説明

ファン、ファンを組み立てるための方法および装置

本発明は、ファンならびにファンを組み付けるための方法および装置に関する。ファンは、1つの回転軸線を有していて、該回転軸線に連行体が結合されており、該連行体がファン羽根車に結合されており、結合体が、第1の個数の当付け面で、ファン羽根車の別の当付け面に当て付けられており、連行体(4)が、第1の個数よりも多い当付け面(10)を有しているか、もしくはファン羽根車(5)が第1の個数よりも多い別の当付け面(11)を有しており、少なくとも2つの前記当付け面(10)もしくは少なくとも2つの前記別の当付け面(11)が、連行体(4)もしくはファン羽根車(5)の中心平面または表面に関して種々異なる高さ位置を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のファンであって、連行体が設けられており、該連行体がファン羽根車に結合されており、連行体が、第1の個数の当付け面でファン羽根車の別の当付け面に当て付けられている形式のファンと、ファンの連行体にファン羽根車を組み付けるための請求項8に記載の方法と、当該方法を実施するための請求項9に記載の装置とに関する。
【0002】
従来技術
国際公開第03/040570号に基づいて、動的なアンバランス補償を有するファン取付け部を備えたファンが公知である。記載された軸流ファンは、当該軸流ファンを電気的な駆動装置の駆動軸に結合するためのハブ領域を有している。この場合、この軸流ファンは、バランスウェイトを用いて静的にバランス調節されている。軸流ファンと、電気的な駆動装置の駆動軸との間に、ハブ領域で、曲げ軟性的な結合が形成されている。
【0003】
ファンにおけるアンバランスの発生は、特に、高い回転数を有するファンにおいて問題となる。
【0004】
発明の開示
本発明の課題は、ファンのアンバランスの減少を達成することができるファン、ファンの組み付けるための方法および当該方法を実施するための装置を提供することにある。
【0005】
上記課題は、請求項1に記載のファン、すなわち連行体および/またはファン羽根車が、第1の個数よりも多い当付け面もしくは別の当付け面を有しており、少なくとも2つの当付け面もしくは少なくとも2つの別の当付け面が、連行体もしくはファン羽根車の中心平面または表面に関して、互いに異なる高さ位置を有していることを特徴とするファンと、ファンの連行体にファン羽根車を組み付けるための請求項8に記載の方法、すなわち連行体およびファン羽根車が複数の当付け面を有しており、該当付け面の少なくとも一部が、種々異なる高さ位置を有しており、連行体の当付け面の少なくとも一部を、ファン羽根車の当付け面の一部に対して対称的に配置させ、連行体とファン羽根車とを種々異なる角度位置で摩擦接続式に互いに押し当て、種々異なる角度位置において、連行体とファンとが、前記当付け面の高さの相違に基づいて種々異なる傾斜位置を有しており、種々異なる角度位置で、ファンのアンバランスの大きさを測定し、有利な、特に最小のアンバランスを有する角度位置を求め、次いで連行体をファン羽根車に有利なアンバランスを有する角度位置で堅固に結合させることを特徴とする方法と、当該方法を実施するための請求項9に記載の装置、すなわち位置固定ピンが設けられており、該位置固定ピンは、連行体とファン羽根車とを中心対称的に位置調節するために、ファン羽根車および連行体の中央の孔を通って導入可能であり、押圧手段が設けられており、該押圧手段により、ファン羽根車の別の当付け面が、連行体の当付け面に押し当てられるようになっており、ファン羽根車が回転されるようになっており、測定システムが設けられており、該測定システムによりファン羽根車のアンバランスが検出可能である装置とにより解決される。
【0006】
本発明によるファンの利点は、連行体および/またはファン羽根車が、複数の当付け面を有しており、これらの当付け面が、連行体の中心平面もしくはファン羽根車の中心平面に関して種々異なる高さ位置を有しており、連行体が、規定された個数の当付け面でファン羽根車に当て付けられるので、アンバランス、特に動的なアンバランスが減じられていることにある。したがって、二面アンバランス(zwei Ebenenunwucht)を減じることができる。
【0007】
ファン羽根車を連行体に組み付けるための本発明による方法は、連行体とファン羽根車との間の最適化された高さ位置を、連行体の中心平面および/またはファン羽根車の中心平面に関して種々異なる高さ位置を有する複数の当付け面を用いて形成するという利点を有している。このためには、連行体とファン羽根車との間で種々異なる位置、つまり当付け面の種々異なるペアを生ぜしめて、アンバランスの大きさを測定し、連行体を、最小のアンバランスが生じる位置でファン羽根車に堅固に結合させる。これにより、設けられた、種々異なる高さの当付け面を用いて、回転軸線に関するファン羽根車の傾斜位置、もしくはファン羽根車のアンバランス、特に動的なアンバランスを減じることができる。
【0008】
本発明による装置は、位置固定ピンが設けられていて、該位置固定ピンがファン羽根車と連行体とを互いに対して対称的に位置固定しており、さらに押圧手段が設けられていて、該押圧手段により、ファンが連行体に、種々異なる角度位置で押し当てられ得るという利点を有している。このようにして、連行体とファン羽根車とのねじ締結を必要とすることなしに、最適化された角度位置を検出するための方法を実施することができる。
【0009】
本発明の別の実施形態は請求項2以下に記載されている。
【0010】
選択された実施形態に応じて、連行体に設けられた少なくとも2つの当付け面が、当該連行体の中心平面に関して互いに異なる高さ位置を有している。この場合、ファン羽根車に設けられた当付け面は、当該ファン羽根車の中心平面に関して1つの高さ位置に配置されている。
【0011】
別の実施形態では、ファン羽根車に設けられた当付け面が、当該ファン羽根車の中心平面に関して互いに異なる少なくとも2つの高さ位置に配置されている。この場合、連行体に設けられた当付け面は、当該連行体の中心平面に関して1つの高さ位置に配置されている。
【0012】
選択された実施形態に応じて、ファン羽根車の当付け面も、連行体の当付け面も、対応する中心平面に関して互いに異なる少なくとも2つの高さ位置に配置されていてよい。
【0013】
別の実施形態では、連行体および/またはファン羽根車が、当付け面のグループを有している。この場合、グループは、ファン羽根車の中心に関して規定された角度間隔を有している。各グループは、複数の当付け面を有している。この場合、グループの複数の当付け面は、規定された角度間隔で連続して配置されている。グループの複数の当付け面は、ファン羽根車の中心に対して、規定された半径方向の間隔で配置されている。このようにして、体系的に配置された多数の当付け面が得られ、これらの当付け面により、ファン羽根車と連行体との間の載置角度の簡単かつ迅速な選択が可能となる。
【0014】
さらに別の実施形態では、グループの複数の当付け面が、連行体の中心平面もしくはファン羽根車の中心平面に関して互いに異なる少なくとも2つの高さ位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ファンの概略図である。
【図2】連行体およびファン羽根車の一部の横断面を示す図である。
【図3】連行体を上から見た平面図である。
【図4】連行体をF1−F1の断面で示す図である。
【図5】連行体をF2−F2の断面で示す図である。
【図6】ファン羽根車を上から見た平面図である。
【図7】連行体とファン羽根車を第1の角度位置で示した概略図である。
【図8】連行体とファン羽根車を第2の角度位置で示した概略図である。
【図9】連行体とファン羽根車を第3の角度位置で示した概略図である。
【図10】ファン羽根車を連行体に組み付けるための製造装置の概略図である。
【図11】製造装置の部分断面図である。
【0016】
実施例の説明
図1は、駆動軸3を有する駆動装置2を備えたファン1を概略図で示している。駆動軸3は、ディスクの形の連行体4に結合されている。連行体4は、三つ叉(Dreibein)の形状またはあらゆる別の形状を有していてよい。連行体4は、少なくとも1つの回転方向で相対回動不能に駆動軸3に結合されている。連行体4の正面には、ファン羽根車5が取り付けられている。連行体4は、たとえば、中央の切欠きを有している。この切欠きを通じて駆動軸3が案内されている。連行体4は、プレス嵌合部を介して駆動軸3に結合されていてよい。さらに、ファン羽根車5も、中央の切欠き20を有していてよい。この中央の切欠き20に駆動軸3が突入する。このようにして、連行体4もファン羽根車5も、軸方向で、駆動軸に一致する1つの回転軸線上に位置調節される。
【0017】
しかし、選択された実施形態に応じて、連行体4だけが駆動軸3に直接に結合されていてもよい。ファン羽根車5を連行体4に取り付けるために、たとえばねじの形態の取付け手段6が設けられている。しかし、ファン羽根車5を連行体4に結合させるためには、たとえば接着剤のような別の種類の取付け手段を使用することもできる。
【0018】
ファン羽根車5は、ファンハブ6を有している。このファンハブ6の外側にファン羽根7が形成されている。
【0019】
アンバランスを回避するためには、ファン羽根車5が駆動軸3の長手方向軸線に対して垂直な平面で連行体4に取り付けられていることが必要である。このためには、連行体4とファン羽根車5とが規定された当付け面を有している。
【0020】
別の実施形態では、ファン羽根車5が、たとえば連行体4によって、アウタロータを備えたブラシレスモータのロータに取り付けられている。この場合、ファン羽根車5は直接ロータに取り付けられていてもよい。
【0021】
図2は、当付け領域の範囲の駆動軸3、連行体4およびファン羽根車5の横断面を概略図で示している。連行体4の外面には当付けブロック8が形成されている。この当付けブロック8には、ファン羽根車5の一部である別の当付けブロック9が載置される。当付けブロック8は、第1の当付け面10を有している。この第1の当付け面10は、別の当付けブロック9に設けられた別の当付け面11に載置される。当付け面10は、駆動軸3の軸方向で見て、連行体4の中心平面12に関して第1の高さh1に延びている。別の当付けブロック9の別の当付け面11は、ファン羽根車5の第2の中心平面13に関して別の高さ位置h2に配置されている。これらの中心平面は駆動軸3に対して垂直に配置されている。
【0022】
確実な位置調節のために、連行体4の規定された当付け面10と、ファン羽根車5の、当付け面10に対応配置された規定された別の当付け面11とをそれぞれ備えた3つの当付け領域が設けられている。この場合、3つの当付け領域は、有利には、120°の角度だけ間隔を空けて、連行体もしくはファン羽根車の中心に関して1つの環状線上にある。選択された実施形態に応じて、3つよりも多い当付け領域が設けられていてもよい。さらに、当付けブロック8の代わりに、当付け面を備えた切欠きが設けられていてもよい。別の実施形態では、別の当付けブロック9の代わりに、別の切欠きがファン羽根車5に形成されていてもよい。この場合、この切欠き内には、別の当付け面11が形成されている。
【0023】
図3は、連行体4の、組み付けられた状態でファンハブ6に対応配置される外面の概略図を示している。連行体4は、正面14に、当付け面10の3つのグループ15,16,17を有している。各グループは、図示された実施形態では4つの当付け面10を有している。グループ15,16,17の当付け面10は、連行体4の中心21に対して一定の半径を備える1つの円環上に配置されている。さらに、1つのグループに設けられた当付け面は、互いに対してそれぞれ同じ角度間隔を有している。さらに、1つのグループの、反時計方向で見てそれぞれ第1、第2、第3および第4の当付け面は、別のグループのそれぞれ第1、第2、第3および第4の当付け面に対して120°の角度で配置されている。
【0024】
図示された実施形態では、それぞれの第1の当付け面が、連行体4の外面の表面に関して高さ位置z0を有している。第1のグループ15では、反時計方向に続く第2、第3および第4の当付け面B1、B2およびB3が、以下の数式、すなわちBn:=zn=z0+n×aによる高さ位置znを有している。この場合、「n」は1〜10の数であってよく、パラメータaは、0.01〜0.1mmの値を有していてよい。0.01〜0.1mmの値範囲の代わりに、パラメータaは0.01〜1mmの範囲にあってもよい。「n」によって、反時計方向の順番で当付け面が示されている。当付け面B1は、高さ位置z1=z0+1×a=z0+aを有している。
【0025】
第2のグループ16では、第2、第3および第4の当付け面C1,C2およびC3が、連行体4の外面の表面に関して以下の高さ位置zn、すなわちCn=zn=z0−(n×a)を有している。同じように、第3のグループ17の、反時計方向で見て第2、第3および第4の当付け面C1,C2およびC3は、指数nおよび以下の数式により決定される高さ位置を有している。すなわち、Cnは、連行体4の外面の表面に対して、高さ位置zn=z0−(n×a)を有している。
【0026】
したがって、当付け面C1は、高さ位置z1=z0−(1×a)=z0−aを有している。このことは、第1のグループ15の当付け面の高さ位置が、反時計方向に段階的に増大することを意味している。第2および第3のグループ16,17の当付け面の高さ位置は、反時計方向で段階的に減少する。選択された実施形態に応じて、第2および第3のグループ16,17の当付け面が、互いに異なる高さ位置を有していてもよい。特に、第2または第3のグループ16,17が、第1のグループ15の当付け面に相当する高さ位置を備えた当付け面を有していてもよい。
【0027】
図4は、連行体4の表面に関して高さ位置z0で当付けブロック8に配置されている当付け面Aの断面F1を示している。
【0028】
図5は、連行体4の表面に関して高さ位置z1=z0−(1×a)=z0−aで当付けブロック8に配置されている当付け面C1の横断面を示している。
【0029】
図6は、6つの別の当付け面11を備えたファン羽根車5の概略図を示しており、この場合、ファンハブ6だけが図示されている。選択された実施形態に応じて、別の当付け面11が3つしか設けられていないか、または3の倍数の別の当付け面11が設けられていてもよい。この場合、それぞれ3つの別の当付け面11は、120°の角度間隔を有している。図示された実施形態の他に、ファン羽根車5に設けられた6つの別の当付け面11が、それぞれ互いに対して60°の角度間隔を有していてもよい。これらの別の当付け面11は、ファン羽根車5に設けられた別の当付けブロック9または切欠き内に形成されていてよい。しかしこの場合、切欠きの深さは、連行体4の最も低い当付けブロック8の高さよりも小さく形成されていなければならない。
【0030】
図3に示した連行体4の図面では、3つの第1の当付け面Aが、第1の当付け位置を成していて、第1、第2および第3のグループ15,16,17に設けられたそれぞれの第2の当付け面B1,C1,C1が第2の当付け位置を成していて、第1、第2および第3のグループ15,16,17に設けられたそれぞれの第3の当付け面B2,C2,C2が第3の当付け位置を成していて、第1、第2および第3のグループ15,16,17に設けられたそれぞれの第4の当付け面B3,C3,C3がそれぞれ第4の当付け位置を成している。これらの当付け面で、連行体4が、ファン羽根車5に設けられた相応する別の当付け面11に載置され得る。
【0031】
選択された実施形態では、別の当付け面11が均一な1つの高さ位置に配置されており、連行体4の第1のグループ15の当付け面の高さ位置は反時計方向で増大し、第2および第3のグループの当付け面の高さ位置は反時計方向で減少するので、第1、第2および第3のグループ15,16,17のどの当付け面がファン羽根車5への当付けのために使用されるかに応じて、種々異なる傾斜位置を生ぜしめることができる。
【0032】
図7は、組み付けられたファン羽根車の概略図であり、この場合、連行体4およびファン羽根車5のファンハブ6しか図示されてない。図7には、ファン羽根車5が第1の角度位置で連行体4に取り付けられている。この場合、ファン羽根車5は、3つの別の当付け面11を有している。これらの別の当付け面11は、連行体4に設けられたグループ15,16,17の3つの第1の当付け面Aに載置される。この位置では、ファン羽根車5が連行体4に対して平行に位置調節されている。なぜならば、ファン羽根車5の別の当付け面11は、ファン羽根車5の中心平面に関して同一の高さ位置を有しており、連行体4のグループ15,16,17の第1の当付け面Aは、同じく連行体4の中心平面に関して同一の高さ位置を有しているからである。
【0033】
図8は、ファン1の連行体4およびファン羽根車5を示しており、この場合、ファン羽根車5は、第2の位置で連行体4に載置され、かつこの連行体4に取り付けられている。第2の位置では、ファン羽根車5の3つの別の当付け面11は、連行体4に設けられた第1、第2および第3のグループ15,16,17の、反時計方向で見てそれぞれ第2の3つの当付け面10即ちB1,C1,C1に配置されている。連行体4に設けられた第1のグループ15の第2の当付け面B1の高さ位置は、以下の高さ位置、すなわちz0+1×a=z0+aを有している。連行体4に設けられた第2のグループ16の第2の当付け面C1の高さ位置は、高さ位置z0−(1×a)=z0−aを有している。同様に、連行体4に設けられた第3のグループ17の第2の当付け面は、高さ位置z0−(1×a)=z0−aを有している。これにより、連行体4とファン羽根車5との間で意図的な傾斜位置が生ぜしめられている。
【0034】
図9は、ファン1のファン羽根車5および連行体4を第3の角度位置で概略的に示している。この第3の角度位置では、ファン羽根車5の別の当付け面11が、連行体4に設けられた第1、第2および第3のグループ15,16,17の、反時計方向で見てそれぞれ第4の当付け面B3,C3,C3に載置されている。この第3の位置では、ファン羽根車5が、第2の位置におけるよりも、連行体4に対してより強く傾けられて配置されている。このことは、第1のグループ15の第4の当付け面B3の高さ位置が、以下の高さ位置、すなわちz0+(3×a)=z0+3aを有しているために生ぜしめられる。さらに、連行体4に設けられた第2および第3のグループの第4の当付け面が、以下の高さ位置、すなわちz0−(3×a)=z0−3aを有している。したがって、ファン羽根車5と連行体4との間の間隔は、第2および第3のグループの当付け面の領域で、第1のグループ15の第4の当付け面の領域におけるよりも間隔6aだけ小さく形成されている。
【0035】
したがって、図示された実施形態を用いて、種々異なる傾度で傾斜させられた4つの角度位置を、連行体4とファン羽根車4との組付け時に形成することができる。さらに、3つの別の当付け面11をファン羽根車5に設けるだけではなく、図6に示したように、たとえば6つの別の当付け面11を設けることによって、別の実施形態を達成することができる。これにより、3つの別の当付け面11だけではなく、6つの別の当付け面11を、ファン羽根車5と連行体4との間で最適な角度位置を生ぜしめるために使用することができる。この場合、ファン羽根車5では有利には最小のアンバランスが存在するので有利である。
【0036】
連行体4とファン羽根車5との間の最適な角度位置は、全ての可能な角度位置をテストし、かつ生じたアンバランスを測定することにより求められる。次いで、連行体4へのファン羽根車5の最終的な取付けが、最も小さいアンバランスが生じる角度位置において行われる。このようにして、種々異なる高さ位置を備える当付け面の複数のグループを用いて、ファン羽根車5と連行体4との間で意図的な傾斜位置を生ぜしめることができる。この傾斜位置によって、存在するアンバランスが補償される。
【0037】
図示された実施形態では、種々異なる高さに配置された当付け面10のグループが、連行体4に配置されている。選択された実施形態に応じて、種々異なる高さ位置を備える当付け面10の同じグループがファン羽根車5に形成されていてもよい。このようにして、角度位置の組合せの可能性は付加的に高められる。さらに、図示された実施形態の代わりに、種々異なる高さに配置された別の当付け面10のグループがファン羽根車5に配置されていて、連行体4が、図4に示したファン羽根車5の例で図示されているように同一の高さ位置を備える当付け面10を有していてよい。
【0038】
図10は、連行体4とファン羽根車5とをテストしかつ組み付けるための装置を示している。したがって、装置は、ベースプレート29と、センタリングピン23とを有している。センタリングピン23は、連行体4の中央の切欠きと、ファン羽根車5の中央の切欠きとを通って案内されている。次いで、液圧式に作動可能な3つの位置固定ピン24を用いて、ファン羽根車5が連行体4に対して押し当てられる。この場合、ファン羽根車5の別の当付け面11が、連行体4の当付け面10に第1の角度位置で載置される。次いで、固定された角度位置におけるアンバランスを、測定システム28を用いて求めるために、たとえば、平面振動測定もしくは端面振れ測定(Planschlagmessung)が実施される。この場合、装置が、ファン羽根車5と共に回転させられ、測定システム28を用いて、連行体とファン羽根車との配置のアンバランスを平面振動測定により検出する。次いで、別の角度位置で、ファン羽根車5が連行体4に対して位置固定ピンを用いて押し当てられ、新たにアンバランスが測定される。このようにして、最小のアンバランスが生じる角度位置が求められる。次いで、最小のアンバランスが生じるこの角度位置で、ファン羽根車5が連行体4に堅固に結合され、特にねじ締結される。このためには、たとえば自動ねじ締結装置25が使用される。
【0039】
位置固定ピン24は、たとえば液圧シリンダを用いて操作され得る。
【0040】
図11は、センタリングピン23と、液圧シリンダ26を備える位置固定ピン24とを有するベースプレート29の相応する装置の横断面を示している。液圧シリンダ26によって連行体4とファン羽根車5との間の、摩擦力で固定された結合がアンバランスの測定のために達成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン(1)であって、連行体(4)が設けられており、該連行体(4)がファン羽根車(5)に結合されており、連行体(4)が、第1の個数の当付け面(10)でファン羽根車の別の当付け面(11)に当て付けられている形式のものにおいて、
連行体(4)および/またはファン羽根車(5)が、第1の個数よりも多い当付け面(10)もしくは別の当付け面(11)を有しており、少なくとも2つの当付け面(10)もしくは少なくとも2つの別の当付け面(11)が、連行体(4)もしくはファン羽根車(5)の中心平面または表面に関して、互いに異なる高さ位置を有していることを特徴とする、ファン。
【請求項2】
3つの当付け面(10,11)が、連行体(4)の共通する中心に対して120°の角度だけずらされて配置されている、請求項1記載のファン。
【請求項3】
連行体(4)の当付け面(10)の少なくとも一部が、種々異なる高さ位置を有しており、連行体(4)の当付け面(10)の一部だけが、ファン羽根車(5)の別の当付け面(11)に載置されている、請求項1または2記載のファン。
【請求項4】
ファン羽根車(5)の別の当付け面(11)の一部が、種々異なる高さ位置を有しており、ファン羽根車(5)の別の当付け面(11)の一部だけが、連行体(4)の当付け面(10)に載置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のファン。
【請求項5】
連行体(4)が、当付け面のグループ(15,16,17)を有しており、該グループ(15,16,17)が、連行体(4)の中心に関して規定された角度間隔を有しており、各グループ(15,16,17)が、複数の当付け面(A,B1,B2,B3;A,C1,C2,C3)を有しており、グループ(15,16,17)の複数の当付け面が、連行体(4)の中心に関して規定された角度間隔で連続して配置されており、グループ(15,16,17)の複数の当付け面が、連行体(4)の中心に対して規定された半径方向の間隔で配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のファン。
【請求項6】
ファン羽根車(5)が、当付け面のグループを有しており、該グループが、ファン羽根車の中心に関して規定された角度間隔を有しており、各グループが複数の当付け面を有しており、グループの複数の当付け面が、ファン羽根車の中心に関して規定された角度間隔で連続して配置されており、グループの複数の当付け面が、ファン羽根車の中心に対して規定された半径方向の間隔で配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のファン。
【請求項7】
グループ(15,16,17)の複数の当付け面(10,11)が、連行体(4)の中心平面(12)もしくはファン羽根車の中心平面(13)に関して種々異なる高さ位置を有している、請求項5または6記載のファン。
【請求項8】
ファン(1)の連行体(4)にファン羽根車(5)を組み付けるための方法において、連行体(4)およびファン羽根車(5)が複数の当付け面(10,11)を有しており、該当付け面(10,11)の少なくとも一部が、種々異なる高さ位置を有しており、連行体(4)の当付け面の少なくとも一部が、ファン羽根車(5)の当付け面の一部に対して対称的に配置されており、連行体(4)とファン羽根車(5)とを種々異なる角度位置で摩擦接続式に互いに押し当て、種々異なる角度位置で、連行体(4)とファン(5)とが、前記当付け面の高さの相違に基づいて種々異なる傾斜位置を有しており、種々異なる角度位置で、ファン(5)のアンバランスの大きさを測定し、有利な、特に最小のアンバランスを有する角度位置を求め、次いで連行体(4)をファン羽根車(5)に有利なアンバランスを有する前記角度位置で堅固に結合させることを特徴とする、ファンの連行体にファン羽根車を組み付けるための方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法を実施するための装置であって、位置固定ピンが設けられており、該位置固定ピンは、連行体(4)とファン羽根車(5)とを中心対称的に位置調節するために、ファンのファン羽根車(5)および連行体(4)の中央の孔を通って導入可能であり、押圧手段(24,26)が設けられており、該押圧手段(24,26)により、ファン羽根車(5)の別の当付け面(11)が、連行体(4)の当付け面(10)に押し当てられるようになっており、ファン羽根車が回転されるようになっており、測定システム(28)が設けられており、該測定システム(28)によりファン羽根車(5)のアンバランスが検出可能である、請求項8に記載の方法を実施するための装置。
【請求項10】
前記押圧手段が、複数の位置固定ピン(24)を有しており、該位置固定ピン(24)が、ファン羽根車を複数の位置で連行体(4)に押し当てる、請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−507663(P2012−507663A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535056(P2011−535056)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061384
【国際公開番号】WO2010/060658
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】