説明

プッシュシリンダのブロック構造

【課題】プッシュシリンダ装置を小型化して小型のミッションケースにも容易に組み付けられるようにする。
【解決手段】シリンダ本体115を構成する単一のブロックに、複数のプッシュシリンダ117,118と、該プッシュシリンダ117,118への送油方向を切り換える切換弁を備えたプッシュシリンダのブロック構造において、切換弁を、その周面の一部に切換溝116aを形成したロータリスプール116とし、ロータリスプール116の回動によってプッシュシリンダ117,118を伸縮作動させる構成とする。また、ロータリスプール116の回動操作によって、プッシュシリンダ117,118が伸縮作動すると共にプッシュシリンダ117,118の伸縮作動速度を変速させる可変絞りの絞り量が同時に変更される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用ミッションケースの操向クラッチ及び走行ブレーキ等を作用させるプッシュシリンダのブロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプッシュシリンダのブロック構造は、二個のプッシュロッドを組み込んだシリンダケースに油圧切換バルブを設け、該油圧切換バルブの切換え操作で二個のプッシュロッドのどちらかを伸縮作動させて、操向クラッチ及び走行ブレーキを作用させる構成であった。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のプッシュシリンダでは、油圧切換バルブとしての油圧切換スプールを軸方向にスライドして流路の切換えを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−187567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のプッシュシリンダのブロック構造では、油圧切換スプールを軸方向にスライドして流路の切換えを行っているために、シリンダケースの油圧切換スプール支持部が大きくなると共に油圧切換スプールのスライド幅が必要になり、狭いミッションケース周辺に収まり難いことが有る。
【0006】
そこで、本発明では、プッシュシリンダ装置を小型化して小型のミッションケースにも容易に組み付けられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、シリンダ本体(115)を構成する単一のブロックに、複数のプッシュシリンダ(117,118)と、該プッシュシリンダ(117,118)への送油方向を切り換える切換弁を備えたプッシュシリンダのブロック構造において、前記切換弁を、その周面の一部に切換溝(116a)を形成したロータリスプール(116)とし、該ロータリスプール(116)の回動によってプッシュシリンダ(117,118)を伸縮作動させる構成としたことを特徴とするプッシュシリンダのブロック構造とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記ロータリスプール(116)の回動操作によって、プッシュシリンダ(117,118)が伸縮作動すると共に該プッシュシリンダ(117,118)の伸縮作動速度を変速させる可変絞り(119)の絞り量が同時に変更される構成とした請求項1に記載のプッシュシリンダのブロック構造とした。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記プッシュシリンダ(117,118)を組み込んだシリンダ本体(115)と可変絞り(119)を組み込んだ絞り本体(120)を、プッシュシリンダ(117,118)の最大伸張後の排油路と可変絞り(119)とを接続する昇圧ポート(R)が連通する状態で一体的に連結した請求項2に記載のプッシュシリンダのブロック構造とした。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記ロータリスプール(116)の回動に連動して可変絞り(119)の絞り量を変更させる連動部を、前記絞り本体(120)に形成されるオイル室(120a)に収めた請求項3に記載のプッシュシリンダのブロック構造とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、プッシュシリンダ(117,118)の作動をロータリスプール(116)の回動で行うために、ロータリスプール(116)の支持部が小さくなり、操向レバー等の操作具からの連動機構をスライド操作機構よりも小さく構成できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、プッシュシリンダ(117,118)のプッシュロッドの動きを滑らかに出来る。
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、シリンダ本体(115)と絞り本体(120)との配管が必要なく、制作コストを低減出来る。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項3に記載の発明の効果に加え、ロータリスプール(116)の可変絞り(119)を動作させる連動部に塵が付着して動作を阻害することを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】ミッションケースの正断面図である。
【図3】ミッションケース内の一部拡大正断面図である。
【図4】コンバインの油圧回路図である。
【図5】一部拡大油圧回路図である。
【図6】プッシュシリンダの油圧回路図である。
【図7】プッシュシリンダの平断面図である。
【図8】プッシュシリンダの一部平断面図である。
【図9】プッシュシリンダの一部側断面図である。
【図10】一部拡大油圧回路図である。
【図11】一部の油圧回路図である。
【図12】一部の油圧回路図である。
【図13】リリーフ弁の断面図である。
【図14】リリーフ弁の断面図である。
【図15】一部の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
図1はコンバインの全体構成を示すもので、車台13の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ14を張設した走行装置15を配設すると共に、該車台13上に、フィードチェン16に挟持して搬送供給される穀稈を脱穀装置18で脱穀処理して選別回収した穀粒を一時貯留するグレンタンク17と、このグレンタンク17に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ17aを備え、この脱穀装置18の後端部に排藁処理装置18aを装架する。
【0016】
脱穀装置18の前方には、前端側から未刈穀稈を分草する分草体10aと、分草した穀稈を引き起こす引起部10bと、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部10cと、刈り取った穀稈を掻き込むと共に搬送途上において扱深さを調節して前記のフィードチェン16へ引き継ぎを行う供給調節搬送部10d等を有する刈取装置10を、刈取昇降シリンダ11により土壌面に対して昇降自在なるよう車台13の前端部へ懸架配設して構成させる。
【0017】
刈取装置10の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置19と、操作のための操作席20を設け、この操作席20の下方側にエンジン21を搭載し、後方側に前記グレンタンク17を配置すると共に、該操作装置19と操作席20を覆うキャビン22を設け、これら走行装置15、脱穀装置18、グレンタンク17、刈取装置10、操作装置19、エンジン21、キャビン22等によってコンバインの車台13を構成する。
【0018】
前記操作席20において、オペレータの操作により車台13の前後進の切換え及び主変速伝動を行う主変速レバー23と、左右側への傾倒操作により直進時の左右操向作用及び各種旋回モードによる旋回作用を行わせる操向レバー24とを各々該操作装置19の一側に配設して構成させる。
【0019】
前記走行装置15は車台13の前部側に走行用ミッションケース1を装架しており、このミッションケース1のギヤ連動機構は、図2に示す如く、走行用ミッションケース1の上部側にエンジン21によって駆動される油圧式無段変速装置1aを連動可能に接続し、この無段変速装置1aの出力側へ第1軸としての入力軸25を連動連結して構成させる。
【0020】
該入力軸25に軸止した入力ギヤ25aから、第2軸としての入力中間軸26に軸止した入力中間ギヤ27を介して、第3軸としての変速駆動軸28の一端部に軸止した入力駆動ギヤ29に噛合連動させると共に、変速駆動軸28にスプライン等により三連の変速駆動ギヤ30を摺動並びに軸回転可能に構成させる。
【0021】
変速駆動ギヤ30に設けるシフタ溝に嵌入した副変速シフタ31を、シフタステー32の三段クリックストップにより左右摺動させて変速駆動ギヤ30を高速,中速,低速の各位置に位置決め可能に支承して構成させる。なお、該変速駆動軸28の適宜位置に、前記刈取装置10へ送信する回転センサとしての刈取センサギヤ33を軸止して構成させる。
【0022】
変速駆動軸28に摺動する変速駆動ギヤ30と、第4軸としての変速伝動軸34に軸止する高速駆動ギヤ35、中速駆動ギヤ36、低速駆動ギヤ37とを各々噛合連動させることによって高速,中速,低速に変速する副変速部を形成させると共に、該変速伝動軸34の中速駆動ギヤ36と低速駆動ギヤ37との間に変速伝動ギヤ38を軸止して構成させる。
【0023】
変速伝動軸34の変速伝動ギヤ38と、第5軸としての操向軸39のセンターに軸止する二連の操向センタギヤ2の主ギヤ(大径ギヤ)2aとを噛合連動させるが、この操向センタギヤ2は、図3に示す如く、内径側の左右両面にクラッチ爪2cを設けた主ギヤ2aの一方側のクラッチ爪2cとその取付ベースの外周部zに副ギヤ(小径ギヤ)2bの内周部zを嵌入固着させると共に、該操向センタギヤ2の両側に各々左右のサイドクラッチ3を左右摺動可能に遊転軸承して構成させる。
【0024】
左右のサイドクラッチ3は、各々該操向センタギヤ2側に設けたクラッチ爪3aを、クラッチギヤ3bの外端部に設けたシフタ溝3cに嵌入した左右のクラッチシフタ(図示なし)を後述するプッシュシリンダ6により操向センタギヤ2のクラッチ爪2cに各々噛合断続することにより、操向及び旋回作用を行わせることができると共に、左右のサイドクラッチ3の接続復帰を補助する左右のリターンスプリング(図示なし)を各々外端部に内装して構成させる。
【0025】
操向センタギヤ2の主ギヤ2aと、第6軸としてのクラッチ軸40に遊転軸承する長円筒メタル41の一端部に軸止した直進ギヤ42とを噛合連動させると共に、この長円筒メタル41の他端部に連動クラッチとしての直進用クラッチ43を固定して構成させる。
【0026】
操向センタギヤ2の副ギヤ2bと、長円筒メタル41の外周に重設して遊転軸承させる短円筒メタル44の一端部に軸止した旋回ギヤ45とを噛合連動させると共に、この短円筒メタル44の他端部に連動クラッチとしての旋回用クラッチ46を固定して構成させる。
【0027】
直進用クラッチ43と旋回用クラッチ46との間に、直進用クラッチ43を常時作動可能に押圧する押圧バネ47を配設し、該両クラッチ43,46の外枠リング48をクラッチ軸40の一方の軸端部に軸止して構成させる。
【0028】
クラッチ軸40の他方の軸端部に軸止した旋回駆動ギヤ49と、差動ギヤ装置においてデファレンシャルギヤ50を内装したデフケース51を回転駆動するデフケースギヤ52とを噛合連動させ、左右方向のデファレンシャルギヤ50を、第7軸としてのデフ支軸53に遊転軸承して構成させる。
【0029】
左右方向のデファレンシャルギヤ50のボス部に各々設けた左右のデフ出力ギヤ54と、第8軸としての左右の中間車軸55に各々軸止した中間従動ギヤ56とを噛合連動させると同時に、この左右の中間従動ギヤ56に前記左右のサイドクラッチ3のクラッチギヤ3bを各々噛合連動して構成させる。
【0030】
中間車軸55の中間従動ギヤ56に隣接して各々軸止した中間駆動ギヤ57と、第9軸としての左右の車軸58の一端部に軸止した車軸ギヤ59とを各々噛合連動させると共に、該車軸58の外部他端部に前記走行クローラ14を駆動する左右の走行スプロケット60を各々軸止して構成させる。
【0031】
エンジン21からの動力を、油圧式無段変速装置1aによる主変速動力を入力軸25に入力連動し、この入力軸25の入力ギヤ25aから入力中間軸26の入力中間ギヤ27を経て変速駆動軸28の入力駆動ギヤ29に連動し、この変速駆動軸28の連動によって三連の変速駆動ギヤ30を副変速シフタ31により摺動させ、高速駆動ギヤ35,中速駆動ギヤ36,低速駆動ギヤ37に各々連動させることにより高・中・低速による副変速駆動を行わせる。
【0032】
この副変速駆動による動力によって車台13を直進させるときは、変速伝動軸34の変速伝動ギヤ38から操向軸39の操向センタギヤ2の主ギヤ2aに連動し、この主ギヤ2a両面のクラッチ爪2cに左右のサイドクラッチ3のクラッチ爪3aを同時に作用させて噛合接続させることにより、該左右のサイドクラッチ3のクラッチギヤ3bから左右の中間従動ギヤ56へ各々噛合連動し、左右の走行スプロケット60を同一回転により駆動し直進走行させる。
【0033】
一方、該操向軸39の操向センタギヤ2の主ギヤ2aから長円筒メタル41の直進ギヤ42に連動し、この直進ギヤ42から長円筒メタル41を介して押圧バネ47によって常時入りとしている直進用クラッチ43の作用によりクラッチ軸40を駆動させる。
【0034】
このクラッチ軸40の駆動により旋回駆動ギヤ49から差動ギヤ装置におけるデフケース51のデフケースギヤ52に連動すると共に、このデフケースギヤ52からデファレンシャルギヤ50の作用により差動連動される左右のデフ出力ギヤ54を、前記左右の中間従動ギヤ56の回転に対し各々同速回転となるよう組合せを行い直進走行可能に連動させる。この連動により該サイドクラッチ3の入切によるショックを緩和することができる。
【0035】
次に、車台13を旋回させるときは、該操向軸39の操向センタギヤ2の副ギヤ2bから短円筒メタル44の旋回ギヤ45へ連動し、この旋回ギヤ45から短円筒メタル44を介して旋回用クラッチ46を作用させることにより、該押圧バネ47の押圧を解除して直進用クラッチ43を切ると同時に旋回用クラッチ46を入りとし該クラッチ軸40を駆動させる。
【0036】
このクラッチ軸40の駆動により旋回駆動ギヤ49から差動ギヤ装置におけるデフケース51のデフケースギヤ52に連動すると共に、このデフケースギヤ52からデファレンシャルギヤ50の作用により差動連動される左右のデフ出力ギヤ54を駆動させる。
【0037】
この駆動により、例えば、左へ旋回するときは、前記操向レバー24の左への傾動操作により、左のサイドクラッチ3を切ると同時に、旋回用クラッチ46を作用させ、該クラッチ46の入りを半接続状態から完全接続状態まで変化させることにより、左のデフ出力ギヤ54により左の中間従動ギヤ56から中間駆動ギヤ57を経て左の車軸ギヤ59を、通常回転の右の車軸ギヤ59に対し減速変速させる。
【0038】
この右の車軸ギヤ59に対する左の車軸ギヤ59の減速変速により、緩やかに減速回転させるマイルド旋回,停止をさせるブレーキ旋回、1/4程度の逆回転をさせるスピン旋回の各旋回モードにより、車台13を停止させることなく無段で連続して円滑な旋回作用を実行させることができる。
【0039】
なお、直進走行時において、左右のサイドクラッチ3の切りに続いて各旋回モードの前段における操向微調整モードにより、該操向レバー24の手動操作による左右の舵取りを行う操向作用を行わせることができる。
【0040】
コンバインの油圧制御回路は、図4に示す如く、油タンク61から走行無段変速回路62を介してメイン油圧ポンプ63で供給される圧油を第一減圧弁64で所定の圧にして、パイロット弁65から走行クラッチ操作油圧回路Tに向かう流れと、パイロット切換弁66からメイン油圧回路Wに向かう流れに分岐する。
【0041】
パイロット弁65を通って走行クラッチ操作油圧回路Tに向かう圧油は、左第一絞り67Lを介して左パイロット圧切換弁68Lへ向かう流れと右第一絞り67Rを介して右パイロット圧切換弁68Rへ向かう流れに分岐する。
【0042】
左パイロット圧切換弁68Lでは、左第二絞り69Lを通って左電磁比例弁70Lへ供給され、さらに左旋回クラッチシリンダ71Lへ向かう流れと、左電磁比例弁70Lの供給側の圧油を左操向クラッチシリンダ72Lに向かう流れに切換える。左旋回クラッチシリンダ71Lの戻り油は、左電磁比例弁70Lから油タンク61へ戻される。
【0043】
また、右パイロット圧切換弁68Rでは、右第二絞り69Rを通って右電磁比例弁70Rへ供給されさらに右旋回クラッチシリンダ71Rへ向かう流れと、右電磁比例弁70Rの供給側の圧油を右操向クラッチシリンダ72Rに向かう流れに切換える。右旋回クラッチシリンダ71Rの戻り油は、右電磁比例弁70Rから油タンク61へ戻される。
【0044】
上記の走行クラッチ操作油圧回路Tは、以下に説明するプッシュシリンダ装置5に代えることも出来る。
プッシュシリンダ装置5は、図7〜図9に示す如く、シリンダ本体115内に手動二方切換弁(請求項の「切換弁」)と二個のプッシュシリンダ117,118を組み込んだ構成で、手動二方切換弁をロータリスプール116として、このロータリスプール116の周面に切換溝116aを形成し、回動することでポンプポートP,タンクポートT,昇圧ポートR,ピストン作動ポートA、Bの各ポート間のオイルの流れを切り換える。プッシュシリンダ117,118のプッシュロッド117a,118aが伸縮することで旋回用クラッチ46を作動して機体が旋回する。プッシュロッド117a,118aの伸縮速度は、可変絞り119で変更する。
【0045】
前記昇圧ポート(R)は、プッシュシリンダ(117,118)の最大伸張後の排油路と可変絞り(119)とを接続するものであり、プッシュシリンダ(117,118)を組み込んだシリンダ本体(115)と可変絞り(119)を組み込んだ絞り本体(120)を、この昇圧ポート(R)が連通する状態で一体的に連結する。
【0046】
可変絞り119は、シリンダ本体115の側面に組み付けた絞り本体120内に設けて、内部の可変絞り119を作動するリリーフプッシュピン121をロータリスプール116に固着したリリーフカム122で押して作動する。リリーフプッシュピン121とリリーフカム122は絞り本体120に形成するオイル室120a内に収めてリリーフプッシュピン121が滑らかにスライドするようにしている。
【0047】
操向レバー24の操作による手動二方切換弁(ロータリスプール116)の作動によりプッシュロッド117a,118aを押圧作用で左右のクラッチシフタと共に左右の走行ブレーキの制動も行わせることにより、車体25の走行時における左右側への操向旋回及び制動を行わせることができる。
【0048】
メイン油圧ポンプ63から出た圧油がパイロット切換弁66と電磁切換弁73を介して比例流量制御弁74に送られ、オーガ昇降シリンダ77と左ローリングシリンダ75Lと右ローリングシリンダ75Rとピッチングシリンダ76と刈取昇降シリンダ78を制御するメイン油圧回路Wに流れる。
【0049】
電磁切換弁73は、前記走行クラッチ操作油圧回路Tへの圧油供給と刈取・オーガ昇降制御と機体のローリング・ピッチング制御を切り換え、第一パイロット弁79と第二パイロット弁80に送られる。
【0050】
パイロット切換弁66からの圧油は、手動切換弁81を介して比例流量制御弁74に送られる。
比例流量制御弁74に送られた圧油は、上昇用切換弁74a、下降用切換弁74b、リリーフ弁74eと、これら上昇用切換弁74aと下降用切換弁74bをパイロット圧によって可変調整する上昇用調整弁74cと下降用調整弁74dとにより制御された制御流の一方が第一パイロットチェック弁82aを介して刈取昇降シリンダ78へ送油可能に接続すると共に、比例流量制御弁74の制御流の他方が第二パイロットチェック弁82bを介してオーガ昇降シリンダ77へ送油可能に接続する。従って、車体制御の昇降速度を変更して、車台13を急速に上昇させることも出来る。
【0051】
パイロット切換弁66から手動切換弁81を介して送られる圧油が、比例流量制御弁74を介して左ローリング切換電磁弁83cと右ローリング切換電磁弁83dとピッチング切換電磁弁83eへの車体制御回路に送られる。従って、比例流量制御弁74の上昇用調整弁74cの流量を変更すると車台13の上昇速度を変更できる。
【0052】
手動切換弁81は、油圧回路のトラブル時に手動で中立にすると車体のローリングやピッチングが人力で操作可能になるように、中立時に圧力供給側のオイル供給を遮断するようにしている。
【0053】
なお、図10の如く、手動切換弁81の回路にチェック弁91と電磁切換弁92を設けて、刈取下げ時に車体の安定制御信号が出力されると刈取昇降シリンダ78のオイル圧の一部を使って車体制御シリンダを作動して車体安定化制御が行われるようにしても良い。
【0054】
左ローリング切換電磁弁83cへ送られた圧油は、第三パイロットチェック弁84cと第二チェック付き絞り弁85cを介して左ローリングシリンダ75Lへ送油可能に接続し、右ローリング切換電磁弁83dへ送られた圧油は、第四パイロットチェック弁84dと第三チェック弁付き絞り弁85dを介して右ローリングシリンダ75Rへ送油可能に接続し、ピッチング切換電磁弁83eへ送られた圧油は、第五パイロットチェック弁84eと第五チェック付き絞り弁85eを介してピッチングシリンダ76へ送油可能に接続している。
【0055】
次に、作業系回路Wでは、主リリーフ弁61を介して設定圧力(一次圧)を保持させ、二方向に分岐した他方の圧油を、アンロード回路uを通り刈取装置10の昇降用として、4ポート3位置切換え電磁弁による刈取昇降弁12の切換え作用により、パイロット逆止弁65及び固定絞り66を経て刈取昇降シリンダ11へ送油可能に構成させる。
【0056】
脱穀装置18における排穀オーガ17aの昇降用として、4ポート3位置切換え電磁弁によるオーガ昇降弁67の切換え作用により、パイロット逆止弁68及び固定絞り69を経てオーガ昇降シリンダ70へ送油可能に構成させる。
【0057】
走行無段変速回路62内のサブ油圧ポンプ86から吐出する圧油が変速供給管路87から変速分流弁88に供給されて分配され、変速供給管路87から圧油の略7割が走行無段変速回路62に送られ、残り3割の圧油が刈取変速管路89から刈取無段変速回路90に送られる。
【0058】
図11に示す実施例は、メイン油圧ポンプ63の圧油で刈取昇降シリンダ11と左操向クラッチシリンダ72Lと右操向クラッチシリンダ72Rを同時に制御できるようにした油圧回路で、刈取昇降弁12のPポートより分岐した油路と、左操向クラッチシリンダ72Lと右操向クラッチシリンダ72Rの戻り油路のどちらかを操向切換弁91に接続できるように電磁切換弁92と絞り93を設けた油圧回路で、低出力のメイン油圧ポンプ63で刈取装置10の昇降と走行用ミッションケース1の旋回制御を同時に行える。
【0059】
図12に示す実施例は、メイン油圧ポンプ63の圧油で刈取昇降シリンダ11とオーガ昇降シリンダ77及び左操向クラッチシリンダ72Lと右操向クラッチシリンダ72Rを同時に制御できるようにした油圧回路で、分流弁94の出力側にオーガリリーフ弁95と刈取リリーフ弁96を設けた油圧回路で、低出力のメイン油圧ポンプ63で刈取装置10の昇降と排穀オーガ17aの昇降及び走行用ミッションケース1の旋回制御を同時に行える。
【0060】
図13に示す実施例は、油圧シリンダの戻り油路に設ける絞りで、油圧ブロック94に差し込むプラグ96の先端側スリーブ102内にスプリング99で押圧する第一スプール97と絞り穴100aを形成したリング100を外嵌した第二スプール98を設け、油路95の油圧が高くなると第二スプール98が左に動いて第一スプール97を押すと、スリーブ102の油路O1から油路O2へオイルが流れるようになる。リング100はE型止め輪101で第二スプール98に固定している。この構成は従来よりも簡単で絞りの制作コストが低減する。
【0061】
図14に示す実施例は、油圧ブロック109内に設ける絞りで、スリーブ104内にスプール103とスチールボール105と該スチールボール105を受けるボール受106と、該ボール受106をプラグ108との間に設けるスプリング107を設け、該ボール受106のスプリング107側に側面視で+状のスリット溝106aを形成している。
【0062】
スプール103が右に動いてスチールボール105が浮くと、オイルがスリット溝106aを通って左右に流れるようになる。この構成は従来よりも簡単で絞りの制作コストが低減する。
【0063】
図15に示す実施例は、左操向クラッチシリンダ72Lを制御する左操向切換え弁110Lと右操向クラッチシリンダ72Rを制御する右操向切換え弁110Rを組み込んだ操向油圧ブロック111とオーガ昇降シリンダ77を制御するオーガ電磁切換弁112を組み込んだオーガ油圧ブロック113を重ねて、その合わせ面に油路を形成して組み付け、配管を不要にした油圧回路図である。
【符号の説明】
【0064】
115 シリンダ本体
116 ロータリスプール
116a 切換溝
117 プッシュシリンダ
118 プッシュシリンダ
119 可変絞り
120 絞り本体0
120a オイル室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ本体(115)を構成する単一のブロックに、複数のプッシュシリンダ(117,118)と、該プッシュシリンダ(117,118)への送油方向を切り換える切換弁を備えたプッシュシリンダのブロック構造において、前記切換弁を、その周面の一部に切換溝(116a)を形成したロータリスプール(116)とし、該ロータリスプール(116)の回動によってプッシュシリンダ(117,118)を伸縮作動させる構成としたことを特徴とするプッシュシリンダのブロック構造。
【請求項2】
前記ロータリスプール(116)の回動操作によって、プッシュシリンダ(117,118)が伸縮作動すると共に該プッシュシリンダ(117,118)の伸縮作動速度を変速させる可変絞り(119)の絞り量が同時に変更される構成とした請求項1に記載のプッシュシリンダのブロック構造。
【請求項3】
前記プッシュシリンダ(117,118)を組み込んだシリンダ本体(115)と可変絞り(119)を組み込んだ絞り本体(120)を、プッシュシリンダ(117,118)の最大伸張後の排油路と可変絞り(119)とを接続する昇圧ポート(R)が連通する状態で一体的に連結した請求項2に記載のプッシュシリンダのブロック構造。
【請求項4】
前記ロータリスプール(116)の回動に連動して可変絞り(119)の絞り量を変更させる連動部を、前記絞り本体(120)に形成されるオイル室(120a)に収めた請求項3に記載のプッシュシリンダのブロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−112117(P2013−112117A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259201(P2011−259201)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】