説明

ピエゾ式噴霧器用薬液

【課題】 優れた蒸散持続性を有し、有害生物防除剤を長期間安定して揮散させることができる、ピエゾ式噴霧器用薬液を提供する。
【解決手段】 本発明のピエゾ式噴霧器用薬液は、有害生物防除剤と、動粘度が1.0×10-6〜5.0×10-62/S(40℃)である有機化合物とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピエゾ式噴霧器を用いて有害生物防除剤を長期間安定して揮散させることができるピエゾ式噴霧器用薬液に関する。
【背景技術】
【0002】
有害生物の防除に有効な薬剤には蒸気圧の低いものが多々ある。従来、これらを自然に揮散させて用いるだけでは所期の効果が充分には得られない。そのため、これらの有害生物防除剤を揮散させることにより害虫を防除する方法として、この有害生物防除剤の特性に鑑みて、有害生物防除剤を含有した薬液やマットを加熱して揮散させる方法、担体に保持された有害生物防除剤をファンの回転により発生する気流により揮散させる方法等が用いられている。
【0003】
他方、従来から、超音波発振機で発生させた超音波を振動子を介して吸液体に伝達し、吸液体に吸液された薬液を蒸散させるピエゾ式噴霧器が知られている。近年、このピエゾ式噴霧器を有害生物防除剤の揮散に利用する試みがなされているが、上述したように、有害生物防除剤の多くは蒸気圧が低いことから、充分な拡散性を得ることが難しく、送風機を併用することなどが提案されている。
【0004】
しかし、送風機の併用では、消費電力が多くなり電池だけで駆動させるには持続性に欠け、また噴霧器全体を小型化することが困難である、といった不都合を伴うことになる。そこで、送風機を用いることなく優れた拡散性が得られるように、薬液組成の改良等が要望されていた。これに応じて、本発明者らは、先に、有害生物防除剤の蒸気圧と該有害生物防除剤を溶解させる有機溶剤の沸点とを特定範囲に設定したピエゾ式噴霧器用薬液を見出した(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−70349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、害虫防除を目的とする場合、例えば、対象とする害虫の活動が活発になる期間を通じて継続した防除効果を発現させることが望まれる。そのため、充分な拡散性を発揮することに加えて、有害生物防除剤を長期間安定して揮散さるための優れた蒸散持続性をも要求される。具体的には、少なくとも1ヶ月程度は継続して防除効果を発揮することが求められるので、例えば、1日8時間蒸散させる場合で240時間以上、1日12時間蒸散させる場合であれば360時間以上の持続性が望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、優れた蒸散持続性を有し、有害生物防除剤を長期間安定して揮散させることができる、ピエゾ式噴霧器用薬液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ピエゾ式噴霧器を用いて有害生物防除剤を揮散させるときの持続性には、有害生物防除剤を溶解させる溶剤の沸点よりもむしろ粘度が大きな影響を及ぼすことを見出した。そして、特定範囲の動粘度を有する有機化合物を有害生物防除剤とともに含有させることにより、これをピエゾ式噴霧器にて揮散させたときの持続性を大幅に向上させうることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)有害生物防除剤と、動粘度が1.0×10-6〜5.0×10-62/S(40℃)である有機化合物とを含む、ことを特徴とするピエゾ式噴霧器用薬液。
(2)前記有機化合物がパラフィン系溶剤である、前記(1)記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
(3)薬液としての粘度が、5〜30mPa・S/20℃である、前記(1)または(2)記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、薬液(有害生物防除剤および有機化合物)が放散されることを「蒸散」と称し、有効成分(有害生物防除剤)が放散されることを「揮散」と称する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた蒸散持続性を発揮し、有害生物防除剤を長期間安定して揮散させることができる。これにより、例えば対象とする害虫の活動が活発になる期間を通じて継続した防除効果を発現させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のピエゾ式噴霧器用薬液(以下、単に「薬液」と称することもある)は、有害生物防除剤と特定の有機化合物とを含むものであり、通常、前記有害生物防除剤を前記特定の有機化合物に溶解させることにより得られる。
本発明における前記有害生物防除剤としては、所期の効果を達成できるものであれば特に制限はなく、例えば、有害生物として害虫を防除対象とする場合には、シフェノトリン、ビフェントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン、プロポクスル、メトキサジアゾン、アミドフルメト、ジノテフラン、ハイドロプレン、メトプレン等が挙げられ、有害生物としてカビ類や菌類を防除対象とする場合には、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、チオベンダゾール、ヒノキチオール、ローズマリーエキス等が挙げられる。これらの中でも、シフェノトリン、プロポクスル、メトキサジアゾン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、イソプロピルメチルフェノール等が、本発明の薬液としてピエゾ式噴霧器に適用した場合の揮散性がよく、駆除効果に優れ、後述する特定の有機化合物に対する溶解性がよく、結果として継続した防除効果が得られることから好ましい。なお、有害生物防除剤としては1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
前記有害生物防除剤の含有量は、特に制限されないが、本発明の薬液中、通常1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%の濃度であるのがよい。
【0013】
本発明における前記特定の有機化合物は、前記有害生物防除剤を溶解させうるものであり、動粘度が1.0×10-6〜5.0×10-62/S(40℃)である。好ましくは、該有機化合物(以下「特定有機化合物」と称する)の動粘度は2.0×10-6〜4.0×10-62/S(40℃)であるのがよい。特定有機化合物の動粘度が1.0×10-62/S未満であると、蒸散の持続性が不充分となり、有害生物防除剤を長期間安定して揮散させることができないので、好ましくない。一方、特定有機化合物の動粘度が5.0×10-62/Sを超えると、圧電素子上に薬液だまりができ、蒸散不能となるので、好ましくない。なお、特定有機化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記特定有機化合物は、具体的には、パラフィン系溶剤であるのが好ましい。パラフィン系溶剤は、直鎖型のn−パラフィン、分岐型のイソパラフィン、環状のシクロパラフィンのいずれであってもよく、それらの混合物であってもよい。パラフィン系溶剤としては、特に、n−パラフィン、流動パラフィンが好ましい。
前記特定有機化合物として用いることのできる市販品としては、例えば、新日本石油化学(株)製「NP−SH」、中央化成(株)製「チオテックE」、中央化成(株)製「ネオチオゾール」等を用いることができる。
【0015】
本発明の薬液は、前記特定有機化合物を必須とするものであるが、該特定有機化合物とともに、動粘度が前記範囲外である種々の化合物(例えば、溶剤として作用する化合物など)を併用することもできる。本発明の薬液がこれら化合物を含有する場合、その含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で(例えば、薬液の粘度が後述する範囲となるように)、適宜設定すればよい。
【0016】
さらに本発明の薬液には、発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じ、例えば、香料、消臭剤、殺菌剤、色素、安定剤、揮散調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加物を含有させることもできる。
【0017】
本発明の薬液は、その粘度が5〜 30mPa・S/20℃であることが好ましく、より好ましくは10〜25mPa・S/20℃であるのがよい。薬液自体の粘度が5mPa・S/20℃未満であると、蒸散の持続性が不充分となるおそれがあり、一方、30mPa・S/20℃を超えると、圧電素子のオリフィスを薬液が通過できずに蒸散不能となるおそれがあるため、好ましくない。なお、本発明における薬液粘度は20℃で測定されるものであるが、20±2℃(つまり、18〜22℃)程度の範囲で測定された薬液の粘度が、前記範囲(5〜 30mPa・S)であればよい。
【0018】
また、本発明の薬液は、その比重が0.70〜0.90であることが好ましく、より好ましくは0.75〜0.85であるのがよい。薬液自体の比重が0.70未満であると、有害生物防除剤の安定した揮散性が得られないおそれがあり、一方、0.90を超えると、拡散性が低下するおそれがあるため、好ましくない。
【0019】
本発明の薬液は、吸液体(吸液芯)を備えた適当な容器に充填して、ピエゾ式噴霧器にセットして使用すればよい。これにより、超音波発振機で発生された超音波が振動子を介して吸液芯に伝達され、吸液芯に吸液された薬液を蒸散させることができる。
【0020】
本発明の薬液を蒸散させるためのピエゾ式噴霧器としては、所期の目的を達成することができるものであれば特に制限はなく、例えば、従来から知られている種々のピエゾ式噴霧器を採用することができる。
【0021】
以下、図面を用いて、本発明の薬液を適用するのに適したピエゾ式噴霧器の一実施形態を説明する。
図1に示すピエゾ式噴霧器は、薬液2を収容した容器1と、この容器1の上部開口から上部が突出し下部が容器1内の薬液2に浸漬された吸液芯3と、この吸液芯3の上端部に接触した超音波振動子5と、この振動子5に連結された超音波発振機7とを備えている。吸液芯3の上端部と振動子5との間には金属やセラミックなどからなる接合片6が配置され、これにより振動子5は吸液芯3に間接的に(接合片6を介して)接触している。8は電源としての電池である。また、吸液芯3は、容器1の上部開口にはめ込まれた中空円盤型の芯支持体4により支持されている。
【0022】
図1に示すピエゾ式噴霧器において、前記吸液芯3としては、表面張力の大きな材質、例えばフェルト、スポンジ、綿、多孔質材(例えば、炭素質微粉末を主体とし、これと結着剤との混合物からなる成形体)などで棒状に形成された芯材を使用することができる。これらのうち、炭素質微粉末を用いた成形体は、超音波印加時にのみ吸液機能を発揮し、無印加時は密栓的に機能するので好ましい。
【0023】
図1に示すピエゾ式噴霧器においては、薬液2を上記のような吸液芯3の上端部にまで十分に吸収させた状態で、発振機7より振動子5へ信号を送り、振動子5および接合片6を超音波振動させる。これにより、吸液芯3の上端部に対し、薬液2の表面張力以上で且つ粘度以上の超音波振動エネルギーを与え、薬液2を吸液芯3から微小な液滴として空気中に霧化して蒸散させることができる。なお、上記ピエゾ式噴霧器では、接合片6を配置せずに、振動子5が吸液芯3の上端部に直接接触していてもよい。
【0024】
本発明の薬液を適用するのに適したピエゾ式噴霧器は、上述した図1に示すピエゾ式噴霧器に限定されるものではなく、ほかにも、図2に示すようなピエゾ式噴霧器を用いることもできる。
図2に示すピエゾ式噴霧器は、薬液2を収容した容器1と、この容器1の上部開口から上部が突出し下部が容器1内の薬液2に浸漬された吸液芯3と、この吸液芯3の上端部に接触した超音波振動子10と、この振動子10を固定し容器1の上部開口にはめ込まれた蓋部11と、振動子10に連結された超音波発振機(不図示)とを備えている。
【0025】
図2に示すピエゾ式噴霧器においては、前記吸液芯3は、容器1の上部開口にはめ込まれた中空円盤型の芯支持体4により支持され、振動子10は、蓋部11の爪部12と固定部材13とで蓋部11に固定されている。この振動子10は、中心部に5〜10mmの径を有している。吸液芯3の上端部と振動子10との間には接合片15が配置され、これにより振動子10は吸液芯3に間接的に(接合片15を介して)接触している。接合片15としては、中心部に直径3〜20μmの孔を有するオリフィスプレートが用いられている。
【0026】
図2に示すピエゾ式噴霧器においては、前記蓋部11に噴霧口14が設けられており、薬液2を吸液芯3の上端部にまで十分に吸収させた状態で、発振機より振動子10へ信号を送り、振動子10を超音波振動させると、薬液2を噴霧口14から微小な液滴として空気中に霧化して蒸散させることができる。なお、振動子10として、中心部に所定の孔を有するものについて説明したが、これに代えて、全面に多数の孔を有するものを用いることもできる。
この他にも、米国特許6450419号明細書に記載されているようなピエゾ式噴霧器を用いることもできる。
【0027】
また、本発明の薬液を適用するのに適したピエゾ式噴霧器は、好ましくは以下(1)〜(6)の条件の1つ以上を備えたものがよく、より好ましくは全てを備えた噴霧器であるのがよい。
(1)送風機を用いない。
(2)超音波発振機の周波数が50〜300kHzである。
(3)1回当たり、5m秒〜1秒間の駆動と、1〜180秒の停止とが交互に行われる間欠蒸散ができる。
(4)1回の駆動により蒸散される薬液量が0.01〜1μLである。
(5)1回の駆動における消費電力が0.3〜10Wである。
(6) アルカリ電池(LR20(単1)、LR14(単2)、LR6(単3)、LR3(単4)、LR1(単5))またはマンガン電池(R20P(単1)、R14P(単2)、R6P(単3)、R3P(単4)、R1P(単5))により駆動することができる。
【0028】
本発明の薬液を蒸散させる際のピエゾ式噴霧器の駆動条件としては、特に制限はなく、その目的等に応じて適宜設定すればよい。例えば、ピエゾ式噴霧器の駆動は、連続的に駆動してもよいし、間欠的に駆動してもよい。なお、間欠的に駆動させる場合には、1回の噴霧から次回の噴霧までの間の時間も蒸散時間として扱うものとする。
【0029】
以上のような本発明の薬液は、上記ピエゾ式噴霧器にて良好な持続性で蒸散させることができる。しかも、本発明の薬液は、蒸散持続性に加えて、蒸散の終期まで安定してほぼ一定量の有効成分(有害生物防除剤)を揮散させうるものである。なお、前記有害生物防除剤の単位時間当たりの揮散量は、対象生物や用いる有害生物防除剤の種類、曝露時間等に応じて適宜設定すればよい。例えば、蚊、ハエ等の衛生害虫を対象とした場合、通常、0.1〜50.0mg/時間が好ましく、より好ましくは0.2〜10.0mg/時間であるのがよい。
【0030】
本発明の薬液をピエゾ式噴霧器にて蒸散させる有害生物防除方法は、例えば、蚊、ハエ、ゴキブリ等の衛生害虫、ユスリカ、チョウバエ、ゲジ、アリ、クモ等の不快害虫、黒カビ、青カビ等のカビ類、大腸菌、ブドウ球菌等の菌類などの有害生物に有効である。
【実施例】
【0031】
以下に実施例において本発明を具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、得られた薬液の物性は下記の方法で測定した。
【0032】
<粘度>
300mLのビーカーに約250mLの薬液を入れ、薬液温度を20±1℃に調整したのちに、B型粘度計(東機産業(株)製「RB−80H」)を用いて、ローターをH2に設定し、回転数100rpm、測定時間1分間の条件で測定した。
【0033】
(実施例1〜10および比較例1〜2)
表1に示す有害生物防除剤を用い、これを表1に示す有機化合物に溶解させて薬液を調製した。このとき、有害生物防除剤と有機化合物との使用量は、各々、薬液総量100mL当り表1に示す量となるようにした。
【0034】
表1において、有害生物防除剤を示す「NAK」はトランスフルトリンの略号であり、「MET」はメトフルトリンの略号である。また、表1に示す各有機化合物としては、それぞれ以下の市販品を用いた。これら各有機化合物の動粘度は以下の通りである。
・n−パラフィン;新日本石油化学(株)製「NP−SH」
動粘度:2.20×10-62/S(40℃)
・流動パラフィン;中央化成(株)製「チオテックE」
動粘度:3.98×10-62/S(40℃)
・イソドデカン ;丸善石油化学(株)製「マルカゾールR」
動粘度:1.35×10-22/S(38.7℃)
【0035】
上記で得られた各薬液について、図2に示すピエゾ式噴霧器(吸液芯として気孔率50%のポリアクリル芯を装着)を用いて下記の駆動条件で蒸散させたときの持続時間を調べた。すなわち、薬液4mLをピエゾ式噴霧器に容器に入れて収容し、25±2℃の環境下で連続通電させた。通電開始から、所定時間毎(おおよそ24時間毎)に薬液を収容した容器の重量を測定し、薬液収容前後の容器重量から求められる残液量が0.5gを下回るまでの時間を持続時間とした。
<ピエゾ式噴霧器の駆動条件>
・超音波発振機の周波数:150kHz
・駆動条件:10m秒間駆動し、8秒間停止する間欠駆動
・消費電力:発振時に10W
・電池:LR6(単3)を1本(1.5V)
各薬液の持続時間を、薬液粘度とともに、表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から、同じ有害生物防除剤濃度である実施例1〜5と比較例1、もしくは実施例6と比較例2を比べると、溶剤として動粘度が本発明の範囲内である有機化合物を含む各実施例の薬液は、動粘度が本発明の範囲外である有機化合物のみを含む比較例の薬液よりも蒸散の持続時間が格段に長くなっており、優れた持続性向上効果を奏することがわかる。また、実施例7〜10から、有害生物防除剤の濃度や種類が変わっても、動粘度が本発明の範囲内である有機化合物を含む場合には、同様に長い持続時間が得られることがわかる。
【0038】
次に、実施例3、9および10で得られた薬液について、ピエゾ式噴霧器にて蒸散させたときの有効成分(有害生物防除剤)の経時揮散量を調べた。すなわち、薬液4mLを上記と同様のピエゾ式噴霧器に容器に入れて収容し、上記と同様に25±2℃の環境下で連続通電させ、表2に示す所定時間経過ごとに、蒸散した薬液蒸気をシリカゲルカラムに1時間吸引捕集し、このシリカゲルカラムをアセトンで抽出し、濃縮後、ガスクロマトグラフにて定量分析し、用いた有害生物防除剤の単位時間当たりの揮散量を求めた。結果を表2に示す。
なお、実施例3および9で得られた薬液については、表1に示す通り蒸散の持続時間(蒸散終期)が480時間であるため、720時間の結果は記載していない。
【0039】
【表2】

【0040】
表2から、本発明の薬液は、蒸散の持続時間が長いだけでなく、蒸散の終期まで安定してほぼ一定量の有効成分を揮散させうるものであることが明らかである。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。例えばピエゾ式噴霧器については、本発明にかかる薬液が実施可能であるかぎり任意であり、上記の実施例において用いたピエゾ式噴霧器に適用した薬液を、図1に示すピエゾ式噴霧器や他の構造を有するピエゾ式噴霧器に用いても、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の薬液を適用するのに適したピエゾ式噴霧器の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の薬液を適用するのに適したピエゾ式噴霧器の他の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 容器
2 薬液
3 吸液芯
4 芯支持体
5、10 超音波振動子
6 接合片
7 超音波発振機
8 電池
11 蓋部
12 爪部
13 固定部材
14 噴霧口
15 接合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害生物防除剤と、動粘度が1.0×10-6〜5.0×10-62/S(40℃)である有機化合物とを含む、ことを特徴とするピエゾ式噴霧器用薬液。
【請求項2】
前記有機化合物がパラフィン系溶剤である、請求項1記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
【請求項3】
薬液としての粘度が、5〜30mPa・S/20℃である、請求項1または2記載のピエゾ式噴霧器用薬液。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−269893(P2009−269893A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124403(P2008−124403)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】