説明

プラスチック基板を有する素子の形成方法

【課題】プラスチック基板を有する素子の形成方法が提供される。
【解決手段】本発明の実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法は、プラスチック基板を形成する工程と、前記プラスチック基板を熱処理する工程と、前記熱処理されたプラスチック基板を素子に適用する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基板を有する素子の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、素子がフレキシブルな特性を有するフレキシブルディバイスに対する関心が高まるにつれ、そのようなフレキシブルディバイスに関連する技術開発がなされている。既存のガラス基板のような無機材料を利用した平板ディスプレーは、フレキシブルな特性がないので、フレキシブルディバイスを製作できない。しかし、有機材料を含むプラスチック基板は、フレキシブルな特性を有しているので、フレキシブルディバイスが具現され得る。
【0003】
しかし、プラスチック基板の場合、無機材料で形成された基板に比べて、熱に弱いという短所と、均一性が低下するという短所が指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2006−107712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、均一性が向上したプラスチック基板を有する素子の形成方法を提供するものである。
【0006】
本発明の他の目的は、物理的特性が向上したプラスチック基板を有する素子の形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術的課題を解決するためのプラスチック基板を有する素子の形成方法が提供される。
【0008】
本発明の実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法は、プラスチック基板を形成する工程、前記プラスチック基板を熱処理する工程、及び前記熱処理されたプラスチック基板を素子に適用する工程を含む。
【0009】
一実施形態において、 前記プラスチック基板は、300℃未満のガラス転位温度Tgを有するポリマーを含み、前記熱処理する工程は、前記プラスチック基板にTg−100℃からTg+100℃までの温度範囲内の熱を提供することを含むことができる。
【0010】
一実施形態において、 前記プラスチック基板は、300℃以上のガラス転位温度Tgを有するポリマーを含むことができる。この場合、前記熱処理する工程は、前記プラスチック基板にTg−150℃からTgまでの温度範囲内の熱を提供することを含むことができる。
【0011】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、10分から8時間までの範囲内の時間にわたって実行され得る。
【0012】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板に熱を提供する加熱工程と、前記プラスチック基板を冷却する冷却工程と、を含むことができる。この場合、前記加熱工程と前記冷却工程とは、交互に複数回反復されて実行され得る。前記反復される加熱工程が実行される時間の合計は、10分から8時間までの範囲内であり得る。又は、前記加熱工程と前記冷却工程とは、2回ないし10回反復され得る。
【0013】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板に連続的に熱を提供することを含むことができる。
【0014】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板の上部面、及び下部面に熱を提供することを含むことができる。
【0015】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板の上部面、及び下部面のうちの少なくとも一方の全面に熱を提供することを含むことができる。
【0016】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板の上部面、及び下部面のうちの何れかの一方の全面に熱を提供することと、前記上部面、及び下部面のうちの他方の一部に熱を提供することを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、前記素子の構成要素は、前記上部面、及び下部面の中の一部に熱が提供される面の上に形成され得る。
【0018】
一実施形態において、前記プラスチック基板を素子に適用する工程は、前記プラスチック基板の上に素子の構成要素を形成する工程と、前記プラスチック基板が適用された前記素子を熱処理する工程と、を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、前記プラスチック基板を素子に適用する工程は、前記熱処理されたプラスチック基板の上にトランジスターを形成する工程を含むプラスチック基板を有する素子の形成方法。
【0020】
一実施形態において、前記プラスチック基板を素子に適用する工程は、前記プラスチック基板の上にコーティング膜を形成する工程、及び前記コーティング膜を熱処理する工程を含むことができる。
【0021】
一実施形態において、前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板と隣接した領域に配置された温度コントロールパネルによって熱が提供されることを含むことができる。この場合、前記温度コントロールパネルと前記プラスチック基板との間の距離は10cm以内であるプラスチック基板を有することができる。例えば、前記温度コントロールパネルと前記プラスチック基板は、密着されて配置され得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によると、プラスチック基板に熱を提供することによって、前記プラスチック基板の均一性が向上する。又は、前記プラスチック基板の熱安全性が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法を説明するための工程模式図である。
【図2】本発明の一実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の実施形態による工程温度を示すグラフィックである。
【図5】本発明の実施形態による工程温度を示すグラフィックである。
【図6】本発明の実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法が説明される。説明される実施形態は、本発明の技術的思想を当業者が容易に理解することができるように提供されるものであるが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0025】
本発明の実施形態は本発明の技術的思想及び範囲の内で他の形態に変形され得る。本明細書で、‘及び/又は’は、前後に羅列した構成要素の中に、少なくとも1つを含む意味で使われる。本明細書で、一構成要素が他の構成要素の‘上に’位置するということは、一構成要素の上に他の構成要素が直接位置することを意味だけでなく、前記一構成要素の上に第3の構成要素がさらに位置することをも意味する。本明細書の各構成要素、又は部分等を第1、第2等の表現を使用して示したが、これは明確な説明のために使われた表現であり、これによって限定されるものではない。図面に表現された構成要素の厚さ、及び相対的である厚さは本発明の実施形態を明確に表現するために過大に表記されたものである。
【0026】
以下、図1、図2、及び図4ないし図6を参照して、本発明の一実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法が説明される。図1は、本発明の一実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法を説明するための工程模式図であり、図2は、図1の一部構成要素を拡大した斜視図である。図4及び図5は、本発明の実施形態による工程温度を示すグラフィックである。図6は、本発明の一実施形態によるプラスチック基板を有する素子の形成方法を説明するためのフローチャートである。
【0027】
図1及び図6を参照すると、プラスチック基板200が用意される(S1)。前記プラスチック基板200は、300℃未満のガラス転位温度Tgを有するポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、及びサイクリックオレフィン共重合体(COC)から選択された少なくとも1つのポリマーを含むことができる。これとは異なりに、前記プラスチック基板200は、300℃以上のガラス転位温度Tgを有するポリイミド(PI)、ポリノルボネン(PNB)、及びポリアリ−ルライト(PAL)の中で選択された少なくとも1つのポリマーを含むことができる。
【0028】
前記プラスチック基板200を形成する工程は、熱処理工程を含むことができる。便宜上、前記プラスチック基板200の形成のための熱処理工程を形成熱処理工程と称する。前記形成熱処理工程は、前記プラスチック基板200を構成するポリマーを重合するための工程であり得る。すなわち、前記形成熱処理工程は、前記プラスチック基板200が最終的に形成される移転、及び/又は形成される過程に実行される熱処理工程である。
【0029】
前記プラスチック基板200が支持台100によって支持される。前記支持台100は、前記プラスチック基板200に効果的に熱を提供するための位置に前記プラスチック基板200を配置するための手段であり得る。したがって、前記支持台100の形態は、示したことと異なる形態に変形され得る。又は、前記支持台100は、ローラ形態に、前記プラスチック基板200を移動させる手段でも作用することができる。この場合、前記プラスチック基板200は、連続工程(roll−to−roll)によって処理され得る。
【0030】
前記支持台100によって支持されたプラスチック基板200の上部面、及び下部面に隣接した領域に温度コントロールパネル111、112が配置される。前記温度コントロールパネル111、112は、前記プラスチック基板200の下部面の下に配置される下部温度コントロールパネル111、及び前記プラスチック基板200の上部面の上に配置される上部温度コントロールパネル112を含むことができる。前記下部温度コントロールパネル111は、前記プラスチック基板200の下部面に熱を提供するように構成され、前記上部温度コントロールパネル112は、前記プラスチック基板200の上部面に熱を提供するように構成される。これと異なりに、前記上部及び下部温度コントロールパネル111、112は、前記プラスチック基板200を冷却させるように構成され得る。すなわち、前記温度コントロールパネル111、112は、前記プラスチック基板200の処理温度を制御する手段であり得る。
【0031】
図2を参照すると、前記上部及び下部温度コントロールパネル111、112は、板形状であり得る。したがって、前記上部及び下部温度コントロールパネル111、112によって覆われる前記プラスチック基板200の全面が同時に加熱、又は冷却され得る。示したこととは異なりに、前記上部及び下部温度コントロールパネル111、112の中の何れか1つは省略され得る。
【0032】
前記下部温度コントロールパネル111と前記プラスチック基板200との間の間隔d1は、10cm以下であり得る。又は、前記上部温度コントロールパネル112と前記プラスチック基板200との間の間隔d2は、10cm以下であり得る。前記間隔d1、d2によって前記プラスチック基板200に提供される温度が効率的に制御され得る。
【0033】
前記上部及び下部温度コントロールパネル111、112によって前記プラスチック基板200に対する熱処理工程が実行される(S2)。前記熱処理工程は、前記プラスチック基板200が形成された以後に実行される工程として、前記形成熱処理工程と区別された別の熱処理工程を示す。便宜上、前記プラスチック基板200の形成以後に実行される熱処理工程を形成後熱処理工程と称する。
【0034】
前記形成後熱処理工程は、前記プラスチック基板200を加熱することを含むことができる。前記熱処理工程は、前記温度コントロールパネル111、112の温度を上昇させることによって実行され得る。前記熱処理工程は、前記プラスチック基板200にTg−150℃以上ないしTg+100℃以下の熱を提供することを含むことができる。ここで、Tgは、前記プラスチック基板200に含まれたポリマーのガラス転位温度を示す。
【0035】
前記プラスチック基板200は、前記プラスチック基板200に含まれたポリマーの種類にしたがって異なるの温度に加熱され得る。例えば、前記プラスチック基板200が300℃未満のガラス転位温度Tgを有するポリマーを含む場合、前記プラスチック基板200は、Tg−100℃以上ないしTg+100℃以下の温度に加熱され得る。他の例えば、前記プラスチック基板200が300℃以上ないしのガラス転位温度Tgを有するポリマーを含む場合、前記プラスチック基板200は、Tg−150℃以上ないしTg℃以下の温度に加熱され得る。
【0036】
図1及び図2に示した通り、前記プラスチック基板200は、前記支持台100の上で前記温度コントロールパネル111、112との間を連続的に通過する連続工程(roll−to−roll)によって熱処理され得る。
【0037】
これとは異なりに、バッチ(batch)工程を使用して、前記プラスチック基板200の形成後に、熱処理工程が実行され得る。図3を参照すると、前記プラスチック基板200と接する温度コントロールパネル113、114が提供される。前記温度コントロールパネル113、114は、前記プラスチック基板200の上部面及び下部面の全面を覆うように配置され得る。前記温度コントロールパネル113、114は、前記プラスチック基板200と密着され得る。前記温度コントロールパネル113、114は、圧搾方式によって前記プラスチック基板200と密着させるか、或いはボルト等の外部構成要素によって前記プラスチック基板200と密着され得る。すなわち、前記温度コントロールパネル113、114と前記プラスチック基板200との間の距離d3、d4は、実質的に0であり得る。
【0038】
一実施形態において、前記温度コントロールパネル113、114は、オープン型、すなわち、前記プラスチック基板200の上部面及び下部面の中の他面の一部だけを覆う形態であり得る。これとは異なりに、前記温度コントロールパネル113、114の中で1つは閉鎖型、すなわち、前記プラスチック基板200の上部面及び下部面の中で一面の全面を覆う形態であり、他の1つは、オープン型であり得る。前記オープン型温度コントロールパネル113によって露出された前記プラスチック基板200の面は、以後に素子工程が進行される面であり得る。これとは異なりに、前記配置工程に使われる温度コントロールパネル113、114は、全て閉鎖型であり得る。
【0039】
図4を参照すると、前記プラスチック基板200は、所定の時間tの間に加熱され得る。前記プラスチック基板200が加熱される時間tは、10分以上8時間以下の範囲で選択され得る。図4に示した通り、前記プラスチック基板200は、連続的に加熱され得る。例えば、前記プラスチック基板200に熱が提供される時間は、連続的であり得る。一実施形態において、前記プラスチック基板200に一定の温度の熱が持続的に提供され得る。これとは異なりに、前記プラスチック基板200に提供される熱は、温度所定の範囲内で変動できる。
【0040】
図5を参照すると、前記プラスチック基板200は、不連続的に加熱され得る。例えば、前記プラスチック基板200を加熱することと、冷却することが交互に複数回実行され得る。一実施形態において、前記プラスチック基板200を加熱することと、冷却することは、2回ないし10回反復され得る。この時、不連続的な加熱時間の総合計(t1+t2+t3+t4)は、10分以上8時間以下であり得る。前記プラスチック基板200を加熱することは、前記温度コントロールパネル111、112の温度を上昇させることによって実行され得る。前記プラスチック基板200を冷却させることは、前記温度コントロールパネル111、112の温度を下降させること、又は前記プラスチック基板200を前記温度コントロールパネル111、112から離隔させることを含むことができる。前記温度コントロールパネル111、112の温度を下降させることによって、前記プラスチック基板200が冷却される場合、前記温度コントロールパネル111、112の上部及び下部に加熱と冷却器を各々設置して使用することも可能である。
【0041】
前記プラスチック基板200の形成後の熱処理工程によって、前記プラスチック基板200の物理的特性、及び熱安全性が向上することができる。例えば、前記形成後熱処理工程によって、前記プラスチック基板200のポリマー間の不純物(例えば、揮発性ガス)が除去され得る。これによって、前記ポリマーの充填密度が向上することができる。他の例えば、前記形成後熱処理工程によって、前記プラスチック基板200に含まれたポリマーが再配列され得る。これによって、前記プラスチック基板200の均一度が向上することができる。前記実施形態を含む多様な要因によって、前記プラスチック基板200の均一性、及び熱的安全性が向上することができる。前記形成後熱処理工程は、前記プラスチック基板200に素子の他の構成要素が形成される以前に実行されるので、前記他の構成要素は、特性が向上したプラスチック基板200の上に形成され得る。これに伴い、以後形成される他の構成要素の物理的、及び電気的特性が共に向上することができる。
【0042】
前記熱処理されたプラスチック基板200が素子に適用される(S3)。前記素子は、薄膜トランジスターTFT、太陽電池、ディスプレー、及びタッチスクリーンを含む多様な素子の中で選択された少なくとも1つに適用され得る。前記プラスチック基板200の適用は、前記プラスチック基板200の上に他の構成要素を形成することと他の構成要素が形成された素子内に前記プラスチック基板200を導入させることを含む。これに加えて、前記プラスチック基板200の適用は、前記プラスチック基板200に所定の構成要素を形成して所定の素子を形成した後、形成された素子を他の構成要素に結合させることも含む。
【0043】
前記適用の以後、前記素子に適用されたプラスチック基板200に対して熱処理工程が実行され得る(S4)。先の熱処理工程との区別のために、前記素子に適用されたプラスチック基板200に対する熱処理工程を素子熱処理工程に称する。前記素子熱処理工程は、例えば、前記プラスチック基板200の上にコーティング膜を形成した後、前記コーティング膜が形成された前記プラスチック基板200を熱処理することを含むことができる。前記コーティング膜は、有機材料、無機材料、又はそれらの組合を含み、前記プラスチック基板200の物理的、及び/又は電気的特性を改善するための膜であり得る。他の例えば、前記素子熱処理工程は、前記プラスチック基板200の上にトランジスターを形成する工程で前記トランジスターの構成要素の形成のために前記プラスチック基板200に熱が加えられることを含むことができる。前記素子熱処理工程は、前記素子に適用されたプラスチック基板200に対して実行されることと、前記素子に適用される前のプラスチック基板200に実行される前記形成後熱処理工程と区別される。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施形態によって、形成されたプラスチック基板の向上した特性が説明される。本実施例では、大きさが25×25cm2であるポリアリ−ルライトがプラスチック基板として使われた。本実施例で、前記プラスチック基板は、図1に示した装置によって熱処理された。3個のプラスチック基板を準備して、この中で1つは、比較グループで、このプラスチック基板(以下、基板A)に対しては形成後熱処理工程を実行しなかった。他の2つ中1つのプラスチック基板(以下、基板B)は、220℃の温度条件の下で約2時間にわたって形成後熱処理した。前記基板Bに対する加熱は、前記2時間の間に一定に持続した。具体的に、図4に示した通り、前記基板Bに220℃の熱を持続的に提供した。他の2つ中他の1つのプラスチック基板(以下、基板C)に対しては、220℃で形成後熱処理工程が実行された。具体的に、図5に示した通り、加熱工程と冷却工程が交互に反復して実行された。前記基板Cに対して8回の加熱工程が実行され、前記加熱工程が実行された総時間は、2時間である。
【0045】
上記の通りに基板A、B、及びCを10×10mm2に切断する。前記切断された基板の線型熱膨張係数CTEを線型熱膨張係数を測定する装置であるQ−400を利用して測定した。測定結果、前記基板Aは、88〜110ppm/℃の線型熱膨張係数を示す。反面、本発明の実施形態によって処理された基板B、及びCは、各々74〜88ppm/℃、及び74〜79ppm/℃の線型熱膨張係数を示した。すなわち、本発明の実施例によって、前記基板の熱膨張特性が向上したことを知られる。
【0046】
これに加えて、本発明の実施形態の他の効果を説明するための他の実施例が説明される。本実施例ではポリイミド基板がプラスチック基板として使われた。先の実施例と同じように、前記プラスチック基板の中の一部(基板A)に対しては、本発明の実施形態による形成後熱処理工程を実行しない。前記プラスチック基板の中の他の一部(基板B)に対しては、図3を参照して説明した通り形成後熱処理工程を実行した。前記基板Bに対しては、図4に示したことのように連続的が熱が提供されていた。前記プラスチック基板の中にその他の一部(基板C)に対しては、図2を参照して説明した通り形成後熱処理工程を実行した。前記基板B、及びCに対する形成後熱処理工程は、各々8時間にわって実行された。
【0047】
前記基板A、B、及びCを10×10mm2の大きさに切断した後、切断された前記基板A、B、及びCに150℃の熱を提供する。そして、熱が提供された前記基板A、B、及びCの寸法変化率を時間によって測定する。測定された前記基板A、B、及びCの寸法変化率は、次の通りである。
【0048】
【表1】

【0049】
前記測定結果のように、本発明の実施形態によって処理された基板(基板B、及びC)の寸法変化率は、処理されない基板Aの寸法変化率より低い。すなわち、本発明の実施形態によって処理されたプラスチック基板の熱的安全性が向上したことを知ることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 支持台
111、112、113、114 温度コントロールパネル
200 プラスチック基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のガラス転位温度Tgを有するポリマーを含むプラスチック基板を形成する工程と、
前記プラスチック基板を熱処理する工程と、
前記熱処理されたプラスチック基板を素子に適用する工程と、を含み、
前記熱処理する工程は、Tg−150℃からTg+100℃までの範囲内にプラスチック基板を加熱することを特徴とする、プラスチック基板を有する素子の形成方法。
【請求項2】
前記プラスチック基板は、300℃未満のガラス転位温度Tgを有するポリマーを含み、
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板をTg−100℃からTg+100℃までの範囲内に加熱することを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項3】
前記プラスチック基板は、300℃以上のガラス転位温度Tgを有するポリマーを含み、
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板をTg−150℃からTgまでの範囲内に加熱することを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項4】
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、10分から8時間までの範囲内の時間にわたって実行されることを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項5】
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、
前記プラスチック基板を加熱する加熱工程と、
前記プラスチック基板を冷却する冷却工程と、を含み、
前記加熱工程と前記冷却工程は、交互に複数回反復されることを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項6】
前記反復される加熱工程が実行される合計時間は、10分から8時間までの範囲内であることを特徴とする、請求項5に記載の形成方法。
【請求項7】
前記加熱工程と前記冷却工程は、2回ないし10回反復されることを特徴とする、請求項5に記載の形成方法。
【請求項8】
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板を連続的に加熱することを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項9】
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、前記プラスチック基板の上部面及び下部面のうちの少なくとも一方の全面を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項10】
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、
前記プラスチック基板の上部面及び下部面のうちの何れか一方の全面を加熱することと、
前記上部面及び下部面のうちの他の一方の一部を過熱すること、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の形成方法。
【請求項11】
前記上部面、及び下部面のうちの一部に熱が提供される面の上に前記素子の構成要素が形成されることを特徴とする、請求項10に記載の形成方法。
【請求項12】
前記プラスチック基板を素子に適用する工程は、前記プラスチック基板の上に素子の構成要素を形成し、及び前記プラスチック基板に適用された前記素子を熱処理することを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項13】
前記プラスチック基板を素子に適用する工程は、前記プラスチック基板の上にトランジスターを形成することを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項14】
前記プラスチック基板を素子に適用する工程は、
前記プラスチック基板の上にコーティング膜を形成する工程と、
前記コーティング膜を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の形成方法。
【請求項15】
前記プラスチック基板を熱処理する工程は、
前記プラスチック基板と隣接した領域に配置された温度コントロールパネルによって、熱が提供される工程を含み、
前記温度コントロールパネルと前記プラスチック基板との間の距離は、10cm以内である、ことを特徴とする請求項1に記載の形成方法。
【請求項16】
前記温度コントロールパネルと前記プラスチック基板は、密着されて配置されるプラスチック基板を有する請求項15に記載の素子の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−116935(P2011−116935A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164883(P2010−164883)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】