説明

ファインダ装置

【課題】少ない部品で、且つ高い位置精度で視野枠体を保持できるようにする。
【解決手段】視野枠体14をファインダ地板1だけで保持する。この際、ファインダ地板1の当接部1e,1d,1fにより、視野枠体14の光軸方向への視野枠体14の位置変動を規制する。さらに、さらに、視野枠体14に形成された第2の開口部14c及び突起部14bにより、光軸方向と直交する方向への視野枠体14の位置変動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインダ装置に関し、特に、機械的な視野枠を有するファインダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクトデジタルカメラに適用されるファインダ装置においては、そのファインダ装置の筐体内に、対物レンズ、光を屈折する複数のプリズム、及び接眼レンズが配置されている。
【0003】
ファインダ装置では、被写体像を反映した光(以下、被写体光像という)は、対物レンズ、複数のプリズムを介して、接眼レンズの近傍に設けられた接眼部に導かれる。この際、ファインダ装置内に配置された機械的な視野枠体によって視野範囲が限定される。なお、機械的な視野枠を用いることなく、視野枠(枠線)を画像として表示する場合もある。
【0004】
上記の視野枠体の保持方法としては、第1のプリズムを保持する保持枠と第2のプリズムを保持する保持枠とで、開口部が形成された弾性部材を介して狭持する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−99019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の視野枠体の保持方法では、視野枠体を保持するための部品の数が多く、組み立て工数が多いので、ファインダ装置の製造コストが増大していた。
【0007】
また、視野枠体と接眼光学系が異なる部品で保持されているため、接眼光学系に対する視野枠体の位置精度が悪くなり、所望する画像と実際に撮影された撮影画像との間にズレが生じる場合があった。
【0008】
本発明は、このような技術的な背景の下になされたもので、その目的は、少ない部品で、且つ高い位置精度で視野枠体を保持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、被写体を反映した光が透過する対物光学系と、前記対物光学系で形成された倒立状態の被写体光像を正立像とする正立光学系と、前記正立像を拡大する接眼光学系と、前記接眼光学系により拡大された前記正立像を視認する視野を規定する視野枠体を有するファインダ装置において、前記視野枠体は、当該視野枠体の一方の面が前記対物光学系の方向への位置変動が規制され、他方の面が前記正立光学系の方向への位置変動が規制される形で地板部材により保持されると共に、当該視野枠体は、視野枠用の開口部とは別の開口部を有し、当該別の開口部の面積が変化する形態で前記地板部材により保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記視野枠体は、1つの部品である前記地板部材により、前記対物光学系及び正立光学系の方向、すなわち光軸方向への位置変動が規制される形で保持されている。また、当該視野枠体は、前記別の開口部の面積の変化による弾性力のチャージにより、光軸方向と直交する方向にも位置規制される形で前記地板部材により保持されている。
【0011】
従って、少ない部品で、且つ高い位置精度で視野枠体を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るファインダ装置の斜視図である。
【図2】図1のファインダ装置の分解斜視図である。
【図3】図1のファインダ装置を対物光学系の光軸位置で水平方向に切断した横断面図である。
【図4】図1のファインダ装置を視野枠体の光軸位置で光軸に沿って鉛直方向に切断した縦断面図である。
【図5】視野枠体を示す図である。
【図6】組立て後の視野枠体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るファインダ装置の斜視図である。図2は、図1のファインダ装置の分解斜視図である。図3は、図1のファインダ装置を対物光学系の光軸位置で水平方向に切断した横断面図である。図4は、図1のファインダ装置を視野枠体の光軸位置で光軸に沿って鉛直方向に切断した縦断面図である。
【0014】
図1〜図4において、ファインダ装置100は、光学系として、対物光学系、正立光学系、接眼光学系を有している。対物光学系は、被写体を反映した被写体光像が入射する第1の対物レンズ2、光軸方向に移動可能で且つ成型(変形)可能な第2の対物レンズ3、及び第3の対物レンズ4を有している。
【0015】
また、対物光学系は、第1〜3の対物レンズ2〜4を透過した被写体光像を正立光学系に導くべく屈折させる、三角プリズム10を有している。なお、三角プリズム10の代わりに複数のミラーを用いてもよい。
【0016】
正立光学系は、対物光学系によって導かれた被写体光像(倒立状態の光像)を反転させて正立像として接眼光学系へ導くためのポロプリズム11を有している。なお、ポロプリズム11の代わりに複数のミラーを用いて正立像にすることも可能である。
【0017】
接眼光学系は、ポロプリズム11から射出された被写体光像を拡大する接眼レンズ13を有し、ユーザは、この接眼レンズ13を介して正立状態の被写体光像を観察することができる。
【0018】
図1及び図3に示すように、第1の対物レンズ2は、ファインダ地板1(地板部材)に接着固定されている。また、第2の対物レンズ3は、対物光学系の光軸と平行にファインダ地板1に取付けられるガイド軸8(図2参照)により、光軸方向に移動可能に保持されている。また、第2の対物レンズ3をカム部材(図示省略)に対して付勢するために、第2の対物レンズ3とファインダ地板1の間に、付勢バネ6(図2参照)が取付けられている。
【0019】
第3の対物レンズ4は、対物光学系の光軸と平行にファインダ地板1に取付けられるガイド軸9(図2参照)により、光軸方向に移動可能に保持されている。また、第3の対物レンズ4を上記のカム部材に対して付勢するために、第2の対物レンズ3とファインダ地板1の間に付勢バネ7(図2参照)が取付けられている。なお、ファインダ地板1の図2、図3に示したマスク5は、第1の対物レンズ2と第2の対物レンズ3の間に配置されて、第2の対物レンズ3に装着される。第2の対物レンズ3に装着されたマスク5は、第2の対物レンズ3と共に光軸方向に移動する。
【0020】
このマスク5の中央部には、第1の対物レンズ2から射出された被写体光像が通過する開口部5aが形成されている。また、ファインダ地板1の対物レンズ系の横の部分には、オートフォーカス時に補助光を発光するための白色LED15が取付けられる。
【0021】
図3に示すように、三角プリズム10は、三角プリズム室1bに収納される。また、図4に示すように、三角プリズム室1b内に収納された三角プリズム10は、ファインダカバー12に形成された凸状の押圧部12aにより、ファインダ地板1に向かって付勢される。
【0022】
この三角プリズム10は、第3の対物レンズ4から射出されて三角プリズム10の入射面10a(図3参照)に導かれた被写体光像を三角プリズム10の中に入射し、この入射した被写体光像をプリズム10の射出面10bから射出するように構成されている。
【0023】
三角プリズム10から射出された被写体光像は、ポロプリズム11の入射面11aに導かれる。ポロプリズム11は、図3に示すように、ポロプリズム室1cに収納されている。
【0024】
図4に示すように、ポロプリズム11は、ファインダカバー12に形成された凸状の押圧部12bにより、ファインダ地板1に向かって付勢される。このポロプリズム11は、三角プリズム10から射出されてポロプリズム11の入射面11aに導かれた被写体光像をポロプリズム11内に入射する。
【0025】
そして、ポロプリズム11は、入射した被写体光像を3つの反射面を介してポロプリズム11の射出面11bから射出する。ポロプリズム11から射出された被写体光像は、接眼レンズ13の入射面13aに導かれる。
【0026】
図4に示すように、ファインダカバー12は、ファインダ地板1の三角プリズム室1bとポロプリズム室1cの上面を覆うように構成されており、上記の押圧部12aと12bが形成されている。押圧部12aは、三角プリズム10を対物光学系の光軸と直交する鉛直方向に押圧する。押圧部12bは、ポロプリズム11を対物光学系の光軸と直交する鉛直方向に押圧する。
【0027】
接眼レンズ13は、ファインダ地板1に接着固定されており、接眼レンズ13の近傍には、ユーザが被写体光像を視認するための接眼部(図示省略)が設けられている。
【0028】
視野枠体14には、ファインダユニット100の視野を規定する矩形状の視野表示開口部14aが形成されている。視野枠体14は、ファインダ地板1に挿着され、三角プリズム10とポロプリズム11の間に配置される。
【0029】
図3、図5に示すように、視野枠体14は、その第1当接面14dがファインダ地板1の第1当接面1dに当接し、第2当接面14eがファインダ地板1の第2当接面1eに当接することで、三角プリズム10の方向への位置変動が規制される。
【0030】
なお、図5に示したように、視野枠体14の第1当接面14dと第2当接面14eは、視野枠体14の同一の面(一方の面)の対向する両端部に位置している。また、第1当接面14dは、図5の上の方から1/3程度の長さを占め、第2当接面14eは、図5の下の方から1/3程度の長さを占め、第1当接面14dと第2当接面14eは、光軸(視野表示枠開口部14aの中心)を対称点とする対称な位置関係にある。
【0031】
また、視野枠体14は、その第3当接面14f(図5参照)がファインダ地板1の第3当接面1f(図4参照)に当接することで、ポロプリズム11の方向への位置変動が規制される。
【0032】
なお、視野枠体14の第3当接面14fは、視野枠体14の第1当接面14dと第1当接面1dが位置する面とは反対側の面(他方の面)の端部に位置している。また、第3当接面14fは、第1当接面14dと第1当接面1dが位置する辺(両端部)と直交する辺(端部)に位置し、視野表示枠開口部14aの対向する辺の長さよりも長い位置を占めている。
【0033】
このように、視野枠体14は、ファインダ地板1の3箇所の当接面によって、三角プリズム10、及びポロプリズム11の方向、すなわち光軸方向への位置変動が規制される。
【0034】
さらに、図6に示すように、視野体枠14は、ファインダ地板1に挿着された際に、視野枠体14の突起部14bにより、ファインダ地板1の押圧受部1gに対して押圧される。
【0035】
これにより、視野枠体14の長孔の形状をした第2開口部14cは、その面積が小さくなるように変化し、その面積変化に伴って弾性力がチャージされる。これにより、視野枠体14は、ファインダ地板1の第4当接面1hに押圧され、三角プリズム10から射出する被写体光像の光軸と直交する水平方向への位置変動が規制される。
【0036】
なお、図4、図5に示すように、第2開口部14cは、視野枠用の開口部である視野表示開口部14aとは別に形成されたものであり、その形状は長孔状であり、その長手方向は、ファインダ地板1との対向面と平行な方向となっている。
【0037】
また、突起部14bは、長孔状の第2開口部14cの中央部分に対応する位置に形成されている。これは、第2開口部14cにより発生する上記の弾性力が、図6の水平方向、すなわち第4当接面1hに90度で作用する方向に発生するようにすることで、視野枠体14が上記の弾性力で図6の上の方向にズレないようにするためである。
【0038】
さらに、図4に示すように、ファインダ地板1に視野枠体14を挿着した後にポロプリズム11をファインダ地板1に挿着することにより、三角プリズム10から射出する被写体光像の光軸と直交する鉛直方向への位置変動が規制される。
【0039】
このように、視野枠体14の光軸方向及び光軸と直交する方向への位置変動を規制することで、ユーザが接眼部から視認する被写体光像は、光軸方向及び光軸方向と直交する方向に対して常に一定位置のものとなり、撮影画像との間で位置ズレが起こることはない。
【0040】
また、視野枠体14は、ファインダ地板1のみで保持されており、複数の部品で保持されてはいないので、視野枠体14を保持するための部品の数と組立て工数を低減させることができ、ファインダ装置100の製造コストを低減させることができる。
【0041】
さらに、視野枠体14は、対物光学系、正立光学系、接眼光学系と共にとファインダ地板1に保持されているため、位置精度が高くなり、この点でも、ユーザが接眼部から視認する被写体光像と撮影画像との間で位置ズレが起こることはなくなる。
【0042】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、例えば、正立光学系は、1つのポロプリズムではなく、複数のミラー又はプリズムで構成することも可能である。また、上記の実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化の一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【符号の説明】
【0043】
100…ファインダ装置
1…ファインダ地板
1d…第1当接面
1e…第2当接面
1f…第3当接面
1g…ファインダ地板押圧部
1h…第4当接面
2…第1の対物レンズ
3…第2の対物レンズ
4…第3の対物レンズ
10…三角プリズム
11…ポロプリズム
13…接眼レンズ
14…視野枠体
14a…視野表示開口部
14b…視野枠体突起部
14c…視野枠体第2開口部
14d…第1当接面
14e…第2当接面
14f…第3当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を反映した光が透過する対物光学系と、前記対物光学系で形成された倒立状態の被写体光像を正立像とする正立光学系と、前記正立像を拡大する接眼光学系と、前記接眼光学系により拡大された前記正立像を視認する視野を規定する視野枠体を有するファインダ装置において、
前記視野枠体は、当該視野枠体の一方の面が前記対物光学系の方向への位置変動が規制され、他方の面が前記正立光学系の方向への位置変動が規制される形で地板部材により保持されると共に、当該視野枠体は、視野枠用の開口部とは別の開口部を有し、当該別の開口部の面積が変化する形態で前記地板部材により保持されていることを特徴とするファインダ装置。
【請求項2】
前記別の開口部は、長孔の形状をなし、前記視野枠体に形成された突起部が前記地板部材と当接することにより面積が小さくなって弾性力をチャージすることを特徴とする請求項1に記載のファインダ装置。
【請求項3】
前記視野枠体は、前記対物光学系と正立光学系の間の位置で前記地板部材により保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のファインダ装置。
【請求項4】
前記対物光学系は、前記視野枠体と共に前記地板部材により保持されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のファインダ装置。
【請求項5】
前記正立光学系は、前記視野枠体と共に前記地板部材により保持されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のファインダ装置。
【請求項6】
前記接眼光学系は、前記視野枠体と共に前記地板部材により保持されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のファインダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−190983(P2010−190983A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32869(P2009−32869)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】