説明

フィールド機器

【課題】CPUから2線式の伝送路へ至るまでの間で異常が生じても、その異常を検出して2線式の伝送路へバーンアウト信号を出力することができるようにする。
【解決手段】D/A変換器4とV/I変換器5との間に信号選択器6を設ける。信号選択器6によって選択された信号をリードバックライン7によって引き出し、A/D変換器8によってデジタル信号に変換して、CPU3へ入力する。CPU3は、A/D変換器8からのデジタル信号の値を異常と判断すると、信号選択器6における選択モードを第1の選択モード(端子6a,6c間の接続モード)から第2の選択モード(端子6b,6c間の接続モード)へ切り替える。これにより、信号選択器6においてバーンアウト信号源9からのバーンアウト信号(電圧信号)が選択され、この選択されたバーンアウト信号がV/I変換器5へ送られ、V/I変換器5によって電流信号に変換され、2線式の伝送路Lに出力される。V/I変換器5の後段にリードバックライン7を接続してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2線式の伝送路を流れる電流の値をセンサによる計測値に応じて調整するフィールド機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、差圧・圧力発信器、電磁流量計、ポジショナなどの2線式の伝送路を用いるフィールド機器には、CPUを搭載して、機器本来の計測機能や制御機能の他に自己の機器内で生じる異常を診断する異常診断機能を有するものが存在する。
【0003】
例えば、差圧・圧力発信器は、圧力や差圧を受けるとその大きさに応じたアナログ信号を生じるセンサと、このセンサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器から出力されるデジタル信号をサンプリングして圧力・差圧の計測値を求めるCPUと、このCPUが求めたデジタルの計測値を対応するアナログ信号(電圧信号)に変換するD/A変換器と、このD/A変換器から出力されるアナログ信号を所定の電流範囲(4〜20mA)の計測値信号(電流信号)に変換して2線式の伝送路に出力するV/I変換器と、2線式の伝送路から得られる4〜20mAの電流を用いて自己の機器内の各部への動作電源を生成する電源部などを有している。
【0004】
この差圧・圧力発信器は、自己の機器内で生じる各種の異常を検出する機能を備えており、この異常の検出は機器内蔵のCPUによって行われる。この機能によって異常が検出された場合、CPUは、計測値を出力する際の4〜20mAの電流範囲(通常の調整範囲)とは異なるレベルの信号をバーンアウト信号として2線式の伝送路へ出力する。例えば、CPUは、センサ部からの出力値が正常範囲を超えているか(センサ異常)、A/D変換器の変換値が正常範囲を超えているか(A/D異常)などをチェックし、何れかが異常と判断された場合、バーンアウト信号を2線式の伝送路へ出力する。これにより、2線式の伝送路を流れる電流を監視する上位装置(監視装置)へ、自己の機器内で異常が生じたことが通知される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
【特許文献1】実公平6−24960号公報
【特許文献2】特開平8−221118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のフィールド機器においては、CPUは自分が受信した信号に基づいて異常を検出するため、センサ異常やA/D異常など、センサからの出力値をCPUが受信するまでの間で異常が生じた場合には、その異常を検出してバーンアウト信号を出力することができるが、D/A変換器の異常などCPUから2線式の伝送路に至るまでの間で異常が生じた場合には、その異常を検出してバーンアウト信号を出力することができない。このため、2線式の伝送路への誤った計測値信号の出力が継続され、フィールド機器側で発生した異常の発見も遅れてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、CPUから2線式の伝送路へ至るまでの間で異常が生じても、その異常を検出してバーンアウト信号を出力することができるフィールド機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために本発明は、2線式の伝送路を流れる電流の値を所定の電流範囲内で計測値に応じて調整するフィールド機器において、所定の物理量を計測するセンサと、このセンサによって計測された物理量から計測値を求め、その求めた計測値をデジタルの計測信号として出力するCPUと、このCPUからのデジタルの計測信号をアナログの計測信号に変換するD/A変換器と、このD/A変換器からのアナログの計測信号の通常取り得る範囲外の所定のレベルのアナログ信号をバーンアウト信号として出力するバーンアウト信号源と、第1の選択モードと第2の選択モードとを有し、第1の選択モードにある時にはD/A変換器からのアナログの計測信号を選択し、第2の選択モードにある時にはバーンアウト信号源からのバーンアウト信号を選択する信号選択部と、この信号選択部によって選択された信号を2線式の伝送路に出力する通信部とを備えた構成とし、CPUに、通信部の入力および出力の少なくとも一方の正常/異常を監視し、異常と判断した場合は、信号選択部へモード切替信号を送ってその選択モードを第1の選択モードから第2の選択モードへ切り替える異常監視部を設けたものである。
【0009】
この発明において、信号選択部は、第1の選択モードと第2の選択モードとを有し、第1の選択モードにある時にはD/A変換器からのアナログの計測信号を選択し、第2の選択モードにある時にはバーンアウト信号源からのバーンアウト信号を選択する。この信号選択部は、通常、第1の選択モードにあり、D/A変換器からのアナログの計測信号を選択する。この信号選択部によって選択されたD/A変換器からのアナログの計測信号は通信部へ送られ、通信部を通して2線式の伝送路に出力される。
【0010】
ここで、第1例として、CPUは通信部の入力の正常/異常を監視するものとする。この場合、D/A変換器で異常が生じ、通信部の入力によって示される値と本来の計測値との間に閾値以上のずれが生じるなどして、通信部の入力に異常が発生したと判断すると、CPUは信号選択部の選択モードを第1の選択モードから第2の選択モードへ切り替える。これにより、信号選択部においてバーンアウト信号源からのバーンアウト信号が選択され、この選択されたバーンアウト信号が通信部へ送られ、通信部を通して2線式の伝送路に出力される。
【0011】
次に、第2例として、CPUは通信部の出力の正常/異常を監視するものとする。この場合、D/A変換器や通信部で異常が生じ、通信部の出力によって示される値と本来の計測値との間に閾値以上のずれが生じるなどして、通信部の出力に異常が発生したと判断すると、CPUは信号選択部の選択モードを第1の選択モードから第2の選択モードへ切り替える。これにより、信号選択部においてバーンアウト信号源からのバーンアウト信号が選択され、この選択されたバーンアウト信号が通信部へ送られ、通信部を通して2線式の伝送路に出力される。
【0012】
この場合、通信部での異常がバーンアウト信号を2線式の伝送路へ出力することが可能な程度の異常(2線式の伝送路へのバーンアウト信号が通常の調整範囲に入り込むことのない異常)であることを前提とするが、通信部での機能が完全に停止するような異常の場合には、2線式の伝送路を流れる電流の値が零となるなど通常の調整範囲から外れるので、通信部を通してバーンアウト信号を出力することができなくても、上位装置においてその異常を知ることが可能である。この第2例では、D/A変換器の異常のみならず、通信部の異常も検出することができるので、フィールド機器としてさらに高い信頼性を確保することができる。
【0013】
また、本発明において、さらに、第1の切替モードと第2の切替モードとを有し、第1の切替モードにある時にはCPUからのモード切替信号を信号選択部へ送り、第2の切替モードにある時にはCPUからのモード切替信号にかかわらず信号選択部へ第1の選択モードから第2の選択モードへの切り替えを指示する信号を送る信号切替部と、CPUの動作状態の正常/異常を監視し、CPUの動作状態を異常と判断した場合、信号切替部における切替モードを第1の切替モードから第2の切替モードへ切り替えるCPU動作状態監視手段とを設けるようにしてもよい。
【0014】
この場合、CPU動作状態監視手段において、CPUの動作状態が異常と判断されると、信号切替部における切替モードが第1の切替モードから第2の切替モードへ切り替えられ、CPUからの信号選択部へのモード切替信号にかかわらず、信号切替部から信号選択部へ、第1の選択モードから第2の選択モードへの切り替えを指示する信号が送られる。これにより、信号選択部における選択モードが第1の選択モードから第2の選択モードへ切り替えられ、信号選択部においてバーンアウト信号源からのバーンアウト信号が選択され、この選択されたバーンアウト信号が通信部へ送られ、通信部を通して2線式の伝送路に出力される。
【0015】
本発明において、CPU動作状態監視手段を設ける場合、正常に動作しているときに自身の動作状態が正常であることを示す正常状態信号を定期的に送信する正常状態信号送信手段をCPUに設け、CPU動作状態監視手段をウォッチドッグタイマで構成するなどして、このCPU動作状態監視手段において、正常状態信号送信手段からの正常状態信号が受信されるか否かに基づいてCPUの動作状態の正常/異常を判断するようにすることが考えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の選択モードにある時にはD/A変換器からのアナログの計測信号を選択し、第2の選択モードにある時にはバーンアウト信号源からのバーンアウト信号を選択する信号選択部を設け、CPUにおいて通信部の入力および出力の少なくとも一方の正常/異常を監視し、異常と判断した場合、CPUから信号選択部へモード切替信号を送ってその選択モードを第1の選択モードから第2の選択モードへ切り替えるようにしたので、通信部の入力の正常/異常を監視するものとすれば、D/A変換器での異常を検出してバーンアウト信号を2線式の伝送路へ出力することが可能となり、高い信頼性を確保することができるようになる。また、通信部の出力の正常/異常を監視するものとすれば、D/A変換器や通信部での異常を検出してバーンアウト信号を2線式の伝送路へ出力することが可能となり、さらに高い信頼性を確保することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るフィールド機器の一実施の形態の概略を示すブロック図である。
同図において、100は本発明に係るフィールド機器、200はこのフィールド機器100に2線式の伝送路Lを介して接続された上位装置(監視装置)である。この例では、フィールド機器100を差圧・圧力発信器としている。
【0018】
フィールド機器100は、圧力や差圧を受けるとその大きさに応じたアナログ信号を生じるセンサ1と、このセンサ1からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器2と、このA/D変換器2から出力されるデジタル信号をサンプリングして圧力・差圧の計測値を求めるCPU3と、このCPU3が求めたデジタルの計測値(デジタルの計測信号)をアナログの計測信号(電圧信号)に変換するD/A変換器4と、このD/A変換器4から出力されるアナログ信号を所定の電流範囲(4〜20mA)の計測値信号(電流信号)に変換して2線式の伝送路Lに出力するV/I変換器(通信部)5と、D/A変換器4とV/I変換器5との間に設けられた信号選択器(信号選択部)6と、信号選択器6によって選択された信号をV/I変換器5の前段から引き出すリードバックライン7と、このリードバックライン7から引き出された信号をデジタル信号に変換してCPU3へ入力するA/D変換器8とを備えている。
【0019】
信号選択器6は、第1の選択モードと第2の選択モードとを有し、第1の選択モードにある時にはその選択端子6aとコモン端子6cとの間が接続状態となり、第2の選択モードにある時にはその選択端子6bとコモン端子6cとの間が接続状態となる。第1の選択モードにおいて、信号選択器6は、D/A変換器4からのアナログの計測信号を選択する。第2の選択モードにおいて、信号選択器6は、D/A変換器4からのアナログの計測信号の通常取り得る範囲外の所定のレベルのアナログ信号(電圧信号)をバーンアウト信として選択する。このバーンアウト信号はバーンアウト信号源9から出力される。
【0020】
なお、バーンアウト信号としては、V/I変換器5で変換される電流信号のレベルで言うと、20mAを上回るレベルのバーンアウトH信号と、4mAを下回るレベルのバーンアウトL信号とがあり、この例ではバーンアウトH信号がバーンアウト信号源9から出力されるものとする。以下、V/I変換器5で電流信号に変換されたバーンアウト信号もバーンアウト信号と呼ぶ。
【0021】
CPU3には、メモリとしてRAMやROM(図示せず)が付設されており、RAMにアクセスしながら、ROMに格納されたプログラムに従って動作する。ROMには、A/D変換器2からのデジタル信号をサンプリングして圧力・差圧の計測値を求める計測値処理プログラムに加え、本実施の形態特有のプログラムとして、A/D変換器8からのデジタル信号によって示される値を異常と判断した場合、信号選択器6における選択モードを第1の選択モードから第2の選択モードに切り替える選択モード切替プログラムが格納されている。
【0022】
以下、図2に示すフローチャートを参照して、上述した選択モード切替プログラムに従ってCPU3が実行する処理動作について説明する。この選択モード切替プログラムに従うCPU3の処理機能が本発明でいうモード切替手段に対応する。
【0023】
〔正常時〕
信号選択器6は、通常、第1の選択モードとされている。これにより、D/A変換器4からのアナログの計測信号、すなわちCPU3で求められた計測値に応じた電圧信号がV/I変換器5へ送られ、V/I変換器5によって電流信号に変換されて2線式の伝送路Lに出力され、監視装置200へ送られる。また、このV/I変換器5へのアナログの計測信号は、リードバックライン7から引き出されてA/D変換器8へ送られ、デジタル信号に変換されてCPU3へ入力される。
【0024】
CPU3は、A/D変換器8から入力されるデジタル信号を監視し、このデジタル信号によって示される値と本来の計測値との間に閾値以上のずれが生じていなければ、A/D変換器8からのデジタル信号によって示される値を正常と判断する。この場合、CPU3は、A/D変換器8からのデジタル信号によって示される値を正常と判断し(ステップS101のYES)、信号選択器6における選択モードを第1の選択モードとする(ステップ102)。これにより、信号選択器6は、第1の選択モードを維持する。
【0025】
〔異常時〕
ここで、例えば、D/A変換器4において異常が生じ、A/D変換器8から入力されるデジタル信号によって示される値と本来の計測値との間に閾値以上のずれが生じると、CPU3は、A/D変換器8からのデジタル信号によって示される値を異常と判断し(ステップS101のNO)、信号選択器6へモード切替信号S1を送り、信号選択器6における選択モードを第2の選択モードに切り替える(ステップS103)。
【0026】
これにより、信号選択器6においてバーンアウト信号源9からのバーンアウト信号(電圧信号)が選択され、この選択されたバーンアウト信号がV/I変換器5へ送られ、V/I変換器5によって電流信号に変換されて、2線式の伝送路Lに出力される。
【0027】
この実施の形態において、D/A変換器4はゲートアレイなどで構成されるため、V/I変換器5と比べて故障率が高い。すなわち、この実施の形態において、D/A変換器4の故障率は高く、V/I変換器5の故障率は低い。また、D/A変換器4の故障は複雑で、故障モードの特定が難しい。よって、D/A変換器4の異常時にバーンアウト信号源9からのバーンアウト信号を選択することができれば、信号選択器6によって選択された信号をV/I変換器5の前段から引き出す構成(V/I変換器5の異常を検出することができない構成)であっても、フィールド機器として高い信頼性を確保することができる。
【0028】
なお、上述においては、D/A変換器4で異常が生じたものとして説明したが、CPU3からV/I変換器5の前段までの間でのD/A変換器4以外の異常についても、その異常を同様にして検出し、バーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができる。
【0029】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、信号選択器6によって選択された信号をV/I変換器5の前段から引き出してA/D変換器8へ送るようにしたが、図3に示すように、V/I変換器5の後段から引き出してA/D変換器8へ送るようにしてもよい。
【0030】
この場合、D/A変換器4やV/I変換器5で異常が生じ、A/D変換器8から入力されるデジタル信号によって示される値と本来の計測値との間に閾値以上のずれが生じると、CPU3は、A/D変換器からのデジタル信号によって示される値を異常と判断し(ステップS101のNO)、信号選択器6へモード切替信号S1を送り、信号選択器6における選択モードを第2の選択モードに切り替える(ステップS103)。
【0031】
これにより、信号選択器6においてバーンアウト信号源9からのバーンアウト信号(電圧信号)が選択され、この選択されたバーンアウト信号がV/I変換器5へ送られ、V/I変換器5において電流信号に変換されて、2線式の伝送路Lに出力される。
【0032】
この場合、V/I変換器5での異常がバーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することが可能な程度の異常(2線式の伝送路Lへのバーンアウト信号が通常の調整範囲に入り込むことのない異常)であることを前提とするが、V/I変換器5での機能が完全に停止するような異常が生じて2線式の伝送路Lを流れる電流の値が零となるなど通常の調整範囲を外れると、V/I変換器5を通してバーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができなくても、監視装置200においてその異常を知ることが可能である。
【0033】
この実施の形態2では、D/A変換器4の異常のみならず、V/I変換器5の異常も検出してバーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができるので、フィールド機器としてさらに高い信頼性を確保することができる。
【0034】
なお、上述においては、D/A変換器4やV/I変換器5で異常が生じたものとして説明したが、CPU3からV/I変換器5の後段までの間でのD/A変換器4やV/I変換器5以外の異常についても、その異常を同様にして検出し、バーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができる。
【0035】
〔実施の形態3〕
図4に、実施の形態3として、実施の形態1の構成(図1)において、CPU3の異常も検出してバーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができるようにした例を示す。この実施の形態3では、CPU3からの信号選択器6へのモード切替信号S1の伝送ライン10に信号切替器(信号切替部)11を設けている。また、CPU動作状態監視手段としてCPU監視部12を設け、このCPU監視部12からの指令を信号切替器11へ与えるようにしている。
【0036】
信号切替器11は、第1の切替モードと第2の切替モードとを有し、第1の切替モードにある時にはその切替端子11aとコモン端子11cとの間が接続状態となり、第2の切替モードにある時にはその切替端子11bとコモン端子11cとの間が接続状態となる。第1の切替モードにおいて、信号切替器11は、CPU3からの信号選択器6へのモード切替信号S1の通過を許可する。第2の切替モードにおいて、信号切替器11は、CPU3からの信号選択器6へのモード切替信号S1の通過を禁止するとともに、第1の選択モードから第2の選択モードへの切り替えを指示する信号S2を信号選択器6へ送る。
【0037】
CPU監視部12は、CPU3の動作状態の正常/異常を監視し、CPU3の動作状態を異常と判断した場合、信号切替器11における切替モードを第1の切替モードから第2の切替モードへ切り替える。この実施の形態において、CPU監視部12はウォッチドックタイマで構成されており、CPU3は正常に動作している時に自身の動作状態が正常であることを示す正常状態信号S3を定期的にCPU監視部12へ送る機能を有している。
【0038】
〔CPUの正常時〕
信号切替器11は、通常、第1の切替モードとされている。これにより、CPU3からの信号選択器6へのモード切替信号S1の通過が許可され、実施の形態1と同様にして、A/D変換器8からのデジタル信号によって示される値をCPU3が異常と判断した場合、信号選択器6における選択モードが第2の選択モードへ切り替えられる。
【0039】
また、CPU3は、正常状態信号S3を定期的にCPU監視部12へ送る。CPU監視部12は、CPU3から定期的に送られてくる正常状態信号S3を受信し、CPU3の動作状態を正常と判断し、信号切替器11における切替モードを第1の切替モードとする。これにより、信号切替器11は、第1の切替モードを維持する。
【0040】
〔CPUの異常時〕
ここで、CPU3において異常が生じ、CPU3からの正常状態信号S3の出力が途絶えたとする。この場合、CPU監視部12は、CPU3からの正常状態信号S3が受信されなくなったことにより、CPU3の動作状態を異常と判断し、信号切替器11における切替モードを第2の切替モードに切り替える。
【0041】
これにより、信号切替器11において、CPU3からの信号選択器6へのモード切替信号S1の通過が禁止される。また、信号切替器11において信号S2が選択され、この選択された信号S2が信号選択器6へ与えられ、信号選択器6における選択モードが第2の選択モードへ切り替えられる。
【0042】
これにより、信号選択器6においてバーンアウト信号源9からのバーンアウト信号(電圧信号)が選択され、この選択されたバーンアウト信号がV/I変換器5へ送られ、V/I変換器5において電流信号に変換され、2線式の伝送路Lに出力される。
【0043】
この実施の形態3では、D/A変換器4の異常のみならず、CPU3の異常も検出してバーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができるので、フィールド機器としてさらに高い信頼性を確保することができる。
【0044】
また、この実施の形態3では、CPU監視部12をウォッチドックタイマで構成しているので、CPU3をメインCPUとした場合、このメインCPUの動作状態を判断する専用のCPUを別に設けなくてもよく、安価な構成とすることができる。
【0045】
〔実施の形態4〕
実施の形態3では、信号選択器6によって選択された信号をV/I変換器5の前段から引き出してA/D変換器8へ送るようにしているが、図5に示すように、V/I変換器5の後段から引き出してA/D変換器8へ送るようにしてもよい。
【0046】
このようにすることによって、実施の形態2と同様、V/I変換器5の異常も検出してバーンアウト信号を2線式の伝送路Lへ出力することができるようになり、フィールド機器としてさらに高い信頼性を確保することができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態3,4では、CPU監視部12をウォッチドックタイマで構成するようにしたが、必ずしもウォッチドックタイマで構成しなくてもよく、CPU3の動作状態を判断する専用のCPUを別に設けるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るフィールド機器の一実施の形態(実施の形態1)の概略を示すブロック図である。
【図2】このフィールド機器における選択モード切替プログラムに従う処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係るフィールド機器の他の実施の形態(実施の形態2)の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るフィールド機器の他の実施の形態(実施の形態3)の概略を示すブロック図である。
【図5】本発明に係るフィールド機器の他の実施の形態(実施の形態4)の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1…センサ、2…A/D変換器、3…CPU、4…D/A変換器、5…V/I変換器、6…信号選択器、7…リードバックライン、8…A/D変換器、9…バーンアウト信号源、10…伝送ライン、11…信号切替器、12…CPU監視部、100…フィールド機器(差圧・圧力発信器)、200…上位装置(監視装置)、L…2線式の伝送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2線式の伝送路を流れる電流の値を所定の電流範囲内で計測値に応じて調整するフィールド機器において、
所定の物理量を計測するセンサと、
このセンサによって計測された物理量から前記計測値を求め、その求めた計測値をデジタルの計測信号として出力するCPUと、
このCPUからのデジタルの計測信号をアナログの計測信号に変換するD/A変換器と、
このD/A変換器からのアナログの計測信号の通常取り得る範囲外の所定のレベルのアナログ信号として定められたバーンアウト信号を出力するバーンアウト信号源と、
第1の選択モードと第2の選択モードとを有し、第1の選択モードにある時には前記D/A変換器からのアナログの計測信号を選択し、第2の選択モードにある時には前記バーンアウト信号源からのバーンアウト信号を選択する信号選択部と、
この信号選択部によって選択された信号を前記2線式の伝送路に出力する通信部とを備え、
前記CPUは、
前記通信部の入力および出力の少なくとも一方の正常/異常を監視し、異常と判断した場合は、前記信号選択部へモード切替信号を送ってその選択モードを前記第1の選択モードから前記第2の選択モードへ切り替える異常監視部
を有することを特徴とするフィールド機器。
【請求項2】
請求項1に記載されたフィールド機器において、
第1の切替モードと第2の切替モードとを有し、第1の切替モードにある時には前記CPUからの前記モード切替信号を前記信号選択部へ送り、第2の切替モードにある時には前記CPUからの前記モード切替信号にかかわらず前記信号選択部へ前記第1の選択モードから前記第2の選択モードへの切り替えを指示する信号を送る信号切替部と、
前記CPUの動作状態の正常/異常を監視し、前記CPUの動作状態を異常と判断した場合、前記信号切替部における切替モードを前記第1の切替モードから前記第2の切替モードへ切り替えるCPU動作状態監視手段と
を備えることを特徴とするフィールド機器。
【請求項3】
請求項2に記載されたフィールド機器において、
前記CPUは、
正常に動作しているときに自身の動作状態が正常であることを示す正常状態信号を定期的に送信する正常状態信号送信手段を備え、
前記CPU動作状態監視手段は、
前記正常状態信号送信手段からの正常状態信号が受信されるか否かに基づいて前記CPUの動作状態の正常/異常を判断する
ことを特徴とするフィールド機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−123025(P2010−123025A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297698(P2008−297698)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】