説明

プリズム状の型およびシート材を作るための精密ダイヤモンド旋削のピンベースの方法

大量生産可能である、フルキューブコーナピンを特徴とする再帰反射性材料、またはシート材を提供するために用いる、システムおよび対応する方法を開示する。フルキューブコーナの成形は、ダイヤモンド旋削工具の使用によって提供することができる。ダイヤモンド旋削工具は、数多くのピンを同時に製造するために使用され得る。ピンを用いて、三角形またはフルキューブコーナ面の形成を特徴とする型を形成することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年4月9日出願の米国特許出願第12/082,416号の優先権を主張し、その継続出願である。上記出願の全教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
再帰反射材は、日常生活で用いられ、路面、道路標識、車両、および衣類で見られる場合がある。再帰反射材は、光または他の形態の照射を、入射角度にかかわらず発生源に反射し返すように構成される。
【0003】
再帰反射器の1つの一般的なタイプは、キューブコーナすなわちマイクロプリズムの面によって提供される。通常、フルキューブコーナおよび三角キューブコーナの、2つのタイプのキューブコーナが利用される。通常のフルキューブコーナは、3つの正方形ファセットおよび1つの六角形の開口を有する。
【0004】
図1Aは、フルキューブコーナ101の反射特性を図示する。通常のフルキューブコーナは、3つの正方形ファセット103、105および107を有する。フルキューブコーナ101は六角形の開口109を有し、これはまた、入射光が0°の入光角度である場合のフルキューブコーナの有効領域でもある。有効領域内の入射光は、構造的に3つのファセット103、105および107によって反射され、有効領域を再度通過して、入射方向に戻ることができる。
【0005】
フルキューブコーナ101は、入光角度または入射光角度が、0°〜30°の間である用途に最も適していることができる。入射光角度の範囲が0°〜30°であるとき、キューブの内面全体が再帰反射器として機能することができ、六角形の開口全体が、再帰反射領域とされてもよく、実質的に全ての入射光が、3つのファセットの3つの反射によって再帰反射される。したがって、0°〜30°の入射光角度の範囲内で、開口を通してフルキューブコーナに入ってくる任意の入射光102は、入射光102がフルキューブコーナ101に当たることにかかわらず、再帰反射されることができる。これにより、フルキューブコーナは、入射光102と比較して、ほぼ0°〜2°の偏位で、実質的に平行な経路で光104を反射することが可能になる。再帰反射光の偏位は、フルキューブコーナの3つのファセット103、105および107の交差によって形成される90°に関連する任意の偏位に依存することができる。フルキューブコーナ101マイクロストラクチャを含む型で形成される再帰反射物は、ある状況には理想的であることができる。たとえば、フルキューブコーナ再帰反射器は、幹線道路標識、自動車、または衣類等のアイテムに用いられることが意図された再帰反射物に対して、人物がこれらのアイテムからの反射光を入光角度範囲0°〜30°で、0°〜2°の観測角内で見ている可能性があるかもしれない場合に理想的であることができる。
【0006】
これとは対照的に、図1Bは、三角キューブコーナ111の反射特性を図示する。通常の三角キューブコーナは、3つの直角二等辺のファセット113、115および117を含んでいることができ、正三角形の開口を有していることができる。三角キューブコーナは対称ではないため、三角キューブコーナの、0°の入射光が3つのファセット113、115および117によって再帰反射される有効領域は、六辺形領域119によって画定されていることができる。六辺形領域119は、三角キューブコーナの三角形開口のほぼ2/3である。三角形開口の残りの1/3は、冗長領域として公知である。
【0007】
三角キューブコーナ111は、入射光の角度が30°〜60°の範囲である他の用途によりよく適していることができ、この場合、冗長領域は、光の再帰反射で有効になるように付加されることができる。三角キューブコーナの有効領域は、入光角度範囲30°〜60°でのフルキューブコーナのものよりも広くてもよい。三角キューブコーナ101は、再帰反射光が入光角度30°〜60°の範囲で観察されることが望まれる状況に、理想的であることできる。そのような状況の一例は、運転者が大きな頭上標識、幹線道路標識、およびパーソナルセーフティからの反射光を見ることを含むことができる。
【0008】
いずれのタイプのキューブコーナも、1つの方法で、所望の形状のマイクロストラクチャを備える面を有する型によって形成されることができる。Heenanらに対して発行され、Stimsonite Corporationに譲渡された2000年1月18日付米国特許第6,015,214号(特許文献1)(以下、Heenanと呼ぶ)は、再帰反射物を提供するために用いられるマイクロキューブ型を形成するための第1の方法を記載している。本方法は、互いに積み重ねられた数多くのプレートまたはシムに利用する。そして、ダイヤモンド切削工具を用いて、プレートスタックの上面に、一組の90°のV字型溝を形成することができる。そして、交互になったプレートを個々にシフトさせて、フルキューブコーナ構造を提供する。結果として得られた、シフトされたキューブコーナ構造は、3つの露出したファセットを包含するものの、反射性であるために十分に滑らかであるのは3つのファセットのうち2つのみである(Heenanの図3〜5参照)。
【0009】
Heenanは、再帰反射物を作るために用いられる型を形成するための第2の方法をさらに記載している。この第2の方法では、再帰反射キューブコーナの面は、プレートの積み重なりにV字型溝を切削し、180°回転させた交互になったプレートを隣接させることによって形成される。第2の方法でのマイクロキューブの構造は、結果として、露出した非反射面を取り除く(Heenanの図18〜21を参照)。
【0010】
Rowlandらに付与され、Reflexite Corporationに譲渡された2001年3月27日付米国特許第6,206,525号(特許文献2)の図1および2には、ダイヤモンド旋削の方法がさらに図示されている。また、Luらに付与され、Reflexite Corporationにまた譲渡された2003年9月30日付米国特許第6,626,544号(特許文献3)には、非ピンベースのダイヤモンド旋削方法のさらなる図示を見出すことができる。
【0011】
再帰反射物の製作に用いられる型を形成するための第3の公知の方法は、ピンのバンドルの使用を含む。第一に、「ピンバンドル」の個々のピンそれぞれが、所望のキューブコーナの形状に別個に機械加工される。そして、別個に機械加工されたピンは、ひとつに束ねられて、キューブコーナの一群を特徴とするマイクロキューブ面構造を形成する。その後、マイクロキューブ面構造を用いて、型を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,015,214号
【特許文献2】米国特許第6,206,525号
【特許文献3】米国特許第6,626,544号
【発明の概要】
【0013】
概要
ピンバンドルを用いて、型として機能するマイクロキューブ面を提供する従来技術の方法がある。しかし、ピンを個々に製造しなければならず、これは費用と時間がかかる。
【0014】
大量生産可能な再帰反射性シート材を形成するための型を作るための装置および対応する方法を提示する。本装置は、複数のピンを積み重ねるように構成された第1の機械的固定具を含むことができ、ピンによってピンバンドルを形成する。積み重ねられたピンはそれぞれ、正六角形の断面、円形の断面、または矩形の断面を有することができる。また、ピンの断面は、不規則な六角形形状または楕円形状であることができる。機械的固定具に積み重ねられたピンはそれぞれ、全く同じ断面を有していてもいなくてもよい。
【0015】
ダイヤモンド施削技術を用いて、ピンバンドルの上面に3組のV字型溝を形成して、所定の形状を備えるマイクロストラクチャ面を形成することができる。1つまたは2つのダイヤモンド切削工具を、所望の工具角度で構成して、ピンバンドルの上面を成形することができる。所定の形状は、3つの直交する平滑な反射面を含むことができる。所定の形状は、フルキューブコーナであることができ、この場合、3つの工具角度は等しい値を有する。3組の溝のピッチは、ピンの寸法より大きくてもよい。
【0016】
本装置は、複数の成形されたピン(成形された各ピンは同じ所定のキューブコーナ形状を含む)のサブセットを積み重ねて、サブセットピンバンドルを形成するように構成された第2の機械的固定具をさらに含むことができる。
【0017】
本装置はまた、サブセットバンドルを電鋳して型を提供するように構成された電鋳ユニットを含むことができる。
【0018】
ダイヤモンド切削工具は、ピンバンドルの上面の3つの軸に沿って切削を行うようにさらに構成されることができ、3つの各軸は、異なる方向および関連する工具角度を有し、これらは切削のうち少なくとも2つについて異なっていてもよいかまたは同じであってもよい。多数のダイヤモンド切削工具を使用して、ピンバンドルの上面に切削を行うことができる。
【0019】
所望のピンバンドルに、2つまたは3つの切削パターンを適用することができる。各切削パターンは、3組のピッチ、任意の2組の切削間の底角、および工具角度について関連する値を含むことができる。各切削パターンは、違った配向になされることができる。
【0020】
例示的態様では、ピンバンドルに積み重ねられたピンは、六角形の断面を有していることができる。ダイヤモンド施削の切削は、サブセットピンバンドルがキューブコーナを含むようにピンバンドル面上に形成される3組のV字型溝を提供することができ、それぞれが、六角形の開口を有していることができる。キューブコーナは、3つの直交するファセットを含むことができ、各ファセットは、等しい値の多角形の境界を含む。多角形の境界は、正方形、矩形または五角形であることができる。3組の溝のピッチは、ピンの寸法より大きくてもよい。3つの切削のピッチの値は等しくてもよい。
【0021】
ピンバンドル内のピンはまた、矩形の断面および開口を有していることができる。矩形開口は、等しい値の台形の境界を含む第1および第2のファセットと、対称的な多角形境界を有する第3のファセットとを含んでいることができる。
【0022】
別の例示的態様では、ピンバンドル内の積み重ねられたピンは、円形の断面および開口を有していることができる。円形の開口は、90°の中心角を含む同じ円形セクタ境界を有する3つのファセットを含んでいることができる。ピンバンドル内のピンはまた、不規則な六角形または楕円形の断面を有していることができる。当然ながら、これらは単なる例であり、任意のサイズの直径を使用することができる。
【0023】
ダイヤモンド施削による切削は、サブセットピンバンドルがキューブコーナを含むようにピンバンドル面上に形成される3組のV字型溝を提供することができる。各キューブコーナは、円形の開口および3つの直交するファセットを有していることができ、各ファセットは、90°の中心角を有する円形セクタを含む。3組の溝のピッチは、ピンの寸法より大きくてもよい。3つの切削のピッチの値は等しくてもよい。
【0024】
別の例示的態様では、ピンバンドル内の積み重ねられピンは、矩形の断面および開口を有していることができる。ダイヤモンド施削の切削は、サブセットピンバンドルがキューブコーナを含むようにピンバンドル面上に形成される3組のV字型溝を提供することができる。各キューブコーナは、矩形の開口および3つの直交するファセットを有していることができる。2つのファセットは、同じ台形の境界を含んでいることができ、第3のファセットは、二等辺三角形および矩形を含む対称的な多角形形状を有していることができる。対称的な多角形境界はまた、二等辺三角形であることができる。3組の溝のピッチは、ピンの矩形の長さ寸法より大きくてもよい。3つのピッチのうち少なくとも2つは等しくない。
【0025】
ピンバンドル内のピンはまた、不規則な六角形または楕円形の断面を有することができる。円形ピンは、約ミクロン単位のオーダーで直径10ミクロン〜5000ミクロンを有することができる。六角形ピンおよび矩形ピンの寸法は、10ミクロン〜5000ミクロンの値を含むことができる。当然ながら、これらは単なる例であり、任意のサイズの直径を使用することができる。ピンは、ポリエチレン、テレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、真ちゅう、ニッケル、銅、またはアルミニウムのような材料から形成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
同様の参照符合が異なる図全体を通して同じ部品を指す、または異なる参照番号が同じ部品を指すこともある添付の図面に図示されるように、上記は本発明の例示的態様の下記のより詳細な記載から明らかである。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、それよりも例示的態様を図示することに重点を置いている。
【0027】
【図1】図1Aおよび1Bは、それぞれフルキューブコーナの形状寸法および三角形キューブコーナの形状寸法の説明のための例である。
【図2】図2A〜2Dは、例示的態様による六角形ピンおよび対応するピンバンドルの図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、切削スキームの概要図および切削スキームで用いられる切削工具チップの図である。
【図4】図4A、4B、および4Cは、図3に示された切削スキームにより得られたフルキューブコーナ構造を含むピンの、それぞれ平面図および側面図を図示する。
【図5】図5A、5B、および5Cは、図3に示された切削スキームにより得られた星型構造を含むピンの、それぞれ平面図および側面図を図示する。
【図6】図6A、6B、および6Cは、図3に示された切削スキームの第1工程の、それぞれ平面図、側面図および立体斜視図である。
【図7】図7A、7B、および7Cは、図3に示された切削スキームの第2工程の、それぞれ平面図、側面図、立体斜視図および部分拡大図である。
【図8】図8A、8B、8C、および8Dは、図3に示された切削スキームの第3工程の、それぞれ平面図、側面図、立体斜視図および部分拡大図である。
【図9】図9A、9B、および9Cは、図3に示された切削スキームを用いて得られたフルキューブコーナ構造を有するピンを備えるピンバンドルの、それぞれ平面図、側面図および立体斜視図である。
【図10】図10Aおよび10Bは、正方形ファセットを有するキューブコーナを備える、それぞれピンバンドルおよびサブピンバンドルの立体斜視図を図示する。
【図11】図11A〜11Cは、図3に示された切削スキーム処理された円形断面ピンを備えるピンバンドルの、それぞれ平面図および側面図を図示する。
【図12】図12A〜12Cは、異なる寸法および切削仕様の矩形ピンで用いられる切削スキームの概要図を図示する。
【図13】図13A〜13Cは、それぞれ図12A〜12Cの切削スキーム処理された場合に結果として得られるピンバンドルを図示する。
【図14】図14A〜14Cは、それぞれ図12A〜12Cに示される切削スキームを用いて得られるキューブコーナ構造を有するピンを備えるピンバンドルを図示する。
【図15】図15A〜15Cは、それぞれ図14A〜14Cに示されるピンバンドルのy軸に沿った側面図を図示する。
【図16】図16A〜16Cは、それぞれ図14A〜14Cに示されるピンバンドルのx軸に沿った側面図を図示する。
【図17】図13Aに示されるピンバンドルに対するレイトレース結果を図示する。
【図18】図18Aは、図13A〜13Cのキューブコーナ矩形ピン間の比較と、アクティブ領域の三角形キューブコーナに対する0°の配向での入光角度とを図示する。図18Bは、図13A〜13Cのキューブコーナ矩形ピン間の比較と、アクティブ領域の三角形キューブコーナに対する90°の配向での入光角度とを図示する。
【図19A】少なくとも1つの切削が異なる深さ値を含む切削スキーム処理された矩形断面ピンを備えるピンバンドルの立体斜視図である。
【図19B】キューブコーナ矩形ピンを備える、それぞれサブピンバンドルおよびフルバンドルの立体斜視図を図示する。
【図19C】キューブコーナ矩形ピンを備える、それぞれサブピンバンドルおよびフルバンドルの立体斜視図を図示する。
【図19D】図19Cのピンバンドルの側面図を図示する。
【図19E】図19Cのピンバンドルの側面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
以下に例示的態様を記載する。
【0029】
図2〜9は、複数のフルキューブコーナを含む型を提供するために用いられることができる、量産可能な六角形ピンを提供するための例示的態様を図示する。この型を用いて、入光の最適な角度範囲0°〜30°を有する再帰反射物を形成することができる。
【0030】
図2A〜2Dは、それぞれ六角形ピン201および六角形ピンバンドル205の平面図および側面図である。各六角形ピンは、六角形の断面および六角形の開口を含む。図示された例では、六角形ピン201は、垂直すなわちz軸に沿った0.010インチの高さHと、1インチの長さLとを特徴とする。図2Bに描かれた基準軸202は、六角形ピンの6つの側面全てに平行であり、また図2Aに示された六角形の中央ポイントを通る。
【0031】
六角形の断面は、3対の平行辺を含む。1つの平行辺対211Aと211Bは、水平方向に位置付けられ、この対は断面高さH1によって離されている。第2の平行辺対213A-213Bおよび第3の平行辺対215A-215Bは、第1の水平な平行辺対の、それぞれ30°右向きに、そして30°左向きに配向される。第2の平行辺対間の距離はH2によって画定され、一方で第3の平行辺対間の距離はH3によって画定される。本例では、H1=H2=H3=Hであり、ここでHは六角形の内径としても知られる。
【0032】
当然ながら、これは単なる一例であり、六角形ピン201は、結果として得られるキューブコーナ物の所望のサイズに依存して、任意の寸法を取ることができる。たとえば、高さHおよび長さLの六角形が、ミクロン単位のオーダー(たとえば、20〜5,000ミクロン)であってもよい。
【0033】
図2Cおよび2Dに示されるように、六角形ピンをハニカム形式で構成して、ピンバンドル205を提供することができる。一つの例示的態様では、ピンバンドルの長さLBは、0.1×0.1インチ、または1インチの1/8×1/8〜1/4×1/4であってもよいが、当然ながら、任意の寸法のピンバンドルを使用してもよい。図2Cおよび2Dに示されたピンバンドル205中の個々のピンは、ほぼ同一の高さHおよび長さLであるが、ふたたび当然ながら、任意のおよび異なる寸法のピンを用いて、ピンバンドルを形成してもよい。
【0034】
ピンバンドル205は、積み重ねられたピンバンドルの両端に、平面を提供するように構成された固定具209で、ピン201を積み重ねることにより形成されることができる。固定具209は、ピンを適所に保持するように特別に設計された固定具であってもよく、これによって、ピンの全ての基準軸が、約0.1〜1分程度で平行であることを確実することができる。また、固定具209は、機械的クランプの形態、あるいはたとえばフライカッティング機または任意の他のタイプのフライス盤の平らなステージ上でピンまたはピンバンドルを保持するための、当技術分野において公知の任意の他の固定具の形態であってもよい。また、当然ながら、ピンバンドルの上面が最初の工程で切削または機械加工されて、平らに均された面を提供してもよい。ピンバンドルの上面および底面は、ピンバンドルの基準軸に対して、1分の公差で直角であるようにされてもよい。また、基準軸は、ピンバンドルの上面の法線として用いられてもよい。
【0035】
図3Aは、例示的態様においてフルキューブコーナを特徴とするマイクロストラクチャ面を提供するために使用できる切削スキームの説明的な概略図を提供する。図3Aに示される例では、数多くの切削が太線として図示され、3方向になされている(「A」、「B」および「C」)。示されるように、3つの切削A01、A02およびA03は、第1の斜め方向「A」にすることができる。本例では、切削「A」は、図2Aの例のピンの辺215Aおよび215Bに対して平行である。3つの切削B01、B02およびB03は、第2の斜め方向「B」にすることができる。本例では、切削「B」は、図2Aに図示されているピンの辺213Aおよび213Bに対して平行である。4つの切削C01、C02、C03およびC04はまた、水平方向「C」にすることができる。切削「C」は、図2Aに示されているピンの辺211Aおよび211Bに対して平行である。当然ながら、3方向のそれぞれに、任意の数の切削を用いることができる。
【0036】
ピッチPAは、2つの連続する切削「A」間の距離を画定し、ピッチPBは、2つの連続する切削「B」間の距離を画定し、ピッチPCは、2つの連続する切削「C」間の距離を画定する。一つの例示的態様では、切削「A」、「B」および「C」それぞれに関連するピッチPA、PBおよびPCは全て、六角形高さのほぼ3/2倍と等しい値(3/2)Hを有することができる。当然ながら、他の切削ピッチを使用してもよい。さらに当然ながら、切削「A」、「B」および「C」のピッチ値は等しい必要がない。
【0037】
別の例示的態様では、切削ピッチ、

が使用されてもよい。
【0038】
さらなる別の例示的態様では、切削「A」、「B」および「C」を提供するために、ダイヤモンド旋削工具を用いて六角形ピンバンドル305の上面を機械加工することができる。図3Bは、切削「A」、「B」および「C」を行うためにピンバンドル305の上で移動して回転することができる、1つのダイヤモンド旋削工具の工具チップ311を図示する。あるいは、ピンバンドル305は、ダイヤモンド旋削工具の下で移動して回転してもよく、またはピンバンドル305およびダイヤモンド旋削工具の両方の移動の組み合わせを使用してもよい。1つのダイヤモンド旋削工具の工具チップ311によって提供される切削は、V字型溝の先端を画定する工具チップ311の頂点と、V字型溝の側壁を画定する工具チップ311の側面とを有する、V字型溝の形態であることができる。
【0039】
工具チップ311は、工具角度θと、ピンバンドル305の上面に対して直角である中心軸313(たとえばキューブコーナの光軸)とを呈することができる。正六角形ピンを用いてフルキューブコーナを得るために、切削「A」、「B」および「C」の工具角度θは、等しい値であることができる。一つの例示的態様では、傾斜角θは、70.53°の値を含むことができる。工具の中心軸312は、バンドル305の上面に対して直角であることができる。切削プロセスの後、1つのキューブコーナは、中心軸312がピンバンドル面の法線より傾き、ファセットから離れている場合、1つのファセット上に負の傾斜角を含むことができる。逆に、反対側のキューブコーナは、工具中心軸がピンバンドル面の法線より傾き、ファセットに向かっている場合、1つのファセット上に正の傾斜角を含むことができる。当然ながら、例示的態様では、任意の角度値が使用されてもよい。たとえば、H1がH2の90%でかつH2=H3である場合、切削「C」と、切削「A」および「B」とには、異なる工具角度値の必要性があるかもしれず、その結果、それぞれθ=83.85°およびθ=63.49°であることができる。
【0040】
図3Aに示されるように、3組の平行な切削「A」、「B」および「C」によって形成される三角形内に画定される六角形ピンは、各自の六角形の断面を網掛けする縦線で印を付けられている。3つの平行な切削「A」、「B」および「C」の交点に位置する六角形ピンは、それぞれの六角形の断面を網かけする横線で印を付けられている。本例では、縦の網かけを有する六角形ピンの数は、ピンバンドル305の積み重ねられたピンの総量の2/3であり、一方横の網かけを有する六角形ピンの数は、ピンバンドル305の積み重ねられたピンの総量の1/3である。縦線の網かけを有する六角形ピン315は、上記の切削プロセス処理された後、各自の上面上にフルキューブコーナ形状を含むことができる。横線の網かけを有する六角形ピン313は、各自の上面に、複雑な多数のファセットのある「逆星」型を含んでもよい。「逆星」型の上面を含むピンは、再帰反射性を有していない場合があることに留意されたい。
【0041】
図4A〜4Cは、図3Aのフルキューブコーナ上面形状を含むピン401の、それぞれ平面図、側面図、および正面図を図示する。V字型溝の最深点は、工具チップの頂点によって画定され、切削「A」、「B」および「C」によって提供され、図4Aでそれぞれ407、409および411として標記される。V字型溝407、409および411の最深点は、フルキューブコーナの外縁を画定する。
【0042】
また、工具チップの側面は、V字型溝側壁413、415および417によって画定されることができ、これらはまた、それぞれ切削「A」、「B」および「C」によって形成されるフルキューブコーナ構造のファセットでもある。ファセット413および415は、縁421と、2つのファセットの間の二面角とを画定することができる。ファセット415および417は、縁422と、第2の二面角とを画定することができる。同様に、ファセット417および413は、縁423を画定することができ、また第3の二面角を画定することができる。3つのファセット413、415および417は、互いに直交することができ、3つの二面角は、角度90°であることができる。
【0043】
フルキューブコーナの3つのファセット413、415および417は、多角形、具体的には図4Aおよび4Cに図示されるような五角形である。当然ながら、異なる切削パラメータを備える切削スキームは、異なる形状のファセットを提供することができ、たとえば六角形の開口を備えるフルキューブコーナピンは、矩形のファセットを含むことができる。
【0044】
図5A〜5Cは、図3Aの星型の上面形状を含むピン501の、それぞれ平面図、側面図、および正面図を提供する。図5A〜5Cに図示されるピンは、再帰反射性ではないことに留意されたい。切削「A」、「B」および「C」を提供する工具チップによって画定されるV字型溝の最深点は、それぞれ505、507および509として標記される。工具チップ313の側面は、星型構造のそれぞれ切削「A」、「B」および「C」によって形成されるV字型溝511、513および515の側壁を画定することができる。
【0045】
図6〜8は、図3Aに関連して上述された例の切削スキームの段階的な図示を提供する。図6A〜6Cは、ピンバンドル605上に、水平な「C」方向に作られた第1の組の切削の、それぞれ平面図、側面図、および正面図を提供する。示されるように、4つの水平な切削「C」のC01、C02、C03およびC04は、ピッチPCで作られている。工具チップ311の頂点によって作られる、「C」切削C01〜C04のV字型溝の最深点は、図6Aおよび6Cで濃色の線として標記される。各切削「C」のV字型溝の最深点は、深さDCで作ることができる。一つの例示的態様では、各「C」切削C01〜C04は、等しい深さDCを含み、これは7.07mmであってもよく、別の例示的態様では、切削深さ8.17mmが用いられる場合がある。当然ながら、他の深さ値が使用されてもよい。さらに当然ながら、各切削「C」の深さ値は等しい必要がない。
【0046】
各切削「C」は2つの側壁を画定し、1つの側壁のみを画定する「C」切削C01を除くが、これは切削C1がピンバンドルの縁で作られるためである。図示される例のように、V字型溝C04の側壁は、工具チップ311の側面によって作られ、625および627として標記されている。
【0047】
図7A〜7Cは、ピンバンドル705に作られた第2の切削の、それぞれ平面図、側面図、および正面図を提供し、これは「B」方向への一組の斜めの切削である。示されるように、4つの斜めの切削「B」のB01、B02、B03およびB04が作られ、それぞれの切削がピッチPBを含む。第2の組の切削を作る前に、ピンバンドル705は「B」方向に、反時計回りに60°回転する。このように、切削「B」の方向は、水平方向である。各切削「B」の間に工具チップの頂点によって作り出されるV字型溝の最深点は、B01、B02、B03およびB04として印を付けられる。4つの斜めの切削「B」のB01〜B04は、ピッチPBで作ることができる。一つの例示的態様では、各「B」切削B01〜B04は、切削「C」に関連する深さDCと等しい深さDBを含んでもよい。当然ながら、任意の深さ値を使用してもよい。さらに当然ながら、各切削「B」の他の深さ値が等しい必要はなく、また切削「B」と切削「C」とは等しい必要はない。
【0048】
切削「C」と同様に、各切削「B」は、2つの側壁または2つのファセット、たとえば工具チップ311の側面によって作られるような各V字型溝の側壁を画定できる。図示される例のように、B04切削の側壁は、729および731として標記される。「B」切削B01〜B04によって作り出されるV字型溝は、「C」切削C01〜C04によって作り出されるV字型溝と交差してもよい。2つのV字型溝の交差は、窓735によって提供される拡大図によって図示される(図7D)。切削B04を作ると、切削B04によって作り出される側壁729および731は、切削C04によって作り出される側壁625および627と、ポイント740で交差する。「A」、「B」および「C」方向の切削が完了すると、ポイント740は、その上面に星型形状を有するピンの中心である。
【0049】
図8A〜8Cは、第2の組の斜め切削後のピンバンドル805の、それぞれ平面図、側面図、および立体斜視図を提供する。「A」方向に第3の組の切削を作る前に、ピンバンドル805を、時計回りに60°回転させる。示されるように、4つの斜めの「A」切削A01、A02、A03およびA04が作られ、各切削はピッチPAを含む。工具チップ311の頂点によって作られる、「A」切削A01〜A04のV字型溝の最深点は、図8Aおよび8Cで濃色の線として標記される。各切削「A」のV字型溝の最深点は、深さDAで作られることができる。例示的態様では、各「A」切削A01〜A04は、切削「B」および「C」にそれぞれ関連する深さDBおよびDCと等しい深さDAを含んでもよい。当然ながら、他の深さ値を使用してもよい。さらに当然ながら、各切削「A」の深さ値が等しい必要はなく、また切削「A」、「B」および切削「C」とは等しい必要はない。
【0050】
切削「B」および「C」と同様に、各切削「A」は、各V字型溝の2つの側壁または2つのファセットを画定することができ、工具チップ311の側面によって形成されることができる。図示される例のように、切削A01およびA02によって作り出される側壁は、窓835に示されるように、それぞれ817、819および821、823として標記される(図8D)。星型の上面構造を含む各ピンの中央で、「A」切削A01〜A04によって作り出されるV字型溝は、「B」切削B01〜B04によって作り出されるV字型溝および「C」切削C01〜C04によって作り出されるV字型溝と交差することができる。個々の切削「A」、「B」および「C」によって形成される三角形の中央で、フルキューブコーナ上面構造を含むピンが形成される。フルキューブコーナ上面を含むピンは、図8Aおよび8Cで網かけされている。示されるように、ピンバンドル805のうちほぼ3分の2のピンが、「A」、「B」および「C」方向の切削が完了したときにフルキューブコーナを含むことができる。
【0051】
切削「A」、「B」および「C」によって作り出されるV字型溝と三角形との交差は、窓835によって提供される拡大図によって図示される。切削C04の側壁は625および627として標記され、切削B02の側壁は721および723として標記され、切削A01の側壁は829および831として標記され、切削A02の側壁は821および823として標記される。窓835の右手下側に位置する星型ピンの形成では、切削A01が作られると、「C」切削C04によって作り出される側壁625および627と、切削B02によって作り出される側壁721および723とが、ポイント840で交差する。ポイント840は、窓835の右手下側に位置する星型ピンの中心である。また、星型ピンの中心には、切削A02、B02およびC04によって形成される三角形の右手下側頂点も見られる。
【0052】
形成される三角形の中心には、網掛けされているフルキューブコーナ上面構造を含むピンがある。フルキューブコーナ上面構造は、切削A02の側壁、すなわちファセット821と、切削B02の723と、切削C04の625とによって画定される。切削A02、B02およびC04はまた、フルキューブコーナ850の尖端を画定する。
【0053】
窓835に示されるように、3つの縁851、852および853は、それぞれ切削A02、B02およびC04の側壁821、723および625を画定する。3つの二面角はまた、851、852および853として標記され、それぞれファセット対821-723、723-625および625-821によって画定される。3つのファセット821、723および625は、互いに対して直交し、3つの二面角は、値90°で直角である。また、3つの縁851、852および853は、互いに対して、およびファセット625、821および723に対してそれぞれ直交する。図示される例では、六角形ピンのフルキューブコーナの各ファセットは、五角形の形状を有する。
【0054】
当然ながら、3つの切削「A」、「B」、および「C」に対し異なる深さ値を使用し、結果としてキューブコーナの尖端が六角形ピンの中心からずれてもよい。たとえば、より深い切削「C」(たとえば、DCはDAおよびDBよりも大きい)は、結果として尖端850がピン中心からずれて、切削「C」によって作り出されるファセット625の外縁から離れることになる。
【0055】
そして、「A」、「B」および「C」方向の切削が完了すると、次にフルキューブコーナ上面を含む六角形ピンは再度バンドルされ得る。図9A〜9Cは、フルキューブコーナを備える再バンドルピン905の、それぞれ平面図、側面図、および立体斜視図を提供する。再バンドルピン905は、固定具909によって積み重ねられることができる。固定具909は、ピンを適所に保持するために特別に設計された固定具であってもよい。また、固定具909は、機械的なクランプ、またはピンまたはピンバンドルを保持するための、当技術分野において公知の任意の他の固定具の形態であってもよい。その後、再バンドルピン905を用いて、型を形成することができる。型を電鋳して、数多くのサブセット型を製作することができる。サブセット型のパーケットを形成することによって、より大きな型を製作することができる。再帰反射性材料は、鋳造および/またはエンボスプロセスを介して製作されることができる。
【0056】
図10A〜10Cは、図2A〜2Dに示された同じ六角形ピンバンドルを用いて使用することができる、別の例の切削スキームを図示する。図10Aに図示された切削パターンはまた、3組の切削、すなわち切削A01、A02およびA03を含む切削「A」、切削B01、B02およびB03を含む切削「B」、ならびに切削C01、C02およびC03を含む切削「C」を含む。切削C01は、図10Aに示されるように、ピンバンドルの第1列内の六角形ピンの第1対の平行側のすべての左端ポイントを通過する。切削C02は、ピンバンドルの第3列内の六角形ピンの第1対の平行側のすべての左端ポイントを通過する。切削C03は、ピンバンドル内の第5列の六角形ピンの第1対の平行側のすべての左端ポイントを通過する。例示的態様では、切削「C」は、

と等しいピッチを有し、ここで、Hは、六角形の内径である。各切削「C」のためのダイヤモンド工具は、工具角度70.53°を含んでもよい。切削「C」は、V字型溝を製作し、ここで溝の最深点もまたC01、C02およびC03として標記される。V字型溝C01、C02およびC03は、全て同じ深さ、

を含んでもよい。当然ながら、各切削「C」の深さは同じでなくてもよい。
【0057】
図10Aに示されるように、切削A01は、ピンバンドルの左から第1列の第3の六角形ピンの、第1対の平行側の底側の左端ポイントを通過する。切削A01はまた、ピンバンドルの第5列の第5の六角形ピンの、第1対の平行側の底側の左端ポイントを通過する。切削A02は、ピンバンドルの第1列の第1の六角形ピンの、第1対の平行側の上側の左端ポイントを通過する。切削A02はまた、ピンバンドルの第5列の第3の六角形ピンの、第1対の平行側の底側の左端ポイントを通過する。切削A03は、ピンバンドルの第3列の第1の六角形ピンの、第1対の平行側の上側の左端ポイントを通過する。切削A03はまた、ピンバンドルの第5列の第2の六角形ピンの、第1対の平行側の上側の左端ポイントを通過する。
【0058】
切削B01、B02およびB03は、切削「C」および切削「A」の交点を接続することによって作られる。例示的態様では、切削「A」および切削「B」のいずれも、ピンの正六角形断面に対して同じピッチ、

すなわち0.01732インチを有する。切削「A」および切削「B」のV字型溝はまた、切削「C」によって提供される溝と同じ深さ、

を含んでもよい。当然ながら、「A」、「B」および「C」の溝の深さは、等しいかまたは等しくない値であってもよい。
【0059】
図10Bは、フルキューブコーナ上面を含む図10Aのピンを備える、再構築されたピンバンドルを図示する。作り出されたフルキューブコーナは、3つの直交するファセットを含むことができる。各ファセットは、切削「A」、「B」および「C」について等しい切削深さを用いて得られる正方形の境界を含むことができる。これは、図9に図示されるような、前記の切削パターンによって作製される五角形の境界を含むファセットと対照的であることに注目すべきである。
【0060】
当然ながら、ピンは、任意の形状の断面または開口を含むように製造されてもよい。たとえば、ピンは、円形の断面および円形の開口を含むように製造されてもよい。図11A〜11Cは、切削プロセス処理された円形ピンを備えるピンバンドル1005の、それぞれ平面図および側面図を提供する。本例では、ピンは長さ1インチおよび直径D=0.008インチを備えることができる。図11A〜11Cに図示された切削スキームはまた、それぞれA01〜A03、B01〜B03およびC01〜C03として標記された、切削の組「A」、「B」および「C」を含む。例示的態様では、ダイヤモンド工具チップは、切削「A」、「B」および「C」に対して工具角度70.53°を含むように構成されてもよい。切削「A」、「B」および「C」のピッチは、等しい値、

すなわち0.012インチを有することができる。切削「A」、「B」および「C」によって作り出される3組のV字型溝は、等しい深さ、

すなわち0.008485インチを有することができる。
【0061】
3組の切削「A」、「B」および「C」の交差は、切削「A」、「B」および「C」の任意の2つの個々の間で形成される角度60°によって画定されることができる。個々の切削「A」、「B」および「C」の交差によって形成される三角形では、その上面にフルキューブコーナを含むピンが形成されることができる。星型の上面構造を含むピンは、三角形の交差の頂点周辺に位置する。フルキューブコーナを含む各ピンは、90°の中心角を有する円形セクタの形状の3つのファセットをさらに含むことができる。当然ながら、切削「A」、「B」および「C」のうち少なくとも1つに異なる切削深さを適用してもよく、この結果として、円形ピン上に作り出されたフルキューブコーナの尖端が、ピンの円形断面の中心からずれていてもよい。
【0062】
図12〜図18は、他の例示的態様を示し、ここでは矩形の断面を含むピンで形成されるピンバンドルを使用してもよい。バンドル内の矩形ピンはまた、特定の切削スキームによって、その上面に矩形のキューブコーナを含むように切削されてもよい。
【0063】
図12A〜12Cは、切削パターンの3つの例を提供し、これを使用してフルコーナキューブの上面を備える矩形断面ピンのサブセットを提供することができる。図12A〜12Cに示された各ピンバンドルは、一例として、3×7の矩形ピンのアレイを含むことができる。各3×7のバンドル中の矩形ピンは、同じ断面水平長さ(たとえば12インチ)を備えていてもよいが、異なる断面垂直長さ(たとえば、図12A〜12Cにそれぞれ示されるように、6、7および8インチ)を含んでもよい。当然ながら、任意の寸法のピンを使用してもよい。
【0064】
前記の例と同様に、切削スキームは、ダイヤモンド工具と、「A」、「B」および「C」として標記される3組の平行な切削を含む切削パターンとを含む。各組の切削は、相違する方向に作られることができ、ここで2つの底角は、切削「A」、「B」および「C」のうち任意の2組間に形成される角度を表すことができる。異なる工具角度を含む2つのダイヤモンド工具を用いて、3つの切削「A」、「B」および「C」を実施してもよいが、当然ながら、任意の数のダイヤモンド工具が用いられてもよい。
【0065】
図12A〜12Cの切削スキームは、切削「C」を、各矩形ピンの中心を通過し、断面の垂直長さに対して平行に伸びて引かれた線として図示する。切削「A」は、ピンのサブセットの矩形断面の中心を通過し、左下隅から右上隅までのピンの矩形断面の対角線に対して平行である線として図示される。切削「B」は、ピンのサブセットの矩形断面の中心を通過し、左上隅から右下隅までのピンの矩形断面の対角線に対して平行である線として図示される。
【0066】
垂直な1つの切削「C」、2つの連続する切削「A」およびその近くの2つの連続する切削「B」によって形成されるダイヤモンド交差では、2つのフルコーナキューブを備える1つの矩形ピンを見出すことができ、ここで各フルコーナキューブは、三角形の交差(たとえば、ダイヤモンド交差の半分)に見出すことができる。2つのフルコーナキューブを備えるピンは、各ピンバンドル中で強調表示される。
【0067】
図12Aでは、矩形ピンは、断面寸法0.012×0.006インチを有し、ここで断面の水平長さは0.012インチであり、断面の垂直長さは0.006インチである。図12Aに図示された例では、「C」切削C01〜C03は、工具角度60°を含むダイヤモンド工具を備えることができ、一方で「A」および「B」それぞれ切削A01〜04およびB01〜B04は、工具角度75.52°を有する別のダイヤモンド工具で実施されることができる。「C」切削C01〜C03は、ピッチ0.012インチで実施され、一方で「A」および「B」それぞれ切削A01〜04およびB01〜B04は、ピッチ0.010733インチで実施された。切削「A」、「B」および「C」の深さは、全て0.0052インチで実施された。図12Aに示されるように、矩形断面0.012×0.006インチを有するピンは、その上面に成形された一対のフルキューブコーナを有する。各キューブコーナは、正方形の開口0.006×0.006インチを有する。
【0068】
図12Bでは、矩形ピンは、断面寸法0.012×0.007インチを有し、ここで断面の水平長さは0.012インチであり、断面の垂直長さは0.007インチである。図12Bによって提供された例では、「C」切削C01〜C03は、工具角度71.37°のダイヤモンド工具を備えることができ、一方で「A」および「B」それぞれ切削A01〜A04およびB01〜B04は、工具角度70.11°の工具を含むダイヤモンド工具で実施されることができる。「C」切削C01〜C03は、図12Aに示されるものと同じように、ピッチ0.012インチで実施され、一方で「A」および「B」それぞれ切削A01〜A04およびB01〜B04は、ピッチ0.0120929インチで実施された。切削「C」の深さは0.0042インチで実施され、一方で切削「A」および「B」の深さは0.0065インチで実施された。図12Bに示されるように、矩形断面0.012×0.007インチを有するピンは、その上面に成形された一対のフルキューブコーナを有する。各キューブコーナは、矩形の開口0.006×0.007インチを有する。
【0069】
図12Cでは、矩形ピンは、寸法0.012×0.008インチを有し、ここで断面の水平長さは0.012インチであり、断面の垂直長さは0.008インチである。図12Cによって提供された例では、「C」切削C01〜C03は、工具角度83.62°の工具を含むダイヤモンド工具で実施されることができ、一方で「A」および「B」それぞれ切削A01〜A04およびB01〜B04は、工具角度63.61°の工具を含むダイヤモンド工具で実施されることができる。「C」切削C01〜C03は、図12Aおよび12Bに図示された切削スキームと同様に、ピッチ0.012インチで実施されてもよく、一方で「A」および「B」それぞれ切削A01〜A04およびB01〜B04は、ピッチ0.0133128インチで実施されることができる。切削「C」の深さは0.0034インチで実施されることができ、一方で切削「A」および「B」の深さは0.0080インチで実施されることができる。図12Cに示されるように、矩形断面0.012×0.008インチを有するピンは、その上面に成形された一対のフルキューブコーナを有する。各フルキューブコーナは、矩形の開口0.006×0.008インチを有する。
【0070】
図13A〜13Cは、それぞれ図12A〜12Cに図示された切削スキームを実施することによって得られる結果のピンバンドルを図示し、ここでは2つの矩形フルキューブコーナ上面を含むピンは網かけされている。図13A〜13Cに示されるように、図12A〜12Cに図示された切削スキームにより、同じ割合の2つのフルキューブコーナを備える矩形ピンを得る。具体的には、各ピンバンドルの3×7、すなわち21個のピンのうち、矩形ピンのほぼ2分の1が、一対のフルキューブコーナを含む。たとえば、図13Aに図示されるように、3×7のピンのアレイの上から数えて第3および第4列には、一対のフルキューブコーナを含む3つの矩形ピン(第3列に2つ、第4列に1つ)がある。
【0071】
図13A〜13Cの矩形フルキューブコーナのファセットは、台形形状を備える2つの同一側を含む。第3のファセットは、上面に三角形および底面に矩形を有する多角形を備える。図13A〜13Cに示される矩形フルキューブコーナの別の特徴は、キューブコーナの尖端位置である。矩形キューブコーナの尖端は、その矩形開口の中心に位置付けられる。図13A〜13Cから当然であるように、切削スキームパラメータが異なる場合、フルキューブコーナの幾何学的性質もまた異なる。典型的な例は、1組の切削、たとえば切削「C」をより深く、またはより浅くすると、尖端位置がフルキューブコーナの中心から、矩形開口の左または右にシフトする場合があることである。
【0072】
図14A〜14Cは、それぞれ図13A〜13Cに示された一対のキューブコーナを含む矩形ピンの再バンドルされた型を図示する。図14A〜14Cの矩形キューブコーナの各型は、濃色の矩形のアウトラインを含み、これが一対のキューブコーナを有する単一の矩形ピンを画定する。図14Bに示されるように、濃色領域内の上面のキューブコーナおよび底面のキューブコーナの両方が、1601、1602および1603として標記された3つのファセット、ならびに1611、1612および1613として標記された3つの縁を含む。2つのファセット1601は、溝「C」の2つの側壁を提供する第1の工具による切削「C」によって作り出された。ファセット1602は、第2の工具によって提供される切削「A」によって作り出され、ファセット1603は、やはり同じ工具によって提供される切削「B」によって作り出された。3つの切削「A」、「B」および「C」はまた、3つの縁1611、1612および1613、ならびに同じように1611、1612および1613として標記されることがある3つの二面角を作製する。矩形開口には4つのコーナポイントがあり、これらはまた、ファセット1602および1603の外側のポイントでもある。これらは2つの切削「A」および2つの切削「B」の底線上に位置する。
【0073】
図15A〜15Cおよび16A〜16Cはそれぞれ、図14A〜14Cの再バンドルピンの

および

軸に沿った側面図を図示する。図15Bに示されるように、濃色の線は、図14Bに示された、対をなすキューブコーナの側面図を表す。また、図14Bのファセット1603の2つの縁1611および1613と外縁1621とは、図15Bに表示される。
【0074】
図16A〜16Cは、矩形キューブコーナの正面図および2つの側面図を図示し、これらは図13Bの濃色の矩形、図14Bの太線の側面図、および図15Bの太線の図から模写されている。
【0075】
図17は、図14Bの矩形ピンバンドルから形成される型から作られた、再帰反射物の0.012×0.007インチのピンの、一対の矩形キューブコーナに対する多くのレイトレースの結果を図示する。対をなす中の2つの矩形キューブコーナは、垂直方向に配向されている。第1のレイトレース結果1701は、キューブコーナの対の法線に対して入射角0°の光によって得られた。図1Aに関して述べたように、フルキューブコーナは、入光角度0°でその全開口に入射している全光量を再帰反射することができる。レイトレース結果1701に示されるように、濃色のアウトライン領域は再帰反射光を表し、これは対をなす矩形キューブコーナの対応する開口の領域に相当するが、その理由は矩形キューブコーナの内側ファセット全体が、0°の入光角度で再帰反射に利用されることができるからである。濃色のアウトライン領域は、キューブコーナのアクティブ領域とも呼ばれ、矩形キューブコーナは、入光角度0°で、その開口と比較して100%のアクティブ領域を有する。
【0076】
第2のレイトレース結果1703は、1701のレイトレースに類似した、対をなす矩形キューブコーナからの光の再帰反射を図示するが、1703のレイトレースでは、入光角度は、xすなわち水平方向に10°だけシフトしている。1701のレイトレース結果と比較すると、1703のレイトレース結果は、より狭い再帰反射またはアクティブ領域を図示しているが、これは、より少ないキューブコーナファセットがx方向で使用されているためである。同様に、レイトレース1707および1711もまた、入光角度がxすなわち水平方向に沿ってそれぞれ20°および30°だけシフトすると、かなり少ない再帰反射またはアクティブ領域を示す。
【0077】
レイトレース結果1715は、入光角度が水平方向に沿って40°だけシフトしている場合の、一対の矩形キューブコーナの再帰反射を図示する。1715の左の、再帰反射光のアクティブ領域1716aは、x方向に沿ってより大きな角度でシフトした結果、再帰反射領域がより狭くなる、レイトレース結果1701、1703、1707および1711に図示されたものに類似した再帰反射を図示する。1715の右の、再帰反射光のアクティブ領域1716bは、型内の近接する対のキューブコーナからの再帰反射を図示する。
【0078】
同様に、レイトレース結果1719は、光の入光角度がx方向に50°だけシフトすることによって、左側に狭い再帰反射領域1720aを備える。レイトレース結果1719はまた、近傍の対のキューブコーナからの再帰反射によって、右側に再帰反射領域1720bを含む。入光角度がx方向により大きくシフトする場合、レイトレース結果1719の再帰反射領域1720bが、レイトレース結果1715の再帰反射領域1716bよりも大きいために、近傍のフルキューブコーナからの再帰反射量が増大することに留意されたい。
【0079】
入光角度がyすなわち垂直方向にシフトする結果、再帰反射光が垂直に乱れる場合がある。たとえば、レイトレース結果1705は、入光角度がyすなわち垂直方向に向かって上向きに10°だけシフトしたときの再帰反射のアクティブ領域を図示する。レイトレース結果1705に示されるように、再帰反射光は、いかなる再帰反射ももたらさない領域1706を備える。非再帰反射領域1706上面およびその上方の再帰反射の濃色領域は、対の中の上部矩形キューブコーナによる再帰反射光によるものであり、一方で非再帰反射領域1706の下方の濃色領域は、対の中の底部キューブコーナによる再帰反射光によるものである。同様に、レイトレース結果1709では、入光角度がさらにy方向に沿って上向きに20°だけシフトするにしたがって、非再帰反射領域1710が増大し、2つの別個の濃色アクティブ領域が減少する。
【0080】
レイトレース結果1713は、y方向に入光角度30°を有する光の再帰反射を図示する。レイトレース結果1713内で特徴的な再帰反射光は、対の中の底部キューブコーナに起因する。このように、y方向に向かって上向きにシフトする角度量によって、光はもはや、対の中の上部キューブコーナによって再帰反射されない。同様に、レイトレース結果1717、1721および1723は、対の中の底部キューブコーナによる、それぞれ入光角度40°、50°および60°でのy方向への上向きの再帰反射光の減少アクティブ領域を備える。30°またはそれ以上の、y方向への下向きの入光角度については、再帰反射光は、対の中の底部ではなく上部キューブコーナにのみ起因する。
【0081】
したがって、y方向への入光角度が30度を超えて増大すると、y方向への再帰反射光に帰するキューブコーナの数は、半分に減少する。逆に、x方向への入光角度が30度を超えて増大すると、x方向への再帰反射光に帰するキューブコーナが増大して、入射光領域外の、近傍のいくつかのキューブコーナを反射に加えさせる。
【0082】
図18Aは、図14A〜14Cの、0.012×0.006インチ、0.012×0.007インチおよび0.012×0.008インチの3つの矩形ピンを用いる型から作られた一対の矩形フルキューブコーナと、図1Bに関連して説明された、一対の三角形フルキューブコーナとの間の比較を示す。本比較は、入射光の再帰反射に起因する領域、すなわちアクティブ領域に対する、yすなわち垂直方向、すなわち対をなす矩形フルキューブコーナの0°の配向にシフトした入光角度のパーセンテージに基づく。図18Aのグラフに示されるように、アクティブ領域は、0°のずれで、アクティブ領域は100%であり、キューブコーナの開口全体が3つの矩形フルキューブコーナに対して、入射光の再帰反射をもたらすことを意味するが、これはすべてのフルキューブコーナの性質であるためである。図18Aのグラフでは、ひし形を有する実線は、0.012×0.006インチの矩形の開口を表し、正方形を有する実線は、0.012×0.007インチの矩形の開口を表し、三角形を有する実線は、0.012×0.008インチの矩形の開口を示す。しかし、標準的なキューブコーナの三角形の開口は、グラフに破線によって描かれるように、入光角度0°では、その開口の約67%だけしかアクティブ領域として寄与しない。
【0083】
入光角度のずれ量が増大するにつれて、三角形の開口と同様に、3つのキューブコーナの矩形開口からの光の再帰反射に使用されるアクティブ領域の量が減少する。図18Aのグラフに示されるような、0°〜約20°前後の入光角度範囲では、3つの矩形キューブコーナの開口での光の再帰反射は、三角形キューブコーナの三角形開口に比較して、より大きなアクティブ領域の使用によって達成される。特に、0.012×0.006インチの開口のマージン角度は、約24°であり、0.012×0.007インチの開口のマージン角度は、約22°であり、0.012×0.008インチの開口のマージン角度は、約14°である。図18Aのグラフに示されるような、約30°およびそれ以上の入光角度のためには、三角形キューブコーナの三角形開口は、3つの矩形キューブコーナと比較して、再帰反射中により大きなアクティブ領域を使用する。図18Aに図示されるような3つの矩形フルキューブコーナ間のより大きな入光角度(たとえば40°〜60°)のためには、0.012×0.008インチの矩形開口は、より大きなアクティブ領域のパーセンテージを使用し、続いて0.012×0.007インチの矩形開口がより小さなパーセンテージを使用し、その後に続いて0.012×0.006インチの矩形開口がよりさらに小さなパーセンテージのアクティブ領域を使用する。
【0084】
図18Bはまた、図14A〜14Cの、0.012×0.006インチ、0.012×0.007インチおよび0.012×0.008インチの3つの矩形フルキューブコーナと、図1Bに関連して説明された、三角形開口キューブコーナとの間の比較を示す。図18Bの比較は、光の再帰反射に起因する開口領域、すなわちアクティブ領域に対する、xすなわち水平方向、すなわち矩形フルキューブコーナの90°の配向にずれた入光角度のパーセンテージに基づく。図18Bに示されるように、0°の入光角度で、100%のアクティブ領域が3つの矩形フルキューブコーナの再帰反射に使用される。しかし、三角形開口キューブコーナは、図18Bのグラフに破線によって示されるように、入光角度0°では、そのアクティブ領域の約67%だけしか使用しない。
【0085】
図18Bに示されるように、入光角度90°位でのずれ量が増大するにつれて、4つすべてのキューブコーナの光の再帰反射で使用されるアクティブ領域の量が減少する。0°〜60°の入光範囲全体にわたって、3つの矩形フルキューブコーナそれぞれの入射光の再帰反射は、従来のキューブコーナの三角形開口と比較してより大きなアクティブ領域によって達成されるが、0.012×0.006インチの矩形キューブコーナは例外であり、これは、47°-60°の入光範囲の三角形開口よりも小さなアクティブ領域を使用する。
【0086】
図19A〜19Bは、別の態様を図示し、正方形の断面または開口を備える数多くのピンを使用して、フルキューブコーナ面構造を含む再帰反射性のシート材を作ることができる。図19Aは、異なる方向に3組の平行な切削処理をされた、6×6の正方形ピンのピンバンドルの立体図を図示する。第1組の平行な切削は、「A」方向へのA01〜A03であり、第2組の平行な切削は、「B」方向へのB01〜B03であり、そして第3組の平行な切削は、「C」方向へのC01〜C03である。図19Aに示されるように、切削線C02は、6×6の正方形ピンの大きなバンドル四辺の左隅ポイントと、その右隅ポイントとを接続し、これは、6つのピンそれぞれの対角線に沿った、バンドル四辺の対角線内の6つすべての正方形ピンを通過する。図19Aに示されるように、切削線C01は、右頂点の3×3の正方形ピンのサブバンドル四辺の左隅ポイントと、その右隅ポイントとを接続し、これは、サブバンドル四辺の対角線内の3つすべての正方形ピンを通過する。図19Aに示されるように、切削線C03は、左下の3×3の正方形ピンのサブバンドル四辺の左隅ポイントと、その右隅ポイントとを接続し、これは、サブバンドル四辺の対角線内の3つすべての正方形ピンを通過する。図19Aに示されるように、切削線A01は、左列内の第3の正方形ピンの左下隅ポイントと、右寄りの列内の第2のピンの右上隅ポイントとを接続し、これは、第3列の第3のピンの垂直ポイントを通過する。図19Aに示されるように、切削線A02は、左列内の第5の正方形ピンの左下隅ポイントと、右寄りの列内の第4のピンの右上隅ポイントとを接続し、これは、第3列の第5のピンの垂直ポイントを通過する。図19Aに示されるように、切削線A03は、第3列内の最後の正方形ピンの左下隅ポイントと、右寄りの列内の第6のピンの右上隅ポイントとを接続する。「B」切削線B01、B02およびB03は、「A」切削A01、A02およびA03と、ならびに「C」切削C01、C02およびC03との間の交点と、すべての切削線「B」が、切削線「C」に対して切削線「A」と対称になるように接続する。
【0087】
図19Aによって提供される例では、切削「A」および「B」は、等しいピッチ値および等しい深さ値を含み、一方で切削「C」は、切削「A」または「B」よりも大きいピッチおよび大きい深さ値を含む。特に、バンドル内の各ピッチは、正方形の断面0.006×0.006インチを含み、切削「C」は、ピッチ0.012728インチおよび深さ0.073485インチを含む。切削「A」および「B」は、ピッチ0.113842インチおよび深さ0.055114インチを含む。図19Aに示されるように、切削「A」および「B」は、水平に交差しないか、または切削「C」によって作り出されるV字型溝を通した切削ではない。先に述べた切削スキームと同様に、上面に正方形キューブコーナを備えるピンは、個々の切削「A」、「B」および「C」の交点によって形成される三角形のいくつかに見出される。しかし、正方形キューブコーナを含むピンが、個々の切削「A」、「B」および「C」の交点によって形成されるどの三角形にも見出すことができたわけではなかった。3つは、上面にキューブコーナを含む大きな正方形バンドルの対角線内の4つの正方形ピンのみである。正方形ピンバンドルおよび上述の切削パターンのスループットは、おおよそ1/9である。
【0088】
図19Bは、その上面に正方形キューブコーナを備える4つのピン1901〜1907のサブセットピンバンドルを図示する。正方形キューブコーナを備える4つのピンのグループ分けは、その中心あたりに、実質的に逆さまの八角形形状を形成する。当然ながら、図19Bに示された配向は単なる例であり、ピンの正方形断面の対称性により、ピンが任意の他の配向に積み重ねられてもよい。
【0089】
図19Cは、図19Bの9×9のサブピンバンドルを含むキューブコーナ型の上面図を図示し、これは正方形のキューブコーナ上面構造を備える。図19Dおよび19Eは、それぞれyおよびx軸に沿った型の側面図を図示する。
【0090】
さらに当然ながら、ピンは、数多くの材料から形成されてもよい。可能な材料のいくつかの例は、ポリエチレン、テレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、真ちゅう、ニッケル、銅、またはアルミニウムであってもよい。
【0091】
さらに当然ながら、上記で図示された方法は、任意の形状、たとえば三角形キューブコーナの上面構造を含む再帰反射性シート材の製造に使用することができる。
【0092】
本明細書に開示された切削プロセスは、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアで実施される命令を用いるコンピュータ制御の切削機械によって実行できることが理解されるべきである。ソフトウェアで実行された場合、ソフトウェアは、任意の形態のコンピュータ可読媒体、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)等に記憶されることができる。動作時に、汎用または特定用途プロセッサは、当技術分野においてよく理解された方法でソフトウェアをロードして実行する。
【0093】
上記は、その例示的態様を特に示し説明してきたが、当業者においては、添付の請求の範囲によって包含される発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細にさまざまな変更がなされてもよいことが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピンからピンバンドルを形成する工程;
ピンバンドルの上面および底面を均す工程;
上面の各ピンに既定の形状を提供するために、ダイヤモンド旋削工具でピンバンドルの上面を機械加工する工程;
サブセットバンドルを形成するために、ピンバンドルからピンのサブセットを選択する工程であって、サブセットバンドル内の各ピンが同じ所定の形状を有する工程;ならびに
型を提供するために、サブセットバンドルを電鋳する工程
を含む、再帰反射性シート材を形成するための型を作るための方法。
【請求項2】
上面を機械加工する工程が、ピンバンドルの上面に沿って、ダイヤモンド旋削工具によって、異なる方向および関連する工具傾斜角を含むそれぞれ3つの軸に沿った切削を行うことをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
所定の形状が、3つの平滑な再帰反射性表面を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
所定の形状がフルキューブコーナであり、3つの工具傾斜角が等しい値を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ピンが、六角形の断面を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
フルキューブコーナが六角形の開口を含み、かつ該キューブコーナが3つのファセットを有し、各ファセットが等しい値の多角形境界を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
多角形が、矩形、正方形または五角形である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
ピンが、矩形の断面を有する、請求項4記載の方法。
【請求項9】
フルキューブコーナが矩形の開口を含み、該フルキューブコーナが、等しい値の台形境界を含む第1および第2のファセット、ならびに対称的な多角形境界を有する第3のファセットも含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ピンが、円形の断面を有する、請求項4記載の方法。
【請求項11】
フルキューブコーナが円形の開口を含み、該フルキューブコーナが、90°の中心角を含む同じ円形セクタ境界を有する3つのファセットも含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ピンが、10〜5000ミクロンのオーダーの直径を有する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ピンが、ポリエチレン、テレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、真ちゅう、ニッケル、銅、およびアルミニウムからなる群より選択される材料で形成される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ピッチ、傾斜角、切削角度、および深さからなる群より選択される、ダイヤモンド旋削工具構成を特定することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
機械加工が、3組の平行線を切削する工程であって、各組が異なる軸方向にあり、少なくとも2組のピッチが等しい値であり、3組のピッチがピンバンドル内の各ピンの寸法断面よりも大きい工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ピンバンドルを形成する複数のピンを積み重ねるように構成された第1の機械的固定具と、
ピンバンドル内の各ピンの上面を形成するように構成されたダイヤモンド切削工具と、
成形された複数のピンのサブセットを積み重ねるように構成された第2の機械的固定具であって、成形されたピンの各々が、同じ所定の形状を含み、サブセットピンバンドルを形成する、第2の機械的固定具と、
型を提供するために、サブセットバンドルを電鋳するように構成された電鋳ユニットと
を含む、再帰反射性シート材料を形成するための型を作るための装置。
【請求項17】
ダイヤモンド切削工具が、ピンバンドルの上面の、各々が異なる方向および関連する工具傾斜角を有する3つの軸に沿って切削を行うようにさらに構成される、請求項16記載の装置。
【請求項18】
所定の形状が、3つの平滑な再帰反射面を有する、請求項17記載の装置。
【請求項19】
所定の形状がフルキューブコーナであり、3つの工具傾斜角が等しい値を有する、請求項17記載の装置。
【請求項20】
ピンが、六角形の断面を有する、請求項19記載の装置。
【請求項21】
フルキューブコーナが六角形の開口を含み、該キューブコーナが3つのファセットを有し、各ファセットが等しい値の多角形境界を含む、請求項20記載の装置。
【請求項22】
多角形が、矩形、正方形または五角形である、請求項21記載の装置。
【請求項23】
ピンが、矩形の断面を有する、請求項19記載の装置。
【請求項24】
フルキューブコーナが矩形の開口を含み、該フルキューブコーナが、等しい値の台形境界を含む第1および第2のファセット、ならびに対称的な多角形境界を有する第3のファセットも含む、請求項23記載の装置。
【請求項25】
ピンが、円形の断面を有する、請求項19記載の装置。
【請求項26】
フルキューブコーナが円形の開口を含み、該フルキューブコーナが、90°の中心角を含む同じ円形セクタ境界を有する3つのファセットも含む、請求項25記載の装置。
【請求項27】
ピンが、10〜5000ミクロンのオーダーの直径を有する、請求項16記載の装置。
【請求項28】
ピンが、ポリエチレン、テレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、真ちゅう、ニッケル、銅、およびアルミニウムからなる群より選択される材料で形成される、請求項16記載の装置。
【請求項29】
ダイヤモンド旋削工具が、ピッチ、傾斜角、切削角度、および深さからなる群より選択される調節可能な構成を含む、請求項16記載の装置。
【請求項30】
ダイヤモンド旋削工具が3組の平行線を切削するように構成されており、各組が異なる軸方向にあり、少なくとも2組のピッチが等しい値であり、3組のピッチがピンバンドル内の各ピンの寸法断面よりも大きい、請求項16記載の装置。
【請求項31】
平行な配置で配向された複数のマイクロピンからピンバンドルを形成する工程;
ダイヤモンド旋削工具によって、ピンバンドルの上面に少なくとも3つの切削を行う工程;および
結果として、ピンバンドル内のマイクロピンのサブセットの上面に、キューブコーナ構造を形成する工程
を含む、複数のマイクロピンの上面にキューブコーナを成形するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図19E】
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【公表番号】特表2011−516926(P2011−516926A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503964(P2011−503964)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/000522
【国際公開番号】WO2009/126192
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(503462800)リフレクサイト コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】