説明

フラワーグリーティングカード

【課題】水を与えても、植物が生長し根が張り出しても栽培ポット部が変形や破損されることがなく、また、土の安定性も確保でき、根の張りかたも均等になり、植物が成長しても安定性のよいフラワーグリーティングカードを提供する。
【解決手段】内面にメッセージを記載できると共に、植物の栽培ができるフラワーグリーティングカードにおいて、略中央の折れ線11aにより分割された2枚の扉部11b,11cが上下に開閉可能なシート部11と、シート部11の内面に折り畳まれて収容され、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の栽培ポット部13と、シート部11の内面に貼付され、栽培ポット部13を折り畳んだ状態で保持する保持ベルト12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面にメッセージを記載できると共に、植物の栽培ができるフラワーグリーティングカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフラワーグリーティングカードは、カード体を左右に開閉自在にして、カード体の中央の折れ線を挟んで内片を接着し、カード体と内片とで栽培ポットを形成して、その中に種子と土を入れて、植物を育てるようにしたものであった(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、上述した従来のカードは、カード体と内片とで栽培ポットを形成していたので、栽培時に与える水により、カード体と内片が変形したり、接着部分が剥がれてしまう可能性があった。この変形や接着部分が剥がれは、植物が生長し根が張り出すと顕著になる。 一方、栽培ポットの形状によって、底面が斜めになりチップ状の土に水を与えて膨らんだとき土の上面が水平にならず、植物の根の張りかたが片寄ってしまい正常な育成にとって、好ましいものではなかった。
また、栽培ポットは、折り畳み時の収容性をよくするため、カード体の中央近くにとりつけてあるため、栽培時に比較的高い位置になり、植物が成長すると不安定であった。
【特許文献1】実用新案登録第3105621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、水を与えても、植物が生長し根が張り出しても栽培ポット部が変形や破損されることがなく、また、土の安定性も確保でき、根の張りかたも均等になり、植物が成長しても安定性のよいフラワーグリーティングカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、第1の発明は、内面にメッセージを記載できると共に、植物の栽培ができるフラワーグリーティングカードにおいて、略中央の折れ線により分割された2枚の扉部が上下に開閉可能なシート部と、前記シート部の内面に折り畳まれて収容され、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の栽培ポット部と、を含むフラワーグリーティングカードを提供する。
【0006】
第2の発明は、第1の発明のフラワーグリーティングカードにおいて、前記シート部の内面に貼付され、前記栽培ポット部を折り畳んだ状態で保持する保持部材を備えること、を特徴とするフラワーグリーティングカードを提供する。
【0007】
第3の発明は、第1の発明のフラワーグリーティングカードにおいて、前記2枚の扉部を開いた状態で支持する支持部材を備えること、を特徴とするフラワーグリーティングカードを提供する。
【0008】
第4の発明は、第1の発明のフラワーグリーティングカードにおいて、前記シート部の内面に装着され、種子及びその種子を栽培する土を備えること、を特徴とするフラワーグリーティングカードを提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の栽培ポット部を用いているので、種子チップに水を与えても、水漏れや、変形のおそれがなくなった。また、十分な容積を確保できるので、土のバランスがよくなり、根がはれて生育がよくなる。
【0010】
また、シート部の内面に栽培ポットを折り畳んだ状態で保持する保持部材を設けたので、シート部を折り畳んだ状態で、栽培ポット部の厚みを押さえ、確実に保持することができる。
【0011】
さらに、2枚の扉部を開いた状態で支持する支持部材を設けたので、シート部を開いたときに、扉部が傾いて閉じてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、水を与えても、植物が生長し根が張り出しても栽培ポット部が変形や破損されることがなく、また、土の安定性も確保でき、根の張りかたも均等になり、植物が成長しても安定性のよいフラワーグリーティングカードを提供するという目的を、2枚の扉部11b,11cが上下に開閉可能なシート部11と、シート部11の内面に折り畳まれて収容され、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の栽培ポット部13とを備えることによって実現する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明によるフラワーグリーティングカードの実施例1を示す展開斜視図である。
この実施例1のフラワーグリーティングカード10は、シート部11と、栽培ポット部12と、保持ベルト部13と、サイドステイ部14と、種子チップ15等とを備えている。
【0014】
シート部11は、略中央の折り加工で形成された折れ線11aにより分割された2枚の扉部11b,11cが、上下に開閉可能となっている。このシート部11は、普通紙、合成紙等の板紙や、合成樹脂やアルミニウム、木材等の板材を使用することができる。上側の扉部11cは、メッセージを記載する領域11c−1が設けられており、筆記適性を持たせる表面処理を施したり、筆記適性のよい紙を貼付するようにしてもよい。また、シート部11は、様々な加工を施し、装飾してもよい。
【0015】
栽培ポット部12は、シート部11の内面に折り畳まれて収容され、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の容器である。この栽培ポット部12は、水を入れたときに、水漏れしないように、EVA,ABS,PET,ポリエチレン,塩化ビニル等の合成樹脂により成形されている。この栽培ポット部12は、直径が30から50mm程度であり、畳んだときの高さが5から10mm程度、伸ばしたときの高さが30から50mm程度のものが好適に使用できる。
【0016】
保持ベルト部13は、シート部11の内面の領域11b−1に貼付され、栽培ポット12を折り畳んだ状態で保持する保持部材である。この保持ベルト部13は、栽培ポット12を貼付する領域13a−1を備えた中央の基部13aと、基部13aの両サイドに連接され、栽培ポット12を押さえるカバー部13b,13cとを備えている。カバー部13bは、爪部13a−1が形成されており、カバー部13cは、爪部13b−1が係合する孔部13c−1が形成されている。また、カバー部13bは、タブ13b−2が設けられており、このタブ13b−2を摘んで、爪部13a−1を孔部13c−1に挿入したり、抜き出したりすることができる。保持ベルト部13は、基部13aと、カバー部13b,13cとの間に、ミシン目13d,13eが形成されており、折り曲げやすく、後でカバー部13b,13cを基部13aから取り除くこともできる。
【0017】
サイドステイ部14は、2枚の扉部11b,11cを開いた状態で支持する支持部材である。このサイドステイ部14は、1/4の円の基部14aと、2枚の扉部11b,11cに貼り合わせるために糊代部14b,14cとを備えている。基部14aは。2枚の扉部11b,11cを折り畳んだときに折り曲げられる折り筋14a−1と、2枚の扉部11b,11cを開いた状態(開いた角度が90度の状態)で、内側に折り返して、開いた状態を維持するための折り筋14a−2が形成されている。
【0018】
種子チップ15は、シート部11の内面に領域11b−2に装着され、種子及びその種子を栽培する土を固めた円盤状のチップである。この種子チップ15は、種子と土、必要であれば、肥料等を圧縮して成形したものである。この種子チップ15は、栽培ポット部12に入れて、水を与えると土が膨らみ、種子が数日で発芽する。種子は、その種類は問わないが、ハーブ類は育成が速く好適であり、また、直ぐに花が咲くものに限らない。種子チップ15は、割れたりした場合を考慮して、紙製や合成樹脂製の袋15aに入れておくことが好ましい。
【0019】
図2から図4は、実施例1のフラワーグリーティングカードの使用方法を説明する。このフラワーグリーティングカード10は、扉部11b,11cが折り畳まれた状態で、図示しない樹脂袋に封入されている。このフラワーグリーティングカード10は、樹脂袋から取り出した状態で、図2に示すように、扉部11cを矢印Aのように開くと、扉部11bには、栽培ポット部12を保持した保持ベルト部13と、種子チップ15を包んだ袋15aが貼付されている。
【0020】
図3に示すように、扉部11cは、さらに矢印Aの方向に開き、扉部11bと略90度の角度となるまで開く。このとき、扉部11cの領域11c−1に記載されたメッセージは、読むことができる状態となる。
【0021】
次に、保持ベルト部13は、タブ13b−2を摘んで、爪部13b−1を孔部12c−1から外して、カバー部13b,13cを矢印Bの方向にそれぞれ開く。また、種子チップ15の袋15aは、扉部11bから剥離する(矢印C参照)。
【0022】
引き続いて、図4に示すように、栽培ポット12は、矢印Dのように、上方に引き伸ばされる。そして、種子チップ15は、袋15aから出されて、栽培ポット12に入れられる(矢印F参照)。左右のサイドステイ部14は、折り筋14a−2を内側に折り返すことにより、扉部11cが扉部11bに対して、傾くことを防止することができる。なお、保持ベルト部13は、カバー部13b,13cをミシン目13d,13eから切り取って、使用することができる。
【0023】
本実施例によれば、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の栽培ポット部12を用いているので、種子チップ15に水を与えても、水漏れや、変形のおそれがなくなった。また、十分な容積を確保できるので、土の安定性が図れ、根がはれて生育がよくなる。
【0024】
また、シート部11の内面に栽培ポット12を折り畳んだ状態で保持する保持ベルト部13を設けたので、シート部11を折り畳んだ状態で、栽培ポット12の厚みを押さえることができる。
【0025】
さらに、2枚の扉部11b,11cを開いた状態で支持するサイドステイ部14を設けたので、シート部11を開いたときに、扉部11cが傾いて閉じてしまうことがない。
【実施例2】
【0026】
図5は、本発明によるフラワーグリーティングカードの実施例2を示す斜視図である。
なお、前述した実施例1と同様な機能を果たす部分には、末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
実施例2のフラワーグリーティングカード20では、栽培ポット部22は、シート部21の内面に折り畳まれて収容され、放射方向に折り線(ひだ)のある伸縮自在のジャバラ状の容器である。この栽培ポット部22は、扉部21bの略中央に設けられている。この栽培ポット部22の材質は、水が浸透しない紙、加工紙、シリコン樹脂、アルミニウム箔等を使用できる。この栽培ポット12は、扉部21cを開いた後に、矢印Gのように、ジャバラ状に上方に立つように成形されているが、シート部21が折り畳まれたときには、扉部21b,21cに挟まれて薄い略円板状の状態で収容されている。
【0027】
また、実施例2は、種子25Aを入れた袋25aと、土を固めた土チップ25Bを入れた袋25bとを、別の袋25cに入れてある。
【0028】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、実施例1の栽培ポット部12は、扉部11bの右よりの領域に貼付した例で説明したが、実施例2の栽培ポット部22のように、略中央に設けるようにしてもよい。この場合に、種子チップ15は、シート部11に挟まずに、別に販売してもよい。
また、いずれの実施例でも、種子と土の入った袋と、フラワーグリーティングカードは、複数種類別々に展示しておき、顧客が自由に選択して組み合わせられるようにしてもよい。この場合には、種子と土の入った袋は、実施例1のように、フラワーグリーティングカードに貼り付ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるフラワーグリーティングカードの実施例1を示す展開斜視図である。
【図2】実施例1のフラワーグリーティングカードの使用方法を説明する。
【図3】実施例1のフラワーグリーティングカードの使用方法を説明する。
【図4】実施例1のフラワーグリーティングカードの使用方法を説明する。
【図5】本発明によるフラワーグリーティングカードの実施例2を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10、20 フラワーグリーティングカード
11、21 シート部
12、31 栽培ポット部
13 保持ベルト部
14 サイドステイ部
15 種子チップ
25A 種子
25B 土チップ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にメッセージを記載できると共に、植物の栽培ができるフラワーグリーティングカードにおいて、
略中央の折れ線により分割された2枚の扉部が上下に開閉可能なシート部と、
前記シート部の内面に折り畳まれて収容され、合成樹脂からなる伸縮自在のジャバラ状の栽培ポット部と、
を含むフラワーグリーティングカード。
【請求項2】
請求項1に記載のフラワーグリーティングカードにおいて、
前記シート部の内面に貼付され、前記栽培ポット部を折り畳んだ状態で保持する保持部材を備えること、
を特徴とするフラワーグリーティングカード。
【請求項3】
請求項1に記載のフラワーグリーティングカードにおいて、
前記2枚の扉部を開いた状態で支持する支持部材を備えること、
を特徴とするフラワーグリーティングカード。
【請求項4】
請求項1に記載のフラワーグリーティングカードにおいて、
前記シート部の内面に装着され、種子及びその種子を栽培する土を備えること、
を特徴とするフラワーグリーティングカード。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−74903(P2007−74903A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262758(P2005−262758)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】