説明

ファクシミリ装置

【課題】 ファクシミリ装置において、必要最小限の鮮鋭化処理を行って、ファクシミリの受信側での原稿画像からの文章の認識に支障が生じないようにする。
【解決手段】 ファクシミリ装置1において、文字使用率特定部22は、ファクシミリ送信すべき原稿内で所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定し、鮮鋭化処理部23は、その原稿の画像において、発見された登録文字に対して、その使用率に基づいてその登録文字に対して鮮鋭化処理を行うか否かを判定し、鮮鋭化処理を行うと判定した登録文字に対して鮮鋭化処理を実行する。そして、ファクシミリ送信処理部24は、鮮鋭化処理部23による鮮鋭化処理が実行された後の原稿の画像をファクシミリ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ送信では、伝送される文字原稿の画質が低く、受信側で文字が潰れてしまうことがある。
【0003】
このため、例えば特許文献1に記載の技術を応用して、ファクシミリの受信側で、文字の潰れを検出し、潰れた文字を補正することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−91379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファクシミリの受信側の機器が上述のような処理を行えるとは限らないので、ファクシミリの送信側の機器で文字が潰れないように鮮鋭化処理を行ってからファクシミリ送信することが望ましい。しかしながら、鮮鋭化処理により元の原稿の画像を加工することになるので、原稿の画像を忠実に伝送するという観点では、鮮鋭化処理は必要最小限とすることが好ましい。
【0006】
文字原稿の場合、潰れている文字の割合などによって受信側での文章の認識度合いが変わってくる。例えば、文章のうちの1文字だけ読み取れなくても文章の意味を認識できる場合が多い。したがって、潰れている文字の割合などによっては鮮鋭化処理を行わなくても受信側で、受信した文字原稿の画像からの文章の認識に支障が生じないことがある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、必要最小限の鮮鋭化処理を行って、ファクシミリの受信側での原稿画像からの文章の認識に支障が生じないようにすることができるファクシミリ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係るファクシミリ装置は、ファクシミリ送信すべき原稿内で所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定する文字使用率特定部と、その原稿の画像において、発見された登録文字に対して、その使用率に基づいてその登録文字に対して鮮鋭化処理を行うか否かを判定し、鮮鋭化処理を行うと判定した登録文字に対して鮮鋭化処理を実行する鮮鋭化処理部と、鮮鋭化処理部による鮮鋭化処理が実行された後の原稿の画像をファクシミリ送信するファクシミリ送信処理部とを備える。
【0010】
これにより、特定の登録文字についてその使用率に応じて鮮鋭化処理が行われるため、ファクシミリの送信側で必要最小限の鮮鋭化処理が行われる。したがって、必要最小限の鮮鋭化処理を行って、ファクシミリの受信側での原稿画像からの文章の認識に支障が生じないようにすることができる。
【0011】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、鮮鋭化処理部は、発見された登録文字のそれぞれについて、所定の複数の鮮鋭化処理からその使用率に応じた鮮鋭化処理を選択し、選択した鮮鋭化処理を実行する。
【0012】
これにより、使用率に応じて鮮鋭化の強度を調節することができる。
【0013】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、鮮鋭化処理部は、上述の使用率が所定の第1の閾値以上であって所定の第2の閾値未満である登録文字に対して第1鮮鋭化処理を実行し、上述の使用率が第2の閾値以上である登録文字に対して第2鮮鋭化処理を実行し、使用率が第1の閾値未満である登録文字に対しては鮮鋭化処理を行わない。
【0014】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の第1および第2の閾値は、登録文字ごとに設定されている。
【0015】
これにより、登録文字の複雑さに応じて、個別的に、使用率に応じた鮮鋭化の強度を設定することができる。
【0016】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1鮮鋭化処理は、4近傍鮮鋭化フィルターによる鮮鋭化処理であり、第2鮮鋭化処理は、8近傍鮮鋭化フィルターによる鮮鋭化処理である。
【0017】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、文字使用率特定部は、原稿の各ページについて、1ページ内の全文字数と登録文字の文字数との比率で文字使用率を特定する。
【0018】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ファクシミリ装置は、登録文字を含む登録文字データを記憶する記憶装置と、ユーザーにより指定された文字を登録文字データに追加する登録処理部とをさらに備える。そして、文字使用率特定部は、登録文字データに登録されている登録文字を原稿内で検索する。
【0019】
これにより、ユーザーが登録文字を追加でき、ユーザー所望の文字に対して鮮鋭化処理を行わせることができる。
【0020】
また、本発明に係るファクシミリ装置は、上記のファクシミリ装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ファクシミリ装置は、ファクシミリ送信処理部によるファクシミリ送信の前に、鮮鋭化処理後の原稿の画像を所定の表示装置にプレビュー表示させるプレビュー処理部をさらに備える。
【0021】
これにより、鮮鋭化処理後の原稿画像を確認してから、ファクシミリ送信を行わせることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ファクシミリ装置において、必要最小限の鮮鋭化処理を行って、ファクシミリの受信側での原稿画像からの文章の認識に支障が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1における登録文字データの一例を示す図である。
【図3】図3は、この実施の形態において使用される4近傍鮮鋭化フィルターおよび8近傍鮮鋭化フィルターの一例を示す図である。
【図4】図4は、図1に示すファクシミリ装置のファクシミリ送信の動作について説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図4における鮮鋭化処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置1の構成を示すブロック図である。このファクシミリ装置1は、図示せぬホスト装置からの要求または操作パネルに対するユーザー操作による要求に応じてファクシミリ送信を実行するとともに、ファクシミリ受信を行い、受信した画像を印刷したり画像ファイルとして保存したりする。
【0026】
ファクシミリ装置1は、印刷装置11、画像読取装置12、通信装置13、操作パネル14、ネットワークインターフェイス15、演算処理装置16、および記憶装置17を備える。
【0027】
印刷装置11は、ファクシミリによる受信画像を印刷する内部装置である。画像読取装置12は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する内部装置である。例えば、この画像データからファクシミリ送信用画像データ(所定の解像度のビットマップデータ)が生成される。
【0028】
また、通信装置13は、ファクシミリ送信用画像データからファクシミリ信号を生成し送信するとともに、ファクシミリ信号を受信し画像データとして出力する内部装置である。通信装置13は、例えば公衆電話回線に接続され、音響信号であるファクシミリ信号を送受信するモデムである。
【0029】
また、操作パネル14は、ファクシミリ装置1の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を検出する入力装置とを有する。表示装置としては例えば液晶ディスプレイが使用される。入力装置としては、キースイッチ、タッチパネルなどが使用される。
【0030】
また、ネットワークインターフェイス15は、図示せぬネットワークに接続され、そのネットワークに接続されたホスト装置とデータ通信を行う回路である。ネットワークインターフェイス15は、ファクシミリ送信の要求、ファクシミリ受信画像の画像ファイルの要求などを受信するともに、要求された画像ファイルを送信したりする。
【0031】
また、演算処理装置16は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを有するコンピューターであり、記憶装置17は、各種データを格納可能な装置である。記憶装置17としては、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブなどの不揮発性の大容量記憶媒体が使用される。記憶装置17には、登録文字データ31が予め記憶されている。
【0032】
演算処理装置16は、ROMや記憶装置17などからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。この実施の形態では、演算処理装置16において、制御部21、文字使用率特定部22、鮮鋭化処理部23、およびファクシミリ送信処理部24が実現される。
【0033】
制御部21は、要求に応じて、印刷装置11、画像読取装置12などの内部装置を制御して、ファクシミリ送信、ファクシミリ受信などを実行する。
【0034】
また、制御部21は、ファクシミリ送信処理部24によるファクシミリ送信の前に、鮮鋭化処理後の原稿の画像を操作パネル14や図示せぬホスト装置の表示装置にプレビュー表示させるプレビュー処理部として機能する。
【0035】
文字使用率特定部22は、ファクシミリ送信すべき原稿内で所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定する。この実施の形態では、文字使用率特定部22は、記憶装置17における登録文字データ31に登録されている登録文字を、ファクシミリ送信すべき原稿内で検索し、発見された登録文字の使用率を特定する。
【0036】
図2は、図1における登録文字データ31の一例を示す図である。登録文字データ31には、登録文字ごとに、登録文字の文字コード、文字使用率の第1閾値、および文字使用率の第2閾値が登録されている。なお、文字使用率の第1閾値および第2閾値は、後述の鮮鋭化処理部23で使用される。なお、登録文字は、通常、画数の多い漢字とされるが、記号などでもよい。
【0037】
具体的には、文字使用率特定部22は、画像読取装置12により得られる原稿画像データ(ラスターデータ)に対して文字認識処理を行い、原稿画像内の文字を検出し、検出された文字において、所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定する。
【0038】
また、文字使用率特定部22は、図示せぬホスト装置からのファクシミリ送信要求とともに受信されたラスターデータに対して文字認識処理を行い、原稿画像内の文字を検出し、検出された文字において、所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定する。また、文字使用率特定部22は、図示せぬホスト装置からのファクシミリ送信要求とともに受信された文書データ内の文字コードを検出し、検出された文字において、所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定する。
【0039】
この実施の形態では、文字使用率特定部22は、原稿の各ページについて、1ページ内の全文字数と登録文字の文字数との比率で文字使用率をページごとに特定する。なお、原稿全体の全文字数と登録文字の文字数との比率で文字使用率を特定するようにしてもよい。
【0040】
鮮鋭化処理部23は、その原稿の画像において、発見された登録文字に対して、その使用率に基づいてその登録文字に対して鮮鋭化処理を行うか否かを判定し、鮮鋭化処理を行うと判定した登録文字に対して鮮鋭化処理を実行する。
【0041】
なお、図示せぬホスト装置からのファクシミリ送信要求とともに文書データが受信された場合には、文書データに対してラスタライズが行われて画像データが生成され、その画像データにおいて、発見された登録文字に対して鮮鋭化処理が上述のように行われる。
【0042】
この実施の形態では、鮮鋭化処理部23は、発見された登録文字のそれぞれについて、所定の複数の鮮鋭化処理から、その使用率に応じた鮮鋭化処理を選択する。
【0043】
また、この実施の形態では、鮮鋭化処理部は、上述の使用率が所定の第1の閾値以上であって所定の第2の閾値未満である登録文字に対して第1鮮鋭化処理を実行し、上述の使用率が第2の閾値以上である登録文字に対して第2鮮鋭化処理を実行し、使用率が第1の閾値未満である登録文字に対しては鮮鋭化処理を行わない。
【0044】
また、この実施の形態では、その第1および第2の閾値は、登録文字ごとに設定されている。
【0045】
また、この実施の形態では、第1鮮鋭化処理は、4近傍鮮鋭化フィルターによる鮮鋭化処理であり、第2鮮鋭化処理は、8近傍鮮鋭化フィルターによる鮮鋭化処理である。
【0046】
図3は、この実施の形態において使用される4近傍鮮鋭化フィルターおよび8近傍鮮鋭化フィルターの一例を示す図である。図3(A)は、注目画素を中心とした4近傍鮮鋭化フィルターのフィルター係数を示す図であり、図3(B)は、注目画素を中心とした8近傍鮮鋭化フィルターのフィルター係数を示す図である。鮮鋭化処理では、登録文字の文字領域内の各画素に対して、これらのフィルター係数に基づくフィルター演算が実行される。
【0047】
ファクシミリ送信処理部24は、鮮鋭化処理部23による鮮鋭化処理が実行された後の原稿の画像をファクシミリ送信する。具体的には、ファクシミリ送信処理部24は、鮮鋭化処理部23による鮮鋭化処理が実行された後の画像データからファクシミリ送信用画像データを生成し、そのファクシミリ送信用画像データを通信装置13に供給して、その画像データの画像をファクシミリ送信する。
【0048】
次に、上記ファクシミリ装置1のファクシミリ送信の動作について説明する。
【0049】
図4は、図1に示すファクシミリ装置1のファクシミリ送信の動作について説明するフローチャートであり、図5は、図4における鮮鋭化処理(ステップS7)について説明するフローチャートである。
【0050】
制御部21は、操作パネル14に対するユーザー操作に基づくファクシミリ送信の要求を受け付けると、まず、原稿画像の読み取りを画像読取装置12に実行させる。画像読取装置12は、原稿画像を読み取り、原稿画像データを出力する(ステップS1)。
【0051】
なお、図示せぬホスト装置からファクシミリ送信の要求を受け付ける場合には、ステップS1の処理は不要である。
【0052】
次に、制御部21は、文字使用率特定部22に、登録文字の使用率を特定させる。文字使用率特定部22は、まず、登録文字データ31を読み出し登録文字を特定し(ステップS2)、原稿画像データに対して文字認識処理を行い、原稿画像内の文字を検出し、検出された文字において、所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定する(ステップS3)。なお、このとき、文字使用率特定部22は、原稿画像データ内で発見された登録文字(の種類)を記憶するとともに、その登録文字(の種類)ごとに、原稿画像データ内で発見された登録文字の位置(つまり、文字領域)を示す位置データを記憶する。
【0053】
制御部21は、文字使用率特定部22により少なくとも1つの登録文字が発見されたか否かを判定する(ステップS4)。
【0054】
文字使用率特定部22により1つの登録文字も発見されなかった場合、制御部21は、ファクシミリ送信処理部24に、その原稿画像データに基づく原稿画像をファクシミリ送信させる(ステップS5)。
【0055】
一方、制御部21は、文字使用率特定部22により少なくとも1つの登録文字が発見された場合、原稿画像内で登録文字が発見された旨を示す警告メッセージを操作パネル14に表示させる(ステップS6)。
【0056】
ユーザーは、その警告メッセージを確認した後、鮮鋭化処理を実行させる場合には、鮮鋭化処理を実行させる操作を操作パネル14に対して行う。
【0057】
そのユーザー操作が操作パネル14により検出されると、制御部21は、その原稿画像データに対して鮮鋭化処理を鮮鋭化処理部23に実行させる。鮮鋭化処理部23は、図5に示す鮮鋭化処理を実行する(ステップS7)。
【0058】
鮮鋭化処理では、鮮鋭化処理部23は、発見された登録文字を1つ選択し(ステップS21)、その登録文字について第2鮮鋭化処理を行うか否かを判定する(ステップS22)。具体的には、その登録文字の使用率がその登録文字の第2閾値以上である場合には、第2鮮鋭化処理が実行され、その登録文字の使用率がその登録文字の第2閾値未満である場合には、第2鮮鋭化処理が実行されない。
【0059】
鮮鋭化処理部23は、その登録文字について第2鮮鋭化処理を行う場合、その登録文字が発見された位置の文字領域に対して8近傍鮮鋭化フィルターで第2鮮鋭化処理を行う(ステップS23)。
【0060】
一方、鮮鋭化処理部23は、その登録文字について第2鮮鋭化処理を行わない場合、その登録文字について第1鮮鋭化処理を行うか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、その登録文字の使用率がその登録文字の第1閾値以上である場合には、第1鮮鋭化処理が実行され、その登録文字の使用率がその登録文字の第1閾値未満である場合には、第1鮮鋭化処理が実行されない。
【0061】
鮮鋭化処理部23は、その登録文字について第1鮮鋭化処理を行う場合、その登録文字が発見された位置の文字領域に対して4近傍鮮鋭化フィルターで第1鮮鋭化処理を行う(ステップS25)。
【0062】
このように、その登録文字の使用率がその登録文字の第1閾値未満である場合には、いずれの鮮鋭化処理も実行されず、その登録文字の使用率がその登録文字の第1閾値未満である場合には、第1または第2の鮮鋭化処理が実行される。
【0063】
そして、鮮鋭化処理部23は、発見された登録文字のすべてに対してこの処理を実行したか否かを判定し(ステップS26)、発見された登録文字のうち、未処理の登録文字があれば、その未処理の登録文字を1つ選択し(ステップS21)、同様に処理する。
【0064】
このようにして、鮮鋭化処理(ステップS7)では、発見された登録文字のすべてに対してこの処理が実行される。
【0065】
鮮鋭化処理が完了すると、制御部21は、鮮鋭化処理後の原稿画像データに基づき、鮮鋭化処理後の原稿画像を操作パネル14にプレビュー表示させる(ステップS8)。
【0066】
ユーザーは、プレビュー表示された鮮鋭化処理後の原稿画像を確認し、その原稿画像をファクシミリ送信させる場合には、ファクシミリ送信を実行させる操作を操作パネル14に対して行う。
【0067】
そのユーザー操作が操作パネル14により検出されると、制御部21は、ファクシミリ送信処理部24に、その鮮鋭化処理後の原稿画像データに基づく原稿画像をファクシミリ送信させる(ステップS5)。
【0068】
以上のように、上記実施の形態によれば、文字使用率特定部22は、ファクシミリ送信すべき原稿内で所定の登録文字を検索し、発見された登録文字の使用率を特定し、鮮鋭化処理部23は、その原稿の画像において、発見された登録文字に対して、その使用率に基づいてその登録文字に対して鮮鋭化処理を行うか否かを判定し、鮮鋭化処理を行うと判定した登録文字に対して鮮鋭化処理を実行する。そして、ファクシミリ送信処理部24は、鮮鋭化処理部23による鮮鋭化処理が実行された後の原稿の画像をファクシミリ送信する。
【0069】
これにより、特定の登録文字についてその使用率に応じて鮮鋭化処理が行われるため、ファクシミリの送信側で必要最小限の鮮鋭化処理が行われる。したがって、必要最小限の鮮鋭化処理を行って、ファクシミリの受信側での原稿画像からの文章の認識に支障が生じないようにすることができる。
【0070】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0071】
例えば、上記実施の形態において、制御部21は、ユーザーにより指定された文字を登録文字データ31に追加する登録処理部として機能するようにしてもよい。例えば、制御部21は、操作パネル14に対するユーザー操作で指定された文字を登録文字データ31に登録する。このとき、ユーザーにより第1および第2閾値が入力され、制御部21は、その文字の文字コードとともに、第1および第2閾値を登録文字データ31に登録する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えば、電話回線などを介して画像を送信するファクシミリ機能を有する装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 ファクシミリ装置
14 操作パネル(表示装置の一例)
17 記憶装置
21 制御部(登録処理部の一例,プレビュー処理部の一例)
22 文字使用率特定部
23 鮮鋭化処理部
24 ファクシミリ送信処理部
31 登録文字データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ送信すべき原稿内で所定の登録文字を検索し、発見された前記登録文字の使用率を特定する文字使用率特定部と、
前記原稿の画像において、発見された前記登録文字に対して、前記使用率に基づいてその登録文字に対して鮮鋭化処理を行うか否かを判定し、前記鮮鋭化処理を行うと判定した登録文字に対して前記鮮鋭化処理を実行する鮮鋭化処理部と、
前記鮮鋭化処理部による鮮鋭化処理が実行された後の前記原稿の画像をファクシミリ送信するファクシミリ送信処理部と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記鮮鋭化処理部は、発見された前記登録文字のそれぞれについて、所定の複数の鮮鋭化処理から前記使用率に応じた鮮鋭化処理を選択し、選択した前記鮮鋭化処理を実行することを特徴とする請求項1記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記鮮鋭化処理部は、前記使用率が所定の第1の閾値以上であって所定の第2の閾値未満である前記登録文字に対して第1鮮鋭化処理を実行し、前記使用率が前記第2の閾値以上である前記登録文字に対して第2鮮鋭化処理を実行し、前記使用率が前記第1の閾値未満である登録文字に対しては鮮鋭化処理を行わないことを特徴とする請求項2記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記第1の閾値および前記第2の閾値は、前記登録文字ごとに設定されていることを特徴とする請求項3記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記第1鮮鋭化処理は、4近傍鮮鋭化フィルターによる鮮鋭化処理であり、
前記第2鮮鋭化処理は、8近傍鮮鋭化フィルターによる鮮鋭化処理であること、
を特徴とする請求項3記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記文字使用率特定部は、前記原稿の各ページについて、1ページ内の全文字数と前記登録文字の文字数との比率で前記文字使用率を特定することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記登録文字を含む登録文字データを記憶する記憶装置と、
ユーザーにより指定された文字を前記登録文字データに追加する登録処理部とをさらに備え、
前記文字使用率特定部は、前記登録文字データに登録されている前記登録文字を前記原稿内で検索すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
前記ファクシミリ送信処理部によるファクシミリ送信の前に、前記鮮鋭化処理後の前記原稿の画像を所定の表示装置にプレビュー表示させるプレビュー処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115665(P2013−115665A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260988(P2011−260988)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】