説明

プラズマ光源とプラズマ光発生方法

【課題】2つの同軸状電極内に発生した面状放電を同軸状電極間の管状放電に繋ぎ変える電流路の繋ぎ変えの安定性を高め、プラズマ光源の出力、安定性、信頼性を高めることができるプラズマ光源とプラズマ光発生方法を提供する。
【解決手段】2つの同軸状電極a内の中心電極bとガイド電極cとの間に発生した面状放電2を同軸状電極間の管状放電4に繋ぎ変える「繋ぎ変え時点」が、同軸状電極aに対する放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EUV放射のためのプラズマ光源とプラズマ光発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代半導体の微細加工のために極端紫外光源を用いるリソグラフィが期待されている。リソグラフィとは回路パターンの描かれたマスクを通して光やビームをシリコン基盤上に縮小投影し、レジスト材料を感光させることで電子回路を形成する技術である。光リソグラフィで形成される回路の最小加工寸法は基本的には光源の波長に依存している。従って、次世代の半導体開発には光源の短波長化が必須であり、この光源開発に向けた研究が進められている。
【0003】
次世代リソグラフィ光源として最も有力視されているのが、極端紫外(EUV:Extreme Ultra Violet)光源であり、およそ1〜100nmの波長領域の光を意味する。以下、この領域の光をプラズマ光又は単にEUVと呼ぶ。
プラズマ光(EUV)はあらゆる物質に対し吸収率が高く、レンズ等の透過型光学系を利用することができないので、反射型光学系を用いることになる。またこの領域の光学系は非常に開発が困難で、限られた波長にしか反射特性を示さない。
【0004】
現在、13.5nmに感度を有するMo/Si多層膜反射鏡が開発されており、この波長の光と反射鏡を組み合わせたリソグラフィ技術が開発されれば30nm以下の加工寸法を実現できると予測されている。さらなる微細加工技術の実現のために、波長13.5nmのリソグラフィ光源の開発が急務であり、高エネルギ密度プラズマからの輻射光が注目されている。
【0005】
光源プラズマ生成はレーザー照射(LPP:Laser Produced Plasma)方式と、パルスパワー技術によって駆動されるガス放電(DPP:Discharge Produced Plasma)方式とに大別できる。DPPは、投入した電力が直接プラズマエネルギに変換されるので、LPPに比べて変換効率で優位であるうえに、装置が小型で低コストという利点がある。
【0006】
ガス放電(DPP)方式の光源プラズマ生成手段として、特許文献1〜3が既に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−147231号、「プラズマ光源とプラズマ光発生方法」
【特許文献2】特開2011−54729号、「プラズマ光源」
【特許文献3】特開2011−54730号、「プラズマ光源」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に開示されたプラズマ光源は、1対の対向する同軸状電極間でプラズマを封じ込める構造のものであり、2つの同軸状電極から進展する面状放電(電流シート)を、同軸状電極間の中央部で衝突させ、かつ電流路の繋ぎ変えにより、プラズマの封じ込めを行うものである。
【0009】
図1は、電流路の繋ぎ変えの模式図であり、(A)は繋ぎ変え直前、(B)は繋ぎ変え直後である。
この図に示すように、繋ぎ変え直前(A)には、各同軸状電極a内の中心電極bとガイド電極cとの間で面状放電2が行われ、繋ぎ変え直後(B)には、2つの同軸状電極a内の2つの中心電極b間で管状放電4が行われる必要がある。なおこの図で3はプラズマである。
【0010】
しかし、かかるプラズマ光源を実際に製作し試験した結果、電流路の繋ぎ変えが生じにくく、電流路の繋ぎ変え動作を安定させ、プラズマ光源の出力、安定性、信頼性をさらに向上させたいという要望があった。
【0011】
本発明は、かかる要望を満たすために創案したものである。すなわち、本発明の目的は、2つの同軸状電極内に発生した面状放電を同軸状電極間の管状放電に繋ぎ変える電流路の繋ぎ変えの安定性を高め、プラズマ光源の出力、安定性、信頼性を高めることができるプラズマ光源とプラズマ光発生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、対向配置された1対の同軸状電極と、該同軸状電極内にプラズマ媒体を供給しかつプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、を備え、
前記同軸状電極は、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の末端部間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、
前記中心電極は、前記軸線上に位置し、かつそれぞれの先端部が互いに間隔を隔てて対向しており、
さらに、前記1対の中心電極の末端部に極性を反転させた放電電圧を印加して、中心電極とガイド電極の間にそれぞれ面状放電を発生させ、該面状放電により1対の中心電極間の中間位置に単一のプラズマを形成し、次いで前記面状放電を1対の中心電極間の管状放電に繋ぎ変えて前記プラズマを封じ込めるプラズマ封じ込み磁場を形成するプラズマ制御装置を備えるプラズマ光源であって、
前記繋ぎ変え時点は、前記放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定されている、ことを特徴とするプラズマ光源が提供される。
【0013】
また本発明によれば、対向配置された1対の同軸状電極と、該同軸状電極内にプラズマ媒体を供給しかつプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、を備え、
前記同軸状電極は、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の末端部間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、
前記中心電極を、前記軸線上に位置し、かつそれぞれの先端部を互いに間隔を隔てて対向させ、
前記1対の中心電極の末端部に極性を反転させた放電電圧を印加して、中心電極とガイド電極の間にそれぞれ面状放電を発生させ、該面状放電により1対の中心電極間の中間位置に単一のプラズマを形成し、次いで前記面状放電を1対の中心電極間の管状放電に繋ぎ変えて前記プラズマを封じ込めるプラズマ封じ込み磁場を形成するプラズマ光発生方法であって、
前記繋ぎ変え時点を、前記放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定する、ことを特徴とするプラズマ光発生方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の装置及び方法によれば、2つの同軸状電極内に発生した面状放電を同軸状電極間の管状放電に繋ぎ変える「繋ぎ変え時点」が、各同軸状電極に対する放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定されているので、各同軸状電極の中心電極はそれぞれ印加された放電電圧の極性(+又は−)を維持しており、繋ぎ変え時点において両方の面状放電に繋ぎ変え方向に順方向の電位差があるので、繋ぎ変えがスムーズに行なわれる。
従って、電流路の繋ぎ変えの安定性を高め、プラズマ光源の出力、安定性、信頼性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電流路の繋ぎ変えの模式図である。
【図2】本発明によるプラズマ光源の実施形態図である。
【図3】本発明による放電電圧と放電電流の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
図2は、本発明によるプラズマ光源の実施形態図である。なお、この図は、代表的な放電回路図も示している。
この図において、本発明のプラズマ光源は、1対の同軸状電極10及び放電環境保持装置20を備える。
【0018】
1対の同軸状電極10は、対称面1を中心として対向配置されている。
各同軸状電極10は、棒状の中心電極12、管状のガイド電極14及びリング状の絶縁体16からなる。
【0019】
棒状の中心電極12は、単一の軸線Z−Z上に延びる導電性の電極である。中心電極12は、軸線Z−Zに対して線対称の外周面を有する。
【0020】
管状のガイド電極14は、軸線Z−Zに対して回転対称に構成されることが望ましく、中心電極12を一定の間隔を隔てて囲み、その間にプラズマ媒体を保有するようになっている。
プラズマ媒体は、Xe,Sn,Li等のガスであることが好ましい。
また、ガイド電極14の形状は回転対称に限られず、例えば長方形でもよい。
【0021】
リング状の絶縁体16は、中心電極12とガイド電極14の末端部間に位置する中空円筒形状の電気的絶縁体であり、中心電極12とガイド電極14の末端部間を電気的に絶縁する。
なお、絶縁体16は、本実施形態では、軸線Z−Zに対して回転対称であるが、本発明はこの形状に限定されず、ガイド電極14が長方形のときは絶縁体16も長方形でもよい。
【0022】
上述した1対の同軸状電極10の各中心電極12は、同一の軸線Z−Z上に位置し、かつそれぞれの先端部が互いに間隔を隔てて対向している。
【0023】
放電環境保持装置20は、同軸状電極10内にプラズマ媒体を供給し、かつプラズマ発生に適した温度及び圧力に同軸状電極10を保持する。プラズマ発生に適した温度は、例えば0〜300℃であり、プラズマ発生に適した圧力は、例えば1〜10×10−6torrの真空度である。
放電環境保持装置20は、例えば、真空チャンバー22、排気装置24、ガス供給系、温度調節器、及びプラズマ媒体供給装置により構成することができる。なお、真空チャンバーと排気装置は必須であるが、ガス供給系、温度調節器、及びプラズマ媒体供給装置は必須ではない。
【0024】
図2において、本発明のプラズマ光源は、さらにプラズマ制御装置30を備える。
プラズマ制御装置30は、1対の中心電極12の末端部に極性を反転させた放電電圧を印加して、中心電極12とガイド電極14の間にそれぞれ面状放電2を発生させ、面状放電2により1対の中心電極12間の中間位置に単一のプラズマ3を形成し、次いで面状放電2を1対の中心電極12間の管状放電4(図1参照)に繋ぎ変えてプラズマ3を封じ込める磁場を形成する機能を有する。
プラズマ3を形成する「中間位置」は、対称面1上に限定されず、中心電極12先端の中点以外の位置であってもよい。
【0025】
図2において、プラズマ制御装置30は、正電圧源34、負電圧源36及びタイミング制御装置40を有する。
【0026】
正電圧源34は、放電用コンデンサ37bにエネルギを蓄積し、蓄積したエネルギを一方(図で左側)の中心電極12に接地電圧(0V)より高い正の放電電圧を印加する。
負電圧源36は、放電用コンデンサ37bにエネルギを蓄積し、蓄積したエネルギを他方(図で右側)の中心電極12に接地電圧(0V)より低い負の放電電圧を印加する。
【0027】
タイミング制御装置40は、正電圧源34と負電圧源36の印加タイミングを制御する。
【0028】
図2において、正電圧源34と負電圧源36は、それぞれ高電圧蓄電装置37とトリガスイッチ38とを有する。
【0029】
高電圧蓄電装置37は、それぞれ高電圧電源37aと放電用コンデンサ37bを有し、放電用コンデンサ37bに所定の高電圧を充電する。所定の高電圧(充電電圧)は、好ましくは10〜15kVの正電圧又は負電圧である。
【0030】
トリガスイッチ38は、高電圧パルス発生器38a及びギャップスイッチ38bからなり、高電圧パルス発生器38aから高電圧パルスを出力し、ギャップスイッチ38bを作動させるようになっている。また、この例では、抵抗R1,R2を有し、ギャップスイッチ38bを保護している。
【0031】
タイミング制御装置40は、高電圧パルス発生器38aにそれぞれパルス信号を出力し、このパルス信号により高電圧パルス発生器38aを作動させて、ギャップスイッチ38bを作動させる。
このギャップスイッチ38bの作動により、ギャップスイッチ38bが短絡し、放電用コンデンサ37bに充電された高電圧がそれぞれの同軸状電極10に印加される。
【0032】
図2において、1対のガイド電極14は、それぞれ接地(アース)されている。
また、正電圧源34の放電用コンデンサ37bの一端が接地(アース)され、他端はガイド電極14より高い正(+)の高電圧に印加される。
また、負電圧源36の放電用コンデンサ37bの一端が接地(アース)され、他端はガイド電極14より低い負(−)の高電圧に印加される。
正電圧源34と負電圧源36の高電圧は、好ましくは10〜15kVの正電圧又は負電圧である。
【0033】
さらに、タイミング制御装置40は、それぞれの高電圧パルス発生器38aに出力するパルス信号の時間差を設定するタイマー(図示せず)を備え、それぞれの同軸状電極10に放電電圧を印加するタイミングを制御できるようになっている。
【0034】
図2において、トリガスイッチ38と中心電極12の間には、図示しない残留抵抗Rと浮遊インダクタンスLが存在する。上述した電圧印加時の電流波形は、上述した印加電圧V、浮遊インダクタンスL、放電用コンデンサ37bの静電容量C1、及び抵抗R1,R2及び残留抵抗Rによって決定される。
本発明において、電圧印加時の電流波形は、周期Tのサイン波であり、その4分の1周期(T/4)は、0.5〜3μsであることが好ましく、1〜2μsであることが特に好ましい。
【0035】
本発明によれば、同軸状電極10から進展する2つ面状放電2(電流シート)が衝突する衝突タイミング、すなわち同軸状電極10内の面状放電2を1対の同軸状電極10間の管状放電に繋ぎ変える「繋ぎ変え時点」が、放電電圧による放電電流のピーク時点(T/4)より前になるように設定されている。
【0036】
また、上述した放電用コンデンサ37bの静電容量C1と充電電圧により、放電電流のピーク時点を設定してもよい。
また、同軸状電極10の長さ、又は中心電極12の先端間距離により、繋ぎ変え時点を設定してもよい。
【0037】
上述した装置を用い、本発明の方法では、同軸状電極10内の面状放電2を1対の同軸状電極10間の管状放電に繋ぎ変える「繋ぎ変え時点」を、放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定する。
【0038】
図3は、本発明による放電電圧と放電電流の実施例である。
この図は、負電圧源36による同軸状電極10(図1の右側)における中心電極12とガイド電極14間の放電電圧(負極電圧)と放電電流(負極電流)を示している。
【0039】
この図において、横軸は時間(μs)、縦軸(左側)は負極電流(kA)、縦軸(右側)は負極電圧(kV)である。また、図中の実線は負極電流、破線は負極電圧を示している。
【0040】
図2において、タイミング制御装置40により高電圧パルス発生器38aを作動させると、ギャップスイッチ38bが短絡する。
図3におけるパルス信号の出力(0μs)からギャップスイッチ38bの短絡までの時間は、およそ1μsである。
【0041】
図2において、ギャップスイッチ38bが短絡すると、放電用コンデンサ37bに充電された高電圧がそれぞれの同軸状電極10に印加される。
上述したように、電圧印加時の電流波形は、印加電圧V、浮遊インダクタンスL、放電用コンデンサ37bの静電容量C1、及び抵抗R1,R2及び残留抵抗Rによって決定されており、図3における電圧印加時の電流波形(負極電流)は、周期Tのサイン波であり、その4分の1周期(T/4)は、およそ1μsである。
【0042】
図3において、右側の斜線領域Aは、放電電流のピーク時点に一致するように設定した衝突タイミング、すなわち繋ぎ変え時点である。
この場合、放電電流のピーク時点は、中心電極12の電位(図で負極電圧)がほぼゼロから極性が反転するタイミングとなる。このタイミングで正負極(2つの同軸状電極10)から進展する放電電流2が衝突した場合、中心電極12間の電位差がほとんど無い状態となり、電流路の繋ぎ変えが生じにくいため、電流路の繋ぎ変え動作が安定しない。
【0043】
図3において、左側の斜線領域Bは、本発明による衝突タイミング、すなわち繋ぎ変え時点である。
【0044】
本発明によれば、面状放電2の衝突タイミングを放電電流のピーク時点より前、具体的には正負極の中心電極12の電位がそれぞれ正電位、負電位にある状況で衝突するように設定される。
ギャップスイッチ38bが短絡し、放電用コンデンサ37bに充電された高電圧が同軸状電極10へ印加された時点(図3の印加点)から、衝突タイミング(繋ぎ変え時点)までの時間は、例えば、同軸状電極10の長さ、又は中心電極12の先端間距離により、調節することができる。
【0045】
その結果、面状放電2の衝突時に両方の面状放電2に繋ぎ変え方向に順方向の電位差があり、電流繋ぎ変えがスムーズに行なわれる。これにより、光源出力、動作が安定する。
【0046】
上述したように、本発明の装置及び方法によれば、各同軸状電極10内に発生した面状放電2を同軸状電極10間の管状放電に繋ぎ変える「繋ぎ変え時点」が、各同軸状電極10に対する放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定されているので、各同軸状電極10の中心電極12はそれぞれ印加された放電電圧の極性(+又は−)を維持しており、繋ぎ変え時点において両方の面状放電2に繋ぎ変え方向に順方向の電位差があるので、繋ぎ変えがスムーズに行なわれる。
従って、電流路の繋ぎ変えの安定性を高め、プラズマ光源の出力、安定性、信頼性を高めることができる。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0048】
1 対称面、2 面状放電、3 プラズマ、4 管状放電、
10 同軸状電極、12 中心電極、14 ガイド電極、16 絶縁体、
20 放電環境保持装置、22 真空チャンバー、24 排気装置、
30 プラズマ制御装置、34 正電圧源、36 負電圧源、
37 高電圧蓄電装置、37a 高電圧電源、37b 放電用コンデンサ、
38 トリガスイッチ、38a 高電圧パルス発生器、
38b ギャップスイッチ、40 タイミング制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された1対の同軸状電極と、該同軸状電極内にプラズマ媒体を供給しかつプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、を備え、
前記同軸状電極は、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の末端部間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、
前記中心電極は、前記軸線上に位置し、かつそれぞれの先端部が互いに間隔を隔てて対向しており、
さらに、前記1対の中心電極の末端部に極性を反転させた放電電圧を印加して、中心電極とガイド電極の間にそれぞれ面状放電を発生させ、該面状放電により1対の中心電極間の中間位置に単一のプラズマを形成し、次いで前記面状放電を1対の中心電極間の管状放電に繋ぎ変えて前記プラズマを封じ込めるプラズマ封じ込み磁場を形成するプラズマ制御装置を備えるプラズマ光源であって、
前記繋ぎ変え時点は、前記放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定されている、ことを特徴とするプラズマ光源。
【請求項2】
前記プラズマ制御装置は、
放電用コンデンサにエネルギを蓄積し、蓄積したエネルギを一方の中心電極に接地電圧より高い正の放電電圧で印加する正電圧源と、
放電用コンデンサにエネルギを蓄積し、蓄積したエネルギを他方の中心電極に接地電圧より低い負の放電電圧で印加する負電圧源と、
前記正電圧源と負電圧源の印加タイミングを制御するタイミング制御装置と、を有しており、
前記放電用コンデンサの静電容量と放電回路のインダクタンスにより、前記ピーク時点が設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
【請求項3】
前記同軸状電極の長さ、又は前記中心電極の先端間距離により、前記繋ぎ変え時点が設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
【請求項4】
対向配置された1対の同軸状電極と、該同軸状電極内にプラズマ媒体を供給しかつプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、を備え、
前記同軸状電極は、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の末端部間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、
前記中心電極を、前記軸線上に位置し、かつそれぞれの先端部を互いに間隔を隔てて対向させ、
前記1対の中心電極の末端部に極性を反転させた放電電圧を印加して、中心電極とガイド電極の間にそれぞれ面状放電を発生させ、該面状放電により1対の中心電極間の中間位置に単一のプラズマを形成し、次いで前記面状放電を1対の中心電極間の管状放電に繋ぎ変えて前記プラズマを封じ込めるプラズマ封じ込み磁場を形成するプラズマ光発生方法であって、
前記繋ぎ変え時点を、前記放電電圧による放電電流のピーク時点より前に設定する、ことを特徴とするプラズマ光発生方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−62348(P2013−62348A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199272(P2011−199272)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】