説明

ピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体

【課題】 分子量及び分子量分布の制御された高分子量のピペリジル基を有する重合体又は共重合体を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(I)で表される構成単位より構成される、数平均分子量30,000以上であるピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジル基を有する高分子量の重合体及び共重合体、並びに該重合体及び共重合体の製造方法に関する。該重合体及び該共重合体は、樹脂耐候性改良剤、重合禁止剤等として有用なものである。
【背景技術】
【0002】
ピペリジル基、特にニトロキシドラジカルを有する重合体は、様々な条件において安定であるポリマーとして知られており、樹脂耐候性改良剤等として用いられている。非特許文献1及び特許文献1には、ラジカル重合反応を用いて製造したニトロキシドラジカルを有する重合体が、非特許文献2には、アニオン重合反応を用いて製造したニトロキシドラジカルを有する重合体が、それぞれ記載されている。
【0003】
しかしながら、ラジカル重合法によっては分子量及び分子量分布を制御するのが困難であり、また、従来のアニオン重合法によっては、収率が低い上に高分子量の重合体を得ることができないという問題があった。
【0004】
【非特許文献1】Polym.J.,14(5),363(1982)
【非特許文献2】J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,10,3295(1972)
【特許文献1】特開2002−313344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、分子量及び分子量分布の制御された高分子量のピペリジル基を有する重合体又は共重合体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のピペリジル基含有重合体が上記目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される構成単位より構成される、数平均分子量30,000以上のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体、及びアニオン重合反応による該ピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【化1】

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、THF等の溶媒に溶けにくい又は不溶である高分子量のピペリジル基含有重合体又は共重合体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のピペリジル基含有高分子量重合体及びピペリジル基含有高分子量共重合体について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0011】
上記一般式(I)中、Rで表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等が挙げられ、Rで表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0012】
本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体において、上記構成単位の数をmとすると、上記一般式(I)においてXで表される基は、少なくとも2つが前記一般式(II)で表される基であり、残りの(m−2)個がLiである。mは、数平均分子量30000以上を与える数であり、150〜5000が好ましい。また、Liの数は0〜1000が好ましい。
【0013】
上記一般式(I)で表される構成単位より構成される本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体の好ましい具体例としては、下記化合物No.1〜No.5が挙げられる。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体の分子量は、数平均分子量が30,000以上であり、好ましくは40,000〜1,000,000、さらに好ましくは60,000〜500,000である。なお、この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで標準ポリスチレン換算した分子量を示す。
【0020】
本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体は、上記一般式(I)で表される構成単位より構成される重合体又は共重合体に、さらに共重合性架橋剤を共重合させて架橋構造を取るようにしたものであってもよい。
【0021】
上記共重合性架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリシジルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド化合物;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等のジビニル化合物等が挙げられ、これらの中でもジ(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0022】
上記共重合性架橋剤は、本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体における上記一般式(I)で表される構成単位で構成される部分の合計量に対して、通常0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%となる範囲で用いることができる。
【0023】
本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体の中にはテトラヒドロフラン(THF)溶媒に不溶であるものが含まれるが、その要因としては、重合度が高いこと、ポリマー主鎖の立体規則性が高く結晶性が高いこと、架橋剤との共重合により高分子量化されていること等が挙げられる。
【0024】
本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体は、モノマー化合物をアニオン重合反応させることにより、製造することができる。
【0025】
上記アニオン重合反応において用いることができる重合開始剤は、アニオン重合用の通常の開始剤の中から選択することができ、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等の有機アルカリ金属;アルカリ金属土類のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等の有機アルカリ土類金属;有機アルミニウム;グリニャール試薬;ナトリウムアミド;金属水酸化物;アルフィン触媒等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができ、グリニャール試薬が特に好ましく用いられる。重合開始剤は、モノマー化合物1モルに対して、0.01〜0.5モルの割合で用いるのが好ましい。
【0026】
上記有機アルカリ金属としては、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、n−ブチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム、ジフェニルメチルナトリウム、ジフェニルメチルカリウム、ジフェニルメチルリチウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げることができる。
【0027】
上記有機アルカリ土類金属としては、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、ケチルバリウム等が挙げられる。
【0028】
上記有機アルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジヘキシルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、ヘキシルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムクロリド;ジメチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジプロピルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジヘキシルアルミニウムヒドリド等のアルキルアルミニウムヒドリド;メチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム等のアルキルアルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
【0029】
上記グリニャール試薬は、一般に、下記一般式(III)で表される化合物であり、好ましい具体例としては、t−ブチルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミドが挙げられる。
【0030】
【化7】

【0031】
上記アニオン重合反応に用いることができる重合溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体又は共重合体と相溶性のある溶媒であれば特に制限されず、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系溶媒;ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等の飽和炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を例示することができ、特にテトラヒドロフラン、トルエンが好ましい。また、これらの溶媒は、単独で又は2種以上の混合溶媒として用いることができる。これらの溶媒を使用する場合、その使用量は、使用する重合開始剤の種類、目的とする重合体又は共重合体の分子量、溶媒の種類等に応じて適宜調整し得るが、反応の円滑な進行等の点から、一般的には、モノマー化合物の合計量100重量部に対して200〜3000重量部の範囲内で溶媒を用いることが好ましい。
【0032】
上記アニオン重合反応では、反応系内への水分の混入を可能な限り阻止することが望ましい。したがって、モノマー化合物、他の任意の化学物質(例えば有機溶媒)等の系中に供給する化学物質については、できるだけ水分を含有していないものを使用することが好ましく、そのために、必要に応じて予め脱気及び脱水処理しておくことができる。また、反応は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0033】
さらに、上記アニオン重合反応は、反応系内の反応条件が均一になるように、例えば、十分な撹拌条件下で行うことが好ましい。
【0034】
上記アニオン重合反応において、反応系の温度については特には限定されず、重合開始剤の種類、モノマー化合物の種類等に応じて適宜好適な温度条件を選択すればよいが、−100℃〜50℃が好ましく、−20℃〜20℃がさらに好ましい。また、通常、該反応の所要時間は10秒間〜72時間の範囲内である。
【0035】
本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体は、感熱記録材料、感圧記録材料、インクジェット記録材料、熱転写シート記録材料等に用いる耐光性付与剤、水性被覆材、樹脂耐候性改良剤、重合禁止剤、酸化触媒等の各種の用途に用いることができ、その用途に特に制限はない。
【0036】
また、本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体の使用時には、必要に応じて、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤、リン系、フェノール系、硫黄系の抗酸化剤、造核剤、難燃剤、金属石けん、加工助剤、充填剤、分散剤、乳化剤、滑剤、着色染料、着色顔料、帯電防止剤、防腐剤、抗菌剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、界面活性剤、蛍光増白剤、pH調整剤、増粘剤、凝集防止剤、香料等の周知一般に用いられている添加剤等を併用することができる。
【0037】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0038】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0039】
上記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、 トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0040】
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス (4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0041】
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
実施例1〜3は、前記一般式(I)で表される構成単位の1種から構成される本発明の重合体の実施例を示し、実施例4〜6は、上記構成単位の2種から構成される本発明の共重合体の実施例を示し、実施例7〜8は、上記構成単位の1種及び共重合性架橋剤から構成される本発明の共重合体(架橋ポリマー)の実施例を示す。また、比較例1は、実施例1と同じ構成単位から構成されるが数平均分子量が30000以下である低分子量重合体の実施例を示す。評価例1及び2それぞれにおいては、本発明の重合体又は共重合体及び比較化合物について、樹脂耐候性改良剤及び重合禁止剤としての性能評価を行なった。
【0043】
[実施例1]化合物No.1の合成1
窒素雰囲気下、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TMA)102.1g(0.425モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらt−ブチルマグネシウムクロリドTHF溶液(2M)10.7ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体16.3g(収率16%)を得た。数平均分子量は57,000であった。
【0044】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。以下に測定結果を示す。
IR(cm-1):
2975、2938、1726、1465、1363、1240、1175、1147、1006、983、965、754
NOラジカル当量:241.5
【0045】
[実施例2]化合物No.1の合成2
窒素雰囲気下、TMA102.1g(0.425モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらフェニルマグネシウムブロミドエーテル溶液(3M)7.1ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体63.7g(収率62%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0046】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。以下に測定結果を示す。
IR(cm-1):
2976、2939、1726、1465、1363、1240、1178、1147、1008、965、937、754
NOラジカル当量:240.8
【0047】
[実施例3]化合物No.2の合成
窒素雰囲気下、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TA)96.2g(0.425モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらフェニルマグネシウムブロミドエーテル溶液(3M)7.1ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体39.4g(収率41%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0048】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。以下に測定結果を示す。
IR(cm-1):
2976、2937、1728、1464、1364、1233、1167、1009、983、959、752
NOラジカル当量:228.6
【0049】
[実施例4]化合物No.3の合成1
窒素雰囲気下、TMA40.9g(0.170モル)及びTA57.7g(0.255モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらフェニルマグネシウムブロミドエーテル溶液(3M)7.1ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体25.6g(収率26%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0050】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。以下に測定結果を示す。
IR(cm-1):
2976、2938、1730、1465、1364、1234、1167、1008、962、937、754
NOラジカル当量:233.1
【0051】
[実施例5]化合物No.3の合成2
窒素雰囲気下、TMA97.0g(0.404モル)及びTA4.7g(0.021モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらフェニルマグネシウムブロミドエーテル溶液(3M)7.1ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体61.0g(収率60%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0052】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。以下に測定結果を示す。
IR(cm-1):
2976、2938、1730、1465、1363、1234、1167、1009、962、937、754
NOラジカル当量:240.1
【0053】
[実施例6]化合物No.4の合成
窒素雰囲気下、TMA99.1g(0.412モル)及びトリメチルシリルオキシメタクリレート4.7g(0.030モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらフェニルマグネシウムブロミドエーテル溶液(3M)7.1ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体73.1gを得た。得られた固体をTHF60gに溶解させ、メタノール200ml、水200ml、水酸化リチウム4gの混合液によく攪拌しながら滴下し、析出した固体をろ別して橙色粉体49.8g(収率49%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0054】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。以下に測定結果を示す。
IR(cm-1):
3426、2976、2938、1726、1597、1465、1363、1240、1178、1148、1007、966、937、755
NOラジカル当量:233.4
【0055】
[実施例7]架橋ポリマー(TMA及びエチレングリコールジメタクリレートの共重合体)の合成1
窒素雰囲気下、TMA97.4g(0.405モル)及びエチレングリコールジメタクリレート1.6g(0.008モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−5℃まで冷却した。−7〜−3℃で激しく攪拌しながらフェニルマグネシウムブロミドエーテル溶液(3M)7.1ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体66.3g(収率67%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0056】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。
IR(cm-1):
2936、2974、1725、1464、1363、1240、1144、1007、966、753
NOラジカル当量:233.4
【0057】
[実施例8]架橋ポリマー(TMA及びエチレングリコールジメタクリレートの共重合体)の合成2
窒素雰囲気下、TMA97.4g(0.405モル)及びエチレングリコールジメタクリレート1.6g(0.008モル)を仕込み、乾燥トルエン584mlを加えて溶解させ、−20℃まで冷却した。−10℃で激しく攪拌しながらt−ブチルマグネシウムクロリドエーテル溶液(2M)10.7ml(0.021モル)を徐々に滴下し、5時間攪拌した。その後、攪拌を停止し室温で10時間放置した。N,N−ジメチルホルムアミド440mlを加え、80〜90℃で15分攪拌し、40℃まで冷却した後、得られたスラリーをメタノール7800ml、水160ml及び酢酸30mlの混合溶液に激しく攪拌しながら徐々に滴下した。析出した固体をろ別し、120℃で減圧乾燥して橙色粉体66.3g(収率67%)を得た。得られた粉体はTHF溶媒不溶のため数平均分子量が測定できなかったが、その数平均分子量は57,000超であった。
【0058】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。
IR(cm-1):
2938、2975、1725、1465、1363、1240、1147、1006、965、754
NOラジカル当量:242.5
【0059】
[比較例1] 化合物No.1と同じ構成単位より構成される低分子量化合物の合成
窒素雰囲気下、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン95.6g(0.425モル)を仕込み、THF300mlを加えて溶解させた後、アゾイソブチロニトリル1.38gを加えて80℃で5時間攪拌した。室温に冷却後、反応混合液をn−ヘキサン3.8l中に激しく攪拌しながら徐々に滴下して30分攪拌した。析出した固体をろ別し、白色固体81.3gを得た。得られた固体をジクロロメタン250mlに溶解させ、5℃に冷却してm−クロロ過安息香酸(純度65%)170g(0.638モル)を加えて1時間攪拌した。析出した固体をろ別し、有機層を5%炭酸ナトリウム水溶液50mlで3回洗浄し、さらに水洗した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、室温で減圧乾燥して橙色粉体77.0g(収率76%)を得た。数平均分子量は18,000であった。
【0060】
得られた粉体については、IR測定を行い、目的物であることを確認した。また、電子スピン共鳴(ESR)法によりNOラジカル当量を測定した。
IR(cm-1):
2976、2939、1726、1465、1363、1240、1178、1147、1008、965、937、754
NOラジカル当量:343.0
【0061】
[評価例1−1〜1−5及び比較評価例1−1〜1−2]
平均分子量3000のポリプロピレングリコール850gにトリレンジイソシアネート148gを加えて、80℃で12時間攪拌して反応させて、イソシアネート基を3.6重量%含有するウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマー100重量部に、ポリプロピレングリコール15重量部、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)10重量部、炭酸カルシウム58.4重量部、ジオクチルフタレート15重量部、オクチル酸鉛0.8重量部及びピペリジル基含有重合体又は共重合体(表1記載)を加えて混錬し、混錬物を20mm(w)×100mm(l)×10mm(d)の容器に表面が平滑になるように充填し、3日間室温で硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物を試験片とし、サンシャインウエザオメータ(スガ試験機社製)で、63℃にて、降雨なし2時間と降雨あり18分とのサイクルを繰り返す条件で試験片を暴露し、暴露開始から100時間後及び500時間後の色差(ΔE)を測定して耐候性評価とした。色差は、紫外線照射
前のものを基準とし、JIS−K7105に準じて測定し、ハンターの色差式により求めた。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
[評価例2−1〜2−6及び比較評価例2−1〜2−2]
2−ヒドロキシエチルアクリレートに、ピペリジル基含有重合体又は共重合体である化合物No.1、No.3又はNo.4(表2記載)を表2に示す添加量で添加し、ガラス管に入れて封管後、100℃で3時間振とうした(評価例2−1〜2−5)。振とう後のガラス管の内容物について、IR分析により、残存二重結合の量を求め、その減少率を重合率とした。また、評価例2−3の振とう後のガラス管の内容物から、ろ過により重合体を回収し、回収した重合体を使用して上記と同様の方法で重合率を求めた(評価例2−6)。これらの結果を表2に示す。
【0064】
また、比較として、2−ヒドロキシエチルアクリレートに上記重合体又は共重合体を未添加のもの(比較評価例2−1)、比較化合物2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシルを添加したもの(比較評価例2−2)についても、同様の方法で重合率を求めた。その結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
アニオン重合反応により合成した本発明のピペリジル基含有重合体又は共重合体は、従来のラジカル重合反応により合成したのものより、溶媒への溶解性が低く、高分子量であった(実施例1〜8及び比較例1)。また、表1の結果から明らかなように、本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体を合成樹脂に添加した場合、従来のピペリジル基含有低分子量重合体又は共重合体を添加したものより、優れた耐候性を合成樹脂に付与することができた。さらに、表2の結果から明らかなように、本発明のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体は、重合禁止剤として使用した場合、優れた性能を示すことが確認でき、また、ろ過により容易に除去回収でき再使用可能であることも確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される構成単位より構成される、数平均分子量30,000以上であるピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体。
【化1】

【請求項2】
数平均分子量40,000以上である請求項1記載のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体。
【請求項3】
上記一般式(II)において、Rが酸素遊離基である請求項1又は2記載のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体に、さらに共重合性架橋剤を共重合させてなるピペリジル基含有架橋性高分子量共重合体。
【請求項5】
上記共重合性架橋剤が、ジ(メタ)アクリレート化合物である請求項4記載のピペリジル基含有架橋性高分子量共重合体。
【請求項6】
アニオン重合反応による請求項1〜5のいずれかに記載のピペリジル基含有高分子量重合体又は共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2006−16428(P2006−16428A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193087(P2004−193087)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】