説明

ピーリング化粧料及びその使用方法

【課題】皮膚に負担をかけることなく、余分な角質を容易に取り除くことができる安全性の高いピーリング化粧料、及びその使用方法を提供する。
【解決手段】グリコール酸等のα−ヒドロキシ酸を含有したpHが3.5〜5.0の第一ピーリング化粧料と、水性ゲル形成高分子を含有した第二ピーリング化粧料を、別容器に収容してなるピーリング化粧料である。また、その使用方法は、前記第一ピーリング化粧料を先に使用し、前記第二ピーリング化粧料を後に使用するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に負担をかけず、角質を除去するのに適したピーリング化粧料及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肥厚した角質を除去し、くすみをとるために、ケミカルピーリングが行われている。ケミカルピーリングは、ケミカルピーリング剤としてグリコール酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸を用いて角質細胞の接着を弱めたり、あるいはまた、サリチル酸を用いて角質を軟化させたりする方法である(例えば、下記特許文献1,2参照)。しかしながら、従来のケミカルピーリング剤は、通常pHが1.0〜3.0と低く、そのため、皮膚に刺激を感じたり、赤くなったりすることもあり、その後のスキンケアを充分に行わないと、紫外線などにより、色素沈着を生じることもある。
【0003】
肥厚した角質を除去するためのもう一つの方法として、フィジカルピーリング(ゴマージュ)がある。フィジカルピーリングは、フィジカルピーリング剤として有機粉末や無機粉末を用いたり、水性ゲル形成高分子を用いたりして角質細胞を物理的に除去する方法である(例えば、下記特許文献3,4参照)。有機粉末や無機粉末を用いるフィジカルピーリングは、粒子の大きさにもよるが、マッサージにより物理的刺激が強く、毛穴を傷つけることもある。一方、水性ゲル形成高分子を用いるフィジカルピーリングは、皮膚の上でマッサージすることで、ゲル凝集物が形成され、物理的刺激も比較的少なく、余分な角質を除去できる。しかしながら、皮膚の状態により、ゲル凝集物が形成されるまで、人により時間がかかったり、ゲル凝集物の量も異なったりするため、充分な角質除去が期待できないこともある。
【0004】
ところで、下記特許文献5には、ナノクラスター水と有機ゲルマニウムを加えたピーリング化粧料のピーリング基剤として、グリコール酸などのα−ヒドロキシ酸を含むとともに、水性ゲル形成高分子を含むものを用いることが開示されている。また、下記特許文献6には、α−ヒドロキシ酸とジェランガムを含有する皮膚外用剤が開示されている。更に、下記特許文献7には、グリコール酸とポリビニルアルコールを含有する皮膚外用剤が開示されている。
【0005】
このようにα−ヒドロキシ酸とともに水溶性高分子を配合した皮膚外用剤は知られている。しかしながら、これらの従来技術において、水溶性高分子は、α−ヒドロキシ酸を含有するケミカルピーリング化粧料において、皮膚への均一な塗布や保存安定性を向上するための増粘剤として用いられているにすぎない。すなわち、これらの従来技術では、水溶性高分子自体にフィジカルピーリング効果を期待したものではなく、またそのような作用も奏されないものである。
【特許文献1】特開2004−277294号公報
【特許文献2】特開2005−281134号公報
【特許文献3】特開2002−293716号公報
【特許文献4】特開2001−139426号公報
【特許文献5】特開2007−31399号公報
【特許文献6】特開2005−281133号公報
【特許文献7】WO2004/004675
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、皮膚に負担をかけることなく、余分な角質を容易に取り除くことができる、ソフトピーリングを可能とする安全性の高いピーリング化粧料、及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るピーリング化粧料は、α−ヒドロキシ酸を含有したpHが3.5〜5.0の第一ピーリング化粧料と、水性ゲル形成高分子を含有した第二ピーリング化粧料を、別容器に収容してなるものである。
【0008】
本発明に係るピーリング化粧料においては、前記第二ピーリング化粧料が前記第一ピーリング化粧料の使用後に使用されるものであるとすることができる。また、前記第一ピーリング化粧料をローションとし、前記第二ピーリング化粧料をジェルとしたものとすることができる。
【0009】
本発明に係るピーリング化粧料の使用方法は、前記第一ピーリング化粧料を先に使用し、前記第二ピーリング化粧料を後に使用するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るピーリング化粧料は、二段階に分けて皮膚に塗布することで、皮膚に負担をかけずに、ソフトピーリングを可能にし、敏感肌、混合肌などの肌質を問わず使用できる。さらに、ソフトピーリングにより、くすみ、きめ、しみ、しわ、ニキビによる表皮肥厚の改善効果に優れているピーリング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0012】
本発明に係るピーリング化粧料において、上記第一ピーリング化粧料は、α−ヒドロキシ酸を含有し、かつ、pHが3.5〜5.0に調整されたものである。α−ヒドロキシ酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリセリン酸、マンデル酸などが挙げられる。これらの中でも、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸などの炭素数が2〜4のα−ヒドロキシ酸が好ましく用いられる。
【0013】
これらのグリコール酸などのα−ヒドロキシ酸は、pHが低いので、pH調整剤としてアルカリを用いて、上記pHの範囲内に調整される。pH調整剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アルギニン、水酸化カリウム、アミノメチルプロパノール、ジエタノールアミン、水酸化カルシウム、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。特に好ましくはアンモニア水である。
【0014】
第一ピーリング化粧料のpHは、3.5〜4.5であることがより好ましく、特に好ましくは4.0である。pHが3.5よりも小さいと、皮膚に対する刺激が強くなり、ソフトピーリングとは言えなくなる。また、第二ピーリング化粧料として、後記のようにアルカリと反応する水性ゲル形成高分子を用いた場合において、ゲル凝集物を素早く形成するという効果を得にくくなる。一方、pHが5.0よりも大きいと、角質を柔軟にするというケミカルピーリング剤本来の効果が十分に得られなくなる。
【0015】
α−ヒドロキシ酸の配合量は、第一ピーリング化粧料に対して0.5〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量%、特に好ましくは1〜2重量%である。α−ヒドロキシ酸の配合量が多すぎると、皮膚に対する刺激が大きくなり、また、pH調整剤の量が多くなってしまう。
【0016】
第一ピーリング化粧料には、上記の他、必要に応じて、精製水;グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール;エタノール等の低級アルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の可溶化剤;シアバターノキエキス、ワサビノキ種子エキス、サンザシエキス、タイソウエキス、アーモンドエキス、ダイズエキス、アスタキサンチン等の動植物抽出エキス;オレンジ、グレープフルーツ、ライム等の果汁又は果実エキス;グリチルリチン酸ジカリウム、トコフェロール等の薬剤;ヒアルロン酸ナトリウム、ローズ水等の保湿剤;グリコシルルチン等の酸化防止剤などを含有することができる。
【0017】
以上のように第一ピーリング化粧料は、α−ヒドロキシ酸を含有しつつかつpHを3.5〜5.0に調整したものであるため、皮膚に負担をかけず、角質細胞を柔軟に整えることができる。かかる第一ピーリング化粧料は、ローション、エッセンス、乳液などとすることができるが、皮膚を柔軟に整えるという機能の点から、ローションとするのが好ましい。
【0018】
本発明のピーリング化粧料において、上記第二ピーリング化粧料は、水性ゲル形成高分子を含有するものである。水性ゲル形成高分子は、皮膚上でマッサージすることでゲル凝集物を形成することができる水溶性高分子であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらのエステルやアミドを構成単量体としてなるアクリル系ポリマー、酢酸ビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル等が挙げられる。
【0019】
水性ゲル形成高分子としては、第一ピーリング化粧料にpH調整剤として配合したアルカリと反応することによってゲル化する水性ゲル形成高分子が好ましく用いられる。このような水性ゲル形成高分子としては、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体、アクリル酸又はメタクリル酸とそれらのエステルとの共重合体、酢酸ビニルポリマーなどが挙げられる。特に好ましい具体例としては、((メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、((メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーが挙げられる。ここで、((メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステルである単量体とアクリル酸アルキル(C10−30)又はメタクリル酸アルキル(C10−30)との共重合体である。また、((メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーは、前記共重合体をショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。このような水性ゲル形成高分子を配合することにより、第二ピーリング化粧料はpHが2〜4であることが好ましい。第二ピーリング化粧料としてはこのようにpHが低いものを用いたとしても、第一ピーリング化粧料を塗布した後に使用し、しかも第一ピーリング化粧料中のアルカリとの反応で緩和されるので、皮膚に対する刺激は抑えられる。
【0020】
水性ゲル形成高分子の配合量は、第二ピーリング化粧料に対して0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
【0021】
第二ピーリング化粧料には、上記の他、必要に応じて、精製水;グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の多価アルコール;エタノール等の低級アルコール;塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ベへニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C14〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤;シアバターノキエキス、ワサビノキ種子エキス、サンザシエキス、タイソウエキス、アーモンドエキス、ダイズエキス、アスタキサンチン等の動植物抽出エキス;オレンジ、グレープフルーツ、ライム等の果汁又は果実エキス;グリチルリチン酸ジカリウム、トコフェロール等の薬剤;ヒアルロン酸ナトリウム、トレハロース、ローズ水、加水分解水添デンプン等の保湿剤;グリコシルルチン等の酸化防止剤;メチルパラベン等の防腐剤などを含有することができる。
【0022】
以上のように第二ピーリング化粧料は、水性ゲル形成高分子を含有するフィジカルピーリング(ゴマージュ)化粧料であり、皮膚の上でマッサージすることで、ゲル凝集物が形成され、余分な角質を除去することができる。第二ピーリング化粧料は、ジェル、クリームなどとすることができるが、水性ゲル形成高分子がすばやくゲル凝集物を形成するためには、ジェルが好ましい。
【0023】
本発明に係るピーリング化粧料は、上記第一ピーリング化粧料と第二ピーリング化粧料を別容器に収容してなるものである。このように別容器に収容したのは、両化粧料を二段階に分けて皮膚に塗布することで、皮膚に負担をかけずに、ソフトピーリングを可能にするためである。
【0024】
第一ピーリング化粧料と第二ピーリング化粧料は、いずれか一方を先に使用し、もう一方を後に使用するものとすることができるが、第一ピーリング化粧料を先に使用し、第二ピーリング化粧料を後に使用することが好ましい。すなわち、本発明に係るピーリング化粧料は、先に使用される前記第一ピーリング化粧料と、該第一ピーリング化粧料の使用後に使用される前記第二ピーリング化粧料とで構成されることが好ましい。なぜなら、第一ピーリング化粧料で皮膚を柔軟にし、肌を整えてから、第二ピーリング化粧料を使用すると、第二ピーリング化粧料に配合した水性ゲル形成高分子のゲル凝集物で剥がれかけた角質を容易に取り除くことができるからである。このような点より、第一ピーリング化粧料を皮膚になじませた後、完全に乾燥する前に、第二ピーリング化粧料を皮膚に塗布し、マッサージすることが好ましい。
【0025】
このように、本発明に係るピーリング化粧料の使用方法において、第一ピーリング化粧料と第二ピーリング化粧料を二段階に使用することにより、容易に、かつ、スピーディに余分な角質を取り除くことができるものとなる。
【0026】
また、第二ピーリング化粧料に上記のアルカリとの反応でゲル化する水性ゲル形成高分子を配合した場合、第一ピーリング化粧料に含まれていたアルカリと、その後に塗布された第二ピーリング化粧料の水性ゲル形成高分子とが反応することにより、素早くゲル凝集物を形成することができる。そのため、どのような肌質であっても、すぐにゲル凝集物を形成させ、皮膚に負担をかけることなく、ソフトピーリングすることができる。その際、単にゲル凝集物が素早く形成されるのみでは、スムーズな角質除去には至らないが、上記のように第一ピーリング化粧料の塗布により皮膚が予め弛められているため、素早く形成されたゲル凝集物によってすぐに角質を絡めとることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明について実施例により詳しく説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
下記の処方により、第一ピーリング化粧料を調製し、ポンプタイプの容器に詰めた。第一ピーリング化粧料のpHは4.0であった。この第一ピーリング化粧料はローションの形態として提供される。
【0029】
成分 含有量(重量%)
精製水 86.89
1,3―ブチレングリコール 5.0
エタノール 5.0
グリコール酸 2.0
アンモニア水(29.0重量%) 1.0
ローズ水 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
【0030】
下記の処方により、第二ピーリング化粧料を調製し、チューブタイプの容器に詰めた。第二ピーリング化粧料のpHは2.3であった。この第二ピーリング化粧料は、ジェルの形態として提供される。
【0031】
成分 含有量(重量%)
精製水 72.98
1,3―ブチレングリコール 15.0
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー(*1)
2.0
トレハロース 1.5
塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5EO、20%溶液)
7.5
加水分解水添デンプン 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
グリセリン 0.01
*1:ルーブリゾール社製「カーボポールETD2020」
【0032】
(試験例1)
試験には実施例1に示す第一ピーリング化粧料及び第二ピーリング化粧料を用いた。試験期間前に本試験の目的と内容を理解し口頭にて同意を得られた23〜42歳の女性4名、男性2名に実施した。右手の甲に第二ピーリング化粧料のみ(比較例1)、左手の甲に第一ピーリング化粧料をよくなじませた後に第二ピーリング化粧料を塗布(実施例1)し、それぞれマッサージをしてゲル凝集物が形成されるまでの時間を測定した。また、実施例1について、皮膚に対する刺激感についての官能評価を実施した。
【0033】
ゲル凝集物が形成されるまでの時間を表1に示す。表1より第二ピーリング化粧料のみ(比較例1)ではゲル凝集物が形成される時間の平均は40.3秒であり、最短で18.0秒であった。また、第一ピーリング化粧料と第二ピーリング化粧料を合わせて使用した場合(実施例1)のゲル凝集物が形成される時間は平均で3.2秒であり、最短で2.0秒であった。また、実施例1に対する刺激感の官能評価については、いずれの被験者も、刺激感や違和感を何も感じない(無刺激)との評価であった。
【表1】

【0034】
上記のように、比較例1では、ゲル凝集物が形成されるまでの時間が長いことから、この間ずっと皮膚を擦ることになり、皮膚に対する負担が大きい。これに対し、実施例1では、ゲル凝集物が形成されるまでの時間が短いことから、皮膚に負担をかけずに角質を除去することができる。
【0035】
(試験例2)
実施例1に示す第一ピーリング化粧料について、pHを2.2、4.8に調整した第一ピーリング化粧料を作製し、試験に用いた。試験期間前に本試験の目的と内容を理解し口頭にて同意を得られた23〜42歳の女性4名、男性2名に実施した。手の甲にpHを2.2、4.8に調整した第一ピーリング化粧料をよくなじませた後に、実施例1に示す第二ピーリング化粧料を塗布し、マッサージをしてゲル凝集物が形成されるまでの時間を測定した。また、各化粧料に対し、刺激感についても官能評価を行った。
【0036】
ゲル凝集物が形成されるまでの時間を表2に示す。表2よりゲル凝集物が形成される時間は、第一ピーリング化粧料のpHが2.2の場合(比較例2)、平均で8.5秒であった。これに対し、pHが4.8の場合(実施例2)、平均で3.2秒であり、上記試験例1における実施例1と同様、ゲル凝集物が形成されるまでの時間が短く、皮膚に対する負担が小さくことが確認された。
【0037】
また、刺激感の官能評価については、比較例2では違和感があると感じた被験者が1名いたのに対し、実施例2では、上記試験例1における実施例1と同様、いずれの被験者も刺激感や違和感を何も感じない(無刺激)との評価であった。
【表2】

【0038】
(試験例3)
実施例1に示す第一ピーリング化粧料について、pHを2.2、4.8に調整した第一ピーリング化粧料を作製し、pH4.0のものと共に試験に用いた。試験期間前に本試験の目的と内容を理解し口頭にて同意を得られた23〜42歳の女性4名、男性2名に実施した。手の甲にpHを2.2〜4.8に調整した第一ピーリング化粧料をよくなじませ、肌の滑らかさ、即ち皮膚を柔軟化させるかどうか(変化なし(0)、やや滑らか(0.5)、滑らか(1)、非常に滑らか(2))についてのアンケートを実施し、スコア化した。
【0039】
結果を表3に示す。皮膚の滑らかさの平均は、pH2.2の比較例2で0.4であったのに対し、pH4.0の実施例1では0.8、pH4.8の実施例2でも0.8であった。特に、非常に滑らかと感じる人が、比較例2ではいなかったのに対し、実施例1,2では1名ずついた。
【0040】
このように実施例1,2では、第一ピーリング化粧料を塗布することによる肌の滑らかさに優れており、皮膚に対する負担を抑えながら皮膚を弛めておくことができる。そのため、続いて第二ピーリング化粧料を塗布した場合の角質除去効果に優れることが分かる。なお、比較例2において、肌を滑らかにする効果に劣る理由は、低pHによる刺激感により被験者が滑らかさを感じにくいことによるものと考えられる。
【表3】

【0041】
(試験例4)
試験期間前に本試験の目的と内容を理解し口頭にて同意を得られた23〜26歳の女性3名に実施した。試験は3日に1回、以下の方法でピーリングを実施した。
【0042】
通常のクレンジングを行った後、実施例1の第一ピーリング化粧料を塗布した。第一ピーリング化粧料がよくなじんだことを確認し、その上から実施例1の第二ピーリング化粧料を塗布してマッサージした。
【0043】
試験日はすべて肌解析後に、上記ピーリングを行った。肌解析は、洗顔後に20〜23℃、50〜55%の恒温恒湿室で15分間肌を放置した後、マイクロスコープ(USBマイクロスコープM2、(株)スカラ製)で撮影し、ロボスキンアナライザー(解析ソフト:skin Analyzer Clinical Suite 2.1、(株)インフォワード製)によりキメ指数を算出した。また、試験開始時(0日)と試験終了時(7日後)にロボスキンアナライザー(RSA50、(株)インフォワード製)で全顔を撮影し、同解析ソフトでピーリング前と直後の赤味(炎症箇所)の個数と面積を測定した。
【0044】
キメの変化を表4に示す。すべての症例でキメ指数の上昇がみられた。特に、症例2、症例3では試験開始時にみられなかった皮膚表面の皮丘皮溝が試験終了時に現れているのが確認できた。
【表4】

【0045】
赤味の変化を表5に示す。試験開始時(0日)及び試験終了時(7日後)のピーリング前で赤味に変化はみられなかった。また、ピーリング前及びピーリング直後でも赤味の増加は認められなかった。
【表5】

【0046】
以上より、実施例1に係るピーリング化粧料であると、肌に負担をかけずに、容易に古い角質を除去することができる。
【0047】
(実施例4)
下記の処方により、ローションタイプの第一ピーリング化粧料を調製し、ポンプタイプの容器に詰めた。この第一ピーリング化粧料のpHは4.0であった。
【0048】
成分 含有量(重量%)
精製水 87.15
1,3―ブチレングリコール 5.0
エタノール 5.0
乳酸 2.0
アンモニア水(29.0重量%) 0.74
ローズ水 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
得られた第一ピーリング化粧料を手の甲によくなじませた後に、上記実施例1に示す第二ピーリング化粧料を塗布し、マッサージをしてゲル凝集物が形成されるまでの時間を測定するとともに、刺激感について官能評価を行った。
【0049】
その結果、ゲル凝集物が形成されるまでの時間は8.5秒であり、また、刺激感の官能評価についても違和感を何も感じない(無刺激)との評価であり、実施例1のピーリング化粧料と同様に、皮膚に負担をかけずに角質を除去できるものであった。
【0050】
(実施例5)
下記の処方により、ローションタイプの第一ピーリング化粧料を調製し、ポンプタイプの容器に詰めた。この第一ピーリング化粧料のpHは4.0であった。
【0051】
成分 含有量(重量%)
精製水 87.05
1,3―ブチレングリコール 5.0
エタノール 5.0
リンゴ酸 2.0
アンモニア水(29.0重量%) 0.84
ローズ水 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
得られた第一ピーリング化粧料を手の甲によくなじませた後に、上記実施例1に示す第二ピーリング化粧料を塗布し、マッサージをしてゲル凝集物が形成されるまでの時間を測定するとともに、刺激感について官能評価を行った。
【0052】
その結果、ゲル凝集物が形成されるまでの時間は6.7秒であり、また、刺激感の官能評価についても違和感を何も感じない(無刺激)との評価であり、実施例1のピーリング化粧料と同様に、皮膚に負担をかけずに角質を除去できるものであった。
【0053】
(実施例6)
下記の処方により、ジェルタイプの第二ピーリング化粧料を調製し、チューブタイプの容器に詰めた。この第二ピーリング化粧料のpHは2.3であった。
【0054】
成分 含有量(重量%)
精製水 75.5
1,3―ブチレングリコール 16.35
カルボキシビニルポリマー(*2) 2.0
塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5EO、20%溶液)
6.0
メチルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸メチル)0.15
*2:ルーブリゾール社製のカルボマー「カーボポールETD2050」
上記実施例1に示す第一ピーリング化粧料を手の甲によくなじませた後に、ここで得られた実施例6の第二ピーリング化粧料を塗布し、マッサージをしてゲル凝集物が形成されるまでの時間を測定するとともに、刺激感について官能評価を行った。
【0055】
その結果、ゲル凝集物が形成されるまでの時間は3.3秒であり、また、刺激感の官能評価についても違和感を何も感じない(無刺激)との評価であり、実施例1のピーリング化粧料と同様に、皮膚に負担をかけずに角質を除去できるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−ヒドロキシ酸を含有したpHが3.5〜5.0の第一ピーリング化粧料と、水性ゲル形成高分子を含有した第二ピーリング化粧料を、別容器に収容してなるピーリング化粧料。
【請求項2】
前記第二ピーリング化粧料が前記第一ピーリング化粧料の使用後に使用されるものである請求項1記載のピーリング化粧料。
【請求項3】
前記第一ピーリング化粧料をローションとし、前記第二ピーリング化粧料をジェルとしたことを特徴とする請求項1又は2記載のピーリング化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のピーリング化粧料を用いて、前記第一ピーリング化粧料を先に使用し、前記第二ピーリング化粧料を後に使用することを特徴とするピーリング化粧料の使用方法。

【公開番号】特開2009−149538(P2009−149538A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326996(P2007−326996)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(300003525)株式会社ブルーム・クラシック (6)
【Fターム(参考)】