説明

フラット表示パネルを設けるシステム

【課題】外的なストレス又は力を受けても周辺回路領域が破損しないように、フラット表示パネルの構造を強化させる。
【解決手段】システムは、アクティブ領域及びアクティブ領域に隣接した周辺領域を有し、周辺領域の直角な隅部は少なくとも1つの角取り加工を施された隅部を設けることで、周辺領域の構造上の強度を高める。このように隅部に角取り加工を施すことによって下基板の強度を向上させ、周辺領域を破損しにくくし、電子装置の信頼性を改善するとともに、周辺領域が破れたとき、ガラス破片がフラット表示パネルのその他の素子を損傷させる問題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフラット表示パネルを設けるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2を参照する。平面図から見れば、上ガラス基板12及び下ガラス基板14は2つの長方形である。下ガラス基板14は4つの隅部14a、14b、14c、14dを有し、両基板12、14の各隅部はすべて直角を呈する。上ガラス基板12は下ガラス基板14より小さく作られている。したがって、下ガラス基板14には、上ガラス基板12に覆われる部分とそれに覆われない部分とがあり、前者はアクティブ領域18とされ、後者は周辺領域20とされる。
【0003】
アクティブ領域18は画素アレイ領域11及び制御回路領域13を有し、周辺領域20は、外部回路に電気的に接続して、フラット表示パネル10の内部回路を介して信号を送信する複数の周辺回路及び接続パッド22を含む。これらの回路は例えば、電圧線またはスキャン制御信号線である。
【0004】
図3を参照する。図3はフラット表示パネル10に落下試験を施した後の状態を表す平面図である。落下試験では、フラット表示パネル10の信頼性を確保するため、フラット表示パネル10を所定の高さから地面に落下させる。図に示すように、地面に落ちたフラット表示パネル10は、突然に衝撃力を受けて、高い確率でその後破損する。
【0005】
このような構造上の破損28は下ガラス基板14の周辺領域20で特に発生しやすい。なぜなら、周辺領域20は上ガラス基板12に覆われていないからである。周辺領域20の中、特に直角の隅部14a、14bは、このようなストレス又は力がかかると容易に破壊される。いったん隅部14a、14bが壊れると、破砕されたガラスが生じ、その後、そのガラス破片がフラット表示パネル10のその他の素子を損傷させる可能性がある。予期しない構造上の破損28は、直接的に周辺回路に損傷を与えることもありうる。即ち、それは、周辺領域20からアクティブ領域18まで及び、画素アレイ領域11及び制御回路領域13を損傷させることもありうる。
【0006】
したがって、フラット表示パネル10が破損すると、その中の素子はいずれも損傷を免れない。例えば、周辺領域20の周辺回路が破損すると、外部回路と内部回路との間の電気的接続は切断される。その上、画素アレイ領域11及び制御回路領域13までが破損すると、フラット表示パネル10は、その視覚効果に基づいて不良品になりかねない。
【0007】
そのため、外的なストレス又は力を受けても周辺回路領域が破損しないように、フラット表示パネルの構造を強化させることは、ディスプレイ製造業者にとって重要な課題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前述の問題を解決するため、隅部が角取りされたフラット表示パネルを設けるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はフラット表示パネルを設けるシステムを提供する。
【0010】
このようなシステムの実施形態はフラット表示パネルを有する。該フラット表示パネルは下基板及び上基板を有する。前記下基板は、アクティブ領域と、該アクティブ領域に隣接した周辺領域を有し、且つ、前記下基板は、前記周辺領域に少なくとも1つの角取りされた隅部を有する。前記上基板は、前記下基板の前記アクティブ領域を覆うように前記下基板の上に設けられる。
【発明の効果】
【0011】
周辺領域の直角な隅部は、フラット表示パネルを含む電子装置の中でも最も壊れやすい部分であるので、少なくとも1つの角取り加工を施された隅部を設けることで、周辺領域の構造上の強度を高めることができる。このようにして、本発明は、隅部に角取り加工を施すことによって下基板の強度を向上させ、周辺領域を破損しにくくし、電子装置の信頼性を改善するとともに、周辺領域が破れたとき、ガラス破片がフラット表示パネルのその他の素子を損傷させる問題を解決する。
【0012】
さらに、本発明による隅部が角取りされたフラット表示パネルは、直角の隅部を有する従来のパネルより所要空間が少ないため、それを用いた電子装置では各素子を収容する空間が大きくなり、よって、電子装置は更なる多様性を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
かかる装置の特徴を詳述するために、具体的な実施例を挙げ、図を参照にして以下に説明する。
【0014】
本発明によるフラット表示パネルを設けるシステムには、角取りされた隅部を少なくとも1つ備える下基板が含まれている。かかる構造は落下試験や落下事故からフラット表示パネルを守ることができる。
【0015】
(実施例1)
図4と図5を参照する。図4は本発明の実施例1によるフラット表示パネルを設けるシステムのブロック図である。本発明の実施例1では、かかるシステムは、フラット表示パネル50を含んだ電子装置100である。図4に示すように、電子装置100は表示装置102(例えば液晶表示器)を含み、表示装置102はフラット表示パネル50と、フラット表示パネル50に結合され、これを制御して入力信号に関連する画像を表示させるコントローラー104とを含む。電子装置100は例えば、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、デスクトップパソコン、テレビ、車用ディスプレイ、音楽プレイヤー、または携帯型DVDプレイヤーである。ユーザーはコントローラー104を用いて電子装置100を制御し、フラット表示パネル50を操作する。
【0016】
図5に示すように、フラット表示パネル50は上基板52及び下基板54を含む。下基板54において、上基板52に覆われていない部分は周辺領域60とされ、それに覆われる部分はアクティブ領域58とされる。本発明の様々な実施例に従って、表示パネル50は液晶表示器、有機発光ダイオード(OLED)表示器、電界効果表示器(FED)、プラズマ表示パネル(PDP)、及び表面電界表示器(SED)に適用される。
【0017】
アクティブ領域58は画素アレイ領域及び制御回路領域(図示せず。)を含む。下基板54の周辺領域60には複数の接続パッド56と、少なくとも1個のIC(集積回路)チップ66とが設けられている。
【0018】
平面図から見れば、周辺領域60は実質的に長方形を呈する。ただし、その隅部542、544は角取りされている。つまり、隅部542、544の角は斜めに切り取られている。角取りされた隅部542は3つの側面611、612、613を有し、側面611、613は相互に垂直であり、側面612は側面611、613に対して斜めになっている。したがって、側面612と側面611、613とは、2つの鈍角542a、542bを形成する。一方、角取りされた隅部544は3つの側面613、614、615を有し、側面613、615は相互に垂直であり、側面614は側面613、615に対して斜めになっている。したがって、側面614と側面613、615とは、2つの鈍角544a、544bを形成する。下基板54の強度はこれらの鈍角の大きさに大いに関係している。実際に、鈍角542a、542b、544a、544bを95度〜175度と設定してよい。隅部542、544が角取りされているので、本発明によるフラット表示パネル50は従来のものより強度が高い。
【0019】
一般的に、鈍角の隅部は直角の隅部より強度が高い。結果として、下基板54の破損が防がれ、フラット表示パネル50の信頼性が向上することとなる。さらに、隅部が角取りされたフラット表示パネル50の所要空間は従来のものより小さいので、その他の素子を収容する空間は相対的に大きくなる。
【0020】
周辺領域60は長さ602と幅601を有する。この幅601はフラット表示パネル50の幅でもある。留意すべきは、フラット表示パネル50の形状は図5に示すものに限られない点である。角取りされた隅部を少なくとも1つ備える下基板ならば、いずれも本発明の範囲に属する。したがって、周辺領域60の輪郭(側面611、612、613、614、615の長さと、角度542a、542b、544a、544bの大きさとによって定められる。)は、周辺領域の幅601に対する長さ602の比、アクティブ領域の長さ(図示せず。)に対する周辺領域の長さ602の比、周辺領域の長さ602、幅601、及び厚さ(図示せず。)などに基づいて調整することができる。
【0021】
(実施例2及び実施例3)
図6及び図7を参照する。図6は本発明の実施例2によるフラット表示パネル50を示し、図7は本発明の実施例3によるフラット表示パネル70を示す。説明を簡素化するため、図6に示す素子の番号付けは図5と同様とする。
【0022】
図6に示すように、下基板54は4つの隅部542、544、546、548を有する。隅部542は2つの側面616、617を有し、隅部544は2つの側面617、618を有する。側面616、618は丸みを帯び、側面617は平面である。したがって、平面図から見れば、隅部542、544は2つの円弧状の隅部である。隅部542、544は角取りされているので、従来のものより強度が高い。また別の実施例として、周辺領域60の隅部542、544を八角形やその他の多辺形につくることもできる。
【0023】
図7を参照する。下基板74において、上基板72に覆われる部分はアクティブ領域78とされ、それに覆われていない部分は周辺領域80とされる。フラット表示パネル70では、周辺領域80は2つの周辺部80a、80bに分かれている。両周辺部80a、80bはアクティブ領域78の隣接する2つの辺から個々に広がっている。したがって、平面図から見れば、周辺領域80は実質的にL字型を呈する。このようにつくられた周辺領域80は、より多くの素子を収容できる。
【0024】
下基板74は4つの隅部742、744、746、748を有し、そのうち隅部742、744、746は角取りされている。角取りされた隅部742、744、746はいずれも3つの側面を有し、これらの3つの側面は2つの鈍角を形成する。すなわち、隅部742には鈍角742a、742bがあり、隅部744には鈍角744a、744bがあり、隅部746には鈍角746a、746bがある。実際に、鈍角742a、742b、744a、744b、746a、746bの範囲を95度〜175度と設定してよい。隅部742、744、746が角取りされているため、フラット表示パネル70は従来のものより強度が高い。
【0025】
留意すべきは、フラット表示パネルの形状は上記実施例に示される形状に限られず、製品の規格に応じて任意に定められ得る点である。それに加えて、当業者に周知されているように、上基板及び下基板の縁に面取り加工を施すことも可能である。面取り加工は上基板及び下基板の縁を平滑にする効果がある。
【0026】
以上は本発明の好ましい実施例であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、本発明の精神の下においてなされ、本発明に対して均等の効果を有するものは、いずれも本発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は従来の表示パネルの隅部に角取り加工を施すことを内容とする。かかる技術は当然実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のフラット表示パネルの平面図である。
【図2】従来のフラット表示パネルの側面図である。
【図3】従来のフラット表示パネルに落下試験を施した後の状態を表す説明図である。
【図4】本発明の実施例1によるフラット表示パネル有する電子装置として実施される、フラット表示パネルを設けるシステムのブロック図である。
【図5】図4に示すフラット表示パネルの一部を表す平面図である。
【図6】本発明の実施例2によるフラット表示パネルの一部を表す平面図である。
【図7】本発明の実施例3によるフラット表示パネルの平面図である。
【符号の説明】
【0029】
10、50、70 フラット表示パネル
11 画素アレイ領域
12、52、72 上基板
13 制御回路領域
14、54、74 下基板
14a〜14d、542、544、546、548、742、744、746、748 隅部
18、58、78 アクティブ領域
20、60、80 周辺領域
22、56 接続パッド
28 破損
66 ICチップ
80a、80b 周辺部
100 電子装置
102 表示装置
104 コントローラー
542a、542b、544a、544b、742a、742b、744a、744b、746a、746b 角度
601 幅
602 長さ
611〜618 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ領域と、該アクティブ領域に隣接した周辺領域とを有し、前記周辺領域に角取りされた隅部が少なくとも1個設けられている下基板と、
前記下基板の前記アクティブ領域を覆うように前記下基板の上に設けられる上基板とを含むフラット表示パネルを設けるシステム。
【請求項2】
前記角取りされた隅部は3つの側面を有し、該側面のうちの2つは相互に垂直であり、残りの1つの側面に対して斜めになっていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記3つの側面は2つの鈍角を形成することを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記角取りされた隅部は2つの先端角を有し、該先端角のうちの少なくとも1つは95度から175度の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記周辺領域は、実質的に長方形の領域であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記下基板は、前記周辺領域に前記角取りされた隅部を2つ設けられていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記周辺領域は、前記アクティブ領域の2つの辺から広がっていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記アクティブ領域の前記2つの辺は互いに隣接し、前記周辺領域は実質的にL字型の領域であることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記下基板は、前記周辺領域に前記角取りされた隅部を3つ設けられていることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記角取りされた隅部の夫々は2つの鈍角を有することを特徴とする請求項9記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−102515(P2008−102515A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266809(P2007−266809)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(503002765)統寶光電股▲ふん▼有限公司 (37)
【Fターム(参考)】