ピッキングシステム
【課題】ピッキング作業性の向上を図ることができるピッキングシステムを提供する。
【解決手段】ピッキングシステムは、間口を有する複数のゾーンで構成した収納棚手段と、間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースとを備える。複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能である。1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能である。
【解決手段】ピッキングシステムは、間口を有する複数のゾーンで構成した収納棚手段と、間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースとを備える。複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能である。1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング作業性の向上を図ることができるピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたピッキングシステムが知られている。
【0003】
この従来のピッキングシステムは、商品が収納される複数の間口を有する複数のゾーンが並んで構成された収納棚手段と、間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースと、作業者によって間口からピッキングされた商品が投入されるケースを収納棚手段の長手方向に沿って搬送する搬送手段とを備えている。そして、作業者用スペースには作業者が各ゾーンごとに1人ずつ配置され、1人の作業者が1つのゾーンを担当するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−1152号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のピッキングシステムにおいて、例えば1人の作業者が2つのゾーンを担当するようにした場合には、ピッキング作業性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ピッキング作業性の向上を図ることができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のピッキングシステムは、商品が収納される複数の間口を有する複数のゾーンが並んで構成された収納棚手段と、前記間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースとを備え、複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能であるものである。
【0008】
請求項2記載のピッキングシステムは、請求項1記載のピッキングシステムにおいて、収納棚手段を構成する全てのゾーンに関して、複数のゾーンごとに1人の作業者を担当として設定することが可能であるものである。
【0009】
請求項3記載のピッキングシステムは、請求項2記載のピッキングシステムにおいて、設定画面において、複数のゾーンごとに位置するチェックボックスをチェックすることにより、対応する複数のゾーンに対して1人の作業者が担当として設定されるものである。
【0010】
請求項4記載のピッキングシステムは、請求項2または3記載のピッキングシステムにおいて、設定画面において、割合変更用ボタンを操作することにより、1人の作業者が担当する複数のゾーン中の少なくとも1つのゾーンのピッキング作業数割合を入力可能な状態となるものである。
【0011】
請求項5記載のピッキングシステムは、請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、各作業者別に商品の振り分け処理を行い、その後、各ゾーン別の商品数が使用可能間口数以下になるように調整処理を行うものである。
【0012】
請求項6記載のピッキングシステムは、請求項1ないし5のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、作業者別にピッキング作業の経験度合いに応じた掛け率を設定することが可能であるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能であるため、ピッキング作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキングシステムの概略構成図である。
【図2】同上ピッキングシステムの部分平面図である。
【図3】同上ピッキングシステムのゾーンの間口アドレスを示す図である。
【図4】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された棚条件設定用の設定画面の例である。
【図5】同上ピッキングシステムで2つのゾーンに対して1人の作業者が担当として設定された場合の説明図である。
【図6】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された商品情報入力用の設定画面の例である。
【図7】同上ピッキングシステムのシステム処理のフローチャートである。
【図8】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理1の説明図である。
【図9】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理2の説明図である。
【図10】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理3の説明図である。
【図11】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理3の説明図である。
【図12】1人の作業者が担当する2つのゾーンに関する割り付け順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2において、1はピッキングシステムで、このピッキングシステム1は、例えば作業者Xがオーダ情報に基づいて多種多様な商品についてピッキング作業をするためのピッキング設備(集品システム)である。
【0017】
ピッキングシステム1は、図1および図2に示されるように、ピッキング作業者である作業者Xがピッキングする商品(物品)が収納される複数の間口(商品収納部)2を有する複数のゾーン(収納棚)が長手方向に直線状に並んで構成された水平方向長手状の収納棚手段3を備えている。
【0018】
また、ピッキングシステム1は、作業者Xによって間口2からピッキングされた商品が投入されるケースKを収納棚手段3の長手方向に沿って搬送方向にタクト搬送する直線状の第1搬送手段(A系統)6と、この第1搬送手段6と平行状に配設され作業者Xによって間口2からピッキングされた商品が投入されるケースKを収納棚手段3の長手方向に沿って搬送方向にタクト搬送する第2搬送手段(B系統)7とを備えている。なお、第1搬送手段6と第2搬送手段7とは、少なくとも収納棚手段3と対応する部分が互いに平行状に配設されている。また、ケースKは、例えば上面が開口した箱形状の集品容器である。
【0019】
さらに、収納棚手段3と第1搬送手段6との間には細長い作業者用スペース10が設けられ、この作業者用スペース10には、収納棚手段3の間口2から商品をピッキングする複数の作業者Xが並んで位置している。
【0020】
収納棚手段3は、例えばゾーンナンバ(ゾーンNo)が「1」〜「16」と決められた16のゾーンにて構成されている。そして、図1の例では、例えばゾーン「1」および「2」、ゾーン「3」および「4」、ゾーン「5」および「6」、ゾーン「7」および「8」に関しては、隣り合う2つのゾーンに対して1人の作業者Xが担当として設定されている。また、ゾーン「9」ないし「16」に関しては、1つのゾーンに対して1人の作業者Xが担当として設定されている。
【0021】
各ゾーンは、例えば流動棚である収納棚11にて構成されている。収納棚11は、複数列複数段、すなわち例えば6列4段(合計24)の商品収納用の間口2を有しているが、使用可能な間口2の数(間口数)は24以下の数で任意に設定可能である。
【0022】
図3に示されるように、各ゾーンは、間口アドレス(アドレス)が下段側から上段側に向かって順に「01」〜「24」と決められた24個の間口2にて構成されている。なお、同じ段のアドレスは、正面視で左端側ほど若い数字となっている。間口2のロケーションは、ゾーンNoとアドレスとにて構成されるものである。
【0023】
また、各収納棚11の前面部には、各間口2に対応して位置する間口指示手段13が設けられている。間口指示手段13は、作業者Xに対してピッキングすべき商品が収納されている間口2を指示するものである。間口指示手段13は、例えば各間口2ごとに設けられたLEDランプ等である。また、各収納棚11には、表示装置であるゾーンモニタ14が設けられている。つまり、各ゾーンごとに、報知手段であるゾーンモニタ14が設けられている。なお、ゾーンモニタ14は必ずしも設ける必要がない。
【0024】
第1搬送手段6は、例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤ等のコンベヤ装置にて構成されている。第1搬送手段6は、フレーム部16と、このフレーム部16に設けられケースKを複数個、例えば5個を1組として複数組が所定隙間をおいて連続的に並んだ状態となって搬送方向にタクト搬送するローラ或いはベルト等の搬送部17と、この搬送部17を作動させるモータ等の駆動部18とを有している。
【0025】
また、第1搬送手段6のフレーム部16には、第1搬送手段6の停止時にこの第1搬送手段6上の各ケースKに対応して位置する第1ケース指示手段20が設けられている。第1ケース指示手段20は、作業者Xに対して間口2からピッキングした商品を投入すべき第1搬送手段6上のケースKを指示するものである。第1ケース指示手段20は、例えば第1搬送手段6上のケースKの各商品投入停止位置ごとに設けられたLEDランプ等である。
【0026】
そして、作業者Xは、商品をピッキングした担当のゾーンの対応位置(対向位置)に位置する複数個のケースKであって第1搬送手段6上の1組のケースK(例えば5個のケース)のうち、第1ケース指示手段20が投入指示を出した1個のケースKに対して、対応するゾーンの間口2からピッキングした商品を投入する。
【0027】
なお、1回のピッキング作業で、間口指示手段13にて指示された間口2からピッキングする商品の点数は1個には限られず、2個以上の場合もある。2個以上の商品を同時にピッキングする場合は、例えばピッキングすべき商品数量がゾーンモニタ14に表示される。なお、ピッキングすべき商品数量のみを表示する商品数量表示手段を別途設けてもよい。
【0028】
さらに、第1搬送手段6のフレーム部16には、指示されたケースKに商品が投入された後に作業者Xによって操作される完了スイッチ手段19が各ゾーンごとに設けられている。完了スイッチ手段19は、例えば長手方向長さ寸法が1つのゾーンの幅寸法と略同じテープスイッチ等である。なお、完了スイッチ手段19が操作されると、間口指示手段13が次のピッキング指示を出す。
【0029】
第2搬送手段7は、第1搬送手段6と同様、例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤ等のコンベヤ装置にて構成されている。第2搬送手段7は、フレーム部21と、このフレーム部21に設けられケースKを複数個、例えば5個を1組として複数組が所定隙間をおいて連続的に並んだ状態となって搬送方向にタクト搬送するローラ或いはベルト等の搬送部22と、この搬送部22を作動させるモータ等の駆動部23とを有している。
【0030】
また、第2搬送手段7のフレーム部21には、第2搬送手段7の停止時にこの第2搬送手段7上の各ケースKに対応して位置する第2ケース指示手段25が設けられている。第2ケース指示手段25は、作業者Xに対して間口2からピッキングした商品を投入すべき第2搬送手段7上のケースKを指示するものである。第2ケース指示手段25は、例えば第2搬送手段7上のケースKの各商品投入停止位置ごとに設けられたLEDランプ等である。
【0031】
そして、作業者Xは、商品をピッキングした担当のゾーンの対応位置(対向位置)に位置する複数個のケースKであって第2搬送手段7上の1組のケースK(例えば5個のケース)のうち、第2ケース指示手段25が投入指示を出した1個のケースKに対して、対応するゾーンの間口2からピッキングした商品を投入する。
【0032】
なお、1回のピッキング作業で、間口指示手段13にて指示された間口2からピッキングする商品の点数は1個には限られず、2個以上の場合もある。2個以上の商品を同時にピッキングする場合は、例えばピッキングすべき商品数量がゾーンモニタ14に表示される。なお、ピッキングすべき商品数量のみを表示する商品数量表示手段を別途設けてもよい。
【0033】
また、ゾーンモニタ14、間口指示手段13、第1ケース指示手段20および第2ケース指示手段25の各々は、作業者Xから容易に目視可能な位置に配設されている。
【0034】
また一方、図1に示されるように、ピッキングシステム1は、作業者Xがピッキングする低頻度商品が収納される低頻度商品用棚手段(低頻度ゾーン)26を備えている。作業者Xは、ピッキング指示および投入指示に従い、低頻度商品用棚手段26の間口から商品をピッキングしてケースKに投入する。
【0035】
さらに、ピッキングシステム1は、第1搬送手段6および第2搬送手段7をそれぞれ個別に制御する制御手段31を備えている。つまり、制御手段31は、オーダ情報に基づいて第1搬送手段6の駆動および停止と第2搬送手段7の駆動および停止とをそれぞれ個別に制御する。制御手段31には、搬送手段6,7、指示手段13,20,25およびゾーンモニタ14等が電気的に接続されている。
【0036】
また、この制御手段31は、ゾーンNoおよびアドレスからなるロケーションを決定して使用ゾーンの間口に対して商品を自動的に割り付ける割り付け処理等を含む各種処理を行う。なお、図示しないが、制御手段31には、設定画面等を表示する表示手段、情報を入力するための入力手段、情報を記憶する記憶手段等が電気的に接続されている。
【0037】
ここで、図4は、ピッキングシステム1の表示手段に表示された棚条件設定用の設定画面の例である。
【0038】
この図4の画面は、低頻度商品割り付け率(例えば「20」%)を表示する割り付け率表示部41と、この割り付け率表示部41に表示される低頻度商品割り付け率を変更するための「割り付け率変更」ボタン42とを有している。そして、設定作業者が「割り付け率変更」ボタン42をクリック(操作)すると、この設定画面において、低頻度商品割り付け率を入力可能な状態となる。
【0039】
例えば低頻度商品割り付け率が「20」%に設定された場合には、オーダ情報に基づく受注行数が全受注行数に対して20%以内である商品は、収納棚手段(中高頻度商品用棚手段)3の間口2には割り付けられず、低頻度商品用棚手段26の間口に割り付けられる。
【0040】
なお、受注行数(以下、単に「行数」という)とは、作業者Xによるピッキング作業数(ピッキング単位数)であり、作業者Xが間口2にアクセスするアクセス数(作業負荷)を意味する。例えば1回のピッキング作業で作業者Xが間口2からピッキングする商品点数が常に1個であれば、「行数=点数」となる。
【0041】
また、図4の画面は、間口2のアドレスおよび割り付け順(割り付ける順番を示す数字)を表示する間口対応表示部43と、この間口対応表示部43に表示される割り付け順を変更するための「割り付け順変更」ボタン44とを有している。
【0042】
そして、例えば禁止棚(禁止間口)の設定・解除を行う場合には、設定作業者は、まず、設定・解除したい間口対応表示部43上の間口部分をクリックする。すると、「禁止棚設定」の項目45および「禁止棚解除」の項目46が表示される。その後、設定作業者は、設定したい項目を選択してクリックする。「禁止棚設定」の項目46をクリックした場合には対応する間口2が禁止棚の状態となり、「禁止棚解除」の項目46をクリックした場合には対応する間口2が禁止棚解除の状態となる。
【0043】
また、例えば割り付け順を変更する場合には、設定作業者は、まず、「割り付け順変更」ボタン44をクリックする。すると、設定されていた割り付け順がクリアされる。次いで、設定作業者は、割り付けしたい順に間口対応表示部43上の間口部分をクリックする。すると、割り付け順が間口対応表示部43に昇順に表示される。間口対応表示部43上の全ての間口部分(禁止棚がある場合にはその間口部分を除く)をクリックすると、割り付け順が変更不可の状態となる。なお、各ゾーンごとに異なる割り付け順を設定可能となっているが、全てのゾーンに対して共通の割り付け順しか設定できない構成でもよい。
【0044】
また、図4の画面は、収納棚手段3のゾーンNoおよび使用可能間口数(割り付け可能間口数)を表示する複数のゾーン選択ボタン48と、各ゾーン選択ボタン48ごとに設けられたチェックボックス49と、使用ゾーンを変更するための「使用ゾーン変更」ボタン50と、選択中の一のゾーンのゾーンNoを表示する選択ゾーン表示部51とを有している。
【0045】
そして、設定作業者が「使用ゾーン変更」ボタン50をクリックすると、チェックボックス49にチェックを入力することが可能な状態となる。この状態で、設定作業者は、使用するゾーンに対応するチェックボックス49にはチェックを入力し、使用しないゾーンに対応するチェックボックス49からチェックを外す。
【0046】
さらに、図4の画面は、互いに隣り合う2つのゾーン選択ボタン48ごとに位置する2ゾーン指定用のチェックボックス56を有している。そして、設定作業者は、連続的に並ぶ2つのゾーンに対して1人の作業者を担当させる場合にはチェックボックス56にチェックを入力し、1つのゾーンに対して1人の作業者を担当させる場合にはチェックボックス56からチェックを外す。つまり、2ゾーン指定のチェックボックス56をチェックすると、1人が2ゾーンを担当するモードに設定される。
【0047】
また、図4の画面は、1人2ゾーンモード時の上流ゾーン割り付け率(例えば「20」%)を表示する割り付け率表示部57と、この割り付け率表示部57に表示される上流ゾーン割り付け率を変更するための「割り付け率変更」ボタン58とを有している。
【0048】
そして、設定作業者が、割合変更用ボタンである「割り付け率変更」ボタン58をクリック(操作)すると、この設定画面において、上流ゾーン割り付け率(2つのゾーンのいずれか一方のピッキング作業数割合)を入力可能な状態となる。割り付け率表示部57に数値を入力して上流ゾーンの割り付け率(作業負荷割合)を手動で設定すると、下流ゾーンの割り付け率(作業負荷割合)が自動的に設定される。なお、割り付け率表示部57に表示される上流ゾーン割り付け率は、設定された全ての2つのゾーンに対して共通のものである。
【0049】
このように、図4の画面において、互いに隣り合う2つのゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能となっており、かつ、1人の作業者が担当する2つのゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合(行数の割合)を設定することが可能となっている。
【0050】
例えば、ゾーンNoが「1」・「2」の2つのゾーンに対して1人の作業者を担当として設定し、かつ、ゾーンNoが「1」の上流ゾーンの割り付け率を例えば「20」%として設定した場合を図5に示す。
【0051】
この場合、「1」のゾーンが中頻度棚となり、「2」のゾーンが高頻度棚となり、基本的には各ゾーンの全間口2に商品が割り付けられている。なお、場合によっては一部の間口2に商品が割り付けられないことがある。
【0052】
また、「2」のゾーン(収納棚11)から「1」のゾーン側の搬送手段6,7への商品投入はなく、「1」のゾーン(収納棚11)から「2」のゾーン側の搬送手段6,7への商品投入もない。さらに、「1」・「2」の両ゾーンで間口指示手段13のランプが同時(略同時を含む)に光るが、ピック順は、作業者Xの判断に任される。
【0053】
なお、図4の画面において、入力内容が変更された場合には、「変更あり」の項目52がステータス表示となる。そして、「設定」ボタン53がクリックされると、変更後の入力内容が設定される。「キャンセル」ボタン54がクリックされると、変更前の入力内容が図4の画面に表示される。
【0054】
図6は、ピッキングシステム1の表示手段に表示された商品情報入力用の設定画面の例である。
【0055】
この図6の画面において、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関し、特殊な商品の受注情報に対して、その商品特性に対応するグループ情報を関連付けて設定することが可能となっている。なお、1つのグループ情報に対して、商品特性が同一または類似する複数の商品を設定することが可能となっている。
【0056】
図6の画面は、受信した受注情報および入力された商品情報を一覧表にして表示する情報表示部を有している。
【0057】
この情報表示部61は、最後に受信した情報を対象データの初期表示とするが、変更用ボタン62の操作に基づく対象データの選択で過去4回の情報を表示することが可能である。また、表示条件は、「全件」または「グループ登録なし」を選択し、「表示」ボタン63をクリックすると、対象データが一覧表示される。
【0058】
そして、情報表示部61に受注情報が表示された後、設定作業者は、その受信した受注情報に応じて商品情報の入力を必要に応じて行なう。
【0059】
つまり、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関してのみ、その商品の受注情報に対応するように、グループ情報および固定情報を入力する。ただし、商品名をキーとして既にマスタ管理されている商品に関しては、自動で入力される。また、間口数については、行数および所定の係数等に応じて決定された間口数が自動で入力されるが、手動で入力するようにしてもよい。なお、入力なしの商品はグループ情報なし、間口数=0として処理される。すなわち例えばマスタ管理されていない場合やマスタ管理を変更する場合等には、作業者は、一覧表の「グループ」の欄にグループ名データ(例えば「大量品1」、「重量品1」等)や「固定」の項目を入力し、「固定」の項目を入力したときには一覧表の「固定ゾーンNo」および「固定アドレス」の欄にゾーンNoおよびアドレスも入力する。
【0060】
このとき、一覧表の「グループ」の欄のうち、グループ名データを入力したい空欄部分でクリックすると、予め設定されたグループ情報のグループ名データを含むリスト65が表示され、「グループ」(グループ名データ)や「固定」を選択して入力する。
【0061】
また、リスト65にないグループ情報を入力する場合には、「グループ管理」ボタン66をクリックすると、所定のグループ管理画面が表示され、このグループ管理画面中の「追加」ボタン67をクリックして新たなグループ情報を追加する。つまり、「追加」ボタン67の操作で表示された追加画面において、設定作業者は、グループ名データ、割り付け範囲指定用のゾーン位置データおよび割り付け範囲指定用の間口位置データを入力する。なお、グループ管理画面中の「変更」ボタン68、「設定」ボタン69、「キャンセル」ボタン70、「削除」ボタン71等を操作してグループ情報の変更や削除等も可能である。また、複数のグループ情報が設定された場合において、各グループ情報間で重複した間口を指定することは不可能である。
【0062】
そして、このような図6の画面において、商品情報の入力が完了した場合には、設定作業者は、「設定」ボタン73をクリックする。すると、情報表示部61に表示中の一覧表の入力内容が設定される。
【0063】
このとき、制御手段31は、入力内容のチェックを行い、異常検出時にはメッセージボックスを出力する。「キャンセル」ボタン74の操作で、設定前の情報を再表示する。具体的には、制御手段31は、固定アドレスの重複チェックを行い、重複がある場合には異常を報知する。また、制御手段31は、グループ情報のゾーン位置データおよび間口位置データから求められる指定間口数がグループ情報に対応する商品特性を有する受注商品の合計間口数を超えるか否かを判断し、その合計間口数を超える場合には異常を報知する。
【0064】
そして、上記のような固定ロケーション設定やグループ設定等によって商品の割り付けが行われることになるが、間口2への商品の割り付けによってピッキング作業性が左右される。
【0065】
そこで、このピッキングシステム1では、作業者別のゾーン割り付け機能を設け、各作業者別のヒット率の均等化(行数の均等化)を行える機能を実現し、かつ、1作業者で複数ゾーンを担当する場合には各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定可能とすることでピッキング作業効率を向上する機能を実現する。なお、これ以降の説明中、商品という記載は、商品もしくは1商品複数間口は1間口分を商品と解釈する(行数の多い商品は、隣接する複数の間口に設定可能であるため)。
【0066】
図4や図6等に示す設定画面による初期設定機能を利用して、(1)低頻度ゾーンの行数(点数)割合a%の設定、(2)ゾーン別の作業者割り付け設定(1作業者で、1ゾーンもしくは、隣り合う複数ゾーンを担当として設定可能)、(3)1作業者内のゾーン別の行数(点数)割合、つまり作業者の搬送方向上流比率M%の設定を行う。
【0067】
つまり図7に示すピッキングシステム1のシステム処理のフローチャートに示すように、前記(1)〜(3)以外に、固定ロケーション設定、グループ設定、使用ゾーン設定、禁止棚設定等も行う(ステップ1)。
【0068】
次いで、ピッキングシステム1の制御手段31は、固定ロケーション設定により間口割り付け(ステップ2)、グループ設定により間口設定(ステップ3)の後、高中頻度商品および低頻度商品の振り分け処理を行う(ステップ4)。
【0069】
高中頻度商品は、行数(点数)で多い順から総行数(総点数)で(100−a)%に該当する商品、もしくは、該当%内でも、割り当て可能な高中頻度の総間口数を超える場合は該当の間口数までとする。低頻度商品は、高中頻度商品以外の商品である。
【0070】
次いで、[高中頻度品処理1]として、作業者(ピッカー)別の振り分け処理を行う(ステップ5)。つまり、各作業者のピッキング作業数(行数)または各作業者のピッキング作業時間が均等(略均等を含む)となるように、各作業者別に以下の処理で商品の振り分けを実施する。
【0071】
図8に示すように、(i)行数(点数)が多い商品から順に、作業者別に商品を割り当てる。(ii)割り当てる順は、現在振り分けられた総行数(総点数)が一番少ない作業者へ順番に割り当てる。(iii)全商品が振り分けられるまで繰り返す。
【0072】
なお、作業者別に、作業者平均行数(点数)[=総行数(総点数)の作業者別の平均値]からの「掛け率」設定機能を設ける。「掛け率」を設定された作業者は、「掛け率」×作業者平均行数(点数)の値を上限値として以下の処理で商品の配分を行う。
【0073】
つまり、各作業者の単位時間当たりの行数は、ピッキング作業の経験度合いによって異なるため、例えば設定画面において、作業慣れしていない作業者に対しては「掛け率」として例えば0.7以上、1未満の数値を設定し、作業慣れした作業者に対しては「掛け率」として例えば1よりも大きく、1.3以下の数値を設定する。そして、このように「掛け率」が設定された作業者の行数は、「掛け率」が設定されていない作業者の行数とは異なる値となる。
【0074】
次いで、[高中頻度品処理2]として、1作業者複数ゾーンの振り分け処理を行う(ステップ6)。つまり、前記ステップ5での作業者別の振り分け処理のときに、「1作業者で複数ゾーン」となっている作業者は、以下の処理により、「行数(点数)の比率の高いゾーンから順次割り付け」られるように、商品をゾーン別に振り分ける。
【0075】
図9に示すように、例えば1人の作業者が隣接する2つのゾーンを担当するように設定され、行数の比率の高いゾーン(高頻度ゾーン)が搬送方向下流のゾーンである場合について説明する。
【0076】
(i)ステップ5により、順次割り当てられる商品の行数(点数)を累積加算し、その値が図9に示す数式1による「作業者の搬送方向下流ゾーンの平均行数(点数)」を超えるまで、2ゾーン中の下流のゾーンへ割り当てる。(ii)ステップ5での作業者別の振り分け処理のときに、前記(i)以降に該当作業者へ割り当てられる商品については、2ゾーン中の上流ゾーンへの割り当てとする。
【0077】
次いで、[高中頻度品処理3]として、ゾーン別商品(間口)数の調整処理を行う(ステップ7)。つまり、1ゾーン当たりの有効間口数(予め設定された使用可能間口数)に合わせたチューニング(調整)を行い、各ゾーンに振り分けられる間口数(商品数)が有効間口数以下になるように商品の入れ替えによって調整する。
【0078】
これまでの処理(高中頻度品処理1、2)でゾーン別に、商品を振り分けているが、実施のゾーンには振り分けられる間口数(商品数)に制限がある。よって、これらを割り付け可能な値に調整する。なお、このステップ7による調整処理は、ゾーン間の処理であり、作業者別の割り振りとは無関係である。
【0079】
図10に示すように、例えばゾーンNoが「1」〜「8」のゾーンでは有効間口数(使用可能間口数)が「18」に設定され、ゾーンNoが「9」〜「16」のゾーンでは有効間口数(使用可能間口数)が「24」に設定された場合について説明する。
【0080】
図11に示すように、有効間口数をオーバーしているゾーンをKゾーンとし、有効間口数−1以下で空き間口のあるゾーンをYゾーンとして説明する。(i)1つのKゾーンから行数(点数)の少ない複数商品(例えば2商品)を抽出し、全てのYゾーンから1商品で同数(同数がない場合は、一番近い値)の商品を選択し、Kゾーンの2商品とYゾーンの1商品とをデータ上で入れ替える。(ii)その(i)の入れ替え処理を、Kゾーンがなくなるまで繰り返す。
【0081】
次いで、[高中頻度品処理4]として、ゾーンの最適化処理を行う(ステップ8)。
【0082】
基本的には、前記高中頻度品処理1ないし3の処理を行うが、高中頻度品処理3(ステップ7)での商品の入れ替えで「同数がない場合、一番近い値」で処理するため、ゾーン間の比率(作業負担割合)にズレが発生する。これを補正するため、以下の処理を行う。
【0083】
(i)1作業者1ゾーン:作業者別の平均行数(点数)、(ii)1作業者2ゾーン(上流):1作業者2ゾーン(上流)の平均の行数(点数)、(iii)1作業者2ゾーン(下流):1作業者2ゾーン(下流)の平均の行数(点数)とする。なお、作業者別に、作業者平均行数(点数)[=総行数(総点数)の作業者別の平均値]からの「掛け率」設定がされている場合は、この値に「掛け率」を掛けた値となる。
【0084】
そして、これら(i)〜(iii)の各々で、平均値より「過多なゾーン」と「過少のゾーン」との差分の商品を「1対1」で、入れ替えることにより、ゾーンごとの平均化を実施する。この処理を繰り返し実施し、「全てのゾーンが平均値のx%以内となる」、もしくは、「設定回数n回、実施となる」まで処理する。なお、x%やn回は、それぞれ設定値である。
【0085】
次いで、[高中頻度品処理5]として、ゾーン内の間口割り当て処理を行う(ステップ9)。すなわち例えば、前記高中頻度品処理1ないし4でゾーン別に割り当てられた商品を、予め設定された割り付け順(優先順位)に従って、行数(点数)の多い順にゾーン内の間口に対して割り付ける。
【0086】
ここで、1人の作業者が担当する2つのゾーンに関しては、高頻度棚である上流ゾーンでの割り付け順と、中頻度棚である下流ゾーンでの割り付け順とが互いに異なるように設定することが好ましい。すなわち例えば、図12に示すように、下流ゾーンでは棚中央部の順番が早い割り付け順に設定し、上流ゾーンでは下流ゾーン側の棚側部の順番が早い割り付け順に設定する。このように設定することで、作業者の目配せの負担が軽減する。
【0087】
そして、ピッキングシステム1によれば、互いに隣り合う複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能であるため、例えば下流ゾーン側でのピッキング作業数が上流ゾーン側に比べて多くなるようにピッキング作業数割合を適切に設定することができ、よって、ピッキング作業性の向上を図ることができる。
【0088】
なお、上記実施の形態では、[高中頻度品処理3]としてゾーン別商品数の調整処理を行う場合について説明したが、例えば図6で別案として示すように、作業者別の間口数の上限まで作業者別間口数分布比率を元に振り分けることで、ゾーン別商品数の調整処理を行わないようにしてもよい。
【0089】
また、収納棚手段2の長手方向に沿って連続的に並んで互いに隣り合う2つのゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能な構成について説明したが、例えば連続的に並んで互いに隣り合う3つの以上のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定できるようにしてもよい。
【0090】
さらに、間口2からピッキングされた商品が投入されるケースKを搬送する搬送手段は、平行な2ラインのものには限定されず、1ラインのものや3ライン以上のものでもよい。また、ケースを用いずに、間口2からピッキングされた商品を上面に直接載せて搬送する構成等でもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 ピッキングシステム
2 間口
3 収納棚手段
10 作業者用スペース
56 チェックボックス
58 割合変更用ボタンである「割り付け率変更」ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング作業性の向上を図ることができるピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたピッキングシステムが知られている。
【0003】
この従来のピッキングシステムは、商品が収納される複数の間口を有する複数のゾーンが並んで構成された収納棚手段と、間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースと、作業者によって間口からピッキングされた商品が投入されるケースを収納棚手段の長手方向に沿って搬送する搬送手段とを備えている。そして、作業者用スペースには作業者が各ゾーンごとに1人ずつ配置され、1人の作業者が1つのゾーンを担当するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−1152号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のピッキングシステムにおいて、例えば1人の作業者が2つのゾーンを担当するようにした場合には、ピッキング作業性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ピッキング作業性の向上を図ることができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のピッキングシステムは、商品が収納される複数の間口を有する複数のゾーンが並んで構成された収納棚手段と、前記間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースとを備え、複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能であるものである。
【0008】
請求項2記載のピッキングシステムは、請求項1記載のピッキングシステムにおいて、収納棚手段を構成する全てのゾーンに関して、複数のゾーンごとに1人の作業者を担当として設定することが可能であるものである。
【0009】
請求項3記載のピッキングシステムは、請求項2記載のピッキングシステムにおいて、設定画面において、複数のゾーンごとに位置するチェックボックスをチェックすることにより、対応する複数のゾーンに対して1人の作業者が担当として設定されるものである。
【0010】
請求項4記載のピッキングシステムは、請求項2または3記載のピッキングシステムにおいて、設定画面において、割合変更用ボタンを操作することにより、1人の作業者が担当する複数のゾーン中の少なくとも1つのゾーンのピッキング作業数割合を入力可能な状態となるものである。
【0011】
請求項5記載のピッキングシステムは、請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、各作業者別に商品の振り分け処理を行い、その後、各ゾーン別の商品数が使用可能間口数以下になるように調整処理を行うものである。
【0012】
請求項6記載のピッキングシステムは、請求項1ないし5のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、作業者別にピッキング作業の経験度合いに応じた掛け率を設定することが可能であるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能であるため、ピッキング作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキングシステムの概略構成図である。
【図2】同上ピッキングシステムの部分平面図である。
【図3】同上ピッキングシステムのゾーンの間口アドレスを示す図である。
【図4】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された棚条件設定用の設定画面の例である。
【図5】同上ピッキングシステムで2つのゾーンに対して1人の作業者が担当として設定された場合の説明図である。
【図6】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された商品情報入力用の設定画面の例である。
【図7】同上ピッキングシステムのシステム処理のフローチャートである。
【図8】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理1の説明図である。
【図9】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理2の説明図である。
【図10】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理3の説明図である。
【図11】同上ピッキングシステムの高中頻度品処理3の説明図である。
【図12】1人の作業者が担当する2つのゾーンに関する割り付け順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2において、1はピッキングシステムで、このピッキングシステム1は、例えば作業者Xがオーダ情報に基づいて多種多様な商品についてピッキング作業をするためのピッキング設備(集品システム)である。
【0017】
ピッキングシステム1は、図1および図2に示されるように、ピッキング作業者である作業者Xがピッキングする商品(物品)が収納される複数の間口(商品収納部)2を有する複数のゾーン(収納棚)が長手方向に直線状に並んで構成された水平方向長手状の収納棚手段3を備えている。
【0018】
また、ピッキングシステム1は、作業者Xによって間口2からピッキングされた商品が投入されるケースKを収納棚手段3の長手方向に沿って搬送方向にタクト搬送する直線状の第1搬送手段(A系統)6と、この第1搬送手段6と平行状に配設され作業者Xによって間口2からピッキングされた商品が投入されるケースKを収納棚手段3の長手方向に沿って搬送方向にタクト搬送する第2搬送手段(B系統)7とを備えている。なお、第1搬送手段6と第2搬送手段7とは、少なくとも収納棚手段3と対応する部分が互いに平行状に配設されている。また、ケースKは、例えば上面が開口した箱形状の集品容器である。
【0019】
さらに、収納棚手段3と第1搬送手段6との間には細長い作業者用スペース10が設けられ、この作業者用スペース10には、収納棚手段3の間口2から商品をピッキングする複数の作業者Xが並んで位置している。
【0020】
収納棚手段3は、例えばゾーンナンバ(ゾーンNo)が「1」〜「16」と決められた16のゾーンにて構成されている。そして、図1の例では、例えばゾーン「1」および「2」、ゾーン「3」および「4」、ゾーン「5」および「6」、ゾーン「7」および「8」に関しては、隣り合う2つのゾーンに対して1人の作業者Xが担当として設定されている。また、ゾーン「9」ないし「16」に関しては、1つのゾーンに対して1人の作業者Xが担当として設定されている。
【0021】
各ゾーンは、例えば流動棚である収納棚11にて構成されている。収納棚11は、複数列複数段、すなわち例えば6列4段(合計24)の商品収納用の間口2を有しているが、使用可能な間口2の数(間口数)は24以下の数で任意に設定可能である。
【0022】
図3に示されるように、各ゾーンは、間口アドレス(アドレス)が下段側から上段側に向かって順に「01」〜「24」と決められた24個の間口2にて構成されている。なお、同じ段のアドレスは、正面視で左端側ほど若い数字となっている。間口2のロケーションは、ゾーンNoとアドレスとにて構成されるものである。
【0023】
また、各収納棚11の前面部には、各間口2に対応して位置する間口指示手段13が設けられている。間口指示手段13は、作業者Xに対してピッキングすべき商品が収納されている間口2を指示するものである。間口指示手段13は、例えば各間口2ごとに設けられたLEDランプ等である。また、各収納棚11には、表示装置であるゾーンモニタ14が設けられている。つまり、各ゾーンごとに、報知手段であるゾーンモニタ14が設けられている。なお、ゾーンモニタ14は必ずしも設ける必要がない。
【0024】
第1搬送手段6は、例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤ等のコンベヤ装置にて構成されている。第1搬送手段6は、フレーム部16と、このフレーム部16に設けられケースKを複数個、例えば5個を1組として複数組が所定隙間をおいて連続的に並んだ状態となって搬送方向にタクト搬送するローラ或いはベルト等の搬送部17と、この搬送部17を作動させるモータ等の駆動部18とを有している。
【0025】
また、第1搬送手段6のフレーム部16には、第1搬送手段6の停止時にこの第1搬送手段6上の各ケースKに対応して位置する第1ケース指示手段20が設けられている。第1ケース指示手段20は、作業者Xに対して間口2からピッキングした商品を投入すべき第1搬送手段6上のケースKを指示するものである。第1ケース指示手段20は、例えば第1搬送手段6上のケースKの各商品投入停止位置ごとに設けられたLEDランプ等である。
【0026】
そして、作業者Xは、商品をピッキングした担当のゾーンの対応位置(対向位置)に位置する複数個のケースKであって第1搬送手段6上の1組のケースK(例えば5個のケース)のうち、第1ケース指示手段20が投入指示を出した1個のケースKに対して、対応するゾーンの間口2からピッキングした商品を投入する。
【0027】
なお、1回のピッキング作業で、間口指示手段13にて指示された間口2からピッキングする商品の点数は1個には限られず、2個以上の場合もある。2個以上の商品を同時にピッキングする場合は、例えばピッキングすべき商品数量がゾーンモニタ14に表示される。なお、ピッキングすべき商品数量のみを表示する商品数量表示手段を別途設けてもよい。
【0028】
さらに、第1搬送手段6のフレーム部16には、指示されたケースKに商品が投入された後に作業者Xによって操作される完了スイッチ手段19が各ゾーンごとに設けられている。完了スイッチ手段19は、例えば長手方向長さ寸法が1つのゾーンの幅寸法と略同じテープスイッチ等である。なお、完了スイッチ手段19が操作されると、間口指示手段13が次のピッキング指示を出す。
【0029】
第2搬送手段7は、第1搬送手段6と同様、例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤ等のコンベヤ装置にて構成されている。第2搬送手段7は、フレーム部21と、このフレーム部21に設けられケースKを複数個、例えば5個を1組として複数組が所定隙間をおいて連続的に並んだ状態となって搬送方向にタクト搬送するローラ或いはベルト等の搬送部22と、この搬送部22を作動させるモータ等の駆動部23とを有している。
【0030】
また、第2搬送手段7のフレーム部21には、第2搬送手段7の停止時にこの第2搬送手段7上の各ケースKに対応して位置する第2ケース指示手段25が設けられている。第2ケース指示手段25は、作業者Xに対して間口2からピッキングした商品を投入すべき第2搬送手段7上のケースKを指示するものである。第2ケース指示手段25は、例えば第2搬送手段7上のケースKの各商品投入停止位置ごとに設けられたLEDランプ等である。
【0031】
そして、作業者Xは、商品をピッキングした担当のゾーンの対応位置(対向位置)に位置する複数個のケースKであって第2搬送手段7上の1組のケースK(例えば5個のケース)のうち、第2ケース指示手段25が投入指示を出した1個のケースKに対して、対応するゾーンの間口2からピッキングした商品を投入する。
【0032】
なお、1回のピッキング作業で、間口指示手段13にて指示された間口2からピッキングする商品の点数は1個には限られず、2個以上の場合もある。2個以上の商品を同時にピッキングする場合は、例えばピッキングすべき商品数量がゾーンモニタ14に表示される。なお、ピッキングすべき商品数量のみを表示する商品数量表示手段を別途設けてもよい。
【0033】
また、ゾーンモニタ14、間口指示手段13、第1ケース指示手段20および第2ケース指示手段25の各々は、作業者Xから容易に目視可能な位置に配設されている。
【0034】
また一方、図1に示されるように、ピッキングシステム1は、作業者Xがピッキングする低頻度商品が収納される低頻度商品用棚手段(低頻度ゾーン)26を備えている。作業者Xは、ピッキング指示および投入指示に従い、低頻度商品用棚手段26の間口から商品をピッキングしてケースKに投入する。
【0035】
さらに、ピッキングシステム1は、第1搬送手段6および第2搬送手段7をそれぞれ個別に制御する制御手段31を備えている。つまり、制御手段31は、オーダ情報に基づいて第1搬送手段6の駆動および停止と第2搬送手段7の駆動および停止とをそれぞれ個別に制御する。制御手段31には、搬送手段6,7、指示手段13,20,25およびゾーンモニタ14等が電気的に接続されている。
【0036】
また、この制御手段31は、ゾーンNoおよびアドレスからなるロケーションを決定して使用ゾーンの間口に対して商品を自動的に割り付ける割り付け処理等を含む各種処理を行う。なお、図示しないが、制御手段31には、設定画面等を表示する表示手段、情報を入力するための入力手段、情報を記憶する記憶手段等が電気的に接続されている。
【0037】
ここで、図4は、ピッキングシステム1の表示手段に表示された棚条件設定用の設定画面の例である。
【0038】
この図4の画面は、低頻度商品割り付け率(例えば「20」%)を表示する割り付け率表示部41と、この割り付け率表示部41に表示される低頻度商品割り付け率を変更するための「割り付け率変更」ボタン42とを有している。そして、設定作業者が「割り付け率変更」ボタン42をクリック(操作)すると、この設定画面において、低頻度商品割り付け率を入力可能な状態となる。
【0039】
例えば低頻度商品割り付け率が「20」%に設定された場合には、オーダ情報に基づく受注行数が全受注行数に対して20%以内である商品は、収納棚手段(中高頻度商品用棚手段)3の間口2には割り付けられず、低頻度商品用棚手段26の間口に割り付けられる。
【0040】
なお、受注行数(以下、単に「行数」という)とは、作業者Xによるピッキング作業数(ピッキング単位数)であり、作業者Xが間口2にアクセスするアクセス数(作業負荷)を意味する。例えば1回のピッキング作業で作業者Xが間口2からピッキングする商品点数が常に1個であれば、「行数=点数」となる。
【0041】
また、図4の画面は、間口2のアドレスおよび割り付け順(割り付ける順番を示す数字)を表示する間口対応表示部43と、この間口対応表示部43に表示される割り付け順を変更するための「割り付け順変更」ボタン44とを有している。
【0042】
そして、例えば禁止棚(禁止間口)の設定・解除を行う場合には、設定作業者は、まず、設定・解除したい間口対応表示部43上の間口部分をクリックする。すると、「禁止棚設定」の項目45および「禁止棚解除」の項目46が表示される。その後、設定作業者は、設定したい項目を選択してクリックする。「禁止棚設定」の項目46をクリックした場合には対応する間口2が禁止棚の状態となり、「禁止棚解除」の項目46をクリックした場合には対応する間口2が禁止棚解除の状態となる。
【0043】
また、例えば割り付け順を変更する場合には、設定作業者は、まず、「割り付け順変更」ボタン44をクリックする。すると、設定されていた割り付け順がクリアされる。次いで、設定作業者は、割り付けしたい順に間口対応表示部43上の間口部分をクリックする。すると、割り付け順が間口対応表示部43に昇順に表示される。間口対応表示部43上の全ての間口部分(禁止棚がある場合にはその間口部分を除く)をクリックすると、割り付け順が変更不可の状態となる。なお、各ゾーンごとに異なる割り付け順を設定可能となっているが、全てのゾーンに対して共通の割り付け順しか設定できない構成でもよい。
【0044】
また、図4の画面は、収納棚手段3のゾーンNoおよび使用可能間口数(割り付け可能間口数)を表示する複数のゾーン選択ボタン48と、各ゾーン選択ボタン48ごとに設けられたチェックボックス49と、使用ゾーンを変更するための「使用ゾーン変更」ボタン50と、選択中の一のゾーンのゾーンNoを表示する選択ゾーン表示部51とを有している。
【0045】
そして、設定作業者が「使用ゾーン変更」ボタン50をクリックすると、チェックボックス49にチェックを入力することが可能な状態となる。この状態で、設定作業者は、使用するゾーンに対応するチェックボックス49にはチェックを入力し、使用しないゾーンに対応するチェックボックス49からチェックを外す。
【0046】
さらに、図4の画面は、互いに隣り合う2つのゾーン選択ボタン48ごとに位置する2ゾーン指定用のチェックボックス56を有している。そして、設定作業者は、連続的に並ぶ2つのゾーンに対して1人の作業者を担当させる場合にはチェックボックス56にチェックを入力し、1つのゾーンに対して1人の作業者を担当させる場合にはチェックボックス56からチェックを外す。つまり、2ゾーン指定のチェックボックス56をチェックすると、1人が2ゾーンを担当するモードに設定される。
【0047】
また、図4の画面は、1人2ゾーンモード時の上流ゾーン割り付け率(例えば「20」%)を表示する割り付け率表示部57と、この割り付け率表示部57に表示される上流ゾーン割り付け率を変更するための「割り付け率変更」ボタン58とを有している。
【0048】
そして、設定作業者が、割合変更用ボタンである「割り付け率変更」ボタン58をクリック(操作)すると、この設定画面において、上流ゾーン割り付け率(2つのゾーンのいずれか一方のピッキング作業数割合)を入力可能な状態となる。割り付け率表示部57に数値を入力して上流ゾーンの割り付け率(作業負荷割合)を手動で設定すると、下流ゾーンの割り付け率(作業負荷割合)が自動的に設定される。なお、割り付け率表示部57に表示される上流ゾーン割り付け率は、設定された全ての2つのゾーンに対して共通のものである。
【0049】
このように、図4の画面において、互いに隣り合う2つのゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能となっており、かつ、1人の作業者が担当する2つのゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合(行数の割合)を設定することが可能となっている。
【0050】
例えば、ゾーンNoが「1」・「2」の2つのゾーンに対して1人の作業者を担当として設定し、かつ、ゾーンNoが「1」の上流ゾーンの割り付け率を例えば「20」%として設定した場合を図5に示す。
【0051】
この場合、「1」のゾーンが中頻度棚となり、「2」のゾーンが高頻度棚となり、基本的には各ゾーンの全間口2に商品が割り付けられている。なお、場合によっては一部の間口2に商品が割り付けられないことがある。
【0052】
また、「2」のゾーン(収納棚11)から「1」のゾーン側の搬送手段6,7への商品投入はなく、「1」のゾーン(収納棚11)から「2」のゾーン側の搬送手段6,7への商品投入もない。さらに、「1」・「2」の両ゾーンで間口指示手段13のランプが同時(略同時を含む)に光るが、ピック順は、作業者Xの判断に任される。
【0053】
なお、図4の画面において、入力内容が変更された場合には、「変更あり」の項目52がステータス表示となる。そして、「設定」ボタン53がクリックされると、変更後の入力内容が設定される。「キャンセル」ボタン54がクリックされると、変更前の入力内容が図4の画面に表示される。
【0054】
図6は、ピッキングシステム1の表示手段に表示された商品情報入力用の設定画面の例である。
【0055】
この図6の画面において、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関し、特殊な商品の受注情報に対して、その商品特性に対応するグループ情報を関連付けて設定することが可能となっている。なお、1つのグループ情報に対して、商品特性が同一または類似する複数の商品を設定することが可能となっている。
【0056】
図6の画面は、受信した受注情報および入力された商品情報を一覧表にして表示する情報表示部を有している。
【0057】
この情報表示部61は、最後に受信した情報を対象データの初期表示とするが、変更用ボタン62の操作に基づく対象データの選択で過去4回の情報を表示することが可能である。また、表示条件は、「全件」または「グループ登録なし」を選択し、「表示」ボタン63をクリックすると、対象データが一覧表示される。
【0058】
そして、情報表示部61に受注情報が表示された後、設定作業者は、その受信した受注情報に応じて商品情報の入力を必要に応じて行なう。
【0059】
つまり、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関してのみ、その商品の受注情報に対応するように、グループ情報および固定情報を入力する。ただし、商品名をキーとして既にマスタ管理されている商品に関しては、自動で入力される。また、間口数については、行数および所定の係数等に応じて決定された間口数が自動で入力されるが、手動で入力するようにしてもよい。なお、入力なしの商品はグループ情報なし、間口数=0として処理される。すなわち例えばマスタ管理されていない場合やマスタ管理を変更する場合等には、作業者は、一覧表の「グループ」の欄にグループ名データ(例えば「大量品1」、「重量品1」等)や「固定」の項目を入力し、「固定」の項目を入力したときには一覧表の「固定ゾーンNo」および「固定アドレス」の欄にゾーンNoおよびアドレスも入力する。
【0060】
このとき、一覧表の「グループ」の欄のうち、グループ名データを入力したい空欄部分でクリックすると、予め設定されたグループ情報のグループ名データを含むリスト65が表示され、「グループ」(グループ名データ)や「固定」を選択して入力する。
【0061】
また、リスト65にないグループ情報を入力する場合には、「グループ管理」ボタン66をクリックすると、所定のグループ管理画面が表示され、このグループ管理画面中の「追加」ボタン67をクリックして新たなグループ情報を追加する。つまり、「追加」ボタン67の操作で表示された追加画面において、設定作業者は、グループ名データ、割り付け範囲指定用のゾーン位置データおよび割り付け範囲指定用の間口位置データを入力する。なお、グループ管理画面中の「変更」ボタン68、「設定」ボタン69、「キャンセル」ボタン70、「削除」ボタン71等を操作してグループ情報の変更や削除等も可能である。また、複数のグループ情報が設定された場合において、各グループ情報間で重複した間口を指定することは不可能である。
【0062】
そして、このような図6の画面において、商品情報の入力が完了した場合には、設定作業者は、「設定」ボタン73をクリックする。すると、情報表示部61に表示中の一覧表の入力内容が設定される。
【0063】
このとき、制御手段31は、入力内容のチェックを行い、異常検出時にはメッセージボックスを出力する。「キャンセル」ボタン74の操作で、設定前の情報を再表示する。具体的には、制御手段31は、固定アドレスの重複チェックを行い、重複がある場合には異常を報知する。また、制御手段31は、グループ情報のゾーン位置データおよび間口位置データから求められる指定間口数がグループ情報に対応する商品特性を有する受注商品の合計間口数を超えるか否かを判断し、その合計間口数を超える場合には異常を報知する。
【0064】
そして、上記のような固定ロケーション設定やグループ設定等によって商品の割り付けが行われることになるが、間口2への商品の割り付けによってピッキング作業性が左右される。
【0065】
そこで、このピッキングシステム1では、作業者別のゾーン割り付け機能を設け、各作業者別のヒット率の均等化(行数の均等化)を行える機能を実現し、かつ、1作業者で複数ゾーンを担当する場合には各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定可能とすることでピッキング作業効率を向上する機能を実現する。なお、これ以降の説明中、商品という記載は、商品もしくは1商品複数間口は1間口分を商品と解釈する(行数の多い商品は、隣接する複数の間口に設定可能であるため)。
【0066】
図4や図6等に示す設定画面による初期設定機能を利用して、(1)低頻度ゾーンの行数(点数)割合a%の設定、(2)ゾーン別の作業者割り付け設定(1作業者で、1ゾーンもしくは、隣り合う複数ゾーンを担当として設定可能)、(3)1作業者内のゾーン別の行数(点数)割合、つまり作業者の搬送方向上流比率M%の設定を行う。
【0067】
つまり図7に示すピッキングシステム1のシステム処理のフローチャートに示すように、前記(1)〜(3)以外に、固定ロケーション設定、グループ設定、使用ゾーン設定、禁止棚設定等も行う(ステップ1)。
【0068】
次いで、ピッキングシステム1の制御手段31は、固定ロケーション設定により間口割り付け(ステップ2)、グループ設定により間口設定(ステップ3)の後、高中頻度商品および低頻度商品の振り分け処理を行う(ステップ4)。
【0069】
高中頻度商品は、行数(点数)で多い順から総行数(総点数)で(100−a)%に該当する商品、もしくは、該当%内でも、割り当て可能な高中頻度の総間口数を超える場合は該当の間口数までとする。低頻度商品は、高中頻度商品以外の商品である。
【0070】
次いで、[高中頻度品処理1]として、作業者(ピッカー)別の振り分け処理を行う(ステップ5)。つまり、各作業者のピッキング作業数(行数)または各作業者のピッキング作業時間が均等(略均等を含む)となるように、各作業者別に以下の処理で商品の振り分けを実施する。
【0071】
図8に示すように、(i)行数(点数)が多い商品から順に、作業者別に商品を割り当てる。(ii)割り当てる順は、現在振り分けられた総行数(総点数)が一番少ない作業者へ順番に割り当てる。(iii)全商品が振り分けられるまで繰り返す。
【0072】
なお、作業者別に、作業者平均行数(点数)[=総行数(総点数)の作業者別の平均値]からの「掛け率」設定機能を設ける。「掛け率」を設定された作業者は、「掛け率」×作業者平均行数(点数)の値を上限値として以下の処理で商品の配分を行う。
【0073】
つまり、各作業者の単位時間当たりの行数は、ピッキング作業の経験度合いによって異なるため、例えば設定画面において、作業慣れしていない作業者に対しては「掛け率」として例えば0.7以上、1未満の数値を設定し、作業慣れした作業者に対しては「掛け率」として例えば1よりも大きく、1.3以下の数値を設定する。そして、このように「掛け率」が設定された作業者の行数は、「掛け率」が設定されていない作業者の行数とは異なる値となる。
【0074】
次いで、[高中頻度品処理2]として、1作業者複数ゾーンの振り分け処理を行う(ステップ6)。つまり、前記ステップ5での作業者別の振り分け処理のときに、「1作業者で複数ゾーン」となっている作業者は、以下の処理により、「行数(点数)の比率の高いゾーンから順次割り付け」られるように、商品をゾーン別に振り分ける。
【0075】
図9に示すように、例えば1人の作業者が隣接する2つのゾーンを担当するように設定され、行数の比率の高いゾーン(高頻度ゾーン)が搬送方向下流のゾーンである場合について説明する。
【0076】
(i)ステップ5により、順次割り当てられる商品の行数(点数)を累積加算し、その値が図9に示す数式1による「作業者の搬送方向下流ゾーンの平均行数(点数)」を超えるまで、2ゾーン中の下流のゾーンへ割り当てる。(ii)ステップ5での作業者別の振り分け処理のときに、前記(i)以降に該当作業者へ割り当てられる商品については、2ゾーン中の上流ゾーンへの割り当てとする。
【0077】
次いで、[高中頻度品処理3]として、ゾーン別商品(間口)数の調整処理を行う(ステップ7)。つまり、1ゾーン当たりの有効間口数(予め設定された使用可能間口数)に合わせたチューニング(調整)を行い、各ゾーンに振り分けられる間口数(商品数)が有効間口数以下になるように商品の入れ替えによって調整する。
【0078】
これまでの処理(高中頻度品処理1、2)でゾーン別に、商品を振り分けているが、実施のゾーンには振り分けられる間口数(商品数)に制限がある。よって、これらを割り付け可能な値に調整する。なお、このステップ7による調整処理は、ゾーン間の処理であり、作業者別の割り振りとは無関係である。
【0079】
図10に示すように、例えばゾーンNoが「1」〜「8」のゾーンでは有効間口数(使用可能間口数)が「18」に設定され、ゾーンNoが「9」〜「16」のゾーンでは有効間口数(使用可能間口数)が「24」に設定された場合について説明する。
【0080】
図11に示すように、有効間口数をオーバーしているゾーンをKゾーンとし、有効間口数−1以下で空き間口のあるゾーンをYゾーンとして説明する。(i)1つのKゾーンから行数(点数)の少ない複数商品(例えば2商品)を抽出し、全てのYゾーンから1商品で同数(同数がない場合は、一番近い値)の商品を選択し、Kゾーンの2商品とYゾーンの1商品とをデータ上で入れ替える。(ii)その(i)の入れ替え処理を、Kゾーンがなくなるまで繰り返す。
【0081】
次いで、[高中頻度品処理4]として、ゾーンの最適化処理を行う(ステップ8)。
【0082】
基本的には、前記高中頻度品処理1ないし3の処理を行うが、高中頻度品処理3(ステップ7)での商品の入れ替えで「同数がない場合、一番近い値」で処理するため、ゾーン間の比率(作業負担割合)にズレが発生する。これを補正するため、以下の処理を行う。
【0083】
(i)1作業者1ゾーン:作業者別の平均行数(点数)、(ii)1作業者2ゾーン(上流):1作業者2ゾーン(上流)の平均の行数(点数)、(iii)1作業者2ゾーン(下流):1作業者2ゾーン(下流)の平均の行数(点数)とする。なお、作業者別に、作業者平均行数(点数)[=総行数(総点数)の作業者別の平均値]からの「掛け率」設定がされている場合は、この値に「掛け率」を掛けた値となる。
【0084】
そして、これら(i)〜(iii)の各々で、平均値より「過多なゾーン」と「過少のゾーン」との差分の商品を「1対1」で、入れ替えることにより、ゾーンごとの平均化を実施する。この処理を繰り返し実施し、「全てのゾーンが平均値のx%以内となる」、もしくは、「設定回数n回、実施となる」まで処理する。なお、x%やn回は、それぞれ設定値である。
【0085】
次いで、[高中頻度品処理5]として、ゾーン内の間口割り当て処理を行う(ステップ9)。すなわち例えば、前記高中頻度品処理1ないし4でゾーン別に割り当てられた商品を、予め設定された割り付け順(優先順位)に従って、行数(点数)の多い順にゾーン内の間口に対して割り付ける。
【0086】
ここで、1人の作業者が担当する2つのゾーンに関しては、高頻度棚である上流ゾーンでの割り付け順と、中頻度棚である下流ゾーンでの割り付け順とが互いに異なるように設定することが好ましい。すなわち例えば、図12に示すように、下流ゾーンでは棚中央部の順番が早い割り付け順に設定し、上流ゾーンでは下流ゾーン側の棚側部の順番が早い割り付け順に設定する。このように設定することで、作業者の目配せの負担が軽減する。
【0087】
そして、ピッキングシステム1によれば、互いに隣り合う複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能であるため、例えば下流ゾーン側でのピッキング作業数が上流ゾーン側に比べて多くなるようにピッキング作業数割合を適切に設定することができ、よって、ピッキング作業性の向上を図ることができる。
【0088】
なお、上記実施の形態では、[高中頻度品処理3]としてゾーン別商品数の調整処理を行う場合について説明したが、例えば図6で別案として示すように、作業者別の間口数の上限まで作業者別間口数分布比率を元に振り分けることで、ゾーン別商品数の調整処理を行わないようにしてもよい。
【0089】
また、収納棚手段2の長手方向に沿って連続的に並んで互いに隣り合う2つのゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能な構成について説明したが、例えば連続的に並んで互いに隣り合う3つの以上のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定できるようにしてもよい。
【0090】
さらに、間口2からピッキングされた商品が投入されるケースKを搬送する搬送手段は、平行な2ラインのものには限定されず、1ラインのものや3ライン以上のものでもよい。また、ケースを用いずに、間口2からピッキングされた商品を上面に直接載せて搬送する構成等でもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 ピッキングシステム
2 間口
3 収納棚手段
10 作業者用スペース
56 チェックボックス
58 割合変更用ボタンである「割り付け率変更」ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が収納される複数の間口を有する複数のゾーンが並んで構成された収納棚手段と、
前記間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースとを備え、
複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、
1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能である
ことを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
収納棚手段を構成する全てのゾーンに関して、複数のゾーンごとに1人の作業者を担当として設定することが可能である
ことを特徴とする請求項1記載のピッキングシステム。
【請求項3】
設定画面において、複数のゾーンごとに位置するチェックボックスをチェックすることにより、対応する複数のゾーンに対して1人の作業者が担当として設定される
ことを特徴とする請求項2記載のピッキングシステム。
【請求項4】
設定画面において、割合変更用ボタンを操作することにより、1人の作業者が担当する複数のゾーン中の少なくとも1つのゾーンのピッキング作業数割合を入力可能な状態となる
ことを特徴とする請求項2または3記載のピッキングシステム。
【請求項5】
各作業者別に商品の振り分け処理を行い、その後、各ゾーン別の商品数が使用可能間口数以下になるように調整処理を行う
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステム。
【請求項6】
作業者別にピッキング作業の経験度合いに応じた掛け率を設定することが可能である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のピッキングシステム。
【請求項1】
商品が収納される複数の間口を有する複数のゾーンが並んで構成された収納棚手段と、
前記間口から商品をピッキングする複数の作業者が並んで位置する作業者用スペースとを備え、
複数のゾーンに対して1人の作業者を担当として設定することが可能であり、
1人の作業者が担当する複数のゾーンに関する各ゾーン別のピッキング作業数割合を設定することが可能である
ことを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
収納棚手段を構成する全てのゾーンに関して、複数のゾーンごとに1人の作業者を担当として設定することが可能である
ことを特徴とする請求項1記載のピッキングシステム。
【請求項3】
設定画面において、複数のゾーンごとに位置するチェックボックスをチェックすることにより、対応する複数のゾーンに対して1人の作業者が担当として設定される
ことを特徴とする請求項2記載のピッキングシステム。
【請求項4】
設定画面において、割合変更用ボタンを操作することにより、1人の作業者が担当する複数のゾーン中の少なくとも1つのゾーンのピッキング作業数割合を入力可能な状態となる
ことを特徴とする請求項2または3記載のピッキングシステム。
【請求項5】
各作業者別に商品の振り分け処理を行い、その後、各ゾーン別の商品数が使用可能間口数以下になるように調整処理を行う
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステム。
【請求項6】
作業者別にピッキング作業の経験度合いに応じた掛け率を設定することが可能である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のピッキングシステム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図1】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図1】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−28448(P2013−28448A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166650(P2011−166650)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
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