説明

プレス打抜き装置

【課題】プレス金型に対し、機能部品を作り込んだテープを精度良く位置決めすることができるプレス打抜き装置を提供することを課題としている。
【解決手段】長さ方向に複数の機能部品を作り込むと共に、両側縁部に複数のスプロケット孔47を列設したテープ状部材を、機能部品の配置ピッチで且つテープ送り経路50に沿って間欠送りするテープ送り手段と、テープ送り経路50に介設され、間欠送りされてくるテープ状部材から複数の機能部品を1つずつ打ち抜くダイ25およびパンチ27から成るプレス金型48と、ダイ25に対するパンチ27の打抜き動作に連動して各列のスプロケット孔47に挿通し、機能部品をプレス金型48に位置決めする複数のガイドピン32と、プレス金型48の近傍のテープ送り経路50に臨み、各列のスプロケット孔47に噛合してテープ状部材の間欠送りをガイドする複数のガイドスプロケット35とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の複数の機能部品が一定の間隔で実装されたテープから機能部品を打抜くプレス打抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープキャリアパッケージ(TCP)等、一定間隔に複数の半導体チップ等の電子部品を始めとする機能部品が実装されたフィルム状テープから、1つずつ機能部品を打抜く打抜き装置が知られている。この種の打抜き装置は、テープが供給される供給リールとテープが巻き取られる巻取りリールと、供給リールと巻取りリールとの間に設けられた金型装置と、金型装置前後に設けられたスプロケットからなるテープ送り手段と、を備えている(特許文献1参照)。供給リールから繰り出されたテープは、金型装置に向かって間欠送りされ、金型装置において電子部品の部分が位置決めされた後打抜かれ、この動作を繰り返して、テープに実装された電子部品を連続的に打抜くようにしている。そして、供給リール側および巻取りリール側に、張力設定手段(ダンサローラ)が設けられ、金型装置に送り込まれるテープに張力が付与されることで、打抜き位置精度を高め得るようになっている。
【特許文献1】特開2007−254079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の打抜き装置に、剛性が低い(腰がない)薄手のテープを導入すると、剛性が低い(腰がない)基材テープ部分と剛性の高い電子部品の実装部分との剛性の差や、テープの長手方向に付与される張力により、金型装置に送り込まれる段階でテープの幅方向に反り、弛み(皺)等が生じてしまい、金型装置に対してテープの打抜き位置のずれが大きくなる。このため、テープの打抜き部分が、金型装置に備える位置決め用ガイドから大きく外れてしまい、ガイドが機能しなくなり、打抜き不良が発生するおそれがあった。
【0004】
本発明は、プレス金型に対し、機能部品を作り込んだテープを精度良く位置決めすることができるプレス打抜き装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプレス打抜き装置は、長さ方向に複数の機能部品を作り込むと共に複数の機能部品から外れた両側縁部に複数のスプロケット孔をそれぞれ列設したテープ状部材を、複数の機能部品の配置ピッチで且つテープ送り経路に沿って間欠送りするテープ送り手段と、テープ送り経路に介設され、間欠送りされてくるテープ状部材から複数の機能部品を1つずつ打ち抜くダイおよびパンチから成るプレス金型と、ダイに対するパンチの打抜き動作に連動して各列のスプロケット孔に挿通し、機能部品をプレス金型に位置決めする複数のガイドピンと、プレス金型の近傍のテープ送り経路に臨み、各列のスプロケット孔に噛合して、テープ状部材の間欠送りをガイドする複数のガイドスプロケットと、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、プレス金型近傍に設けられた複数のガイドスプロケットが、スプロケット孔に噛合してテープ状部材の間欠送りをガイドすることによって、テープ幅方向の反りや弛みを矯正した状態で、プレス金型に向かってテープ部材の送り込みおよび送り出しをすることができる。これによって、ダイに対するパンチの打抜き動作に連動してテープ状部材の打抜き位置を固定するガイドピンが、所定のスプロケット孔に確実に挿通し、プレス金型に対してテープの打抜き位置を精度良く位置決めすることができる。したがって、幅方向に反り、弛み(皺)等が生じ易いテープ状部材を導入しても、機能部品を位置精度良く且つ確実に打ち抜くことができる。
【0007】
この場合、複数のガイドピンは、プレス金型に対しテープ送り方向の上流側近傍および下流側近傍においてそれぞれ各列のスプロケット孔に挿通する、少なくとも4つのガイドピンで構成され、複数のガイドスプロケットは、プレス金型に対しテープ送り方向の上流側近傍および下流側近傍においてそれぞれ各列のスプロケット孔に噛合する、少なくとも4つのガイドスプロケットで構成されていることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、少なくとも4つのガイドスプロケットをプレス金型に対してテープ送り方向の上流側近傍および下流側近傍に設けることによって、プレス金型の前後において、テープ状部材の送り込みおよび送り出しをガイドすることができ、剛性の低いテープ状部材であっても所定の打抜き位置まで精度良く送ることができる。これにより、ガイドピンがスプロケット孔に確実に挿通する位置に、テープ状部材を送り込むことができる。また、打抜き動作に際してスプロケット孔に挿通するガイドピンが、少なくとも4つ以上設置されることにより、ガイドスプロケットによってほぼの位置に位置決めされたテープ状部材が、打ち抜きの直前に高精度に位置決めされ、テープ状部材の打抜き位置がより確実に且つ精度良く行われる。
【0009】
この場合、各ガイドスプロケットを支持する複数のスプロケット支持機構を、更に備え、各スプロケット支持機構は、ガイドスプロケットを自由回転自在に支持するスプロケット軸と、スプロケット軸を支持する支持体と、支持体を介してガイドスプロケットを噛合方向に付勢する付勢部材と、を有していることが好ましい。
【0010】
また、ダイに対するパンチの打抜き動作に連動して各スプロケット支持機構を押圧し、スプロケット孔に対する各ガイドスプロケットの噛合を解除する複数の解除突起を、更に備えたことが好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、ガイドスプロケットがスプロケット孔に噛合して自由回転することによって、常にガイドスプロケットがスプロケット孔に噛合している状態に維持され、テープ状部材のプレス金型への送り込みおよび送り出しを円滑に行うことができる。また、ガイドスプロケットは、プレス金型の打抜き動作に合わせて、すなわちガイドピンのスプロケット孔の挿入に合わせて、解除突起によりスプロケット孔から引抜かれるようにその噛合を解除される。これによって、ガイドピンによるテープ状部材の最終的な位置決めに、ガイドスプロケットが障害となることがなく、且つガイドスプロケットが打抜き動作の妨げになることがない。
【0012】
この場合、ダイを保持するダイホルダを、更に備え、複数のガイドスプロケットは、ダイホルダに組み込まれていることが好ましい。また、パンチを保持するパンチホルダを、更に備え、複数のガイドピンは、パンチホルダに組み込まれていることが好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、打抜き動作を行うパンチ金型部の近傍でテープ状部材の位置規制を行うことができる。また、打抜き動作においてパンチホルダがダイホルダを押圧保持する際に、最初にガイドピンがスプロケット孔に挿通して打抜き位置を固定した上でパンチホルダがダイホルダ上面を押圧するため、テープ部材の適当な打抜き位置を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態にかかるプレス打抜き装置について説明する。このプレス打抜き装置は、例えば機能部品であるFPC(Flexible Print Circuit)を延在方向に多数作り込まれたキャリアテープ(以下、「テープ」という)に対し、FPC部分を1つずつ打ち抜くものである。先ず、プレス打抜き装置全体の構成について簡単に説明する。
【0015】
図1に示すように、プレス打抜き装置1は、テープ2からFPCである印刷回路3を打ち抜くプレス金型48を有するプレス装置4と、テープ2を繰り出す繰出しリール5を有する繰出し部6と、打抜き後のテープ2を巻き取る巻取りリール7を有する巻取り部8とを備えている。図2に示すテープ2は、繰出しリール5から巻取りリール7に至るテープ送り経路50に沿って水平に送られ、テープ送り経路50の延在方向の中間位置に介設したプレス金型48に臨んで、印刷回路3が1つずつ打ち抜かれる。
【0016】
繰出し部6は、上記の繰出しリール5の他、プレス装置4に送り込むテープ2にバックテンションを付与するバックテンション機構9と、テープの水平方向の送りをガイドするテープガイド11と、繰出しリール5の下方に位置して、テープ2のスペーサ2aを巻き取るスペーサリール6aと、繰出しリール5に臨んで、テープ2の静電気を除電するイオナイザ6bと、を備えている。繰出しリール5の直下には、テープ2を挟むようにして一対のセンサ5a,5aが配設されており、上側のセンサ5aがテープ2を検出すると、繰出しリール5が繰出し回転してテープ2を繰り出す。さらに、テープ2の繰り出しが進み、弛んだテープ2を下側のセンサ5aが検出すると、繰出しリール5が繰出し回転を停止する。すなわち、この繰出しリール5の直下の部分が繰出しリール5と協働して、繰出し側のテープバッファとして機能している。
【0017】
巻取り部8は、上記の巻取りリール7の他、プレス装置4から送り出されたプレス後のテープ2に水平の送り方向にフォワードテンションを付与するフォワードテンション機構(テープ送り手段)10と、テープの水平方向の送りをガイドするテープガイド12と、巻取りリール7の下方に位置して、テープ2のスペーサ2aを送り込むスペーサリール6aと、フォワードテンション機構10よりも下流側に配設され、テープ2の静電気を除電するイオナイザ8bと、を備えている。この場合も、巻取りリール7の直下には、テープ2を挟むようにして一対のセンサ7a,7aが配設されており、下側のセンサ7aが弛んだテープ2を検出すると、巻取りリール7が巻取り回転してテープ2を巻き取る。さらに、テープ2の巻き取りが進み、弛みが少なくなったテープ2を上側のセンサ7aが検出すると、巻取りリール7が巻取り回転を停止する。すなわち、この巻取りリール7の直下の部分が巻取りリール7と協働して、巻き取り側のテープバッファとして機能している。
また、巻取り部8にもスペーサリール6aを設けることによって、テープ2に実装された印刷回路3を部分的に打抜く場合に、テープ2がスペーサ2aを伴った状態で巻取りリール7に送り込むことができ、印刷回路3にストレスを与えずに巻き取ることができる。
【0018】
プレス装置4は、テープ2の印刷回路3を打ち抜くプレス金型部21と、プレス金型部21でテープ2を打ち抜くときにテープ2の両側を把持する一対のクランプハンド部22,22と、そのクランプハンド部22,22と交代して、所定ピッチ(印刷回路3の配置ピッチ)でテープ2をプレス金型部21に間欠的に送り込むグリップフィーダ23(テープ送り手段)とを備えている。一対のクランプハンド部22,22とグリップフィーダ23とは交互に作動し、グリップフィーダ23はテープ2をプレス金型部21の位置に送る。
【0019】
プレス金型部21は、X方向・Y方向への微少な直線移動およびθ方向への微少回動が可能とされるテーブル24上に搭載されており、テーブル24側となる下側の固定部14と、上側の可動部13と、可動部13を打抜き動作(昇降動)させる油圧シリンダ29と、を備えている。固定部14には、ダイホルダ31に保持されるようにして矩形枠状のダイ25が設けられ、可動部13には、パンチホルダ30に保持されるようにして矩形状のパンチ27が設けられている。また、図3に示すように、パンチホルダ30には、テープ2を位置決めする複数(図示では、6本)のガイドピン32が、ダイホルダ31には、テープ2を幅方向に位置規制する複数(図示では、4つ)のガイドスプロケット35が、それぞれテープ送り経路50に臨むように設置されている。なお、上記のダイ25およびパンチ27により、請求項に言うプレス金型48が構成されている。
【0020】
ここで、プレス打抜き装置1の動作について、簡単に説明する。このプレス打抜き装置1では、プレス打抜き装置1の運転開始から、繰出しリール5と巻取りリール7がテープ2をゆっくり送るように回転する。この状態で、バックテンション機構9とフォワードテンション機構10とがオンとなっており、テープ2に長手方向両側に引っ張るテンションがかけられている。このとき、クランプハンド部22,22はオフされており、テープ2から離れてアンクランプ状態となっている。
【0021】
この状態から、グリップフィーダ23がオンし、テープ2の両縁部を把持して、送り開始位置から送り終了位置に移動する。これにより、テープ2がテープ送り経路50に沿って間欠送りされる。グリップフィーダ23がテープ2を把持して送り終了位置に到達したら、開いていたクランプハンド部22,22が閉じてクランプハンド部22,22がテープ2の両縁部を把持する。他方、グリップフィーダ23は開いてテープ2を解放し、送り開始位置に戻る。これによって、グリップフィーダ23とクランプハンド部22,22によるテープ2の持ち替えが行われる。クランプハンド部22,22がテープ2を把持したら、プレス金型部21による打ち抜き処理が行われ、印刷回路3が打ち抜かれる。
【0022】
可動部13がテーブル24に向かって下降を始めると、可動部13に設けられた金型ガイド33が金型ガイド受け溝部33aに案内されて、パンチ27と共にパンチホルダ30が先行するようにダイ25に向かって下降し、先ずパンチホルダ30に設けられた複数のガイドピン32が、それぞれ対応するテープ2のスプロケット孔47に挿通してゆく。各ガイドピン32がスプロケット孔47に深く挿通した状態で、パンチホルダ30がテープ2に接触し、これをダイホルダ31上面に押圧保持する。可動部13がさらに下降すると、パンチ27がダイ25に嵌合するようにして印刷回路3を打ち抜く。切断された印刷回路3はダイ25から落下してトレイに収容される。印刷回路3が打抜かれると、可動部13が下降から上昇に転じ、ダイ25からパンチ27が引き抜かれ、続いてパンチホルダ30によるテープ2の押圧保持が解かれると共に金型ガイド33の係合が解かれる。
【0023】
印刷回路3が打ち抜かれたテープ2は、フォワードテンション機構10によってテープガイド12の上を沿うように送られて、巻取りリール7の直下に送られた後、適宜巻取りリール7に巻き取られる。そして、テープ2の間欠送りにおいて、複数のガイドスプロケット35がスプロケット孔47に噛合し、プレス金型48を通過するテープ2を幅方向にガイドする。
【0024】
次に、図3および図5を参照して、プレス装置4においてガイドスプロケット35を含むプレス金型部21廻りの構造について詳細に説明する。
上述したように、プレス金型部21は、その中心部にパンチ27とダイ25とから成るプレス金型48を有すると共に、ダイ25を保持するダイホルダ31とパンチ27を保持するパンチホルダ30とを有している。
【0025】
図3および図5に示すように、パンチホルダ30には、印刷回路3の打抜き位置51を最終的に位置決めする複数(6本)のガイドピン32と、打抜き動作に際してダイ25に対するパンチ27の嵌合をガイドする複数(2本)の金型ガイド33と、打抜き動作に際してガイドスプロケット35をスプロケット孔47から噛合解除するための複数(4本)の解除突起34と、を備えている。ガイドピン32は、左右のスプロケット孔47に挿通される1対のガイドピン32が、テープ2の印刷回路3を囲むように3組、計6本設けられている(図3(a))。各ガイドピン32は、断面円形或いは断面方形の尖塔形状(テーパ形状)に形成され、打抜き動作におけるパンチホルダ30の下降に伴い、それぞれの対応するスプロケット孔47の内周(四辺)に略接触するまで深く挿通して、テープ2を完全に位置決めする。
【0026】
各解除突起34は、各ガイドスプロケット35に対応して配設されており、左右一対の解除突起34が、印刷回路3の打抜き位置51に対してテープ2送り方向上流側および下流側にそれぞれ設けられている。各解除突起34は、打抜き動作における可動部13の下降に伴って、後述するスプロケット支持機構37を介して、スプロケット孔47に噛合しているガイドスプロケット35を下動させ、その噛合を解除する。これにより、ガイドピン32によるテープ2の最終的な位置決め動作と、ガイドスプロケット35のテープ2に対する噛合解除とが同時に進行し、ガイドピン32による位置決めをガイドスプロケット35が阻害しないようになっている。
【0027】
一方、ダイホルダ31には、テープ2を幅方向に位置規制する左右一対のテープ送りガイド42と、ガイドスプロケット35およびスプロケット支持機構37と、が設けられている。一対のテープ送りガイド42は、それぞれがテープ送り経路50に外側から臨むように断面L字状に内向きに配設されている。この場合のテープ送りガイド42は、主として送られてゆくテープ2の浮き上がりおよびテープ送り経路50からの脱落を規制する。なお、テープ送りガイド42は、テープ2の摩擦係数の小さな材料で形成されることは、言うまでもない。
【0028】
図4および図5に示すように、一対のテープ送りガイド42には、ガイドスプロケット35に対応し、スプロケット孔47に噛合する歯36が逃げるための略方形の複数のスプロケット逃げ穴43(図示では計4つ)が形成されている。また、一対のテープ送りガイド42には、打抜き動作に際して下降するガイドピン32を受容するための切欠き部44(図示では計6つ)が形成されている。さらに、一対のテープ送りガイド42には、打抜き動作に際して下降する上記の解除突起34を受容するための突起受容穴45(図示では計4つ)が形成されている。詳細は後述するが、この突起受容穴45は、スプロケット支持機構37の真上に設けられている。
【0029】
複数(4つ)のガイドスプロケット35および複数(4つ)のスプロケット支持機構37は、打抜き位置51を挟んでテープ2送り方向上流側および下流側に、テープ送り経路50に臨むように設けられている。各ガイドスプロケット35は、テープ2のスプロケット孔47に噛合するように形成された複数枚の歯36を有し、スプロケット支持機構37により自由回転自在に支持されている。各スプロケット支持機構37は、ガイドスプロケット35を自由回転自在に支持するスプロケット軸38と、スプロケット軸38を片持ちで支持する支持体39と、支持体39を上下動自在に支持する鉛直支持軸40と、支持体39を介して、ガイドスプロケット35をスプロケット孔47に噛合する噛合方向(上方)に付勢するコイルばね41(付勢部材)と、を備えている。
【0030】
ガイドスプロケット35およびスプロケット支持機構37は、ダイホルダ31表面から没入した収容溝46に収容され、上記の鉛直支持軸40を介して収容溝46底面に立設されている。図示では省略したが、支持体39は、内部に設けたストッパ部により鉛直支持軸40に対し上動端位置が規制されており、コイルばね41により付勢された上動端位置において、テープ2がテープ送り経路50から離れて浮かない程度に一部の歯36がスプロケット孔47に噛合するように設置されている。このとき、ガイドスプロケット35の歯36は、挿通するテープ2のスプロケット孔47に対してクリアランスを生じるような大きさに形成されており、長さ方向および幅方向においてテープ2(印刷回路3)をほぼの位置に位置規制している。より具体的には、複数のガイドスプロケット35によるテープ2(印刷回路3)のほぼの位置決め(プレアライメント)は、複数のガイドピン32が所定のスプロケット孔47にそれぞれ確実に挿通する位置となっており、打抜かれる印刷回路3(テープ2)は、最終的に複数のガイドピン32により位置決め(ポストアライメント)されるようになっている。
【0031】
次に、プレス金型部21における打抜き動作について説明する。
図3で示すように、プレス金型48に臨むテープ2は、上流側の一対のガイドスプロケット35に噛み合うと共に下流側の一対のガイドスプロケット35に噛み合い、幅方向の反りや弛みが矯正された状態で、送られてくる。1の印刷回路3が打抜き位置51に送り込まれテープ送りが停止すると、プレス金型部21による打抜き動作が行われる。打抜き動作では、可動部13に設けられた金型ガイド33に案内されて、パンチ27と共にパンチホルダ30が先行するようにダイ25に向かって下降し、先ずパンチホルダ30に設けられた複数(6個)のガイドピン32が、それぞれ対応するテープ2のスプロケット孔47に挿通してゆく。このとき、ガイドスプロケット35は、上述のように、解除突起34によってダイホルダ31の収容溝46に押し込まれ、テープ2との噛合を解除される。
【0032】
可動部13がさらに下降すると、ガイドピン32がスプロケット孔47に深く挿通し印刷回路3を位置決めする。この位置決めとほぼ同時にパンチホルダ30が、ダイホルダ31上に印刷回路3を押えるようして固定する。次の瞬間にパンチ27がテープ2の上に下降してゆき、印刷回路3を打ち抜く。印刷回路3の打抜きが完了し、可動部13が上昇してゆくと、上記と逆の手順で解除突起34の係合解除と、ガイドスプロケット35の噛合とが行われる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のプレス打抜き装置1では、プレス金型48近傍に設けられた複数のガイドスプロケット35が、スプロケット孔47に噛合してテープ2の間欠送りをガイドすることによって、テープ2幅方向の反りや弛みを矯正した状態(プレアライメント)で、プレス金型48に向かってテープ2の送り込みおよび送り出しをすることができる。これによって、ダイ25に対するパンチ27の打抜き動作に連動してテープ2の打抜き位置51を固定するガイドピン32が、所定のスプロケット孔47に確実に挿通し、プレス金型48に対してテープ2の打抜き位置51を精度良く位置決め(ポストアライメント)することができる。したがって、幅方向に反り、弛み(皺)等が生じ易いテープ2を導入しても、印刷回路3を位置精度良く且つ確実に打ち抜くことができる。
なお、本実施形態において、テープ2の搬送はグリップフィード方式によって行われているが、スプロケットやゴムローラ等を用いた搬送方式でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態のプレス打抜き装置の構成を示す説明図である。
【図2】テープ状部材の平面図である。
【図3】プレス金型部の(a)正面における断面、(b)側面における断面、を示す模式図である。
【図4】ガイドスプロケットの(a)正面模式図、および(b)側面模式図である。
【図5】テープ送り経路を示す平面模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1…プレス打抜き装置 2…テープ 3…印刷回路 21…プレス金型部 25…ダイ 27…パンチ 32…ガイドピン 33…金型ガイド 34…解除突起 35…ガイドスプロケット 47…スプロケット孔 50…テープ送り経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に複数の機能部品を作り込むと共に前記複数の機能部品から外れた両側縁部に複数のスプロケット孔をそれぞれ列設したテープ状部材を、前記複数の機能部品の配置ピッチで且つテープ送り経路に沿って間欠送りするテープ送り手段と、
前記テープ送り経路に介設され、間欠送りされてくる前記テープ状部材から前記複数の機能部品を1つずつ打ち抜くダイおよびパンチから成るプレス金型と、
前記ダイに対する前記パンチの打抜き動作に連動して各列の前記スプロケット孔に挿通し、前記機能部品を前記プレス金型に位置決めする複数のガイドピンと、
前記プレス金型の近傍の前記テープ送り経路に臨み、各列の前記スプロケット孔に噛合して、前記テープ状部材の間欠送りをガイドする複数のガイドスプロケットと、を備えたことを特徴とするプレス打抜き装置。
【請求項2】
前記複数のガイドピンは、前記プレス金型に対しテープ送り方向の上流側近傍および下流側近傍においてそれぞれ各列の前記スプロケット孔に挿通する、少なくとも4つの前記ガイドピンで構成され、
前記複数のガイドスプロケットは、前記プレス金型に対しテープ送り方向の上流側近傍および下流側近傍においてそれぞれ各列の前記スプロケット孔に噛合する、少なくとも4つの前記ガイドスプロケットで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレス打抜き装置。
【請求項3】
前記各ガイドスプロケットを支持する複数のスプロケット支持機構を、更に備え、
前記各スプロケット支持機構は、前記ガイドスプロケットを自由回転自在に支持するスプロケット軸と、
前記スプロケット軸を支持する支持体と、
前記支持体を介して前記ガイドスプロケットを噛合方向に付勢する付勢部材と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のプレス打抜き装置。
【請求項4】
前記ダイに対する前記パンチの打抜き動作に連動して前記各スプロケット支持機構を押圧し、前記スプロケット孔に対する前記各ガイドスプロケットの噛合を解除する複数の解除突起を、更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のプレス打抜き装置。
【請求項5】
前記ダイを保持するダイホルダを、更に備え、
前記複数のガイドスプロケットは、前記ダイホルダに組み込まれていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプレス打抜き装置。
【請求項6】
前記パンチを保持するパンチホルダを、更に備え、
前記複数のガイドピンは、前記パンチホルダに組み込まれていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプレス打抜き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120125(P2010−120125A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296649(P2008−296649)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】