3H),1.39(s,3H).
MS(m/z) 295(M+),280,266,237,216,179,149,126.
【0277】
実施例47
実施例39と同様の操作で、実施例32で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−p−トルエンスルホニルアミノ−D−プシコフラノース(121mg,281μmol)から、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−p−トルエンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタン73.5mg(収率71%)を得た。
【0278】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.84(d,2H,J=8.4Hz),7.35(d,2H,J=8.4Hz),4.93(d,1H,J=5.6Hz),4.79(d,1H,J=5.6Hz),4.62(dd,1H,J=11.5,1.1Hz),4.47(d,1H,J=12.9Hz),4.39(t,1H,J=1.1Hz),4.12(d,1H,J=12.9Hz),4.08(br.s,1H),3.52(dd,1H,J=11.5,1.1Hz),2.46(s,3H),1.51(s,3H),1.36(s,3H).
MS(m/z) 371(M+),356,313,295,279,252,216,155,126.
【0279】
実施例48
実施例39と同様の操作で、実施例33で得た1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−6−O−ジメチルアミノスルホニルアミノ−D−プシコフラノース(407mg,1.06mmol)から、目的物[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ジメチルアミノスルホニル−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン296mg(収率86%)を得た。
【0280】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:5.00(d,1H,J=5.6Hz),4.86(d,1H,J=5.6Hz),4.79(dd,1H,,J=11.4,0.9Hz),4.42(t,1H,J=0.9Hz),4.16(d,1H,J=12.9Hz),3.99(d,1H,J=12.9Hz),3.59(dd,1H,J=11.4,0.9Hz),2.96(s,6H),2.74(br.s,1H),1.51(s,3H),1.39(s,3H).
MS(m/z) 324(M+),309,266,216,166,126.
【0281】
実施例49
オキザリルクロリド(4.0ml,45.5mmol)を加えた塩化メチレン(100ml)を−50℃以下に冷却し、ジメチルスルホキシド(6.46ml,91mmol) の塩化メチレン(120ml)溶液を加え、同温にて20分間撹伴し、実施例39で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(5.01g,18.2mmol)を溶かした塩化メチレン溶液125mlを加えた。同温で30分間撹伴し、トリエチルアミン(20.3ml,145mmol)を加え、徐々に温度を上げ0℃で、30分間撹伴した。この反応溶液に塩化アンモニウム水(NH4Cl aq)を加え塩化メチレンにて抽出し、1N-HClと食塩水で洗浄後、乾燥、濃縮し、粗生成物を5.86g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:2)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−2−N−メトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを3.928 g(収率77%)得た。
【0282】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:9.38(1H,s),5.25(1H,d,J=5.5Hz),4.97(1H,d,J=5.5Hz),4.55(1H,m),4.22(1H,dd,J=1.5,11.9Hz),3.85(3H,s),3.72(1H,dd,J=1.2,11.9Hz),1.44(3H,s),1.34(3H,s).
MS(m/z) 273(M+),258,157,142,85,73,59,44.
【0283】
実施例50
オキザリルクロリド(4.0ml,46.1mmol)を、塩化メチレン(110ml)に溶かし、−60℃で、ジメチルスルホキシド(5.4ml,77mmol)を塩化メチレン(5ml)に溶かした溶液を滴下した。15分間撹伴後、実施例40で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(11.12g,38.4mmol)を塩化メチレン(15ml)に溶かした溶液を−60℃で滴下し、30分間撹伴した。トリエチルアミン(16.1ml,115mmol)を、−60℃で加え、15分間撹伴後、0℃に温度を上げ1時間撹伴した。反応液に水を加え、塩化メチレンにて3回抽出した。合わせた有機層を希塩酸、半飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−エトキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを10.82 g(収率98%)得た。
【0284】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:9.39(1H,s),5.62(1H,d,J=5.5Hz),4.97(1H,d,J=5.5Hz),4.55(1H,br.s),4.30(2H,q,J=7.1Hz),4.23(1H,dd,J=1.5,11.9Hz),3.72(1H,dd,J=1.1,11.9Hz),1.45(3H,s),1.35(3H,s),1.32(3H,t,J=7.1Hz).
MS(m/z) 287(M+),272,171,98,85,71,59,44.
【0285】
実施例51
オキザリルクロリド(1.1ml,13mmol)を、塩化メチレン(50ml)に溶かし、−60℃で、ジメチルスルホキシド(1.7ml,23mmol)の塩化メチレン溶液(3.7ml) を加えた。15分間撹伴後、実施例43で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(4.12g,11.7mmol)の塩化メチレン溶液(14ml)を、−60℃で加え、30分間撹伴した。トリエチルアミン(5.4ml,39mmol)を、−60℃で加え、15分間撹伴後、0℃に温度を上げ1時間撹伴した。反応液に水を加え、塩化メチレンにて3回抽出した。合わせた有機層を希塩酸、半飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを3.77g(収率92%)得た。
【0286】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:9.38(1H,s),7.36(5H,s),5.25(2H,ABq,J=12.7Hz),5.25(1H,d,J=5.4Hz),4.96(1H,d,J=5.4Hz),4.54(1H,br.s),4.17(1H,dd,J=1.3,11.6Hz),3.69(1H,br.d,J=11.6Hz),1.44(3H,s),1.34(3H,s).
【0287】
実施例52
オキザリルクロリド(0.80ml,9.1mmol)を、塩化メチレン(25ml)に溶かし、−60℃で、ジメチルスルホキシド(1.10ml,15.2mmol) の塩化メチレン溶液(2.0ml) を加えた。15分間撹伴後、実施例46で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタン(2.24g,7.58mmol)の塩化メチレン溶液(5ml)を加え、15分間撹伴した。さらに、−60℃で、トリエチルアミン(3.20ml,22.7mmol) を加え、15分間撹伴後、0℃に温度を上げ、1時間撹伴した。反応液に水を加え、塩化メチレンにて3回抽出した。合わせた有機層を希塩酸、半飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタンを2.41g(収率90%)得た。
【0288】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:9.39(1H,s),5.18(1H,d,J=5.4Hz),5.00(1H,dd,J=1.9,11.8Hz),4.94(1H,d,J=5.4Hz),4.65(1H,dd,J=1.0,1.9Hz),3.70(1H,dd,J=1.0,11.8Hz),3.09(3H,s),1.44(3H,s),1.34(3H,s).
MS(m/z) 294(M++1),278,214,162,149,79,59,44.
【0289】
実施例53
実施例40で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(1.0018g,3.463mmol)と2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO)(10mg)を塩化メチレン10mlに溶かし、臭化カリウム37.9mg、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド50.6mgを溶かした飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、0℃にて次亜塩素酸ナトリウム水溶液[1.2M]3.5mlと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1.7mlと飽和食塩水3.5mlの混合溶液を9分間かけて加えた。0℃で40分間撹伴した後、室温にて40分間撹伴し、更に次亜塩素酸ナトリウム水溶液1.7ml を加え、同温で45分間撹伴した。この反応溶液を1N-NClでpH2とし酢酸エチル抽出後乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−エトキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン637.6mg(収率64%)を得た。
【0290】
機器データは、実施例50のものと一致した。
【0291】
実施例54
実施例39で得た[1R,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ヒドロキシメチル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(452.6mg,1.644mmol) と TEMPO(10mg)を塩化メチレン(4ml)に溶かし、臭化カリウム(18mg)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(24.2mg)を溶かした飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3.3ml)を加え、0℃にて次亜塩素酸ナトリウム水溶液([1.2M]4.5ml)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液2.25mlと飽和食塩水4.5ml の混合溶液を15分間かけて加えた。0℃で40分間撹伴した後、室温にて20分間撹伴し、亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、1N-NClでpH2とし酢酸エチル抽出した。得られた酢酸エチル層を乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−2−N−メトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン272.6mg(収率61%)を得た。
【0292】
機器データは、実施例49のものと一致した。
【0293】
実施例55
実施例49で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−2−N−メトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(1.0025g,3.669mmol)を水(5ml)−1,4−ジオキサン(20ml)の混合溶媒に溶かし、55℃にてリン酸二水素ナトリウム・二水和物(NaH2PO4・2H2O)(1.171g)、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)(1.659g)の水溶液15mlを加え、同温で5時間撹伴した。更にNaH2PO4・2H2O(859mg)、NaClO2(829mg)の水溶液5mlを加え、1.5時間加熱撹伴した。この反応溶液に亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)水溶液を加え1N-NClでpH3とし酢酸エチル抽出後、乾燥、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタンの粗生成物を1.01g(収率95%)得た。
【0294】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:5.25(1H,d,J=5.5Hz),4.96(1H,d,J=5.5Hz),4.59(1H,m),4.20(1H,dd,J=1.5,11.9Hz),3.85(3H,s),3.69(1H,dd,J=0.9,11.9Hz),1.49(3H,s),1.38(3H,s).
MS(m/z) 289(M+),274,214,142,73,69,59,44.
【0295】
実施例56
実施例50で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−エトキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(3.41g,11.9mmol)を、1,4−ジオキサン(20ml)に溶かし、室温で、亜塩素酸ナトリウム(4.83ml,53.4mmol)及びリン酸二水素ナトリウム・二水和物(4.45g,29.7mmol)の水溶液(15ml)を加えた。55℃で1時間撹伴後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、発生した塩素を分解した。反応液を濃縮後、[1N]水素化ナトリウム水溶液(15ml)を加え、その水層をエーテル(50ml×2)で洗浄した。水層を[4N]塩酸でpH3とし、さらに食塩10gを加え撹伴した。水層より、酢酸エチルで6回抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを2.75g(収率76%)得た。
【0296】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.36(1H,br.),5.23(1H,d,J=4.8Hz),4.96(1H,dd,J=0.9,5.4Hz),4.58(1H,br.s),4.29(2H,q,J=7.6Hz),4.20(1H,d,J=11.9Hz),3.68(1H,d,J=11.9Hz),1.47(3H,s),1.37(3H,s),1.25(3H,t,J=7.6Hz).
MS(m/z) 303(M+),268,173,142,126,83,69,59,44.
【0297】
実施例57
実施例51で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(3.77g,10.8mmol)を、1,4−ジオキサン(40ml)に溶かしリン酸二水素ナトリウム・二水和物(3.24g,21.6mmol)、及び亜塩素酸ナトリウム(4.40g,48.6mmol)の水溶液(38ml)を加えた。60℃で2時間撹伴後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、発生した塩素を分解した。反応液を濃縮後、[1N]水酸化ナトリウム水溶液(15ml)を加え、その水層をエーテル(50ml)で洗浄した。水層を希塩酸でpH3とし、水層から酢酸エチルで6回抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを3.65g(収率92%)得た。
【0298】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.38-7.31(5H,m),6.40(1H,br.s),5.24(2H,ABq,J=12.0Hz),5.24(1H,d,J=5.5Hz),4.95(1H,d,J=5.5Hz),4.57(1H,m),4.14(1H,dd,J=1.1,12.0Hz),3.66(1H,br.d,J=12.0Hz),1.47(3H,s),1.36(3H,s).
MS(m/z) 365(M+),350,321,234,176,91,69,59.
【0299】
実施例58
実施例52で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタン(2.14g,7.30mmol)を、1,4−ジオキサン(10ml)に溶かし、リン酸二水素ナトリウム・二水和物(2.27g,15.2mmol)、及び亜塩素酸ナトリウム(3.30g,36.5mmol)の水溶液(10ml) を加えた。55℃で2時間撹伴後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、発生した塩素を分解した。反応液を濃縮後、[1N]水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を加え、その水層をエーテル(50ml)で洗浄した。水層を希塩酸でpH3とし、水層より酢酸エチルで6回抽出し、合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタンを2.02g(収率89%)得た。
【0300】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:5.15(1H,d,J=5.4Hz),4.96(1H,dd,J=1.6,13.5Hz),4.93(1H,d,J=5.4Hz),5.05-4.75(1H,br.),4.70(1H,br.s),3.68(1H,d,J=13.5Hz),3.11(3H,s),1.48(3H,s),1.37(3H,s).
MS(m/z) 309(M+),294,279,250,230,145,85,79,59,44.
【0301】
実施例59
実施例55で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(1.70g,5.62mmol)を、塩化メチレン(35.0ml)に溶かし、0℃で、ピリジン(0.94ml,13mmol)、及び塩化チオニル(0.74ml,10mmol)を加え、室温で1時間撹伴した。反応液を濃縮し、その濃縮物を塩化メチレン(30ml)に溶かし、0℃でアンモニアガスを10分間導入した。室温にして1時間撹伴後、反応液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタンを1.49g(収率92%)得た。
【0302】
1H-NMR (200MHz,DMSOd6) δ:7.31(1H,br.s),7.04(1H,br.s),5.00(1H,d,J=5.5Hz),4.95(1H,d,J=5.5Hz),4.65(1H,br.s),3.95(1H,dd,J=1.4,11.8Hz),3.82(1H,br.d,J=11.8Hz),3.72(3H,s),1.38(3H,s),1.30(3H,s).
MS(m/z) 288(M+),273,200,142,127,85,73,69,59,44.
【0303】
実施例60
実施例56で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(9.35g,30.8mmol)を、酢酸エチル(100ml)に溶かし、0℃で、ピリジン(4.5ml,62mmol)、及び塩化チオニル(2.7ml,37mmol)を加えた。室温で1時間撹伴した後、反応液を減圧下、濃縮した。ここに得た濃縮物を、塩化メチレン(100ml)に懸濁させ、0℃でアンモニアガスを導入した。さらに反応液を室温で1時間撹伴後、反応液に水を加え、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機層を半飽和食塩水で洗浄後、乾燥(Na2SO4)、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを7.79g(収率84%)得た。
【0304】
1H-NMR (200MHz,DMSOd6) δ:7.29(1H,br.s),7.04(1H,br.s),4.99(1H,d,J=5.5Hz),4.94(1H,d,J=5.5Hz),4.56(1H,br.s),4.17(2H,q,J=7.0Hz),3.95(1H,br.d,J=11.5Hz),3.82(1H,br.d,J=11.5Hz),1.38(3H,s),1.30(3H,s),1.23(3H,t,J=7.0Hz).
MS(m/z) 303(M++1),287,230,172,99,85,70,57,44.
【0305】
実施例61
実施例57で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(3.32g,9.09mmol)を、酢酸エチル(50ml)に溶かし、0℃で、ピリジン(0.90ml,11mmol) 、及び塩化チオニル(1.3ml,11mmol)を加え10分間攪拌した。室温にし、1.5時間撹伴後、反応液に酢酸エチル(100ml)を加え、0℃にし、アンモニアガスを5分間導入した。室温にし、5時間撹伴後、反応液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、希塩酸及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)、濃縮後、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンゾイルオキシカルボニル−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを2.52g(収率76%)得た。
【0306】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:7.39-7.32(5H,m),6.30(1H,br.s),5.52(1H,br.s),5.26(1H,d,J=5.4Hz),5.25(2H,s),4.91(1H,d,J=5.4Hz),4.53(1H,m),4.13(1H,dd,J=1.4,12.0Hz),3.67(1H,dd,J=1.1,12.0Hz),1.47(3H,s),1.37(3H,s).
MS(m/z) 365(M++1),349,232,203,190,177,132,106,91,69,59.
【0307】
実施例62
実施例58で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルボキシ−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタン(1.87g,6.04mmol)を、酢酸エチル(30ml) に溶かし、0℃で、塩化チオニル(0.53ml,7.2mmol)及び、ピリジン(0.98ml,12.8mmol) を加え、室温にし、1時間撹伴した。続いて、アンモニアガスを反応液に10分間導入し、さらに2時間撹伴した。反応液に水を加え、水層より酢酸エチルで6回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥(Na2SO4)、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メタンスルホニルビシクロ[3.2.1]オクタンを0.76g(収率41%)得た。
【0308】
1H-NMR (200MHz,DMSOd6) δ:7.45(1H,br.s),7.27(1H,br.s),4.95(2H,s),4.64(1H,br.s),4.58(1H,br.d,J=11.7Hz),3.86(1H,br.d,J=11.7Hz),3.16(3H,s),1.38(3H,s),1.30(3H,s).
MS(m/z) 308(M+),293,276,250,129,123,65,69,59,44.
【0309】
実施例63
実施例61で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(296.3mg)をメタノール6mlに溶かし、室温にてPd/C(10%)30mgを加え、常圧下、40℃で水素添加反応を行った。この反応溶液をセライト濾過後、濃縮し、目的物[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタンを180.0mg(収率96%)得た。
【0310】
1H-NMR (200MHz,DMSOd6) δ:7.35(1H,br.s),7.18(1H,br.s),6.90(1H,s),4.83(2H,br.s),4.33(1H,br.s),3.80(1H,d,J=10.8Hz),3.63(1H,d,J=10.8Hz),1.37(3H,s),1.28(3H,s).
MS(m/z) 230(M+),215,172,125,85,69,59,44.
【0311】
実施例64
実施例63で得た[1S,5R,6R,7S]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(30.0mg,0.130mmol)をアセトニトリル(1.0ml)に溶かし、0℃で、クロロ炭酸メチル(0.12ml)及びピリジン(0.12ml)を加えた。50℃にして、3時間攪拌後、メタノール(1.0ml)に溶かした水酸化カリウム(85%)(0.10g)を加え、同温℃で3時間攪拌した。反応液を水に希塩酸で中和した。水層より酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、乾燥(Na2SO4)、濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=6:1)にて精製し、目的物[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−8,10−ジオンを15.9mg(収率48%)得た。
【0312】
1H-NMR (200MHz,CD3OD)δ:5.12(1H,d,J=5.4Hz),5.03(1H,d,J=5.4Hz),4.44(1H,dd,J=1.4,1.6Hz),4.19(1H,dd,J=1.6,11.4Hz),4.02(1H,dd,J=1.4,11.4Hz),1.15(3H,s),1.39(3H,s).
MS(m/z) 256(M+),241,166,155,125,110,85,69,59,54,44.
【0313】
実施例65
実施例49で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−2−N−メトキシカルボニル−3,8−ジオキサ−1−ホルミル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(108.8mg,0.398mmol)を、1,4−ジオキサン(2.0ml)に溶かし、室温で、アンモニア水(28%,0.5ml)を加え、1時間撹伴した。反応液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、目的物[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−8−ヒドロキシ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−10−オンを59.7mg(58%)得た。
【0314】
1H-NMR (200MHz,CD3OD)δ:5.10(1H,d,J=5.4Hz),4.99(1H,d,J=5.4Hz),4.91(1H,S),4.25(1H,br.t),4.06(1H,dd,J=1.6,11.2Hz),3.79(1H,dd,J=1.6,11.2Hz),1.47(3H,s),1.39(3H,s).
MS(m/z) 258(M+),243,225,200,183,129,69,59,44.
【0315】
実施例66
実施例65で得た[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−8−ヒドロキシ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−10−オン(0.57g,2.2mmol)を、アセトン(10.0ml)に溶かし、室温で、Jones 試薬(1.5ml)を加え、40℃で1時間撹伴した。反応液に、酢酸エチルを加え、生じた不溶物を濾別した。ろ液より酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、乾燥(Na2SO4)、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=6:1)にて精製し、目的物[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−8,10−ジオンを297.8mg(収率53%)得た。
【0316】
機器データは、実施例64のものと一致した。
【0317】
実施例67
実施例59で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(200.2mg,0.6945mmol)を、MeOH4mlに溶かし、室温にてナトリウムメトキシドのメタノール溶液[2M](0.52ml,1.04mmol) を加え、室温で10分、50℃で1時間撹伴した。この反応溶液に飽和食塩水を加え1N−塩酸で中和し、酢酸エチル抽出後、乾燥、濃縮し、目的物[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−8,10−ジオンを160.0mg(収率90%)得た。
【0318】
機器データは、実施例64のものと一致した。
【0319】
実施例68
実施例60で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(6.12g,20.2mmol)を、メタノール(65ml)に溶かし、水酸化カリウム(85%)(1.47g,22.3mmol)を加え、50℃で3時間撹伴した。反応液を濃縮後、水を加え、希塩酸にて中和した。その水層より、酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、乾燥(Na2SO4)、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=6:1)で精製し、目的物[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7 ]ウンデカン−8,10−ジオンを4.52g(収率87%)得た。
【0320】
機器データは、実施例64のものと一致した。
【0321】
実施例69
実施例64で得た[4R,5R,6R,7S]−1,9−ジアザ−2,11−ジオキサ−5,6−イソプロピリデンジオキシトリシクロ[5.3.0.14,7]ウンデカン−8,10−ジオン(1.4701g,5.738mmol) をエタノール300mlに溶かし、ラネーニッケル(5.2g)を加え、水素ガス(4.5kg/cm2)と、55℃で、5.5時間反応させ、セライトろ過後、濃縮し、目的物[2R,3R,4R,5S]−6,8−ジアザ−2−ヒドロキシメチル−3,4−イソプロピリデンジオキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオンを1.4043g(収率95%)得た。
【0322】
1H-NMR (270MHz,DMSO-d6)δ:10.81(1H,s),8.34(1H,s),5.06(1H,t,J=5.5Hz),4.78-4.72(2H,m),4.32-4.28(1H,m),3.51-3.46(2H,m),1.44(3H,s),1.25(3H,s).
MS(m/z) 258(M+),229,149,85,68,59,44.
【0323】
実施例70
実施例69で得た[2R,3R,4R,5S]−6,8−ジアザ−2−ヒドロキシメチル−3,4−イソプロピリデンジオキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン(480.9mg,1.862mmol) をアセトニトリル(16ml)に溶かし、室温にて、無水酢酸(0.60ml,4.7mmol)、ピリジン(0.41ml,5.6mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.10g)を加え、同温で1時間撹伴した。更に無水酢酸(0.36ml,2.8mmol)、ピリジン(0.27ml,3.7mmol)を加え、40分間撹伴した。これに1N-NClを加え酢酸エチル抽出後、食塩水で洗浄、乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し目的物[2R,3R,4R,5S]−2−アセトキシメチル−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−イソプロピリデンジオキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオンを593.0mg(収率93%)得た。
【0324】
1H-NMR (200MHz,CDCl3)δ:5.30(1H,d,J=7.0Hz),4.93(1H,dd,J=4.3,7.0Hz),4.68-4.61(1H,m),4.49(1H,dd,J=4.3,11.8Hz),4.19(1H,dd,J=7.0,11.8Hz),2.54(3H,s),2.10(3H,s),1.58(3H,s),1.32(3H,s).
MS(m/z) 343(M++1),327,243,183,126,86,69,44.
【0325】
実施例71
実施例70で得た[2R,3R,4R,5S]−2−アセトキシメチル−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−イソプロピリデンジオキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン(254.0mg,0.742mmol)をメタノール−水(5ml-2.5ml)に溶かし、室温にてDowex 50W(H+)(762mg)を加え、50℃に加熱し、40分、70℃で2時間撹伴した。この反応溶液をセライトにてろ過後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:5→酢酸エチル→酢酸エチル:メタノール=10:1)にて精製し、[2R,3S,4R,5S]−2−アセトキシメチル−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−ジヒドロキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン88.7mg(収率40%)、[2R,3S,4R,5S]−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−ジヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン72.1mg(収率37%)を得た。
【0326】
[2R,3S,4R,5S]−2−アセトキシメチル−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−ジヒドロキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン
1H-NMR (270MHz,CD3OD)δ:5.06(1H,d,J=6.5Hz),4.42-4.36(2H,m),4.19-4.10(2H,m),2.49(3H,s),2.05(3H,s).
MS(m/z) 302(M+),260,182,157,145,128,86,57,44.
[2R,3S,4R,5S]−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−ジヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン
1H-NMR (200MHz,CD3OD)δ:5.03(1H,d,J=6.8Hz),4.39-4.32(1H,m),4.19-4.14(1H,m),3.76(1H,dd,J=4.3,12.1Hz),3.67(1H,dd,J=5.2,12.1Hz),2.54(3H,s).
MS(m/z) 260(M+),242,218,200,129,116,86,73,57,44.
【0327】
実施例72
実施例71で得た[2R,3S,4R,5S]−2−アセトキシメチル−6−N−アセチル−6,8−ジアザ−3,4−ジヒドロキシ−1−オキサスピロ[4.4]ノナン−7,9−ジオン(190.0mg,0.69mmol)を水(1.9ml)に溶かし、ヒドラジン一水和物(61μl)を加圧室温にて1時間撹伴した。この反応溶液を濃縮し、ダイヤイオンCHP-20P(水)で精製し、ヒダントサイジンを95mg(収率69.3%)を得た。
【0328】
実施例73
実施例59で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−6,7−イソプロピリデンジオキシ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(234.8mg,1.029mmol) をメタノール(4ml)−精製水(2ml)に溶かし、Dowex 50W(H+) 1.17gを加え、80℃にて1.5 時間、更にDowex 50W(H+) 0.7gを加え80℃にて7.5時間撹伴した。この反応溶液をセライトにてろ過後濃縮し、目的物[1S,5R,6S,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−6,7−ジヒドロキシ−3,8−ジオキサ−2−N−メトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタンを248mg(収率97%))に得た。
【0329】
1H-NMR (200MHz,DMSO-d6)δ:7.22(1H,br.s),7.21(1H,br.s),5.35(1H,br.d,J=4.8Hz),5.20(1H,br.d,J=7.0Hz),4.50(1H,br.t),4.38-4.31(2H,m),3.86(1H,br.d,J=11.4Hz),3.77(1H,br.d,J=11.4Hz),3.70(3H,s).
MS(m/z) 249(M++1),218,162,115,91,59,44.
【0330】
実施例74
実施例60で得た[1S,5R,6R,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニル−6,7−イソプロピリデンジオキシビシクロ[3.2.1]オクタン(14.75g,48.79mol) をメタノール(290ml)−精製水(145ml)に溶かし、Dowex 50W(H+)(73.75g)を加え80℃に加熱し、20時間撹伴し、更にDowex 50W(H+) 32.8g を加えて100℃で8時間撹伴した。この反応溶液をセライトにてろ過後、濃縮し、目的物[1S,5R,6S,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−6,7−ジヒドロキシ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタンを12.55g(収率98%)に得た。
【0331】
1H-NMR (200MHz,DMSO-d6)δ:7.21(1H,br.s),6.84(1H,br.s),4.49(1H,d,J=6.1Hz),4.38(1H,br,s),4.38-4.09(2H,br),4.33(1H,d,J=6.1Hz),4.15(2H,q,J=7.0Hz),3.85(1H,br.d,J=11.6Hz),3.77(1H,br.d,J=11.6Hz),1.22(3H,t,J=7.0Hz).
MS(m/z) 263(M++1),217,161,115,104,69,57,44.
【0332】
実施例75
実施例74で得た[1S,5R,6S,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−6,7−ジヒドロキシ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(499.4mg,2.01mmol)をエタノール(10ml)の懸濁溶液に60℃にてナトリウムメトキシドのメタノール溶液(2M)(1.3ml,2.6mmol)を加え、同温にて3時間撹伴した。この反応溶液をセライトにてろ過し、得られた結晶1.6345gのうち、643.4mg をダイヤイオンCHP20P(水)で精製し、目的物[1S,2R,3S,4R]−7,9−ジアザ−2,3−ジヒドロキシ−6,11−ジオキサトリシクロ[5.3.0.11,4 ]ウンデカン−8,10−ジオンを111.3mg 得た。
【0333】
1H-NMR (200MHz,D2O)δ:4.67(1H,d,J=6.2Hz),4.55(1H,d,J=6.2Hz),4.45(1H,br.s),4.08(1H,br.d,J=11.4Hz),3.76(1H,br.d,J=11.4Hz).
【0334】
実施例76
実施例74で得た[1S,5R,6S,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−6,7−ジヒドロキシ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(3.0175g,11.51mmol) をメタノール(60ml)に溶かし50℃にてナトリウムメトキシドのメタノール溶液(2M)7.5ml を加え、同温にて1時間、55℃にて3時間撹伴した後、室温にてメタンスルホン酸(0.75ml)を加えた。得られた反応溶液に精製水15ml、エタノール250mlを加え、ラネーニッケル10.4gを加え、水素加圧下(6kg/cm2)55℃にて7時間撹伴した。これをセライトにてろ過後、濃縮し、ダイヤイオンCHP-20P(水)で精製し、ヒダントサイジン及びエピヒダントサイジン(7.5:1)を混合物として、1.8847g(収率75%)得た。エピヒダントサイジンは、ヒダントサイジンのスピロ炭素の光学異性体である。
【0335】
実施例77
実施例74で得た[1S,5R,6S,7R]−2−アザ−1−カルバモイル−6,7−ジヒドロキシ−3,8−ジオキサ−2−N−エトキシカルボニルビシクロ[3.2.1]オクタン(996.0mg,3.80mmol)をメタノール20mlに溶かし、55℃にて水酸化ナトリウム(96%)206mgを加え、同温にて2.5 時間撹伴した後、室温にて酢酸0.22mlを加えた。これに精製水3ml、エタノール80ml及びラネーニッケル2.6gを加え、水素加圧下(5.3 kg/cm2)55℃にて8時間撹伴した。得られた反応溶液をセライトろ過後、濃縮し、ダイヤイオンCHP-20P(水)で精製し、ヒダントサイジン及びエピヒダントサイジン(20:1)の混合物として、481.9mg(収率58%)得た。
【0336】
一般に、立体を制御しつつ、糖のアノマー位に窒素原子を収率良く導入することは、アノマー位の立体異性体が混じったり危険な試薬を使う必要があったりするため容易ではない。
【0337】
一方、本発明の中間体(I)を経由する方法では、中間体(I)がO−N結合を有するため窒素原子の反応性を適度に高めることができ、しかも、分子内で反応を行うため、アノマー位に容易に且つ立体特異的に反応することができ、立体異性体が混じることがない。
【0338】
又、二環性化合物(II)及び三環性化合物(III)及び(IV)は、ヒダントサイジン2位のヒドロキシメチル基の水酸基と、6位の窒素原子を同時に保護したのと等価であり、好都合である。更には、化合物(II)において、R6が−COR10(R10は前記と同意義を示す。)を示す場合は、アノマー位への反応の保護基として好都合であるばかりか、将来ヒダントサイジンの7位のカルボニル基となりうる構造を既に有していることとなり、収率向上、短工程化が可能となる。
【0339】
化合物(II)は、立体的に歪みのかからないビシクロ系を有しているため、R7 の置換基の種類にかかわらず安定に存在すると考えられ、その後の反応の収率が高くなる。
【0340】
更に、トリシクロ体の化合物(IV)から化合物(V)を得る反応において、化合物(IV)のO−N結合の窒素原子に電子吸引性カルボニル基が結合しており、反応性が落ちているにもかかわらず、ラネー触媒存在下、水素加圧条件で加温することにより、O−N結合を切断することができる。しかも、スピロ部分の立体配置は望ましい配置に保持することが可能である。
【0341】
しかも、全工程を通じて、使用する原料及び試薬が安価で且つ取扱が容易なため、又、各中間体の分子量が比較的小さいため、工業的なスケールでも容積効率が優れている。
【0342】
以下に、前述した先行技術であるPhilippe Chemla, Tetrahedron Lett., 34,7391 (1993)(以下、文献Aという)記載の下記発明
【0343】
【化48】

【0344】
と、本発明を比較し、本発明が文献Aに記載の発明からは容易に想到できないことを説明する。
【0345】
まず、文献Aに記載の発明中の反応を、個別的に検討した場合、その多くの反応は実験室レベルにおいてのみ用いることのできる反応であり、工業的には不利なため、この方法で実生産することは不可能である。
【0346】
具体的には、の工程(いわゆる光延反応)では、ジエチルアゾジカルボン酸(DEAD)やトリフェニルホスフィン(Ph3 P)のような比較的高価で、かつ、反応後の精製法に問題となる試薬を使用している。すなわち、DEADやPh3 Pに由来する反応後の副生物のため、目的物を分離・精製する際にカラムクロマトグラフィー等の使用が必要となり、工業的には容易な方法ではない。
【0347】
の工程では、高価なトリメチルシリルトリフレート(TMSOTf)を使用している。
【0348】
の工程では、毒性の高いNa2 CrO7 を使用している。
【0349】
の工程では、高価なセリックアンモニウムナイトレート((NH42Ce(NO36 、CAN)を使用している。
【0350】
の工程では、高価で、かつ、毒性の高いMo(CO)6 を使用している。
【0351】
文献Aに記載の方法は、ヒタントサイジンの工業的生産に際して、上記のような複数の問題点を持っており、しかも、文献Aに記載の中間体を経由しつつ、各工程の試薬・反応条件等を改良することによって工業的生産に適応させることは、著しく困難である。
【0352】
次に、文献Aに記載の発明中の反応を全体として検討した場合、化合物6のような架橋環誘導体を経由することによって、ヒダントサイジンの立体特異的な製造法となっており、この点本願発明と差異はない。
【0353】
また、文献Aに記載の発明では、将来ヒダントサイジン環を構成する窒素原子を初期段階(化合物におけるPMBで保護された窒素原子)で導入しており、一見(少なくとも実験室レベルでは)効率的に見える。しかしながら、文献Aの方法を基にして工業的生産可能な方法を見出すうえでは、窒素原子を初期段階で導入する手法は、かえって障害となる。すなわち、架橋環誘導体の原料である化合物のようなヒドロキシウレア部分構造を有する化合物の製造に、多段階を要し、しかも光延反応のような工業的に不向きな方法を使わざるを得ないにもかかわらず、窒素原子の初期段階での導入に固執してしまうため、本願発明の方法には思い至らない。本願発明においては、窒素原子を初期段階では導入せず、架橋環誘導体の原料である化合物(I)が短段階・簡便かつ工業的製造に適した安価な方法[6位に脱離基をもつプシコース誘導体(VI)に、アルカリ条件下、窒素原子が保護されたヒドロキシルアミン(例えば、HO−NHCOOCH2 CH3 )を反応させる]で製造できる。
【0354】
さらに、文献Aの化合物と本願化合物(I)の相違による効果として、架橋化合物を製造する反応条件の改善を挙げることができる。文献Aでは、閉環反応であるの工程において、高価なトリメチルシリルトリフレート(TMSOTf)を使用しているが、本願発明の閉環反応(工程C)では、硫酸やアルキルスルホン酸のような非常に安価な酸を用いることができる。
【0355】
ヒダントイン環形成反応においても、本願発明は文献A記載の発明より優れている。文献Aにおいては、ヒダントイン環形成反応(の工程)で、毒性の高いNa2 CrO7 を使用しているが、本願発明のヒダントイン環形成反応(工程F及び工程G)では、工程Fでは安価な塩基を、工程Gではアンモニア水を、それぞれ用いており、工業的な製造方法として優れている。
【0356】
加えて、ヒダントサイジンの重要合成中間体のO−N結合を切断する方法において、文献Aでは高価で、かつ、毒性の高いMo(CO)6 を使用しているが、本願発明では、ラネー触媒による水素添加反応によってO−N結合の切断を行なうことができる。文献Aには本反応が進行しないと記載されているにもかかわらず、本発明においては、前述したように、ラネー触媒存在下、水素加圧条件で加温することによりO−N結合を切断できることを見出しており、この点からも文献Aから本願発明が容易に想到できないものである。
【0357】
このように、文献Aにおける化合物の代わりに、本願発明においては化合物(I)を中間体として用いることにより、文献Aの方法の前記問題点を一挙に全て解決することができる。
【0358】
以上のように、本発明は、立体異性体の生成を伴うことなく、特異的にヒダントサイジンを高収率で、しかも、簡便で安価・安全に、工業的規模で製造することができる方法を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IV)
【化1】


[式中、R1 及びR2 は水素原子を示すか又はR1 とR2 が一緒になって置換されていてもよいアルキリデン基を示す。]で表わされる化合物に、酸存在下、ラネー触媒を用いて水素添加することを特徴とする、一般式(V)
【化2】


[式中、R1 及びR2 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法。
【請求項2】
一般式(IV)
【化3】


[式中、R1 及びR2 は水素原子を示す。]で表わされる化合物に、酸存在下、ラネー触媒を用いて水素添加することを特徴とする、一般式(V)
【化4】


[式中、R1 及びR2 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法。
【請求項3】
一般式(IV)
【化5】


[式中、R1 及びR2 は水素原子を示す。]で表わされる化合物に、酢酸存在下、ラネー触媒を用いて水素添加することを特徴とする、一般式(V)
【化6】


[式中、R1 及びR2 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法。
【請求項4】
一般式(IV)
【化7】


[式中、R1 及びR2 は一緒になってイソプロピリデン基を示す。]で表わされる化合物に、酸存在下、ラネー触媒を用いて水素添加することを特徴とする、一般式(V)
【化8】


[式中、R1 及びR2 は、前記と同意義を示す。]で表わされる化合物の製造法。

【公開番号】特開2006−137752(P2006−137752A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321930(P2005−321930)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願平6−205364の分割
【原出願日】平成6年8月30日(1994.8.30)
【出願人】(303020956)三共アグロ株式会社 (70)
【Fターム(参考)】