説明

ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器

【課題】従来構造に簡単な構成を追加することによって取付用溝部に軸抱込部を極めて強固に固定でき、この固定部分に緩みを生じる懸念のないヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】取付用溝部6に軸抱込部7の取付部7Aを嵌入取付した第二連結部4若しくは第一連結部3を、この取付用溝部6の側方部を外方から打撃することで取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを取付部7Aに圧接せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコンや折り畳み式携帯電話などの電子機器の軸部に用いるヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ノート型パソコンは、操作部を有する本体部(第一部材)とディスプレイ部を有する開閉部(第二部材)とを、枢着軸と軸受部とを軸着して回動自在に枢着するが、使用に際してディスプレイ部が見易いように、起立した開閉部の角度を手で押し引きして微調整した際、この角度で停止保持(フリーストップ)されることが好ましい。
【0003】
このフリーストップを実現するヒンジ装置としては、従来、例えば本体部などの第一部材に連結する第一連結部に枢着軸を設け、開閉部などの第二部材に連結する第二連結部に圧入用溝部を設けると共に、この圧入用溝部に、前記枢着軸に抱き込み被嵌して回動抵抗を生じさせる断面C状の軸抱込部の基部に設けた圧入部を圧入固定することで第二連結部に軸抱込部を設け、前記枢着軸に軸抱込部を抱き込み被嵌することで、第一連結部に対して第二連結部を回動自在に設けた軸着構造としているものがある。
【0004】
従って、軸抱込部による大きな回動抵抗によって所謂フリーストップが実現でき、前述のように起立角度(開放角度)の微調整が簡単に行えることになる構造である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のようなフリーストップ構造のヒンジ装置においては、軸抱込部は、その基部の圧入部を第一連結部の圧入用溝部にただ圧入することによって固定された構成であるため、製作が容易である反面、幾度となく繰り返される開閉作動によりこの圧入固定部分に緩みが生じてくる懸念があり、仮にこの圧入固定部分に緩みを生じてしまうと、圧入用溝部が徐々に拡大してやがては第一連結部が破損してしまうことが考えられる。
【0006】
本発明は、このような従来のヒンジ装置に生じる懸念を払拭しようとするもので、従来構造に簡単な構成を追加することによって取付用溝部に軸抱込部を極めて強固に固定でき、この固定部分に緩みを生じる懸念のない画期的なヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
第一部材1と第二部材2を枢着するヒンジ装置Hであって、前記第一部材1に連結する第一連結部3若しくは前記第二部材2に連結する第二連結部4に枢着軸5を設け、前記第二部材2に連結する第二連結部4若しくは前記第一部材1に連結する第一連結部3に取付用溝部6を設けると共に、この取付用溝部6に、前記枢着軸5に抱き込み被嵌して回動抵抗を生じさせる軸抱込部7の基部に突設した取付部7Aを嵌入取付することで第二連結部4若しくは第一連結部3に前記軸抱込部7を設けた構成のヒンジ装置Hにおいて、前記取付用溝部6に前記軸抱込部7の取付部7Aを嵌入取付した前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3を、この取付用溝部6の側方部を外方から打撃することで取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記取付部7Aに圧接せしめた構成としたことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0009】
また、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3の、前記軸抱込部7の前記取付部7Aを嵌入取付した前記取付用溝部6の側方部の表面を点打撃して圧潰することで、取付用溝部6内の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記軸抱込部7の前記取付部7Aに圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0010】
また、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3の、前記軸抱込部7の前記取付部7Aを嵌入取付した前記取付用溝部6の側方部の表面をポンチ14打ちにより点打撃して圧潰し凹み部9を形成することで、取付用溝部6内の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記軸抱込部7の前記取付部7Aに圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0011】
また、前記取付用溝部6に前記軸抱込部7の前記取付部7Aを圧入固定する構成とし、この取付部7Aを圧入固定した取付用溝部6の側方部を外方から打撃することで取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記取付部7Aに圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0012】
また、前記第二部材2に連結する前記第二連結部4若しくは前記第一部材1に連結する前記第一連結部3に前記取付用溝部6を複数並設状態に設けると共に、この複数の取付用溝部6に夫々前記軸抱込部7の基部に突設した前記取付部7Aを嵌入取付することで第二連結部4若しくは第一連結部3に前記軸抱込部7を複数並設状態に設け、この各取付用溝部6に前記軸抱込部7の取付部7Aを嵌入取付した前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3を、この各取付用溝部6の側方部を夫々外側から打撃することで各取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この各溝内側面8の膨出部8Aを前記各取付部7Aに圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0013】
また、板材10を断面C状にカール折曲して前記軸抱込部7を構成すると共に、この断面C状の軸抱込部7を構成する板材10の端部を前記取付部7Aとし、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3に設けた前記取付用溝部6の周囲の形状を、前記軸抱込部7の外周面に沿設する断面円弧状に形成してこの円弧部11が軸抱込部7を覆う構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0014】
また、前記第一部材1を操作部12を有する本体部1とし、前記第二部材2をこの本体部1に重合するディスプレイ部13を有する開閉部2とし、この本体部1と開閉部2とを重合した閉塞状態から伏面が露出する開放方向に起伏回動自在に枢着するヒンジ装置Hに前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置Hを用いた構成としたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、第二連結部若しくは第一連結部に設けた取付用溝部に軸抱込部の基部に突設した取付部を嵌入取付するだけでなく、この軸抱込部の取付部を嵌入取付した前記第二連結部若しくは前記第一連結部を、この取付用溝部の側方部を外方から打撃することで取付用溝部の溝内側面を溝内方へ膨出させて、この溝内側面の膨出部を前記取付部に圧接させて軸抱込部を第二連結部若しくは第一連結部に固定するので、確実に且つ極めて強固に軸抱込部の取付部を取付用溝部内に挟着でき、第一部材に対する第二部材の回動操作により軸抱込部に対して繰り返し枢着軸が回動しても挟着固定が緩んで軸抱込部がガタつくようなことなく、長期使用に耐え得る耐久性の高いヒンジ装置となり、しかも、例えば、取付用溝部に軸抱込部の基部の取付部を圧入固定する従来構造に対して、取付用溝部の側方部を外方から打撃する工程を加えるだけで本発明は実現可能であるので、簡易に設計実現可能で量産性も確保でき、その上、軸抱込部を打撃したりして取付用溝部への固定強度を向上させるような構成でないため、軸抱込部の枢着軸への回動トルク(回動抵抗)には一切変化を生じず、設定通りの回動トルクを確実に発揮できる構成であるなど、極めて実用性に秀れた画期的なヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【0016】
また、請求項2記載の発明においては、前記第二連結部若しくは前記第一連結部を点(小範囲)で打撃するので、第二連結部若しくは第一連結部自体に打撃による変形を生じにくい上、膨出部も溝内側面の小範囲に生じることになるために、この膨出部が圧接する取付部もこの取付部を備えた軸抱込部も変形を生じることがないので、歩留まり良く量産可能となるなど、一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0017】
また、請求項3記載の発明においては、取付用溝部の溝内側面に膨出部を形成するための第二連結部若しくは第一連結部への点打撃を、ポンチ打ちにより簡易に実現可能となる一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0018】
また、請求項4記載の発明においては、取付部の取付用溝部への圧入固定作用に加えて、この溝内側面の膨出部の圧接作用で取付部(軸抱込部)を強固に取付用溝部(第二連結部若しくは第一連結部)に固定できるので、著しく高い固定強度を発揮できて一層秀れた耐久性を発揮する極めて実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0019】
また、請求項5記載の発明においては、第二連結部若しくは第一連結部に複数の軸抱込部を並設状態にして極めて強固に挟着固定できる構成を簡易に設計実現可能となると共に、複数の軸抱込部を用いて多様なトルク設定のヒンジ装置を設計実現可能となるなど、一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0020】
また、請求項6記載の発明においては、基端部に取付部が突設する構造の軸抱込部を簡易に設計実現可能であると共に、円弧部が軸抱込部を覆う構成であるために一層軸抱込部がガタつきにくくなって秀れた耐久性を発揮することになるなど、極めて実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
本発明は、単に第二連結部4若しくは第一連結部3に設けた取付用溝部6に軸抱込部7の基部に突設した取付部7Aを嵌入取付するだけでなく、この軸抱込部7の取付部7Aを嵌入取付した前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3を、この取付用溝部6の側方部を外方から打撃することで取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記取付部7Aに圧接させて軸抱込部7を第二連結部4若しくは第一連結部3に固定する。
【0023】
即ち、軸抱込部7の取付部7Aを取付用溝部6内に極めて強固に挟着固定できる(前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3に対して軸抱込部7を強固に固定できる。)。
【0024】
従って、第一部材1に対する第二部材2の回動作動に際しては、軸抱込部7が枢着軸5に常に回動抵抗を付与しているため、軸抱込部7の取付部7Aと取付用溝部6との固定部分には常に負荷が生じるが、この取付部7Aと取付用溝部6とが極めて強固に挟着固定されていることでこの負荷に極めて良好に耐えることになり、経年使用により挟着固定が緩んで軸抱込部7がガタつくようなことなく、長期使用に耐え得る耐久性の高いヒンジ装置となる。
【0025】
また、軸抱込部7を打撃したりして取付用溝部6への固定強度を向上させるような構成でなく、取付用溝部6を備えた第二連結部4若しくは第一連結部3を打撃するため、軸抱込部7の枢着軸5への回動トルク(回動抵抗)には一切変化を生じず、設定通りの回動トルクを確実に発揮できることになる。
【0026】
また、本発明は、従来構造に対して取付用溝部6の側方部を外方から打撃する工程を加えるだけで実現可能であるので、簡易に設計実現可能で量産性に秀れる。
【0027】
また、例えば、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3の、前記軸抱込部7の前記取付部7Aを嵌入取付した前記取付用溝部6の側方部の表面を点打撃して圧潰することで、取付用溝部6内の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記軸抱込部7の前記取付部7Aに圧接せしめた構成とすれば、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3の小さい範囲を点打撃するので、第二連結部4若しくは第一連結部3自体に打撃による変形を生じにくい上、膨出部8Aも小範囲に生じるために、この膨出部8Aが圧接する取付部7Aもこの取付部7Aを備えた軸抱込部7も変形を生じることがないなど、一層実用的となる。
【0028】
尚、請求項2中の「点打撃」なる記載は、例えば、ポンチ14で打撃できる程度の小範囲を打撃することを意味している。
【0029】
また、例えば、前記取付用溝部6に前記軸抱込部7の前記取付部7Aを圧入固定する構成とし、この取付部7Aを圧入固定した取付用溝部6の側方部を外方から打撃することで取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記取付部7Aに圧接せしめた構成とすれば、強固な取付部7Aの取付用溝部6への圧入固定作用に加えて、この溝内側面8の膨出部8Aの圧接作用で取付部7A(軸抱込部7)を強固に取付用溝部6(第二連結部4若しくは第一連結部3)に固定できるので、一層秀れた耐久性を発揮することになる。
【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、図1に示すようなノート型パソコン用に適用した場合を示している。
【0032】
具体的には、操作部12を備えた本体部1を第一部材1とし、ディスプレイ部13を備えた開閉部2を第二部材2とし、この本体部1と開閉部2とが重合した閉塞状態から伏面が露出する開放方向に開閉部2を開放回動自在に枢着するヒンジ装置Hを備えている。
【0033】
本実施例のヒンジ装置Hは、図2,図3に示すように、前記第二部材2に連結する第二連結部4に回り止め状態にして枢着軸5を設け、前記第一部材1に連結する第一連結部3に取付用溝部6を設けると共に、この取付用溝部6に、前記枢着軸5に抱き込み被嵌して回動抵抗を生じさせる軸抱込部7の基部に突設した取付部7Aを嵌入取付することで第一連結部3に前記軸抱込部7を設けている。
【0034】
この軸抱込部7は、図3,図4に示すように、帯状の板材10を断面C状にカール折曲して構成している。また、この断面C状の軸抱込部7を構成する板材10の一端部を外方へ突出させると共に、この突出端部を先細形状に形成して前記取付部7Aとしている。
【0035】
また、第一連結部3に設けた前記取付用溝部6は、図5に示すように前記取付部7Aの外形状に略合致する溝形状に形成している。
【0036】
また、図4に示すように、この取付用溝部6の周囲の形状を、前記軸抱込部7の外周面に沿設する断面円弧状に形成し、この円弧部11に軸抱込部7の取付部7A側の半分程度が埋没状態となってこの埋没部分が円弧部11に覆われて、円弧部11に対して軸抱込部7がガタつきにくい状態で固定される構成としている。
【0037】
また、図面では、前記第一連結部3に取付用溝部6を二箇所に並設状態に設けると共に、この二箇所の取付用溝部6に夫々前記軸抱込部7の基部に突設した前記取付部7Aを嵌入取付することで第一連結部3に軸抱込部7を二個並設状態に設けた場合を示している。
【0038】
また、図3に示すように、並設する二個の軸抱込部7は、前記枢着軸5に対する抱き込み方向が夫々反対となるようにして配置固定している。この構成により、単に十分な回動抵抗が容易に得られるだけでなく、どちらの方向に回動する場合も、回動抵抗に差を生じにくく、略等しい回動抵抗が生じることになる。即ち、本実施例で示したような断面C状の軸抱込部7は、抱き込むカール方向、即ち巻き締める方向にこの軸抱込部7を枢着軸5に対して相対的に回動する場合と反対方向即ち巻き緩む方向に相対的に回動する場合とで回動抵抗は等しくないのであるが、本実施例では、二個の軸抱込部7を用いると共に、夫々の枢着軸5に対する抱き込み方向が夫々反対となるようにして配置固定したことで、どちらの方向に回動する場合も、回動抵抗に差を生じにくくした構成としている。
【0039】
また、本実施例では、前記取付用溝部6に前記軸抱込部7の前記取付部7Aを圧入固定し得るように、取付用溝部6の溝幅寸法と取付部7Aの厚み寸法とを設定構成している。
【0040】
本実施例では、前記取付用溝部6に前記軸抱込部7の取付部7Aを圧入固定した前記第一連結部3を、この取付用溝部6の側方部を外方から打撃することで取付用溝部6の溝内側面8を溝内方へ膨出させて、この溝内側面8の膨出部8Aを前記取付部7Aに圧接させて取付部7Aを取付用溝部6に挟着固定した構成としている。
【0041】
具体的には、図4,図6に示すように、前記第一連結部3の、前記軸抱込部7の前記取付部7Aを嵌入取付した前記取付用溝部6の側方部の表面をポンチ14打ちにより点打撃して圧潰し凹み部9を形成することで、取付用溝部6内の溝内側面8の小範囲を溝内方へ膨出させて、この小範囲の膨出部8Aを前記軸抱込部7の前記取付部7Aに圧接させた構成としている。図中符号15は、前記円弧部11の打撃する側の小範囲に設けた逃げ溝であって、点打撃(ポンチ14打ち)によって変形する可能性のある円弧部11面をこの逃げ溝15に形成してある。即ち、点打撃によって逃げ溝15が膨出変形しても、溝状であるが故にこの逃げ溝15が軸抱込部7に接触することはなく、変形した円弧部11が軸抱込部7に接触することによる軸抱込部7のトルク変化を防止している。また、この逃げ溝15は、軸抱込部7と枢着軸5にグリスを補充するための溝としても機能する。
【0042】
また、二箇所並設する各取付用溝部6に対して、この各取付用溝部6の片側の側方部の表面を一箇所ずつポンチ14打ちして夫々に取付部7Aを挟着固定している。また、図5に示すように、並設しつつも枢着軸5に対する抱き込み方向を夫々反対としている各軸抱込部7に合わせて、ポンチ14打ち方向の夫々反対側から行った場合を示している。
【0043】
尚、本実施例では、取付用溝部6の側方部の片側だけをポンチ14打ちした場合を示しているが、対向する両側からポンチ14打ちする構成としても良く、このようにすると、軸抱込部7(取付部7A)への一層強固な挟持固定作用が得られる。また、本実施例のように片側だけをポンチ14打ちする構成でも極めて強固な挟着固定作用が得られて十分な耐久性を発揮することが確認されている上、一つの取付用溝部6に対して片側を一回ポンチ14打ちするだけで軸抱込部7の固定作業が完了するので、作業性に秀れ、量産性に秀れることになる。また、このポンチ14打ちは、手動で行っても良いし、自動ポンチ機を用いて行っても良い。
【0044】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施例の使用状態を示す説明斜視図である。
【図2】本実施例のヒンジ装置を示す斜視図である。
【図3】本実施例のヒンジ装置を示す分解斜視図である。
【図4】本実施例の取付用溝部への取付部の挟着固定手順を示す部分拡大説明図である。
【図5】本実施例の第一連結部の取付用溝部周辺を示す部分拡大説明図である。
【図6】本実施例の軸抱込部の取付部の、取付用溝部への挟着固定構造を示す部分拡大説明断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 第一部材(本体部)
2 第二部材(開閉部)
3 第一連結部
4 第二連結部
5 枢着軸
6 取付用溝部
7 軸抱込部
7A 取付部
8 溝内側面
8A 膨出部
9 凹み部
10 板材
11 円弧部
12 操作部
13 ディスプレイ部
14 ポンチ
H ヒンジ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材を枢着するヒンジ装置であって、前記第一部材に連結する第一連結部若しくは前記第二部材に連結する第二連結部に枢着軸を設け、前記第二部材に連結する第二連結部若しくは前記第一部材に連結する第一連結部に取付用溝部を設けると共に、この取付用溝部に、前記枢着軸に抱き込み被嵌して回動抵抗を生じさせる軸抱込部の基部に突設した取付部を嵌入取付することで第二連結部若しくは第一連結部に前記軸抱込部を設けた構成のヒンジ装置において、前記取付用溝部に前記軸抱込部の取付部を嵌入取付した前記第二連結部若しくは前記第一連結部を、この取付用溝部の側方部を外方から打撃することで取付用溝部の溝内側面を溝内方へ膨出させて、この溝内側面の膨出部を前記取付部に圧接せしめた構成としたことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記第二連結部若しくは前記第一連結部の、前記軸抱込部の前記取付部を嵌入取付した前記取付用溝部の側方部の表面を点打撃して圧潰することで、取付用溝部内の溝内側面を溝内方へ膨出させて、この溝内側面の膨出部を前記軸抱込部の前記取付部に圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記第二連結部若しくは前記第一連結部の、前記軸抱込部の前記取付部を嵌入取付した前記取付用溝部の側方部の表面をポンチ打ちにより点打撃して圧潰し凹み部を形成することで、取付用溝部内の溝内側面を溝内方へ膨出させて、この溝内側面の膨出部を前記軸抱込部の前記取付部に圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記取付用溝部に前記軸抱込部の前記取付部を圧入固定する構成とし、この取付部を圧入固定した取付用溝部の側方部を外方から打撃することで取付用溝部の溝内側面を溝内方へ膨出させて、この溝内側面の膨出部を前記取付部に圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記第二部材に連結する前記第二連結部若しくは前記第一部材に連結する前記第一連結部に前記取付用溝部を複数並設状態に設けると共に、この複数の取付用溝部に夫々前記軸抱込部の基部に突設した前記取付部を嵌入取付することで第二連結部若しくは第一連結部に前記軸抱込部を複数並設状態に設け、この各取付用溝部に前記軸抱込部の取付部を嵌入取付した前記第二連結部若しくは前記第一連結部を、この各取付用溝部の側方部を夫々外側から打撃することで各取付用溝部の溝内側面を溝内方へ膨出させて、この各溝内側面の膨出部を前記各取付部に圧接せしめた構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項6】
板材を断面C状にカール折曲して前記軸抱込部を構成すると共に、この断面C状の軸抱込部を構成する板材の端部を前記取付部とし、前記第二連結部若しくは前記第一連結部に設けた前記取付用溝部の周囲の形状を、前記軸抱込部の外周面に沿設する断面円弧状に形成してこの円弧部が軸抱込部を覆う構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項7】
前記第一部材を操作部を有する本体部とし、前記第二部材をこの本体部に重合するディスプレイ部を有する開閉部とし、この本体部と開閉部とを重合した閉塞状態から伏面が露出する開放方向に起伏回動自在に枢着するヒンジ装置に前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置を用いた構成としたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−84901(P2010−84901A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256557(P2008−256557)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】