説明

フィールド機器

【課題】工場出荷から実際に設置するまでの保管期間における電池の消耗を効果的に低減する。
【解決手段】制御部12において、当該フィールド機器10の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、センサ接続部15に対するセンサ20の接続有無を確認し、当該センサ20の接続が確認できない場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該センサ20の接続が確認できた場合には当該動作モードを計測モードに設定し、当該フィールド機器10の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部11での無線通信を開始して計測値の送信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池により動作して、物理量を計測するとともに、その計測値を上位装置へ送信するフィールド機器に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用プラントなどの設備では、発信機やポジショナーなどの複数のフィールド機器を設置して、各部における圧力、流量、温度などの物理量を計測し、これらフィールド機器から収集した計測値に基づいて、設備の制御や管理を行うものとなっている。
フィールド機器を上位装置と接続する場合、4−20mA直流電流ループを用いたアナログ通信用の伝送路からなる2線式伝送路が、広く用いられている。しかしながら、フィールド機器の設置環境によっては、電池駆動により物理量を計測して無線送信するフィールド機器が用いられる。
【0003】
このような電池駆動の無線フィールド機器では、動作信頼性の向上や保守作業の省力化の観点から、電池無交換で数年間にわたる連続動作保証が求められる。したがって、工業用プラントなどの設備では、無線フィールド機器の電池交換は、数年間隔で行われる定期点検時にしか行われないため、電池の消耗をできるだけ低減する必要がある。
【0004】
一方、無線フィールド機器は、石油・化学プラントなどの可燃性ガスが存在する危険場所で使用されることを想定する必要がある。このような環境では、電池装着の際、比較的大きな電流が流れて、電池と機器側電極との接触点で電気火花が発生し、これが点火源となる危険性があるため、通常、設置現場におけるフィールド機器への電池の装着は禁止されている。したがって、無線フィールド機器に対して、製造時に予め電池を装着して、動作状態としてから出荷する方法が採られている。しかしながら、無線フィール機器が実際に設置されるまで、工場出荷から数ヶ月あるいは1年程度の保管期間が発生するため、この保管期間の分だけ電池が消耗されてしまうことになる。
【0005】
従来、このような保管期間における電池の消耗を低減する技術として、無線自動検針システムにおいて、待機状態では無線通信用のキャリアを検出する間隔を長くして電池の消耗を抑え、キャリア検出に応じて待機状態から復帰して通常動作を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−194022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来技術では、保管期間において間欠的ではあるがキャリア検出のための電力を消費することから、保管期間における電池の消耗を効果的に低減することができないという問題点があった。
無線フィールド機器では、無線ネットワークに接続されている場合、間欠的に無線通信を行うことにより、その消費電力を大幅に低減することができる。しかし、無線ネットワークに接続されていない場合には、無線通信のためのキャリアを検出する動作を実行することになる。このキャリア検出動作は、通信可能範囲の全域について通信相手を効率よく検出する必要があるため、大きな電力で電波を送信することになる。また、通信相手の間欠動作に合わせて一定期間継続して電波を送信することになる。
【0008】
このため、キャリア検出時には、通常の無線通信時と比較して数10倍から100倍程度の電力を消費する。したがって、間欠的ではあっても、1回に消費する電力量が大きいため、電池の消耗を効果的に低減することができない。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、工場出荷から実際に設置するまでの保管期間における電池の消耗を効果的に低減できるフィールド機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明にかかるフィールド機器は、センサで物理量を計測して得られた計測値を上位装置へ通知するフィールド機器であって、工場出荷時に装着されて当該フィールド機器の各部に動作のための電源を供給する電池と、センサを接続するためのセンサ接続部と、センサ接続部に接続されたセンサで得られた計測値を、無線通信により上位装置へ送信する無線通信部と、当該フィールド機器の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、センサ接続部に対するセンサの接続有無を確認し、当該センサの接続が確認できない場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該センサの接続が確認できた場合には当該動作モードを計測モードに設定し、当該フィールド機器の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部での無線通信を停止して電池の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部での無線通信を開始して計測値の送信を行う制御部とを備えている。
【0010】
この際、コマンドにより当該フィールド機器の動作モードを設定する設定端末を接続するための端末接続部をさらに備え、制御部で、動作モード確認処理に代えて、設定端末からの動作モード設定用のコマンドを確認する動作モード確認処理を実行し、当該コマンドが保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該コマンドが計測モードの設定を指示する場合に当該計測モードを保管モードに設定するようにしてもよい。
【0011】
また、当該フィールド機器の動作モードを設定する設定操作を行うための操作入力部をさらに備え、制御部で、動作モード確認処理に代えて、操作入力部で入力された動作モード設定用の設定操作を確認する動作モード確認処理を実行し、当該設定操作が保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該設定操作が計測モードの設定を指示する場合には当該計測モードを保管モードに設定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明にかかる他のフィールド機器は、センサで物理量を計測して得られた計測値を上位装置へ通知するフィールド機器であって、工場出荷時に装着されて当該フィールド機器の各部に動作のための電源を供給する電池と、コマンドにより当該フィールド機器の動作モードを設定する設定端末を接続するための端末接続部と、センサ接続部に接続されたセンサで得られた計測値を、無線通信により上位装置へ送信する無線通信部と、当該フィールド機器の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、設定端末からの動作モード設定用のコマンドを確認し、当該コマンドが保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該コマンドが計測モードの設定を指示する場合に当該計測モードを保管モードに設定し、当該フィールド機器の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部での無線通信を停止して電池の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部での無線通信を開始して計測値の送信を行う制御部とを備えている。
【0013】
また、本発明にかかる他のフィールド機器は、センサで物理量を計測して得られた計測値を上位装置へ通知するフィールド機器であって、工場出荷時に装着されて当該フィールド機器の各部に動作のための電源を供給する電池と、当該フィールド機器の動作モードを設定する設定操作を行うための操作入力部と、センサ接続部に接続されたセンサで得られた計測値を、無線通信により上位装置へ送信する無線通信部と、当該フィールド機器の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、操作入力部で入力された動作モード設定用の設定操作を確認し、当該設定操作が保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該設定操作が計測モードの設定を指示する場合には当該計測モードを保管モードに設定し、当該フィールド機器の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部での無線通信を停止して電池の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部での無線通信を開始して計測値の送信を行う制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、工場出荷時から設置までの保管状態において、センサが取り外されるため、この期間においてフィールド機器の動作モードが保管モードとなり、電池の消耗が低減される。また、設備への設置作業においてフィールド機器にセンサが接続された場合、フィールド機器の動作モードが自動的に計測モードとなり、無線通信部での無線通信を開始して、センサで得られた計測値の無線送信が開始される。
したがって、工場出荷から実際に設置するまでの保管期間における電池の消耗を効果的に低減することができる。また、センサの接続時や動作モードの切替について時に、電池の装着時のような大きな電流が流れることはないため、これが点火源となる危険性はなく、高い安全性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態にかかるフィールド機器の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態にかかるフィールド機器の動作モード切替処理を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態にかかるフィールド機器の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態にかかるフィールド機器の動作モード切替処理を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施の形態にかかるフィールド機器の動作モード切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるフィールド機器10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるフィールド機器の構成を示すブロック図である。
【0017】
このフィールド機器10は、工業用プラントなどの設備に設置される、発信機やポジショナーなどのフィールド機器からなり、工場出荷時に装着された電池から供給される電力により動作して、各部における圧力、流量、温度などの物理量をセンサ20で計測して得られた計測値を、上位装置(図示せず)へ無線通信により通知する機能を有している。
【0018】
本実施の形態は、当該フィールド機器10の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、センサ接続部15に対するセンサ20の接続有無を確認し、当該センサ20の接続が確認できない場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該センサ20の接続が確認できた場合には当該動作モードを計測モードに設定し、当該フィールド機器10の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部11での無線通信を開始して計測値の送信を行うようにしたものである。
【0019】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるフィールド機器10の構成について説明する。
このフィールド機器10には、主な機能部として、無線通信部11、制御部12、電池13、操作入力部14、およびセンサ接続部15が設けられており、これら機能部がデータ通信線や電源供給線などの配線を介して接続されている。
【0020】
無線通信部11は、全体として短距離無線ネットワークIEEE802.15.4や、産業用無線通信規格ISA100.11a規格のほか、無線LANやブルートゥース(登録商標)などの無線通信方式に基づき無線データ通信を行う回路部からなり、電池13から供給された電源により動作して無線通信を行うことにより、センサ20で得られた計測値を上位装置へ無線送信する機能と、制御部12からの指示に応じて無線通信の停止・開始を制御することにより電池13の消耗を調整する機能とを有している。一般的な工業用無線デバイスでは、無線通信を停止した場合、消費電流が数μA〜数10μA程度に低減される。
【0021】
電池13は、一次電池や二次電池などの電池からなり、工場出荷時に装着されてフィールド機器10の各部に動作のための電源を供給する機能を有している。
操作入力部14は、スイッチやボタンなどの操作入力装置からなり、フィールド機器10の動作内容を設定する設定操作などの各種操作を検出して制御部12へ通知する機能を有している。
【0022】
センサ接続部15は、フィールド機器10にセンサ20を接続するためのインターフェース回路であり、センサ20を駆動する駆動信号を出力する機能と、センサ20からの出力信号を検出することにより、センサ20の接続有無を確認して制御部12へ通知する機能と、センサ20からの出力信号を検出して制御部12へ通知する機能を有している。
【0023】
制御部12は、全体として、電池13から供給された電源により動作して各種制御処理を行うCPUなどの制御回路からなり、フィールド機器10の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、センサ接続部15に対するセンサ20の接続有無を確認し、当該センサ20の接続が確認できない場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該センサ20の接続が確認できた場合には当該動作モードを計測モードに設定する機能と、フィールド機器10の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部11での無線通信を開始して計測値の送信を行う機能とを有している。
【0024】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかるフィールド機器10の動作について説明する。図2は、第1の実施の形態にかかるフィールド機器の動作モード切替処理を示すフローチャートである。
フィールド機器10の制御部12は、工場出荷時に電池13が装着されて、動作のための電源供給が開始された場合、図2の動作モード切替処理を実行する。
【0025】
まず、制御部12は、フィールド機器10の新たな動作モードを確認するため、センサ接続部15からの通知に基づいて、センサ接続部15に対するセンサ20の接続有無を確認する(ステップ100:動作モード確認処理)。
ここで、センサ20の接続が確認できない場合、すなわち未接続の場合(ステップ101:NO)、制御部12は、制御部12の内部メモリで記憶されているフィールド機器10の動作モードを保管モードに設定する(ステップ102)。
【0026】
これにより、制御部12は、動作モード切替処理とは別個に実行される動作モード管理処理において、動作モードが保管モードであるため、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減させる。
通常、フィールド機器10の多くは、工場出荷時にフィールド機器10からセンサ20を取り外した形で梱包され、設備で設置する設置作業においてフィールド機器10にセンサ20が接続される。したがって、工場出荷時から設置までの保管状態において、センサ20が取り外されるため、この期間においてフィールド機器10の動作モードが保管モードとなり、電池13の消耗が低減される。
【0027】
この後、制御部12は、次回の動作モード確認処理による判定タイミングまでの期間長を、例えばCPUの内部タイマーなどのタイマーに設定し(ステップ103)、このタイマーがタイムアップするまで処理を停止して待機状態へ移行し(ステップ104)、タイムアップに応じてステップ100へ移行する。これにより、動作モード確認処理が間欠的に実行されるため、制御部12での電力消費を低減できる。なお、動作モード確認処理の実行周期については、1日1回程度から1分間隔程度まで、フィールド機器10の設置方法や、保管モードにおける消費電力、電池13と容量、および保管期間の組合せに応じて、適宜決定すればよい。
【0028】
また、CPUにいわゆるスリープモードと呼ばれる低消費電力モードが設けられている場合には、ステップ104の開始時に、CPUを低消費電力モードに移行させ、タイマのタイムアップに応じて低消費電力から通常モードへ復帰させてもよい。これにより、さらに電池13の消耗を低減できる。
【0029】
一方、ステップ101において、センサ20の接続が確認できた場合(ステップ101:YES)、制御部12は、制御部12の内部メモリで記憶されているフィールド機器10の動作モードを計測モードに設定し(ステップ105)、一連の動作モード切替処理を終了する。
したがって、設備への設置作業においてフィールド機器10にセンサ20が接続された場合、フィールド機器10の動作モードが自動的に計測モードとなり、無線通信部11での無線通信を開始して、センサ20で得られた計測値の無線送信が開始される。
【0030】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、制御部12において、当該フィールド機器10の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、センサ接続部15に対するセンサ20の接続有無を確認し、当該センサ20の接続が確認できない場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該センサ20の接続が確認できた場合には当該動作モードを計測モードに設定し、当該フィールド機器10の動作モードが保管モードの場合には、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、無線通信部11での無線通信を開始して計測値の送信を行うようにしたものである。
【0031】
通常、フィールド機器10の多くは、工場出荷時にフィールド機器10からセンサ20を取り外した形で梱包され、設備で設置する設置作業においてフィールド機器10にセンサ20が接続される。これにより、工場出荷時から設置までの保管状態において、センサ20が取り外されるため、この期間においてフィールド機器10の動作モードが保管モードとなり、電池13の消耗が低減される。
【0032】
また、設備への設置作業においてフィールド機器10にセンサ20が接続された場合、フィールド機器10の動作モードが自動的に計測モードとなり、無線通信部11での無線通信を開始して、センサ20で得られた計測値の無線送信が開始される。
したがって、本実施の形態によれば、工場出荷から実際に設置するまでの保管期間における電池13の消耗を効果的に低減することができる。また、センサ20の接続時や動作モードの切替について時に、電池13の装着時のような大きな電流が流れることはないため、これが点火源となる危険性はなく、高い安全性が得られる。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるフィールド機器10について説明する。図3は、第2の実施の形態にかかるフィールド機器の構成を示すブロック図であり、図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0034】
第1の実施の形態では、フィールド機器10に対するセンサ20の接続有無に基づき、フィールド機器10の動作モードを切り替える場合を例として説明した。本実施の形態では、これに代えて、設定端末30からの動作モード設定用のコマンドに基づき、フィールド機器10の動作モードを切り替える場合について説明する。
【0035】
第1の実施の形態と比較して、本実施の形態にかかるフィールド機器10には、端末接続部16が設けられている。
端末接続部16は、コマンドにより当該フィールド機器の動作モードを設定する設定端末30を接続するためのインターフェース回路からなり、接続された設定端末30との間でデータ通信を行うことにより、設定端末30との間で各種コマンドを送受信する機能と、受信したコマンドを制御部12へ通知する機能と、制御部12からのコマンドを設定端末30へ送信する機能とを有している。
【0036】
設定端末30は、フィールド機器10の保守・管理を行うため、工業用プラントなどの設備で利用される、一般的な携帯型の処理端末である。
制御部12は、第1の実施の形態にかかる動作モード確認処理に代えて、設定端末30からの動作モード設定用のコマンドを確認する動作モード確認処理を実行し、当該コマンドが保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該コマンドが計測モードの設定を指示する場合に当該計測モードを保管モードに設定する機能を有している。
本実施の形態にかかるフィールド機器10のその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるフィールド機器10の動作について説明する。図4は、第2の実施の形態にかかるフィールド機器の動作モード切替処理を示すフローチャートである。
フィールド機器10の制御部12は、工場出荷時に電池13が装着されて、動作のための電源供給が開始された場合、端末接続部16からのコマンド受信通知に応じて、図4の動作モード切替処理を実行する。
【0038】
まず、制御部12は、フィールド機器10の新たな動作モードを確認するため、端末接続部16から通知された、設定端末30からのコマンドの内容を確認する(ステップ200:動作モード確認処理)。
ここで、受信コマンドが動作モード設定用以下のコマンドである場合(ステップ201:NO)、制御部12は、ステップ103へ移行する。
【0039】
一方、受信コマンドが動作モード設定用のコマンドである場合(ステップ201:YES)、制御部12は、当該コマンドが保管モードの設定を指示するコマンドか否か確認する(ステップ202)。
ここで、当該コマンドが保管モードの設定を指示するコマンドであった場合(ステップ202:YES)、制御部12は、制御部12の内部メモリで記憶されているフィールド機器10の動作モードを保管モードに設定し(ステップ203)、一連の動作モード切替処理を終了する。
【0040】
これにより、制御部12は、動作モード切替処理とは別個に実行される動作モード管理処理において、動作モードが保管モードであるため、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減させる。
したがって、工場出荷時に設定端末30から保管モードを設定することにより、工場出荷時から設置までの保管状態において、フィールド機器10の動作モードが保管モードとなり、電池13の消耗が低減される。
【0041】
一方、ステップ202において、当該コマンドが計測モードの設定を指示するコマンドであった場合(ステップ202:NO)、制御部12は、制御部12の内部メモリで記憶されているフィールド機器10の動作モードを計測モードに設定し(ステップ204)、一連の動作モード切替処理を終了する。
したがって、設備への設置作業において設定端末30によりフィールド機器10の動作モードを計測モードに設定した時点で、フィールド機器10が無線通信部11での無線通信を開始して、センサ20で得られた計測値の無線送信が開始される。
【0042】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、制御部12において、動作モード確認処理として、設定端末30からの動作モード設定用のコマンドを確認し、当該コマンドが保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該コマンドが計測モードの設定を指示する場合に当該計測モードを保管モードに設定するようにしたものである。
【0043】
これにより、工場出荷時に設定端末30から保管モードを設定しておけば、工場出荷時には、フィールド機器10の動作モードが保管モードとなり、電池13の消耗が低減される。また、設備への設置作業において、設定端末30から計測モードを設定した時点で、無線通信部11での無線通信を開始して、センサ20で得られた計測値の無線送信が開始される。
【0044】
したがって、本実施の形態によれば、工場出荷から実際に設置するまでの保管期間における電池13の消耗を効果的に低減することができる。また、設定端末30による動作モードの切替について時に、電池13の装着時のような大きな電流が流れることはないため、これが点火源となる危険性はなく、高い安全性が得られる。
【0045】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるフィールド機器10について説明する。
第1の実施の形態では、フィールド機器10に対するセンサ20の接続有無に基づき、フィールド機器10の動作モードを切り替える場合を例として説明し、第2の実施の形態では、設定端末30からの動作モード設定用のコマンドに基づき、フィールド機器10の動作モードを切り替える場合を霊として説明した。本実施の形態では、これに代えて、フィールド機器10での動作モード設定用の設定操作に基づき、フィールド機器10の動作モードを切り替える場合について説明する。
【0046】
本実施の形態にかかるフィールド機器10の制御部12は、第1および第2の実施の形態にかかる動作モード確認処理に代えて、操作入力部14で入力された動作モード設定用の設定操作を確認する動作モード確認処理を実行し、当該設定操作が保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該設定操作が計測モードの設定を指示する場合には当該計測モードを保管モードに設定する機能を有している。
本実施の形態にかかるフィールド機器10のその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかるフィールド機器10の動作について説明する。図5は、第3の実施の形態にかかるフィールド機器の動作モード切替処理を示すフローチャートである。
フィールド機器10の制御部12は、工場出荷時に電池13が装着されて、動作のための電源供給が開始された場合、操作入力部14からの操作検出通知に応じて、図5の動作モード切替処理を実行する。
【0048】
まず、制御部12は、操作入力部14から通知された操作内容を確認する(ステップ300:動作モード確認処理)。
ここで、当該操作が動作モード設定用以外の操作である場合(ステップ301:NO)、制御部12は、現在の動作モードを維持したまま、一連の動作モード切替処理を終了する。
【0049】
一方、当該操作が動作モード設定用の設定操作である場合(ステップ301:YES)、制御部12は、フィールド機器10の新たな動作モードを確認するため、当該設定操作が保管モードの設定を指示する設定操作か否か確認する(ステップ302:動作モード確認処理)。
ここで、当該設定操作が保管モードの設定を指示する設定操作であった場合(ステップ302:YES)、制御部12は、制御部12の内部メモリで記憶されているフィールド機器10の動作モードを保管モードに設定し(ステップ303)、一連の動作モード切替処理を終了する。
【0050】
これにより、制御部12は、動作モード切替処理とは別個に実行される動作モード管理処理において、動作モードが保管モードであるため、無線通信部11での無線通信を停止して電池13の消耗を低減させる。
したがって、工場出荷時に操作入力部14から保管モードを設定することにより、工場出荷時から設置までの保管状態において、フィールド機器10の動作モードが保管モードとなり、電池13の消耗が低減される。
【0051】
一方、ステップ302において、当該設定操作が計測モードの設定を指示する設定操作であった場合(ステップ302:NO)、制御部12は、制御部12の内部メモリで記憶されているフィールド機器10の動作モードを計測モードに設定し(ステップ304)、一連の動作モード切替処理を終了する。
したがって、設備への設置作業において操作入力部14によりフィールド機器10の動作モードを計測モードに設定した時点で、フィールド機器10が無線通信部11での無線通信を開始して、センサ20で得られた計測値の無線送信が開始される。
【0052】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、制御部12において、動作モード確認処理として、操作入力部14で入力された動作モード設定用の設定操作を確認し、当該設定操作が保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該設定操作が計測モードの設定を指示する場合には当該計測モードを保管モードに設定するようにしたものである。
【0053】
これにより、工場出荷時に操作入力部14から保管モードを設定しておけば、工場出荷時には、フィールド機器10の動作モードが保管モードとなり、電池13の消耗が低減される。また、設備への設置作業において、操作入力部14から計測モードを設定した時点で、無線通信部11での無線通信を開始して、センサ20で得られた計測値の無線送信が開始される。
【0054】
したがって、本実施の形態によれば、工場出荷から実際に設置するまでの保管期間における電池13の消耗を効果的に低減することができる。また、操作入力部14による動作モードの切替について時に、電池13の装着時のような大きな電流が流れることはないため、これが点火源となる危険性はなく、高い安全性が得られる。
【0055】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0056】
また、第1の実施の形態では、動作モード切替処理を周期的に実行することにより、センサ接続部15へのセンサ20の接続有無を確認する場合を例として説明したが、センサ接続部15からの割込信号により、動作モードを切り替えるようにしてもよい。
この場合、センサ接続部15に、センサ20が接続された時点で制御部12へ割込信号を出力する機能を設けておき、この割込信号に応じて制御部12が、フィールド機器10の動作モードを保管モードから計測モードへ切り替えることになる。
【0057】
これにより、保管モードにおいて、動作モード切替処理のタイミングを計時する必要がなくなる。また、制御部12に、割込信号によりスリープモードから通常モードへ復帰する機能があれば、保管モードにおいて、制御部12をスリープモードに維持しておくことができ、電池13の消耗をさらに低減できる。
【0058】
また、第1の実施の形態では、現在の動作モードにかかわらず、動作モード切替処理を周期的に実行する場合を例として説明したが、一旦、計測モードに移行した場合、周期的に実行していた動作モード切替処理を完全に停止してもよい。これにより、計測モードにおける処理負担を軽減することができる。
【0059】
また、第1の実施の形態では、センサ20の接続有無に基づき、フィールド機器10の動作モードを切り替える場合を例として説明したが、センサ20で検出した計測値の正常性に基づきフィールド機器10の動作モードを切り替えるようにしてもよい。
例えば、図2のステップ100において、センサ20で検出した計測値と、予め設定しておいた計測値に対する正常範囲とを比較し、ステップ101において、計測値が正常範囲に含まれていない場合には(ステップ101:NO)、ステップ102へ移行し、計測値が正常範囲に含まれている場合には(ステップ101:YES)、ステップ105へ移行するようにしてもよい。
【0060】
また、第2の実施の形態では、保管モードにおいて制御部12が常時動作して、動作モード切替処理を実行する場合を例として説明したが、第1の実施の形態と同様に、周期的に動作モード切替処理を実行してもよい。あるいは、端末接続部16に、設定端末30からのコマンド受信に応じて制御部12へ割込信号を出力する機能を設け、この割込信号に応じて、制御部12が動作モード切替処理を開始するようにしてもよい。
【0061】
また、第3の実施の形態では、保管モードにおいて制御部12が常時動作して、動作モード切替処理を実行する場合を例として説明したが、第1の実施の形態と同様に、周期的に動作モード切替処理を実行してもよい。あるいは、操作入力部14に、任意の操作入力に応じて制御部12へ割込信号を出力する機能を設け、この割込信号に応じて、制御部12が動作モード切替処理を開始するようにしてもよい。
【0062】
また、第3の実施の形態において、設定操作としては、一般的なフィールド機器に設けられている、ゼロ・スパン調整用スイッチなどの既存のスイッチを兼用してもよい。例えば、スイッチが通常操作とは異なり、10秒以上長押しされた場合に、動作モードを切り替えを指示する設定操作であると判定してもよい。この際、スイッチごとに、設定する動作モードを割り当ててもよく、1つのスイッチで保管モードと計測モードとを交互に切り替えるようにしてもよい。これにより、新たなスイッチを追加することなく、ソフトウェアを変更するだけで対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
10…フィールド機器、11…無線通信部、12…制御部、13…電池、14…操作入力部、15…センサ接続部、16…端末接続部、20…センサ、30…設定端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサで物理量を計測して得られた計測値を上位装置へ通知するフィールド機器であって、
工場出荷時に装着されて当該フィールド機器の各部に動作のための電源を供給する電池と、
前記センサを接続するためのセンサ接続部と、
前記センサ接続部に接続された前記センサで得られた前記計測値を、無線通信により前記上位装置へ送信する無線通信部と、
当該フィールド機器の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、前記センサ接続部に対する前記センサの接続有無を確認し、当該センサの接続が確認できない場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該センサの接続が確認できた場合には当該動作モードを計測モードに設定し、当該フィールド機器の動作モードが保管モードの場合には、前記無線通信部での無線通信を停止して前記電池の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、前記無線通信部での無線通信を開始して前記計測値の送信を行う制御部と
を備えることを特徴とするフィールド機器。
【請求項2】
請求項1に記載のフィールド機器において、
コマンドにより当該フィールド機器の動作モードを設定する設定端末を接続するための端末接続部をさらに備え、
前記制御部は、前記動作モード確認処理に代えて、前記設定端末からの動作モード設定用のコマンドを確認する動作モード確認処理を実行し、当該コマンドが保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該コマンドが計測モードの設定を指示する場合に当該計測モードを保管モードに設定する
ことを特徴とするフィールド機器。
【請求項3】
請求項1に記載のフィールド機器において、
当該フィールド機器の動作モードを設定する設定操作を行うための操作入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記動作モード確認処理に代えて、前記操作入力部で入力された動作モード設定用の設定操作を確認する動作モード確認処理を実行し、当該設定操作が保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該設定操作が計測モードの設定を指示する場合には当該計測モードを保管モードに設定する
ことを特徴とするフィールド機器。
【請求項4】
センサで物理量を計測して得られた計測値を上位装置へ通知するフィールド機器であって、
工場出荷時に装着されて当該フィールド機器の各部に動作のための電源を供給する電池と、
コマンドにより当該フィールド機器の動作モードを設定する設定端末を接続するための端末接続部と、
前記センサ接続部に接続された前記センサで得られた前記計測値を、無線通信により前記上位装置へ送信する無線通信部と、
当該フィールド機器の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、前記設定端末からの動作モード設定用のコマンドを確認し、当該コマンドが保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該コマンドが計測モードの設定を指示する場合に当該計測モードを保管モードに設定し、当該フィールド機器の動作モードが保管モードの場合には、前記無線通信部での無線通信を停止して前記電池の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、前記無線通信部での無線通信を開始して前記計測値の送信を行う制御部と
を備えることを特徴とするフィールド機器。
【請求項5】
センサで物理量を計測して得られた計測値を上位装置へ通知するフィールド機器であって、
工場出荷時に装着されて当該フィールド機器の各部に動作のための電源を供給する電池と、
当該フィールド機器の動作モードを設定する設定操作を行うための操作入力部と、
前記センサ接続部に接続された前記センサで得られた前記計測値を、無線通信により前記上位装置へ送信する無線通信部と、
当該フィールド機器の新たな動作モードを確認するための動作モード確認処理として、前記操作入力部で入力された動作モード設定用の設定操作を確認し、当該設定操作が保管モードの設定を指示する場合には当該動作モードを保管モードに設定し、当該設定操作が計測モードの設定を指示する場合には当該計測モードを保管モードに設定し、当該フィールド機器の動作モードが保管モードの場合には、前記無線通信部での無線通信を停止して前記電池の消耗を低減し、当該動作モードが計測モードの場合には、前記無線通信部での無線通信を開始して前記計測値の送信を行う制御部と
を備えることを特徴とするフィールド機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98891(P2013−98891A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242010(P2011−242010)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】