説明

フレコンおよびそれを用いた乾燥方法

【課題】 内容物の乾燥用に適したフレコン、それを用いた穀物特には籾の乾燥用フレコンおよび乾燥方法を提供すること。
【解決手段】 上面部、底面部、および側面部を有し、側面部が非通気性であって、上面部及び底面部が通気性を有し、上面部および/または底面部に充填および排出のための開口部が設けられているフレコン、それを用いた穀物特には籾の乾燥用フレコンおよび穀物を充填した上記フレコンに、上方または下方から通風する穀物の乾燥方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の乾燥用に適したフレコン及びそれを用いた乾燥方法に関する。さらに詳しくは、本発明は籾などの穀物の乾燥用に適したフレコン及びそれを用いた乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
籾の乾燥は脱穀前の地干し、架干し、脱穀後のむしろ干しなどの天日乾燥に代わって通気乾燥機の普及により、人工乾燥が主流となっている。乾燥機としては、半乾籾の乾燥に使用できるように設計された静置式乾燥機と、生籾の高水分に対応できる加温通気方式の循環式乾燥機がある。静置式乾燥機は堆積層の上下に水分むらが生じやすく、籾品質の均一性を得にくいことから、循環式乾燥機を使用する傾向にある。
【0003】
籾の乾燥は、胴割れ、乾燥むら、過乾燥、やけ米などの外観品質だけではなく、発芽率、食味性、加工性などの内観品質に影響する重要な工程である。そのため、籾の乾燥むらを抑え、長期間低穀温を維持できるよう籾乾燥貯蔵装置の改良が提案されている(特開2005−58058号公報)。しかしながら、従来の乾燥機の籾乾燥では、脱穀後籾をフレコン等の容器に詰めて乾燥機まで運び、容器から乾燥機に移し替えて乾燥後排出して再度袋等所定の容器に詰めて出荷するなど、多くの工程が必要であった。
【0004】
籾の乾燥に要する工程を減ずる試みとして、貯蔵する籾を容器貯蔵した儘の姿で乾燥調整するように、籾を収容する通気性のパレット積み容器と、同パレット積み容器をラック式自動倉庫で貯蔵する籾の貯蔵設備が提案されている(特開平9−30605号公報)。
これら従来の籾の乾燥方法では、なお大掛かりな装置と多くの工程を要するのでコストがかかる上に、籾を所定の水分にまで乾燥することが容易ではなかった。
【特許文献1】特開2005−58058号公報
【特許文献2】特開平9−30605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決する技術の開発を行った結果本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、内容物の乾燥用に適したフレコンを提供する。
本発明は、穀物特には籾の乾燥用に適したフレコンを提供する。
さらに、本発明は、内容物の乾燥用に適したフレコンを用いた穀物特には籾の乾燥方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面部、底面部、および側面部を有し、側面部が非通気性であって、上面部及び底面部が通気性を有し、上面部および/または底面部に充填および排出のための開口部が設けられているフレコンを提供する。
【0007】
前記上面部及び底面部が、メッシュ構造を有する素材よりなるフレコンは、本発明の好ましい態様である。
【0008】
前記メッシュ構造を有する素材の開口率が、面積で2〜25%であるフレコンは、本発明の好ましい態様である。
【0009】
前記側面部が、内面に樹脂被覆をした織布または不織布からなるフレコンは、本発明の好ましい態様である。
【0010】
本発明は、前記したフレコンからなる穀物乾燥用フレコンを提供する。
【0011】
本発明はまた、穀物を充填した前記のフレコンに、上方または下方から通風する穀物の乾燥方法を提供する。
【0012】
前記上方または下方からの通風後、逆方向から通風する籾の乾燥方法は、本発明の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、内容物の乾燥用に適したフレコンが提供される。
本発明により提供されるフレコンは、穀物特には籾の乾燥用に適したフレコンである。
さらに本発明により、上記フレコンを用いた籾の乾燥方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、上面部、底面部、および側面部を有し、側面部が非通気性であって、上面部及び底面部が通気性を有し、上面部および/または底面部に充填および排出のための開口部が設けられているフレコンを提供する。本発明は、内容物の乾燥用に適したフレコン及びそれを用いた乾燥方法を提供するものである。
【0015】
本発明のフレコンにおいて、充填および排出のための開口部は、上面部および/または底面部に設けられているが、好ましい態様として、上面部に充填のための開口部である充填口が、また底面に排出のための開口部である排出口が設けられているフレコンを挙げることができる。また他の好ましい態様として、上面部に充填と排出の両方の機能を有する開口部を設けたフレコンを挙げることができる。
【0016】
本発明のフレコンにおける開口部は、ファスナーなどによって閉じることができる構造で、必要に応じて開放することができる開口部であってよいし、このような態様であることが好ましい。
【0017】
本発明のフレコンの好ましい態様を、図を用いて説明する。図1は、本発明のフレコンの一例を示す概略図である。図1において本発明のフレコン1は、充填口がある上面部2と排出口6が設けられている底面部3、および側面部4とから形成されるフレコンであって、上面部2および底面部3は通気性を有しており、側面部4は非通気性である。側面部4の形状は、断面視円形であっても、多角柱形状であってもよい。
【0018】
図2は、本発明のフレコンの一例を示す正面図である。フレコン1の側面部4には、側面部ベルト7が縫製されている。本発明のフレコンの側面部ベルト7は、フレコンが吊り下げられた時の重力方向と平行になる様な方向に側面部に縫製されている。側面部ベルトの数は、少なくとも3本以上であり、当該フレコンを上部から見た場合、側面部ベルト7が当該フレコンの中心点を通過し対角線上に交差する位置に配置されて縫製されている。図2においては、もう1本の側面部ベルトが見えるところ、描写を省略してある。図2では側面部ベルト7を補強するための補強布15が見られる。さらに、図2では側面部を補強するために、胴巻きベルト14が2本縫製されている。
【0019】
図2において、フレコン1の底面部には排出口6が取り付けらている様子がわかる。排出口には、排出口ふた8および排出口縛りひも9が取り付けられているので、内容物を充填した状態で内容物がもれ出ることはなく、また排出時には速やかに内容物を排出できる。
なお、排出口を構成する素材も底面部と同様の通気性のある素材であることが好ましい。
【0020】
図3は、本発明のフレコンの一例を示す平面図である。図3に示されたフレコンでは、上面部と側面部の境界部にファスナー5が設けられており、ファスナーを開けばフレコンは上方に開放されるので内容物の充填口となる。なお、充填口の形状および構成には特に制限はなく、その他の形状の充填口を設けることもできる。図3においては、側面部ベルト7の上端部に、フレコンが吊り下げるのに用いる吊りロープ10が取り付けられている。図3では、側面部ベルト7と吊りロープ10で吊り下げベルトを構成しているが、側面部ベルト7と吊りロープが一体となって吊り下げベルトとして形成されていてもよい。
【0021】
図4は、本発明のフレコンの一例を示す底面図である。底面部3に開口部6が設けられている様子がわかる。側面部ベルト下端部をつないで補強ロープ11が取り付けられている。排出口には排出口縛りパイプ12と排出口縛りロープ13が設けられている。内容物を排出するときは、排出口縛りパイプ12と排出口縛りロープ13を解くことによって、速やかに排出することができる。なお、排出口の形状および構成についても、特に制限はなく、任意に選択し採用することができる。
【0022】
また本発明のフレコンの他の好ましい態様を、図を用いて説明する。図5は、本発明のフレコンの好ましい態様の一例を示す概略図である。図5において本発明のフレコン1は、上面部2、底面部3、および側面部4とから形成されるフレコンであって、上面部2に充填と排出の機能を有する開口部が設けられている。開口部はファスナー5で開閉できる構造となっている。上面部2および底面部3は通気性を有しており、側面部4は非通気性である。側面部4の形状は、断面視円形であっても、多角柱形状であってもよい。
【0023】
図6は、図5の態様のフレコンを示す正面図である。フレコンの側面部4には、側面部ベルト7が縫製されている。本発明のフレコンの側面部ベルト7は、フレコンが吊り下げられた時の重力方向と平行になる様な方向に側面部に縫製されている。側面部ベルトの数は、少なくとも3本以上であり、当該フレコンを上部から見た場合、側面部ベルト7が当該フレコンの中心点を通過し対角線上に交差する位置に配置されて縫製されている。図6においては、もう1本の側面部ベルトが見えるところ、描写を省略してある。図6では側面部ベルト7を補強するための補強布15が見られる。さらに、図6では側面部を補強するために、胴巻きベルト14が2本縫製されている。
【0024】
図6において、フレコンの上面部2に開口部が設けられており、ファスナー5により閉じられている様子がわかる。開口部は充填時および排出時にファスナーを開くことによって充填口および排出口としての機能を果たす。
【0025】
図7は、図6のフレコンの平面図である。図7に示されたフレコンでは、上面部と側面部の境界部にファスナー5が設けられており、ファスナーを開けばフレコンは上方に開放された開口部となる。なお、開口部の形状および構成には特に制限はなく、その他の形状の開口部を設けることもできる。図7においては、側面部ベルト7の上端部に、フレコンを吊り下げるのに用いる吊りロープ10が取り付けられている。図7では、側面部ベルト7と吊りロープ10で吊り下げベルトを構成しているが、側面部ベルト7と吊りロープが一体となって吊り下げベルトとして形成されていてもよい。
【0026】
図8は、図6のフレコンの底面図である。底面部3には開口部は設けられていない。側面部ベルト下端部をつないで補強ロープ11が取り付けられている様子がわかる。
【0027】
図9は、図5のフレコンの他の態様を示す正面図である。図9のフレコンにおいては、図6と同様に側面部4には側面部ベルト7がもう1本見えるところ、描写を省略してある。図9ではまた側面部ベルト7を補強するための補強布15が見られ、側面部を補強するために胴巻きベルト14が2本縫製されている。図6ではさらに、側面部4の下部に下方に向けて側面部ベルト7が設けられているのがわかる。この側面部ベルト7は、フレコンの下部にも吊りロープ10が取り付けるためのものである。下部にも吊りロープ10が取り付けられている様子は、図10により理解することができる。
【0028】
図10は、図9のフレコンの底面図である。図10において、側面部4の下部に下方に向けて設けられた側面部ベルト7に吊りロープ10が取り付けられている。この下部の吊りロープ10によって、フレコンの充填物を排出するときに、フレコンの上面を下にして吊るすことができ、充填物の排出を速やかにできるようにするためのものである。
【0029】
本発明のフレコンの上面部および底面部は、通気性となっているので、内容物の乾燥に好適である。
【0030】
本発明のフレコンの上面部および底面部を構成する素材は、織物、積層体、交織物、シート、(不織布)などの空隙のある板状体であることが好ましい。このような素材は、通常ヤーン、割繊維、開繊糸、繊維、収束体などの素子で構成される。空隙のある板状体を形成する材質としては、特に制限はないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマーなどの合成樹脂、炭素繊維、綿、ジュートなどの天然繊維、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0031】
フレコンの上面部および底面部を構成する素材の通気性は、開口率で表して2〜25%、好ましくは4〜15%程度であることが好ましい。開口率は、以下のような方法で測定することができる開口部面積割合である。
測定原反を写真撮影し、任意の範囲を選択してその中の開口空間の占める面積割合を算出する。なお、開口部の形状および分布にバラツキがあるので、測定に範囲を任意の幅で縦方向に縦断する部分を測定し、さらに任意の幅で横方向に横断する部分を測定して、その平均値を開口率とすることによって、より正確な開口率を得ることができる。
【0032】
本発明のフレコンの側面部は、非通気性である。非通気性の素材で構成されていてもいいし、上面部および底面部を構成する素材および素子で構成されたものであって、内面を非通気性物質で被覆した結果非通気性となった素材で構成されていてもよい。
フレコンを、上面部、底面部および側面部を同じ通気性素材で構成して、側面部をポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンで被覆する方法は、本発明のフレコンの好ましい製造方法である。
【0033】
本発明のフレコンは、穀物の乾燥用に好適に使用することができる。本発明のフレコンによって乾燥させる穀物としては、籾、麦、大豆、とうもろこしを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。穀物の中でも、特に籾が好ましく、本発明のフレコンは、特に籾を乾燥させるのに適している。
【0034】
以下に、本発明のフレコンを使用して穀物を乾燥させる方法について説明するが、以下の説明においては、籾を穀物の代表として具体的な態様を説明する。
【0035】
フレコンに、乾燥前の籾を充填し、フレコンの上方又は下方から空気を送ることによって、上面部および底面部を通して籾に通気する通風方法を採用することができる。この際送風は温風とすることによって、より効果的に乾燥させることができる。
【0036】
通風は上方又は下方からの送風で行うことができるが、一方向の通風では籾の乾燥状態にむらが出るおそれがあるので、上方又は下方から通風した後、逆の方向から通風することが好ましい。通風の方向転換は、複数回行ってもよい。
このような乾燥操作を行うことによって、容易に籾の含有水分量を最適含有水分量である15%程度に制御することができる。
【0037】
通風の方法としては、フレコンに内に送風する方法をとってもいいし、一方向から吸引することによって通風する方法を採用してもよい。
【0038】
本発明のフレコンを使用して籾を乾燥させる際に、複数の籾を充填したフレコンを例えばラックに載置して、上記送風を実施することによって、一気に複数のフレコン内の籾を乾燥させることもできる。同ラックを複数段設けた空間に、複数個の籾を充填したフレコンを載置して、同空間に送風等の通風手段を講じることによって、多数のフレコン内の籾を乾燥させることが可能となる。
【0039】
本発明のフレコンを使用して籾を乾燥させることによって、籾を一々乾燥機に移して、また乾燥後の籾を乾燥機からフレコンに充填し直すような操作を省略できるので、手間を省くことができるだけでなく、籾を傷つけることもなく、かつ理想的な乾燥状態をえることができるので、胴割れ、乾燥むら、過乾燥、やけ米などの外観だけではなく、発芽率、食味性、加工性などの品質にすぐれた乾燥籾を得ることができる。
【0040】
したがって、本発明のフレコンは籾の乾燥用に好適なフレコンであり、また本発明のフレコンによって好適な籾の乾燥方法が提供される。
【0041】
本発明のフレコンは、内容物の乾燥用に好適に使用できるので、籾などの穀類の乾燥用のほか、任意の粒状物の乾燥にも利用することができる。例えば、合成樹脂、食品、医薬品、建設材料、化学工業品、窯業土石、飼料などの原料および製品などの乾燥に適用することができる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
本発明で用いた試験方法は以下のとおりである。
1.開口率
ワイヤメッシュの開口率測定法に準ずる。
測定原反を写真撮影し、任意の範囲を選択してその中の開口空間の占める面積割合を算出する。なお、開口部の形状および分布にバラツキがあるので、測定に範囲を任意の幅で縦方向に縦断する部分を測定し、さらに任意の幅で横方向に横断する部分を測定して、その平均値を開口率とする。
2.強度試験
試験法:JIS Z1651
(1)積重ね試験(3段積み)
容器を床に直立させ上面に(最大充填質量+風袋重量)×積重ね段数×1.8倍相当の荷重を加え8時間以上保持する。
(2)落下衝撃試験
容器に最大充填質量の内容物を詰め、0.8mの高さより1回水平底面に自然落下させる。
(3)吊り上げ試験
吊り上げた状態で、容器上面に最大充填質量の2倍に相当する荷重を30回繰り返し加える。
最大充填質量の3倍に相当する荷重で、吊り下げた状態で5分間以上放置する。
(4)引き裂き伝播試験
容器を床に直立させ、胴部原反の中間位置にコンテナの主軸に対し45°の角度で長さ100mmの傷を付け、吊り上げて5分間保持する。
【0043】
(実施例1)
フレコンの作製
側面部は縦糸、横糸ともにPPヤ−ン[1670デシテックス(1500デニ−ル)]を使用し、上面部及び底面部は縦糸、横糸ともにPPヤ−ン[1780デシテックス(1600デニ−ル)]を使用した。側面部は更に内面にポリエチレンのラミネ−ト加工を施した。上面部及び底面部は同一仕様のメッシュ構造とした。
これらを1200mmφ、高さ1300mmのフレコンとした。上面部と側面部の境界部をファスナーで開閉が容易な構造とした。一部を縫製とすることによって、充填口を形成させた。
底面部と側面部は縫製し、排出口は底面部の中央部に設けて、底面部と同一仕様の600mmφのメッシュ構造を採用した。
籾の充填
作製したフレコンに籾850kgを充填した。
【0044】
籾の乾燥試験
乾燥条件:
フレコン下部から一定時間空気を吸引して籾を乾燥させた後、空気を逆方向に流して(フレコン下部へ送風して)籾の水分量を均一にした。フレコンは側面のみラミネ−ト加工してあるので側面の通気を防止している。
室内空気条件:
温度:17℃、相対湿度:50%、フレコン内部の風速: 0.18m/秒
水分量の測定点:
フレコンの上下方向の上部、中間部および下部の3つの水準で、それぞれフレコン中心部1点と、フレコン周囲部3点の合計12点において、水分量を各2回測定の測定を行った。
【0045】
乾燥試験結果1:
使用した籾の容量は、1.1mφ径×0.74m高さ=0.70mであった。
フレコン上面部および底面部の開口率は6.9%であった。
試験開始時の籾の水分量は平均17.9%であった。
吸引乾燥開始後18時間15分後における水分量の平均値は、15.1%になった。そのときの水分のバラツキは2.3%であった。
次に空気を逆方向に流し、3時間37分後に測定した水分量は平均14.7%に低下しており、水分量のバラツキは0.5%に縮まっていた。
【0046】
乾燥試験結果2:
使用した籾の量は、1.1mφ径×0.64m高さ=0.61mであった。
フレコン上面部および底面部の開口率は7.5%であった。
試験開始時の籾の水分量は平均16.0%であった。
吸引乾燥開始後5時間40分後における水分量の平均値は、14.7%になった。そのときの水分のバラツキは1.3%であった。
次に空気を逆方向に流し、3時間後にに測定した水分量は平均14.4%に低下し、水分量のバラツキは0.7%に縮まっていた。
【0047】
(実施例2)
実施例1で作製したフレコンについて、強度試験を行った。試験条件および試験結果は以下のとおりであった。
試験条件
充填質量 : 850kg
積重段数 : 3段積み
試験法 : JIS Z1651
試験結果
試験項目と試験結果を表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
(比較例1)
フレコンの作製
実施例1のフレコンの作製において、側面部の内面にポリエチレンのラミネ−ト加工を施さないほかは実施例1と同様にしてフレコンを作製した。
籾の乾燥試験
上記で作製したフレコンを用いるほかは実施例1と同様にして、籾の乾燥試験を行った。結果を以下に示す。
【0050】
乾燥試験結果1:
使用した籾の容量は1.1mφ径×0.72m高さ=0.68mであった。
フレコン上面部および底面部の開口率は7.3%であった。
試験開始時の籾の水分量は、平均16.8%であった。
吸引乾燥開始後18時間における水分量は、中央部で16.4%、側面部内側中間部は15.9%であった。
次に空気を逆方向に流し、3時間37分後に測定した水分量は中央部で16.0%に、側面部内側中間部は15.6%であった。
【0051】
乾燥試験結果2:
使用した籾の容量は1.1mφ径×0.61m高さ=0.58mであった。
フレコン上面部および底面部の開口率は6.7%であった。
試験開始時の籾の水分量は、平均16.7%であった。
吸引乾燥開始後6時間20分における水分量は、中央部で16.4%、側面部内側中間部は16.0%であった。
次に空気を逆方向に流し、3時間後に測定した水分量は中央部で16.5%に、側面部内側中間部は15.6%であった。
側面部の内側をラミネ−トしない場合は中央部の水分量は低下せず全体に低下率が少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により、内容物の乾燥用に適したフレコンが提供される。
本発明により提供されるフレコンは、穀物特には籾の乾燥用に適したフレコンである。
本発明により、上記フレコンを用いた籾の乾燥方法が提供される。
本発明のフレコンによって、籾の乾燥にあたって手間を省くことができるだけでなく、品質に優れた乾燥籾を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のフレコンの一例を示す概略図である。
【図2】本発明のフレコンの一例を示す正面図である。
【図3】本発明のフレコンの一例を示す平面図である。
【図4】本発明のフレコンの一例を示す底面図である。
【図5】本発明のフレコンの他の一例を示す概略図である。
【図6】本発明のフレコンの他の一例を示す正面図である。
【図7】図6のフレコンの平面図である。
【図8】図6のフレコンの底面図である。
【図9】本発明のフレコンのさらに他の一例を示す正面図である。
【図10】図9のフレコンの底面図である。
【符号の説明】
【0054】
1.フレコン
2.上面部
3.底面部
4.側面部
5.ファスナー
6.排出口
7.側面部ベルト
8.排出口ふた
9.排出口縛りひも
10.吊りロープ
11.補強ロープ
12.排出口縛りパイプ
13.排出口縛りロープ
14.胴巻きベルト
15.補強布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部、底面部、および側面部を有し、側面部が非通気性であって、上面部及び底面部が通気性を有し、上面部および/または底面部に充填および排出のための開口部が設けられているフレコン。
【請求項2】
前記上面部及び底面部が、メッシュ構造を有する素材よりなることを特徴とする請求項1に記載のフレコン。
【請求項3】
前記メッシュ構造を有する素材の開口率が、2〜25%であることを特徴とする請求項2に記載のフレコン。
【請求項4】
前記側面部が、内面に樹脂被覆をした織布または不織布からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフレコン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のフレコンからなる穀物乾燥用フレコン。
【請求項6】
穀物を充填した請求項1〜4のいずれかに記載のフレコンに、上方または下方から通風する穀物の乾燥方法。
【請求項7】
前記上方または下方からの通風後、逆方向から通風することを特徴とする穀物の乾燥方法。
【請求項8】
前記穀物が籾であることを特徴とする請求項6または7に記載の穀物の乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−180489(P2008−180489A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272622(P2007−272622)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(504061536)となみ野農業協同組合 (2)
【出願人】(000187138)昭和パックス株式会社 (17)
【Fターム(参考)】