説明

プラスチックキャップ

【課題】クチバシ部が形成されている注出突部を備えた注出突部付のプラスチックキャップにおいて、上蓋を開放した場合にクチバシ部が指に当たることにより使用者に与える不快感を防止する。
【解決手段】容器口部に固定されるキャップ本体1と、キャップ本体1に開閉可能に装着される上蓋2とからなり、キャップ本体には、容器内容液の注ぎ出し用案内となる注出突部11と、注出突部11を取り囲むように形成された上蓋係合用環状小突起12とが設けられており、注出突部11の上端部分には、外方に傾斜して突出しており、且つ上面から見て、中心部に頂点を有している三角形状のクチバシ部20が形成されており、注出突部11の外面には、クチバシ部20の下方に位置し且つ上蓋係合用環状小突起12よりも高い部分に、外方に突出している緩衝用突部が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックキャップに関するものであり、より詳細には、容器内容液の注ぎ出し用案内となる注出突部の上端に、外方に突出したクチバシ部が注ぎ口として形成されている注出突部付キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内容液の注ぎ出し用案内となる注出突部を備えたプラスチックキャップは、広く使用されている。このような注出突部付プラスチックキャップの代表的なものは、例えば容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉可能にヒンジ連結された上蓋とからなり、該キャップ本体に注出突部が設けられた構造を有している。即ち、キャップ本体は、筒状側壁と、該筒状側壁の上端を閉じるようにして形成されている頂板部とを有しており、この頂板部の上面に注出突部が形成されており、頂板部の注出突部で囲まれた部分には、無端状のスコアで区画された開口予定部が形成されている。容器口部に固定されているキャップ本体の上記スコアを引裂くことにより開口が形成され、この開口を通して容器内容液の注ぎ出しを行うと、注ぎ出された液は、注出突部の壁面に沿って流れ、飛び散り等を生じることなく、スムーズに内容液の注ぎ出しが行われることとなる。
【0003】
上記のような注出突部においては、一般に、その上端の少なくとも一部は、注出突部の付け根部分よりも外方に突出して注ぎ口となっており、該注ぎ口では、その上端部分が、ラッパ状に外方に湾曲しているが、最近では、注出突部の上端に、外方に大きく突出したクチバシ部を形成し、このようなクチバシ部を注ぎ口とすることが提案されており、クチバシ部の形成により液切れ性が高められることが知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−40299号公報
【特許文献2】特開2004−352284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2のように注出突部にクチバシ部が設けられたプラスチックキャップでは、閉じられた上蓋を開けるときに、指が尖ったクチバシ部に当り、使用者に不快感を与えるという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記のようなクチバシ部が形成されている注出突部を備えた注出突部付のプラスチックキャップにおいて、上蓋を開放する場合にクチバシ部が指に当たることにより使用者に与える不快感を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉可能に装着される上蓋とからなり、キャップ本体は、頂板部と頂板部の周縁部から降下したスカート部とを備えていると共に、該頂板部には、容器内容液を注ぎ出すための開口或いは開口予定部が形成されており、該頂板部の上面には、該開口或いは開口予定部の外側部分に、上方に突出して容器内容液の注ぎ出し用案内となる注出突部と、該注出突部を取り囲むように形成された上蓋係合用環状小突起とが設けられているプラスチックキャップにおいて、
前記注出突部の上端部分には、外方に傾斜して突出し且つ上面から見て、中心部に頂点を有している三角形状のクチバシ部が形成されており、
前記注出突部の外面には、前記クチバシ部の下方に位置し且つ前記上蓋係合用環状小突起よりも高い部分に、外方に突出している緩衝用突部が形成されていることを特徴とするプラスチックキャップが提供される。
【0008】
本発明においては、
(1)前記緩衝用突部は、クチバシ部の下端近傍に位置し、且つ該緩衝用突部の径方向外側端がクチバシ部の径方向外側端と同位置か或いは若干外方に位置すること、
(2)前記上蓋は、天板と天板の周縁部から延びている筒状側壁とからなり、該上蓋の筒状側壁の下端は前記キャップ本体のスカート部の上部にヒンジ連結部を介して連結されており、前記クチバシ部が前記注出突部の該ヒンジ連結部とは反対側に位置すると共に、前記クチバシ部の径方向外側端が該ヒンジ連結部と反対側の前記筒状側壁の下端内周面の旋回軌跡近傍に位置すること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプラスチックキャップにおいては、注出突部の外面に、前記クチバシ部の下方に位置する部分に外方に突出した緩衝用突部が形成されており、この緩衝用突部は、上蓋係合用環状小突起よりも高い部分に位置している。このため、閉じられた上蓋を指で上方に押し上げた場合、この緩衝用突部に指が当ることとなり、従って、指が尖ったクチバシ部に当ったとしても、クチバシ部への当りが緩和され、このような当りによる不快感を有効に回避することができる。特に、前記クチバシ部の径方向外側端が該ヒンジ連結部と反対側の前記筒状側壁の下端内周面の旋回軌跡近傍に位置する場合には、更に有効となる。
【0010】
また、本発明においては、容器内容液の小さな容器内への移し替えを容易に行うことができるという利点もある。即ち、移し替えに際して、注出突部のクチバシ部の下方に形成されている緩衝用突部を小さな容器の口部壁に当てながら内容液が収容されている容器を傾けることができるため、内容液の注ぎ出しに際して容器がぶれることがなく、しかも注出突部のクチバシ部を小さな容器の口部の上方空間に安定に保持することができ、この結果、内容液をこぼさずに、確実に小さな容器内に内容液を注ぎ入れることが可能となる。
【発明が実施しようとする最良の形態】
【0011】
本発明を、以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のプラスチックキャップを、上蓋が開放された状態で示す平面図であり、
図2は、図1のプラスチックキャップの側断面図(X−X断面図)であり、
図3は、図1のプラスチックキャップの側面図であり、
図4は、図1のプラスチックキャップの底面図であり、
図5は、図2のプラスチックキャップを、上蓋を閉じた状態で示す側断面図であり、
図6は、従来公知のプラスチックキャップについて、上蓋を開けたときの指の状態を示す図であり、
図7は、図1の本発明のプラスチックキャップについて、上蓋を開けたときの指の状態を示す図であり、
図8は、従来公知のプラスチックキャップについて、容器内容液を小さな容器に移し替えるときのキャップの状態を示す図であり、
図9は、図1の本発明のプラスチックキャップについて、容器内容液を小さな容器に移し替えるときのキャップの状態を示す図である。
【0012】
図1乃至図5を参照して、このキャップは、キャップ本体1と、キャップ本体1にヒンジ連結された上蓋2とからなっている。かかるキャップは、それ自体公知の合成樹脂、例えば、低−、中−または高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド等を用いての射出成形等により、上蓋2が開栓された状態(図2参照)で成形される。
【0013】
キャップ本体1は、頂板部5と、頂板部5の周縁部から垂下しているスカート部6とを有しており、上蓋2は、スカート部6の上端部分にヒンジ連結されている。このヒンジ連結部は7で示されており、スカート部6の上端に連結された中央バンド7aと、この中央バンド7aの両側に位置し且つスカート部6の上端より若干下方に連結されている1対の補助バンド7b,7bとから形成されている。このようにしてスカート部6にヒンジ連結されている上蓋2を旋回することにより、キャップ本体1の頂板部5は、上蓋2によって閉じられる。尚、中央バンド7aの中心部上面側には矩形状の浅い溝7cが中央バンド7aの両端近傍まで延びている。この溝7cはヒンジの折れ曲がり易さを向上させるために設けられている。溝7cがヒンジの両端に至らないように形成されているのは、上蓋の開閉を多数行ってもヒンジが破断しないようにするためである。
【0014】
キャップ本体1のスカート部6の内面には、係止突起8が形成されており、また、頂板部5の内面の周縁部分には、スカート部6とは間隔を置いて下方に延びているインナーリング9が形成されている。即ち、このインナーリング9とスカート部6との間の空間に容器口部(図示せず)が嵌め込まれ、且つ係止突起8と容器口部の外面との係合により、キャップ本体1は、容器口部にしっかりと固定されるものである。
【0015】
また、スカート部6には、その厚み部分に上端から下方に向かって延びているスリットAが形成されており、かかるスリットAによって、スカート部6は、内側壁6aと外側壁6bとに区画された2重壁構造となっており、図2及び図5に示されているように、内側壁6aと外側壁6bとは下端で連なっている。このようにスカート部6を2重壁構造とすることにより、キャップの分別廃棄に際して、キャップを容器口部から容易に取り除くことが可能となる。例えば、図1及び図3から理解されるように、ヒンジ連結部7(ヒンジバンド7b)の近傍位置に、外側壁6bにスコア10が軸方向に延びるように形成されており、上蓋2を引き降ろすことにより、そのスコア10を引き裂いて外側壁6bを破断することによって、キャップ本体1を容器から容易に取り除くことができるような構造となっている。尚、スコア10の上端と下端には切り欠き10a、10bが形成され、上蓋2を引き降ろしてスコア10を引き裂くときには、切り欠き10aからスムーズにスコア10を破断することができ、また、消費者が誤って上蓋2を持ち上げてスコア10を破断しようとするときには、切り欠き10bからスコア10を破断することもできる。
さらに、外側壁6bの外面には、上記スコア10の近傍部分(ヒンジ連結部7の近傍)に、軸方向に延びているリブZが形成されている。このリブZは、キャップ本体1を容器口部に嵌合固定する際の位置決め部材として使用されるものである。
【0016】
キャップ本体1の頂板部5の上面には、上方に突出して内容液を注ぎ出す際に注ぎ出される液の案内となる注出突部11が形成されており、注出突部11の外側には、上蓋2との係合用の環状小突起12が形成されている。
【0017】
この注出突部11は、ヒンジ連結部7側が切欠かれており(図1参照)、また、図2及び図5から理解されるように、注出突部11の内側部分において、頂板部5は、ヒンジ連結部7側が低くなるように傾斜している。
【0018】
さらに、注出突部11の内側領域には、注出用開口を形成するための無端状スコア13が形成されている。また、頂板部5の外面には、無端状スコア13の内側となる領域に形成された支柱14を介してスコア破断用タブリング15が設けられている。即ち、このタブリング15を引っ張り上げることにより、スコア13が破断して注出用開口が形成されるわけである。
【0019】
従って、スコア13の破断によって形成された注出用開口から流れ出た内容液は、注出突部11によって案内され、その内面に沿って注ぎ出される。先に述べたように、注出突部11は、ヒンジ連結部7側が切欠かれている。即ち、ヒンジ連結部7とは反対側の部分から内容液の注ぎ出しが行なわれるため、この部分には案内壁は必要ではなく、従って、この部分を切り欠いておくことにより、上蓋2を閉じる際に、注出突部11が邪魔にならないようにしたものである。従って、この部分の背を低くすることにより、上蓋2を閉じる際に、注出突部11が邪魔にならないようにすることも可能である。
【0020】
また、注出突部11の内面の下端部分は、ヒンジ連結部側の切り欠き部を除いて全域に渡ってフラットであり且つ略直立したシール面17となっており(特に図2参照)、ヒンジ連結部側の切り欠き部に位置する頂板部5には、注出用開口を形成するための無端状スコア13に向かって切り立った面が形成されている。この切り立った面の下部がテーパー面となり、テーパー面に続く上部が略直立したシール面17aとなっている。即ち、上蓋2を閉じたとき、注出突部11と頂板部5に形成されたシール面17,17aに上蓋2の一部が密着し、スコア13を破断して注出用開口が形成された後の密封性が確保されるようになっている。
【0021】
図1乃至図3から理解されるように、注出突部11のヒンジ連結部7側とは反対側部分には、上端部分の一部が外方に傾斜しており、三角形状に外方に突出したクチバシ部20が形成されている。このクチバシ部20の径方向外側端である先端(もっとも突出した上端中心部分20a)は、ヒンジ連結部7を通るキャップの中心線X上に位置しており、三角形の頂点となっている。かかるクチバシ部20の内面の下方部分は、前記シール面17の上端部分に位置しており、クチバシ部20の内面は、この部分から上方に向かって傾斜した傾斜面20bとなっており、この部分には、液がスムーズに流れるように溝20cが形成されている。このように注出突部11の付け根部分よりも外方に大きく突出しているクチバシ部20は注ぎ口となり、この部分から内容液を注ぎ出すことにより、内容液の注ぎ出しをスムーズに行うことができる。
【0022】
また、図2及び図3に示されているように、クチバシ部20においては、その上端が薄肉となっており、ラッパ状に外方に湾曲している。即ち、クチバシ形状に加えて、このようにラッパ状に湾曲させることにより、この部分での液の付着が抑制されて液切れ性が向上し、内容液の注ぎ出し終了時の液垂れを有効に防止することができる。
【0023】
上記のようなキャップ本体1において、注出用開口を形成する無端状スコア13は、図4に示されているように、ヒンジ連結部7側及びヒンジ連結部7とは反対側の部分が幅狭の形状を有しており、それぞれ、幅狭部13a,13bが形成されている。即ち、無端状スコア13を引き裂いて注出用開口を形成し、容器を傾けて、この注出用開口から内容液の注ぎ出しを行なう場合、ヒンジ連結部7とは反対側に形成されている幅狭部13bから注出突部11のクチバシ部20の内面に内容液が集中して速やかに流れ出し、また、注ぎ出し終了後には、ヒンジ連結部7側の壁面に付着残存した液が、幅狭部13aから速やかに容器内に戻るような構造となっている。
【0024】
尚、図4の底面図に示されているように、頂板部5の裏面には、上記幅狭部13a,13bが形成されている部分のそれぞれに、下方に延びている小さなリブ21,21が形成されている。このようなリブ21が案内となり、ヒンジ連結部7側の壁面に付着残存した液は、幅狭部13aの近傍の壁面に滞留せず、効果的に容器内に戻るようになっているわけである。
【0025】
一方、上蓋2は、天板25と、天板25の周縁部から延びている筒状側壁27とから形成されており、天板25の内面には、シール用リング29が形成されている。即ち、上蓋2を閉じたとき、このシール用リング29の外面が注出突部11の内面下方のシール面17とヒンジ連結部側の頂板部5に形成されたシール面17aに密着し、この密着により、スコア13の破断により注出用開口を形成した後のシール性が確保される。即ち、注出突部11の内面下方のシール面17とヒンジ連結部側の頂板部5に形成されたシール面17aとで環状のフラットな面を形成することとなる。尚、注出突部11のヒンジ連結部7側部分が切り欠かれているため、この上蓋2を閉じる際にシール用リング29はスムーズに注出突部11内に入り込み、シール面17,17aと密着することとなる。また、シール用リング29は頂板部5に形成されたシール面17aと密着するためにヒンジ連結部側が長く形成されている。
【0026】
また、図3に示されているように、上蓋2の天板25の中央部分はドーム状に膨出した膨出部25aとなっている。このような膨出部25aを形成することにより、シール用リング29の内面からシール用リング29で囲まれた天板25の内面を角部のない球状面にすることができ、スコア13の破断後に天板25の内面に付着した内容液を速やかに容器内に戻すことができるようになっている。
【0027】
さらに、天板25のヒンジ連結部とは反対側部分(注出突部11のクチバシ部20が位置する側)には鍔25bが形成されており、これにより、上蓋2の開閉操作を容易に行うことができるようになっている。鍔25bを筒状側壁27の下端部に設けるのではなく筒状側壁27の上端部、即ち天板5の周縁部に設けたことにより、上蓋2開蓋時に手の指が注出突部11のクチバシ部20先端20aに触れ難くしている。
【0028】
上蓋2の筒状側壁27の下端面の先端部側(ヒンジ連結部7とは反対側部分)には、小突起27aが適当な間隔で設けられている。即ち、内容液の注出を行ったとき、キャップ本体1の頂板部5の上面の周縁部分、特にヒンジ連結部7とは反対側部分には、注ぎ出された液が付着する場合がある。このような場合、上蓋2を閉じた時に、筒状側壁27の下端面が全体にわたって頂板部5の上面の周縁部分に密着してしまうと、付着している液がはじき飛ばされてしまい、周囲を汚してしまうなどの不都合を生じることがある。しかるに、上記のような小突起27aを形成しておけば、付着した液のはじき飛ばしを有効に回避することができる。
【0029】
尚、筒状側壁27の下端面のヒンジ連結部7側には、上記のような小突起27aの形成により傾きを回避するための高さ調整用の弧状突起27bが形成されている。
【0030】
また、筒状側壁27の下方部分の内面には、凸部27cが周状に形成されている。即ち、上蓋2を閉じたとき、この凸部27cが頂板部5の外面に形成されている小突起12と係合し、これにより上蓋2の閉栓状態が保持されることとなる。
【0031】
さらに、上記の筒状側壁27には、ヒンジ連結部7とは反対側の部分、即ち、天板25に鍔25bが形成されている部分には、肉抜きにより溝28が形成されている。このような溝28を形成しておくことにより、上蓋2を閉じたときに、注出突部11に形成されているクチバシ部20の先端20aが上蓋2の筒状側壁27の内面に接触せず、スムーズに上蓋2が閉じられるようになっている。
【0032】
上述した構造のプラスチックキャップにおいて、本発明では、注出突部11の外面に、クチバシ部20の下方に位置する部分に外方に突出した緩衝用突部30が形成される。この緩衝用突部30は、上蓋2との係合用環状小突起12よりも高い部分に位置しており、その径方向外側端がクチバシ部の径方向外側端20aより若干外方に位置している。また、上面30aが水平方向に延び、その外周縁が弧状に延びており、その側面30bは、下方にいくにしたがって漸次突出長さが小さくなるような曲面に形成されており、成形時の型抜きを容易に行い得るような形状に成形されている。
【0033】
即ち、本発明においては、上記のような緩衝用突部30を形成することにより、上蓋2を開放するときに、手の指がクチバシ部20の先端20aに当たることによる不快感を有効に防止することが可能となるものである。
【0034】
例えば、上記のような緩衝用突部30が注出突部11に形成されていない従来公知のキャップについて、上蓋を開けたときの状態を示す図6を参照されたい。即ち、閉じられている上蓋2の開放は、前述した鍔25bを指40で押し上げることにより行なわれるが、この場合、指40が注出突部11に形成されている先端が尖った形状のクチバシ部20に強く当たってしまうおそれがあり、このような場合には、上蓋2を開放する者に不快感を与えてしまう。
【0035】
これに対して、本発明のキャップについて、上蓋を開けたときの状態を示す図7を参照されたい。図7から理解されるように、本発明では、指40で上蓋2を押し上げて開放したとき、指40が緩衝用突部30に当たることとなる。このため、指40が尖ったクチバシ部20の先端部に当ったとしても、クチバシ部20への当りが緩和され、このような当りによる不快感を有効に回避することができるのである。特に、使用時の注ぎ易さを向上させるために、クチバシ部20の径方向外側端である先端20aをヒンジ連結部7と反対側の上蓋2の筒状側壁27下端内面の旋回軌跡近傍に位置するようにした場合、即ち、クチバシ部20の先端20aが、上蓋を閉じるときに筒状側壁27の下端内周面に接触しない程度に近接している場合であっても、指40がクチバシ部20の先端20aに当り、不快感を生じることを回避することができる。
【0036】
上記の説明から理解されるように、緩衝用突部30は、クチバシ部20の先端20aの下端近傍に位置し、且つその上端30aがクチバシ部20の先端を通る軸線Lの部分或いは軸線Lよりも若干外方の部分にまで突出しているのがよい(図3の側面図参照)。その突出位置が軸線Lよりも内方に位置する場合には、クチバシ部20への指40の当りを緩和する効果が十分に発揮されないからである。
【0037】
また、本発明のキャップでは、容器内容液を小さな容器内に容易に移し替えることができる。
【0038】
例えば、図8は、上記のような緩衝用突部30が形成されていない従来公知のキャップについて、容器内容液を小さな容器に移し替えるときのキャップの状態を示す図であるが、この図から理解されるように、キャップの注出突部11の外面を、移し替える小さな容器の口部50の上端に当接させながら容器(図示せず)を傾けた場合、注出突部11の上端のクチバシ部20の先端部分は、小さな容器の口部壁50の上端に接触するように位置するか或いは容器口部壁50に接触させることなく、この状態で内容液の注ぎ出しが行われることとなる。従って、この場合には、注ぎ出された内容液が小さな容器の口部壁50の上端に当たりながら流し込まれることとなり、この結果、一部が容器の口部壁50に沿って外面に流れてこぼれてしまうという不都合を生じ易い。
【0039】
これに対して、本発明のキャップでは、図9に示されているように、注出突部11の外面に形成されている緩衝用突部30に小さな容器の口部壁50に当てながら内容液が収容されている容器を傾けると、注出突部11のクチバシ部20は、小さな容器の口部壁50のやや上方に位置するようになり、この結果、内容液を小さな容器の口部壁50の上端に当てることなく、直接小さな容器内に注ぎ入れることが可能となる。即ち、緩衝用突部30を小さな容器の口部壁50に当てながら容器を傾けることにより、注ぎ出しに際しての容器のぶれを回避することができ、しかも注ぎ入れる小さな容器の容器壁50に接触させずに注ぎ入れることができるため、内容液をこぼさずに、確実に小さな容器内に内容液を注ぎ入れることが可能となるのである。
【0040】
上述した本発明のキャップは、各種飲料や醤油等の調味液などが充填された容器のキャップとして効果的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のプラスチックキャップを、上蓋が開放された状態で示す平面図。
【図2】図1のプラスチックキャップの側断面図(A−A断面図)。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれ異なる方向から見た図1のプラスチックの側面図。
【図4】図1のプラスチックキャップの底面図。
【図5】図1のプラスチックキャップを、上蓋を閉じた状態で示す側断面図。
【図6】従来公知のプラスチックキャップについて、上蓋を開けたときの指の状態を示す図。
【図7】図1の本発明のプラスチックキャップについて、上蓋を開けたときの指の状態を示す図。
【図8】従来公知のプラスチックキャップについて、容器内容液を小さな容器に移し替えるときのキャップの状態を示す図。
【図9】図1の本発明のプラスチックキャップについて、容器内容液を小さな容器に移し替えるときのキャップの状態を示す図。
【符号の説明】
【0042】
1:キャップ本体
2:上蓋
11:注出突部
12:上蓋係合用環状小突起
20:クチバシ部
30:緩衝用突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉可能に装着される上蓋とからなり、キャップ本体は、頂板部と頂板部の周縁部から降下したスカート部とを備えていると共に、該頂板部には、容器内容液を注ぎ出すための開口或いは開口予定部が形成されており、該頂板部の上面には、該開口或いは開口予定部の外側部分に、上方に突出して容器内容液の注ぎ出し用案内となる注出突部と、該注出突部を取り囲むように形成された上蓋係合用環状小突起とが設けられているプラスチックキャップにおいて、
前記注出突部の上端部分には、外方に傾斜して突出し且つ上面から見て、中心部に頂点を有している三角形状のクチバシ部が形成されており、
前記注出突部の外面には、前記クチバシ部の下方に位置し且つ前記上蓋係合用環状小突起よりも高い部分に、外方に突出している緩衝用突部が形成されていることを特徴とするプラスチックキャップ。
【請求項2】
前記緩衝用突部は、クチバシ部の下端近傍に位置し、且つ該緩衝用突部の径方向外側端がクチバシ部の径方向外側端と同位置か或いは若干外方に位置することを特徴とする請求項1記載のプラスチックキャップ。
【請求項3】
前記上蓋は、天板と天板の周縁部から延びている筒状側壁とからなり、該上蓋の筒状側壁の下端は前記キャップ本体のスカート部の上部にヒンジ連結部を介して連結されており、前記クチバシ部が前記注出突部の該ヒンジ連結部とは反対側に位置すると共に、前記クチバシ部の径方向外側端が該ヒンジ連結部と反対側の前記筒状側壁の下端内周面の旋回軌跡近傍に位置すること特徴とする請求項1または2に記載のプラスチックキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36932(P2010−36932A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199486(P2008−199486)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000004477)キッコーマン株式会社 (212)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】