説明

フェンス用採光パネル及びこれを用いた採光フェンス

【課題】 ブロック塀等の起立仕切体の背面に生じる日陰を縮小乃至解消する採光フェンスを提供する。
【解決手段】 曲面帯状の光屈折面11と平坦面帯状の光透過面14を上下交互に配列し且つ光屈折面11と光透過面14間に階段状屈折面12を配置した採光パネル10を起立仕切体Bに配置して、光屈折面11による太陽の屈折光供給領域aと光透過面14による透過光供給領域bを形成するとともに階段状屈折面12の屈折光を屈折光供給領域aに重畳状に供給して、太陽光供給を可及的に均一化する。階段状屈折面12を数度ずつ減少した後傾角度とすることによって、角度0〜30度の太陽光を有効に捕捉活用して太陽光のロスを解消できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンス用採光パネルに関し、また、これを用いた採光フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高速道路等の高架建造物の壁面として設置し、該高架建造物によって日陰となる近隣に対して太陽光を供給するとともに道路通過車両から壁面外の風景観察を可能とした採光パネルとして、屈折光供給領域に対して太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、上記風景観察を行なう平坦面帯状の透視面とを上下交互に配列するとともにこれら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間にこれらを直線で結ぶように、例えば水平に対して60度程度の上向き角度をなす傾斜面を介設したものが知られており、このとき、上記光屈折部は、これを、例えば、曲率半径2.56cmの曲面レンズの下端部分の2cm幅分を用いた2cmの帯幅とし、光屈折面と透視面を単位とする配置ピッチを20〜100mm、その帯幅を5〜20mmに設定したものとされている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−51106号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、光屈折面によって屈折光供給領域に対して太陽光を供給するとともに該光屈折面の間に配置した平坦面帯状の透視面によって風景の観察を行なうことが可能となり、また、透視面から上記屈折光供給領域の外側に太陽の透過光を供給することが可能となるが、光屈折部と光透過部間の上記傾斜面は60度程度の角度にして上向きのものとされるから、例えば、太陽光の角度が夕方から日没前の30度乃至それ以下の角度となると、該傾斜面に入射した太陽光は上向きに屈折することになり、従って、光屈折面を曲面に形成することによって不可避的に生じる上記光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端間の傾斜面は、屈折光や透過光とともに太陽光を供給することができず、太陽光の供給との観点から見ると、該傾斜面は太陽光のロスを来す部位となり、例えば、冬場や夕方のように比較的太陽の角度が低いときには、ロスが大きくなるという結果になる。
【0005】
また、この場合、光屈折面と光透過面のピッチ及び光透過面の帯幅は比較的広く設定されるから、採光パネルは、最低でも1cm乃至それ以上の相当に厚い肉厚を供えたものとなり、更に、透視面は、壁面外の風景観察用のものとされるから、例えば、これを、道路や隣家との境界に起立配置したブロック塀、ブラインドフェンス等の起立仕切体に設置して、その上方を覆うことによって、該起立仕切体背面に形成される日陰部位に対して太陽光を供給する、住宅のフェンスに用いようとすると、該採光パネルは、その肉厚が極く厚いことから高コストの過剰品質のものとなるとともに道路や隣家からの目隠し機能を確保できないという問題点を生じることになる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、先ず、季節や時間帯による太陽の角度を問わず、太陽光の供給を可及的にロスなく、有効になし得るようにした採光パネルを提供するにあり、次いで、採光パネルの肉厚を可及的に薄肉化してコストアップを避けるとともに有効な目隠し機能を有して住宅のフェンスに好適に用いられるようにした採光パネルを提供するにあり、更に、上記採光パネルを用いて形成した採光フェンスを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って、本発明は、起立仕切体に設置しその上方を覆う採光パネルとして、該起立仕切体の背面に形成される日陰領域に対して屈折太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、起立仕切体によって遮られることによって該屈折太陽光の外側に形成され、太陽の直射光を受ける領域との間に生じる明暗差の領域に太陽の透過光を供給する平坦面状の光透過面を上下交互に配列して、これら領域間の太陽光供給を可及的に均一化する一方、これら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面を配置することによって、該階段状屈折面からの屈折光を上記屈折太陽光に重畳的に供給して、該階段状屈折面における太陽光の捕捉とその有効活用を図るようにして、季節や時間帯による太陽の角度を問わず、太陽光の供給を可及的にロスなく、有効になし得るようにした採光パネルとしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、起立仕切体に設置してその上方を覆うことによって該起立仕切体の背面地表に太陽の屈折光供給領域とその外側の透過光供給領域を形成するように用いて起立仕切体の背面に太陽光を供給するフェンス用の採光パネルであって、屈折光供給領域に対して太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、透過光供給領域に対して太陽光を供給する平坦面帯状の光透過面とを上下交互に配列するとともにこれら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面を介設してなることを特徴とするフェンス用採光パネルとしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、該光屈折部及び光透過部を単位とするその配置ピッチと光屈折面の幅を小さく規制して、採光パネルの肉厚を可及的に薄肉化してコストアップを避けるとともに有効な目隠し機能を有して住宅のフェンスに好適に用いられるようにした採光パネルとするように、これを、該光屈折部及び光透過部を単位とするその配置ピッチを小さく規制するとともに光透過面の幅を細く規制することによって光屈折部の曲面突出寸法を抑制するとともに光透過部に目隠し機能を付与して住宅用としてなることを特徴とする請求項1に記載のフェンス用採光パネルとしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記階段状屈折面による太陽光の補足を可及的有効且つ的確に行なうものとするように、これを、上記階段状屈折面を、水平面に対してそれぞれ光透過部側に後傾状に配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェンス用採光パネルとしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、太陽位置の変化に応じて、これに追尾して、上記階段状屈折面による太陽光の補足をなしうるものとするように、これを、上記階段状屈折面の後傾状の配置を、光屈折面側から光透過面側に向けて順次後傾角度を減少した配置としてなることを特徴とする請求項3に記載のフェンス用採光パネルとしたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、階段状屈折面の起立角度を、太陽光を有効且つ確実に補足するに適したものとするように、これを、上記順次減少した後傾角度を、水平面に対して30度を上回り且つ90度を下回る角度にして、該後傾角度の減少差を等角度に行ってなることを特徴とする請求項4に記載のフェンス用採光パネルとしたものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、上記採光パネルを用いて形成した採光パネルを提供するように、これを、起立仕切体に設置してその上方を覆うことによって該起立仕切体の背面地表の屈折光供給領域に対して太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、該背面地表の透過光供給領域に対して太陽光を供給する平坦面帯状の光透過面とを上下交互に配列するとともにこれら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面を介設した採光パネルを用いて、上記起立仕切体の背面に太陽光を供給するように形成してなることを特徴とする採光フェンスとしたものである。
【0013】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、起立仕切体に設置しその上方を覆う採光パネルとして、該起立仕切体の背面に形成される日陰領域に対して屈折太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、起立仕切体によって遮られることによって該屈折太陽光の外側に形成され、太陽の直射光を受ける領域との間に生じる明暗差の領域に太陽の透過光を供給する平坦面状の光透過面を上下交互に配列して、これら領域間の太陽光供給を可及的に均一化する一方、これら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面を配置することによって、該階段状屈折面からの屈折光を上記屈折太陽光に重畳的に供給して、該階段状屈折面における太陽光の捕捉とその有効活用を図るようにして、季節や時間帯による太陽の角度を問わず、太陽光の供給を可及的にロスなく、有効になし得るようにした採光パネルを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、該光屈折部及び光透過部を単位とするその配置ピッチと光屈折面の幅を小さく規制して、採光パネルの肉厚を可及的に薄肉化してコストアップを避けるとともに有効な目隠し機能を有して住宅のフェンスに好適に用いられるようにした採光パネルを提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、上記階段状屈折面による太陽光の補足を可及的有効且つ的確に行なうものとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、太陽位置の変化に応じて、これに追尾して、上記階段状屈折面による太陽光の補足をなしうるものとすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、階段状屈折面の起立角度を、太陽光を有効且つ確実に補足するに適したものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、上記採光パネルを用いた採光パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】採光フェンスの太陽光供給の状態を示す概念図である。
【図2】採光パネルの縦断面図である。
【図3】採光パネルの光屈折状態を示す縦断面図である。
【図4】階段状屈折面の光屈折状態を示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、起立仕切体の背面に太陽光を供給するように採光パネル10を用いて形成した住宅用採光フェンスであり、該採光フェンスAの採光パネル10は、これを、起立仕切体Bに設置してその上方を覆うことによって該起立仕切体Bの背面地表の屈折光供給領域aに太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面11と、該背面地表の透過光供給領域bに太陽光を供給する平坦面帯状の光透過面14を上下交互に配列するとともにこれら光屈折面11下端の突出先端と光透過面14の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面12を介設したものとしてある。
【0022】
このとき、該光屈折面11及び光透過面14を単位とするその配置ピッチを小さく規制するとともに光透過面14の幅を細く規制することによって光屈折面11の曲面突出寸法を抑制するとともに光透過面14に目隠し機能を付与して、該採光パネル10及びこれを用いた採光フェンスAを住宅用としたものとしてある。
【0023】
即ち、住宅用採光フェンスAは、これを、例えば、ブロック塀、ルーバーフェンス等の地表設置の起立仕切体Bの上面に載置固定し又は上端背面に下端を部分的に重合固定する等して、該起立仕切体Bから更に上方に向けて起立突出するように設置して、該起立仕切体Bを設置したことによって該起立仕切体B背面の地表に、太陽光が遮られることによって形成される日陰の領域、即ち、上記屈折光供給領域aに対して光屈折面11による屈折太陽光を供給して該日陰の発生を可及的に縮小乃至解消し、また、該領域と採光パネル10上を通過する直射光照射領域cとの間に明暗差を生じる領域、即ち、上記透過光供給領域bに対して光透過面14による透過太陽光を供給して、起立仕切体B背面に太陽光を可及的均一に供給して、日陰の発生による景観や植物生育への影響を可及的に解消するようにしてある。
【0024】
本例にあって住宅用採光フェンスAの採光パネル10は、例えば、アクリル、ポリカーボネート等の高耐候性透明樹脂を押出成形した透明の合成樹脂押出板によって可及的薄肉に形成してある。該採光パネル10は、上記光屈折面11と光透過面14を上下交互に配列するに際して、光屈折面11を曲面レンズの下位部分とする一方、光透過面14を平坦面、即ち設置状態で鉛直面としてあり、このとき、該採光パネル10における各光屈折面11の下端は、これを、その曲面レンズの曲面に応じて正面、即ち太陽光照射面に向けて突出してあり、該光屈折面下端の先端と光透過面14の上端間には、該光屈折面11の下端と、例えば倒V字状をなす如くに、これらを階段状に連結するようにした上記階段状屈折面12を介設してあり、該階段状屈折面12を配置したことによって、該階段状屈折面12からの屈折光を上記屈折太陽光に重畳的に供給し、上記屈折光供給領域aに対して該階段状屈折面12の太陽光の供給を行なうようにして、該階段状屈折面12における太陽光の捕捉とその有効活用を図るようにしてあり、これによって季節や時間帯による太陽の角度を問わず、太陽光の供給を可及的にロスなく、有効になし得るようにしてある。
【0025】
該採光パネル10は、これを幅方向に単一乃至複数使用して、アルミ押出材による縦枠及び横枠を枠組みし、必要に応じて中桟を配置して形成したアルミ枠内に配置することによって住宅用採光フェンスAを構成してあり、このとき該採光パネル10は、上記光屈折面11と光透過面14の上記配置ピッチ、即ち、本例にあっては上記階段状屈折面12を含めた合計帯幅を2mm以上20mm未満とし且つ光透過面14の帯幅を1mm以上5mm以下にそれぞれ規制したものとしてある。
【0026】
本例の採光パネル10は、その上記光屈折面11と光透過面14の合計帯幅を数mm、例えば5mmとし、光透過面14の帯幅を1〜2mm、例えば1.5mmとしてあり、このとき光屈折面11をなす曲面は、上記曲面レンズを部分的に用いるとともに、本例にあって該曲面レンズの曲率半径は、これを同じく数mm、例えば4mmとし、その下端を部分的に3〜4mm、例えば、3.5mm使用して光屈折面11を形成してある。これによって該光屈折面11は、採光パネル10の平坦面、設置状態で一般に鉛直面をなす光透過面14からの突出寸法、即ち、その上記倒V字状をなす突出寸法を、例えば1mm程度に抑制し、光透過面14の肉厚、即ち、採光パネル10のべース部分の肉厚1〜2mm、例えば1.5mmを含めても、該採光パネル10は、その最大肉厚を3mm以下、例えば2.5mm程度とした薄肉のものとして形成してある。
【0027】
光屈折面11と光透過面14の上記配置ピッチは、これを上記2〜20mm、好ましくは3〜10mmとすることが可能であるが、該配置ピッチを20mmとすると、光屈折面11の上記突出寸法が4.5mm近くになり、採光パネル10の最大肉厚が6mm程度と厚肉化するとともにこれに用いる曲面レンズの曲率半径が大きくなる結果、太陽光の屈折供給の角度が緩い角度になって、起立仕切体Bの背面の日陰の縮小乃至解消を行なう上で適当ではなく、また、2mmを下回ると、採光パネル10を生産することは可能であっても、光屈折面11と光透過面14の幅が微細に過ぎて、これらがV字溝をなすものとなって、屋外に設置するフェンスとしては、その表面に塵埃が付着し、設置条件によっては黴が発生するといった汚れの可能性を招き易くなることによって、同様に適当ではなく、従って塵埃付着、黴発生等の汚れ可能性を考慮すると、該光屈折面11と光透過面14の、これらを単位とする配置ピッチは、これを3mm以上、更に好ましくは4mm以上とするのが好ましい。
【0028】
光透過面14の帯幅は、上記1mm以上5mm以下とすることができるが、5mmを上回ると、該光透過面14の目隠し作用が損なわれて、道路や隣家からの透視の可能性を招くために、同じく道路や隣家との境界に設置する住宅用のフェンスとして適当ではなく、また、1mmを下回ると、該光透過面14による太陽光透過の合計光量が不足し、上記明暗差が残ることによって太陽光供給の均一性が損なわれる傾向を招き易くなり、同じく適当ではない。従って目隠し作用及び太陽光供給の均一性を考慮すると、該光透過面14の帯幅は、これを1.5mm以上4mm以下とするのが好ましい。
【0029】
このとき本例の採光パネル10は、これに光拡散作用を付与して、該採光パネル10から屈折光供給領域a及び透過光供給領域bに対して供給する太陽光の強さを緩和して該領域a、bにおけるギラツキとこれによる眩しさを軽減することができ、該光拡散作用の措置は、採光パネル10のパネル面、例えば背面をマット面として出射光に乱反射を施すことによって、また、該採光パネル10に顔料、ビーズ等の乱反射材を添加成形して、屈折光供給領域a及び透過光供給領域bにおける太陽光の照度の維持を図りつつこれら領域a、bに着色光乃至乱反射光を供給することによって、これを行なうものとすることができる。このように光拡散作用の措置を施すことによって、同時に光透過面14の透視を阻害して、住宅用採光フェンスAとしての目隠し作用を確実なものとすることができる。
【0030】
本例にあって採光パネル10には該光拡散作用を付与してあり、該光拡散作用の措置は、採光パネル10の背面の全部又は一部をマット面とすることによるものとしてあり、該マット面は、押出成形後又はこれを所定寸法に切断した採光パネル10に対して、常法に従って、例えばショットブラスト、エッチング等の物理的又は化学的なマット処理を施すことよって、これを行ってある。
【0031】
一方、光屈折面11と光透過面14間の階段状屈折面12は、本例にあって、これを、水平面に対してそれぞれ光透過面14側に後傾状に配置、即ち階段状屈折面12の各起立面13を太陽に向けて上向きとするように後傾状に配置するとともに該階段状屈折面12の後傾状の配置は、これを、光屈折面11側から光透過面14側に向けて順次前傾角度を減少した配置としてあり、このとき、該順次減少した後傾角度は、これを、水平面に対して30度を上回り且つ90度を下回る角度にして、該後傾角度の減少差を等角度に行ったものとしてあり、これによって、上記階段状屈折面12による太陽光の補足を可及的有効且つ的確に行なうものとし、太陽位置の変化に応じて、これに追尾して、上記階段状屈折面12による太陽光の補足をなし得るものとし、また、階段状屈折面12の起立角度を、太陽光を有効且つ確実に補足するに適したものとしてある。
【0032】
本例にあって採光フェンスAは、その採光パネル10における上記階段状屈折面12の後傾の傾斜角度を上記30度を上回り且つ90度を下回る角度とすることによって、太陽が水平、即ち、0度から30度の角度にあるとき、その屈折による上記起立仕切体Bの背面地表に向けた太陽光の屈折供給を行なうことができ、このとき、該傾斜角度が30度以下又は90度以上になると、該屈折面12に入射した太陽光が採光パネル10内で全反射する結果、起立仕切体Bの背面地表に向けた屈折供給をなし難くなるから、該全反射を生じない上記角度の範囲において、該後傾の傾斜角度を定める必要がある。
【0033】
このとき、後傾角度を順次減少した角度、即ち、階段状屈折面12の太陽光を受ける起立面13は、これを、例えば、光屈折面11の先端から光透過面14に向けて減少した角度とするとともに該角度の減少を等角度とすることによって、該階段状屈折面12からの太陽光を可及的平行に起立仕切体Bの背面地表に向けて屈折供給して、該階段状屈折面12に捕捉した太陽光の活用を可及的有効に行なうことが可能となる。
【0034】
本例にあって上記傾斜角度は、数列の起立面、例えば4列の起立面13に対して数度、例えば4度毎に減少したものとしてあり、このとき、本例の上記傾斜角度は、これを、例えば、光屈折面側の88度から光透過面側の76度までのものとしてあり、このように70度以上、90度近くの角度とすることによって、太陽が30度程度となる夕方前に太陽光の屈折供給を可及的になし得るようにしてある。
【0035】
採光パネル10の高さは、これを50乃至60cm程度とするように適宜に設定できるが、起立仕切体Bに起立設置することを前提として、例えば、30cm程度としても、起立仕切体B背面の直下位置においては日陰の領域を幾分残存するも、日陰の幅方向にその大半を、太陽の屈折光供給領域aとして、太陽光を屈折供給して該日陰を大幅に縮小することができ、採光パネル10上を通過する直射光による直射光照射領域cとの間の明暗差を生じる透過光供給領域bに太陽光を透過供給して、該明暗差を可及的に解消して、これら太陽の屈折光供給領域aと該透過光供給領域b間を可及的に均一化したものとすることができ、また、階段状屈折面12がその屈折光を屈折光供給領域aに対して重畳的に供給して、季節や時間帯による太陽の角度を問わず、太陽光の供給を可及的にロスなく、有効に行なうものとすることができ、更に、光透過面14の帯幅の目隠し作用によって道路や隣家からの敷地内視認を確実に防止したものとすることができ、本例にあっては、採光パネル10の背面をマット面としたことによって、屈折光供給領域a及び透過光供給領域bにおけるギラツキとこれによる眩しさを軽減して太陽光を柔らかい光とすることができるとともに光透過面14からの透視を完全に遮断することによって該光透過面14の目隠し作用を確実化して住宅用フェンスAとして最適のものとすることができる。
【0036】
図示した例は以上のとおりとしたが、採光パネルを硝子や上記以外の透明樹脂によるものとすること、上記起立仕切体背面地表の太陽光供給とともに又はこれに代えて、採光パネルを上下反転使用し又は1/4円回転使用し、太陽光の供給を壁面上方乃至側方に向けて行なうようにすること、上記傾斜連結面の角度を適宜に設定すること、必要に応じて該傾斜連結面を光透過面に向けて下向きにして縦面をやや前傾した階段状として、その縦列した縦面によって太陽の角度が低いときでも、その上向き反射を防止して、該傾斜連結面から常に太陽光の屈折供給を行なうようにすること、住宅用採光フェンスにおける採光パネルの配置を起立仕切体の背面側に傾斜し且つ採光パネル間に通風口を配置して、例えばルーバーフェンスとすること等を含めて、起立仕切体、住宅用採光フェンス、採光パネル、光屈折面、光透過面、階段状屈折面、背面のマット面の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0037】
A 住宅用採光フェンス
B 起立仕切体
10 採光パネル
11 光屈折面
12 階段状屈折面
13 起立面
14 光透過面
a 屈折光供給領域
b 透過光供給領域
c 直射光照射領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立仕切体に設置してその上方を覆うことによって該起立仕切体の背面地表に太陽の屈折光供給領域とその外側の透過光供給領域を形成するように用いて起立仕切体の背面に太陽光を供給するフェンス用の採光パネルであって、屈折光供給領域に対して太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、透過光供給領域に対して太陽光を供給する平坦面帯状の光透過面とを上下交互に配列するとともにこれら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面を介設してなることを特徴とするフェンス用採光パネル。
【請求項2】
該光屈折部及び光透過部を単位とするその配置ピッチを小さく規制するとともに光透過面の幅を細く規制することによって光屈折部の曲面突出寸法を抑制するとともに光透過部に目隠し機能を付与して住宅用としてなることを特徴とする請求項1に記載のフェンス用採光パネル。
【請求項3】
上記階段状屈折面を、水平面に対してそれぞれ光透過部側に後傾状に配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェンス用採光パネル。
【請求項4】
上記階段状屈折面の後傾状の配置を、光屈折面側から光透過面側に向けて順次後傾角度を減少した配置としてなることを特徴とする請求項3に記載のフェンス用採光パネル。
【請求項5】
上記順次減少した後傾角度を、水平面に対して30度を上回り且つ90度を下回る角度にして、該後傾角度の減少差を等角度に行ってなることを特徴とする請求項4に記載のフェンス用採光パネル。
【請求項6】
起立仕切体に設置してその上方を覆うことによって該起立仕切体の背面地表の屈折光供給領域に対して太陽光を供給する曲面帯状の光屈折面と、該背面地表の透過光供給領域に対して太陽光を供給する平坦面帯状の光透過面とを上下交互に配列するとともにこれら光屈折面下端の突出先端と光透過面の上端の間に多数階段状に配置した太陽光の階段状屈折面を介設した採光パネルを用いて、上記起立仕切体の背面に太陽光を供給するように形成してなることを特徴とする採光フェンス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−27788(P2011−27788A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170439(P2009−170439)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000222130)東洋エクステリア株式会社 (102)
【Fターム(参考)】