説明

プラスチック製製品

【課題】 従来のプラスチック製製品、特に浴槽にあっては保温についての特性がなく電気やガスのエネルギーを用いることで保温をしなければならず、それに貯水槽等も加えて抗菌性に乏しく衛生的な面での保全がなし得なかったという点である。
【解決手段】 外面もしくは内面の一部または全面に、バインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることとし、酸化珪素を30〜70%、酸化アルミニウムを10〜30%、酸化カルシウムを3〜10%、酸化クロムを0.1〜0.5%、酸化マンガンを0.05〜0.2%、酸化鉄を3〜9%、酸化コバルトを0.05〜2%、酸化カリウムを0.4〜2%、酸化ナトリウムを1〜6%、酸化マグネシウムを0.4〜2%の割合で配合し、残りを通常の不純物としたものを一旦粉砕し、水と混練して粘土状として塊状とし、乾燥後に焼成したものを粉状としてあることとし、トルマリンを10〜70%の割合で添加配合してあることとし、酸化チタンを5〜30%の割合で添加配合してあることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチック製製品に関し、特に湯水を貯めて使用することに用いられる比較的大型のプラスチック容器、例えば浴槽や貯水槽その他の製品の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽、特にユニットバスはプラスチック、それも強化プラスチック(FRP)により成形され、浴室の所定位置に設置固定される。また、貯水槽は特にマンションをはじめとする高層住宅の屋上等において設置され、一旦上水道水をポンプで汲み上げ貯めた水を各室に配給する構成となっている。
【0003】
ユニットバスの場合は、西洋式のバスタブとは異なり、使用者ごとに湯を流し汲み代えるものではなく、一旦貯めた湯を家族や同居人が何度も利用するシステムとなっており、ユニットバスそれ自体も保温を考慮してはいるが、通常は保温加熱装置によって貯めた湯が冷めることのないようにしている。
【0004】
また、マンション等の高層住宅の屋上等に設置される貯水槽は各室ごとへ上水道設備から汲み上げを行なうポンプのパワーや経費を抑えるとともに、地震等の緊急時における水源確保の意味合いもあるが、格別には貯められた水への衛生管理は配慮されず、時として無害とされる抗菌剤が投入される程度である。
【特許文献1】特願2002−269431号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、従来のプラスチック製製品、特に浴槽にあっては保温についての特性がなく電気やガスのエネルギーを用いることで保温をしなければならず、それに貯水槽等も加えて抗菌性に乏しく衛生的な面での保全がなし得なかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本発明に係るプラスチック製製品は外面もしくは内面の一部または全面に、バインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とし、前記したセラミックスは、酸化珪素を30〜70%、酸化アルミニウムを10〜30%、酸化カルシウムを3〜10%、酸化クロムを0.1〜0.5%、酸化マンガンを0.05〜0.2%、酸化鉄を3〜9%、酸化コバルトを0.05〜2%、酸化カリウムを0.4〜2%、酸化ナトリウムを1〜6%、酸化マグネシウムを0.4〜2%の割合で配合し、残りを通常の不純物としたものを一旦粉砕し、水と混練して粘土状として塊状とし、乾燥後に焼成したものを粉状としてあることを特徴とし、前記したセラミックスには、トルマリンを10〜70%の割合で添加配合してあることを特徴とし、前記したセラミックスには、酸化チタンを5〜30%の割合で添加配合してあることを特徴とし、前記したセラミックスの焼成温度は100℃〜900℃であることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係るプラスチック製製品は浴槽を対象としてあることを特徴とし、浴槽を対象として、その外側面から底面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着し、かつ、その対応する壁面、床面にも同様のバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とし、貯水槽を対象とし、少なくともその内面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とし、浴室の床面を対象とし、その表面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とし、便座を対象とし、その外表面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とし、トイレットペーパーのホルダーカバーの外表面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
上記した構成としたことによって、浴槽や貯水槽をはじめとするプラスチック製製品にあって、塗着されたセラミックス粉体の特性から遠赤外線の放射によって保温性が大きく向上し、格別なエネルギーを消費することなく湯温を保つことができ、また、滅菌、殺菌を含めた意味での抗菌作用によって容器内に収容されている湯水及び製品容器自体を衛生的に保持することができることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面で示す実施例のように構成することで、前記した効果を得ることができるように実現した。
【実施例1】
【0010】
次に、本発明の好ましい実施の例を図面を参照して説明する。図1は対象を浴槽とした場合の部分断面図、図2は対象を貯水槽とした場合の部分断面図、図3は塗着工程を示すフローチャート図である。
【0011】
これらの図にあって1はプラスチック、それも強化プラスチック(FRP)で成形された浴槽を示している。この浴槽1は略20cm程度の空隙Sを隔てて床材2と、図示しないスペーサーを介して設置固定される。
【0012】
この実施例にあって浴槽1の外面、特に底面から側面にかけての部分における外面にはセラミックス粉体を主成分としたセラミックス層3が塗着されており、このセラミックス層3は空隙Sを隔てて対向する床材2の表面にも形成されている。
【0013】
ここにおけるセラミックス層3は原料粉として主成分となる酸化珪素を約40%以上、酸化アルミニウムを20%とし、両者で全体の60%以上とする。これに酸化カルシウムを約6%、酸化鉄(Fe23)を約6%、そして酸化ナトリウムを約3%配合し、酸化クロムを約0.3%、酸化マンガンを約0.1%、酸化コバルトを約0.1%、酸化カリウムを約1.0%、酸化マグネシウムを約1.0%配合し、残りに通常の不純物のほか、必要に応じてトルマリン及び酸化チタンをマイナスイオン発生剤として添加配合した。
【0014】
この原料粉は複数の硬質なアルミナボールと共にボールミルに入れ、回転させることで粉砕する。この粉砕された原料粉はフルイによって粒子ごとの選定をするが、このフルイで選定不能な細かいものは水に溶かしてけん濁液とし、沈殿させて得ることができる。
【0015】
この段階で粉体をバインダー(接着剤)に投入混練して使用することもできるが、セラミックスとしての特性をさらに高めるため、一担成形後に再度粉砕して使用することもできる。この場合には前記した選定された粉体を混練装置によって水とともに練り上げ、粘土状とし、この粘土状としたものを適宣サイズの塊状に塑形する。
【0016】
この塊状に塑形したものを乾燥させて後に焼成することとなるが、酸化珪素の含有量が多い場合には必要温度は高いものとなり、いわゆる磁器となる。この高温による焼成によって乾燥状態の粒子同士が結合して固化することとなる。焼成温度は本実施例では酸化珪素の含有量の多さから900℃近い高温が望まれるが、この焼成温度は原料の配合比率によって変わるものとなる。
【0017】
こうして焼成された物(セラミックス)は、本実施例の場合、非常に原料粒子の結合度が強く、粒子間に残る隙間は少ないものとなっており、水分の浸入等による劣化のおそれはなく、そのまま使用に耐えられるものである。また、セラミックス層3の形成には格別必要はないが、焼成されたセラミックスをそのまま使用する場合には表面の見栄えのために釉薬を塗ることもでき、この場合の釉薬も前記した配合の実施例のもので済むが、焼成前に塗布する場合には酸化珪素の量を減らして溶融温度を下げ、ガラス状となるようにする。
【0018】
前記した釉薬も硬化後は耐衝撃性に優れたものとなり、また、製品表面の粒子反応して接合状態となり、剥離することなく、強制的な削り落としにも耐えるものとなる。
【0019】
前記したセラミックス層3を得るためにはこの成形化されたセラミックスを再度粉砕して粒子結合度のよいセラミックス粉体を得ることとなるが、焼成後の成形状態のセラミックスを身飾品等として装着した場合、着用後略30分の経過でサーモスタットはその温度上昇を示す赤色となり、更に、通常は表出しないピンク色から白色にまで変化した。これは血行が著しく促進されたこと、換言すると有効な遠赤外線が大量に放射されていることを示している。また、痛みを有する患部に貼装したところ、その痛みがやわらぎ、数日の着用で痛みが解消した。
【0020】
さらに、カップや皿等の食器を成形して、飲料や食品を入れたところ、アルコール飲料をはじめ、茶やコーヒー等の嗜好品にあっても味は非常にまろやかとなり、食品の腐敗進行も遅れるものとなった。
【0021】
セラミックス層3を得るためには図3に示す工程のように、まずミルを用いて粉砕し、フルイ分けを行なう。粒子が1.0mm以上の場合は再度粉砕することが望ましい。フルイ分けしたものをさらに粉砕し、微粒子(特に40μ以下が好ましい)を得、その微粒子とバインダー(接着剤)を合わせ混練し、その液体をスプレーで目的部分に噴射することでセラミックス層3を成形する。
【0022】
ここで、前記したセラミックスの粉体(微粒子)を試料として抗菌度を検査したところ、大腸菌、黄色ぶどう球菌に関して短時間で大きな効果が得られた。これはフィルム密着法により、対照区菌数−対数値で計算した(財団法人日本紡績検査協会近畿事業所による)。
【0023】
加えて、前記した試料で白癬菌につき検査をしたところ48時間経過でその数は激減した。この場合、試験片としてポリエチレンフィルムを用い、溶液は0.005%スルホこはく酸ジオクチルナトリウム溶液を用いた(財団法人日本食品分析センター微生物制御課による)。
【0024】
浴槽1の底側面及び床材2の表面にもセラミックス層3を形成することで、そのセラミックス層3からの遠赤外線放射により、浴槽1の保温性は高められ、隙間Sの空気層もその保温効果をさらに増強することとなる。
【0025】
一方、図2として示す4は貯水槽を示し、この貯水槽4の内壁面にセラミックス層3を塗着形成してある。この場合は、セラミックス層3が保有する、殺菌、滅菌をも含めた意味での抗菌作用を応用したもので、比較的長時間に亘り収容されることとなる上水道水を衛生的に保持させることができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の実施例は上記のように構成されている。この実施例にあっては特に湯水を収容するための比較的大型のプラスチック容器について説明しているが、セラミックス粉体の抗菌特性に着目すれば、自動販売機の購入ボタンやパチンコやスロットマシン等の遊技場における遊技機のハンドル、タッチパネル、電話機、浴室床、便座、トイレットペーパーホルダーカバー等々、不特定多数の人々が接触するパートにも応用実施することができ、非常にその実施範囲は広いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】対象を浴槽とした場合の部分断面図である。
【図2】対象を貯水槽とした場合の部分断面図である。
【図3】塗着工程を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0028】
1 浴槽
2 床材
3 セラミックス層
4 貯水槽
S 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面もしくは内面の一部または全面に、バインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とするプラスチック製製品。
【請求項2】
前記したセラミックスは、酸化珪素を30〜70%、酸化アルミニウムを10〜30%、酸化カルシウムを3〜10%、酸化クロムを0.1〜0.5%、酸化マンガンを0.05〜0.2%、酸化鉄を3〜9%、酸化コバルトを0.05〜2%、酸化カリウムを0.4〜2%、酸化ナトリウムを1〜6%、酸化マグネシウムを0.4〜2%の割合で配合し、残りを通常の不純物としたものを一旦粉砕し、水と混練して粘土状として塊状とし、乾燥後に焼成したものを粉状としてあることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製製品。
【請求項3】
前記したセラミックスには、トルマリンを10〜70%の割合で添加配合してあることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製製品。
【請求項4】
前記したセラミックスには、酸化チタンを5〜30%の割合で添加配合してあることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラスチック製製品。
【請求項5】
前記したセラミックスの焼成温度は100℃〜900℃であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載のプラスチック製製品。
【請求項6】
浴槽を対象としてあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のプラスチック製製品。
【請求項7】
浴槽を対象として、その外側面から底面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着し、かつ、その対応する壁面、床面にも同様のバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック製製品。
【請求項8】
貯水槽を対象とし、少なくともその内面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のプラスチック製製品。
【請求項9】
浴室の床面を対象とし、その表面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のプラスチック製製品。
【請求項10】
便座を対象とし、その外表面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のプラスチック製製品。
【請求項11】
トイレットペーパーのホルダーカバーの外表面にバインダーに混ぜ込んだセラミックス粉体を塗着してあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のプラスチック製製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−45346(P2006−45346A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228020(P2004−228020)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(398042956)宗教法人總泉寺 (2)
【Fターム(参考)】