説明

フレキシブル積層板の製造方法

シワや波打ち等の外観不良を防止するとともに寸法安定性を向上させることが可能な、耐熱性フレキシブル積層板の製造方法を提供する。耐熱性接着フィルム(A)の少なくとも一面に金属箔(B)を貼り合わせてなるフレキシブル積層板の製造方法であって、該耐熱性接着フィルム(A)と該金属箔(B)とを一対以上の金属ロールの間において保護フィルムを介して熱ラミネートする工程と、該耐熱性接着フィルム(A)と、該金属箔(B)と、該保護フィルムとからなる積層体を徐冷する徐冷工程と、保護フィルムを分離する工程と、を含むことを特徴とするフレキシブル積層板の製造方法である。徐冷工程は、金属ロールの表面温度よりも低い温度に設定された加熱機構、特に徐冷ロールを設けることにより行なわれることが好ましい。徐冷ロールの表面温度は、好ましくは金属ロールの表面温度よりも50℃〜250℃低く設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はフレキシブル積層板の製造方法であって、特に外観不良の防止と寸法安定性の向上が可能な耐熱性フレキシブル積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
携帯電話等の電子電気機器に用いられるプリント基板としては、ポリイミドフィルムなどの耐熱性フィルムの少なくとも一面に銅箔などの金属箔を貼り合わせてなるフレキシブル積層板が一般的に用いられている。電子電気機器の製造工程においては、はんだリフロー等においてフレキシブル積層板が高温に曝されるため、フレキシブル積層板は十分な耐熱性、および高温時の寸法安定性を有していることが必要である。
従来、フレキシブル積層板は、熱硬化性樹脂等の熱硬化型接着剤によって、耐熱性フィルムと金属箔とを貼り合わせて製造されるのが一般的であった。しかし近年では、耐熱性および耐久性をより向上させる目的で、耐熱性フィルムと金属箔とを、ポリイミド系の接着剤を用いて熱ラミネートして製造されたフレキシブル積層板が注目されている。
前記のポリイミド系の接着剤を用いて熱ラミネートして製造されたフレキシブル積層板は、前記の熱硬化性の接着剤と比べて耐熱性に優れる。また、フレキシブル積層板が折り畳み式携帯電話の折り畳み部のヒンジの箇所に用いられる場合には、熱硬化性の接着剤を用いたフレキシブル積層板では約3万回の折り畳みが可能であるのに対して、ポリイミド系の接着剤を用いたフレキシブル積層板では約10万回の折り畳みが可能となるため、耐久性にも優れている。
耐熱性接着フィルムとしては、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上の接着層を設けたポリイミドフィルムが一般的に用いられている。したがって、耐熱性接着フィルムと金属箔とを熱ラミネートするためには、耐熱性接着フィルムにおける接着層のTgよりも高い、たとえば300℃以上の温度で熱ラミネートする必要がある。
通常、熱ラミネート機は、熱ラミネート時における圧力の不均一性を緩和するために、熱ラミネートに用いられるロールの少なくとも一方にゴムロールが用いられている。しかしながら、ゴムロールを用いて300℃以上の高温で熱ラミネートすることは非常に困難である。
図4は、従来のダブルベルトプレス機の一例の概略断面図である。耐熱性接着フィルム13と金属箔12とを貼り合わせる方法として、図4に示すダブルベルトプレス機を用いる方法がある。この方法は、保護フィルム11と金属箔12と耐熱性接着フィルム13とを加熱部8において金属ベルト14によって熱ラミネートした後に、冷却部9において冷却し、その後保護フィルム11を剥離して、フレキシブル積層板15を製造する方法である。このような方法は、特開2001−129919に開示されている。しかし特開2001−129919には、本発明において重要である耐熱性接着フィルムの徐冷工程については一切開示されていない。
一方、一対の金属ロールを有する熱ラミネート機を用いた場合には、ダブルベルトプレス機を用いた場合と比べて、メンテナンスに手間がかからず、また、設備コストも安くすることができる。しかしながら、一対の金属ロールを用いて熱ラミネートをする場合には、ゴムロールを用いる場合と異なり熱ラミネート時の圧力の均一性を保持するのが難しく、また熱ラミネート時に急激に高温になることからフレキシブル積層板の外観にシワが発生してしまい、フレキシブル積層板の外観が悪くなってしまうという問題があった。
図5は、従来の熱ラミネート機の一例の概略断面図である。図5に示すように、ポリイミドフィルムなどからなる保護フィルム11を、金属ロール4と金属箔12との間に挟んで熱ラミネートすることによって、フレキシブル積層板15の外観に発生するシワを低減させることができる(たとえば、特開2001−129918号公報)。この方法においては、保護フィルム11を用いることによって、保護フィルム11を緩衝材として金属ロール4による熱ラミネート時の圧力の均一性を保持することができる。また、保護フィルム11を介することによって、金属ロール4の表面も保護できるという効果、ならびに積層板が保護フィルムで固定されることにより、加熱による急激な材料の膨張が抑えられ、シワの発生が抑制されるという効果も得られる。ここで、保護フィルム11は、耐熱性接着フィルム13や金属箔12と共に熱ラミネートされた後に、耐熱性接着フィルム13と金属箔12とからなるフレキシブル積層板15から剥離される。
特開2001−129918号公報に記載された方法においては、熱ラミネート時の圧力を均一にすることによって、熱ラミネート時に発生するシワについては低減が可能である。しかし特開2001−129918号公報に記載された方法は、熱ラミネート後の冷却工程の条件については考慮していない。特開2001−129918号公報に記載された方法によって、フレキシブル積層板の外観については改善されたが、さらに厳しい評価条件下での外観の向上が期待されている。また、さらに寸法特性の向上したフレキシブル積層板が期待されている。
【発明の開示】
本発明は上記の課題を解決し、シワや波打ち等の外観不良を防止するとともに寸法安定性を向上させることが可能な、耐熱性フレキシブル積層板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、耐熱性接着フィルム(A)の少なくとも一面に金属箔(B)を貼り合わせてなるフレキシブル積層板の製造方法であって、
耐熱性接着フィルム(A)と金属箔(B)とを一対以上の金属ロールの間において保護フィルムを介して熱ラミネートする工程と、
耐熱性接着フィルム(A)と、金属箔(B)と、保護フィルムとからなる積層体を徐冷する徐冷工程と、
保護フィルムを分離する工程と、
を含むことを特徴とする、フレキシブル積層板の製造方法に関する。
徐冷工程は、金属ロールの表面温度よりも低い温度に設定された加熱機構を設けることにより行なわれることが好ましく、特に加熱機構が徐冷ロールを含むことが好ましい。
なお本発明において「徐冷ロール」とは、熱ラミネートが行なわれる金属ロールよりもロール表面温度が低く設定されており、熱ラミネート後の積層体を接触させることによって、積層体が急冷されることを防ぐ目的で使用されるロールを指す。
本発明において徐冷ロールを用いる場合、該徐冷ロールの表面温度は金属ロールの表面温度よりも50℃〜250℃低く設定されることが好ましい。特に好ましくは、徐冷ロールの表面温度が150℃〜350℃の範囲内に設定される。
徐冷工程において、積層体の冷却速度は、50℃/min〜300℃/minの範囲内に設定されることが好ましい。
本発明はまた、片面または両面が熱融着性樹脂で構成される1層または2層以上の耐熱性接着フィルム(A)の少なくとも一面に、金属箔(B)を貼り合わせてなるフレキシブル積層板の製造方法であって、
耐熱性接着フィルム(A)と金属箔(B)とを一対以上の金属ロールの間において保護フィルムを介して熱ラミネートする工程と、
該耐熱性接着フィルム(A)と、該金属箔(B)と、保護フィルムとからなる積層体の表面温度が、300℃/min以下の冷却速度で該熱融着性樹脂のガラス転移温度以下まで冷却される徐冷工程と、
保護フィルムを分離する工程と、
を含むことを特徴とする、フレキシブル積層板の製造方法に関する。
この場合、熱融着性樹脂のガラス転移温度に設定された徐冷ロールを少なくとも1つ設けることが好ましい。また、徐冷工程が、徐冷ロールを含む複数の加熱機構を設けることによって行なわれることも好適である。
本発明によれば、熱ラミネート後のフレキシブル積層板を徐冷することにより、シワ、波打ち等の外観不良が低減され、寸法安定性にも優れる耐熱性フレキシブル積層板を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に用いられる熱ラミネート機の好ましい一例を示す概略断面図である。図2は、本発明に用いられる積層体の模式的な拡大断面図である。図3は、本発明によって製造されるフレキシブル積層板の模式的な拡大断面図である。図4は、従来のダブルベルトプレス機の一例の概略断面図である。図5は、従来の熱ラミネート機の一例の概略断面図である。
図中の符号は、1,11は、保護フィルム、2,12は、金属箔、3,13は、耐熱性接着フィルム、4は、金属ロール、5,15は、フレキシブル積層板、6は、徐冷ロール、7は、積層体、8は、加熱部、9は、冷却部、14は、金属ベルトをそれぞれ示す。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、一対以上の金属ロールによって熱ラミネートされた積層体を徐冷することを特徴とする。本発明者らは、高温で熱ラミネートされたフレキシブル積層板を、温度管理せずにライン中で自然冷却させた場合、部位によって冷却速度に差異が生じ、フレキシブル積層板に温度むらが生じたり、冷却収縮の歪みによって保護フィルムが部分的にフレキシブル積層板から剥離してしまうことがあることを見出した。特に連続で製造する場合にはフレキシブル積層板に常に巻き取り張力がかかっているため、この温度むらによって張力の影響を受けやすい部位と受けにくい部位が生じる。また、フレキシブル積層板が十分に冷却される前に保護フィルムから剥離してしまうと、保護フィルムによって固定されていないため、急激な冷却収縮を起こす。これらが原因となり、結果として得られるフレキシブル積層板にシワ、波打ち等の外観異常が生じたりすることがある。従って、徐冷工程を設けることによって、積層体が急冷されることによる温度むらの発生ならびに保護フィルムの剥離を防止し、シワや波打ち等の外観不良、および寸法特性の悪化の発生を防止することができる。なお、本発明において、徐冷工程とは、一対以上の金属ロールによって保護フィルム、金属箔および耐熱性接着フィルムを熱ラミネートして以降、保護フィルムを剥離するまでの間に、積極的に設けた急激な温度低下を防ぐための工程を指す。
徐冷の手段としては、金属ロールの表面温度よりも低温に設定された加熱機構を設けることが好ましい。また、加熱機構は特に徐冷ロールを含むことが好ましい。徐冷ロールを用いることによって、特に積層体の幅方向における冷却速度の均一性をより良好に確保できる。以下に図を参照して説明する。
図1は本発明に用いられる熱ラミネート機の好ましい一例を示す概略断面図、図2は本発明に用いられる積層体の模式的な拡大断面図、図3は本発明によって製造されるフレキシブル積層板の模式的な拡大断面図である。図1の熱ラミネート機は、金属箔2と耐熱性接着フィルム3とを保護フィルム1を介して熱ラミネートするための一対の金属ロール4、および徐冷ロール6を含む。
この熱ラミネート機において、保護フィルム1と金属箔2と耐熱性接着フィルム3とが一対の金属ロール4にて熱ラミネートされる。そして、熱ラミネート後に、保護フィルム1と金属箔2と耐熱性接着フィルム3とが貼り合わされた図2の拡大断面図に示す積層体7が作製され、積層体7が徐々に冷却されながら、好ましくは複数のロールによって搬送される。そして、積層体7から保護フィルム1が剥離されることによって、図3の拡大断面図に示すフレキシブル積層板5が製造される。
耐熱性接着フィルムとしては、熱融着性樹脂からなる単層フィルム、熱融着性を示さないコア層の片面または両面に熱融着性樹脂層を形成した複数層フィルムなどを用いることが好ましい。
保護フィルムとしては、熱ラミネート温度に耐え得るものであって、熱ラミネート時にはフレキシブル積層板と弱い密着力で積層体を形成でき、分離工程において容易にフレキシブル積層板から剥離できるものを好ましく用いる。特に、耐熱性、耐久性等のバランスに優れる点から、非熱可塑性ポリイミドからなる保護フィルムを用いることが好ましい。また、熱ラミネートの際の緩衝効果を十分に発現させるために、保護フィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
本発明において、一対以上の金属ロールは、耐熱性接着フィルム、金属箔、および保護フィルムを加圧しながら加熱し、耐熱性接着フィルムと金属箔とを、保護フィルムを介して熱ラミネートする。このとき、フレキシブル積層板にシワ、波打ち、カール等が発生しないようにするためには、金属ロールの幅方向における圧力および温度の均一性が必要である。たとえば金属ロール自体に温度不均一が存在する場合、金属ロールの膨張率の違いによって、中央部と端部のロール径の差異、いわゆる温度クラウンが生じる。これにより金属ロールに変形が生じ、フレキシブル積層板にかかる圧力が不均一となってしまう場合がある。金属ロールの中央部と端部との温度差が10℃以下に設定されれば、圧力および温度の均一性は所望の程度確保される。
金属ロールの表面温度は、耐熱性接着フィルムにおける熱融着性樹脂のガラス転移温度よりも50℃以上高い温度であることが好ましく、熱ラミネート速度を上げるためには、熱融着性樹脂のガラス転移温度よりも100℃以上高い温度であることがさらに好ましい。金属ロールの加熱方式としては、たとえば、熱媒循環方式、熱風加熱方式または誘電加熱方式などがある。
耐熱性接着フィルムと、金属箔と、保護フィルムとからなる積層体は、金属ロールにて熱ラミネートされた後、徐冷ロールによって徐冷される。徐冷ロールの表面温度は金属ロールの表面温度よりも低く設定される。金属ロールと徐冷ロールとの表面温度の差は、50℃以上250℃以下、特に50℃以上150℃以下の範囲内に設定されることが好ましい。徐冷ロールと金属ロールとの表面温度との差が50℃以上であれば、熱ラミネート用の金属ロールを経たフレキシブル積層板が保護フィルムの分離手段に達するまでに十分低温に冷却されることができるので、剥離時の外観不良を防止することができる。また、徐冷ロールと金属ロールとの表面温度の差が250℃以下であれば、フレキシブル積層板が急冷される危険性がなく、シワ、波打ち、カール等の発生を効果的に防止できる。
徐冷ロールの表面温度は、150℃以上350℃以下、特に200℃以上300℃以下の範囲内に設定されることが好ましい。150℃以上であれば、積層体の急冷を防ぎ、収縮むらが効果的に防止できる。また350℃以下であれば、徐冷ロールは熱ラミネート温度より低温に設定されることとなるため、徐冷工程の目的を果たすことができる。徐冷工程において徐冷手段を複数設けた場合は、個々の徐冷温度(徐冷ロールを用いた場合は徐冷ロールの表面温度)が150℃以上350℃以下、特に200℃以上300℃以下の範囲内に設定されることが好ましい。
徐冷工程における積層体の冷却速度は、50℃/min以上300℃/min以下、さらに150℃/min以上250℃/min以下に設定されることが好ましい。冷却速度が50℃/min以上であれば生産効率が良好であり、300℃/min以下であれば、積層体が急冷される危険性がなく、フレキシブル積層板の温度むらや保護フィルムの剥離による外観不良の発生を防止できる。徐冷工程において徐冷手段を複数設けた場合は、個々の徐冷速度が50℃/min以上300℃/min以下、特に200℃/min以上300℃/min以下の範囲内に設定されることが好ましい。なお、冷却速度は、熱ラミネート直後の積層体実温と、徐冷工程後の積層体実温との差と、積層体が両温度測定位置間を流れるのに要した時間から算出することができる。徐冷工程において徐冷手段を複数設けた場合は、例えば、第一の徐冷工程後の積層体実温と、第二の徐冷工程後の積層体実温との差、あるいは、最終徐冷工程後の積層体実温と、保護フィルム剥離直前の積層体実温との差と、両温度測定位置間を流れるのに要した時間から算出することができる。
金属ロールの表面温度で管理される熱ラミネート温度から熱融着性樹脂のガラス転移温度までの積層体の冷却速度の最大値は、300℃/min以下となるように設定されることが好ましい。
冷却速度の最大値が上記の範囲内となるように設定することによって、徐冷工程中に積層体が急冷される部位を生じさせないよう制御し、不均一な収縮を防止できる。
本発明の徐冷工程においては、上記した徐冷ロール以外に、または徐冷ロールと組み合わせて、1または2以上の加熱機構が使用され得る。加熱機構としては、たとえば遠赤ヒーター、近赤ヒーター、加熱オーブン等が挙げられる。これらのヒーターは、該ヒーターで加熱される部位の積層体の最高温度が、たとえば金属ロールの表面温度よりも50〜100℃低温となるように設置されることが好ましい。また、徐冷ロールは1段のみでも良いが、2段以上が設けられることも好適である。徐冷ロールを2段以上設ける場合、積層体が通過する順に表面温度を徐々に低く設定することが好ましい。ただし、隣り合う徐冷ロール間の温度差が小さすぎると、ロールを多段設置することになり、必要以上にラインが長くなってしまう。そのため、隣り合う徐冷ロールの温度差は、50℃以上とすることが生産効率の点では好ましい。この場合、たとえば熱ラミネート温度を300℃以上とした場合にも徐冷ロールを2〜5段程度設けることによって積層体を所望の温度まで冷却できる。
徐冷ロールは、各々が1本のロールで構成されても良いが、対のロールとして構成されても良い。
徐冷ロール表面の材質は特に限定されないが、たとえば徐冷ロールの表面温度を200℃以上に設定する場合には、一般的に用いられるゴムロールの使用は困難であるため、金属ロールとすることが好ましい。好ましい材質としてはSUS(ステンレス)、アルミ等が挙げられる。なお、ロール表面の硬度を向上させて耐磨耗性を改善する目的で、クロムめっき等を施すことも好ましい。
なお積層体の冷却速度は、耐熱性接着フィルム、金属箔、保護フィルムの種類と厚み、金属ロールの表面温度、徐冷ロールの表面温度、その他の加熱機構の設定温度と設置場所、ライン速度等によって変わるため、これらを適宜調整することによって所望の範囲内に設定すれば良い。
上記の方法で徐冷された積層体からは、たとえば剥離手段等の分離手段によって保護フィルムが分離される。熱融着性樹脂を含む耐熱性接着フィルムを使用する場合、保護フィルムの剥離時における積層体の温度は、該熱融着性樹脂のTg以下とされることが好ましい。より好ましくはTgよりも50℃以上低い温度、さらに好ましくはTgよりも100℃以上低い温度とされる。最も好ましくは室温まで冷却された時点で保護フィルムをフレキシブル積層板から剥離するのが良い。熱融着性樹脂のTgよりも高い温度で保護フィルムを剥離すると耐熱性接着フィルムが変形し易いことから、フレキシブル積層板にシワが発生して外観不良を生じやすくなる傾向にあるからである。
保護フィルムの剥離時においては、保護フィルムとフレキシブル積層板との密着強度がたとえば0.1〜3N/cmの範囲となるように設定されていることが好ましい。この場合、設定された剥離時より前に保護フィルムとフレキシブル積層板とが剥離してしまう危険性がなく、かつ剥離時における剥離不良は効果的に防止できるので、外観不良のないフレキシブル積層板を得ることができる。
本発明において、熱ラミネート温度が300℃以上、好ましくは350℃以上の場合に、特に優れた効果を発現する。
以上の方法により、本発明のフレキシブル積層板が製造される。なお、剥離された保護フィルムは繰り返し使用することができる。熱ラミネート用の金属ロールの前後にフレキシブル積層板の繰出・巻取装置を設置するのはもちろんのこと、保護フィルム用の繰出・巻取装置を併設することによって、一度熱ラミネートに使用された保護フィルムを巻取装置で巻取り、繰出側に再度設置することで、保護フィルムを再利用することができる。巻き取る際に、端部位置検出装置と巻取位置修正装置を設置して、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取っても構わない。
<耐熱性接着フィルム>
本発明に用いる耐熱性接着フィルムは、電子電気機器用途に適合させる目的で絶縁性を示すことが好ましい。本発明において、耐熱性接着フィルムにおける「耐熱性」とは、熱ラミネート時の高温に耐え得る特性を有していることを意味している。また、本発明の耐熱性接着フィルムにおける「接着」とは、熱ラミネート時の高温におけるフィルム表面の融着性(熱融着性)によって金属箔と貼り合わされることを意味し、所謂タックシールのように室温においてフィルム表面が常に接着性(粘着性)を有していることを必要とするものではない。
耐熱性接着フィルムとしては、熱融着性樹脂からなる単層フィルム、熱融着性を示さないコア層の片面または両面に熱融着性樹脂層を形成した複数層フィルムなどを用いることができる。ここで、熱融着性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド成分で構成される樹脂が好ましく、たとえば、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミドなどを用いることができる。中でも、熱可塑性ポリイミドおよび熱可塑性ポリエステルイミドを用いることが特に好ましい。もっとも熱融着性樹脂層には、接着性を向上させる等の目的で、上記の熱融着性樹脂以外にエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂等が含有されていても良い。
一方、熱融着性を示さないコア層としては、たとえば非熱可塑性ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアリレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムなどを用いることができる。ここで「非熱可塑性」とは、いわゆる「熱硬化性」を意味するものではなく、ガラス転移温度(Tg)より分解温度の方が低温である等の理由で、ガラス転移または融解を明暸に観測できない性質を示すものをも含む。本発明においては、電気的特性(絶縁性)の観点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムを用いることが特に好ましい。この場合、コア層は熱ラミネート時の加熱に対して容易に軟化したり融解したりせず、十分に形状を保持できる特性を示す。
また、熱融着性を示さないコア層の片面のみに熱融着性樹脂層を形成した複数層フィルムの場合、金属箔を積層した後の反りを防ぐため、熱融着性樹脂層を形成しない方の面に裏打ち層を設けることもできる。
耐熱性接着フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、種々の製造方法を採用することができる。たとえば、熱融着性樹脂から成る単層フィルムの場合、ベルトキャスト法、押出法等により製造することができる。
また、熱融着性を示さないコア層の片面または両面に熱融着性樹脂層を形成した複数層フィルムの場合、熱融着性を示さないコア層の片面または両面に熱融着性樹脂を、片面ずつもしくは両面同時に塗布することにより製造する方法や、該コア層を構成するフィルムの片面または両面に熱融着性樹脂のみからなる単層のフィルムを貼り合わせることにより複数層フィルムを製造する方法等を挙げることができる。
なお、熱融着性を示さないコア層の両面に熱融着性樹脂層を形成した複数層フィルムを製造する方法において、特に熱融着性樹脂として熱可塑性ポリイミドを使用する場合、ポリアミック酸の状態でコア層に塗布し、次いで乾燥させながらイミド化を行う方法と、そのまま可溶性ポリイミド樹脂を塗布し、乾燥させる方法とを挙げることができ、いずれの方法を採用しても差し支えない。その他に、熱融着性樹脂/熱融着性を示さない樹脂/熱融着性樹脂、をこの順の層構成となるように共押出して、一度にこれらの樹脂からなる3層構造の耐熱性接着フィルムを製造する方法を挙げることもできる。
<保護フィルム>
本発明に用いる保護フィルムは、熱ラミネート温度に耐え得るものであることが必要である。保護フィルムの線膨張係数は50ppm/℃以下であることが好ましい。保護フィルムの線膨張係数が50ppm/℃より大きい場合には、熱ラミネート時の加熱および熱ラミネート後の冷却によってフレキシブル積層板に比べて保護フィルムの寸法が大きく変化し、フレキシブル積層板にシワが生じることがある。また、保護フィルムの厚みは75μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、125μm以上であることがさらに好ましい。保護フィルムの厚みが75μm未満である場合には保護フィルムの厚みが薄すぎて、冷却によるフレキシブル積層板の収縮に保護フィルムが耐えることができず、フレキシブル積層板にシワが発生してしまう傾向にある。保護フィルムの厚みが100μm以上、125μm以上と厚くなるにつれて冷却によるフレキシブル積層板の収縮に保護フィルムが耐えることができるようになり、フレキシブル積層板にシワが発生しにくくなる。
また保護フィルムは、金属ロールによる熱ラミネート後もフレキシブル積層板と軽く密着した状態を保持できるものであれば、特に表面処理等を施す必要がない。逆に保護フィルムがフレキシブル積層板と軽く密着した状態を保持できるものでない場合、保護フィルム側に軽く密着するような表面処理を施したり、フレキシブル積層板側の金属箔に同様な表面処理を施したり、保護フィルム側、フレキシブル積層板側の金属箔の両方に表面処理を施したりすることができる。また、フレキシブル積層板の金属箔表面の酸化を防ぐ目的で施された防錆処理等、他の目的で施した表面処理であっても、保護フィルムとフレキシブル積層板が軽く密着するようなものであれば、表面処理を施してあっても構わない。
保護フィルム自体ではフレキシブル積層板と軽く密着した状態とならない場合、保護フィルムの全体、または少なくとも表面に、常温では粘着性を示さず熱ラミネート温度において粘着性を示す材料を形成することが好ましい。ここで、常温では粘着性を示さず、熱ラミネートされるときの温度によって粘着性を示す材料として、たとえば、熱ラミネート温度付近にTgを有する熱融着性樹脂が考えられる。通常、耐熱性フレキシブル積層板を製造するときのラミネート温度は200℃以上と高温であり、その温度に耐えうる材料としては、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂等の耐熱性の熱可塑性樹脂が好ましい。これらの熱ラミネートの温度で粘着性を有する材料を片面に有する保護フィルムを用いることが好ましい。
保護フィルムの片面に上記粘着性を有する材料を形成する方法は、所定の樹脂構成のものが得られれば特に限定されず、保護フィルムの片面に上記粘着性を有する材料の塗布・乾燥を行なう方法、あらかじめ上記粘着性を有する材料のフィルムを形成しておきその後で保護フィルムと貼り合わせて作製する方法、保護フィルムの作製と同時にその片面に上記粘着性を有する材料の層をも形成する方法などが使用できる。
なお、上記粘着性を示す材料の厚みは特に限定されないが、厚すぎる場合には、金属箔との剥離時に上記粘着性を示す材料の凝集破壊が起こり、金属箔に転写する可能性があるため、10μm以下の厚みが好ましく、より好ましくは5μm以下である。
<金属箔>
本発明における金属箔としては、たとえば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔またはステンレススチール箔などが用いられる。金属箔は単層で構成されていてもよく、表面に防錆層や耐熱層(たとえば、クロム、亜鉛、ニッケルなどのメッキ処理による層)が形成された複数の層で構成されていてもよい。また、銅箔の種類としては、たとえば圧延銅箔、電解銅箔またはHTE銅箔などがある。また、金属箔の厚みが薄いほどプリント基板における回路パターンの線幅を細線化できることから、金属箔の厚みは35μm以下であることが好ましく、18μm以下であることがより好ましい。
なお本発明においては、外観不良の発生をより効果的に防止する目的で以下のような工程を設けても良い。
たとえば熱ラミネート前には、急激な温度上昇を避け、保護フィルムの膨張シワの発生を防止する観点から、保護フィルム、金属箔および耐熱性接着フィルムに予備加熱を施しても良い。ここで、予備加熱は、たとえば、保護フィルム、金属箔および耐熱性接着フィルムを熱ロールに接触させることによって行なうことができる。
ここで、保護フィルムの温度を、金属ロールの表面温度よりも10℃低い温度から、金属ロールの表面温度までの範囲内に設定することがより好ましい。また、熱ロールに保護フィルムが接触する時間は、1秒以上、さらには10秒以上、特に15秒以上が好ましい。この接触時間に合わせて、適宜ロール径を選択し、たとえば、保護フィルムを熱ロールの一部、1/4周以上、1/2周以上の距離を熱ロールに抱かせることで、保護フィルムの加熱ができる。これにより、保護フィルムが、熱ラミネート直前で所定の温度になり、保護フィルムの膨張しわもなくなった状態で耐熱性接着フィルムおよび金属箔をラミネートでき、シワのないフレキシブル積層板を作製することができる。
また、熱ラミネート前に、保護フィルム、金属箔および耐熱性接着フィルムの異物を除去する工程を設けることが好ましい。異物としては、たとえばPETくず、ポリエステル繊維くずなどが挙げられる。特に、保護フィルムを再利用して繰り返し用いるためには、保護フィルムに付着した異物の除去が重要となる。異物を除去する工程としては、たとえば、水や溶剤などを用いた洗浄処理や粘着ゴムロールによる異物の除去などがある。中でも、粘着ゴムロールを用いる方法は、簡便な設備である点から好ましい。粘着ゴムロールの材質は、ブチルゴム、シリコンゴムなどが好ましい。
さらに、環境からの保護フィルム、金属箔および耐熱性接着フィルムへの異物の取り込みを防ぐため、熱ラミネート前に保護フィルム、金属箔および耐熱性接着フィルムの静電気を除去する手段を設けることが好ましい。静電気を除去する手段としては、除電エアー等を用いる方法が挙げられる。また、フレキシブル積層板を作製する環境をクリーンに保つことも有効である。具体的には、クリーンルーム内で作製する方法、クリーンブースで熱ラミネート装置を囲む方法、クリーンルーム内の熱ラミネート装置をさらにクリーンブースで囲む方法等が挙げられる。
なお、金属ロールにおける熱ラミネート時の圧力(線圧)は49N/cm以上490N/cm以下であることが好ましく、98N/cm以上294N/cm以下であることがより好ましい。熱ラミネート時の線圧が49N/cm未満である場合には線圧が小さすぎて金属箔と耐熱性接着フィルムとの密着性が弱まる傾向にあり、490N/cmよりも大きい場合には線圧が大きすぎてフレキシブル積層板に歪みが生じ、製品として用いられる際に金属箔除去後のフレキシブル積層板の寸法変化が大きくなることがある。金属ロールの加圧方式としては、たとえば、油圧方式、空気圧方式またはギャップ間圧力方式などがある。
熱ラミネート速度は、0.5m/min以上であることが好ましく、1m/min以上であることがさらに好ましい。熱ラミネート速度が0.5m/min以上であれば、外観および金属箔の除去後の寸法安定性を向上させたフレキシブル積層板の生産性を特に向上させることができる傾向にある。
【実施例】
<フレキシブル積層板の製造>
[実施例1〜3]
図1に示す熱ラミネート機を用いてフレキシブル積層板を製造した。保護フィルム1として、厚み125μmの非熱可塑性ポリイミドフィルム(鐘淵化学工業株式会社製「アピカル125NPI」、金属箔2として厚み18μmの銅箔、耐熱性接着フィルム3として、厚み25μmの耐熱性接着フィルム(鐘淵化学工業株式会社製「PIXEO HC−142」、ガラス転移温度240℃)、をそれぞれ用いた。
保護フィルム1、金属箔2、耐熱性接着フィルム3が巻きつけられたロールをそれぞれ回転させ、除電、異物の除去を行なった後に、保護フィルム1を一対の金属ロール4に1/2周抱かせて予熱された状態で、金属箔2および耐熱性接着フィルム3を、温度360℃、ライン速度1.5m/min、ラミネート圧196N/cmで熱ラミネートし、耐熱性接着フィルムの両面に金属箔および保護フィルムがこの順序で貼り合わされた5層構造の積層体7を作製した。
次いで、表1に示す積層体温度となるように設定された徐冷ロール6を介して積層体7を徐冷し、積層体7から保護フィルム1を剥離してフレキシブル積層板を製造した。なお徐冷ロールは、金属ロールのすぐ後方の位置、具体的には金属ロールの中心軸と徐冷ロールの中心軸との水平間距離が1mとなる位置に設置した。徐冷ロールの温度は250℃であった。熱ラミネート部、徐冷ロール接触部、および剥離部の積層体の実温を測定し、各温度測定位置間の温度差と、各温度測定位置間を積層体が流れるのに要する時間とから、積層体の冷却速度を算出した。結果を表1に示す。また、保護フィルムとフレキシブル積層板との密着強度は2N/cmであった。
得られたフレキシブル積層板につき、後述の方法で外観と寸法安定性(MD方向、TD方向)の評価を行なった。結果を表1に示す。

[実施例4]
徐冷ロールの後方に遠赤ヒーターを設置した他は実施例1と同様の方法でフレキシブル積層板を製造した。なお遠赤ヒーターは、10cm間隔で幅方向に5本設置した。熱ラミネート部、徐冷ロール接触部、および剥離部の積層体の実温を測定し、各温度測定位置間の温度差と、各温度測定位置間を積層体が流れるのに要する時間とから、積層体の冷却速度を算出した。結果を表1に示す。
得られたフレキシブル積層板につき、外観と寸法安定性(MD方向、TD方向)の評価を行なった。結果を表1に示す。
(比較例)
徐冷ロールを用いない他は実施例1と同様の方法でフレキシブル積層板を製造した。熱ラミネート部、熱ラミネート部と剥離部とのちょうど中間部、および剥離部における積層体の実温を測定し、各温度測定位置間の温度差と、各温度測定位置位置間を積層体が流れるのに要する時間とから、熱ラミネート部〜剥離部について、冷却工程(前半)、冷却工程(後半)に分けて冷却速度を算出した。結果を表1に示す。
得られたフレキシブル積層板につき、外観と寸法安定性(MD方向、TD方向)の評価を行なった。結果を表1に示す。
<フレキシブル積層板性能評価>
(1) 外観
フレキシブル積層板の表面につき、1mあたりに発生しているシワの個数を数えることによって、下記の評価基準で評価した。
◎・・・シワが全くない
○・・・1mあたりに発生しているシワが1個以下
○△・・1mあたりに発生しているシワが2個以上3個以下
△・・・1mあたりに発生しているシワが4個以上6個未満
×・・・1mあたりに発生しているシワが6個以上
(2) 寸法安定性
金属箔除去前後の寸法変化率を、JIS C6481を参考にして、以下のように測定・算出した。すなわち、フレキシブル積層板から200mm×200mmの正方形のサンプルを切り出し、このサンプルにおいて150mm×150mmの正方形の四隅に直径1mmの穴を形成した。なお、200mm×200mmの正方形のサンプル、及び150mm×150mmの正方形の2辺はMD方向に、残り2辺はTD方向に沿うようにした。また、これら2つの正方形の中心が一致するようにした。このサンプルを20℃、60%RHの恒温恒湿室に12時間放置して調湿した後、上記4つの穴の距離を測定した。次に、フレキシブル積層板の金属箔をエッチング処理により除去した後、20℃60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング処理前と同様に、4つの穴についてそれぞれの距離を測定した。金属箔除去前の各穴の距離の測定値をD1、金属箔除去後の各穴の距離の測定値をD2として、下式に基づいて寸法変化率を算出した。この寸法変化率の絶対値が小さいほど寸法安定性に優れていることを示す。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
表1に示すように、本発明の徐冷工程を設けていない比較例においては、冷却工程の前半における積層体の実温の低下速度が大きくなっているが、徐冷工程を設けた実施例1〜4の各温度測定位置間の冷却速度は比較例の冷却工程の前半における冷却速度よりも小さく、かつ実施例1〜4においては、熱ラミネート部から剥離部に至るまでの冷却速度が比較的均一である。
表1に示すように、実施例1〜4においては、比較例と比べてシワの発生が著しく抑制されていた。加熱機構として徐冷ロールの他にヒーターを設けた実施例4は特に良好な外観を有していた。
また、MD方向およびTD方向(MD方向と直交する方向)の寸法安定性についても、実施例1〜4は、比較例と比べて良好であり、特に実施例4は優れた寸法安定性を示した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、外観および寸法安定性に優れたフレキシブル積層板を製造することができ、本発明は電子電気機器、特に携帯電話用のプリント基板の製造に好適に利用される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性接着フィルム(A)の少なくとも一面に金属箔(B)を貼り合わせてなるフレキシブル積層板の製造方法であって、
前記耐熱性接着フィルム(A)と前記金属箔(B)とを一対以上の金属ロールの間において保護フィルムを介して熱ラミネートする工程と、
前記耐熱性接着フィルム(A)と、前記金属箔(B)と、前記保護フィルムとからなる積層体を徐冷する徐冷工程と、
保護フィルムを分離する工程と、
を含むことを特徴とする、フレキシブル積層板の製造方法。
【請求項2】
前記徐冷工程が、前記金属ロールの表面温度よりも低い温度に設定された加熱機構を設けることにより行なわれることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項3】
前記加熱機構が徐冷ロールを含むことを特徴とする、請求項2に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項4】
前記徐冷ロールの表面温度が、前記金属ロールの表面温度よりも50℃〜250℃低く設定されることを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項5】
前記徐冷ロールの表面温度が150℃〜350℃の範囲内に設定されることを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項6】
前記徐冷工程において、前記積層体の冷却速度が50℃/min〜300℃/minの範囲内に設定されることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項7】
片面または両面が熱融着性樹脂で構成される1層または2層以上の耐熱性接着フィルム(A)の少なくとも一面に、金属箔(B)を貼り合わせてなるフレキシブル積層板の製造方法であって、
前記耐熱性接着フィルム(A)と前記金属箔(B)とを一対以上の金属ロールの間において保護フィルムを介して熱ラミネートする工程と、
前記耐熱性接着フィルム(A)と、前記金属箔(B)と、保護フィルムとからなる積層体の表面温度が、300℃/min以下の冷却速度で前記熱融着性樹脂のガラス転移温度以下まで冷却される徐冷工程と、
保護フィルムを分離する工程と、
を含むことを特徴とする、フレキシブル積層板の製造方法。
【請求項8】
前記熱融着性樹脂のガラス転移温度に設定された徐冷ロールを設けることを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項9】
前記徐冷工程が、徐冷ロールを含む複数の加熱機構を設けることによって行なわれることを特徴とする、請求項1〜8に記載のフレキシブル積層板の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/063466
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516681(P2005−516681)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019490
【国際出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】