説明

プリント基板上のパッド部の残留はんだ除去器

【課題】 プリント基板上のパッド部の残留はんだの除去と平滑化をなし得ることのできる装置を提供する。
【解決手段】 ピストル様にグリップ6上前端に付形のブラケット7に、発熱部8を内装の噴気筒9を固設すると共に当該噴気筒9上に冠載する態様に先端嘴部14aを先細付形の噴気筒先に沿わせて屈曲付形のうえスキージ片15を搭載固定の吸気筒14を摺動自在に組み付け、当該吸気筒14基部をグリップ6上に保持のフェルト層17aのバックアップのもと金属毛様体17bよりなるフィルター17を充填の透明筒16の前端壁16aに貫通取り付けし、上記の透明筒16と噴気筒9とは送気ポンプ13を介して連絡し、さらに、透明筒16と送気ポンプ13との間には切換バルブ19を介装して電子部品取りはずし用の吸引ピンセット20の吸気をもなし得るものとした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板上のパッド部の残留はんだ除去器に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント基板上に溶着された電子部品の一部を取り替え若しくは再装着しなければならないことがある。すなわち、実装部品、チップ部品に欠陥があったり、また、隣り合う電子部品のリード線間にあって、当該リード線のパッド部へのはんだ付けの際に、余分のはんだが線間に流れ、次いで冷えて硬化することで、所謂はんだブリッジが生じた場合等である(このはんだブリッジは、リード線相互の間に望ましくない電気的接続部を形成し、完際に2つのリード線を電気的に短絡し、殆んどの場合、これにより電子部品は機能不全となり、はんだブリッジを除去して電子部品を正常に機能させなければならない。)。
【0003】叙上の再装着は、不良電子部品をプリント基板から取りはずしたうえ、そのパッド部を修正のソルダークリーム印刷がなし得るように残留はんだを除去すると共に平滑面に仕上げる処理を施してからとり行なわれ、具体的には、先ず、プリント基板上の不良電子部品の上方から熱風発生器で熱風を吹き付けて200℃〜230℃に加熱し、パッド部上のはんだを溶融させて電子部品を取りはずしし、次いで、図2に示す如くプリント基板1のパッド部2上の残留はんだ3にソルダウィック4を当て、このソルダウィック4の上からはんだゴテ5により加熱して残留はんだ3を液状に溶融させてソルダウィック4に吸引させる。ソルダウィック4は金属の目が細かい網を重ねたもので、溶融はんだを毛細管現象により吸い取るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】叙上のソルダウィック4による残留はんだ3の溶融吸い取りは手作業で、はんだゴテ5押圧点にのみ吸い取りが有効(加熱点のみしかはんだは溶融しない)なもので、極めて作業性が悪いうえに吸い取り後の面の平滑保証は全く無く熟練に頼るしかない。
【0005】本発明は叙上の実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、簡易な操作で高能率にパッド部の残留はんだの除去と除去面の平滑化とを達成することのできるプリント基板上のパッド部の残留はんだ除去器を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のプリント基板上のパッド部の残留はんだ除去器は、ピストル様にグリップ上前端に付形のブラケットに発熱部を内装の噴気筒を固設すると共に当該噴気筒上に冠載する態様に先端嘴部を先細付形の噴気筒先に沿わせて屈曲付形のうえスキージ片を搭載固定の吸気筒を摺動自在に組み付け、当該吸気筒基部をグリップ上に保持のフェルト層のバックアップのもと金属毛様体よりなるフィルターを充填の透明筒の前端壁に貫通取り付けし、上記の透明筒と噴気筒とは送気ポンプを介して連絡し、さらに、透明筒と送気ポンプとの間には切換バルブを介装して電子部品取りはずし用の吸引ピンセットの吸気をもなし得るものとしたものである。
【0007】
【作用】先ず吸気筒待避、切換バルブを吸引ピンセット側に連通の態様で、発熱部を加熱しておいて送気ポンプを作動させると、噴気筒より熱風が噴き出され、パッド部上のはんだを溶融するので、他方の手に持っていた吸引ピンセットで電子部品を吸い上げ撤去することができる。
【0008】次いで、切換バルブを透明筒側に連通、吸気筒突き出しの態様(発熱部加熱は継続)で、パッド部の残留はんだ上を噴気筒先行、吸気筒後行の形態でなぞる。すると、溶融(その範囲は面状に及ぶ)した残留はんだは表面張力により粒状に流動してスキージ片に掃き寄せられつつ直ちに吸気筒に吸い取られると共に流動せずにパッド上に残るものはスキージ片に撫ぜられて平滑に仕上げされる。
【0009】ここに、パッド上の残留はんだの除去と平滑面仕上げが同時に完了する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1、2に基づいて説明する。図1に示される如く、グリップ6上前端に付形のブラケット7には、発熱部8を有する噴気筒9が固定される。図中10は該発熱部8のコードであり、11はスイッチである。
【0011】当該噴気筒9の基端より導引のホース12はサイドに設置の送気ポンプ13の吹出口13aに接続される。噴気筒9上には冠載態様に吸気筒14が摺動自在に組み付けられている。当該吸気筒14の先端嘴部14aは、該噴気筒9の先端先細部9aに沿うように屈曲し、その上面にはスキージ片15が僅かに突き出る態様に固定されている。
【0012】図中想像線態様が摺動自在な吸気筒14の突き出し時、実線態様が待避時である。吸気筒14の基部はグリップ6上に保持固定の透明筒16の前端壁16aに貫通している。当該透明筒16にはフェルト層17aのバックアップのもと金属毛様体17bを積層のフィルター17が内装されている。当該透明筒16後端壁16bから導引のホース18は、切換バルブ19の一方の接続口19aに接続されている。
【0013】当該切換バルブ19のもう一方の接続口19bは吸引ピンセット20に接続されている。切換バルブ19の他端は該送気ポンプ13の吸入口13bに接続される。図中21は送気ポンプ13に付属のモーター、22はグリップ6に取り付けのスイッチ23の操作にて接続口19a、19bの切換えをなす切換バルブ19に付属のソレノイドを夫々示す。
【0014】しかして、図2に示す如く、電子部品(図示省略)撤去後、送気路を吸気筒14よりの吸引に設定し、かつスキージ片15を突き出ししておいて、噴気筒9先行のもと残留はんだ3上を撫ぞらえると、残留はんだ3は溶融し表面張力により粒状化3aとなると共にスキージ片15に掃き寄せられ、これは直ちに吸い取られる。同時に後続のスキージ片15がパッド部2上を撫でると凹凸面が平滑化される。
【0015】
【発明の効果】以上の如く本発明機構は構成されるので以下の如き効果を奏する。電子部品の取りはずしのみでなく、簡単な撫で作業にてパッド部の残留はんだの除去と平滑化ができるので、当該分野にあって極めて好便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明除去器の説明図である。
【図2】本発明除去器に由るパッド部上の残留はんだ除去と平滑化要領説明図である。
【図3】従来の残留はんだ除去要領説明図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
2 パッド部
3 残留はんだ
3a粒状化
4 ソルダウィック
5 はんだゴテ
6 グリップ
7 ブラケット
8 発熱部
9 噴気筒
9a先端先細部
10 コード
11 スイッチ
12 ホース
13 送気ポンプ
13a吹出口
13b吸入口
14 吸気筒
14a先端嘴部
15 スキージ片
16 透明筒
16a前端壁
16b後端壁
17 フィルタ
17aフェルト層
17b金属毛様体
18 ホース
19 切換バルブ
19a接続口
19b接続口
20 吸引ピンセット
21 モータ
22 ソレノイド
23 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピストル様にグリップ上前端に付形のブラケットに発熱部を内装の噴気筒を固設すると共に当該噴気筒上に冠載する態様に先端嘴部を先細付形の噴気筒先に沿わせて屈曲付形のうえスキージ片を搭載固定の吸気筒を摺動自在に組み付け、当該吸気筒基部をグリップ上に保持のフェルト層のバックアップのもと金属毛様体よりなるフィルターを充填の透明筒の前端壁に貫通取り付けし、上記の透明筒と噴気筒とは送気ポンプを介して連絡し、さらに、透明筒と送気ポンプとの間には切換バルブを介装して電子部品取りはずし用の吸引ピンセットの吸気をもなし得るものとしたことを特徴とするプリント基板上のパッド部の残留はんだ除去器。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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