説明

プリント配線板及びその製造方法

【課題】 レーザー光による内層導体回路の損傷発生がなく,かつ確実な導電性を有するブラインドビアホールを形成することができる,プリント配線板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 絶縁層101〜103の間に設けた内層導体回路161,131と,絶縁層の最表面から内層導体回路に向けて配設したブラインドビアホール141,142とを有するプリント配線板を製造するに当たり,ブラインドビアホール141の底部に位置する内層導体回路161には,予めその中央部分に開口穴160を設けておき,絶縁層の最表面からレーザー光を照射して,ブラインドビアホール141,142を形成する。その後,内層導体回路131,161及びブラインドビアホール141,142の表面に金属めっき膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,レーザー光を用いてビアホールを形成したプリント配線板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】プリント配線板は,例えば,図61に示すごとく,複数の絶縁層91〜93を積層すると共に,各層の間に設けた内層導体回路95,97と,最表面の外部導体回路94とを,ビアホール99a,99bに設けた金属めっき膜96により電気的に接続して形成されている。絶縁層91〜93としては,ガラス−エポキシ基板等の樹脂基板が用いられている。ビアホ−ル99a,99bは,一方が被覆され他方が開口したブラインドビアホールである。
【0003】上記ビアホールの孔明け方法としては,ドリルによる方法,レーザー光による方法などがある。しかしながら,上記のドリル孔明け方法は,深さ精度に不均一を生ずる。また,近年は配線パターンの高密度化が進んで,ビアホールの直径はますます細いものが要求されている。
【0004】そこで,レーザー光による孔明けが提案されている(特開昭62−216297号,特開平3−165594号公報)。
【0005】この方法によれば,図62に示すごとく,レーザー光81が銅箔,金属めっき膜等の金属製の内層導体回路95,97に対して反射するという性質を利用して,最表面から多層板内部の内層導体回路まで,ビアホール99a,99bを孔明けすることができる。
【0006】
【解決しようとする課題】しかし,図62に示すごとく,プリント配線板においては,ビアホールがプリント配線板の最表面に近い内層導体回路95に達する比較的浅いビアホール99aと,最表面から遠い内層導体回路97に達する比較的深いビアホール99bとが混在している。
【0007】そのため,レーザー光81により孔明け加工を行なうと,図63に示すごとく,深いビアホール99bの底部に設けてある内層導体回路97は損傷しないが,浅いビアホール99bの底部の内層導体回路95は,その中央部分に破れ,膨張等の損傷98を生ずることがある。
【0008】かかる損傷が発生すると,内層導体回路95,ビアホール99aの各表面及び外部導体回路の間に金属めっき膜を形成する場合,損傷98により発生した内層導体回路の破損片98aがビアホール99aに残存するため,金属めっき膜が充分に形成できないことがある。かかる不充分な金属めっき膜は,内層導体回路95と外部導体回路94との間の電気導通に悪影響を及ぼし,時にはプリント配線板自体を不合格品としてしまう。
【0009】上記のごとく,内層導体回路95が損傷を生ずる理由としては,図62に示すごとく,浅いビアホール99aの場合も,深いビアホール99bの場合も,深いビアホール99bを孔明け加工するために必要な強度のレーザー光81を照射するためである。
【0010】そこで,それぞれのビアホールの加工深さに応じた強度のレーザー光を照射することも考えられる。しかし,1枚のプリント配線板に設けるビアホールの数は,例えば500〜10000と数が多く,各ビアホール毎にレーザー光の強度を調整することは繁雑であると共にそのための高価な制御装置を必要とする。
【0011】また,内層導体回路95,97の表面には,絶縁層91,92との接着性を確保するため,黒化処理膜を設けている。黒化処理膜は,レーザー光のエネルギー吸収率が高いため,黒化処理膜を表面に設けている内層導体回路が溶融・膨張し,破れや損傷が生ずるおそれがある。
【0012】また,ビアホール内は樹脂等よりなる絶縁層が露出しているため,金属めっき膜を形成し難い。そのため,ビアホール内壁と金属めっき膜との接合性が低く,金属めっき膜の剥離,脱落などが生じ,ビアホールの電気的導通に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0013】また,ビアホールに金属めっき膜を形成するには,ビアホールの内外に電気めっき液を流通させながら行うが,ホール内径が小さくなるにつれて,電気めっき液の流通が困難となりめっき膜の形成が不均一になり,ビアホールの電気的導通が不十分となるおそれがある。
【0014】また,ビアホール内に,金属めっき膜のかわりに,半田を充填して導通を付与することが行われているが,この場合にビアホールの内壁と半田との接合強度が低く,外部圧力によって半田が抜け出てしまうことがある。
【0015】また,レーザ光の照射による穴明けを,上記のようなビアホール形成のほかにも利用することが要求される。
【0016】本発明はかかる問題点に鑑み,レーザー光による内層導体回路の損傷発生がなく,かつ確実な導電性を有するビアホールを形成することができ,レーザー光による新規な回路形成を実現できる,プリント配線板及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0017】
【課題の解決手段】第1の発明は,少なくとも2層の合成樹脂製の絶縁層と,該絶縁層の間に設けた内層導体回路と,上記絶縁層の最表面から上記内層導体回路に向けて配設したブラインドビアホールとを有するプリント配線板を製造するに当たり,上記ブラインドビアホールの底部に位置する内層導体回路には,予めその中央部分に開口穴を設けておき,次いで上記絶縁層の最表面からレーザー光を照射して,上記ブラインドビアホールを形成し,その後上記内層導体回路及びブラインドビアホールの表面に金属めっき膜を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0018】第1の発明において,最も注目すべきことは,上記内層導体回路には,予めその中央部分に開口穴を設けてあることである。
【0019】次に,第1の発明の作用効果につき説明する。第1の発明においては,ブラインドビアホールを形成すべき部分に向けて,レーザー光を照射し,プリント配線板の最表面から内層導体回路に至るブラインドビアホールを形成する。このとき,レーザー光は,プリント配線板の絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ孔を明けていく。そして,レーザー光の先端が内層導体回路に到達したときには,この金属製の内層導体回路によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。これにより,ブラインドビアホールの孔明け加工が終了する。
【0020】ここで重要なことは,多数のブラインドビアホールの穿設に当たっては,例えば,各孔毎に順次スポット的に,レーザー光を照射することにより孔明け加工する。一方,浅いブラインドビアホールと深いブラインドビアホールとは,その孔明け加工に必要な照射時間又はエネルギーが異なる。しかし,照射は上記のごとく順次連続的に行なっていくので,各孔に対しては,深いブラインドビアホールが確実に形成されるよう上記時間やエネルギーを設定しておき,同じ条件で全ての孔を加工する。
【0021】そして,第1の発明では,浅いブラインドビアホールの内層導体回路には上記開口穴が形成してある。そのため,浅いブラインドビアホールの孔明け時には,内層導体回路に,既にレーザー光が到達して孔明けが終了していても,深いブラインドビアホールを孔明けする条件で引き続きレーザー光が照射されることになる。しかし,このとき,そのレーザー光の中央部のエネルギーが大きい部分は,上記開口穴に照射され,該開口穴を通過していく。
【0022】そして,開口穴を通過したレーザー光は,該開口穴の先にある絶縁層のみに照射される。そのため,この内層導体回路部分においては,上記開口穴より先の絶縁層は少し孔明けされるが,内層導体回路自体は損傷を生じない。なお,深いブラインドビアホールの方の孔明け時には,内層導体回路による上記レーザー光の反射時にその照射を中止するため,損傷は生じない。
【0023】また,上記レーザー光は,浅いブラインドビアホール,深いブラインドビアホールに関係なく,全ての孔加工に対して同時に照射する方法もある。このときも上記と同様の作用効果が得られる(実施形態例参照)。
【0024】このように形成した深さが異なる各ブラインドビアホールに対しては,従来と同様に,その内部に上記金属めっき膜を形成する。このとき,いずれの内層導体回路も,上記のごとく,レーザー光による損傷を生じていないので,上記従来例に示したような不充分な金属めっき膜の形成という状態は回避でき,導電性に優れた金属めっき膜を形成できる。
【0025】第1の発明において,上記合成樹脂の絶縁層としては,合成樹脂単体,合成樹脂と無機フィラーとよりなる樹脂基材,合成樹脂と無機質クロスとよりなるクロス基材がある。上記合成樹脂としては,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,ポリブタジエン樹脂,弗化樹脂などがある。これらの合成樹脂のみによる絶縁層は,実施形態例に示すごとく,プリプレグ接着層として他の絶縁層の間に積層形成する場合がある。
【0026】また,上記合成樹脂に添加する無機フィラーとしては,ガラス短繊維,シリカ粉末,マイカ粉末,アルミナ,カーボンなどがある。合成樹脂と無機フィラーとの混合物よりなる基材は,合成樹脂単体の場合に比較して強度が高い。
【0027】また,上記クロス基材とは,ガラス−エポキシ基板,ガラス−ポリイミド基板など,布状に織成又は編成したクロスと合成樹脂とからなる基板をいう。かかるクロス基材としては上記クロスに合成樹脂を含浸させた基材がある。また,該クロスの材料としては,ガラス繊維クロス,カーボンクロス,アラミドクロスなどがある。合成樹脂は上記と同様の材料を用いる。
【0028】レーザー光による孔明けは,ブラインドビアホールを形成すべき部分にレーザー光を照射することにより行う。レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。
【0029】上記ブラインドビアホールは,プリント配線板の内部に設けられた所望する内層導体回路まで形成する。このようにして孔明けされたブラインドビアホールには,その底部の内層導体回路,ブラインドビアホールの壁面から外部導体回路にかけて連続した金属めっき膜を形成する。
【0030】次に,上記プリント配線板が上記内層導体回路を2段以上有しており,かつ各内層導体回路に上記ブラインドビアホールを設ける場合には,上記レーザー光を照射する側の最表面に近い側の内層導体回路には上記開口穴を設けておき,一方上記最表面から遠い側の内層導体回路には上記開口穴を設けることなく,それぞれレーザー光を照射することが好ましい。これにより,上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0031】上記内層導体回路に設ける開口穴は,ブラインドビアホールの直径の30〜60%であることが好ましい。開口穴径が30%未満では,開口穴を設けた内層導体回路と開口穴を設けていない最深部分の内層導体回路との間の距離が大きい場合,開口穴を設けた内層導体回路がレーザー光により損傷を受けるおそれがある。一方60%を越えると,銅めっきと内層導体回路との接続が充分でないおそれがある。
【0032】上記金属めっき膜は,上記内層導体回路の開口穴を覆うように形成することが好ましい。これにより,ブラインドビアホールの底部も完全に金属めっき膜により被覆されるので,ブラインドビアホール内への湿気侵入がない。
【0033】また,第1の発明は,接続信頼性を高く要求されるプリント配線板,例えばメモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージなどに利用できる。
【0034】第2の発明は,少なくとも2層の合成樹脂製の絶縁層と,該絶縁層の間に設けた内層導体回路と,最表面から上記内層導体回路に向けて配設され,深さが異なる多数のブラインドビアホールとを有するプリント配線板を製造するに際して,上記ブラインドビアホールの形成はレーザー光を各ブラインドビアホール毎に順次照射することにより穿設する方法において,最も浅いブラインドビアホールである基準ホールを穿設するために必要なエネルギー強度を有する基準レーザー光を用い,上記基準ホールの穿設に当たっては上記基準レーザー光を照射し,それ以上深いブラインドビアホールの穿設に当たっては上記基準レーザー光を複数回照射して穿設することを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0035】第2の発明において最も注目すべきことは,上記基準レーザー光を用い,上記基準ホールについては基準レーザー光を照射し,一方基準ホールより深いブラインドビアホールの穿設に当たっては,上記基準レーザー光を複数回照射することである。
【0036】次に,第2の発明の作用効果につき説明する。第2の発明においては,ブラインドビアホールを形成すべき部分に向けて,レーザー光を照射し,プリント配線板の最表面から内層導体回路に至るブラインドビアホールを形成する。このとき,レーザー光は,プリント配線板の絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ孔を明けていく。そして,レーザー光の先端が内層導体回路に到達したときには,この金属製の内層導体回路によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。これにより,ブラインドビアホールの孔明け加工が終了する。
【0037】そして,多数のブラインドビアホールの穿設に当たっては,各孔毎に順次スポット的に,レーザー光を照射することにより孔明け加工する。このとき,浅いブラインドビアホールと深いブラインドビアホールとは,その孔明け加工に必要なエネルギー強度が異なる。
【0038】そこで,第2の発明においては,最も浅いブラインドビアホールである基準ホールを穿設するに必要なエネルギー強度を有する基準レーザー光を用い,上記基準ホールに対してはこの基準レーザー光を1回照射してその穿設を行なう。一方,基準ホールよりも深いブラインドビアホールに対しては,上記基準レーザー光を複数回照射して穿設する。
【0039】そのため,第2の発明によれば,多数のブラインドビアホールを,上記基準ホールとそれ以外のブラインドビアホールとに区分して,基準レーザー光の照射回数を定めれば良い。また,基準ホール以外のブラインドビアホールについても数種類の深さがあるが,各ブラインドビアホールの深さは,プリント配線板の設計時に,予め知ることができる。
【0040】一方,レーザー光発振器は,例えば各ブラインドビアホールの位置を示す座標点まで移動させ,その都度基準レーザー光の照射をする。そして,この移動,座標点での停止は,位置決め用の座標制御装置により,N/C制御により行なわれる。それ故,例えば,上記座標制御装置によって位置決めされるレーザー光発振器に,各ブラインドビアホール毎に必要な基準レーザー光の照射回数を設定しておくことによって,各ブラインドビアホール毎に必要なエネルギー強度の照射をすることができる。
【0041】よって,多数のブラインドビアホールの穿設に要する時間が短縮され,コスト低減を図ることができる。また,装置的にも複数回の照射をするか否かの制御で良いため,装置面でのコストも低減できる。したがって,第2の発明によれば,上記基準レーザー光の照射回数を調整することだけで,深さの異なる多数のブラインドビアホールを容易に穿設することができる。
【0042】なお,上記ブラインドビアホールの深さは,プリント配線板の最表面から内層導体回路(最下面の下面回路も含む)までの深さであり,各深さは内層導体回路間の距離に応じて異なる。また,この距離は,内層導体回路間に設けた絶縁層の厚みによって決まる。そのため,ブラインドビアホールの深さは,大体,基準ホールの深さの整数倍に近いことになる。それ故,基準ホール以外のブラインドビアホールに対しては,上記基準レーザー光を複数回照射すれば穿設できることになる。
【0043】第2の発明において,上記合成樹脂の絶縁層としては,例えば合成樹脂単体,合成樹脂と無機フィラーとよりなる樹脂基材,合成樹脂と無機質クロスとよりなるクロス基材がある。上記合成樹脂としては,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,ポリブタジエン樹脂,弗化樹脂などがある。これらの合成樹脂のみによる絶縁層は,プリプレグ接着層として他の絶縁層の間に積層形成する場合がある。
【0044】レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。上記基準レーザー光のエネルギー強度は,例えばレーザー光の周波数,出力(W),照射時間によって,実験的に定めることができる。なお,上記ブラインドビアホールは,所望する内層導体回路まで形成する。このようにして孔明けされたブラインドビアホールには,その底部の内層導体回路,ブラインドビアホールの壁面から外部導体回路にかけて連続した金属めっき膜を形成する(図10参照)。
【0045】また,上記基準レーザー光を全てのブラインドビアホールの穿設に対して1回当て照射し,その後上記基準ホールよりも深いブラインドビアホールに対してのみ,上記基準レーザー光を,その穿設に必要な回数照射することが好ましい。これにより,多種の深さの穴を同サイクルで,均一な状態の穴に加工できる効果を得ることができる。
【0046】上記基準レーザー光の照射は,隣接するブラインドビアホールを順次穿設していくよう照射し,その際上記基準ホールの穿設に当たっては1回の照射を,それより深いブラインドビアホールの穿設に当たっては,その都度,その穿設に必要な回数の照射を行なうことが好ましい。これにより,テーブル移動等加工に必要のない動きを最少限にできるため,全体の加工時間の短縮ができる。
【0047】また,第2の発明は,接続信頼性を高く要求されるプリント配線板,例えばメモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージなどに利用できる。
【0048】第3の発明は,内層板の表面に内層導体回路を設け,該内層導体回路の表面に黒化皮膜を形成し,次いで上記内層板に対し絶縁層を介して第二導体回路を設け,次いでレーザー光を照射して上記絶縁層の最表面より上記内層導体回路に至るビアホールを設け,その後上記ビアホールの内壁面に金属めっき膜を設けることによりプリント配線板を製造する方法において,上記内層導体回路における上記レーザー光が照射される照射部は,上記黒化皮膜が設けられていない露出部を形成していることを特徴とするプリント配線板の製造方法がある。
【0049】レーザー光による穴明けは,ビアホールを形成すべき部分にレーザー光を照射することにより行う。レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。また,上記レーザー光の照射によるビアホールの形成は,上記絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ穴を明けていく。そして,上記レーザー光の先端が内層導体回路に到達したときには,この金属製の内層導体回路によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。
【0050】第3の発明の作用について説明する。第3の発明にかかる製造方法においては,レーザー光の照射部は内層導体回路に黒化皮膜のない露出部を形成してある。このため,上記レーザー光は金属製の内層導体回路により反射して,殆ど内層導体回路には吸収されない。そのため,上記内層導体回路が異常に加熱されることを防止できる。よって,内層導体回路に熱による損傷が生じない。
【0051】従って,第3の発明においては,上記内層導体回路を損傷させることなく,レーザー光を用いてビアホールを形成することができる。また,レーザー光によりビアホールを形成することから,より小さな径のビアホールを得ることができ,高密度,高精度のプリント配線板を製造し易くなる。
【0052】以上のように,第3の発明によれば,レーザー光によりビアホールを形成するに当たって内層導体回路に損傷が生じない,多層プリント基板の製造方法を提供することができる。
【0053】また,第3の発明において得られたプリント配線板は,接続信頼性を高く要求される,例えば,メモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージ等に使用することができる。
【0054】上記露出部は,上記内層導体回路に上記黒化皮膜を形成した後に,上記黒化皮膜をエッチングして形成することが好ましい。これにより,任意の位置に黒化皮膜を容易に形成することができる。
【0055】または,上記露出部は,上記内層導体回路に対する上記黒化皮膜の形成時に,上記内層導体回路を部分的にマスクしておき,上記黒化皮膜が形成されないようすることにより,形成することが好ましい。これにより,上記黒化皮膜の形成時に容易に露出部を形成することができる。
【0056】上記絶縁層及び上記第二導体回路は二組以上設けてあることが好ましい。これにより,高密度配線のプリント配線板を容易に得ることができる。
【0057】なお,上記絶縁層及び上記第二導体回路が二組以上ある場合としては,ある絶縁層及びこの表面に設けた第二導体回路からなる一組の表面に,更に異なる絶縁層及び第二導体回路からなる他の一組を設けることができる(図20参照)。即ち,上記第二導体回路は上記絶縁層の上に形成するもので,これらが一組となって多層状に形成される。
【0058】この場合,最外方に設けた絶縁層の最表面より,いずれかの第二導体回路の表面に至るビアホールを設けることができる(図20参照)。また,上記内層導体回路と同様に,上記第二導体回路の表面にも黒化皮膜が形成され,かつ,上記ビアホール形成用のレーザー光が照射される照射部は,上記黒化皮膜が設けられていない露出部を形成していることが好ましい(実施形態例3参照)。
【0059】また,上記の製造方法により得られるプリント配線板としては,例えば,絶縁層と,該絶縁層に隣接して設けられ,その表面に黒化皮膜を有する内層導体回路と,上記絶縁層の最表面から上記内層導体回路に至るビアホールとを有し,かつ上記内層導体回路における上記ビアホールの底部に位置する部位には内層導体回路には黒化皮膜を設けていない露出部が形成されていることを特徴とするプリント配線板がある。
【0060】このプリント配線板においては,上記ビアホールの底部となる部分の内層導体回路には黒化皮膜がなく,内層導体回路が露出している。この部分においてはレーザー光が殆ど吸収されない。
【0061】よって,上記絶縁層に対しビアホールを設けるために,該絶縁層にレーザー光を照射した際の内層導体回路の異常加熱を防止することができ,上記内層導体回路の溶融等による損傷を防止することができる。以上のように,第3の発明によれば,レーザー光によりビアホールを形成するに当たって内層導体回路に損傷が生じない,多層プリント基板を提供することができる。
【0062】第4の発明は,内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に設けた外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなるプリント配線板において,上記ビアホールの内部に突出する,開口穴を有する環状中間ランドを設けてなり,かつ上記ビアホールは,上記環状中間ランドよりも外部側の外部ビアホールの径が上記内層導体回路側の内部ビアホールの径よりも大きいと共に,上記環状中間ランドにおいて段状部を有する段状ビアホールを形成しており,また,上記内部金属めっき膜は上記外部ビアホール及び上記内部ビアホールの内壁面に沿った段状めっき膜を形成していることを特徴とするプリント配線板である。
【0063】第4の発明の作用について説明する。第4の発明にかかるプリント配線板においては,ビアホールの内部に突出する開口穴を有する環状中間ランドを設けてなる。また,上記ビアホールは上記環状中間ランドにおいて段状部を有する段状ビアホールである。更に,上記内部金属めっき膜は外部ビアホール及び内部ビアホールの内壁面に沿った段状めっき膜を形成している。
【0064】上記環状中間ランドは上記ビアホールの段状部において露出する。この露出部分は,外径が上記外部ビアホールの径と等しく,内径が内部ビアホールの径と等しいリング状を呈している。ここにおいて上記内部めっき膜は段状めっき膜を形成しつつ接している(後述の図27参照)。
【0065】そして,上記内部金属めっき膜はビアホール内の絶縁層の露出部分には接合し難いが,上記環状中間ランドに対しては強く接合することができる。よって,上記内部金属めっき膜は上記環状中間ランドの露出部分に接合され,これにより上記ビアホール内に強く接合することができる。また,上記環状中間ランドの開口穴の内径側面も上記ビアホールに対し露出するため,この部分においても上記内部金属めっき膜は接合することができる。それゆえ,上記内部金属めっき膜の剥離・脱落を防止することができる。
【0066】ところで,上記境界部分には後述する境界導体回路が設けられることがあるが,該境界導体回路のない部分にビアホールを形成した場合には,該ビアホールの開口周縁の厚みは,境界部分に境界導体回路を設けた個所よりも境界導体回路の厚み分だけ薄くなる。このため,上記境界導体回路の厚み分のへこみが上記ビアホールの開口周縁に形成されてしまう。上記環状中間ランドを設けることにより,該環状中間ランドの厚み分,上記ビアホールの開口周縁の厚み分だけ厚くなることから,上記ビアホール開口周縁のへこみを防止することができる。
【0067】以上のように,第4の発明によれば,ビアホール内に対して内部金属めっき膜が強く接合した,プリント配線板を提供することができる。
【0068】上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路には接続されていないダミーランドであることが好ましい。これにより,絶縁層が多数積層され,これらの絶縁層の多くに境界導体回路が存在しない部分にビアホールを設けた場合であっても,ビアホール開口周縁のへこみを防止することができる。
【0069】上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路に接続された導電ランドであることが好ましい。これにより,単一のビアホールにより,三層以上の導体層を接続することができる。それゆえ,ビア及びランドの配線エリアが減少するための高密度化が可能になる。
【0070】上記環状中間ランドは,銅,ニッケル等の金属により構成することが好ましい。
【0071】上記プリント配線板を製造する方法としては,例えば,内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に設けた外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなり,かつ上記ビアホールの内部に突出する,開口穴を有する環状中間ランドを設けてなり,かつ上記ビアホールは,上記環状中間ランドよりも外部側の外部ビアホールの径が上記内層導体回路側の内部ビアホールの径よりも大きいと共に,上記環状中間ランドにおいて段状部を有する段状ビアホールを形成しており,また,上記内部金属めっき膜は上記外部ビアホール及び上記内部ビアホールの内壁面に沿った段状めっき膜を形成しているプリント配線板を製造する方法において,上記ビアホールは,上記最表面より上記内層導体回路に向けてレーザー光を照射することにより形成し,この際,上記レーザー光は上記環状中間ランドの上記開口穴を貫通して上記内層導体回路まで到達させ,かつ上記レーザー光は上記外部ビアホールの径を形成するに必要な範囲に照射し,上記ビアホール形成後に上記金属めっき膜を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法がある。
【0072】この製造方法によれば,第4の発明と同様に,ビアホール内と内部金属めっき膜とが強く接合したプリント配線板を得ることができる。また,上記ビアホールはレーザー光の照射によって形成するので,300μm以下の非常に細径のビアホールを容易に得ることができる。
【0073】以上のように,この製造方法によれば,ビアホール内に対して内部金属めっき膜が強く接合し,細径のビアホールを有する,プリント配線板を容易に製造することができる。
【0074】レーザー光によるビアホール形成は,ビアホールを形成すべき部分にレーザー光を照射することにより行う。レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。また,上記レーザー光の照射によるビアホールの形成は,上記絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ穴を明けていく。
【0075】この時,上記ビアホールの外径近傍を形成するレーザー光は,上記ビアホールに露出した環状中間ランドにおいて反射される。よって,この環状中間ランドの下部に存在する絶縁層はそのまま残留する。また,上記ビアホールの中央部分を形成するレーザー光は,上記環状中間ランドの開口穴を通過して更に下方の絶縁層を気化除去する。その後,上記内層導体回路に到達したときには,この金属製の内層導体回路によってレーザー光が反射される。よって,ここでレーザー光の照射を停止する。
【0076】以上によりビアホールはレーザー光により環状中間ランドよりも上部は外径が大きく,環状中間ランドよりも下部は外径が小さくなる。即ち,段状部を有する段状ビアホールを形成することができる。
【0077】上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路には接続されていないダミーランドであることが好ましい。上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路に接続された導電ランドであることが好ましい。いずれの場合も上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0078】第5の発明は,内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に形成された外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなるプリント配線板において,上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分には,上記ビアホールの周囲に開口穴を有する補強用の環状ダミーランドを設けてなり,該環状ダミーランドは上記内部金属めっき膜と接合していることを特徴とするプリント配線板である。
【0079】上記プリント配線板において,上記境界部分には,内層導体回路を設けることがあるが,上記環状ダミーランドは,上記内層導体回路と導通しないよう別個に設けたもので,補強用のランドである。上記環状ダミーランドは,銅,ニッケル等の金属により構成することが好ましい。
【0080】第5の発明の作用について説明する。第5の発明にかかるプリント配線板においては,ビアホールの周囲に補強用の環状ダミーランドを設けてなり,該環状ダミーランドはビアホール内の内部金属めっき膜と接合している。上記内部金属めっき膜はビアホール内の絶縁層の露出部分には接合し難いが,上記環状ダミーランドの側面については強く接合することができる。よって,上記内部金属めっき膜は上記ビアホール内に強く接合することができる。それゆえ,上記内部金属めっき膜の剥離・脱落を防止することができる。
【0081】ところで,上記境界部分には内層導体回路が設けられることがあるが,該内層導体回路のない部分にビアホールを形成した場合には,該ビアホールの開口周縁は,境界部分に内層導体回路を設けた個所よりも内層導体回路の厚み分だけ薄くなる。このため,上記内層導体回路の厚み分のへこみが上記ビアホールの開口周縁に形成されてしまう。このことは,特に4層以上の絶縁層を貫通して設けたビアホールにおいて生じ易い(図33参照)。上記環状ダミーランドを設けることにより,上記ビアホール開口周縁のへこみを防止することができる。
【0082】以上のように,第5の発明によれば,ビアホール内に対して内部金属めっき膜が強く接合した,プリント配線板を提供することができる。
【0083】また,第5の発明において得られたプリント配線板は,接続信頼性を高く要求される,例えば,メモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージ等に使用することができる。
【0084】上記環状ダミーランドは,上記ビアホールの径よりも大きい外径を有し,上記ビアホールの径と同じ径の開口穴を有することが好ましい。これにより,より環状ダミーランドを安定して配置できると共に補強効果を一層高めることができる。
【0085】上記プリント配線板を製造する方法としては,内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に形成された外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなり,かつ,上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分には,上記ビアホールの周囲に開口穴を有する補強用の環状ダミーランドを設けてなり,該環状ダミーランドは上記内部金属めっき膜と接合しているプリント配線板を製造する方法において,上記ビアホールは,上記最表面より上記内層導体回路に向けてレーザー光を照射することにより形成し,この際レーザー光は上記環状ダミーランドの開口穴を貫通して上記内層導体回路まで到達させ,その後上記内部金属めっき膜を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法がある。
【0086】この製造方法によれば,上記のプリント配線板と同様に,ビアホール内と内部金属めっき膜とが強く接合したプリント配線板を得ることができる。また,上記ビアホールはレーザー光の照射によって形成するので,300μm以下の非常に細径のビアホールを容易に得ることができる。
【0087】以上のように,この製造方法によれば,ビアホール内に対して内部金属めっき膜が強く接合し,細径のビアホールを有する,プリント配線板を容易に製造することができる。
【0088】レーザー光によるビアホール形成は,ビアホールを形成すべき部分にレーザー光を照射することにより行う。レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。また,上記レーザー光の照射によるビアホールの形成は,上記絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ穴を明けていく。そして,上記レーザー光の先端が内層導体回路に到達したときには,この金属製の内層導体回路によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。
【0089】上記環状ダミーランドは,上記ビアホールの径よりも大きい外径を有し,上記ビアホールの径と同じ径の開口穴を有することが好ましい。これにより,上記と同様に,より環状ダミーランドを安定して配置できると共に補強効果を一層高めることができる。
【0090】第6の発明は,絶縁層の上面に上部導体回路を,一方その下面に下部導体回路を設けてなり,また上記上部導体回路と下部導体回路との間には上記絶縁層を貫通して上記下部導体回路を底部とするブラインドビアホールを設けてなり,また該ブラインドビアホールにはその内壁に上記上部導体回路と下部導体回路との間を電気的に接続するためのビアめっき層を設けてなるプリント配線板において,上記ブラインドビアホールの底部を構成する下部導体回路にはブラインドビアホールよりも小さい径を有するめっき液流通穴が設けてあることを特徴とするプリント配線板である。
【0091】上記めっき液流通穴の径はブラインドビアホールの径によっても異なるが,上記ブラインドビアホールの径が0.1〜0.3mmである場合には,上記めっき液流通穴の径は0.01〜0.1mmとすることが好ましい。これにより,均一なビアめっき層を得ることができる。
【0092】なお,上記流通穴の径が0.01mm未満である場合にはめっき液を流通させるという目的を果たすことができないおそれがある。一方,0.1mmより大である場合には,めっきにて穴が閉塞されず,半田充填時の半田のもれが発生するという問題が生じるおそれがある。
【0093】第6の発明の作用について説明する。第6の発明にかかるプリント配線板においては,上記ブラインドビアホールの底部を構成する下部導体回路にはブラインドビアホールよりも小さい径を有するめっき液流通穴が設けてある。
【0094】これにより,上記ビアめっき層の形成の際には,上記めっき液流通穴を通じてブラインドビアホール内外に対してめっき液が流通することができる。このため,ブラインドビアホールの内壁に対してめっき成分を充分に含んだめっき液が常時接触することとなり,まだら状態となることなく均一なビアめっき層を得ることができる。このため,上部導体回路と下部導体回路との電気的な導通に優れた,即ち両者の接続信頼性に優れたプリント配線板を得ることができる。
【0095】以上のように,第6の発明によれば,ブラインドビアホールに対しまだら状態となることなく均一にビアめっき層が形成されたプリント配線板を提供することができる。
【0096】また,第6の発明において得られたプリント配線板は,接続信頼性を高く要求される,例えば,メモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージ等に使用することができる。また,第6の発明は,絶縁層が単層のプリント配線板のみならず,複数層のプリント配線板にも適用できることは勿論である。
【0097】上記めっき液流通穴は上記ビアめっき層により閉塞されていることが好ましい。これにより,半田充填時の半田量が均一化できる。
【0098】上記めっき液流通穴の径は上記ブラインドビアホールの径の10〜40%であることが好ましい。これにより,めっき液の流通を充分に行うことができる。一方,上記流通穴の径がブラインドビアホールの径の10%未満である場合にはめっき液を流通させるという目的を果たすことができないおそれがある。一方,40%より大である場合には,めっきにより穴の閉塞が不完全になるおそれがある。
【0099】上記プリント配線板を製造する方法としては,絶縁層の上面に上部導体回路を,一方その下面に下部導体回路を設けてなり,また上記上部導体回路と下部導体回路との間には上記絶縁層を貫通して上記下部導体回路を底部とするブラインドビアホールを設けてなり,また該ブラインドビアホールにはその内壁に上記上部導体回路と下部導体回路との間を電気的に接続するためのビアめっき層を設けてなり,かつ上記ブラインドビアホールの底部を構成する下部導体回路にはブラインドビアホールよりも小さい径を有するめっき液流通穴が設けてあるプリント配線板を製造する方法において,上記ブラインドビアホールは上記絶縁層の上面より上記下部導体回路に向けてレーザー光を照射することにより穿穴し,また,この穿穴時には上記レーザー光によって下部導体回路にめっき液流通穴を形成し,次いで,化学めっき液を上記ブラインドビアホール及び上記めっき液流通穴に流通させることにより,上記ブラインドビアホール内に化学めっき層を形成し,その後同様に電気めっき液を流通させながら電気めっきを行い上記ビアめっき層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法がある。
【0100】この製造方法においては,下部導体回路に形成しためっき液流通穴を利用して電気めっき液を流通させながら電気めっきを行いビアめっき層を形成する。これにより,上記電気めっき液は上記めっき液流通穴を通じてブラインドビアホール内外に対して充分に行き来することができる。よって,まだら状態となることなく均一なビアめっき層を得ることができる。
【0101】また,レーザー光によりビアホールを形成することから,より小さな径のビアホールを得ることができ,高密度,高精度のプリント配線板を製造し易くなる。
【0102】なお,レーザー光による穴明けは,ビアホールを形成すべき部分にレーザー光を照射することにより行う。レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。また,上記レーザー光の照射によるビアホールの形成は,上記絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ穴を明けていく。そして,上記レーザー光の先端が下部導体回路に到達したときには,この金属製の下部導体回路によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。
【0103】また,レーザー光のエネルギーは中心部で高く周縁部で低い。このため,レーザー光を使用することにより,上記ブラインドビアホールの底部を構成する下部導体回路の中心部に上記めっき液流通穴を形成することを容易に行うことができる。
【0104】上記内層導体回路には予めめっき液流通穴形成用の絶縁層の露出部(即ち内層導体回路のない部分)を設けておくことが好ましい。上記下部導体回路は銅箔等の金属よりなるため,レーザー光を反射してしまう。露出部を設けることにより,該露出部より上方の絶縁層が気化除去されて,めっき液流通穴を得ることができる。
【0105】第7の発明は,絶縁基板の上面に,導通用孔形成部分の周縁において上面パターンを形成する工程と,絶縁基板の下面に,導通用孔形成部分を閉塞する下面パターンを形成する工程と,絶縁基板に導通用孔を孔明けする工程と,上記導通用孔の内壁に,化学めっき処理及び電気めっき処理を行うことにより金属めっき膜を形成する工程とを有するプリント配線板を製造する方法において,上記電気めっき処理は,上記絶縁基板を電気めっき浴に浸漬した状態で,上記導通用孔の内壁を被覆する化学めっき膜に電流密度0.8〜1.4A/dm2 の電流を流すことにより行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0106】第7の発明の作用及び効果について説明する。第7の発明においては,化学めっき膜に流す電流の電流密度を,上記のごとく従来よりも小さくしている。そのため,導通用孔の内壁に,厚膜めっきを形成することができる。それゆえ,金属めっき膜の機械的強度が高くなり,導通用孔の電気的接続信頼性が向上する。また,直径の小さい導通用孔の内壁にも,十分な厚みの金属めっき膜を形成することができるため,導通用孔の高密度実装化を実現することができる。
【0107】なお,上面パターンを形成する工程,下面パターンを形成する工程,及び導通用孔を孔明けする工程は,いずれを先に行ってもよく,順不同である。
【0108】上記金属めっき膜は,銅であることが好ましい。これにより,延性が良く,かつ電気抵抗の少ない金属めっき膜を形成することができる。
【0109】上記電気めっき処理は,2回以上行うことが好ましい。これにより,一層厚い金属めっき膜を,短時間に形成することができる。また,金属めっき膜の厚みを均一にすることができる。一方,電気めっき処理を1回だけ行う場合には,厚膜の金属めっき膜の形成に長時間を要する場合がある。
【0110】上記上面パターン,下面パターンは,例えば,配線回路,パッド,端子,ランド等の,絶縁基板の表面に形成し得るあらゆる導電性パターンをいい,例えば,金属箔のエッチング,金属めっき等により形成することができる。上記絶縁基板としては,合成樹脂単体,プリプレグ等がある。上記合成樹脂としては,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,ポリブタジエン樹脂,弗素樹脂等がある。
【0111】プリント配線板は,1の絶縁基板からなる場合,2以上の絶縁基板の積層体からなる。2以上の絶縁基板の積層体の場合,導体用孔はすべての絶縁基板を貫通していてもよいし,一部の絶縁基板だけを貫通していてもよい。
【0112】また,上記プリント配線板は,例えばメモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージ等に利用できる。
【0113】また,上記導体用孔の孔明けは,例えば,レーザー光を絶縁層の孔明け部分に照射する方法,化学的に絶縁層の孔明け部分を溶融する方法等がある。
【0114】第8の発明は,絶縁基板の表面に設けた導体パターンと,上記絶縁基板を貫通するとともに上記導体パターンの上面に達する半田充填用孔と,該半田充填用孔の内部に充填してなる半田とを有するプリント配線板において,上記絶縁基板は,繊維を含有しており,かつ上記半田充填用孔の壁面には上記繊維の端部が突出し,該繊維の端部が上記半田の中に食い込んでいることを特徴とするプリント配線板である。
【0115】第8の作用及び効果について説明する。第8においては,半田充填用孔の壁面に,絶縁基板に含まれている繊維の端部が突出している。この繊維の端部は,半田充填用孔の内部に充填された半田の中に食い込んでいる。そのため,半田が,半田充填用孔に対して強く接合されることとなる。従って,プリント配線板が外部から力学的影響を受けた場合にも,半田が半田充填用孔から抜け出ることはない。
【0116】更に,半田充填用孔の壁面から突出した繊維の端部が半田の内部に食い込んでいるため,絶縁基板が0.05〜0.20mm程度の薄板で半田と半田充填用孔の壁面との接合面積が小さくても,半田が半田充填用孔から抜け出ることはない。上記半田充填用孔の壁面から繊維の端部を突出させるにあたっては,例えば,半田充填用孔の形成をレーザー光により行う方法がある。
【0117】上記繊維は,ガラス繊維,樹脂繊維,又はセラミック繊維の1種以上であることが好ましい。これにより,繊維の半田の内部への食い込み力が向上し,半田と半田充填用孔との接合強度がより向上する。上記繊維は,例えば,フェルト又はクロスの状態で,上記絶縁基板の中に含まれている。
【0118】上記プリント配線板を製造する方法としては,半田充填用孔の内部に半田を充填してなるプリント配線板を製造する方法において,まず,繊維を含有する絶縁基板の表面に導体パターンを形成し,次いで,絶縁基板における導体パターンにより被覆されていない部分において,上記導体パターンに向けてレーザー光を照射して,半田充填用孔を形成するとともに該半田充填用孔の壁面に絶縁基板の内部に含まれる繊維の端部を突出させた状態となし,次いで,上記半田充填用孔の内部に半田を充填することを特徴とするプリント配線板の製造方法がある。
【0119】第8の発明は,上記半田充填用孔をレーザー光の照射によって形成することにより,半田充填用孔の壁面に繊維の端部を残している。そのため,容易に半田充填用孔の壁面に繊維の端部を突出させることができる。
【0120】また,レーザー光は,絶縁基板だけに半田充填用孔を形成でき,半田充填用孔の一方の開口部を被覆する導体パターンは,そのまま残した状態にすることができる。そのため,半田充填用孔の形成前に,絶縁基板の表裏両面に導体パターンを形成しておくことができ,製造工程を簡略化することができる。
【0121】上記繊維は,ガラス繊維,樹脂繊維,又はセラミック繊維の1種以上であることが好ましい。これにより,繊維の半田の内部への食い込み力が向上し,半田と半田充填用孔との接合強度がより向上する。上記繊維は,例えば,フェルト又はクロスの状態で,上記絶縁基板の中に含まれている。
【0122】第9の発明は,少なくとも2層の絶縁層を有し,該絶縁層の間に内層導体回路を有してなり,また最表面には上記内層導体回路に向けてブラインドビアホールを穿設してなり,かつ該ブラインドビアホールの内部には半田を充填してなるプリント配線板において,上記ブラインドビアホールは,その壁面の断面形状が凹凸形状であることを特徴とするプリント配線板である。
【0123】第9の発明の作用につき,以下に説明する。第9の発明にかかるプリント配線板においては,ブラインドビアホールの壁面の断面形状が凹凸状である。このため,上記ブラインドビアホールに充填された半田は上記凹凸に対し食い込むことにより,この部分に固定される。従って,上記半田はブラインドビアホールに対して高い密着強度を得ることができる。
【0124】以上のように,第9の発明によれば,ブラインドビアホールに充填した半田の密着強度が高いプリント配線板を提供することができる。
【0125】また,第9の発明により得られたプリント配線板は,接続信頼性を高く要求される,例えば,メモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージ等に使用することができる。
【0126】上記凹凸形状はブラインドビアホールの横方向へ広がる凹形状,ブラインドビアホールの内側方向へ突出する凸形状,または波形状を呈していることが好ましい(後述の図52,図54,図55参照)。これにより,充填した半田を確実にブラインドビアホール内に密着させることができる。
【0127】上記ブラインドビアホール内に充填された半田は,半田ボールを介して他のPCボードに接続されていることが好ましい。これにより,上記PCボードと上記ブラインドビアホールとの間の電気的導通を確実に確保することができる。なお,上記PCボードとは印刷回路が形成された各種基板類を示しており,具体的には各種装置等のマザーボード,ドーターボード,メモリーモジュール,マルチチップモジュール,カードモジュール等が挙げられる。
【0128】上記プリント配線板を製造する方法としては,少なくとも2層の絶縁層を有し,該絶縁層の間に内層導体回路を有してなり,また最表面には上記内層導体回路に向けてブラインドビアホールを穿設してなり,かつ該ブラインドビアホールの内部には半田を充填してなり,更に上記ブラインドビアホールは,その壁面の断面形状が凹凸形状であるプリント配線板を製造するに当たり,上記ブラインドビアホールはレーザー光を照射することにより形成し,その後ブラインドビアホール内に溶融半田を流入させることを特徴とするプリント配線板の製造方法がある。
【0129】上記製造方法によれば,上記のごとく,ブラインドビアホールの壁面の断面形状が凹凸状であるプリント配線板を製造することができる。このため,上記ブラインドビアホールに充填された充填半田は上記凹凸形状に対し食い込むことができる。従って,上記充填半田のブラインドビアホールに対する高い密着強度を得ることができる。また,上記ブラインドビアホールはレーザー光の照射によって形成するので,300μm以下の非常に細径とすることができる。
【0130】レーザー光によるブラインドビアホール形成は,ブラインドビアホールを形成すべき部分にレーザー光を照射することにより行う。レーザー光としては,エネルギーの大きい炭酸ガスレーザー光,熱影響のないエキシマレーザを用いることが好ましい。また,上記レーザー光の照射によるブラインドビアホールの形成は,上記絶縁層をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次プリント配線板の内方へ穴を明けていく。そして,上記レーザー光の先端が内層導体回路に到達したときには,この金属製の内層導体回路によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。
【0131】なお,上記絶縁層をガラスクロス等の基材に樹脂を含浸させたプリプレグにより構成することにより,レーザー光照射だけで上記凹凸形状の断面を有するブラインドビアホールを得ることができるため,好ましい。これは,レーザー光により絶縁層を気化除去する際,樹脂の部分のほうが基材の部分よりも早く除去されるためである。
【0132】次に,第10の発明は,上記レーザー光の照射により穴明けする技術を利用して搭載用凹部を形成する方法である。即ち,第10の発明は,電子部品を搭載するための搭載用凹部と導体パターンとを有するとともに,上記搭載用凹部の底部に放熱板を設けてなるプリント配線板を製造する方法において,絶縁基板に導体パターンを形成し,次いで,上記絶縁基板における搭載用凹部を形成する搭載用凹部形成部分の下面に放熱板を接着し,次いで,上記搭載用凹部を形成するに当たり,上記搭載用凹部形成部分の上面側にレーザー光を照射して,搭載用凹部を穴明けすることを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0133】第10の発明の作用及び効果について説明する。第10の発明においては,図56に示すごとく,絶縁基板の搭載用凹部形成部分を放熱板により被覆した後に,レーザー光の照射により,搭載用凹部を穴明けしている。そのため,所望の寸法通りの開口部が容易に得ることができる。
【0134】また,第10の発明においては,搭載用凹部形成部分に向けて,レーザー光を照射し,プリント配線板の表面から,その反対側に接着した放熱板に至る搭載用凹部を形成する。このとき,レーザー光は,その高いエネルギーによって,搭載用凹部形成部分の絶縁基板を気化除去させていき,順次絶縁基板の内方に穴を明けていく。そして,レーザー光の先端が放熱板に到達したとき,金属製の放熱板によってレーザー光が反射される。そのため,ここでレーザー光の照射を中止する。これにより,片方の開口部が放熱板により被覆されてなる非貫通の搭載用凹部を形成することができる。
【0135】また,絶縁基板が薄い場合にも,絶縁基板に何ら損傷を与えることなく,搭載用凹部を形成することができる。更に,搭載用凹部の底部は,放熱板の表面である。そのため,電子部品は,搭載用凹部の内部において,放熱板の表面に搭載されることになる。それゆえ,放熱性に優れた搭載用凹部を形成することができる。
【0136】また,複数枚の絶縁基板を貫通する搭載用凹部を形成する場合にも,従来のように搭載用凹部形成用の貫通穴を各絶縁基板ごとに穴明けする必要がない。更に,各貫通穴を連結するための各絶縁基板の位置決めが不要となる。従って,第10の発明の製造方法によれば,容易かつ正確に搭載用凹部を形成することができる。
【0137】上記絶縁基板は,2以上の絶縁層を積層するとともに,絶縁基板の内部には導体パターンを有することを特徴とするプリント配線板の製造方法が好ましい。これにより,プリント配線板の高密度配線を実現することができる。
【0138】上記放熱板の厚みは,0.01〜2mmであることが好ましい。これにより,搭載用凹部の底部について高い強度が得られるとともに放熱板の加工もしやすくなる。一方,0.01mm未満の場合には,搭載用凹部の底部の強度が低くなり,放熱板に破れを生ずる場合がある。また,2mmを越える場合には,放熱板の加工が困難になるおそれがある。
【0139】上記レーザー光としては,例えば,炭酸ガスレーザー,エキシマレーザー等を用いる。上記絶縁基板としては,例えば,合成樹脂単体,合成樹脂と無機フィラーとよりなる樹脂基材,合成樹脂と無機質クロスとよりなるクロス基材等を用いることができる。上記合成樹脂としては,例えば,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,ポリブタジエン樹脂,弗化樹脂等がある。これらの合成樹脂のみによる絶縁基板は,プリプレグ,ソルダーレジストとして他の絶縁基板の間に積層形成する場合がある。
【0140】また,上記合成樹脂に添加する無機フィラーとしては,ガラス繊維,シリカ粉末,マイカ粉末,アルミナ,カーボン等がある。合成樹脂と無機フィラーとの混合物よりなる基材は,合成樹脂単体の場合に比較して強度が高い。また,上記クロス基材とは,ガラスエポキシ基板,ガラスポリイミド基板等,布状に織成又は編成したクロスと合成樹脂とからなる基板をいう。かかるクロス基材としては,上記クロスに合成樹脂を含浸させた基材がある。また,該クロスの材料としては,ガラス繊維クロス,カーボンクロス,アラミドクロス等がある。合成樹脂としては,上記と同様の材料を用いる。
【0141】上記導体パターンとしては,配線パターン,パッド,ランド,端子等,絶縁基板の平面方向に形成された導電性のパターンをいう。導体パターンは,金属箔のエッチング,金属めっき等により形成することができる。
【0142】第10の発明により製造されたプリント配線板は,例えば,メモリーモジュール,マルチチップモジュール,マザーボード,ドーターボード,プラスチックパッケージ等に利用することができる。
【0143】
【発明の実施の形態】
実施形態例1第1の発明の実施形態例にかかる,プリント配線板の製造方法につき,図1〜図7を用いて説明する。まず,本例において製造しようとするプリント配線板は,図6に示すごとく,三層の合成樹脂製の絶縁層101,102,103と,該絶縁層101〜103の間に設けた内層導体回路161,131を,上記絶縁層101〜103の最表面から上記内層導体回路161,131に向けて形成したブラインドビアホール141,142とを有する。
【0144】また上記ブラインドビアホール141,142の内壁には,それぞれ,上記内層導体回路161,131から外部導体回路153,155に至る金属めっき膜175,176が設けてある。なお,符号133は,下側面の外部導体回路である。
【0145】次に,上記プリント配線板の製造方法につき説明する。まず,図1(A)に示すごとく,第1絶縁層101を準備する。該第1絶縁層101は,樹脂基材110とその上下面に接着した銅箔105,106とよりなる銅張積層板である。該樹脂基材110は,ポリイミド樹脂で作成されたフィルムである。
【0146】次に,図1(B)に示すごとく,該第1絶縁層101に対してエッチングにより,上面の銅箔105にレーザー光照射孔151,154を設けると共に,外部導体回路153,155を,また下面に内層導体回路161を形成する。
【0147】ここに注目すべきことは,この内層導体回路161は,図1,図3,図4に示すごとく,その中央部分に開口穴160を有することである。開口穴160の中心線Cとレーザー光照射孔151の中心線とは一致している(図3)。
【0148】次に,図1(C)に示すごとく,まず接着シートとしてのプリプレグを用いた第2絶縁層102,及び別途形成した第3絶縁層103を準備する。第2絶縁層102は,ガラスポリイミド材料である。また第3絶縁層103は,クロス基材130とその上面に形成した内層導体回路131と,下面に形成した下部外部導体回路133を有する。かかるクロス基材130としては,ガラスクロスにポリイミド樹脂を含浸させたものを用いる。
【0149】次いで,同図に示すごとく,上記絶縁層103の上に,順次上記第2絶縁層102,第1絶縁層101を重ね,その後これらを熱圧着する。これにより,図1(D)に示すごとく,上記各層が一体的に形成され,上面にレーザー光照射孔151,154を有する積層体140を得る。上記レーザー光照射孔151,154は,上記内層導体回路161,131に対面している。
【0150】上記内層導体回路161,131は,共に直径0.25mmであるが,内層導体回路161はその中央部分に直径0.05mmの上記開口穴160を有している。この開口穴160は,ブラインドビアホール(100μm)の直径の50%である。
【0151】次に,図2(A)に示すごとく,上記レーザー光照射孔151,154に向けて,レーザー光発振機108より同じ出力のレーザー光181を同時に照射する。該レーザー光181の中,レーザー光照射孔151に照射されたレーザー光は,第1絶縁層101の樹脂基材を蒸発除去しながら,孔明けする。そして,レーザー光181は,遂に銅箔の内層導体回路161に到達し,浅い方のブラインドビアホール141を形成する。そのため,レーザー光181は,内層導体回路161により反射される。
【0152】しかし,この時点では,レーザー光照射孔154側に照射されたレーザー光181は,未だ,深いブラインドビアホール142を形成しつつあって,その内層導体回路131に到達していない。そのため,レーザー光181は,両方の内層導体回路161,131に対して,連続して照射されている。
【0153】そこで,内層導体回路161に照射されているレーザー光181は,図7に示すごとく,内層導体回路161の中央部分に設けた開口穴160を通過して第2絶縁層102を照射する。そのため,図2(B),図5に示すごとく上記開口穴160よりも下方に余剰孔171が形成される。なお,このとき,内層導体回路161に当たるレーザー光は弱いので,反射され,損傷を与えない。そして,内層導体回路131に向けて照射したレーザー光181が内層導体回路131に到達したとき,該レーザー光181は内層導体回路131により反射される。そこで,レーザー光181の照射を停止する。
【0154】上記レーザー光としては,エキシマレーザー,波長248nm,出力50Wを用いた。これにより,図4に示すごとく,プリント配線板に,深さ0.08mmの浅いブラインドビアホール141と深さ0.16mmの深いブラインドビアホール142とが形成される。該ブラインドビアホール141,142の直径は共に約100μmであった。
【0155】その後,図6に示すごとく,ブラインドビアホール141,142の内部から開口部にかけて無電解銅めっきの方法により金属めっき膜175,176を形成する。該金属めっき膜175,176は,内層導体回路161,131の上面,ブラインドビアホール141,142の壁面,及び外部導体回路153,155におけるブラインドビアホールの開口部分を覆っている。特に,内層導体回路161においては,金属めっき膜175は,その中央部分の開口穴160の下の余剰孔171にも形成される。
【0156】以上により,各層に設けた内層導体回路161,131を,ブラインドビアホール141,142に設けた金属めっき膜175,176により電気的に接続した,プリント配線板を得ることができる。
【0157】以上のごとく,本例によれば,浅いブラインドビアホールに設ける内層導体回路161には上記開口穴160が形成してある。そのため,既に孔明け加工されたブラインドビアホールの内層導体回路に,引き続きレーザー光181が照射されても,そのレーザー光181の中央部のエネルギーが大きい部分は上記開口穴160を通過していく(図7)。そして,開口穴を通過したレーザー光181は,該開口穴160の先にある第2絶縁層102のみに照射される。そのため,この内層導体回路161においては,上記開口穴より先の第2絶縁層102は少し孔明けされるが,内層導体回路161自体は損傷を生じない。
【0158】なお,深いブラインドビアホール142の方の内層導体回路131は,上記レーザー光181の反射時にその照射を中止するため,損傷は生じない。このように形成した深さが異なる各ブラインドビアホール141,142に対しては,従来と同様に,その内部に上記金属めっき膜175,176を形成する。このとき,いずれの内層導体回路も,上記のごとく,レーザー光による損傷を生じていないので,上記従来例に示したような不充分な金属めっき膜の形成という状態は回避でき,導電性に優れた金属めっき膜を形成できる。
【0159】実施形態例2第2の発明の実施形態例にかかる,プリント配線板の製造方法につき,図8〜図10を用いて説明する。まず,本例において製造しようとするプリント配線板210は,図8,図9に示すごとく,三層の合成樹脂製の絶縁層211,212,213と,該絶縁層211〜213の間に設けた内層導体回路221〜225を,プリント配線板210の最表面から上記内層導体回路221〜225に向けて形成したブラインドビアホール3A〜3Eを有する。
【0160】また,図10に示すごとく,上記ブラインドビアホール3A〜3Eの内壁には,それぞれ,最終的には上記内層導体回路からプリント配線板の上面に設けた各外部導体回路216に至る金属めっき膜296が設けてある。なお,図8において,符号224は,プリント配線板の下側面の下面導体回路であるが,ここでは内層導体回路と称する。
【0161】また,図8と図9とを対比すると分かるように,プリント配線板210には図9に示すごとく,1〜5の行とA〜Eの列との交点にブラインドビアホールが設けてある。そして,例えば図9のY−Y断面においては,図8に示すごとく深さの異なるブラインドビアホール3A〜3Eが設けてある。
【0162】この中,3Aと3Cが最も浅いブラインドビアホールである基準ホールに相当し,3B,3Eはそれより深いブラインドビアホールとなり,3Dが最も深いブラインドビアホールに相当する。なお,3A〜3Eは,図9に示す第3行におけるA〜E列のブラインドビアホールを示している。
【0163】次に,上記プリント配線板の製造方法につき説明する。即ち,まず最も浅いブラインドビアホールである基準ホール3A,3Cを穿設するために必要なエネルギー強度を有する基準レーザー光242を用い,上記基準ホール3A,3Cの穿設に当たっては上記基準レーザー光242を1回照射し,それ以上深いブラインドビアホール3B,3D,3Eの穿設に当たっては上記基準レーザー光242を複数回照射して穿設する。
【0164】なお,上記プリント配線板210は,例えばサブトラクティブ法等により,各層毎に内層導体回路,絶縁層を形成し,積層し,熱圧着することにより作製したものである。そして,上面の外部内層導体回路216には,上記内層導体回路221〜225に至るブラインドビアホールを形成するための開口穴206が設けてあり,この開口穴に上記基準レーザー光242が照射される。本例において,上記絶縁層としては,ガラスポリイミドを用いている。
【0165】次に,図8に示すごとく,上記基準レーザー光242を発射するレーザー光発振器241は,各照射位置,つまり穿設すべきブラインドビアホールの位置にレーザー光発振器241を移動制御するための座標制御装置245に電気的に接続されている。上記レーザー光発振器は,図9に示す,列,行の方向,即ちX−Y方向に移動するX−Y移動機(図示略)を有する。該X−Y移動機は,上記座標制御装置245によって,移動制御され,ブラインドビアホールを穿設すべき位置に,基準レーザー光242を照射する間レーザー光発振器241を停止させる。
【0166】また,レーザー光発振器241は,上記基準レーザー光242をスポット的に照射する発振器を有すると共に,必要に応じて上記基準レーザー光242のエネルギー強度を調整する調整器を有する。なお,同一種類のプリント配線板に照射する基準レーザー光242のエネルギー強度は同じであるから,上記調整器はプリント配線板の種類が異なる毎に必要に応じて調整する。
【0167】本例において,上記基準レーザー光としては,CO2 レーザー,波長10.6μm,出力3000W,1回の照射時間0.01秒を用いた。これにより,図8に示すごとく,プリント配線板210に,深さ0.08mmの最も浅いブラインドビアホールである基準ホール3A,3Cと,深さ0.16mmの深いブラインドビアホール3B,3Eと,更に深いブラインドビアホール3Dが形成される。該ブラインドビアホール3A〜3Eの直径は共に約100μmであった。
【0168】上記ブラインドビアホールの穿設に際しては,最も浅いブラインドビアホールである基準ホール3A,3Cを穿設するに必要なエネルギー強度を有する基準レーザー光242を用い,上記基準ホール3A,3Cに対してはこの基準レーザー光242を1回照射してその穿設を行なう。また,基準ホールにより深いブラインドビアホール3B,3Eに対しては,上記基準レーザー光242を2回照射して穿設する。また,更に深いブラインドビアホールに対しては基準レーザー光242を3回照射する。
【0169】このように,本例によれば,多数のブラインドビアホールを,上記基準ホール3A,3Cとそれ以外のブラインドビアホールとに区分して,基準レーザー光242の照射回数を定めれば良い。なお,基準ホール3A,3C以外のブラインドビアホールについても数種類の深さがあるが,各ブラインドビアホールの深さは,プリント配線板210の設計時に,予め知ることができる。それ故,各ブラインドビアホール毎の照射回数も予め設定することができる。
【0170】上記レーザー光発振器241は,各ブラインドビアホール(図8)の位置を示す座標点まで移動し,基準レーザー光242を照射する。そして,この移動,座標点での停止は,位置決め用の上記座標制御装置245により,上記X−Y移動機をN/C制御することにより行なう。本例においては,基準レーザー光は隣接するブラインドビアホールを順次照射していき,その深さに応じて,その都度,1回(基準ホール)又は複数回照射する方法を採った。
【0171】上記の穿設の後,図10に示したごとく,ブラインドビアホール3A〜3Eの内部から開口部にかけて無電解銅めっきの方法により金属めっき膜296を形成する。該金属めっき膜は,内層導体回路221〜225の上面,各ブラインドビアホールの壁面,及び外部導体回路216におけるブラインドビアホールの開口部分を覆っている。
【0172】このように,本例によれば,基準レーザー光を,ブラインドビアホールの深さに応じて1回又は複数回照射すれば良いので,多数のブラインドビアホールの穿設に要する時間が短縮され,コスト低減を図ることができる。また,装置的にも複数回の照射をするか否かの制御で良いため,装置面でのコストも低減できる。また,深さの異なる多数のブラインドビアホールを容易に穿設することができる。
【0173】実施形態例3第3の発明の実施形態例にかかるプリント配線板及びその製造方法につき,図11〜図24を用いて説明する。図20に示すごとく,本例のプリント配線板301は,絶縁層329,328と,該絶縁層329に隣接して設けられその表面に黒化皮膜340を有する内層導体回路304と,上記絶縁層329の最表面から上記内層導体回路304に至るビアホール303とを有する。また,上記内層導体回路304における上記ビアホール303の底部に位置する部位には内層導体回路304には黒化皮膜340を設けていない露出部349が形成されている。
【0174】次に,上記プリント配線板301の詳細につき説明する。図20に示すごとく,プリント配線板301は,内層導体回路304を設けた内層板319と,該内層板319の両面にそれぞれ積層された二層の絶縁層329,328及び該絶縁層329,328の表面にそれぞれ設けた第二導体回路306,360とよりなる。なお,上記第二導体回路360が,プリント配線板301における外側導体回路となる。
【0175】上記内層板319には半田305が充填されたスルーホール315が設けてあり,該スルーホール315によって,内層板319の両面に設けた内層導体回路304の導通が確保されている。
【0176】上記内層導体回路304は銅箔パターン341と該銅箔パターン341の表面に設けられた金属めっき膜342とよりなる。また,後述するごとく,その上に積層される絶縁層329との間の密着性を確保するために,黒化皮膜340が設けてある。また,上記ビアホール303の形成に当たり絶縁層329にはレーザー光が照射される。この照射部は,上記黒化皮膜340が設けられていない露出部349を形成している。
【0177】上記内層板319の両側には上記絶縁層329が設けてある。上記絶縁層329の表面には上記第二導体回路306が設けてある。上記内層導体回路304と同様に,上記第二導体回路306も銅箔パターン361と金属めっき膜362とにより構成され,該第二導体回路306の表面にも同様に黒化皮膜340及び露出部349が設けてある。
【0178】次に,上記絶縁層329には,他の絶縁層328,更にその表面には外側導体回路となる第二導体回路360が設けてある。また,上記絶縁層328には,その最表面より上記第二導体回路306に至るビアホール303が設けてある。上記絶縁層328の表面及びビアホール303には半田ボール381が設けてある。また,上記第二導体回路360の表面はソルダーレジスト382により被覆されてなる。
【0179】上記プリント配線板301を製造するに当たっては,内層板319の表面に内層導体回路304を設け(図13),該内層導体回路304の表面に黒化皮膜340を形成する(図14)。次いで絶縁層329を介して第二導体回路306を形成し,レーザー光を照射して上記絶縁層329の最表面より内層導体回路304に至るビアホール303を設ける。その後上記ビアホール303の内壁面に金属めっき膜212を設ける(図18)。
【0180】次に,上記製造方法の詳細につき説明する。まず,図11に示すごとく,表面に銅箔370を有する銅張積層板307を準備する。次に,図12に示すごとく,上記銅箔370をエッチングによりパターニングし,銅箔パターン341とする。その後,上記銅張積層板307に対しスルーホール315を設ける。
【0181】次に,図13に示すごとく,上記スルーホール315の内壁面及び上記銅箔パターン341に対し無電解銅めっきによる金属めっき膜342を設ける。以上により,上記スルーホール315と導通した内層導体回路304を得た。その後,上記スルーホール315に対し半田305を充填する。
【0182】次に,図14に示すごとく,上記内層導体回路304に対し,黒化処理による黒化皮膜340を設ける。上記黒化処理について,以下の別図を用いて説明する。まず,図21に示すごとく,内層導体回路304の表面全体に対して膜345を設ける。次いで,上記露出部349となる部分の内層導体回路304の表面に設けた部分を除いて,上記膜345をエッチングにより除去する。これによりマスク346を得る。
【0183】次に,上記内層導体回路304の表面を化学処理することにより,図22に示すごとく,上記金属めっき膜342の表面が酸化し,黒色の酸化銅よりなる黒化皮膜340が形成される。ただし,上記マスク346を設けた部分は酸化されないため,黒化皮膜が340が形成されなかった。その後,上記マスク346をエッチングにより剥離除去する。これにより図14に示すごとく,露出部349が形成される。
【0184】次に,図15に示すごとく,上記内層板319の両面に対し,プリプレグ378,銅箔370を積層し,圧着する。これにより,図16に示すごとく,内層板319と絶縁層329と銅箔370とからなる積層体を得る。次に,図17及び図23に示すごとく,上記銅箔370をパターニングし,銅箔パターン361とする。次いで,図24に示すごとくレーザー光を照射して,絶縁層329に対しビアホール303を形成する。なお,上記レーザー光としては,エキシマレーザー,波長248nm,出力50Wを用いる。
【0185】次に,図18に示すごとく,上記ビアホール303の内壁面及び銅箔パターン361に対し,上記銅箔パターン341に対して行った無電解めっきと同様にして,金属めっき膜362を形成する。更に,上記内層導体回路304に対して行った黒化処理と同様にして,黒化皮膜340を上記第二導体回路306に設ける。
【0186】次に,上記絶縁層329及び上記第二導体回路306を設けた場合と同様にして,該絶縁層329の表面に,図19に示すごとく,絶縁層328,ビアホール303及び第二導体回路360を形成する。その後,図20に示すごとく,上記第二導体回路360及びビアホール303に対して半田ボール381を設け,また該半田ボール381間にはソルダーレジスト382を設ける。以上により,プリント配線板1を得る。
【0187】次に,本例における作用効果につき説明する。本例にかかる製造方法においては,図17に示すごとく,レーザー光の照射部は内層導体回路304に黒化皮膜340のない露出部349を形成している。このため,上記レーザー光は内層導体回路304には吸収されない。そのため,上記内層導体回路304に熱による損傷が生じない。
【0188】従って,上記内層導体回路304を損傷させることなく,レーザー光を用いてビアホール303を形成することができる。また,レーザー光によりビアホール303を作成することから,より小さな径のビアホールを得ることができる。
【0189】また,本例においては,絶縁層328の最表面より第二導体回路306に至るビアホール303についても,上記ビアホール303と同様に,レーザー光の照射により作成する。そして,上記レーザー光の照射部は内層導体回路に黒化皮膜340のない露出部369を形成している。よって,ビアホール3030についてもビアホール303と同様の効果を得ることができる。
【0190】実施形態例4本例は,図25,図26に示すごとく,銅箔パターンをめっきにより設けた場合のプリント配線板の製造方法である。
【0191】まず,実施形態例3と同様のプロセスを経て,銅張積層板よりスルーホール315及び内層導体回路304を設けた内層板319を形成する。更に,上記内層導体回路304に対し,黒化皮膜340及び露出部349を形成する。
【0192】但し,上記黒化皮膜340及び露出部349の作成に当たっては,予め,上記内層導体回路304の表面全体に黒化皮膜340を設けた後,該黒化皮膜340の不要部分を選択的にエッチングすることにより露出部349を形成する。
【0193】次に,上記内層板319の両面に絶縁層329を形成する。次いで,図25に示すごとく,上記絶縁層329に対しレーザー光を照射して,ビアホール303を形成する。次に,上記絶縁層329の表面に対し,物理的研磨又は化学処理(薬液)により粗化処理を施し,粗化表面348を得る。次いで,上記粗化表面348に対しマスクを設け,無電解めっきを施す。その後,上記マスクを除去する。これにより,図26に示すごとき銅箔パターン341を得た。
【0194】その後は実施形態例3と同様に,上記銅箔パターン341と上記ビアホール303の内壁面に対し金属めっき膜342を設け,ビアホール303と導通した第二導体回路306を形成する。更に,上記絶縁層329,上記ビアホール303に対し半田ボール,ソルダーレジスト等を形成する。以上により,実施形態例3及び図20に示されるごときプリント配線板を得る。その他は,実施形態例3と同様である。
【0195】本例のプリント配線板の製造方法においては,絶縁層に樹脂を用いたため,その絶縁厚みを40μm程度に抑えることが可能となり,プリント配線板の薄膜化,軽量化に適する。その他は実施形態例3と同様の作用効果を有する。
【0196】実施形態例5第4の発明の実施形態例にかかるプリント配線板及びその製造方法につき,図27〜図29を用いて説明する。図27,図28に示すごとく,本例のプリント配線板401は,内層導体回路461の上に二層の絶縁層418,416を有すると共に,絶縁層416の最表面より二層の絶縁層418,416を貫通して内層導体回路461に達するビアホール402を有する。ビアホール402の内壁には,内層導体回路461と最表面に設けた外層導体回路462とを電気的に導通させる内部金属めっき膜405を設けてある。
【0197】また,図27,図28に示すごとく,プリント配線板401は,ビアホール402の内部に突出する,開口穴440を有する環状中間ランド404を設けてなる。更に,ビアホール402は,環状中間ランド404よりも外部側の外部ビアホール453の径が内層導体回路461側の内部ビアホール454の径よりも大きく,環状中間ランド404において段状部452を有する段状ビアホールを形成している。また,内部金属めっき膜405は外部ビアホール453,内部ビアホール454の内壁面に沿った段状めっき膜450を形成している。なお,ビアホール402はブラインドビアホールである。
【0198】次に,上記プリント配線板401の詳細について説明する。図27に示すごとく,プリント配線板401は,外層導体回路462,内層導体回路461を設けた内層板419と,内層導体回路461の表面に設けた二層の絶縁層418,416と,該絶縁層418の表面に設けた境界導体回路463及び環状中間ランド404と,絶縁層416の表面に設けた外層導体回路462とよりなる。そして,図28に示すごとく,環状中間ランド404は,境界導体回路463に接続された導電ランドである。
【0199】プリント配線板401には,絶縁層416の最表面より内層導体回路461に達するビアホール402が設けてある。ビアホール402は外部ビアホール453と内部ビアホール454と両者の間に存在する段状部452とよりなる。
【0200】ビアホール402の内壁面20は絶縁層416,418が露出している。また両絶縁層418,416の間,即ち段状部452からは環状中間ランド404が露出し,ここに露出部441を形成する。また,環状中間ランド404の開口穴440の内径部分もビアホール402内に露出する。
【0201】ここにおいて内部金属めっき膜405は,ビアホール402の内壁面420にも接合しているが,図27に示すごとく,主としてビアホール402の開口周縁425に存在する外層導体回路462,環状中間ランド404の露出部411,開口穴440の側面,そしてビアホール402の底部に面する内層導体回路461に対し接合状態にある。
【0202】環状中間ランド404は,図27に示すごとく,外部ビアホール453の径よりも大きい外径を有し,内部ビアホール454の径と同じ径の開口穴440を有する。また,環状中間ランド404は,境界導体回路463と同時に一体的に銅箔をエッチング形成したものである。
【0203】本例にかかるプリント配線板401を製造するに当たり,ビアホール402は,図29に示すごとく,絶縁層416の最表面より内層導体回路461に向けてレーザー光を照射することにより形成する。この際,レーザー光は環状中間ランド404の開口穴440を貫通して内層導体回路461まで到達させ,かつレーザー光は外部ビアホール453の径を形成するに必要な範囲に照射する。そして,ビアホール402形成後に内部金属めっき膜405を形成する。
【0204】次に,上記製造方法の詳細につき説明する。まず,表面に銅箔を有する銅張積層板を準備し,該銅箔をパターニングする。次いで,該銅箔の上に銅めっき膜を形成して,図29に示すごとく,内層板419の表面に,内層導体回路461,外層導体回路462を形成する。
【0205】次に,内層板419における内層導体回路461の表面にプリプレグ及び銅箔を積層する。次いで,銅箔をパターニングし,その後該銅箔の上に銅めっき膜を設ける。これにより,境界導体回路463及び環状中間ランド404を有する絶縁層418を得る。また,この時に後述するレーザー光の照射部472である絶縁層418の露出部も形成される。
【0206】次に,絶縁層418の表面に,上記と同様にして,外側内層導体回路462を有する絶縁層416を形成する。同様に,この時に後述するレーザー光の照射部471である絶縁層418の露出部も形成される。
【0207】なお,照射部471,472は,図29に示すごとく,同心円であり,かつ照射部472は照射部471よりも小さい。また,照射部471は外側ビアホール453と同径,照射部472は内側ビアホール454と同径である。また,照射部472は環状中間ランドの開口穴440の内側でもある。
【0208】次に,図29に示すごとく,照射部471にレーザー光を照射する。これにより,レーザー光は環状中間ランド404のある部分まで到達し,照射部471の下方にある絶縁層416を気化除去して,外側ビアホール453を形成する。
【0209】環状中間ランド404は金属よりなるため,レーザー光の反射率が高い。よって,環状中間ランド404の露出部441に当たったレーザー光はここで反射され,露出部441の下方に存在する絶縁層418は気化除去されずにそのまま残留する。一方,開口穴440の内側,即ち照射部472は絶縁層418が露出した状態にある。よって,レーザー光によりこの部分の絶縁層418は気化除去され,内側ビアホール454を形成する。そして,レーザー光は,内層導体回路461において遮られ,それより下方には達しない。
【0210】その後,図27に示すごとく,無電解銅めっきにより,ビアホール402内に内部金属めっき膜405を形成する。以上により本例にかかるプリント配線板401を得る。
【0211】なお,本例においては,ビアホール402は直径100μm,環状ダミーランド404の開口穴440は,直径100μm,外径200μmとする。また,レーザー光としては,エキシマレーザー,波長248nm,出力50Wを用いる。
【0212】次に,本例における作用効果につき説明する。本例のプリント配線板401においては,ビアホール402の内部に突出する開口穴440を有する環状中間ランド404を設けている。また,ビアホール402は環状中間ランド404において段状部452を有する段状ビアホールである。更に,内部金属めっき膜405は外部ビアホール453,内部ビアホール454の内壁面420に沿った段状めっき膜450を形成している。
【0213】環状中間ランド404はビアホール402の段状部452において露出部441を有する。この露出部441は,外径が外部ビアホール453の径と等しく,内径が内部ビアホール454の径と等しいリング状を呈している。ここにおいて内部めっき膜405は段状めっき膜450を形成しつつ接している(図27参照)。
【0214】そして,内部金属めっき膜405はビアホール402内の絶縁層418,416の露出部分には接合し難いが,銅めっき膜よりなる環状中間ランド404に対しては強く接合することができる。よって,内部金属めっき膜405は環状中間ランド404の露出部441に接合され,これによりビアホール402内に強く接合することができる。また,環状中間ランド404の開口穴440の内径側面もビアホール402に対し露出するため,この部分においても内部金属めっき膜405は接合することができる。それゆえ,内部金属めっき膜405の剥離・脱落を防止することができる。
【0215】また,本例にかかるプリント配線板401のビアホール402はレーザー光の照射によって形成するので,非常に細径とすることができる。
【0216】実施形態例6本例は,図30に示すごとく,三層の絶縁層413〜415を貫通するビアホール403を有するプリント配線板408である。
【0217】即ち,本例にかかるプリント配線板408は,内層板419と該内層板419に設けられた3層の絶縁層413〜415よりなる。内層板419の表面には内層導体回路461,外層導体回路462を設けている。絶縁層415には外層導体回路462を設けている。また,絶縁層413〜415がそれぞれ対面する境界部分417には境界導体回路464,465が設けてある。
【0218】ビアホール403は二つの環状中間ランド449,404において段状部452を有する段状ビアホールである。ビアホール403は,環状中間ランド449よりも外側の外部ビアホール457,環状中間ランド449と404との間の中間ビアホール458,環状中間ランド404より内側の内部ビアホール459とよりなる。そして,ビアホール403内には内部めっき膜405が形成されている。
【0219】ビアホール403の周縁には,その内部に突出する環状中間ランド404,449を異層に設けてある。上層に設けた環状中間ランド449は,境界導体回路465には接続されていないダミーランドで,その形状はリング状である。一方,下層に設けた環状中間ランド404は,境界導体回路464に接続された導電ランドである。
【0220】また,環状中間ランド449,404はそれぞれ開口穴447,440を有する。開口穴447の径は中間ビアホール458の径に等しく,開口穴440の径は内部ビアホール459の径に等しい。
【0221】ここにおいて内部金属めっき膜405は,ビアホール403の内壁面430にも接合しているが,主としてビアホール403の開口周縁435に存在する外層導体回路462,環状中間ランド449,404の露出部448,441,開口穴440,447,及びビアホール403の底部に面する内層導体回路461に対し接合状態にある。なお,ビアホール403は,片面が被覆されたブラインドビアホールである。
【0222】また,プリント配線板408には絶縁層415を貫通して境界導体回路464に達するビアホール426を設けてある。ビアホール426の構造は,実施形態例5のビアホールと同様の構造である。なお,ビアホール426にかかる環状中間ランド404は境界導体回路465に接続された導電ランドである。その他は,実施形態例5と同様である。
【0223】本例においては,境界導体回路465の存在しない部分に,環状ダミーランド449を設けることで,これが接続導体回路465の厚みを補償し,ビアホール403の開口周縁435のへこみを防止することができる。その他は,本例によれば,実施形態例5と同様の作用効果を発揮できる。
【0224】実施形態例7第5の発明の実施形態例にかかるプリント配線板につき,図31,図32を用いて説明する。図31に示すごとく,本例のプリント配線板501は,内層導体回路562の両面に二層の絶縁層518,516を積層すると共に,絶縁層516の最表面より二層の絶縁層518,516を貫通して内層導体回路562に達するビアホール502を有する。そして,ビアホール502内には内層導体回路562内と外層導体回路561とを電気的に導通させる内部金属めっき膜521を設けている。ビアホール502はブラインドビアホールである。
【0225】また,二層の絶縁層518,516が互いに対面する境界部分517には,図32に示すごとく,ビアホール502の周囲に開口穴540を有する補強用の環状ダミーランド504を設けている。環状ダミーランド504は内部金属めっき膜521と接合している。
【0226】次にプリント配線板501の詳細につき説明する。図31に示すごとく,プリント配線板501は,内層導体回路562を設けた内層板519と,該内層板519の両面にそれぞれ積層された二層の絶縁層518,516及び該絶縁層518の表面に設けた内層導体回路563及び環状ダミーランド504,絶縁層516の表面に設けた外層導体回路561とよりなる。なお,内層板519にはスルーホール528が設けてある。スルーホール528内には内層板519の両表面に設けた二つの内層導体回路562を互いに電気的に導通させる金属めっき膜505が設けてある。
【0227】また,プリント配線板501には,絶縁層516の最表面より内層導体回路562に達するビアホール502,絶縁層516の最表面より内層導体回路563に達するビアホール529が設けてある。なお,ビアホール502は,内層導体回路563の存在しない部分に形成されている。
【0228】ビアホール502の内壁面520は絶縁層516,518が,また両絶縁層518,516の間からは環状ダミーランド504の開口穴540が露出している。ここにおいて内部金属めっき膜521はビアホール502の内壁面520にも接合しているが,主としてビアホール502の開口周縁525に存在する外層導体回路561,環状ダミーランド504の開口穴540,そしてビアホール502の底部に面する内層導体回路562に対し接合状態にある。
【0229】環状ダミーランド504は銅めっきよりなり,図32に示すごとく,ビアホール502の径よりも大きい外径を有し,ビアホール502の径と同じ径の開口穴540を有する。また,環状ダミーランド504は,内層導体回路563の形成時にエッチング形成したものである。また,環状ダミーランド504は内層導体回路563と導通しないよう別個に設けた補強用のランドである。
【0230】また,ビアホール529は,絶縁層516を貫通して,内層導体回路563に達するよう形成されている。ビアホール529の内部に対しても,内部金属めっき膜521が設けられている。内部金属めっき膜521は,主としてビアホール529の開口周縁25に設けた内層導体回路561,ビアホール529の内壁,及びビアホール529の底部に面する内層導体回路516に対して,接合状態にある。
【0231】次に,本例にかかる多層プリント基板の製造方法につき説明する。まず,表面に銅箔を有する銅張積層板を準備し,該銅箔をパターニングする。次いで,銅張積層板を穿穴し,スルーホール528を形成する。次いで,スルーホール528内に金属めっき膜を無電解銅めっきにより形成する。以上により,スルーホール528及び内層導体回路562を有する内層板519を得る。
【0232】次に,内層板519の表面にプリプレグ及び銅箔を積層する。次いで,銅箔をエッチングすることによりパターニングして,内層導体回路563及び環状ダミーランド504を有する絶縁層518を形成する。次に,上記と同様に,絶縁層518の表面に,プリプレグ及び銅箔を積層,その後該銅箔をパターニングする。以上により,外側内層導体回路561を有する絶縁層516を得る。
【0233】その後,絶縁層516の最表面よりレーザー光を照射する。この際レーザー光は環状ダミーランド504の開口穴540を貫通して内層導体回路562まで到達させる。これにより,内層導体回路562まで達するビアホール502及び内層導体回路563まで達するビアホール529を形成する。その後,無電解銅めっきにより,ビアホール502,529内に内部金属めっき膜505を形成する。以上により本例にかかるプリント配線板501を得る。
【0234】なお,ビアホール502,529は直径100μmとし,環状ダミーランド504の開口穴540は直径100μm,外径200μmとする。また,レーザー光としては,エキシマレーザー,波長248nm,出力50Wを用いる。
【0235】次に,本例における作用効果につき説明する。本例のプリント配線板501においては,ビアホール502の周囲に環状ダミーランド504を設けてなり,該環状ダミーランド504はビアホール502内の内部金属めっき膜521と接合している。
【0236】内部金属めっき膜521はビアホール502内の絶縁層518,516の露出した部分には接合し難く,接合強度が弱い状態にあるが,環状ダミーランド504に対しては強く接合することができる。よって,内部金属めっき膜521はビアホール502内に強く接合することができる。それゆえ,内部金属めっき膜521の剥離・脱落を防止することができる。
【0237】また,本例にかかるプリント配線板501のビアホール502,529はレーザー光の照射によって形成するので,非常に細径とすることができる。
【0238】実施形態例8本例は,図33に示すごとく,5層の絶縁層511〜515を貫通するビアホール503を有するプリント配線板508である。プリント配線板508は,内層板519と5層の絶縁層511〜515とを積層した積層板である。内層板519の表面には内層導体回路562,外層導体回路561が設けられている。絶縁層515には外層導体回路561が設けられている。
【0239】また,絶縁層511〜515がそれぞれ対面する境界部分517には内層導体回路563,564が設けてある。一方の内層導体回路563は,ビアホール503と非導通であり,他方の内層導体回路564は,ビアホール503と導通している。そして,ビアホール503は内層導体回路564を貫通するよう設けられている。
【0240】ビアホール503は絶縁層511,512,514における内層導体回路563のない部分で,開口穴540を有する補強用の環状ダミーランド504を設けた部分に設けてある。ここにおいてビアホール503内に設けた内部金属めっき膜521は,ビアホール503の内壁面530にも接合しているが,主としてビアホール503の開口周縁535に存在する外層導体回路561,環状ダミーランド504の開口穴540,そしてビアホール503の底部に面する内層導体回路562に対し接合状態にある。その他は,実施形態例7と同様である。
【0241】本例のプリント配線板508において,異なる絶縁層511〜515が接する境界部分517に内層導体回路563,187が設けてある。そして,ビアホール503は内層導体回路563が存在しないが,内層絶縁回路564が設けてある部分に形成されている。
【0242】ところで,環状ダミーランド504が存在しない場合には,ビアホール503の開口周縁535は絶縁層511,512,514に形成された内層導体回路563の厚み分だけへこんでしまうこととなる。しかし,本例のプリント配線板508は環状ダミーランド504を設けてあるため,金属めっき膜521が強く接合し,かつビアホール503の開口周縁535においてへこみ等が発生しない。その他は,実施形態例7と同様の作用効果を有する。
【0243】実施形態例9第6の発明の実施形態例9にかかるプリント配線板及びその製造方法につき,図34〜図37を用いて説明する。本例のプリント配線板は,図37に示すごとく,絶縁層619の上面に上部導体回路621を,一方その下面に下部導体回路622を設けてなる。また,上部導体回路621と下部導体回路622との間には,絶縁層619を貫通して下部導体回路622を底部とするブラインドビアホール615を設けてなる。ブラインドビアホール615の径は0.2mmである。
【0244】また,該ブラインドビアホール615には,その内壁に上部導体回路621と下部導体回路622との間を電気的に接続するためのビアめっき層616を設けている。また,ブラインドビアホール615の底部を構成する下部導体回路622には,ブラインドビアホール615よりも小さい径を有するめっき液流通穴611が設けてある。めっき液流通穴611の径は0.03mmである。めっき液流通穴611はビアめっき層616により閉塞されている。
【0245】プリント配線板601を製造するに当たり,ブラインドビアホール615は絶縁層619の上面より下部導体回路622に向けてレーザー光を照射することにより穿穴し,この穿穴時にはレーザー光によって下部導体回路622にめっき液流通穴611を形成する。次いで,化学めっき液をブラインドビアホール615及びめっき液流通穴611に流通させることにより,ブラインドビアホール615内に化学めっき穴617を形成する。
【0246】その後同様に電気めっき液を流通させながら電気めっきを行いビアめっき層616を形成する。化学めっき穴617は,ビアめっき層616をブラインドビアホール615に対し形成しやすくするために設ける。
【0247】次に,上記製造方法の詳細につき説明する。図34に示すごとく,絶縁層619と銅箔620とよりなる銅張積層板609を準備し,その表面の銅箔620をパターニングする。これにより,上部導体回路621及び下部導体回路622が形成された絶縁層619を得る。また,このパターニングの際に絶縁層619の露出したブラインドビアホール615形成用のレーザー光照射部631,電気めっき液流通穴611形成用の露出部632をも共に形成する。
【0248】次いで,図35に示すごとく,上記絶縁層619のレーザー光照射部631にレーザー光を照射,ブラインドビアホール615を得る。ただし,レーザー光のエネルギーは中心部で高く周縁部で低くなっている。また,金属よりなる下部導体回路622はレーザー光を反射する。このため,露出部632においてレーザー光は絶縁層619を貫通し,ここに穴を形成する。これがめっき液流通穴611となる。なお,上記レーザー光としては,エキシマレーザー,波長248nm,出力50Wを用いる。
【0249】次に,上記絶縁層619を,化学銅めっき槽に浸漬する。そして,上記化学めっき液を上記ブラインドビアホール615の内外に対し上記めっき液流通穴611を通じて流通させる。これにより,図36に示すごとく,上記ブラインドビアホール615内及び上記上部導体回路621,下部導体回路622に銅が析出し,銅よりなる化学めっき層617を得る。
【0250】次に,図37に示すごとく,上記絶縁層619を,電気銅めっき液を充填した電気めっき槽に浸漬する。そして,上記化学めっきの際と同様に電気めっき液を流通させながら電気めっきを行う。これにより,上記化学めっき層617の表面に銅が析出し,銅よりなるビアめっき層616を得る。以上により本例にかかるプリント配線板601を得る。
【0251】次に,本例における作用効果につき説明する。本例にかかるプリント配線板においては,上記ブラインドビアホール615の底部を構成する下部導体回路621にはブラインドビアホール615よりも小さい径を有するめっき液流通穴611が設けてある。
【0252】これにより,上記ビアめっき層616の形成の際には,上記めっき液流通穴611を通じてブラインドビアホール615内外に対してめっき液が流通することができる。このため,まだら状態となることなく均一なビアめっき層616を得ることができる。このため,上部導体回路621と下部導体回路622との電気的な導通に優れた,即ち両者の接続信頼性に優れたプリント配線板601を得ることができる。
【0253】なお,本例のプリント配線板601は上記ビアめっき層616によりめっき液流通穴611が閉塞された状態にあるが,完成したプリント配線板601に対し,閉塞されることなく貫通穴の状態のままのめっき液流通穴があってもよい。
【0254】また,本例のプリント配線板601は単層の配線板であるが,本例にかかる上部導体回路621及び下部導体回路622の表面に更に絶縁層619を設け,多層基板とすることもできる。
【0255】実施形態例10第7の発明の実施形態例にかかるプリント配線板は,図38に示すごとく,絶縁基板709の上面及び下面に上面パターン706及び下面パターン705を設けて,両者の間を導通用孔707により電気的に接続している。
【0256】上記プリント配線板の製造方法について説明する。まず,ガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板709を準備する。絶縁基板709の厚みは100μmである。次いで,絶縁基板709の上面及び下面に,銅箔を貼着し,これをエッチング等することにより,上面パターン706及び下面パターン705を形成するとともに,電気めっき処理の際に導通用孔707の内壁に電気を流すための電気リード761を形成する。上面パターン706は,導体用孔形成部分を除いて,その周縁に形成する。下面パターン705は,絶縁基板709の導体用孔形成部分を閉塞するように形成する。
【0257】次いで,上面パターン706により被覆されていない絶縁基板709に,レーザー光を照射して,導通用孔707を孔明けする。このとき,導通用孔707の底部が,絶縁基板709の下面に形成した下面パターン705に達するまで孔明けをする。導通用孔707の直径は0.1mmとする。
【0258】次いで,絶縁基板709に化学銅めっき処理を行う。化学銅めっき処理は,一般的な方法で行う。これにより,導通用孔の内壁に,厚み1μm程度の薄膜めっき膜731を形成する。
【0259】次いで,絶縁基板709の表面洗浄を行う。次いで,絶縁基板709に電気銅めっき処理を行う。電気銅めっき処理は,絶縁基板709をアノードとともに電気めっき浴に浸漬する。化学めっき膜731は,電気リード761を通じて電源の負極に接続し,カソードとする。また,電気めっき浴には,硫酸銅が含まれており,その浴温は60℃とする。この状態で,化学めっき膜731に電流密度1.2A/dm2 の電流を流す。これにより,カソードの表面から銅が溶出し,アノードとして働く化学めっき膜の表面に銅が析出する。この電気めっき処理は,20分間行う。
【0260】この電気めっき処理を,2回繰り返し行い,厚膜めっき732を形成する。これにより,薄膜めっき731と厚膜めっき732とから,合計膜厚10μmの金属めっき膜703が得られる。その後,電気リード761を除去する。以上により,プリント配線板が得られる。
【0261】得られたプリント配線板について,その導通用孔の金属めっき膜の形成状態について顕微鏡により観察した。その結果,導通用孔の内壁に,均一な厚みに金属めっき膜が形成されていた。また,導通用孔の内部の金属めっき膜は,10μmであり,上面パターン及び下面パターンの表面に形成された金属めっき膜の厚み(10μm)と同じであった。
【0262】比較例本例においては,電気めっき処理において薄膜めっきに流す電流を,1.5〜2.0A/dm2 とした。この場合,電気めっき処理を行っても,導通用孔の内部に正常にめっき金属が析出しない場合があった。即ち,図39に示すごとく,電気めっき膜703の厚みが極めて薄くなったり,強いてはめっき未析出部分739が生する場合があった。この原因は,狭い導通用孔797の内部に,電解めっき反応により発生する水素ガスが溜まるためであると考えられる。
【0263】実施形態例11第8の実施形態例に係るプリント配線板について,図40〜図43を用いて説明する。本例のプリント配線板802は,図40に示すごとく,薄板状の絶縁基板806の表面に設けた導体パターン851,852と,絶縁基板806を貫通するとともに導体パターン851の上面に達する半田充填用孔801とを有している。半田充填用孔801の内部には半田807が充填されている。
【0264】絶縁基板806は,エポキシ系の樹脂862の中にガラスクロスからなる繊維861を含浸している。図40,図43に示すごとく,半田充填用孔801の壁面810には繊維861の端部863が突出している。図40に示すごとく,繊維861の端部863は,半田807の中に食い込んでいる。
【0265】絶縁基板806は,厚み0.1mmの薄板である。半田充填用孔801の直径は0.3mmである。本例のプリント配線板802は,半田充填用孔801が多数設けられている。また,プリント配線板802の表面には電子部品を搭載するための搭載部,及び相手部材に接続するための端子が設けられている。
【0266】次に,上記プリント配線板の製造方法について説明する。まず,図41に示すごとく,エポキシ系の樹脂862の中にガラスクロスからなる繊維861を含浸してなる絶縁基板806を準備する。次いで,絶縁基板806の上面及び下面に銅箔を貼着し,不要部分をエッチング除去して導体パターン852,851を形成する。このとき,絶縁基板の半田充填用孔形成部分の下面には,導体パターン851の一部を被覆しておき,一方,その上面には導体パターン852を形成しないで開口させておく。
【0267】次に,半田充填用孔形成部分815の絶縁基板806にレーザー光804を照射して,図42に示すごとく,絶縁基板806に半田充填用孔801を穿設する。このとき,図42,図43に示すごとく,半田充填用孔801の壁面810に繊維861の端部863を残して突出させる。また,半田充填用孔801の一方の開口部811を被覆する導体パターン851は,穴明けすることなく残しておく。
【0268】次いで,図40に示すごとく,導体パターン852により被覆されていない,半田充填用孔801の他方の開口部812から,印刷法により,ペースト状の半田807を半田充填用孔801の内部に充填して,半田807と半田充填用孔801とを接合する。以上により,図40に示すプリント配線板802を得る。
【0269】次に,本例の作用及び効果について説明する。本例においては,図40に示すごとく,半田充填用孔801の壁面810に,絶縁基板806に含まれている繊維861の端部863が突出している。この繊維861の端部863は,半田充填用孔801の内部に充填された半田807の中に食い込んでいる。そのため,半田807が,半田充填用孔801に対して強く接合されることとなる。従って,プリント配線板802が外部から力学的影響を受けた場合にも,半田807が半田充填用孔801から抜け出ることはない。
【0270】更に,半田充填用孔801の壁面810から露出した繊維861の端部863が半田807の内部に食い込んでいるため,薄板状の絶縁基板806で半田充填用孔801の壁面810と半田807との接合面積が小さくても,半田807が半田充填用孔801から抜け出ることはない。従って,絶縁基板806の上面と下面とに設けた導体パターン852,851の間の電気的導通を半田充填用孔801内の半田807により確実に行うことができる。
【0271】また,本例においては,図41に示すごとく,半田充填用孔801をレーザー光804の照射によって形成することによって,半田充填用孔801の壁面810に繊維861の端部863を残している。そのため,容易に半田充填用孔801の壁面810に繊維861の端部863を突出させることができる。
【0272】また,レーザー光804は,図42に示すごとく,絶縁基板806だけに半田充填用孔801を形成でき,製造工程を簡略化することができる。半田充填用孔801の一方の開口部811を被覆する導体パターン851はそのまま残した状態にすることができる。そのため,半田充填用孔801の形成前に,絶縁基板の上面及び下面の両面に予め導体パターン851,852を形成しておくことができる。
【0273】実施形態例12本例のプリント配線板は,図44に示すごとく,半田充填用孔801の内部に半田807を充填した後,その上端に半田ボール871を接合したものである。半田ボール871の上部872は,相手部材8と接合される部分である。
【0274】半田ボール871を,半田充填用孔801の内部の半田807と接合するに当たっては,図45に示すごとく,半田ボール871の下部873を平坦面とし,半田ボール871の上部872は球状に形成する。次いで,実施形態例11と同様に半田充填用孔801の内部に充填した半田807の上に,上記半田ボール871の下部873を対面させた状態で,半田ボール871を載置する。次いで,半田ボール871と半田807とを加熱溶融させて両者を接合する。その他は実施形態例11と同様である。
【0275】本例においても,実施形態例11と同様に,半田充填用孔801に対して半田807が強固に接合されるため,半田807の上に接合した半田ボール871と半田充填用孔801との電気的な接続信頼性を確保できる。
【0276】実施形態例13本例のプリント配線板は,図46,図47に示すごとく,半田充填用孔801の内部に球状の半田870を供給し,それを加熱溶融することにより,半田充填用孔801の内部に半田を充填している。
【0277】即ち,図47に示すごとく,実施形態例11と同様にレーザー光を用いて半田充填用孔801を形成する。半田充填用孔801の直径は0.3mmとする。次いで,絶縁基板806の表面に,直径0.35mmの球状の半田ボール870を転動させることにより,半田充填用孔801の内部に半田ボール870を供給する。
【0278】次いで,半田ボール870を加熱溶融させて,図46に示すごとく,半田充填用孔801の壁面810に突出している繊維861の端部863を半田ボール870の内部に食い込ませる。上記半田ボール870の上部874は,相手部材808と接合される部分である。その他は実施形態例11と同様である。
【0279】本例においても,半田充填用孔801の壁面810から突出した繊維861の端部863が半田ボール870の内部に食い込んでいるため,半田充填用孔801と半田ボール870との接合強度が高い。
【0280】実施形態例14第9の発明の実施形態例にかかるプリント配線板及びその製造方法につき,図48〜図55を用いて説明する。本例のプリント配線板901は,図52,図53に示すごとく,2層の絶縁層918,919を有している。絶縁層918,919の間には内層導体回路921を有している。絶縁層918の最表面920には内層導体回路921に向けてブラインドビアホール904が穿設されている。ブラインドビアホール904の内部には半田912を充填している。ブラインドビアホール904の壁面940の断面形状は波形状である。
【0281】以下,プリント配線板901の詳細につき説明する。図52に示すごとく,絶縁層918の最表面920には外層導体回路931が設けてある。半田912が充填されたブラインドビアホール904は,外層導体回路931と底部942に存在する内層導体回路921との間の導通を確保するよう形成されている。
【0282】図53に示すごとく,ブラインドビアホール904に充填された半田912には半田ボール913を介して他の電子部品915が搭載されている。なお,ブラインドビアホール904に充填された半田912と半田ボール913とは便宜上異なる符号を付したが,両者は一体化している。
【0283】次に,プリント配線板901の製造方法につき説明する。まず,その表面に銅箔を有する銅張積層板を準備し,該銅箔をパターニングする。次いで,銅箔表面に無電解銅めっきを施し,絶縁層919及び内層導体回路921,外層導体回路931を得る。
【0284】次に,絶縁層919の表面にプリプレグ及び銅箔を積層する。次いで,銅箔をパターニングする。その後,銅箔に対し無電解銅めっきを施し,絶縁層918と外層導体回路931とを形成する。この時,最表面920において絶縁層918が露出したレーザー光照射部981も同時に形成される。なお,プリプレグとしてはガラスクロスに対しエポキシ樹脂が含浸されたものを使用する。
【0285】次に,図48に示すごとく,レーザー光照射部981にレーザー光発振器980を用いてレーザー光を照射する。これにより,絶縁層918は気化除去され,内層導体回路921まで達するブラインドビアホール904を得る。
【0286】ところで絶縁層918におけるガラスクロスの部分はエポキシ樹脂の部分よりも気化除去し難い。よって,図49に示すごとく,壁面940は波形状となる。つまり,ブラインドビアホール904に対して突出した部分はガラスクロスが存在する部分であり,ブラインドビアホール904に対してへこんだ部分はエポキシ樹脂が主として存在する部分である。また,レーザー光としては,エキシマレーザー光,波長248nm,出力50Wを用いた。
【0287】次に,図49に示すごとく,ブラインドビアホール904に対し溶融半田を流し込む。これにより,図50に示すごとく,ブラインドビアホール904に半田912が充填される。次に,図51に示すごとく,半田912の表面に半田ボール913を載置,図52に示すごとく,半田912に加熱融着する。その後,図53に示すごとく,半田ボール913の上に電子部品915を接着する。以上により本例にかかるプリント配線板901を得る。
【0288】次に,本例における作用効果につき説明する。プリント配線板901においては,図53に示すごとく,ブラインドビアホール904の壁面940の断面形状が凹凸状(波形状)である。このため,ブラインドビアホール904に充填された半田912は凹凸に対し食い込むことにより,この部分に固定される。従って,半田912はブラインドビアホール904に対して高い密着強度を得ることができる。
【0289】また,本例のプリント配線板901において,絶縁層918はガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグにより構成されているため,レーザー光の照射だけで波形状の断面を有するブラインドビアホール904を得ることができる。また,レーザー光により穿孔されているため,ブラインドビアホール904は100μmと小径の穴を得ることができる。
【0290】なお,本例にかかるブラインドビアホール904の形状の他の例としては,図54に示すごとき,ブラインドビアホール904の横方向へ広がる凹形状,図55に示すごとき,ブラインドビアホール904の内側方向へ突出する凸形状を挙げることができる。
【0291】実施形態例15第10の発明の実施形態例にかかるプリント配線板の製造方法について,図56〜図59を用いて説明する。本例の製造方法の概要を説明する。まず,図56に示すごとく,S1工程において,絶縁基板に導体パターンを形成する。次いで,S2工程において,絶縁基板における搭載用凹部形成部分の下面に,絶縁基板に放熱板を接着する。次いで,S3工程において,上記搭載用凹部形成部分の上面側からレーザー光を照射して搭載用凹部を穴明けする。
【0292】次に,上記の製造方法の詳細について説明する。まず,S1工程において,ガラスエポキシ樹脂基板からなる絶縁基板を準備する。絶縁基板の厚みは0.3mmである。次いで,絶縁基板の一方の表面に銅箔を貼着し,露光法,エッチング等を行う。これにより,図57に示すごとく,上記の銅箔から導体パターン7を形成する。次いで,導体パターン7の表面に,Ni/Auめっき膜を被覆する。次いで,絶縁基板5の表面を,ソルダーレジスト59により被覆する。このとき,ソルダーレジスト51には,導体パターン7におけるボンディングパッド71を露出させる開口部を形成する。
【0293】また,絶縁基板5における搭載用凹部形成部分10の下面に,放熱板6を接着する。放熱板6は,厚み0.2mmの銅板である。
【0294】次いで,図57に示すごとく,搭載用凹部形成部分10の上面側からレーザー光2を照射する。レーザー光2としては,炭酸ガスレーザーを用いる。レーザー光の照射は,搭載用凹部1の底部が放熱板6の表面に達したときに中止する。これにより,図58に示すごとく,絶縁基板5に穴明けをして搭載用凹部1を形成する。以上により,プリント配線板3を得る。
【0295】上記プリント配線板3には,図59に示すごとく,搭載用凹部1の底部に銀ペースト等の接着剤41を用いて電子部品4を搭載する。電子部品4は,ボンディングワイヤー44を介してボンディングパッド71と接続することにより,導体パターン7と電気的に接続する。
【0296】次に,本例の作用及び効果について説明する。図56に示すごとく,絶縁基板の搭載用凹部形成部分を放熱板により被覆した後に,レーザー光の照射により,搭載用凹部を穴明けしている。そのため,所望寸法の開口部を容易に得ることができる。
【0297】また,本例においては,図57に示すごとく,搭載用凹部形成部分10の上面に向けて,レーザー光2を照射して,搭載用凹部1を穴明けする。このとき,レーザー光2は,絶縁基板5をその高いエネルギーによって,気化除去させていき,順次絶縁基板5の内方に穴を明けていく。そして,レーザー光2の先端が放熱板6に到達したとき,この金属製の放熱板6によってレーザー光2が反射される。そのため,ここでレーザー光2の照射を中止する。これにより,片方の開口部が放熱板6により被覆されてなる非貫通の搭載用凹部1を形成することができる。
【0298】また,レーザー光2の照射により搭載用凹部1を形成しているため,絶縁基板5に損傷を与えることなく,穴明けを行うことができる。更に,図59に示すごとく,搭載用凹部1の底部は,放熱板6の表面である。そのため,電子部品4は,搭載用凹部1の内部において,放熱板6の表面に搭載されることになる。それゆえ,放熱性に優れた搭載用凹部1を形成することができる。
【0299】実施形態例16本例のプリント配線板は,図60に示すごとく,2枚の絶縁基板51,52を積層してなる多層基板50を有する。絶縁基板51,52の間には,導体パターン72が形成されている。多層基板50の内部に設けた上記の導体パターン72は,多層基板50の表面に設けた導体パターン7,76と,スルーホール73を介して電気的に接続されている。
【0300】上記プリント配線板31を製造するに当たっては,まず,厚み0.2mmの可撓性を有するフレキシブルフィルムを2枚準備する。これらを絶縁基板51,52とする。次いで,絶縁基板51,52の表面に,導体パターン7,72,76を形成し,これらを樹脂性接着材により接着して,多層基板50を得る。
【0301】次いで,ドリルを用いて多層基板50にスルーホール73を穿設し,次いでその内壁に銅めっき膜74を被覆する。次いで,多層基板50の表面を,スルーホール73及び搭載用凹部形成部分の周辺を除いて,ソルダーレジスト59により被覆する。その後,上記実施形態例15と同様にレーザー光の照射により搭載用凹部1を形成して,上記プリント配線板31を得る。その他は,実施形態例15と同様である。
【0302】本例においては,多層基板50の表面だけでなく,その内部にも導体パターン72を形成している。そのため,プリント配線板31の高密度配線を実現することができる。また,レーザー光の照射により,2枚の絶縁基板51,52を貫通する搭載用凹部1を形成している。そのため,従来のように各絶縁基板ごとにあらかじめ貫通穴を形成する必要がなく,またこれらの貫通穴を連結するための位置あわせを行う必要もない。従って,本例の製造方法によれば,容易にプリント配線板31を製造する事ができる。その他,本例においても,実施形態例15と同様の効果を得ることができる。
【0303】
【発明の効果】本発明によれば,レーザー光による内層導体回路の損傷発生がなく,かつ確実な導電性を有するビアホールを形成することができ,レーザー光による新規な回路形成を実現できる,プリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,プリント配線板の積層工程の説明図。
【図2】実施形態例1における,レーザー光によるブラインドビアホール形成の説明図。
【図3】実施形態例1における,第1絶縁層の拡大説明図。
【図4】実施形態例1における,開口穴を設けた内層導体回路の底面図。
【図5】実施形態例1における,孔明け加工によりブラインドビアホールを形成したプリント配線板の断面図。
【図6】実施形態例1における,ブラインドビアホールに金属めっき膜を形成したプリント配線板の断面図。
【図7】実施形態例1における,レーザー光照射の説明図。
【図8】実施形態例2における,レーザー光によるブラインドビアホール形成を示す,図9のY−Y線矢視断面図。
【図9】実施形態例2における,ブラインドビアホールを形成したプリント配線板の平面説明図。
【図10】実施形態例2における,プリント配線板の説明図。
【図11】実施形態例3にかかる,プリント配線板の製造方法において,内層板となる銅張積層板を示す説明図。
【図12】図1に続く,プリント配線板の製造方法において,スルーホールの形成を示す説明図。
【図13】図12に続く,プリント配線板の製造方法において,内層導体回路の形成を示す説明図。
【図14】図13に続く,プリント配線板の製造方法において,黒化皮膜及び露出部の形成を示す説明図。
【図15】図14に続く,プリント配線板の製造方法において,プリプレグ及び銅箔の積層を示す説明図。
【図16】図15に続く,プリント配線板の製造方法において,絶縁層の形成を示す説明図。
【図17】図16に続く,プリント配線板の製造方法において,銅箔のパターニングをを示す説明図。
【図18】図17に続く,プリント配線板の製造方法において,第二導体回路の形成を示す説明図。
【図19】図18に続く,プリント配線板の製造方法において,もう一組の絶縁層及び第二導体回路の形成を示す説明図。
【図20】実施形態例3にかかる,プリント配線板の断面説明図。
【図21】実施形態例3にかかる,内層導体回路の表面に設けたマスクを示す説明図。
【図22】実施形態例3にかかる,内層導体回路の表面に形成した黒化皮膜を示す説明図。
【図23】実施形態例3にかかる,第二導体回路となる銅箔パターン及び露出部の説明図。
【図24】実施形態例3にかかる,レーザー光の照射によるビアホールの形成を示す説明図。
【図25】実施形態例4にかかる,レーザー光の照射によるビアホール形成の説明図。
【図26】実施形態例4にかかる,絶縁層に対するめっきを利用した銅箔パターンの形成の説明図。
【図27】実施形態例5における,プリント配線板の断面説明図。
【図28】図27にかかる,A−A矢視断面図。
【図29】実施形態例5における,レーザー光照射によるビアホール形成の説明図。
【図30】実施形態例6にかかる,プリント配線板の断面説明図。
【図31】実施形態例7における,プリント配線板の断面説明図。
【図32】図31にかかる,A−A矢視断面図。
【図33】実施形態例8にかかる,ビアホールの断面説明図。
【図34】実施形態例9にかかる,銅張積層板を示す断面説明図。
【図35】実施形態例9にかかる,ブラインドビアホールのレーザー光による穿孔を示す断面説明図。
【図36】実施形態例9にかかる,ブラインドビアホールに対する化学めっき層形成を示す断面説明図。
【図37】実施形態例9にかかる,プリント配線板の断面説明図。
【図38】実施形態例10におけるプリント配線板の断面図。
【図39】比較例のプリント配線板の断面図。
【図40】実施形態例11における,プリント配線板の断面図。
【図41】実施形態例11における,半田充填用孔の形成方法を示す,絶縁基板の断面図。
【図42】実施形態例11における,半田充填用孔を形成した絶縁基板の断面図。
【図43】実施形態例11における,半田充填用孔の壁面の状態を示す,プリント配線板の切欠斜視図。
【図44】実施形態例12における,プリント配線板の断面図。
【図45】実施形態例12における,半田充填用孔の内部に充填した半田に半田ボールを接合する方法を示す説明図。
【図46】実施形態例13における,プリント配線板の断面図。
【図47】実施形態例13における,半田充填用孔の内部に半田ボールを供給する方法を示す説明図。
【図48】実施形態例14にかかる,プリント配線板の製造において,レーザー光照射を示す説明図。
【図49】実施形態例14にかかる,プリント配線板の製造において,ブラインドビアホールを示す説明図。
【図50】実施形態例14にかかる,プリント配線板の製造において,半田を充填したブラインドビアホールを示す説明図。
【図51】実施形態例14にかかる,プリント配線板の製造において,半田ボールの設置を示す説明図。
【図52】実施形態例14にかかる,プリント配線板の要部断面を示す説明図。
【図53】実施形態例14にかかる,プリント配線板及びこれに設置した他の電子部品を示す説明図。
【図54】実施形態例14にかかる,凹形状のブラインドビアホールを有するプリント配線板の要部断面説明図。
【図55】実施形態例14にかかる,凸形状のブラインドビアホールを有するプリント配線板の要部断面説明図。
【図56】実施形態例15のプリント配線板の製造方法の工程説明図。
【図57】実施形態例15における,搭載用凹部を形成する方法を示すためのプリント配線板の断面図。
【図58】実施形態例15にかかるプリント配線板の断面図。
【図59】実施形態例15における,電子部品を搭載したプリント配線板の断面図。
【図60】実施形態例16にかかるプリント配線板の断面図。
【図61】従来例における,プリント配線板の説明図。
【図62】従来例における,レーザー光による孔明け加工の説明図。
【図63】従来例における,レーザー光による孔明け加工の問題点を説明する説明図。
【符号の説明】
101...第1絶縁層,
151,154...レーザー光照射孔,
102...第2絶縁層,
103...第3絶縁層,
131,161...内層導体回路,
133,153,155...外部導体回路,
160...開口穴,
151,154...レーザー光照射孔,
141,142...ブラインドビアホール,
171...余剰孔,
175,176...金属めっき膜,
108...レーザー光発振機,
181...レーザー光,
210...プリント配線板,
211,212,213...絶縁層,
221〜225...内層導体回路,
3A,3C...基準ホール,
3B,3D,3E...大きい深さのブラインドビアホール,
241...レーザー光発振器,
242...基準レーザー光,
245...座標制御装置,
296...金属めっき膜,
301...プリント配線板,
303,330...ビアホール,
304...内層導体回路,
305...半田,
306,360...第二導体回路,
315...スルーホール,
319...内層板,
328,329...絶縁層,
340...黒化皮膜,
341,361...銅箔パターン,
342,362...金属めっき膜,
345...膜,
346...マスク,
349,369...露出部,
381...半田ボール,
382...ソルダーレジスト,
401,408...プリント配線板,
402,403,426...ビアホール,
404,449...環状中間ランド,
405...内部金属めっき膜,
417...境界部分,
413,414,415,416,418...絶縁層,
419...内層板,
420...内壁面,
425,435...開口周縁,
440,447...開口穴,
441,448...露出部,
450...段状めっき膜,
452...段状部,
453,457...外部ビアホール,
454,459...内部ビアホール,
458...中間ビアホール,
461...内層導体回路,
462...外層導体回路,
463,464,465...境界導体回路,
501,508...プリント配線板,
502,529,503...ビアホール,
504...環状ダミーランド,
511〜516,518...絶縁層,
517...境界部分,
520,530...内壁面,
525,535...開口周縁,
521...内部金属めっき膜,
528...スルーホール,
540...開口穴,
561...外層導体回路,
562,563,564...内層導体回路,
601...プリント配線板,
611...めっき液流通穴,
615...ブラインドビアホール,
616...ビアめっき層,
617...化学めっき層,
619...絶縁層,
621...上部導体回路,
622...下部導体回路,
631...レーザー光照射部,
632...露出部,
703...金属めっき膜,
705...上面パターン,
706...下面パターン,
707...導通用孔,
709...絶縁基板,
731...薄膜めっき,
732...厚膜めっき,
761...電気リード,
801...半田充填用孔,
802...プリント配線板,
804...レーザー光,
806...絶縁基板,
807...半田,
808...相手部材,
810...壁面,
851,852...導体パターン,
861...繊維,
862...樹脂,
863...端部,
870,871...半田ボール,
872,874...上部,
873...下部,
901...プリント配線板,
904...ブラインドビアホール,
912...半田,
913...半田ボール,
915...電子部品,
918,919...絶縁層,
920...最表面,
921...内層導体回路,
931...外層導体回路,
940...壁面,
941...周縁部,
942...底部,
981...レーザー照射部,
1...搭載用凹部,
10...搭載用凹部形成部分,
2...レーザー光,
3,31...プリント配線板,
4...電子部品
41...接着剤,
44...ボンディングワイヤー,
5,51,52...絶縁基板,
50...多層基板,
59...ソルダーレジスト,
6...放熱板,
7,72,76...導体パターン,
73...スルーホール,
74...銅めっき膜,

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2層の合成樹脂製の絶縁層と,該絶縁層の間に設けた内層導体回路と,上記絶縁層の最表面から上記内層導体回路に向けて配設したブラインドビアホールとを有するプリント配線板を製造するに当たり,上記ブラインドビアホールの底部に位置する内層導体回路には,予めその中央部分に開口穴を設けておき,次いで上記絶縁層の最表面からレーザー光を照射して,上記ブラインドビアホールを形成し,その後上記内層導体回路及びブラインドビアホールの表面に金属めっき膜を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】 請求項1において,上記プリント配線板が上記内層導体回路を2段以上有しており,かつ各内層導体回路に上記ブラインドビアホールを設ける場合には,上記レーザー光を照射する側の最表面に近い側の内層導体回路には上記開口穴を設けておき,一方上記最表面から遠い側の内層導体回路には上記開口穴を設けることなく,それぞれレーザー光を照射することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】 請求項1又は2において,上記内層導体回路に設ける開口穴は,ブラインドビアホールの直径の30〜60%であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,上記金属めっき膜は,上記内層導体回路の開口穴を覆うように形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】 少なくとも2層の合成樹脂製の絶縁層と,該絶縁層の間に設けた内層導体回路と,最表面から上記内層導体回路に向けて配設され,深さが異なる多数のブラインドビアホールとを有するプリント配線板を製造するに際して,上記ブラインドビアホールの形成はレーザー光を各ブラインドビアホール毎に順次照射することにより穿設する方法において,最も浅いブラインドビアホールである基準ホールを穿設するために必要なエネルギー強度を有する基準レーザー光を用い,上記基準ホールの穿設に当たっては上記基準レーザー光を照射し,それ以上深いブラインドビアホールの穿設に当たっては上記基準レーザー光を複数回照射して穿設することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】 請求項5において,まず上記基準レーザー光を全てのブラインドビアホールの穿設に対して1回当て照射し,その後上記基準ホールよりも深いブラインドビアホールに対してのみ,上記基準レーザー光を,その穿設に必要な回数照射することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項7】 請求項5において,上記基準レーザー光の照射は,隣接するブラインドビアホールを順次穿設していくよう照射し,その際上記基準ホールの穿設に当たっては1回の照射を,それより深いブラインドビアホールの穿設に当たっては,その都度その穿設に必要な回数照射をすることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項8】 内層板の表面に内層導体回路を設け,該内層導体回路の表面に黒化皮膜を形成し,次いで上記内層板に対し絶縁層を介して第二導体回路を設け,次いでレーザー光を照射して上記絶縁層の最表面より上記内層導体回路に至るビアホールを設け,その後上記ビアホールの内壁面に金属めっき膜を設けることによりプリント配線板を製造する方法において,上記内層導体回路における上記レーザー光が照射される照射部は,上記黒化皮膜が設けられていない露出部を形成していることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項9】 請求項8において,上記露出部は,上記内層導体回路に上記黒化皮膜を形成した後に,上記黒化皮膜をエッチングして形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】 請求項8において,上記露出部は,上記内層導体回路に対する上記黒化皮膜の形成時に,上記内層導体回路を部分的にマスクしておき,上記黒化皮膜が形成されないようすることにより,形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項11】 請求項8〜10のいずれか一項において,上記絶縁層及び上記第二導体回路は二組以上設けてあることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項12】 絶縁層と,該絶縁層に隣接して設けられ,その表面に黒化皮膜を有する内層導体回路と,上記絶縁層の最表面から上記内層導体回路に至るビアホールとを有し,かつ上記内層導体回路における上記ビアホールの底部に位置する部位の内層導体回路には黒化皮膜を設けていない露出部が形成されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項13】 内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に設けた外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなるプリント配線板において,上記ビアホールの内部に突出する,開口穴を有する環状中間ランドを設けてなり,かつ上記ビアホールは,上記環状中間ランドよりも外部側の外部ビアホールの径が上記内層導体回路側の内部ビアホールの径よりも大きいと共に,上記環状中間ランドにおいて段状部を有する段状ビアホールを形成しており,また,上記内部金属めっき膜は上記外部ビアホール及び上記内部ビアホールの内壁面に沿った段状めっき膜を形成していることを特徴とするプリント配線板。
【請求項14】 請求項13において,上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路には接続されていないダミーランドであることを特徴とするプリント配線板。
【請求項15】 請求項13において,上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路に接続された導電ランドであることを特徴とするプリント配線板。
【請求項16】 内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に設けた外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなり,かつ上記ビアホールの内部に突出する,開口穴を有する環状中間ランドを設けてなり,かつ上記ビアホールは,上記環状中間ランドよりも外部側の外部ビアホールの径が上記内層導体回路側の内部ビアホールの径よりも大きいと共に,上記環状中間ランドにおいて段状部を有する段状ビアホールを形成しており,また,上記内部金属めっき膜は上記外部ビアホール及び上記内部ビアホールの内壁面に沿った段状めっき膜を形成しているプリント配線板を製造する方法において,上記ビアホールは,上記最表面より上記内層導体回路に向けてレーザー光を照射することにより形成し,この際,上記レーザー光は上記環状中間ランドの上記開口穴を貫通して上記内層導体回路まで到達させ,かつ上記レーザー光は上記外部ビアホールの径を形成するに必要な範囲に照射し,上記ビアホール形成後に上記金属めっき膜を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項17】 請求項16において,上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路には接続されていないダミーランドであることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項18】 請求項16において,上記環状中間ランドは上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分に設けた境界導体回路に接続された導電ランドであることを特徴とするプリント配線板。
【請求項19】 内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に形成された外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなるプリント配線板において,上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分には,上記ビアホールの周囲に開口穴を有する補強用の環状ダミーランドを設けてなり,該環状ダミーランドは上記内部金属めっき膜と接合していることを特徴とするプリント配線板。
【請求項20】 請求項19において,上記環状ダミーランドは,上記ビアホールの径よりも大きい外径を有し,上記ビアホールの径と同じ径の開口穴を有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項21】 内層導体回路の上に二層以上の絶縁層を有すると共に,上記絶縁層の最表面より上記二層以上の絶縁層を貫通して上記内層導体回路に達するビアホールを有し,かつ該ビアホール内には上記内層導体回路と上記最表面に形成された外層導体回路とを電気的に導通させる内部金属めっき膜を設けてなり,かつ,上記二層以上の絶縁層が互いに対面する境界部分には,上記ビアホールの周囲に開口穴を有する補強用の環状ダミーランドを設けてなり,該環状ダミーランドは上記内部金属めっき膜と接合しているプリント配線板を製造する方法において,上記ビアホールは,上記最表面より上記内層導体回路に向けてレーザー光を照射することにより形成し,この際レーザー光は上記環状ダミーランドの開口穴を貫通して上記内層導体回路まで到達させ,その後上記内部金属めっき膜を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項22】 請求項21において,上記環状ダミーランドは,上記ビアホールの径よりも大きい外径を有し,上記ビアホールの径と同じ径の開口穴を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項23】 絶縁層の上面に上部導体回路を,一方その下面に下部導体回路を設けてなり,また上記上部導体回路と下部導体回路との間には上記絶縁層を貫通して上記下部導体回路を底部とするブラインドビアホールを設けてなり,また該ブラインドビアホールにはその内壁に上記上部導体回路と下部導体回路との間を電気的に接続するためのビアめっき層を設けてなるプリント配線板において, 上記ブラインドビアホールの底部を構成する下部導体回路にはブラインドビアホールよりも小さい径を有するめっき液流通穴が設けてあることを特徴とするプリント配線板。
【請求項24】 請求項23において,上記めっき液流通穴は上記ビアめっき層により閉塞されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項25】 請求項23または24において,上記めっき液流通穴の径は上記ブラインドビアホールの径の10〜40%であることを特徴とするプリント配線板。
【請求項26】 絶縁層の上面に上部導体回路を,一方その下面に下部導体回路を設けてなり,また上記上部導体回路と下部導体回路との間には上記絶縁層を貫通して上記下部導体回路を底部とするブラインドビアホールを設けてなり,また該ブラインドビアホールにはその内壁に上記上部導体回路と下部導体回路との間を電気的に接続するためのビアめっき層を設けてなり,かつ上記ブラインドビアホールの底部を構成する下部導体回路にはブラインドビアホールよりも小さい径を有するめっき液流通穴が設けてあるプリント配線板を製造する方法において,上記ブラインドビアホールは上記絶縁層の上面より上記下部導体回路に向けてレーザー光を照射することにより穿穴し,また,この穿穴時には上記レーザー光によって下部導体回路にめっき液流通穴を形成し,次いで,化学めっき液を上記ブラインドビアホール及び上記めっき液流通穴に流通させることにより,上記ブラインドビアホール内に化学めっき層を形成し,その後同様に電気めっき液を流通させながら電気めっきを行い上記ビアめっき層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項27】 絶縁基板の上面に,導通用孔形成部分の周縁において上面パターンを形成する工程と,絶縁基板の下面に,導通用孔形成部分を閉塞する下面パターンを形成する工程と,絶縁基板に導通用孔を孔明けする工程と,上記導通用孔の内壁に,化学めっき処理及び電気めっき処理を行うことにより金属めっき膜を形成する工程とを有するプリント配線板を製造する方法において,上記電気めっき処理は,上記絶縁基板を電気めっき浴に浸漬した状態で,上記導通用孔の内壁を被覆する化学めっき膜に電流密度0.8〜1.4A/dm2 の電流を流すことにより行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項28】 請求項27において,上記金属めっき膜は,銅であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項29】 請求項27又は28において,上記電気めっき処理は,2回以上行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項30】 絶縁基板の表面に設けた導体パターンと,上記絶縁基板を貫通するとともに上記導体パターンの上面に達する半田充填用孔と,該半田充填用孔の内部に充填してなる半田とを有するプリント配線板において,上記絶縁基板は,繊維を含有しており,かつ上記半田充填用孔の壁面には上記繊維の端部が突出し,該繊維の端部が上記半田の中に食い込んでいることを特徴とするプリント配線板。
【請求項31】 請求項30において,上記繊維は,ガラス繊維,樹脂繊維,又はセラミック繊維の1種以上であることを特徴とするプリント配線板。
【請求項32】 半田充填用孔の内部に半田を充填してなるプリント配線板を製造する方法において,まず,繊維を含有する絶縁基板の表面に導体パターンを形成し,次いで,絶縁基板における導体パターンにより被覆されていない部分において,上記導体パターンに向けてレーザー光を照射して,半田充填用孔を形成するとともに該半田充填用孔の壁面に絶縁基板の内部に含まれる繊維の端部を突出させた状態となし,次いで,上記半田充填用孔の内部に半田を充填することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項33】 請求項32において,上記繊維は,ガラス繊維,樹脂繊維,又はセラミック繊維の1種以上であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項34】 少なくとも2層の絶縁層を有し,該絶縁層の間に内層導体回路を有してなり,また最表面には上記内層導体回路に向けてブラインドビアホールを穿設してなり,かつ該ブラインドビアホールの内部には半田を充填してなるプリント配線板において,上記ブラインドビアホールは,その壁面の断面形状が凹凸形状であることを特徴とするプリント配線板。
【請求項35】 請求項34において,上記凹凸形状はブラインドビアホールの横方向へ広がる凹形状,ブラインドビアホールの内側方向へ突出する凸形状,または波形状を呈していることを特徴とするプリント配線板。
【請求項36】 請求項34又は35において,上記ブラインドビアホール内に充填された半田は,半田ボールを介して他のPCボードに接続されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項37】 少なくとも2層の絶縁層を有し,該絶縁層の間に内層導体回路を有してなり,また最表面には上記内層導体回路に向けてブラインドビアホールを穿設してなり,かつ該ブラインドビアホールの内部には半田を充填してなり,更に上記ブラインドビアホールは,その壁面の断面形状が凹凸形状であるプリント配線板を製造するに当たり,上記ブラインドビアホールはレーザー光を照射することにより形成し,その後ブラインドビアホール内に溶融半田を流入させることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項38】 電子部品を搭載するための搭載用凹部と導体パターンとを有するとともに,上記搭載用凹部の底部に放熱板を設けてなるプリント配線板を製造する方法において,絶縁基板に導体パターンを形成し,次いで,上記絶縁基板における搭載用凹部を形成する搭載用凹部形成部分の下面に放熱板を接着し,次いで,上記搭載用凹部を形成するに当たり,上記搭載用凹部形成部分の上面側にレーザー光を照射して,搭載用凹部を穴明けすることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項39】 請求項38において,上記絶縁基板は,2以上の絶縁層を積層するとともに,絶縁基板の内部には導体パターンを有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項40】 請求項38又は39において,上記放熱板の厚みは,0.01〜2mmであることを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図28】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図32】
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【図34】
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【図36】
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【図41】
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【図29】
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【図30】
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【図33】
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【図35】
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【図37】
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【図38】
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【図31】
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【図39】
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【図40】
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【図42】
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【図44】
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【図45】
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【図47】
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【図43】
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【図46】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図56】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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